JP4698368B2 - 筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4698368B2
JP4698368B2 JP2005288578A JP2005288578A JP4698368B2 JP 4698368 B2 JP4698368 B2 JP 4698368B2 JP 2005288578 A JP2005288578 A JP 2005288578A JP 2005288578 A JP2005288578 A JP 2005288578A JP 4698368 B2 JP4698368 B2 JP 4698368B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
valve
supply path
end opening
variable pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005288578A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007100537A (ja
Inventor
美博 高田
智夫 塩崎
義英 難波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2005288578A priority Critical patent/JP4698368B2/ja
Publication of JP2007100537A publication Critical patent/JP2007100537A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4698368B2 publication Critical patent/JP4698368B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Description

本発明は、燃焼室に燃料を直接噴射して供給する筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置に関する。
このような筒内直噴型内燃機関として、例えばディーゼルエンジンがある。ディーゼルエンジンでは、燃焼室に供給された燃料の圧縮自着火により燃焼が行われており、燃料を燃焼室に直接噴射して供給するための燃料噴射装置が設けられる。一般に、燃料噴射装置に燃料を圧送する燃料ポンプは、クランクシャフトの回転を利用して駆動される。
ところで、エンジンが高回転のときには、燃料の噴射期間が短いことが好ましく、燃料噴射装置から噴射される燃料の噴射圧を高圧にすることで燃焼性能の向上が図られる。一方、エンジンがアイドルに近い状態において高回転時と同様にして燃料を噴射すると、適切な噴射期間が確保されず、燃焼騒音の悪化を招いていた。また、燃料噴射装置に備えられる噴射用のバルブの開弁圧が高圧に設定されていると、閉弁時に発生するバルブ作動音が大きくなる。このため、常時高圧の噴射圧で噴射する形態であると、アイドルに近い状態では騒音の原因になるという問題があった。これらの問題への対策として、噴射圧を2段階で調整できる燃料噴射装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
この形態の燃料噴射装置は、2段スプリング式とも称され、低圧の開弁圧を設定する第1スプリングと、高圧の開弁圧を設定する第2スプリングとにより付勢され、これらスプリングの付勢力に抗してリフトすることにより供給路を開放するニードルバルブを備えている。
特開平5−44589号公報
しかしながら、従来の2段スプリング式の燃料噴射装置によると、アイドルに近い状態において発生していた問題の解消が図られる一方、高圧の噴射圧で燃料を供給するときには、第1スプリングの付勢力に抗してニードルバルブをリフトさせ、さらに第2スプリングの付勢力に抗してリフトさせることにより、供給路が開放されるようになっている。したがって、低回転高負荷のような低い送油率でかつ多くの燃料を供給しなければいけないときには、必要な燃料を供給するために必要以上の時間がかかり、適切な燃料噴射期間に燃料が噴射されないという課題があった。
このような課題に鑑み、本発明は、燃料噴射圧を段階的に調整可能な筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置において、作動性を向上させ、内燃機関の性能の向上が図られた筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明に係る筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置は、燃料ポンプから圧送された燃料を燃焼室に直接噴射して供給するものであり、燃料噴射装置を、内部に燃料通路が形成されて燃焼室に臨ませた燃料通路の開口から燃料を所定の噴射圧で噴射するインジェクタと、燃料ポンプとインジェクタとの間に設けられた切替弁とから構成している。そして、切替弁を、内部に両端が開口する燃料通過空間が形成され、燃料通過空間の一端開口に燃料ポンプからの燃料通路が接続され、燃料通過空間の他端開口にインジェクタの燃料通路が接続されるハウジングと、燃料通過空間内における一端開口側に摺動自在に収容され、それぞれ一端開口側から他端開口側に連通する一端側第1供給路および一端側第2供給路が形成された第1変圧バルブと、第1変圧バルブ体の他端開口側に隣接して位置して燃料通過空間内に摺動自在に収容され、それぞれ一端開口側から他端開口側に連通する他端側第1供給路および他端側第2供給路が形成された第2変圧バルブ体と、第1変圧バルブを他端開口側に付勢する第1付勢手段と、第2変圧バルブを一端開口側に付勢する第2付勢手段とから構成しており、第2付勢手段による付勢力を第1付勢手段による付勢力より大きく設定し、一端側第1供給路と他端側第1供給路とにより一端開口から他端開口に常時開放された第1供給路が形成されるとともに、一端側第2供給路と他端側第2供給路とにより一端開口から他端開口に連通した第2供給路が形成され、一端側第1供給路の少なくとも一部分が、他端側第1供給路の径よりも細い径で形成され、第2変圧バルブの他端開口側に、ハウジングの内部に形成された着座面に当接して他端側第2供給路を閉塞する開閉弁部を形成している。さらに、第2変圧バルブを、常には、第2付勢手段による付勢力を受けて開閉弁部が着座面に当接した着座位置に保持させ、第1変圧バルブ体を介して作用する第1付勢手段による付勢力と一端開口から燃料通過空間に供給された供給燃料の供給圧に応じて第2変圧バルブに作用する他端開口側への押圧力との合力が第2付勢手段による付勢力を上回るときには、第2付勢手段による付勢力に抗して他端開口側に摺動させ、開閉弁部を着座面から離間させて第2供給路を開放させるように構成している。
