JP2524657B2 - 高圧ユニット燃料噴射器 - Google Patents

高圧ユニット燃料噴射器

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JP2524657B2 JP2235469A JP23546990A JP2524657B2 JP 2524657 B2 JP2524657 B2 JP 2524657B2 JP 2235469 A JP2235469 A JP 2235469A JP 23546990 A JP23546990 A JP 23546990A JP 2524657 B2 JP2524657 B2 JP 2524657B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は開ノズルとエンジン・カム軸で機械的に励起
される往復動噴射プランジャーとを備えたユニット燃流
噴射器に関するものである。更に詳細には本発明はタイ
ミング調量とタイミング室圧力が独立的に制御される低
速弁、高圧ユニット燃料噴射器に関するものである。
〔従来技術〕
大気汚染の監視を改善することと燃料経済性の増加の
必要性から内燃機関の設計者は実質的に改善された燃料
供給システムを求めている。それに対応してコストの低
減化を図ると共に噴射器タイミングと調量に対し信頼性
のある正確で且つ独立的な制御を行うよう単純化された
設計が開発されて来ている。本出願の譲受人により所有
されている以下の特許はこうしたユニット噴射器を開示
しており、本発明の改善の基になった先行技術のユニッ
ト噴射器の代表的なものである。ペールの米国特許第4,
471,909号、ピーターの米国特許第4,441,654号、ピータ
ーの米国特許第4,410,410,138号及びペールの米国特許
第4,410,137号。これらの特許は全て開ノズルとエンジ
ン・カム軸で機械的に励起される往復動する噴射プラン
ジャーとを備えた燃料噴射器を開示している。
今日迄達成された進歩にも拘わらず、エンジン速度の
全体の範囲にわたり充分に高い噴射圧力を得ることが不
可能であった。近代のエンジンの性能上の高いレベルと
要求される汚染排除の達成には(2100kg/cm2(30000pn
i)以上の値の)高い圧力が望ましい。更に、後者と2
件の特許は噴射器に供給されるタイミング流体の圧力に
依存して油圧リンクが可変長に形成されるタイミング室
を使用している油圧的に制御される噴射タイミングを開
示している。噴射器がその噴射ストロークの端部に達す
ると、噴射器噴霧オリフィスの再開きに抵抗する目的で
下方噴射器プランジャーをその閉位置で保持するよう充
分に高い圧力をタイミング室に確保するべく制限される
(“ペールの"137特許の12カラム、16−30行目参照)排
出ポートを通じてタイミング流体が出される。これらの
先行技術の特許は重要な進歩内容を開示しているが、排
出ポートの寸法が減少するタイミング流体出力流に対し
て大き過ぎて、タイミング流体内に適切な圧力を維持出
来ない場合にタイミング流体室のつぶれの終了附近で噴
射器オリフィスを閉じた状態に維持する方法を開示して
いるものは皆無である。
車両放出物に対する新たな法的規制では更に高い性能
要件がエンジンのメーカーに対し課されており、該性能
要件はコスト及び燃費に関して前掲の諸特許に開示され
た噴射器で意図されていない適切な手法で対応されなけ
ればならない。燃焼室における汚染発生源での汚染物の
処理には燃焼方法の効率増加が要求され、この効率増加
には特に低速動作中に相当高い圧力にて燃料を噴射する
ことが要求される。然し乍ら、これらの噴射器において
は、クランプされた高圧力ジョイントに起因して、燃料
噴射器の噴射圧力能力が1400kg/cm2(20000psi)を下廻
る室圧力(噴射器噴霧孔の上流側の噴射室内の燃料圧
力)に限定される。更に、噴射はプランジャーのシール
部分が供給ポートをブロックした後間もなく開始するの
で、プランジャーのシール長さに起因して、(2100kg/c
m2(30000psi)を越える)高い室圧力レベルが生じる場
合にリークが生じるインターフェイスがもたらされる。
本発明の譲受人によっても所有されているペールの米
国特許第4,221,247号はエンジン速度の全範囲にわたり
高い室内圧力を達成する問題に関する。ペールの'247特
許は低エンジン速度においても噴射中に2100kg/cm2(30
000psi)を越える室内圧力を達成出来る開ノズル型ユニ
ット燃流噴射器を開示している。この型式の噴射器は高
圧力噴射器(HPI)として知られており、上方プランジ
ャーと中間プランジャーの間に油圧可変タイミング流体
室を形成しかつ下方プランジャー下側に噴射室を形成す
るよう配列された3個のプランジャーを有するプランジ
ャーアッセンブリーを含む。低エンジン速度にて高圧力
を達成するよう設計されること及びエンジンが高速動作
している際タイミング流体をタイミング室から排出させ
る圧力励起弁が提供されることで室内圧力の増加は低速
動作条件と高速動作条件の両者で得られる。
'247特許は中間プランジャーと下方プランジャーの間
に設置されて中間プランジャーを上方へ偏倚させる単一
ばねを使用している。中間プランジャー偏倚ばねのばね
定数特性を慎重に設計することにより、噴射器に供給さ
れるタイミング流体の圧力を変えることで噴射器動作の
各サイクル中にタイミング室内に調量されるタイミング
流体の量を制御出来るようになる。然し乍ら、'247特許
においては中間プランジャー偏倚ばねは又、圧力励起逃
し弁を動作させるのに必要な偏倚力をも供給する。
従って、圧力励起逃し弁の動作に影響を与えずに、タ
イミング流体調量を最適化することは極めて困難にな
る。その上、タイミング室からのドレイン通路の寸法は
圧力制限弁の開き圧力及びタイミング室から圧力制限弁
を介して排出されるタイミング流体の流量の両者に影響
する。従って、低動作速度状態で高い噴射圧力を達成出
来る比較的簡単な設計の燃料噴射器が開発されているに
もかかわらず、タイミング流体の調量とタイミング圧力
制御弁の開き特性の独立的制御を可能とし、かつ圧力制
限弁の開き圧力とタイミング流体排出流の流量を別々に
制御出来る噴射器に対する必要性が依然存在している。
低エンジン速度において噴射器の高圧動作を可能にす
る圧力制限弁機構とは独立にタイミング流体調量機能を
最適化出来るようタイミング室及びその関連構造を形成
する可変長油圧リンクにより摩耗を低減し、耐性及び性
能を高めるシステムを導入している公知の先行技術と燃
料噴射器は皆無である。同様に、噴射器オリフィスを閉
じた状態に維持して2次噴射を除去する噴射終了排出ポ
ート機構を先行技術は開示していない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は噴射タイミングを制御する可変長油圧
リンクと噴射圧力制限弁を備えた、タイミング流体の調
量に悪影響を与えずに改善された圧力調整が達成される
高圧ユニット燃料噴射器を提供することにある。
本発明の他の目的は弁と組み合わせて二重偏倚システ
ムを使用する高圧ユニット燃料噴射器によって前記目的
を達成することにある。該システムにおいては、2個の
偏倚装置が弁に作用して弁をその閉位置に向かって移動
させることによってタイミング流体の圧力と排出を制御
し、一方、1つの偏倚装置のみがタイミング流体の調量
を制御する。
本発明の他の目的は、前記システムにおいてタイミン
グ流体の圧力と排出に影響する一方の偏倚装置の動作が
他の一方の偏倚装置の動作又はタイミング流体の調量に
マイナスの影響を与えずに最適化されるよう前記の諸目
的を達成することにある。
本発明の他の目的は、2個の偏倚装置が同心状コイル
ばねであり、内側ばねが直接弁に作用し、外側ばねがク
ロス・ピンとばねガイドを通じて弁に作用する二重偏倚
システムを使用する高圧ユニット燃料噴射器によって前
記の諸目的を達成することにある。
本発明の他の目的は二重ばね高圧力3プランジャー・
ユニット燃料噴射器を提供することにある。該噴射器に
おいては噴射中に弁がタイミング室流体排出を制御して
ピーク噴射圧力を制限し、一方、噴射器ハウジング内に
位置付けられた別のタイミング流体排出ポートが噴射終
了時にタイミング流体の制限された排出を可能にする。
本発明の他の目的は、低速度にて高い排出負荷を維持
すると共に、2次噴射を防止するタイミング室排出ポー
ト閉鎖体を備えた高圧ユニット燃料噴射器を提供するこ
とにある。
本発明の他の目的は上方プランジャー上に形成された
タイミング室排出ポート閉鎖体を有する高圧ユニット燃
料噴射器を提供することにある。該噴射器においては、
上方プランジャーは円筒状側壁及びこれと直交する面取
りされていない下面を含み、上方プランジャーの下方運
動中に前記下面が排出ポートを通過することによって下
方プランジャーの往復運動中にタイミング室排出ポート
が閉じられることが可能である。
本発明の他の目的は、可変長油圧リンクが形成される
タイミング室と、タイミング室圧力を制御するタイミン
