JP4698373B2 - 位置情報取得装置 - Google Patents
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Description
例えば下記特許文献1では、パルスレーザビーム光の照射時刻とその目標である測定対象物からの反射光の受光時刻との時間差、すなわちレーザ光の往復時間を計数して測定対象物までの距離を算出することができる。
一方、この他、測定対象物の距離を幾何学的な三角測量を用いて測定対象物の距離を求めることもできる。
パルスレーザビーム光の照射時刻と受光時刻との時間差を用いて距離を算出する測定方法は、レーザパルスのパルス幅をピコ秒以下に短くすることはできるものの、受光信号をAD変換したときのサンプリング周波数は数GHzに制限される。このため、1GHのパルスレーザビーム光の場合、1GHzでサンプリングをすると、測定対象物までの距離分解能は150mmとなり、距離分解能をmm単位以下、さらにはμm単位にすることは困難である。
一方、レーザ光の振幅変調の周波数の上限は1〜2GHz程度であり、反射光の受信の上限は、光電子倍増管で受信した場合0.5GHz、感度の劣る固体光電変換器で受信する場合の受信周波数の上限は数GHzである。2GHzで振幅変調したレーザ光でも、測定対象物の距離分解能は0.3mm〜1.5mmに留まる。すなわち、距離分解能をμm単位にすることは困難である。さらに、このとき測定対象物の距離には、位相情報から距離を算出するため、振幅変調したレーザ光の変調の1波長の整数倍に関する未定部分が残る。
さらに、三角測量を用いて測定対象物の距離を求める測定方法では、距離分解能を高くしたい場合、レーザ光を細く絞る必要があるので測定対象物の測定可能な距離の範囲は著しく制限される。
レーザ光の光強度を所定の変調周波数で時間変調するための変調信号を生成する発振器と、
レーザ光を、変調信号に従って時間変調して測定対象物に照射するレーザ光出射手段と、
測定対象物で反射したレーザ光を受光して反射光の受光信号に変換する受光手段と、
前記受光信号の周波数を一定量一方向にシフトし、かつ、前記受光手段で得られた受光信号の前記変調信号に対する位相情報を、シフトした周波数において保持したシフト信号を生成し、このシフト信号と前記発振器で生成される前記所定の周波数の変調信号とを加えた合成信号を、レーザ光の変調信号として前記レーザ光出射手段に供給する信号処理手段と、
前記受光手段で得られた受光信号を、前記変調信号を用いて検波することにより、前記受光信号に含まれている周波数別の位相情報を得、この周波数別の位相情報から、測定対象物までの距離を求める位置情報算出手段と、を有し、
前記位置情報算出手段は、前記レーザ光出射手段によるレーザ光の出射、前記受光手段による反射光の受光、前記信号処理手段によるシフト信号の生成及び合成信号の前記レーザ光出射手段への供給の工程を複数回繰り返した後に得られる受光信号を用いて測定対象物までの距離を求めることを特徴とする位置情報取得装置を提供する。
前記信号処理手段は、前記受光信号の周波数を一定量一方向にシフトさせるSSB変調器を有することが好ましい。なお、周波数を一方向にシフトさせるとは、周波数を高周波側方向にシフトさせる、あるいは低周波側にシフトさせることをいう。
又、前記発振器の生成する変調信号の変調周波数をf0(Hz)とし、前記受光信号の周波数を一定量一方向にシフトするシフト量をΔf(Hz)とし、測定対象物までの距離をlとしたとき、前記位置情報算出手段で用いられる受光信号の、周波数{f0+(m−1)・Δf}(mは1以上の整数)における位相情報は2π・l/c×{m・f0 + m・(m−1)/2・Δf}(cは光速度)であり、前記位置情報算出手段は、この位相情報を用いて距離lを算出することが好ましい。
装置10は、測定対象物Tにレーザ光を照射し、このときの測定対象物Tからの反射光を受光することにより取得される受光信号に含まれる位相情報を用いて、測定対象物Tまでの位置情報を算出する装置である。