また、本発明に関係しない参考例としての筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置は、燃料ポンプから圧送された燃料を燃焼室に直接噴射して供給するものであり、燃料噴射装置を、内部に燃料通路が形成されて燃焼室に臨ませた燃料通路の開口から燃料を所定の噴射圧で噴射するインジェクタと、燃料ポンプとインジェクタとの間に設けられた切替弁とから構成している。そして、切替弁を、内部に両端が開口する燃料通過空間が形成され、燃料通過空間の一端開口に燃料ポンプからの燃料通路が接続され、燃料通過空間の他端開口にインジェクタの燃料通路が接続されるハウジングと、燃料通過空間内に摺動自在に収容され、第1連通孔および第2連通孔が形成された第1変圧バルブ体と、燃料通過空間内に摺動自在に収容され、常には一端開口側から第1変圧バルブ体に当接し、第1連通孔と連通する第1連通路、および、第2連通孔と連通する第2連通路が形成された第2変圧バルブ体と、第1変圧バルブ体を一端開口側に付勢する第1の付勢手段と、第2変圧バルブ体を他端開口側に付勢する第2の付勢手段とから構成している。さらに、第2変圧バルブ体の一端開口側に、ハウジングの内部に形成された着座面に当接して第2連通孔の一端開口側を閉塞し、一端開口側から第2連通孔への燃料の流入を阻止する一方向弁部を形成しており、第1連通孔の少なくとも一部分を、第1連通路の径よりも細い径で形成している。
このように構成される本発明に係る筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置によると、燃料噴射装置を構成する切替弁が、ハウジング内部の燃料通過空間に変圧バルブを摺動自在に収容している。変圧バルブには第1および第2供給路が形成されており、第2付勢手段による付勢を受けて常には変圧バルブが開閉弁部をハウジングの着座面に着座させており、第2供給路が開閉弁部により閉塞されている。このため、アイドルに近い状態など、燃料ポンプからの燃料供給量が少ないときには、変圧バルブを着座させた着座位置に保持して移動させることなく、第1供給路を通過させて燃料を他端開口側に流出させ、インジェクタが設定する所定の噴射圧と同等の噴射圧で燃料を噴射させることができる。一方、高回転時など、燃料供給量が多くなると、変圧バルブに作用する押圧力が大きくなり、第2付勢手段の付勢力に抗して変圧バルブが移動し、開閉弁部が着座面から離間して第2供給路が開放される。これにより、第1および第2供給路を通過させて他端開口から流出させることができ、第1供給路のみで燃料を通過させたときよりも高圧の燃料をインジェクタに供給することができる。
このように本構成によれば、2段階の供給圧で燃料を噴射することができる。また、高圧の供給圧で燃料を供給するときには、着座位置に保持された状態から変圧バルブを移動させるだけでよく、変圧バルブの移動量を少なくして高圧の燃料を供給することができる。したがって、変圧バルブの作動時間を短縮し、適正な噴射期間に燃料を供給させることができる。また、このままではインジェクタの圧力波が短い距離で反射するため、第1供給路を通過させて逃がすことができる。
また、変圧バルブを第1および第2の変圧バルブ体から構成し、一端開口側に位置する第1変圧バルブ体の第1供給路の一部分を第2変圧バルブ体の第1供給路の径よりも小さな径で形成すると、圧力波が大きい場合、第1供給路に流入して第1変圧バルブ体に達した反射波は、全量が小径部分を通過することができず一端開口側に向けて第1変圧バルブ体を押圧する。第1変圧バルブ体が第1付勢手段による付勢力に抗して押圧されると、第2変圧バルブ体は開閉弁部が着座面に着座して着座位置に保持されていることから、両変圧バルブ体が離間して反射波が第1変圧バルブ体の第2供給路に流れる。したがって、反射波を第1および第2供給路を通過させて一端開口側に逃がすことができる。このように、燃料の通路断面積を増加させることができるため、圧力波が大きいときでもスムーズに一端開口側に逃がすことができる。
さらに、本発明に関係しない参考例としての筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置においては、燃料噴射装置を構成する切替弁が、ハウジング内部の燃料通過空間に第1変圧バルブ体および第2変圧バルブ体を摺動自在に収容しており、両変圧バルブ体には、第1連通孔および第1連通路と、第2連通孔および第2連通路とがそれぞれ連通して形成されている。また、第1付勢手段による付勢を受けて常には一方向弁部により第2連通孔が閉塞され、第1変圧バルブ体は一方向弁部をハウジングに形成された着座面に当接させて保持される。さらに、第2変圧バルブ体の第1連通路の径は、第1変圧バルブ体の第1連通孔よりも小径になっている。
このため、アイドルに近い状態など、燃料ポンプからの燃料供給量が少ないときには、第1および第2変圧バルブ体を移動させることなく、燃料が第1連通路を通過して他端開口に供給される。また、燃料供給量が多くなると、第1連通路の小径部分を供給燃料の全量が通過できなくなり、第1変圧バルブ体が他端開口側に押圧される。第1変圧バルブ体が第1付勢手段の付勢力に抗して移動すると、第1変圧バルブ体は一方向弁を着座させて保持されていることから、両変圧バルブ体が離間して燃料が第2連通孔に流れる。第2連通孔を流れる燃料は第1付勢手段の付勢力により設定された所定の高圧の供給圧となる。このように、低圧の供給圧を供給するときに対し、高圧の供給圧を供給するときには、第1変圧バルブ体を摺動させるだけでよく、作動量を小さくして高圧の供給圧を供給することができる。したがって、作動時間を短縮して適切な噴射期間で燃料を噴射させることができる。
また、インジェクタからの圧力波が生じたときにおいては、反射波が第1連通孔および第1連通路に流入し、一端開口側に逃がすことができる。圧力波が大きいときには、小径部分を通過できな反射波が第2供給路に流入し、一方向弁部を開弁させて第2供給路が開放される。このようにして、圧力波が大きいときでも反射波を一端開口側にスムーズに逃がすことができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、図中の矢印Uの方向を上方とする。図1には、本発明に係る筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置を備えたエンジンEの断面図を示している。このエンジンEは、ディーゼルエンジンであり、シリンダヘッド1と、シリンダブロック2と、クランクケース3とから構成されている。これら各部材1〜3が上下に結合されるとともに上部をヘッドカバー1aで覆うことにより、エンジンEのハウジングHが形成される。
シリンダブロック2は内部にシリンダ室2aが形成されており、このシリンダ室2aにピストン4が摺動自在に配設されている。クランクケース3は、左右のケース半体3R,3Lを接合して一体化され、内部にクランク室3aが形成される。クランク室3aには、ベアリング6,6が設けられており、クランクシャフト5がこのベアリング6,6に回転自在に支持された状態で収容されている。クランクシャフト5は、左右のシャフト部5a,5bがクランクピン5cにより結合されて一体化されている。ピストン4およびクランクシャフト5はコンロッド7を介して連結されており、ピストン4の往復動とクランクシャフト5の回転とが連動するようになっている。なお、コンロッド7はクランクピン5cに枢結されている。クランクシャフト5には、ACジェネレータ8が取り付けられている。クランクシャフト5が回転すると、ACジェネレータ8が駆動されて発電し、電気系に電力が供給される。
