JP4698370B2 - 延性ストリップの、離型シートからの剥離方法およびそれに用いる装置 - Google Patents
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Description
この発明は、未加硫ゴム部材等の、伸び易く、破断し易い延性ストリップの、不測の延伸、破断等を防止するべく、それを離型シートで裏打ちして保管したり、取扱ったりする場合にあって、その延性ストリップを使用に供するに先だっての、延性ストリップの、離型シートからの剥離を、常に円滑かつ適正なものとする、延性ストリップの、離型シートからの剥離方法およびそれに用いる装置に関するものである。
延性ストリップの一例としての未加硫ゴム部材を、たとえば生タイヤの成型に用いる場合に、その未加硫ゴム部材を、所定の成型作業箇所へ送給するに先立って、それを裏打ちする離型シートから剥離させるための従来装置としては、図3に側面図で示すものがある。
これは、先端に向けて厚みを次第に減じた楔状部材31と、延性ストリップから一旦剥離させた離型シートの張力負担の下で、その延性ストリップを所要の位置まで移送する送給手段32、図では、駆動および被動プーリ33、34と、これらの両プーリ33、34に巻掛けたエンドレスベルト35とからなり、たとえば、エンドレスベルト35の搬送面を、楔状部材31の上面と同一の水平面内に位置させることができる送給手段との間で、離型シート36に、楔状部材31の先端から鋭角に折れ曲がって、延性ストリップ37の移送方向38から大きく離隔する走行経路を付与する一個のガイドロール39を配設するとともに、このガイドロール39と送給手段32との中間部に、離型シート36を巻掛けられて、それに繰出し張力を付与する駆動ロール40を、これもたとえば、エンドレスベルト35の搬送面にレベルを合わせて配設することによって構成したものである。
この剥離装置では、たとえば、延性ストリップ37と、それの粘着力に基づいてそこに裏打ちした離型シート36との積層体をロール状に巻回してなる巻回構体から、駆動ロール40が離型シート36に及ぼす繰出し張力に基づいて、その積層体を、延性ストリップ37に実質的に張力を付与することなく、楔状部材31上へ繰出させ、そこで、離型シート36を、その楔状部材31の先端位置から、ガイドロール39を経て迂曲走行させる一方、延性ストリップ37を、直線状に送給手段32に向かう移送方向38に沿わせて走行させることによって離型シート36をその延性ストリップ37から剥離させることができる。
そして、このようにして離型シート36から一旦剥離された延性ストリップ37はその後、送給手段32の作用の下で、搬送張力を支持する離型シート36上に載置されて、ここでもまた張力の実質的な作用なしに所定の成型作業箇所まで送給され、そこで剥離シート36から完全に分離されて、タイヤ成型ドラムの周面上等へ供給される。
ここで、所定の成型作業箇所における、離型シート36からの延性ストリップ37のこの分離は、送給手段32上では、延性ストリップ37は離型シート36上に載置させているにすぎず、その離型シート36には、ほとんどもしくは全く粘着していないことから、上述したところを繰返すまでもなく、その分離は常に円滑に、かつ確実に行なわれることになる。
しかるに、この従来装置による離型シート36のこの剥離は、延性ストリップ37に、離型シート36による、送給手段32上等での共連れ力以上の張力を作用させることなく、主には、離型シート36の走行方向を、楔状部材31の先端位置で、その延性ストリップ37の移送方向から大きく離隔させることに基づいて行なっているにすぎないことから、たとえば、延性ストリップ37と離型シート36との積層体がロール状に巻回させて保管等されていたものであって、巻回ロールの巻締め力の作用、保管環境の影響等によって、延性ストリップ37の、剥離シート36への粘着力が大きくなった場合には、従来装置をもって離型シート36を剥離させるに当って、図4に例示するように、離型シート36の円滑なる剥離がその粘着力の大きさに妨げられて、延性ストリップ37が離型シート36の迂曲走行経路内へ引き込まれることがしばしば生じ、これにより、延性ストリップ37に作用する張力が局部的に増加して、それの幅、厚み等の部分的な寸法変化が生じ易いという問題があり、甚だしくは、離型シート36の迂曲走行経路内へ引き込まれた延性ストリップ37がガイドロール38まで達し、そこで引張り破断されるおそれもあった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、未加硫ゴム部材等の延性ストリップの、離型シートに対する粘着力が大きくなってなお、延性ストリップに変形、破断等を生じさせることなく、離型シートから常に円滑に、かつ適正に剥離させることができる、延性ストリップの、離型シートからの剥離方法およびそれに用いる装置を提供するにある。