グ室ドレイン通路に隣接して配設された弁と、増加され
た弁内流動領域とを備えた高圧ユニット燃料噴射器を提
供することにある。本発明の更に他の目的は、タイミン
グ流体圧力の調整器として作用している際に弁の開き圧
力を妨げることなく流動能力が増加するよう設計された
圧力逃がし弁を有する高圧ユニット燃料噴射器を提供す
ることにある。
本発明の他の目的は、圧力制限弁によりタイミング流
体ドレイン通路を通じてサイクル毎ベースでタイミング
流体が排出される可変長油圧リンクを有し、タイミング
流体の排出流レートを制御して弁座により許容される流
量より少ない流量を可能にする弁座上流側の低減された
領域部分を有する高圧ユニット燃料噴射器を提供するこ
とにある。
本発明の他の目的は、中間プランジャー内にタイミン
グ流体ドレイン通路が配設され、中間プランジャーの共
平面断面積の少なくとも4%である有効断面流域を有す
る弁座を該タイミング流体ドレイン通路が有する、高圧
ユニット燃料噴射器の提供することにある。
本発明の更に他の目的は、弁の開閉レートが低減され
圧力調整能力が増加されて弁及びその偏倚ばねの耐性が
改善される高圧ユニット燃料噴射器を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
これらの目的と他の諸目的は本発明に従って設計され
たタイミング室圧力制御を有する高圧ユニット燃料噴射
器により達成される。燃料噴射器は中央軸穴を有する噴
射器ハウジングを含み、ブランジャー・アッセンブリー
が該中央軸穴内に配設される。プランジャー・アッセン
ブリーには上方プランジャー・下方プランジャー及び中
間プランジャーが含まれている。弁素子を有する弁で閉
じることが出来るドレイン通路を有するつぶし得るタイ
ミング室が上方プランジャーと中間プランジャーの間に
形成されてタイミング流体を受入れ、上方プランジャー
と中間プランジャーの間に可変長油圧リンクが形成され
て噴射タイミングが進められる。タイミングばねの上方
向偏倚により部分的に弁素子が作用され、該タイミング
ばねはタイミング室内へのタイミング流体調量にさから
う偏倚力を発生すると供に、弁素子をその閉位置に向か
って移動させる。然し乍ら、一実施態様において、高い
ばね負荷を使用する圧力調整を改善し、より大きいドレ
イン通路領域を収容するために付加的弁ばねが直接弁素
子に作用し、タイミング流体の調量にマイナスの影響を
与えずに弁素子をその閉位置に向かって偏倚させる。噴
射サイクルの任意の時点にばねにより調節される最大所
定圧力をタイミング流体圧力が越える場合に弁が開いて
タイミング流体を排出する。又、中央軸穴の噴射室部分
内の下方プランジャーが着座することで、噴射段階が完
了した後弁が開いてタイミング流体を放出する。別々の
タイミングばねと弁ばねを使用することで弁を閉じる偏
倚力を増加出来、従って、弁開き圧力にさらされる弁領
域を単にオリフィスとして動作させることなく、該弁領
域が増加されることが可能となる。この配列は又、いく
つかの実施形態においては、流動能力が増加されるため
にタイミング排出ポートの必要性をなくす。
更に、他の実施形態においては、弁座より狭い断面積
を有する調整オリフィス部分を弁座の上流側において有
する、タイミング流体排出用中間プランジャー軸方向通
路を形成可能である。このことは、弁の作動圧力を調整
する弁座で許容される値より低い排出流レートを可能に
する。この特徴は二重ばねの特徴を有する又は有してい
ない弁内に導入出来る。
他の代替的実施態様においては、圧力逃がし弁に加え
て独立的に作動するタイミング流体排出ポートが使用さ
れる。前述の実施態様と同様、弁は高速及び高負荷状態
にて排出ストローク中にピーク圧力を調整し制限する
が、排出ポートは排出ストローク後に油圧リンクのつぶ
れを制御する。ユニット燃料噴射器内の弁と組合せて排
出ポートを使用すれば、弁の圧力調整と性能が改善さ
れ、噴射終了時に弁の作用を低減化することで弁の耐性
が改善される。この特徴は又、前述した弁の変形例を組
合わせることが出来る。更に本発明によれば、タイミン
グ室排出ポートを導入している高圧ユニット燃料噴射器
の任意の実施例において、プランジャー・アッセンブリ
ーの上方プランジャー部分の下方端部は、プランジャー
の下面と直交する上方プランジャーの円筒状側壁により
形成される直線状で面取りされていない端部に形成可能
である。円筒状側壁は排出ポート上を通過して除々に排
出ポートを閉じ、低速度で高排出負荷を維持し、2次噴
射を阻止する。
本発明を特徴付けている各種付加的な諸利点と新規性
の諸特徴については特許請求の範囲に更に指摘してあ
る。然し乍ら、本発明及びその諸利点を有効に理解する
ため本発明の諸好適実施例を図解し且つ説明している添
附図面及び以下の説明が参照される。
〔実施例〕
図面を参照すると、本発明による圧力制御弁を備えた
高圧ユニット燃料噴射器が示してある。ユニット燃料噴
射器は、本出願人と同一の出願人に譲渡されるペールの
米国特許第4,721,247号に示された開ノズル型式であ
り、各噴射器が(図示せざる)慣用的な駆動列アッセン
ブリーを通して回転カム軸により駆動され、カムが回転
自在型カム軸に設置され、カム従節がカムに乗って、排
出器プランジャーをカム軸の回転と同期して往復動され
るような燃料噴射システムの一部分である。
より大きいタイミング流体流孔を単に使用することに
より先行技術の燃料噴射器の弁装置を改善しようとする
本発明の試みは、より大きい総孔領域によって弁を調整
器としてよりもむしろオリフィスとして作用させるよう
制限することに帰結する。全体的な孔の寸法が増加する
のに伴い、弁の作動圧力が減少する。弁ばねは、タイミ
ング調量ばねとしても作用し、この力を増加させること
はタイミング室内へのタイミング流体の調量にマイナス
の影響を及ぼすので、この開き圧力減少を防止するため
にばね負荷は充分増加出来ない。
前述の諸問題を克服するため、本発明者等は二重ばね
低速弁を導入してある第1図に図解された開ノズル・ユ
ニット燃料噴射器を開発した。シリンダー1個あたり1
個のカム被動ユニット噴射器を含み、共通レール又は供
給ラインにより全ての噴射器に供給する燃料ポンプを含
む噴射システムで使用されるよう、第1図の燃料噴射器
は配置される。燃料噴射システムは、シリンダー・ヘッ
ド内に(図示せざる)3個の共通の液体レールを必要と
し、各燃料噴射器と連通する。第1レールは燃料を噴射
室内に調量するため各噴射器に燃料を供給し、第2レー
ルは噴射されない燃料を排出し、第3レールはタイミン
グ流体(これは燃料でもあり得る)を供給し、噴射動作
のタイミングを変える。これらの機能については本出願
人と同一の出願人に譲渡された米国特許第4,721,247号
に一層詳細に説明してある。第3レール内のタイミング
流体圧力を変えることにより、プランジャーの有効長に
よって噴射開始が促進又は遅延される。燃料ポンプとエ
ンジン・スロットルは第1レール内の可変レール圧力に
て燃料を供給するよう作動し、該レールは噴射される燃
料の量を制御する。レール圧力は圧力/時間(PT)調量
原理に従って可変であり、タイミング圧力は前術の'247
特許に説明される、圧力調量原理に従って可変である。
特に、第1図は(図示せざる)内燃機関のヘッドに含
まれる切欠き内に受入れられるよう意図されている燃料
噴射器10を示す。燃料噴射器は可変量の燃料を噴射し、
その燃料は(つぶれた状態で示してある)噴射室11内に
調量され、エンジンの燃焼室内に入れられる。燃料噴射
器の本体又はハウジング16は2つの部分、即ち噴射器バ
レル12及び一体構造噴射器カップ14で形成されている。
燃料噴射器の軸方向には穴18が延在し、この孔内には燃
料を内燃機関の燃焼室内に噴射させる往復動プランジャ
ー・アッセンブリー20が配設してある。プランジャー・
アッセンブリーは最も前動した位置で示してある。
往復動プランジャー・アッセンブリー20には3個のプ
ランジャーが含まれている。第1図に示される如く、噴
射即ち下方プランジャー22は最下方プランジャーであ
り、以下に説明する如くエンジンの燃焼室内に燃料を噴
射する。下方プランジャー上方には中間プランジャー24
及び上方プランジャー26が連続的に配列してある。中間
プランジャー24の下方には補償室32が形成してあり、噴
射プランジャーたる下方プランジャー22の上端部を包囲
している。プランジャー・アッセンブリー戻りばね28は
一端部において上方プランジャー26の上端部30と係合
し、噴射器バレル12の上部に着座する。戻りばね28は駆
動列アッセンブリーを通じて作用する噴射カムにより許
容される穴18内の最上方位置へ上方プランジャー26を偏
倚して戻す。
第5図に示された如く、上方プランジャー26と中間プ
ランジャー24の間にはつぶし得るタイミング室34が形成
してある。タイミング室34は燃料の如き油圧タイミング
流体を噴射器のハウジング16の噴射器バレル12を通して
形成されたタイミング流体通路36から受取る。以下に説
明される如く、タイミング室34内に配設されたタイミン