シリンダヘッド1は、シリンダブロック2の上部に結合されており、ピストン4の上面、シリンダ室2aの内周面およびシリンダヘッド1の内壁面により囲まれて燃焼室10が形成されている。また、燃焼室10はシリンダヘッド1により形成される副燃焼室10aが連通される。シリンダヘッド1には、燃料噴射装置40が取り付けられており、燃料噴射装置40により、燃料ポンプ30から圧送された燃料が所定のタイミングで燃焼室10に噴射される。噴射された燃料は、吸気と混合されてピストン7の上動により圧縮され、自着火燃焼する。
エンジンEの燃料系は、燃料ポンプ30と、燃料噴射装置40と、燃料ポンプ30および燃料噴射装置40を接続する燃料通路配管45を備えて構成される。
燃料ポンプ30は、内部に通路が形成されたハウジング35と、ハウジング35の内部通路を上下摺動自在に配設されて常にはポンプスプリング36aにより下方(クランクシャフト5側)に付勢されたプランジャ36とから構成され、右クランクケース3Rに結合されたポンプケース9の外方に固定されている。クランクシャフト5の右シャフト部5bには、ポンプ駆動カム37が一体に成形されており、このポンプ駆動カム37がポンプスプリング36aの一端を保持するタペット36bに当接している。これにより、クランクシャフト5の回転に伴ってプランジャ36が上下動する。プランジャ36が下動すると、図示しない燃料タンクからハウジング35の内部通路に燃料が供給され、プランジャ36が上動すると、ハウジング35内の燃料がハウジング35に取り付けられた燃料通路配管45に排出される。
図2に示すように、燃料噴射装置40は、インジェクタ50と、油圧切替弁60とを結合して構成される。インジェクタ50および油圧切替弁60は、インジェクタ50の上端部に形成された雄ねじ部51aと、油圧切替弁60の下端部に形成された雌ねじ部72eとの螺合により、上下に結合される。
インジェクタ50は、インジェクタ本体51と、下部ハウジング52と、ニードル弁55とからなる。インジェクタ本体51の上端部には雄ねじ部51aが形成されている。また、雄ねじ部51aの上端面から下方に延びる燃料供給路51bが形成されており、インジェクタ本体51の下端部において内部に形成された燃料溜まり51cに連通している。またインジェクタ本体51の下端には燃料溜まり51cと外部とを連通する燃料噴射孔51dが形成されている。
ニードル弁55は、インジェクタ本体51の下方内部に上下に延びて形成されたニードル弁収容部51eに上下移動自在に配設されたプランジャ56と、プランジャ56の着座部56aとニードル弁収容部51eの上端壁面51fとの間に跨設されて常にはプランジャ56の着座部56aを上方に臨む着座面51gに着座させるニードルスプリング57とを有して構成され、プランジャ56が着座面51gに着座した状態では、プランジャ56の下端部56bが燃料噴射孔51dを閉塞するようになっている。
このようなインジェクタ50は、燃料供給路51bに燃料が供給され、燃料溜まり51cに蓄えられた燃料の圧力が所定値を超えると、ニードルスプリング57の付勢力に抗してプランジャ56が上動して燃路噴射孔51dが開放される。すなわち、ニードル弁55が開弁した状態となり、燃料噴射孔51dから所定値以上の噴射圧で燃料が噴射される。ニードル弁55の開弁圧は、ニードルスプリング57の付勢力に応じて適宜設定され、本構成例ではエンジンEがアイドルに近い状態において適切な燃料噴射圧となるように設定されている(例えば、10MPa)。
図3に示すように、油圧切替弁60は、外殻を形成するバルブハウジング70と、バルブハウジング70の内部に設けられたバルブ保持部材75と、バルブ保持部材75により保持される第1変圧バルブ80および第2変圧バルブ90と、バルブハウジング70の内部に設けられて両変圧バルブ80,90をそれぞれ所定の方向に付勢する第1スプリング100および第2スプリング105とから構成される。
バルブハウジング70は、第1ハウジング71と第2ハウジング72とを結合し、内部にバルブ保持部材75を収容して構成される。両ハウジング71,72は、第1ハウジング71の下端部に形成された雌ねじ部71aと、第2ハウジング12の上端部に形成された雄ねじ部72aとの螺合により結合される。
第1ハウジング71は、下端部に形成された雌ねじ部(雄ねじ収容部)71aから上方に向けて円筒状の収容溝71bが凹設されている。また、収容溝71bの上端面の中心部から第1ハウジング71bの内部を上方に延びる長孔71cが形成されている。また、第1ハウジング71の上端部には雄ねじ部71eが形成されており、この雄ねじ部71dの上壁部の中心部に、上下に貫通して長孔71cに連通する油流入孔71dが形成されている。第1ハウジング71は、内部で油流入孔71dと、長孔71cと、収容溝71bとが連通され、上下方向に貫通されている。
第2ハウジング72は、上端部に形成された雄ねじ部72aに下方に向けて円筒状の収容溝72bが凹設されている。さらに、この収容溝72bの下面中心部から下方に延びて収容溝72bより小径の長孔72cが形成されている。この長孔72cの下壁部の中心部には、上下に貫通して長孔72cよりも小径の油流出孔72dが形成されている。第2ハウジング72は、内部で収容溝72bと、長孔72cと、油流出孔72dとが連通され、上下方向に貫通されている。
このように成形される両ハウジング71,72が組み付けられると、両ハウジング71,72の収容溝71b,72bが上下に連通し、上方に第1ハウジングの長孔71cが連通して下方に第2ハウジング72の長孔72cが連通する。
バルブ保持部材75は、第1ハウジング71の収容溝71bの深さと同じ高さを有するとともに収容溝71bと同径の円筒状に成形された上部円筒部75aと、第2ハウジング72の収容溝72bの深さと同じ高さを有するとともに収容溝72bと同径の円筒状に成形された下部円筒部75bとからなり、両円筒部75a,75bの中心部を上下に貫通してバルブ収容空間75cが形成されている。上部円筒部75aは第1ハウジング71の収容溝71b内に嵌着され、下部円筒部75bは第2ハウジング72の収容溝72b内に嵌着される。上部円筒部75aの上下両面にはシール部材76,76が設けられる。上面に設けられたシール部材76により第1ハウジング71とバルブ保持部材75とが密着され、下面に設けられたシール部材76により第2ハウジング72とバルブ保持部材75とが密着される。
これにより、ハウジング70の内部に、油流入孔71dからバルブ収容空間75cを介して油流出孔72cに向けて、上下方向に延びる燃料通過空間70aが形成される。両変圧バルブ80,90はそれぞれ、この燃料通過空間70aにおいてバルブ収容空間75cの内部に収容されており、バルブ収容空間75cを上下に摺動自在になっている。