この発明に係る、延性ストリップの、離型シートからの剥離方法は、離型シートで裏打ちされた延性ストリップを、それの粘着力に坑して剥離シートから剥離させて移送するに当って、楔状部材の先端で、離型シートを、たとえば鋭角状に折曲させて、延性ストリップの移送方向から離隔させて走行させるとともに、楔状部材の前方側部分で、延性ストリップに、離型シートからの剥離方向の力および、それの移送方向の力のそれぞれを、その延性ストリップに対する回転ロールのスリップ下で作用させて、延性ストリップを、それの延伸なしに離型シートから剥離させるにある。
ここで、延性ストリップにつき「延伸なし」とは、全く延伸されない場合の他、長さに関して±5%の範囲内で延伸される場合も含むものとする。
ここで、延性ストリップにつき「延伸なし」とは、全く延伸されない場合の他、長さに関して±5%の範囲内で延伸される場合も含むものとする。
この場合好ましくは、回転ロールの周速を、延性ストリップの移送速度の2〜8倍の範囲とする。
そしてまた好ましくは、延性ストリップの移送の停止に対して、回転ロールの停止のタイミングを、たとえば0.5秒程度遅らせる。
そしてまた好ましくは、延性ストリップの移送の停止に対して、回転ロールの停止のタイミングを、たとえば0.5秒程度遅らせる。
そして、この発明に係る、延性ストリップの、離型シートからの剥離装置は、離型シートで裏打ちされた延性ストリップを、先端側に向けて次第に薄肉としてなる楔状部材と、延性ストリップの送給手段との間で、その延性ストリップの粘着力に抗して離型シートから剥離させるものであって、離型シートを、楔状部材の先端位置で、たとえば鋭角状に折曲させて延性ストリップの移送方向から離隔させるとともに、前記送給手段に至るまで迂曲させて走行させる一個以上、好ましくは二個以上のガイドロールを設け、また、楔状部材の前方側部分に、延性ストリップの移送速度より高速で回転されて、延性ストリップに、離型シートからの剥離方向および、それの移送方向の力のそれぞれを付与するブラシロールを設けてなるものである。
ここでブラシロールはたとえば、ナイロン繊維、植物繊維等を、2〜4mmφの束として、15〜25mm程度の突出長さで、円周方向に5〜7mmの、そして軸線方向に7〜9mmのそれぞれのピッチで植付けることにより構成してなる。
かかる装置において好ましくは、ブラシロールの配設位置を、楔状部材の先端位置に対し、延性ストリップの移送経路を、離型シートの走行経路とは反対側に凸とする位置とすする。
この発明に係る方法では、延性ストリップを、その粘着力に抗して離型シートから剥離させるに際し、その離型シートを、楔状部材の先端位置で、延性ストリップの移送方向から大きく離隔させて走行させるだけではなしに、楔状部材の先端側部分で回転ロールを延性ストリップに対してストリップさせて回転させることによって、その延性ストリップ自体に、離型シートからの剥離方向の力および、それの移送方向の力をそれぞれ直接的に作用させることにより、延性ストリップの離型シートに対する粘着力が大きい場合にあっても、延性ストリップの所期したとおりの剥離を、それの延伸なしに、常に円滑にかつ適正に行なうことができる。
ここで、延性ストリップを延伸させることなく、それに、所要の方向の力を適正に作用させるための回転ロールの最適周速は、延性ストリップの物性、寸法その他と、回転ロールそれ自体の物性および、延性ストリップに対する摩擦力等との関連において変化することになるも、延性ストリップを未加硫ゴム部材とし、回転ロールを、前述したようなブラシロールとしたときは、通常はその周速を、延性ストリップの移送速度の2〜8倍の範囲内で選択することで、その延性ストリップの円滑にして適正な剥離を実現することができる。
ところで、延性ストリップを以上のようにして剥離させる場合において、その延性ストリップの、所定の箇所への供給等を停止するに当って、回転ロールの停止のタイミングを、延性ストリップの移送の停止に対して幾分遅らせたときは、その移送の停止に伴って、延性ストリップに、従来技術で述べたような、離型シートの迂曲走行経路内への引き込みが仮りに発生することがあったとしても、その引き込みを、回転ロールのその後の継続回転をもって有効に解消することができる。
そしてこの発明に係る装置では、一個以上のガイドロールによって、離型シートの、楔状部材の先端位置からの迂曲走行を案内する一方で、ブラシロールを、延性ストリップに対してスリップさせて回転させて、その延性ストリップに、離型シートから剥離する方向の力およびそれの移送方向の力のそれぞれを付与することで、先に述べた、この発明に係る方法を、簡易にかつ確実に実施することができる。