なお、測定対象物Tの距離である奥行き方向(レーザ光の出射方向)の位置情報の他に、測定対象物の表面形状を含めた3次元位置情報を取得する装置として構成することもできる。この場合、装置10は、レーザ光を出射させて測定対象物Tの異なる領域に照射し、測定対象物Tの表面で反射したレーザ光を受光するレーザレーダ装置である。
なお、装置10は測定対象物Tの位置情報を算出する装置であるか、同様の構成により、測定対象物Sの発する蛍光の蛍光緩和時定数を算出する装置を構成することもできる。この場合、装置を構成するコンピュータの処理内容が異なる。
コンピュータ14は、本体部12から出力される信号を用いてデータ処理を行う他、本体部12の各ユニットの駆動や駆動のタイミングを制御する制御部分でもある。
レーザ光出射ユニット20は、図2(a)に示すように、レーザ光を出射する部分であり、レーザダイオード22と、レーザダイオードを駆動するレーザドライバ24と、レーザダイオード22に対応して設けられた光学レンズ28とを有する。
ここで周波数は、一定の初期周波数f0の初期変調信号に、後述する周波数f0+(m−1)・Δf(mは自然数)を含むシフト信号を加えた変調信号が順次レーザドライバ24に供給される。例えば、初期周波数f0=600MHzに対してΔf=1kHzである。
受光ユニット30は、図2(b)に示すように、測定対象物Tの表面で反射して到来したレーザ光の反射光を受光する部分で、レーザ光の光路の上流側から順に、バンドパスフィルタ31、光学レンズ32及び光電変換器38が配置されている。
光学レンズ32は、バンドパスフィルタ31を透過した透過光を光電変換器38に集光するために用いられる。
なお、上記デバイスは用いるレーザ光によって適するデバイスが異なり、例えば近赤外(800〜1200μm)のレーザ光にはアバランシェフォトダイオードが、可視帯域(400μm〜800μm)のレーザ光にはアバランシェフォトダイオード又は光電子倍増管が好適に用いられる。
具体的には、信号処理回路ユニット40は、方向性結合器41、可変増幅器42、増幅器43、方向性結合器44、SSB変調器45、バンドパスフィルタ46及びIQミキサ47を有する。
可変増幅器42は、初期周波数f0の初期変調信号とシフト信号とを加えた合成信号を所定の増幅率で増幅し、レーザ光出射ユニット20に供給する。増幅された合成信号は、レーザ光出射ユニット20にてレーザ光の強度を時間変調する変調信号として用いられる。なお、可変増幅器42を用いるのは、後述するようにバンドパスフィルタ46で規定される信号の通過可能な周波数範囲で、受光信号及びシフト信号が減衰することのないように、増幅率を調整するためである。
増幅器43は、受光ユニット30から供給された受光信号を増幅して方向性結合器44に供給する。
方向性結合器44は、受光信号を分離してIQミキサ47に供給するとともに、SSB変調器45に供給する高周波素子である。
SSB変調器45は、90度ハイブリッド45a、ミキサ45b,45c、90度位相器45d、180度ハイブリッド45eを有して構成される。
90度ハイブリッド45aは、受光信号の位相を0度及び90度に分離するハイブリッドリングを備える高周波素子であり、0度及び90度に分離された受光信号をミキサ45b,45cに供給する。一方、90度位相器45dは、第2発振器63から供給された周波数Δfの信号を位相0度及び90度に変えてミキサ45b,45cに供給する。
180度ハイブリッド45eは、受光信号の位相を0度及び180度に分離するハイブリッドリングを備える高周波素子であり、端子の一方からは、受光信号の位相情報を保持したまま、周波数Δf高周波側にシフトさせたUSB信号を出力し、他方の端子からは、受光信号の位相情報を保持したまま、周波数Δf低周波側にシフトさせたLSB信号を出力する。
SSB変調器45では、USB信号を出力してバンドパスフィルタ46に供給する。