第1変圧バルブ80は、外径がバルブ収容空間75cの内径にほぼ等しい円筒状に形成された本体部81と、外径が本体部81の外径よりも小さい円筒状に形成されて本体部81の上端面から上方に延びる突設部82とからなる。本体部81および突設部82は一体になっている。突設部82には、所定径の突設部中心孔82aが中心部を上下に貫通して形成されている。本体部81には、突設部中心孔82aよりも径の大きい本体部中心孔81aが中心部を上下に延びて形成され、突設部中心孔82aと連通されている。これにより、上下に延びる一体の中心連通孔80aが形成される(図5参照)。
また、本体部81は、外側面の一部が内方に向けて平断面視略半円状にえぐられており、外側面を上下に延びる切欠部81bが形成されている。本体部81にはこのような切欠部81bが4つ形成されている。4つの切欠部81bは、本体部の周方向に等間隔をおいて形成されている。第1変圧バルブ80がバルブ収容空間75cに収容されると、切欠部81bの形成面およびバルブ収容空間75cの内周面とにより囲まれた4つの外縁連通孔80b,80b,…が上下に延びて形成される(図5参照)。
第2変圧バルブ90は、外径がバルブ収容空間75cの内径にほぼ等しい円筒状に形成された本体部91と、外径が本体部91の外径よりも小さい円筒状に形成されて本体部91の下端面から下方に延びる括れ部92と、括れ部92の下端に設けられて括れ部92の下端から下方に向かうに従って拡開する円錐状に形成された円錐部93とからなる。本体部91、括れ部92および円錐部93は一体になっている。
第2変圧バルブ90は、本体部91および括れ部92がバルブ収容空間75cに収容され、円錐部93はバルブ収容空間75cに上端部のみが収容され、円錐面93aをバルブ収容空間75cの下端開口に当接させる。バルブ収容部材75は、バルブ収容空間75cの下端開口部が面取りされており、円錐部93の円錐面93aと勾配が等しいテーパ面75dが形成されている。円錐部93は、円錐面93aがこのテーパ面75dと当接することにより、バルブ収容部材75に対して面接触するようになっている。
また、第2変圧バルブ90には、一体の本体部91、括れ部92および円錐部93の中心を上下に貫通して、第1変圧バルブ80の本体部中心孔81aと同径の中心連通路90aが形成されている。また、本体部91の外側面の一部が内方に向けて平断面視半円状にえぐられており、外側面を上下に延びる切欠部91bが本体部の周方向に等間隔をおいて4つ形成されている。第2変圧バルブ90がバルブ収容空間75cに収容されると、切欠部91bの形成面とバルブ収容空間75cの内周面とにより囲まれた4つの外縁連通路90b,90b,…が上下に延びて形成される(図6参照)。
第2変圧バルブ90は、本体部91がバルブ収容空間75cの内周面に摺接される。このため、第2変圧バルブ90がバルブ収容空間75cに収容されると、括れ部92の外周面と、円錐部93の円錐面93aと、バルブ収容空間75cの内周面とにより囲まれた燃料溜め空間94が形成される。4つの外縁連通路90b,90b,…は下端がこの燃料溜め空間94に開口し、円錐部93の円錐面93aにより下部が閉塞される。
第1スプリング100は、第1ハウジング71の長孔71cの上壁面と第1変圧バルブ80の本体部81の上端面との間に跨設されており、第1変圧バルブ81を下方に向けて付勢する。第2スプリング105は、第2ハウジング72の長孔72cの下壁面と第2変圧バルブ90の下端面との間に跨設されており、第2変圧バルブ90を上方に向けて付勢する。なお、第2スプリング105の付勢力は、第1スプリング100の付勢力よりも大きく設定されている。
第2変圧バルブ90は、第2スプリング105による付勢により、常には円錐面93aをバルブ保持部材75のテーパ面75dに着座させた状態とされる。これにより、通常時における第2変圧バルブはバルブ収容空間75cの内部で、この着座位置に固定される。第1変圧バルブ80は、第1スプリング100による付勢により、常には下端面を第2変圧バルブ90の上端面に当接させた状態とされる。
このような油圧切替弁60においては、両変圧バルブ80,90がバルブ収容空間75c内で当接し、中心連通孔80aと中心連通路90aとが連通し、両変圧バルブ80,90の中心を貫通して延びる第1供給路60aが形成される。
また、図4に両変圧バルブ80,90の当接部分を示すように、第2変圧バルブ90の本体部91の上端面には、外周縁部に上端切欠部91cが形成されている。このため、バルブ収容空間75c内で第1変圧バルブ80の本体部81の下端面と第2変圧バルブ90の本体部91の上端面とが当接すると、上端切欠部91cの形成面と、第1変圧バルブ80の本体部81の下端面と、バルブ収容空間75cの内周面とにより囲まれた燃料連通空間95が形成される。
第1変圧バルブ80の外縁連通孔80bおよび第2変圧バルブ90の外縁連通路90bは、この燃料連通空間95を介して連通し、両変圧バルブ80,90の外周縁部を上下に延びる第2供給路60bが形成される。第1および第2供給路60a,60bは、上方には長孔71cを介して油流入孔71dに連通し、下方には長孔72cを介して油流出孔72dに連通する。
そして、第2ハウジング72の下端部に形成された雌ねじ部72eが、インジェクタ本体51の雄ねじ部51aと螺合し、インジェクタ50と油圧切替弁60とが上下に連通されて燃料噴射装置40が構成される。また、これにより、油圧切替弁60の油流出孔72dがインジェクタ50の燃料供給路51bと連通される。
エンジンEが始動してクランクシャフト5が回転すると、燃料ポンプ30が駆動され、燃料ポンプ30からの燃料が燃料供給配管45を介して燃料噴射装置40に供給される。燃料は、油圧切替弁60の油流入孔71dから供給される。
図7(a)に示すように、エンジンEがアイドルに近い状態であり、燃料ポンプ30からの燃料供給量が少ない場合、この燃料が油流入孔71dから油圧切替弁60に供給されると、第1変圧バルブ80の突設部中心孔82aに流入して第1供給路60aを通過し、油流出孔72dから流出する。これにより、インジェクタ50には、低圧の燃料が供給され、インジェクタ50のニードル弁55の開弁圧を超えると、燃料が渦流室11に噴射されて燃料室10に供給される。なお、ニードル弁55の開弁圧は、上記の通りアイドル状態に合わせて設定されており、エンジンEの作動時において供給された燃料が開弁圧に満たないことはない。
一方、油流出孔72dは、長孔72cおよび第2供給路60bを介して燃料溜め空間94とも連通されており、この燃料溜め空間94にも油流出孔72dからの燃料が流入する。ここで、燃料ポンプ30からの燃料の油圧Pが所定圧力値(例えば20MPa)未満である場合、第2スプリング105の上方への付勢力Fspg2は、第1スプリング100の下方への付勢力Fspg1と、燃料溜め空間94を形成する円錐部93の円錐面93aを燃料の受圧面として第2変圧バルブ90に作用する下方押圧力Fpとの合力よりも大きくなるように設定されている。このため、第2変圧バルブ90は、第2スプリング105の付勢力を受けて円錐部93の円錐面93aをバルブ保持部材75のテーパ面75dに当接させた状態で保持される。