かかる装置において、ガイドロールを二個以上配設したときは、離型シートの迂曲走行形態を、所要に応じて容易に選択することができる他、その離型シートの、ブラシロールとの干渉のおそれを、離型シートの迂曲走行経路の長短にかかわらず、簡単に除去することができる。
またこの装置において、ブラシロールの配設位置を、延性ストリップの移送経路を、離型シートの迂曲走行経路とは反対側に凸となる位置とした場合には、ストリップ移送経路の凸量を選択することで、延性ストリップに伸長変形等を発生させることなく、その延性ストリップに、離型シートからの剥離方向の所要の力を簡単に、また容易に付与することができる。
図1は、この発明に係る剥離装置の実施形態を示す略線側面図であり、図中1は、先端側に向けて次第に薄肉となる、従来装置で述べたと同様の楔状部材を、そして2は、離型シートから剥離させた延性ストリップを所要箇所まで移送する、これも従来技術で述べたと同様の送給手段をそれぞれ示す。
ここでこの送給手段2は、駆動プーリ3および駆動プーリ4と、それらプーリ3、4に巻掛けて、搬送面を、楔状部材1の上面と同一の水平面内に位置させたエンドレスベルト5とで構成してなる。
なおこの送給手段2は、先にも述べたように、直接的には離型シートを、目的とする箇所まで移送することで、結果として、その離型シート上に載置した延性ストリップを、そこへの張力の実質的な作用なしに、目的箇所まで移送することができる。
ところで、目的箇所まで移送された延性ストリップは、たとえば、それの弛み部分、いいかえれば、フェスツーンを経て使用に供することができ、一方、離型シートはロール状に巻き取ることで、再度の使用に供することができる。
ところで、目的箇所まで移送された延性ストリップは、たとえば、それの弛み部分、いいかえれば、フェスツーンを経て使用に供することができ、一方、離型シートはロール状に巻き取ることで、再度の使用に供することができる。
そして、この図に示すところでは、以上のような楔状部材1と供給手段2との間に離型シート6を、楔状部材1の先端位置から鋭角状に折り曲げて、延性ストリップ7の移送方向8から大きく離隔させるガイドロール9および、その離型シート6を、送給手段2に至るまで延性ストリップ7から隔絶させて迂曲走行させる他のガイドロール10のそれぞれ設けるとともに、楔状部材1の前方側部分に、延性ストリップ7の移送速度より2〜8倍、たとえば約6倍高速で回転されて、その延性ストリップ7に対してスリップして、延性ストリップ7に、離型シート6から剥離する方向の、図では上向きの力、および、それの移送方向の力のそれぞれを付与するブラシロール11を回転駆動手段に連結して配設することによって所要の剥離装置を構成する。
ここで、延性ストリップ7の、離型シート6から剥離する方向の力は、ブラシロール11の配設位置を、図示のように、楔状部材1の先端位置に対し、延性ストリップ7の移送経路が、離型シート6の迂曲走行経路とは反対側へ凸となるように選択することによって付与することができ、この場合の凸量は、延性ストリップ7に作用する張力によってそれが伸長変形しない範囲内で特定することが必要となる。
なお、このことは、ブラシロール11の回転周速についてもまた同様であり、延性ストリップ7に、それの移送方向の力を付与して、その延性ストリップ7の、離型シート6の迂曲走行経路側への引き込みを阻止するためのブラシロール回転周速も、ブラシロール11の摩擦力によって延性ストリップ7に作用する張力が、それの伸長変形を生じない範囲内で特定することが必要になる。
以上のように構成してなる剥離装置において、ブラシロール11の駆動モータは、たとえば、空気圧の供給の停止後の、慣性力等によって幾分の間回転を継続するエアモータとすること、または、遅延手段、タイヤ等の作用下で、駆動プーリ3が停止されてなお、わずかな時間回転を継続する電動モータ等とすることが延性ストリップ7の移送の停止時、もしくは停止後の、その延性ストリップ7の、離型シート6側への引き込み状態を十分に取り除く上で好ましい。
かかる剥離装置により、離型シート6で裏打ちされた延性ストリップ7を、それの粘着力に抗して離型シート6から剥離させて移送するに当っては、それぞれのガイドロール9、10の作用下で、離型シート6を、楔状部材1の先端位置で、鋭角状に折曲させて、延性ストリップ7の移送方向8に対して大きく離隔させるとともに、迂曲させて走行させ、また、所要の高さ位置に配設したブラシロール11の、延性ストリップ7に対するスリップ回転によって、その延性ストリップ7に、離型シート6からの剥離方向の力および、それの移送方向の力のそれぞれを作用させる。
これによれば、離型シート6に、延性ストリップ7から離隔する方向の力が作用することに加え、楔状部材1への先端に近接させて配設した、ブラシロール11のスリップ回転作動に基づいて、延性ストリップそれ自体に、剥離方向および移送方向のそれぞれの力が作用することから、延性ストリップ7の、離型シート6への粘着力が大きくなってなお、その延性ストリップ7の、離型シート6の迂曲走行経路側への引き込みを十分に防止して、延性ストリップ7を、離型シート6から常に円滑にかつ適正に剥離させることができる。