グ流体は中間プランジャー24と下方プランジャー26の間
に油圧リンクを形成し、好適には中間プランジャー24を
貫通して中央軸方向に形成されたタイミング室とドレイ
ン通路38を通じて或る条件下で排出される。タイミング
室ドレイン通路38の底部は補償室32内に開き、弁機構40
で閉じられ、当該弁機構40は中間プランジャー24の下端
部と補償室32内に配置された下方プランジャー22の上端
部との間に挟まれている。弁機構40が開くと、タイミン
グ流体がタイミング室34からタイミング室ドレイン通路
38を通じて補償室32内へ排出され、ドレイン通路42を通
じて噴射器外に排出される。以下に説明する如く、ドレ
イン通路42は又、流体排出の目的に使用可能である。弁
機構40はタイミング室34内のタイミング流体の圧力を制
御し、次にこの圧力は噴射燃料の噴射圧力の上方限界と
共に、燃料噴射のタイミングを制御する。
第2図〜第4図に一層良く図解してある如く、弁機構
40には弁ガイド46内で往復動的にスライド可能な弁素子
44が含まれ、当該弁ガイド46は下方プランジャー22の上
方部分であり、内部に形成された(第3図の)流体流れ
通路48を備えている。クロス・ピン50の如き励起部材が
弁素子44内の穴52を通じて配設され、補償室32の大部分
の幅を横切って弁素子44から半径方向外方に延在してい
る。代替的に、クロス・ピン50は弁素子44と一体的に形
成可能である。クロス・ピン50はクリアランス無しで穴
52内に受入れられ、下方プランジャー22内に形成された
穴53をクリアランスを有して貫通して配設される。この
穴は弁ガイド46の下方部分を形成する。クロス・ピン50
の最外側部分の下方及び下方プランジャー22の周囲にば
ねガイド54が配設してある。
弁機構40は改善された圧力調整能力と改善された耐性
を備え、これら両方の目標は本発明の異なる態様により
異なる程度で達成される。第1の態様において、2個の
別々の独立したばねが以下の如く使用される。好適には
コイルばねであるタイミングばね56が下方プランジャー
22の周りに補償室32内に位置付けられる。タイミングば
ね56の上端部は好適にはばねガイド54を通じてクロス・
ピン50の外端部と係合することで弁機構40に対して作用
する。タイミングばね56の下端部は補償室32の底部に形
成された座57上に載置される。従って、タイミングばね
56の力は下方プランジャー22を上方に引張り中間プラン
ジャー24と係合させ、次のサイクルに対し調量とタイミ
ングが開始する迄噴射サイクルの完了後3個のプランジ
ャー即ち下方プランジャー22、中間プランジャー24及び
上方プランジャー26が一体となるように作用する。これ
は公知の様式にて噴射タイミングの進みを変えるようタ
イミング室内でのタイミング流体の調量に抵抗する偏倚
力を確立する。更に、タイミングばね56は弁機構40に作
用するので、これは又、弁機構をその閉位置に向かって
上方へ移動させる。支配的に補償室32内に存在する下方
プランジャー22の上方部分には中央穴58及びこれも好適
にはコイルばねである弁ばね60が備えられている。弁ば
ね60の下端部は中空穴58の底部61に着座する。弁ばね60
の上端部は直接弁素子44の下面に作用する。従って、弁
ばね60の力は下方プランジャー22と弁素子44の間に作用
し、弁ばね60は弁機構をその閉位置に向かって偏倚させ
るよう弁機構40に対してタイミングばね56の力を補充す
る。このように別個の第2の弁ばね60を使用すると、先
に説明した如く、下方プランジャー22を上方へ偏倚させ
るのに要求されるタイミングばね56に付加的な不必要な
負荷を与えずに弁開き圧力を増加出来る。これは以下を
様式で達成される。タイミングばね56と弁ばね60はタイ
ミング流体圧力が2個のばねで発生される結合された圧
力を越える迄、弁を閉位置に維持するよう弁素子44に上
向きの力を提供する。従って、弁ばね60のばね力を増加
させると、ばね開き圧力が増加する。然し乍ら、こうし
た増加はタイミングばね56で調整されるタイミング室内
へのタイミング流体の調量に抵抗する力に影響しない。
これは弁ばね60が噴射器のハウジング16に相対して下方
プランジャー22に力を与えないこと及び下方プランジャ
ー22に相対する弁素子22の上方向運動の自由度が以下に
説明する如く極めて制限されていることから達成され
る。圧力調整は弁ばね60で供給される高いばね力を使っ
て改善され、タイミング流体圧力調整器としてではなく
オリフィスとして弁が作動することを防止するためによ
り広い弁面積を使用出来る。
更に、弁機構40がその閉位置に移動されてタイミング
・ドレイン通路38を完全にシールすると、弁ばね60で供
給される任意の付加的偏倚力は付加的相対運動を生じさ
せない。この運動制限機構については第3図及び第4図
に最も良く図解してあり、これは貫通するクロス・ピン
50の厚さに所望の弁開き距離を加えたものと等しい高さ
を以って下方プランジャー22の半径方向穴53の直径を決
定することで達成される。第3a図及び第4a図で示される
如く弁の弁素子44が中間プランジャー24に当接してタイ
ミング室ドレイン通路を閉じる場合、クロス・ピンは下
方のプランジャー半径方向穴53の上面に当接する。弁ば
ね60の更に上方向への伸長又は弁素子44又はクロス・ピ
ン50の更に上方向への移動は禁止される。従って、この
位置において、弁ばねの端部は相対移動可能な要素から
形成されていない下方プランジャーの隔てた部分を押し
ている。弁ばねはプランジャー・アッセンブリー又は弁
機構のいずれの構成要素も動かすことが出来ず、従って
弁ばねはタイミングばねの性能に影響しない。
燃料噴射器10の作動は第5図に示された如く行われ、
各噴射サイクルの4つの段階の第1段階は調量及びタイ
ミング段階を図解している第5a図に図解してある。上方
プランジャー26は戻りばね28により充分後退されてタイ
ミング流体通路36をカバーしておらず、タイミング流体
がタイミング流体通路を通じてタイミング室34内に入
り、タイミングばね56を圧縮することで中間プランジャ
ー24を上方プランジャー26から分離する圧力を与える。
中間プランジャー24からの上方プランジャー26の分離量
は、タイミングばね56のばね力と中間プランジャー26の
領域に作用するタイミング流体圧力で発生される力との
間の均衡により決定される。中間プランジャー24と上方
プランジャー26の間の分離が大きければ大きい程噴射タ
イミングの進みが大きくなる。
タイミングばね56は又、複数個のオリフィスを有する
噴射ノズル66に隣接する噴射室64内に燃料を送出するの
に充分な程度に下方プランジャー22を上方へ移動させ
る。このばねは又、タイミング室34内へのタイミング流
体の調量に抵抗する偏倚力を確立する。次に、タイミン
グ室34内へのタイミング流体の供給により噴射タイミン
グが確立されている同時点に、噴射用燃料は燃料供給通
路62の供給オリフィスを介して噴射器カップ14の上方部
分内に流入する。噴射燃料の調量中に、噴射室64は公知
の圧力/時間原理に従って燃料の正確に調量された量が
部分的に充填され、かくして調量される燃料の量は、当
該燃料が燃料供給通路62を通じて流れる総調量時間と供
給圧力との関数となり、燃料供給通路62は、所望の圧力
/時間調量能力を与えるよう慎重に制御された油圧特性
を有する。
第5図bに示された第2段階において、カムの回転に
より上方プランジャー26は駆動列アッセンブリーを通じ
下方に駆動される。その結果、タイミング流体は通路が
上方プランジャー26の先方縁部で閉じられる迄タイミン
グ流体通路36を通じて戻される。上方プランジャー26の
先方縁部即ち下方縁部は慣用通り面取り出来、又は以下
に説明する如く使用時に排出ポートの閉じを改善すべく
面取りせずに下方縁部に直交底面を有する状態に出来
る。この時点で、タイミング流体は中間プランジャー24
と上方プランジャー26の間にトラップされ、3個のプラ
ンジャー素子全てを噴射室64底部のノズル・チップに向
かって一体的に移動させる油圧リンクが形成される。往
復動プランジャー・アッセンブリー20の下向きの運動中
に、弁ばね60とタイミングばね56の合力により決定され
る最大所定圧力をタイミング流体圧力が越える場合、弁
機構40が開いてタイミング流体をタイミング室34からタ
イミング室ドレイン通路38及びドレイン通路42を介して
排出させ、圧力を所定限界値内に低減化する。前記排出
動作に依らず、第5b図に示される如く下方プランジャー
22は、下方に移動する際燃料供給通路62を閉じ、燃料調
量を終了する。然し乍ら、プランジャー22が噴射室64内
に移動して噴射室の燃料が充填されていない部分を十分
占めるようになるまで、噴射室64内へ調量される燃料の
加圧は開始されない。この時点から噴射プランジャーの
下向き移動の完了する点迄の測定距離は『固定燃料高
さ』と称され、プランジャーの移動において噴射が実際
に開始する点を決定する。
噴射は下方プランジャー22の更なる下向き運動と共に