エンジンEが高回転状態となって、図7(b)に示すように、燃料ポンプ30からの燃料供給量が多い場合、燃料が油流入孔71dから油圧切替弁60に供給されると、一部の燃料は、上記と同様にして、第1変圧バルブ80の突設部中心孔82aに流入して第1供給路60aを通過して油流出孔72dから流出される。ただし、この突設部中心孔82aは径が細く設定されているため、供給された燃料の全量がこの突設部中心孔82aを通過することができない。このため、第1変圧バルブ80の突設部82の上端面に達した燃料のうち多くは、第2供給路60b(外縁連通孔80b)に流入して燃料溜め空間94へと流入する。
上記とは逆に燃料ポンプ30からの燃料の油圧Pが上記所定圧力値(例えば20MPa)を超える場合、第1スプリング100の下方への付勢力Fspg1と、第2変圧バルブ90に作用する下方押圧力Fpとの合力が、第2スプリング105の上方への付勢力Fspg2よりも大きくなる。このため、第2変圧バルブ90は第2スプリング105の付勢力に抗して下動し、円錐部93の円錐面93aがテーパ面75dから離間し、燃料溜め空間94が第2ハウジング72の長孔72cと連通される。この第2変圧バルブ90の下動に伴い、第1変圧バルブ80は、第1スプリング100の付勢力を受け、下端面を第2変圧バルブ90の上端面と当接させた状態を保持して下動する。
図7(c)に示すように、インジェクタ50が噴射を終了し、ニードル弁55が閉弁されると、そのときに生じる圧力波がインジェクタ50から油圧切替弁60に伝播することがある。このインジェクタ50からの圧力波が生じると、燃料が油流出孔72dから逆流するようにして油圧切替弁60に流入する。このとき、第2変圧バルブ90の中心連通路90aに下端開口から上方に向けて流入し、第1変圧バルブ80の本体部中心孔81aに流入する。ここで、圧力波が小さい場合には、燃料が突設部中心孔81bに流入し、第1ハウジング71の長孔71cを通って油流入孔71dから油圧切替弁60の外部へと流出する。また、圧力波が大きい場合には、突設部中心孔82aの径が、本体部中心孔81aよりも小さく設定されていることから、全量が突設部中心孔82aを通過できなくなる。このため、本体部中心孔81aの上壁面を燃料の受圧面として第1変圧バルブ80に作用する上方押圧力により、第1変圧バルブ80が第1スプリング100の付勢力に抗して上動する。このとき、第2変圧バルブ90は、円錐部93の円錐面93aをテーパ面75dに当接させた着座位置で保持されており、第1変圧バルブ80が第2変圧バルブ90から離間する。これにより、反射波が第1変圧バルブ80により形成される外縁連通孔80bに流入する。
このように、第2変圧バルブ90を形成する円錐部93は、本構成例の油圧切替弁60において、常には燃料溜め空間94を閉塞し、油流入孔71dから燃料が供給されたときに第2供給路60bおよび燃料溜め空間94を所定の開弁圧で開放する開閉バルブとして機能するとともに、油流入孔71dから油流出孔72dに向けての流れに対しては燃料溜め空間94の開放を許容し、油流出孔72dから油流入孔71dに向けての流れに対しては、常にテーパ面75dに着座して第2供給路60bおよび燃料溜め空間94を遮断するワンウェイバルブとして機能する。
このように構成される本構成例の燃料噴射装置40においては、油圧切替弁60により、アイドルに近い状態など燃料ポンプ30からの燃料供給量が少ないときには、変圧バルブ80,90を着座位置に保持して摺動させることなく第1供給路60aを通過させ、油流出孔71dから流出させることができる。一方、高回転時など、燃料供給量が多くなると、第2変圧バルブ90に作用する押圧力が大きくなり、第2スプリング105の付勢力に抗して変圧バルブ80,90が摺動して円錐部93がテーパ面75dから離間して第2供給路60bを開放させ、燃料を第1および第2供給路60a,60bを通過させて油流出孔72dから流出させることができる。このとき、燃料には、第2スプリング105の付勢力に抗するだけの圧力が保持され、高圧になってインジェクタ50に供給される。
このように、本構成例の燃料噴射装置40においては、燃料供給量に応じて噴射圧を2段階に調整することができる。このとき、低圧燃料供給時においては、変圧バルブ80,90の位置が移動せず、高圧燃料供給時において変圧バルブ80,90を一体に下動させるようになっている。これにより、高圧の燃料を供給する必要があるときに、従来よりも作動量を小さくすることができ、作動時間を短縮させ、適切な噴射期間で燃料を燃焼室10に供給することができる。
また、第1変圧バルブ80の突設部中心孔82aが本体部中心孔81aよりも径が細くなっている。このため、インジェクタ50からの圧力波により逆流方向に燃料が流れる場合、小径部分を通過できない燃料があると第1変圧バルブ80を押圧し、第2供給路60bを通過させるようになっている。このように、圧力波が生じた場合であっても、第1および第2供給路60a,60bを通過させてスムーズに油流入孔71d側に逃がすことができる。また、この圧力波を逃がすときにおいても、第1変圧バルブ80を上動させるだけで通路断面積を増加させることができ、作動性のよい燃料噴射装置40を提供することができる。
また、本構成例においては、第2変圧バルブ90の本体部91の上端面の外周縁部に上端切欠部91cを形成し、第1変圧バルブ80により形成される外縁連通孔80b,80b,…と第2変圧バルブ90により形成される外縁連通路90b,90b,…とを、この上端切欠部91cにより形成される燃料連通空間95を介して連通させている。したがって、両変圧バルブ80,90に切欠部81b,91bを形成するときに加工を高精度で行わなくても、また、両変圧バルブ80,90をバルブ収容空間75cに収容するときに周方向の位置決めを高精度に行わなくても、外縁連通孔80bおよび外縁連通路90bを連通させることができる。このように、上端切欠部91cを形成することにより、加工作業や組付作業の容易化が図られる。また、作動中に第1および第2変圧バルブ80,90が相対回転しても、第2供給路60bを遮断させることがない。なお、第1変圧バルブ80の本体部81の下端面の外周縁部にこのような切欠部を形成しても、同様の燃料連通空間94が形成され、同様の効果が得られる。
続いて、図8〜図11を参照して本発明に関係しない参考としての燃料噴射装置110の構成例について説明する。この燃料噴射装置110は、上記構成例と同様に、インジェクタ50の上部に油圧切替弁120が結合されて構成され、筒内直噴型内燃機関であるディーゼルエンジンEの燃焼室10にインジェクタ50の燃料噴射孔51dを臨ませるようにしてシリンダヘッド1に取り付けられている。本構成例は、油圧切替弁120の構成が上記構成例と異なり、他は上記構成例と同様に構成されている。以下、上記構成例と同様部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