そして、このようにして離型シート6から剥離された延性ストリップ7はその後、送給手段2のエンドレスベルト5上へ、離型シート6を介して載置され、その送給手段2により、離型シート6による張力負担の下で、目的とする箇所まで移送される。
ところで、延性ストリップ7の上述したような剥離作業において、その延性ストリップ7の、離型シート6へ粘着力の変動等に起因して、仮りに、延性ストリップ7が、図2に示すように、離型シート6側へわずかに引き込まれることがあっても、この状態は、ブラシロール11の高速回転に基いて、延性ストリップ7に伸長変形等を生じさせることなく速やかに解消されることになる。
なお、図2に示すような、延性ストリップ7の引き込み状態は、送給手段2およびブラシロール11の作動を停止して、延性ストリップ7の移送を停止する場合にもまた発生するおそれがあるが、かかるおそれに対しては、前述したように、送給手段2の停止に対し、ブラシロール11の停止に時間遅れを付与し、これにより、発生した引き込みの取り除きを可能とすることで十分に対処することができる。
1 楔状部材
2 送給手段
3 駆動プーリ
4 被動プーリ
5 エンドレスベルト
6 離型シート
7 延性ストリップ
8 移送方向
9,10 ガイドロール
11 ブラシロール
2 送給手段
3 駆動プーリ
4 被動プーリ
5 エンドレスベルト
6 離型シート
7 延性ストリップ
8 移送方向
9,10 ガイドロール
11 ブラシロール
Claims (6)
- 離型シートで裏打ちされた延性ストリップを、それの粘着力に抗して離型シートから剥離させて移送するに当り、
楔状部材の先端で、離型シートを、延性ストリップの移送方向から離隔させて走行させるとともに、楔状部材の前方側部分で、延性ストリップに、離型シートからの剥離方向の力および、それの移送方向の力のそれぞれを、その延性ストリップに対する回転ロールのスリップ下で作用させて、延性ストリップを、それの延伸なしに、離型シートから剥離させる、延性ストリップの、離型シートからの剥離方法。 - 回転ロールの周速を、延性ストリップの移送速度の2〜8倍の範囲とする請求項1に記載の離型シートからの剥離方法。
- 延性ストリップの移送の停止に対して、回転ロールの停止のタイミングを遅らせる請求項1もしくは2に記載の離型シートからの剥離方法。
- 離型シートで裏打ちされた延性ストリップを、先端側に向けて次第に薄肉となる楔状部材と、延性ストリップの送給手段との間で、その延性ストリップの粘着力に抗して離型シートから剥離させる装置であって、
離型シートを、楔状部材の先端位置で、延性ストリップの移送方向から離隔させるとともに、前記送給手段に至るまで迂曲させて走行させる一個以上のガイドロールを設け、前記楔状部材の前方側部分に、延性ストリップの移送速度より高速で回転させて延性ストリップに、離型シートからの剥離方向の力および、それの移送方向の力のそれぞれを付与するブラシロールを設けてなる、延性ストリップの、離型シートからの剥離装置。 - ブラシロールの配設位置を、楔状部材の先端位置に対し、延性ストリップの移送経路を、離型シートの走行経路とは反対側に凸とする位置としてなる請求項4に記載の離型シートからの剥離装置。
- ガイドロールを二個以上配設してなる請求項4もしくは5に記載の離型シートからの剥離装置。
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Citations (3)
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JPH0850290A (ja) * | 1994-08-05 | 1996-02-20 | Casio Comput Co Ltd | 偏光板の貼付方法およびその装置 |
JP2004520193A (ja) * | 2000-12-29 | 2004-07-08 | ピレリ・プネウマティチ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ | 空気タイヤを製造するための方法および装置 |
JP2005111749A (ja) * | 2003-10-06 | 2005-04-28 | Bridgestone Corp | ゴム部材貼付け装置およびそれを用いたタイヤ構成部材の形成方法 |
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2005
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