信号処理回路ユニット40は、後述するように、レーザ光の測定対象物からの反射光が有する位相情報を保持したまま、周波数をΔfシフトさせたシフト信号を含む信号をレーザ光の変調信号として用いる一方、バンドパスフィルタ46は所定の周波数範囲のシフト信号のみを通過させる。このため、バンドパスフィルタ46から出力され、方向性結合器41に供給されるシフト信号の周波数成分は、バンドパスフィルタ46が規定する所定の周波数範囲の成分である。可変増幅器42は、信号処理回路ユニット40及びレーザ光の照射、反射及び受光の系における信号成分のエネルギの散逸に対して減衰せず、また増幅率を過大に設定して信号が発散することのないように適切に調整されて用いられる。このため、初期周波数f0の初期変調信号をレーザ光出射ユニット20に供給した時点から時間が経過して、バンドパスフィルタ46の規定する所定の周波数範囲内の周波数成分で満たされた安定したときの受光信号は、図4に示すように初期周波数f0〜fn-1(=f0+(n−1)・Δf)の周波数範囲内で振幅を有する信号となる。
第1発振器61は、初期周波数f0の信号を発振し、パワースプリッタ62にて信号を分離して方向性結合器41及びIQミキサ47に供給する。
第2発振器63は、受光ユニット30から供給された反射光の受光信号の周波数をΔfシフトさせるために、周波数Δfの信号を生成し、SSB変調器45に供給する。
制御処理回路ユニット50は、システム制御器51、ローパスフィルタ52、増幅器53及びA/D変換器54を有する。
ローパスフィルタ52は、信号処理回路ユニット40から出力された中間周波数信号(IF信号)と高次成分を含んだ信号をフィルタ処理して高次成分を除去し、時間変調されたレーザ光の位相情報を含んだ中間周波数信号とする部分である。中間周波数信号は、増幅器53で増幅された後、A/D変換器54で中間周波数デジタル信号とされ、コンピュータ14に供給される。A/D変換器54は、第2発信器63の発振する周波数Δfと同期したその整数倍のクロック周波数を用いてAD変換が成される。
コンピュータ14のCPUは、本体部12の各ユニットを駆動、制御する各種信号を制御処理回路ユニット50に作成するように指示し、またソフトウェアを実行することにより後述するデータ処理の演算を行う部分である。
図4に示すような周波数f0,f1,・・・,fn-1の周波数成分からなる中間周波数デジタル信号を用いて測定対象物Tのレーザ光照射領域の中心位置における距離を求める。
本体部12のレーザ光出射ユニット20のレーザダイオード22から測定対象物Tまでの光路と測定対象物Tの表面上の反射点からレンズ32に至るまでの光路との合計の距離lと強度変調したレーザ光の波長との関係から受光信号における位相ずれθm(m=0,1,2、・・・(n−1))は、測定対象物Tでの1回目の周波数f0,f0+Δf,f0+2・Δf,・・・,f0+(n−1)・Δfにおいて下記式(1)のように表される。
なお、具体的な数値として、f0=600MHz,Δf=1kHz,n=100が例示される。
なお、距離lはレーザダイオード22から測定対象物Tの表面上の反射点を経由して光学レンズ32までの距離であるが、この距離lを知れば十分である。光学レンズ32から光電変換器38の受光面までの光路の距離、さらにはIQミキサ47にいたる伝送線路の距離は一定で既知であるため、予め定められた補正式等を用いて正しい値に修正することができる。
装置10は以上のように構成される。
まず、制御処理回路ユニット50において、第1発振器61の発振周波数を初期周波数f0とするための周波数トリガ信号が生成され、この周波数トリガ信号に従って予め定められた発振周波数制御信号が生成され第1発振器61に供給される。一方、第2発振器63の発振についても、周波数トリガ信号に従って第2発振周波数制御信号が生成され、第2発振器63に供給される。
これにより、レーザ光出射ユニット20からは初期周波数f0で変調されたレーザ光が測定対象物Tに照射され、初期周波数f0の反射光が受光ユニット30で受光される。受光ユニット30で得られた反射光の受光信号は、初期周波数f0の初期変調信号に対して位相ずれを生じている。このような受光信号は、SSB変調器45において、この位相ずれを保持したまま、第2発振器63から供給された信号の周波数Δfだけ周波数がシフトしたシフト信号(USB信号)を生成し、バンドパスフィルタ46により許された周波数範囲内の信号成分のみが通過する。方向性結合器41では、SSB変調器45で生成されたシフト信号に初期変調信号が加算された合成信号が生成され、可変増幅器42を介して所定の増幅率で増幅された合成信号が変調信号としてレーザ光出射ユニット20に供給される。
このように上限の周波数f0+(n−1)・Δfの成分を含む安定した受光信号は、方向性結合器44から分離されて、IQミキサ47において初期変調信号とミキシングされ、制御処理回路ユニット50に供給される。
なお、装置10は、例えば生産ラインにおける高精度距離測定や形状測定の装置、あるいはフィールドにおける高精度測量の装置に好適に適用することができる。
なお、本発明では、レーザ光を測定対象物に照射するが、レーザ光に替えて超音波、又はマイクロ波やミリ波等の電磁波を用いることができる。
12 本体部
14 コンピュータ
20 レーザ光出射ユニット
22 レーザダイオード
24 レーザドライバ
28,32 光学レンズ
30 受光ユニット
31 バンドパスフィルタ
38 光電変換器
40 信号処理回路ユニット
41,44 方向性結合器
42 可変増幅器
43,53 増幅器
45 SSB変調器
46 バンドパスフィルタ
47 IQミキサ
50 制御処理回路ユニット
51 システム制御器
52 ローパスフィルタ
54 A/D変換器
61 第1発振器
62 パワースプリッタ
63 第2発振器
Claims (4)
- レーザ光を測定対象物に照射し測定対象物からの反射光を受光することにより測定対象物の位置情報を取得する位置情報取得装置であって、
レーザ光の光強度を所定の変調周波数で時間変調するための変調信号を生成する発振器と、
レーザ光を、変調信号に従って時間変調して測定対象物に照射するレーザ光出射手段と、
測定対象物で反射したレーザ光を受光して反射光の受光信号に変換する受光手段と、
前記受光信号の周波数を一定量一方向にシフトし、かつ、前記受光手段で得られた受光信号の前記変調信号に対する位相情報を、シフトした周波数において保持したシフト信号を生成し、このシフト信号と前記発振器で生成される前記所定の周波数の変調信号とを加えた合成信号を、レーザ光の変調信号として前記レーザ光出射手段に供給する信号処理手段と、
前記受光手段で得られた受光信号を、前記変調信号を用いて検波することにより、前記受光信号に含まれている周波数別の位相情報を得、この周波数別の位相情報から、測定対象物までの距離を求める位置情報算出手段と、を有し、
前記位置情報算出手段は、前記レーザ光出射手段によるレーザ光の出射、前記受光手段による反射光の受光、前記信号処理手段によるシフト信号の生成及び合成信号の前記レーザ光出射手段への供給の工程を複数回繰り返した後に得られる受光信号を用いて測定対象物までの距離を求めることを特徴とする位置情報取得装置。 - 前記信号処理手段は、前記シフト信号が所定の周波数範囲内に収まるように前記周波数範囲外の信号成分を除去し、前記周波数範囲内の信号成分を透過させるバンドパスフィルタを有する請求項1に記載の位置情報取得装置。
- 前記信号処理手段は、前記受光信号の周波数を一定量シフトさせるSSB変調器を有する請求項1又は2に記載の位置情報取得装置。
- 前記発振器の生成する変調信号の変調周波数をf0(Hz)とし、前記受光信号の周波数を一定量一方向にシフトするシフト量をΔf(Hz)とし、測定対象物までの距離をlとしたとき、前記位置情報算出手段で用いられる受光信号の、周波数{f0+(m−1)・Δf}(mは1以上の整数)における位相情報は2π・l/c×{m・f0 + m・(m−1)/2・Δf}(cは光速度)であり、
前記位置情報算出手段は、この位相情報を用いて距離lを算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
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