図8に示すように、本構成例の油圧切替弁120は、上記構成例の油圧切替弁60を上下に逆にした構成になっている。すなわち、外殻を形成するバルブハウジング130と、バルブハウジング130の内部に設けられたバルブ保持部材135と、バルブ保持部材135により保持される第1および第2変圧バルブ140,150と、バルブハウジング130の内部に設けられて両変圧バルブ140,150をそれぞれ所定の方向に付勢する第1および第2スプリング160,165とから構成されている。
バルブハウジング130は、第1および第2ハウジング131,132が結合されて一体化されている。両ハウジング131,132は、上方に位置する第2ハウジング132の下端部に形成された雄ねじ部132aと、下方に位置する第1ハウジング131の上端部に形成された雌ねじ部131aとの螺合により結合される。
第1ハウジング131は、上端部に形成された雌ねじ部(雄ねじ収容部)131aから下方に向けて円筒状の収容溝131bが凹設されている。また、収容溝131bの下端面の中心部から第1ハウジング131の内部を上下に延びて収容溝131bよりも小径の長孔131cが形成されている。長孔131cの下壁部の中心部には、上下に貫通して長孔131bよりも小径の油流出孔131dが形成されている。第1ハウジング131は、内部で収容溝131bと、長孔131cと、油流出孔131dとが連通され、上下方向に貫通されている。
第2ハウジング132は、下端部に形成された雄ねじ部132aに上方に向けて円筒状の収容溝132bが凹設されている。さらに、この収容溝132bの上面中心部から上方に延びて収容溝132bより小径の長孔132cが形成されている。また、第2ハウジング132の上端部には雄ねじ部132eが形成されており、この雄ねじ部132eの上壁部の中心部には上下に貫通して長孔に連通する油流入孔132dが形成されている。第2ハウジング132は、内部で油流入孔132dと、長孔132cと、収容溝132bとが連通され、上下方向に貫通されている。
バルブ保持部材135は、第2ハウジング132の収容溝132bの深さと同じ高さを有するとともにこの収容溝132bと同径の円筒状に成形された上部円筒部135aと、第1ハウジング131の収容溝131bの深さと同じ高さを有するとともに収容溝131bと同径の円筒状に成形された下部円筒部135bとからなり、両円筒部135a,135bの中心部を上下に貫通してバルブ収容空間135cが形成されている。上部円筒部135aは、第2ハウジング132の収容溝132b内に嵌着され、下部円筒部135bが第1ハウジング131の収容溝131b内に嵌着される。下部円筒部135bの上下両面にはシール部材136,136が設けられ、バルブ保持部材135が、両ハウジング131,132に対して密着した状態で取り付けられる。
これにより、ハウジング130の内部に、油流入孔132dからバルブ収容空間135cを介して油流出孔131dに向けて、上下方向に延びる燃料通過空間130aが形成される。
第1および第2変圧バルブ140,150はそれぞれ、燃料通過空間130aを形成するバルブ収容空間135c内に収容され、バルブ収容空間135c内を上下に摺動自在になっている。上記構成例では第1変圧バルブ140,150が上方に配置され、第2変圧バルブ150が下方に配置されたが、本構成例では上下の配置が逆になっている。
第1変圧バルブ140は、上記構成例と同様の本体部141と、突設部142とからなり、突設部142が下方に延びるように配設される。突設部142には所定径の突設部中心孔142aが上下に貫通して形成されており、本体部141には突設部中心孔142aよりも径の大きい本体部中心孔141aが中心部を上下に延びて形成される。これにより、図10に示すように、第1変圧バルブ140の中心を上下に貫通して延びる一体の中心連通孔140aが形成される。さらに、上記構成例と同様に切欠部141bが4つ形成されており、第1変圧バルブ140がバルブ収容空間135cに収容された状態において、切欠部141b,141bの形成面およびバルブ収容空間135cの内周面とにより囲まれた4つの外縁連通孔140b,140b,…が上下に延びて形成される。
第2変圧バルブ150は、上記構成例と同様の本体部151と、括れ部152と、円錐部153とからなり、円錐部153が上方に位置して配設されている。第2変圧バルブ150は、図9に示すように、上記構成例と同様の中心連通路150aが形成されている。また切欠部151bが形成されており、第2変圧バルブ150がバルブ収容空間135cに収容された状態においては、切欠部151bの形成面とバルブ収容空間135cの内周面とにより囲まれて4つの外縁連通路150b,150b,…が上下に延びて形成される。
また、本体部151および括れ部152がバルブ収容空間75cに収容される一方、円錐部153は下端部のみがバルブ収容空間135cに収容され、円錐面153aをバルブ収容空間135cの上端開口に当接させている。バルブ収容部材135は、バルブ収容空間135cの上端開口部が面取りされてテーパ面135dが形成されている。円錐部153は、円錐面153aがこのテーパ面135dと当接される。これにより、括れ部152の外周面と、円錐部153の円錐面153aと、バルブ収容空間135cの内周面とにより囲まれた燃料溜め空間154が形成される。4つの外縁連通路150b,150b,…は、上端が燃料溜め空間154に開口し、燃料溜め空間154を介して上端が円錐面153aにより閉塞される。
第1スプリング160は、第1ハウジング131の長孔131cの下壁面と第1変圧バルブ140の本体部141の下壁面との間に跨設されており、第1変圧バルブ140を上方に向けて付勢する。第2スプリング165は、第2ハウジング132の長孔132cの上壁面と第2変圧バルブ150の上端面との間に跨設されており、第2変圧バルブ150を下方に向けて付勢する。
第2変圧バルブ150は、第2スプリング165による付勢により、常には円錐面153をバルブ保持部材135のテーパ面135dに着座させた状態になる。これにより、通常時において、第2変圧バルブ150はバルブ収容空間135c内で所定の着座位置に保持される。第1変圧バルブ140は、第1スプリング160による付勢により、常には着座位置に保持された第2変圧バルブ150の上端面に下端面を当接させた状態とされる。
本構成例の油圧切替弁120においては、両変圧バルブ140,150がバルブ収容空間135c内で当接し、第1変圧バルブ140の中心連通孔140aと、第2変圧バルブ150の中心連通路150aとが連通し、両変圧バルブ140,150の中心部を上下に貫通して延びる第1供給路120aが形成される。
また、同様にして両変圧バルブ140,150の当接部分において、第2変圧バルブ150の本体部の下端面には下端切欠部151cが形成されており、両変圧バルブ140,150によりそれぞれ形成される外縁連通孔140bおよび外縁連通路150bが、燃料連通空間155により連通され、両変圧バルブ140,150の外周縁部を上下に延びる第2供給路120bが形成される。第1および第2供給路120a,120bは、それぞれ油流入孔132dおよび油流出孔131dに連通される。なお、第2供給路120bは常には円錐部193により閉塞されている。