続き、第5c図に示される如く下方プランジャー22のチッ
フがノズル・チップ内の該プレンジャーの座と接触する
と直ちに終了する。噴射動作のこの第3部分、即ちオー
バー・ラン段階中に中間プランジャー24と上方プランジ
ャー26の間の油圧リンクがつぶされる。この段階中に、
上方プランジャー26は下方に移動し続けてタイミング流
体をタイミング室34外に排出する。弁ばね60で発生され
る流れの抵抗は、中間プランジャー24と上方プランジャ
ー26の間のつぶれるタイミング室34内に発生した圧力が
下方プランジャー22をその座に対し堅固し保持して2次
噴射を防止するのに充分であることを確実にするよう選
択される。代替的に、第5c図に示され、又以下に一層詳
細に説明される如く、噴射器のハウジング16にはタイミ
ング室ドレイン通路38とドレイン通路42とは別のタイミ
ング流体排出ポート70が形成可能で、タイミング流体は
この排出ポートを通じでオーバーラン段階の終了時に排
出される。
第5d図は、タイミング流体全てが排出されて中間プラ
ンジャー24と上方プランジャー26が分離されない状態と
なった後の噴射器の掃気段階を示す。この時点におい
て、噴射カムからノズル・チップにいたる全体の噴射列
は固定的機械的接触状態にある。(第5c図及び第5d図に
おける)オーバーラン段階と掃気段階の両者で、システ
ムはガスが掃気され、噴射器が冷却される。特に、ノズ
ル・チップ内に着座する下方プランジャー22によって噴
射が終了すると、燃料は燃料供給通路62から下方プラン
ジャー22の軸方向解放部分63へ流れ、(図示にされてい
ない通路を介して)補償室32内へ上方へ向かって流れ、
次に、ドレイン通路42を介して噴射器ハウジング16外へ
流れる。代替的に、第1図及び第2a図に示されるよう
に、別々の掃気流ドレイン・ポート68が使用可能であ
る。
先に説明した如く、噴射圧力が弁ばね60とタイミング
ばね56により決定される所定値以下にとどまっている限
り、噴射はノズル・チップ内の下方プランジャー22の着
座により直ちに終了する迄通常続行する。この時点で、
タイミング室34内の圧力は弁素子44を離座させるのに充
分なレベルに上昇に、かくして燃料をタイミング室34か
らタイミング室ドレイン通路38、補償室32及びドレイン
通路42を通じて排出可能にする。更に弁機構40は中間プ
ランジャー24と上方プランジャー26の間に形成されたタ
イミング室34内の油圧リンクの圧力を調整し、制御され
ないつぶれと2次噴射を防止する。一方、下方プランジ
ャー22が依然ノズル・チップに向かって駆動されている
間に噴射サイクル中において噴射圧力が弁ばね60によっ
て実現されている所定値を越えれば、中間プランジャー
24と上方プランジャー26の間のタイミング室内の圧力が
弁ばね60とタイミングばね56で加えられるシーリング圧
力にうち勝つ、かくして燃料を補償室32からタイミング
室ドレイン通路38を介してドレイン通路42へ逃げ得るよ
うにする。この場合、弁機構40は噴射が所定最大値に近
い圧力にて完了するように油圧リンク内の圧力を調整す
る作用がある。従って、弁ばね60はタイミングばね56と
は独立的にタイミング流体圧力を制御し、タイミング流
体圧力の制御は噴射タイミングの設定に影響しない。弁
機構40のこの圧力調整作用は又、噴射の持続時間が最小
化されること及び2次噴射を伴わずに噴射が直ちに終了
することを確実にする。
再び、第3図及び第4図を参照すると、弁機能40の2
つの実施例が示してある。第3a図及び第3b図は閉位置と
開位置にある弁機構40を図解している。弁素子44がタイ
ミング室ドレイン通路38の開口部から離れるよう移動し
てタイミング流体の排出が可能となる場合、弁素子44は
好適にはこの通路から0.0254cm(0.01インチ)以下離れ
ている。即ち、弁素子はその開位置と閉位置の間で0.02
54cm(0.01インチ)以下の移動を行う。好適には、この
距離は大略0.0203cm(0.008インチ)である。第4図は
閉位置と開位置の間で示された弁機構40に対する別の実
施例を図解している。この実施例において、弁素子44は
第一の実施例のものと比較して長くしてある。これは弁
素子の質量を増加させるが、弁ばねのばね力はその増加
した質量を補償するよう同様に増加出来る。更に、この
実施例においては、ばねの座屈を防止する目的で短いタ
イミングばねと弁ばねが使用される。第4a図及び第4b図
に示される如く、弁素子44はその閉位置と開位置の間で
0.356mm又は大略0.0254cm(0.01インチ)移動する。
前述の単一ばねの3個の孔の弁と単一ばねの単一の孔
の弁、及び'247特許に記載された単一ばね弁を使用する
従来の試みの場合と比較して、二重ばね低速弁は著しく
高い流動領域を達成できる。'247特許の第6図及び第7
図の噴射器において、弁に隣接した通路で形成される弁
座の流動領域は中間プランジャーの共平面断面積の大略
1.5%である。本発明においては、弁素子44に隣接する
タイミング室ドレイン通路38で形成された弁座の面積は
中間プランジャー24の共平面断面積の大略4.4%であ
る。従って、本発明における通路の面積は先行技術の通
路の面積のほぼ3倍である。この増加した面積は2個の
別々のタイミングばね56と弁ばね60を使用して可能とさ
れ、本発明で達成される多数の改善と諸利点を生み出
す。
本発明の二重ばねユニット燃料噴射器は、弁による圧
力調整を改善し、弁の流動領域を増加させ、特定の状況
下において噴射器ハウジング内の排出ポートの必要性を
なくす。(一実施例における5.48kg(1.21ポンド)から
10.7kg(23.6ポンド)の)弁ばねで達成される増加され
たばね負荷は、(開き圧力はばね負荷をタイミング室ド
レイン通路面積で除算したものと等しいので)同じ弁開
き圧力を維持しつつタイミング室ドレイン通路の断面流
動領域(弁座面積)を増加出来るようにする。タイミン
グ室ドレイン通路は、弁における主要制限が弁機構の開
き中に弁体の移動する距離(弁の開口寸法)となるよう
充分大きく、かくして調整能力を改善する。タイミング
ばねと弁ばねの質量の1/3と組合わさった弁機構の質量
の組合せは単一ばね型噴射器における同等構成要素の質
量以下である。これは慣性を減少させ、良好且つ迅速な
弁の応答を提供する。このことは、所定期間中に弁機構
を一層頻繁に開閉可能とし、弁機構をオリフィスとして
よりもむしろ調整器として動作させまた比較的遅い弁応
答で生ずる2次噴射の可能性を低減する。更に所定速度
(例えば5000rpm)及び所定負荷において、弁の大きい
揺動数は減少され、第6図のグラフに示される如く圧力
調整能力は3個の孔の設計より増加している。単一ばね
は二重ばねの設計より早く疲労し摩耗する傾向があるの
で、弁揺動数を減少させると弁とばねの耐性が改善され
る。この弁設計によれば、排出ポートをなくすことが出
来、3孔弁と排出ポートの組合せによる設計の場合より
優れた性能を得ることが出来る。
第7図に示された別の実施例においては、断面積が異
なる少なくとも2つの部分から成るタイミング室ドレイ
ン通路38を形成することで二重ばね高圧力ユニット燃料
噴射器の性能が更に改善される。燃料噴射器の残りの内
容は前述の通りである。第7a図は比較のため第1図〜第
5図の実施例のドレイン通路を図解している。第7b図及
び第7c図は複数領域型のタイミング室ドレイン通路38を
備えた別の実施例の2種類の異なる形式のものである。
弁素子44に隣接するタイミング室ドレイン通路38の底部
に主オリフィスが形成してある。主オリフィス又は弁座
38aの断面積は、弁機構40の開き動作圧力を制御してタ
イミング室34内のタイミング流体の圧力を制御するよう
選択してある。弁座38aは所定のばね定数と事前負荷に
対する弁開きを制御する。従って、弁座38aの寸法は燃
料噴射器の噴射圧力を制御する。調整オリフィス38bは
弁座38aの上流側に形成され、断面積は弁座38aの断面積
より狭くなっている。弁座38a及び弁開き距離と共に調
整オリフィス38bは中間プランジャー24内のタイミング
室ドレイン通路38を通過するタイミング流体の流量を制
御する。大部分の事例において、調整オリフィス38bの
断面積は弁座38aの断面積より狭いので、流量は調整オ
リフィス38bの寸法により制御され流量は弁座の寸法に
より許容される値以下である。弁座38aの所定寸法に対
し、弁機構40の開き圧力は同じ値にとどまる。然し乍
ら、寸法のより小さい調整オリフィス38bを使用するこ
とにより、有効流動面積が調整オリフィスにより低減さ
れ制御される。従って、噴射圧力は良好な噴射特性を達
成するよう一層容易に調整可能である。これは一層滑ら
かな排出流を提供すると共に弁機構が閉じる前の高い圧
力降下になり得る望ましくない高い排出流を防止する。
更に、流量を制限することにより、排出するタイミング
流体の圧力は弁機構の開き後に高い状態にとどまる。こ
の増加した圧力と低い流量は下方プランジャー22が噴射
室64の底部に着座する前に油圧リンクが全体的につぶれ
るのを防止し、下方プランジャーをその着座位置に維持
して2次噴射を防止する。調整オリフィス38bにより流
れに加えらえる制限は、弁素子44の慣性作用と組合った
際低いばね負荷を使用することで遭遇し得る高いピーク
圧力を発生する。低いばね負荷は耐性を改善し、システ
ムの寿命を長くする。更に、この設計で達成された改善
された圧力調整は典型的には高い平均噴射圧力、低いピ
ーク対ピーク値及び短い噴射持続時間をもたらす。これ
らの諸利点は、動作速度の増加と共に増加する。
第7b図の実施例においては、調整オリフィス・ハウジ
ング39はタイミング室ドレイン通路38内に配設される挿
入部分として形成してある。所定の主オリフィス又は弁
座断面積を備えたタイミング室ドレイン通路38に対して
複数の異なる調整オリフィス・ハウジング39の内の任意
のハウジングを使用出来、各ハウジングは断面積の異な
る調整オリフィス38bを備えている。従って、単独で弁
機構40の動作圧力を決定する所定の弁座面積に対して、
調整オリフィス38bを有する調整オリフィス・ハウジン
グ39は、調整オリフィス38bの面積が所望のタイミング
流体排出流量を発生するよう選択可能である。第7c図に
は所定の調整オリフィス38bの面積を備えた中間プラン
ジャー24が示してある。第7b図及び第7c図のいずれか一
方の実施例において、弁座38aと調整オリフィス38bの寸
法はこれらのオリフィスを変えることにより異なるの
で、動作圧力とタイミング流体排出流量のいずれか一方
は他方の動作特性を変えずに変えることが出来る。
第8図ないし第12図のグラフに図解された如く、この
複数領域のオリフィス設計は、良好の圧力調整、高い平
均噴射圧力、短い噴射時間、低減されたばね応力、及び
特定の2次噴射の除去等を達成する。第8図及び第9図
は3000rpm及び4200rpmの動作速度において噴射中に達成
された室内圧力を比較することにより第7b図及び第7c図
の調整オリフィスを備えた弁の性能を第1図ないし第5
図の二重ばね弁と比較している。2次噴射は第7b図及び
第7c図の修正された弁で低減されることに注意された
い。第10図及び第11図は第8図及び第9図のグラフから
得られた弁システムの2種類の型式の各種特性を比較し
ている棒グラフである。特に、第10図及び第11図は、
高、平均、及び低室内圧力、2次噴射の発生、及び高ピ
ーク及び低ピーク室内圧力の間の差も比較している。第
12図で調整オリフィスを有する弁の6回の試験動作を調
整オリフィスの無い弁と比較しており、A,B及びCで示
された3種類の異なる動作条件において3000rpmが3回
及び4200rpmが3回試験されている。燃料の正確な所定
量を計算することが困難であるので、有意義な比較を生
み出すよう持続時間は所定量の燃料に対して決定され
る。これらの図面から理解される如く、(第7b図及び第
7c図の)調整オリフィスを備えた弁は両方の動作速度に
おいて大きい高圧、大きい低圧及び平均圧力を達成し、
一方、2次噴射の発生を低減し、ピーク対ピーク(最高
値から最低値)の圧力の間の差を著しく低減している。
代替的な使用においては、弁機構に対する二重ばねシ
ステムを伴わずに主オリフィス又は弁座及び低減された
面積の上流側調整オリフィスを備えたタイミング流体排
出通路を使用出来ることが理解される。更に、このタイ
ミング流体排出オリフィスは、異なって動作して噴射圧
力を直接制御する燃料噴射器を使用する他の燃料システ
ムと同様、('247特許の如き)本明細書で開示された弁
を伴わずにHPI燃料噴射器と併用出来る。
第13図は2つの付加的な重要な特徴が示してある本発
明の燃料噴射器の代替的実施例を示している。第一の特
徴には、タイミング室ドレイン通路38とドレイン通路42
を有する弁機構40に加えて噴射器のハウジング16の噴射
器バレル12内にタイミング流体排出ポート70を形成する
ことが含まれる。弁機構40とその関連ある構成要素を使
用することは一部の状況においてはタイミング室排出ポ
ートの必要性をなくすが、高圧力ユニット燃料噴射器内
の弁と共にタイミング室排出ポートを使用することは多
くの予期されない諸利点を提供することが判明した。
第13図に示され、又、第5c図に示された如くタイミン
グ流体排出ポート70は燃料がエンジン・シリンダー内に
噴射された後に噴射サイクルのオーバーラン段階中にタ
イミング流体をタイミング室34から排出させる目的に使
用される。第5c図に関連して先に説明した如く、オーバ
ー・ランは、下方プランジャー22のチップがノズル・チ
ップ内の座と接触することより噴射が終了する際開始す
る。上方プランジャー26は下方へ移動し続けるので、タ
イミング流体はタイミング室34外に排出され、油圧リン
クがつぶれる。然し乍ら、弁機構40を通ってタイミング
流体を排出させるよりむしろタイミング流体はタイミン
グ流体排出ポート70を通じて排出する。この様にして、
タイミング流体排出ポート70と弁装置制御のドレイン通
路38とはタイミング流体の排出を独立的に制御し、2つ
の燃料排出経路は別々に且つ噴射サイクルの異なる時点
に動作する。弁機構は、特に高速、高負荷動作条件時に
第2段階と第3段階、即ち噴射段階とオーバーラン段階
中におけるピーク・タイミング流体圧力を調整し、制限
することでタイミング室内の圧力を制限するよう動作
し、一方、排出ポートはオーバーラン段階中に噴射後油
圧リンクのつぶれを制御する。
タイミング室排出ポート70の存在と使用は、タイミン
グ流体圧力が所定限界値を越え且つ各噴射サイクルのオ
ーバーラン段階中にない場合にのみ弁機構が作動するこ
とから弁機構40の使用を50%以上低減する。従って、弁
機構40は、高負荷、中程度から高程度の速度状態にのみ
作動することが可能であり、これは他の動作モードにお
いてはタイミング流体圧力が典型的には弁機構でセット
されたレベルに近付かないからである。これは弁機構40
の寿命を延ばすと共にその耐性、特に弁ばね60の耐性、
更に高い応力を受ける弁座領域の耐性を高める。更に、
全体的な噴射性能は排出ポートをもたらした油圧リンク
のつぶれと弁がもたらした油圧リンクのつぶれが別々に
セット出来、最適化出来ることからこの構成により改善
出来る。排出ポートは噴射終了後のタイミング室のつぶ
れを制御するような寸法にされ、弁機構は噴射中におけ
るピーク噴射圧力を制限するよう選択及び設定される。
弁機構の流動領域は、それが圧力制限のみを対象に寸法
付けられ、タイミング流体の排出を対象に寸法付けられ
ていないので著しく減少出来る。このことは弁機構が最
初に開かれる際の高い圧力降下を防止し、噴射中及び噴
射後の負荷の良好な制御を可能にする。従って、弁機構
40は弁調整の質を改善する更に狭い圧力範囲にわたり動
作出来る。
更に、排出ポートを弁機構と組合わせることにより、
燃料噴射器の動作はアイドル速度のような低速度動作条
件において且つ全ての動作速度に対する低負荷状態でノ
イズをほとんど発生しない。更に、所望の60mm3/ストロ
ークの排出レートにおいて、弁機構と排出ポートの組合
せは弁機構単独の場合よりも速いカム速度を達成する。
低速度(1000rpm)及び高速度(5000rpm)においてこの
組合せは高いピーク室内圧力を達成し、定格動作条件と
高いアイドル動作条件において、この組合せはより低い
ヘルツ応力を発生する。図示の如く、タイミング室排出
ポートは高圧燃料噴射器内に二重ばねシステムを使用す
ることで弁と組合せてある。然し乍ら、タイミング室排
出ポートを任意型式の弁と組合わせることで同じ利点を
達成可能である。二重ばね構成又は二重オリフィス・タ
イミング流体排出通路無しの場合でも弁機構のある排出
ポートを使用することで弁機構の、従って燃料噴射器の
圧力調整能力が改善される。
第13図に示された、タイミング室圧力制御装置を有す
る高圧力ユニット燃料噴射器の第2変形例には、タイミ
ング室排出ポート70に対する上方プランジャー26の下方
部分上に形成された改善された閉鎖体を提供することが
含まれる。第14図に示される如く、上方プランジャー26
は円筒側壁72及び平面状下壁74から形成されている。円
筒状側壁72はタイミング流体排出ポート70の近くで下壁
74と直交し、この直交関係は上方プランジャー26の周り
全体に延在している。従って、円筒側壁72は下壁74にい
たる迄ずっと軸方向穴18の内壁と平行に延在している。
面取りした部分は存在しない。これは例えば第1図に図
解された公知の現在使用されている構成とは対称的であ
り、円筒側壁72の最下方部分は点線76に示される如く面
取りがしてある。本明細書で説明される如く、タイミン
グ流体排出ポート閉鎖体の無いこれら公知の燃料噴射器
においては排出ポートの面積が大き過ぎるので、排出プ
ランジャーにかかる充分な負荷を維持来出ず、面取りさ
れた上方プランジャー26による2次噴射を防止出来な
い。これは円筒側壁72の面取りされた下方部分が、下方
プランジャー22をその座上に堅固に保持する充分な圧力
を維持するよう排出ポートの面積を低減しない又は排出
ポートを閉じないことによる。タイミング室34がつぶさ
れつつある第5c図のものと類似している噴射段階動作の
終了時を図解している第13図に示される如く、カム軸速
度及び上方プランジャー速度は極めて低く、上方プラン
ジャー26の下壁74は中間プランジャー24の上壁と直接機
械的に接触しつつある。円筒側壁72の面取りされていな
い部分は少なくとも部分的ではあるがおそらく完全にタ
イミング流体排出ポート70を閉じる作用がある。このこ
とは、タイミング室内の比較的高い圧力を維持するため
のプランジャー速度の減少にも拘わらず噴射終了時にお
けるタイミング流体排出ポート70の有効面積を減少さ
せ、この比較的高い圧力は下方プランジャー22上に充分
高い排出負荷を維持し、下方プランジャー22が噴射室64
内の座から離れて上昇すること及び2次噴射を発生する
ことを防止する。更に、このようなタイミング流体排出
ポート70の閉鎖は、動力を増加させ、エンジン内の燃焼
していない炭化水素の放出を低減させることが判明し
た。
第14a図、第14b図及び第14c図に一層明瞭に示される
如く、タイミング流体排出ポート70の閉鎖は3段階に示
してある。第14a図の第1段階においては排出ポートは
完全に開いている。第14b図の第2段階においては上方
プランジャー26は部分的にタイミング流体排出ポート70
を閉じ、排出ポートは第14c図の第3段階において完全
に閉じられている。先行技術の上方プランジャーの面取
り部76の特性は破線で示されている。矢印はタイミング
流体の排出を表す。
先行技術の燃料噴射器においては、この面取り部はタ
イミング室内へのタイミング流体の調量中に流動制限を
無くすために形成される。本発明によれば、より大きい
タイミング流体調量ポートを使用するか、調量ポートを
更に開くか、又はバレル内の調量ポート箇所にアンダー
・カット又は内側バレル溝を形成することのいずれかに
より、面取りしていない上方プランジャー26を使用して
も流動制限が除去される。これらの解決策は全て充填中
における流動制限を防止する一方、高い排出負荷を維持
して排出点における2次噴射を防止する。好適な解決策
は調量ポートの寸法を大きくし、更に調量ポートを開く
ことである。
第15図は上方プランジャーの移動、カム軸速度、上方
プランジャーの負荷及び噴射圧力をクランク角度に対し
てプロットしている一連の4つのグラフである。各グラ
フは同じクランク角度に対応するよう示してある。第15
a図のグラフにおいて、上方プランジャーの移動が示し
てある。第15b図において、カム速度が示してある。標
準的なHPIユニット燃料噴射器は、第15c図に図解された
“標準HPIでの負荷”として表されたくぼみにより図示
の如く噴射終了附近において上方プランジャーに比較的
低い負荷を有している。第15d図に示される如く、この
低負荷は下方プランジャーをその座から離れて上昇さ
せ、2次噴射を生ぜしめる。これと対照的に、本発明の
上方プランジャー上の排出ポート閉鎖体を使用すると、
第15c図に破線で示される如く公知の高圧排出負荷と比
較して上方プランジャーの負荷を増加させる。これは先
行技術の噴射器で発生される如き高いクラッシュ負荷を
伴わずに噴射と鋭く且つ明瞭な終了をもたらすと共に第
15d図に示された先行技術の噴射器の共通の二次噴射も
無くす。このことは又、燃料噴射器を複雑にし且つ前述
の'137特許の第3図に要求される如く過剰移動距離を生
ずるロスト・モーション機構の使用を伴わずに達成され
る。更に、このタイミング排出ポート閉鎖体は低速弁を
使用する高圧燃料噴射器に制限されず、タイミング室排
出ポートを有する任意の燃料噴射器と併用可能である。
従って、本発明による高圧ユニット燃料噴射器は弁内
の液体流動能力の増加した改善された圧力調整を提供す
る。2個の別々のばねが弁機構と併用されるので、タイ
ミングは弁機構の要求される動作圧力の設定と同時に且
つその設定とは別々に最適化できる。従って、弁開き圧
力を維持しつつ、増加した流動能力が達成可能である。
ばね負荷を2個のばねに分散してばねの疲労を低減する
ことによって、2個のばねを使用することはまた全体的
に弁機構と噴射器の耐性を改善する。これらの諸利点
は、1つのばねが使用されて弁圧力の制御と下方プラン
ジャーの偏倚によるタイミングの制御が行われる先行技
術の単一ばねシステムより著しく改善されている。更
に、中間プランジャー内の排出通路の面積を変えること
によって、弁開き圧力と排出流量は別々に制御可能とな
り、燃料噴射器の動作が更に改善され最適化される。結
局、タイミング室排出ポートが設けられて噴射後にタイ
ミング流体を排出し、弁を補足し、弁の動作を改善する
ことが出来、タイミング室排出ポート用の改善された閉
鎖体が使用されて2次噴射が防止できる。
添附図面を参照した前述の−において、本発明の多数
の特性、利点及び実施例について説明して来た。然し乍
ら、この開示内容は例示的なものに過ぎず、本発明は図
解された実施例には限定されない。本発明の範囲又は技
術思想から逸脱せずに当業者により各種変形と修正を本
発明で行うことが出来る。
〔発明の効果〕
本発明の高圧ユニット燃料噴射器は各種内燃機関に適
用される。その1つの特に重要な適用例は自動車用動力
源としての自動車の用途に適合している小型の圧縮燃焼
エンジンに対してである。軽量のトラック・エンジン及
び中間レンジ馬力のエンジンも本発明による燃料噴射器
の使用から利益が得られよう。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例による二重ばね高圧ユニット
燃料噴射器の断面図。 第2a図は第1図の燃料噴射器の弁機構の拡大断面図。 第2b図は第2a図の弁機構の側面図。 第3a図及び第3b図は第1図、第2a図及び第2b図の噴射器
に採用された弁機構の拡大断面図で、弁機構は各々閉位
置と開位置に図解してある。 第4a図、第4b図は弁機構の他の実施例を示す第3a図及び
第3b図に類似した図。 第5a図〜第5d図は異なる動作段階における第1図の燃料
噴射器の断面図。 第6a図及び第6b図は二重ばね低速弁の動作を先行技術の
単一ばね低速弁と比較したグラフ。 第7a図/第7c図は本発明に従って設計された噴射器の中
間プランジャーに形成され得る排出通路の3つの異なる
実施例を示す。 第8図は第7b図及び第7c図の弁の室内圧力対時間を3000
rpmの動作速度にて第1図ないし第5図の弁と比較した
グラフ。 第9図は第7b図及び第7c図の弁の室内圧力対時間を4200
rpmの動作速度にて第1図〜第5図の弁と比較したグラ
フ。 第10図は第8図の比較された弁に対する最高、平均、最
低圧力、2次噴射量及びピーク対ピークの差を比較した
グラフ。 第11図は第9図で比較した弁に対する最高、平均、最低
圧力、2次噴射量及びピーク対ピークの差を比較したグ
ラフ。 第12図は第7b図及び第7c図の弁と第1図〜第5図の弁に
対する各速度における噴射持続と6回の試験動作の動作
条件を比較したグラフ。 第13図は本発明の他の実施例によるタイミング室排出ポ
ートを備えた二重ばね低速弁高圧ユニット燃料噴射器の
断面図。 第14a図、第14b図及び第14c図は排出ポート閉鎖体の各
段階を示す第13図のタイミング室排出ポート閉鎖体の拡
大断面図。 第15a図、第15b図、第15c図及び第15d図は、クランク角
度に対する上方プランジャー移動、カム軸速度、上方プ
ランジャー負荷、及び噴射圧力を図解している第13図の
高圧ユニット燃料噴射器の性能グラフ。 10:燃料噴射器、11:噴射室、12:噴射器バレル、14:一体
構成噴射器カップ、16:ハウジング、18:穴、20:往復動
プランジャー・アッセンブリー、22:下方プランジャ
ー、24:中間プランジャー、26:上方プランジャー、28:
戻りばね、32:補償室、34:タイミング室、36:タイミン
グ流体通路、38:タイミング室ドレイン通路、38a:弁
座、38b:調整オリフィス、39:調整オリフィス・ハウジ
ング、40:弁機構、42:ドレイン通路、44:弁素子、46:弁
ガイド、48:流体通路、50:クロス・ピン、52:穴、53:
穴、54:ばねガイド、56:タイミングばね、57:座、58:中
空穴、60:弁ばね、61:底部、62:燃料供給通路、63:軸方
向解放部分、64:噴射室、66:噴射ノズル、68:ドレイン
・ポート、70:タイミング流体排出ポート、72:円筒側
壁、74:下壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レスター エル.ピーターズ アメリカ合衆国、47201 インディアナ 州、コロンバス、ウエスト ダム ロー ド 8543 (72)発明者 マイケル イー.ルーカス アメリカ合衆国、47203 インディアナ 州、コロンバス、ノース 100 イース ト 15625 (72)発明者 ジュリアス ピー.パー アメリカ合衆国、47201 インディアナ 州、コロンバス、カー ヒル ロード 2765 (72)発明者 クアングーウェン トーマス ワン アメリカ合衆国、47203 インディアナ 州、コロンバス、ランターン レイン 3629

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する高圧
    ユニット燃料噴射器であって: 中央穴と、自身の下端部に位置付けられ前記中央穴と燃
    焼室の間を連通する噴射オリフィスとを有する噴射器ハ
    ウジングを備え; 前記中央穴内で往復運動するよう設置された上方プラン
    ジャーと下方プランジャーとを備え; 調量される燃料の噴射のタイミングを変える油圧タイミ
    ング手段を備え、前記油圧タイミング手段は、前記上方
    プランジャーと前記下方プランジャーの間で前記中央穴
    内にて往復運動して前記上方プランジャーと中間プラン
    ジャーの間に配設されるつぶれ得るタイミング室を形成
    する中間プランジャーを含み; 前記タイミング室からタイミング流体を排出するドレイ
    ン通路を備え; タイミング流体を前記タイミング室から前記通路を通じ
    て解放することにより前記タイミング室内のタイミング
    流体の圧力を制限するよう閉位置から開位置へ移動可能
    な弁手段を備え; 前記下方プランジャーを上方へ偏倚して前記中間プラン
    ジャーに係合させ、前記タイミング室内へのタイミング
    流体の調量を制限し且つ前記弁手段をその閉位置に向か
    って移動させる偏倚力を確立する第1偏倚手段を備え; 前記タイミング室内へのタイミング流体の調量に抵抗す
    る偏倚力を増加させることなく前記弁手段をその閉位置
    に向かって移動させる付加的偏倚力を加える第2偏倚手
    段を備える、高圧ユニット燃料噴射器。
  2. 【請求項2】前記第2偏倚手段によって誘起される前記
    弁手段の閉位置に向かう運動を制限する運動制限手段を
    更に含む請求項1記載の燃料噴射器。
  3. 【請求項3】前記第1及び第2偏倚手段が各々コイルば
    ねを含み、前記第1偏倚手段が前記下方プランジャーの
    周囲に配設され、前記第2偏倚手段が前記下方プランジ
    ャーの上方端部内の中空部分内に配設される請求項2記
    載の燃料噴射器。
  4. 【請求項4】前記通路が前記中間プランジャー内に含ま
    れ前記タイミング室と前記中間プランジャー下方の前記
    中央穴の部分と連通し、前記弁手段が、その閉位置にあ
    る際前記通路の下方開口部を横切ってシーリングするよ
    う配設された上方面を有する弁素子を含む請求項3記載
    の燃料噴射器。
  5. 【請求項5】前記下方プランジャーの前記上方端部内の
    前記中空部分が弁ガイドとして形成され、前記弁素子が
    前記弁ガイド内に平行移動可能に受入れられ、前記第2
    偏倚手段が前記弁素子の下方面上に直接上方に向けられ
    る偏倚力を提供する請求項4記載の燃料噴射器。
  6. 【請求項6】前記弁ガイドに隣接する位置合わせされた
    半径方向開口部が前記弁ガイドに対して形成され、前記
    弁素子に固定されると共に、前記開口部内へ向かう相互
    に対向する方向に延在して前記下方プランジャーに対す
    る前記弁素子の相対的運動の限界を定めるピンを前記弁
    素子が含む請求項5記載の燃料噴射器。
  7. 【請求項7】前記弁素子がその開位置と閉位置の間で移
    動する距離が大略0.025cm(0.01インチ)である請求項
    6記載の燃料噴射器。
  8. 【請求項8】前記弁手段の運動に対する慣性作用を限定
    し前記弁手段の応答時間を増加するよう小さい質量で前
    記弁手段が形成される請求項1記載の燃料噴射器。
  9. 【請求項9】前記通路が前記中間プランジャーを通じて
    配設されて前記中間プランジャーの下面上に前記弁手段
    に対する座を形成し、前記弁座の流動面積が前記中間プ
    ランジャーの共平面断面積の少なくとも4%である請求
    項1記載の燃料噴射器。
  10. 【請求項10】前記通路は前記弁手段に隣接して配設さ
    れた弁座を含み、前記弁素子が閉じられる時に前記タイ
    ミング室内の流体の圧力を受ける前記弁素子上の有効断
    面積を前記弁座が定め、前記通路は前記弁座の上流側に
    位置付けられた調整オリフィスを更に含み、前記調整オ
    リフィスは前記弁座の有効断面積より狭い有効断面積を
    有し、かくして前記弁座が前記弁手段の開き圧力を制御
    し前記調整オリフィスがタイミング流体の排出流量を制
    御する請求項1記載の燃料噴射器。
  11. 【請求項11】タイミング流体を前記タイミング室から
    排出させるよう前記噴射器ハウジングに形成されたタイ
    ミング室排出ポートを更に含み、前記噴射オリフィスが
    閉じられる前記下方プランジャーの最下方位置に前記下
    方プランジャーが近付く場合にのみ開くよう前記タイミ
    ング室排出ポートが位置付けられ、前記上方プランジャ
    ーがその最下方位置に近付く際前記弁手段を通じてより
    むしろ主として前記排出ポートを通じて前記タイミング
    室からタイミング流体を排出させるのに充分な流量能力
    を前記タイミング室排出ポートが備えている請求項1記
    載の燃料噴射器。
  12. 【請求項12】前記タイミング室排出ポートは、前記下
    方プランジャーがその最下方位置に到達した時点にタイ
    ミング流体の前記タイミング室からの排出を制限する寸
    法にされ、前記下方プランジャー上に充分な圧力を維持
    して前記下方プランジャーをその最下方位置に保持す
    る、請求項11記載の燃料噴射器。
  13. 【請求項13】前記上方プランジャーが円筒状側壁と全
    体的に平面状である下面とを含み、前記円筒状側壁は全
    体的に前記下面と直交し、前記上方プランジャーがその
    最下方位置に接近し前記タイミング室がその実質的に完
    全につぶされた状態に近付く際前記タイミング室排出ポ
    ートが前記上方プランジャーの前記円筒状側壁により除
    々に制限される請求項11記載の燃料噴射器。
  14. 【請求項14】前記円筒状側壁の下方部分は、前記上方
    プランジャーがその最下方位置に接近し前記上方プラン
    ジャーの速度が減少する際少なくとも部分的に前記タイ
    ミング室排出ポートを閉じ、かくして前記タイミング室
    排出ポートの有効面積が低減されて前記タイミング室内
    の高い流体圧力を維持し、この圧力が前記下方プランジ
    ャー上に高い下向きの圧力を維持して2次噴射を防止す
    る請求項13記載の燃料噴射器。
  15. 【請求項15】前記通路は前記弁手段に隣接して配設さ
    れた弁座を含み、前記弁座は、前記弁素子の閉塞時に前
    記タイミング室内の流体と圧力を受ける前記弁素子上の
    有効断面積を定め、前記通路は前記弁座の上流側に位置
    付けられた調整オリフィスを更に含み、前記調整オリフ
    ィスは前記弁座の有効断面積より狭い有効断面積を有
    し、かくして前記弁座が前記弁手段の開き圧力を制御し
    前記調整オリフィスがタイミング流体の排出流量を制御
    する請求項14記載の燃料噴射器。
  16. 【請求項16】内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する高
    圧ユニット燃料噴射器であって: 中央穴と、自身の下端部に位置付けられて前記中央穴と
    燃焼室の間を連通する噴射オリフィスとを有する噴射器
    ハウジングを備え; 前記中央穴内で往復運動するよう設置された上方プラン
    ジャーと下方プランジャーとを備え; 調量される燃料の噴射のタイミングを変える油圧タイミ
    ング手段を備え、前記油圧タイミング手段は、前記上方
    プランジャーと前記下方プランジャーの間で前記中央穴
    内にて往復運動して前記上方プランジャーと前記中間プ
    ランジャーの間に配設されるつぶし得るタイミング室を
    形成するよう設置された中間プランジャーを含み; 前記タイミング室からタイミング流体を排出するドレイ
    ン通路を備え; タイミング流体を前記タイミング室から前記ドレン通路
    を介して解放することにより前記タイミング室内のタイ
    ミング流体の圧力を制限するよう閉位置から開位置へ移
    動可能な弁手段を備え; 前記弁手段に作用して前記弁手段の弁開き圧力を制御す
    る偏倚手段を備え; 前記通路は前記弁手段に隣接して配設された弁座を含
    み、前記弁座は、前記弁素子の閉塞時に前記タイミング
    室内の流体の圧力を受ける前記弁素子上の有効断面積を
    定め、前記通路は前記弁座の上流側に位置付けられた調
    整オリフィスを更に含み、前記調整オリフィスは前記弁
    座の有効断面積より狭い有効断面積を有し、かくして前
    記弁座が前記弁手段の開き圧力を制御し前記調整オリフ
    ィスがタイミング流体の排出流量を制御する、高圧ユニ
    ット燃料噴射器。
  17. 【請求項17】前記噴射器ハウジングに形成され、タイ
    ミング流体を前記タイミング室から排出するタイミング
    室排出ポートを更に含み、前記噴射オリフィスが閉じら
    れる前記下方プランジャーの最下方位置に前記下方プラ
    ンジャーが近付く場合にのみ前記タイミング室排出ポー
    トが開かれるよう前記タイミング室排出ポートが位置付
    けられ、前記上方プランジャーがその最下方位置に近付
    く際前記弁手段よりむしろ主として前記排出ポートを介
    して前記タイミング室からタイミング流体を排出させる
    よう充分な流量能力を前記タイミング室排出ポートが有
    する請求項16記載の燃料噴射器。
  18. 【請求項18】前記タイミング室排出ポートは、前記下
    方プランジャーがその最下方位置に接近する際前記タイ
    ミング室からのタイミング流体の排出を制限する寸法に
    され、充分な圧力を前記下方プランジャー上に維持して
    前記下方プランジャーをその最下方位置に保持する請求
    項17記載の燃料噴射器。
  19. 【請求項19】前記上方プランジャーが円筒状側壁と全
    体的に平面状である下面とを含み、前記円筒状側壁は全
    体的に鋭い直角にて前記下面と交差し、前記上方プラン
    ジャーがその最下方位置に接近し前記タイミング室がそ
    の実質的に完全につぶされた状態に近付く際前記上方プ
    ランジャーの前記円筒状側壁により前記タイミング室排
    出ポートが除々に制限される請求項17記載の燃料噴射
    器。
  20. 【請求項20】前記円筒状側壁の下方部分は、前記上方
    プランジャーがその最下方位置に接近し前記上方プラン
    ジャーの速度が減少する際少なくとも部分的に前記タイ
    ミング室排出ポートを閉じる形成にされ、かくして前記
    タイミング室排出ポートの有効面積が低減されて前記タ
    イミング室内に高い流体圧力を維持し、この圧力が前記
    下方プランジャー上に高い下向き圧力を維持して2次噴
    射を防止する請求項19記載の燃料噴射器。
  21. 【請求項21】内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する高
    圧ユニット燃料噴射器であって: 中央穴と、自身の下端部に位置付けられ前記中央穴と燃
    焼室の間を連通する噴射オリフィスとを有する噴射ハウ
    ジングを備え; 前記中央穴内で往復運動するよう設置された上方プラン
    ジャーと下方プランジャーとを備え; 調量される燃料の噴射のタイミングを変える油圧タイミ
    ング手段を備え、前記上方プランジャーと前記下方プラ
    ンジャーの間で前記中央穴内にて往復運動して、前記上
    方プランジャーと中間プランジャーの間に配設される、
    タイミング流体を受取り且つつぶし得る油圧リンクを形
    成するためのつぶし得るタイミング室を形成するよう設
    置された中間プランジャーを前記油圧タイミング手段が
    含み; 前記タイミング室からタイミング流体を排出する通路を
    備え; 前記通路を開閉する弁手段を備え; 前記弁手段に作用して前記弁手段の弁開き圧力を制御す
    る偏倚手段を備え; 前記噴射器ハウジング内に形成され、タイミング流体を
    前記タイミング室から排出するタイミング室排出ポート
    を備え、前記タイミング室排出ポートは、前記噴射オリ
    フィスが閉じられる前記下方プランジャーの最下方位置
    に前記下方プランジャーが接近する場合にのみ開かれる
    よう位置付けられ、前記タイミング室排出ポートは、前
    記上方プランジャーがその最下方位置に接近する際前記
    弁手段を通じてよりむしろ主として前記排出ポートを通
    じて前記タイミング室からタイミング流体を排出させる
    充分な流量能力を有する、高圧ユニット燃料噴射器。
  22. 【請求項22】前記タイミング室排出ポートは、前記下
    方プランジャーがその最下方位置に接近する際前記タイ
    ミング室からのタイミング流体の排出を制限する寸法に
    され、充分な圧力を前記下方プランジャー上に維持して
    前記下方プランジャーをその最下方位置に保持する請求
    項21記載の燃料噴射器。
  23. 【請求項23】前記上方プランジャーが円筒状側壁と全
    体的に平面状である下面とを含み、前記円筒状側壁は全
    体的に鋭い直角にて前記下面と交差し、前記上方プラン
    ジャーがその最下方位置に接近し前記タイミング室がそ
    の実質的に完全なつぶれ状態に接近する際前記タイミン
    グ室排出ポートが除々に前記上方プランジャーの前記円
    筒状側壁により制限される請求項21記載の燃料噴射器。
  24. 【請求項24】前記円筒状側壁の下方部分は、前記上方
    プランジャーがその最下方位置に接近し前記上方プラン
    ジャーの速度が減少している際少なくとも部分的に前記
    タイミング室の排出ポートを閉じる形状にされ、かくし
    て前記タイミング室排出ポートの有効面積が前記タイミ
    ング室内に高い流体圧力を維持するよう低減され、この
    圧力が前記下方プランジャー上に高い下向き圧力を維持
    して2次噴射を防止する請求項21記載の燃料噴射器。
  25. 【請求項25】内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するユ
    ニット燃料噴射器であって: 中央穴と、自身の下端部に位置付けられ前記中央穴と燃
    焼室の間を連通する噴射オリフィスとを有する噴射器ハ
    ウジングを備え; 前記中央穴内で往復運動するよう設置された下方プラン
    ジャーを備え; 前記中央穴内で往復運動するよう設置され、円筒状側壁
    と全体的に平面状である下面とを含む上方プランジャー
    を備え、前記円筒状側壁は全体的に鋭い直角にて前記下
    面と交差し; 調量燃料の噴射のタイミングを変える油圧タイミング手
    段を備え、前記油圧タイミング手段は、前記中央穴内で
    往復運動して上方プランジャーと中間プランジャーの間
    に配設されるつぶし得るタイミング室を形成するよう設
    置された中間プランジャーを含み; タイミング流体を前記タイミング室から排出する通路を
    備え; 前記噴射器ハウジング内に形成され、タイミング流体を
    前記タイミング室から排出するタイミング室排出ポート
    を備え、前記タイミング室排出ポートは、前記下方プラ
    ンジャーが最下方位置に接近し前記タイミング室がその
    実質的に完全につぶれた状態に接近する際前記上方プラ
    ンジャーの前記円筒状側壁により除々に制限される、ユ
    ニット燃料噴射器。
  26. 【請求項26】前記円筒状側壁の下方部分は、前記上方
    プランジャーがその最下方位置に接近し前記上方プラン
    ジャーの速度が減少している際少なくとも部分的に前記
    タイミング室を閉じる形状にされ、かくして前記タイミ
    ング室排出ポートの有効面積が低減されて前記タイミン
    グ室内に高い流体圧力を維持し、この圧力が前記下方プ
    ランジャー上に高い下向き圧力を維持して2次噴射を防
    止する請求項25記載の燃料噴射器。
  27. 【請求項27】内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する高
    圧ユニット燃料噴射器であって: 中央穴と、自身の下端部に位置付けられ前記中央穴と燃
    焼室の間を連通する噴射オリフィスとを有する噴射器ハ
    ウジングを備え; 前記中央穴内で往復運動するよう設置された上方プラン
    ジャーと下方プランジャーとを備え; 前記上方プランジャーと下方プランジャーの間に形成さ
    れるつぶし得るタイミング室を含む、調量燃料の噴射と
    タイミングを変える油圧タイミング手段備え; 前記タイミング室からタイミング流体を解放することに
    より前記タイミング室内のタイミング流体の圧力を制限
    するよう閉位置から開位置へ移動可能な弁手段を備え; 前記下方プランジャーを上方に偏倚して前記中間プラン
    ジャーに係合させ、前記タイミング室へのタイミング流
    体の調量を制限し且つ前記弁手段をその閉位置に向かっ
    て移動させる偏倚力を確立する第1偏倚手段を備え; 前記タイミング室内へのタイミング流体の調量にさから
    う偏倚力を増加させずに前記弁手段をその閉位置に向か
    って移動させる付加的偏倚力を加える第2偏倚手段を備
    える、高圧ユニット燃料噴射器。
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