エンジンEが始動され、燃料ポンプ30が駆動され、燃料噴射装置110に燃料ポンプ30からの燃料が供給されると、油圧切替弁120の油流入孔132dから燃料が供給される。
図11(a)に示すように、燃料ポンプ30からの燃料供給量が少ない場合、油流入孔132dから燃料が供給されると、第2変圧バルブ150の中心孔150aに流入して第1供給路120aを通過し、第1ハウジング131の長孔131cに達して油流出孔131dから流出する。これにより、燃料ポンプ30からの燃料がインジェクタ50に供給される。
図11(b)に示すように、燃料ポンプ30からの燃料供給量が多くなると、第1供給路120aに流入した燃料は、流入側に対して径の小さい突設部中心孔142aを通過できなくなり、第1変圧バルブ140を下方に押圧する。これにより、第1変圧バルブ140が第1スプリング160の付勢力に抗して下方に押圧されると、第2変圧バルブ150は円錐部193をテーパ面135dに当接させて着座位置に保持されているため、第1および第2変圧バルブ140,150が上下に離間する。これにより、突設部中心孔142aを通過できない燃料は第2供給路120b(外縁孔140b)を通過して油流出孔131dに流れる。
また、図11(c)に示すように、インジェクタ50の噴射後に反射波が生じ、油流出孔131dから反射波が流入した場合においては、反射波は、下方に開放される第1および第2供給路120a,120bに流入する。第1供給路120aに流入した燃料は第2変圧バルブ150の中心孔150aの上方開口端から流出させることができる。第2供給路120bに流入した燃料は、燃料溜め空間124まで流入して第2変圧バルブ150を上方に押圧する。圧力波が大きいと、この押圧力が大きくなり、第2スプリング165の付勢力に抗して第2変圧バルブ150を着座位置から上方に移動させる。これにより、第2供給路120bが上下に開放され、第2供給路120bに流入した反射波を油流入孔132d側に逃がすことができる。なお、このとき、第1変圧バルブ140は第1スプリング160の付勢により第2変圧バルブ150とともに上動し、両変圧バルブ140,150は当接した状態が保持される。
このように、第2変圧バルブ150の円錐部153は、第2供給路120bを開閉する開閉バルブとして機能し、油流入孔132dから油流出孔131dに向けての流れに対しては第2供給路120bを常に閉塞して第2変圧バルブ150のバルブ収容空間135c内での上下位置を所定の着座位置に保持させるとともに、逆の流れに対しては所定圧力が作用すると第2供給路120bを開放するワンウェイバルブとして機能する。なお、第2供給路120bを開放させる圧力の設定は、第2スプリング165の付勢力の設定により行うことができる。
このように構成される本構成例の燃料噴射装置110においては、油圧切替弁120により、アイドルに近い状態など燃料ポンプ30からの燃料供給量が少ないときには、変圧バルブ140,150を着座位置に保持して摺動させることなく第1供給路120aを通過させ、油流出孔131dから流出させることができる。一方、高回転時など、燃料供給量が多くなると、燃料の全量が第1供給路120bの小径部分を通過できなくなり、第1変圧バルブ140を下方に押圧する。このように、着座位置から第1スプリング160の付勢力に抗して第1変圧バルブ140を摺動させるだけで、高圧の燃料を供給することができ、作動性がよく噴射期間を短縮することができ、適切な噴射期間で燃料を噴射させることができる。
インジェクタ50からの圧力波が生じたときには、反射波が第1供給路120aに流入して油流入孔132d側に逃がすことができる。また、この圧力波が大きいときには、第2供給路120bに流入して円錐部153を上方に押圧する。第2のスプリング165による付勢力に抗して押圧されると、第2供給路120bが開放される。これにより、圧力波が大きくても、油流入孔132d側にスムーズに逃がすことができる。
本発明に係る筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置を説明したが、必ずしも上記構成に限られない。本発明に係る筒内直噴型内燃機関をディーゼルエンジンとして説明したが、ディーゼルエンジンに限らず、燃焼室に供給する燃料の噴射圧を可変であることが好ましい内燃機関であれば、同様に適用して同様の効果が得られる。なお、副燃焼室10aに燃料を供給する形態としてもよい。
本発明に係る筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置を備えたエンジンを示す断面図である。 本発明に係る構成例の燃料噴射装置を示す断面図である。 本発明に係る構成例の燃料噴射装置の油圧切替弁を示す断面図である。 第1および第2変圧バルブの当接部分を拡大して示す断面図である。 図4に示す矢印V−V方向に見た第1変圧バルブの断面図である。 図4に示す矢印VI−VI方向に見た第2変圧バルブの断面図である。 (a)が燃料量が少ないとき、(b)が燃料量が多いとき、(c)が反射波が生じたときをそれぞれ示す本発明に係る構成例の油圧切替弁の作動図である。 本発明に関係しない参考構成例の燃料噴射装置の油圧切替弁を示す断面図である。 図8に示す矢印IX−IX方向に見た第2変圧バルブの断面図である。 図8に示す矢印X−X方向に見た第1変圧バルブの断面図である。 (a)が燃料量が少ないとき、(b)が燃料量が多いとき、(c)が反射波が生じたときをそれぞれ示す本発明に関係しない参考構成例の油圧切替弁の作動図である。
符号の説明
E エンジン
1 シリンダヘッド
2 シリンダブロック
3 クランクケース
4 ピストン
5 クランクシャフト
10 燃焼室
40,110 燃料噴射装置
50 インジェクタ
60,120 油圧切替弁
60a,120a 第1供給路
60b,120b 第2供給路
70,130 ハウジング
71d,132d 油流入孔(一端開口)
72d,131d 油流出孔(他端開口)
80,140 第1変圧バルブ
80a,140a 中心連通孔(第1連通孔)
80b,140b 外縁連通孔(第2連通孔)
90,150 第2変圧バルブ
90a,150a 中心連通路(第1連通路)
90b,150b 外縁連通路(第2連通路)
93,153 円錐部(開閉弁部,一方向弁部)
100,160 第1スプリング(第1付勢手段)
105,165 第2スプリング(第2付勢手段)

Claims (1)

  1. 燃料ポンプから圧送された燃料を燃焼室に直接噴射して供給する筒内直噴型内燃機関の
    燃料噴射装置であって、
    前記燃料噴射装置が、内部に燃料通路が形成されて前記燃焼室に臨ませた前記燃料通路
    の開口から燃料を所定の噴射圧で噴射するインジェクタと、前記燃料ポンプと前記インジ
    ェクタとの間に設けられた切替弁とから構成されており、
    前記切替弁が、
    内部に両端が開口する燃料通過空間が形成され、前記燃料通過空間の一端開口に前記燃
    料ポンプからの燃料通路が接続され、前記燃料通過空間の他端開口に前記インジェクタの
    燃料通路が接続されるハウジングと、
    前記燃料通過空間内における前記一端開口側に摺動自在に収容され、それぞれ前記一端開口側から前記他端開口側に連通する一端側第1供給路および一端側第2供給路が形成された第1変圧バルブと、
    前記第1変圧バルブ体の前記他端開口側に隣接して位置して前記燃料通過空間内に摺動自在に収容され、それぞれ前記一端開口側から前記他端開口側に連通する他端側第1供給路および他端側第2供給路が形成された第2変圧バルブ体と、
    前記第1変圧バルブを前記他端開口側に付勢する第1付勢手段と、
    前記第2変圧バルブを前記一端開口側に付勢する第2付勢手段とから構成され、
    前記第2付勢手段による付勢力が前記第1付勢手段による付勢力より大きく設定され、
    前記一端側第1供給路と前記他端側第1供給路とにより前記一端開口から前記他端開口に常時開放された第1供給路が形成されるとともに、前記一端側第2供給路と前記他端側第2供給路とにより前記一端開口から前記他端開口に連通した第2供給路が形成され、
    前記一端側第1供給路の少なくとも一部分が、前記他端側第1供給路の径よりも細い径で形成され、
    前記第2変圧バルブの他端開口側に、前記ハウジングの内部に形成された着座面に当接して前記他端側第2供給路を閉塞する開閉弁部が形成され、
    前記第2変圧バルブが、常には、前記第2付勢手段による付勢力を受けて前記開閉弁部が前記着座面に当接した着座位置で保持され、前記第1変圧バルブ体を介して作用する前記第1付勢手段による付勢力と前記一端開口から前記燃料通過空間に供給された供給燃料の供給圧に応じて前記第2変圧バルブに作用する前記他端開口側への押圧力との合力が前記第2付勢手段による付勢力を上回るときには、前記第2付勢手段による付勢力に抗して前記他端開口側に摺動し、前記開閉弁部が前記着座面から離れて前記第2供給路が開放されることを特徴とする筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置。
JP2005288578A 2005-09-30 2005-09-30 筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置 Expired - Fee Related JP4698368B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005288578A JP4698368B2 (ja) 2005-09-30 2005-09-30 筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005288578A JP4698368B2 (ja) 2005-09-30 2005-09-30 筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007100537A JP2007100537A (ja) 2007-04-19
JP4698368B2 true JP4698368B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=38027732

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005288578A Expired - Fee Related JP4698368B2 (ja) 2005-09-30 2005-09-30 筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4698368B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007100537A (ja) 2007-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101864864B1 (ko) 크로스 헤드형 엔진
JP6137342B2 (ja) エンジン
JP6898045B2 (ja) 噴射装置および噴射装置を使用する方法
KR102081212B1 (ko) 길이 조정가능한 연결 로드
US20070215113A1 (en) High-Pressure Pump for a Fuel Injection System of an Internal Combustion Engine
KR20160073979A (ko) 길이-조정 가능 커넥팅 로드
JP5551037B2 (ja) ガス噴射弁
JP2524657B2 (ja) 高圧ユニット燃料噴射器
FR2531495A1 (fr) Pompe d'injection de carburant a piston alternatif
KR100353190B1 (ko) 연료분사밸브및이밸브를구비한고압개스엔진
JP6451486B2 (ja) 油圧発生装置およびクロスヘッド型エンジン
US5000668A (en) Distribution-type fuel injection pump
JP4698368B2 (ja) 筒内直噴型内燃機関の燃料噴射装置
KR101836240B1 (ko) 엔진의 실린더 휴지 장치 및 실린더 휴지 방법
KR20210022578A (ko) 인젝터 장치
JP2003161227A (ja) 燃料噴射ポンプおよびその逆止弁装置の組み付け方法
JP5984303B2 (ja) 燃料噴射補助装置及び燃料噴射補助装置を備える燃料噴射ポンプ
JP2010261315A (ja) 気筒の休止装置
JP6592408B2 (ja) インジェクタ
JP6579943B2 (ja) 燃料供給ポンプ
JP2007023967A (ja) 燃料噴射弁
KR20190108629A (ko) 유니플로 소기식 2사이클 엔진
JP2007023965A (ja) 燃料噴射弁
JPH07317518A (ja) 内燃機関の休止機構付き動弁機構
CN115398091A (zh) 燃料泵

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090410

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090727

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100112

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100208

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20100312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4698368

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees