JP4696604B2 - 化粧部材 - Google Patents

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Description

本発明は、家具等の扉や引き出しの前板に使用する樹脂成形体からなる化粧部材に関するものである。
従来、この種の樹脂材料を成型加工して製作される化粧部材は、熱可塑性樹脂をブロー成型して得られる中空の二重構造で、表面と裏面および端面を一体で構成し、上下の端面には化粧部材を開閉自在に枢支する枢支軸を挿入する軸孔が設けてある。
図13、図14は特許文献1に記載された洗面台の扉として使用した従来の化粧部材を示すものである。図13に示すように洗面台1の天板2の下方に2枚の扉3が各々左右に開閉自在に設けてある。図14に示すように、扉は、表面部4と裏面部5と上下左右の端面部6が熱可塑性樹脂で一体成型されており、表面部4と裏面部5の間には所定間隔の中空部7が構成されている。また上下の端面部6に軸孔8が設けてある。
しかしながら、前記従来の構成では化粧部材の外面として、使用者が日常的に見る表面部は均質は樹脂で成型されたものであるため意匠性が低く、特に高級感が欠ける課題があった。また中空構造であるため化粧部材全体の強度と剛性の面での課題があり、表面部を叩いたり化粧部材を開閉する時に不快な音がする、この点でも高級感に欠ける課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、充分な強度と剛性を有し、意匠性が高く高級感を備えた化粧部材を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の化粧部材は、連接する複数の前面部材と裏面部材を備え、少なくとも1つ以上の前面部材を透明樹脂で形成した表面部材の裏面に隠蔽層を密着して形成し、他の前面部材を不透明な樹脂で形成し、前面部材と裏面部材を所定の空間を設けて配設し、前記空間に流動材料を充填硬化して芯材を形成する構成としたことにより、前面部材と裏面部材は芯材を介して一体に結合し強度と剛性を備えることで高い質感を得ることができ、しかも透明樹脂で形成した前面部材は独特の深みのある高級感を備え、不透明樹脂による前面部材は傷や汚れが目立ちにくい外観となり、意匠性と使い勝手のよい化粧部材を提供することができる。
本発明の化粧部材は、意匠性が高く高級感を備え、キッチン空間のインテリア性を向上することができる。
第1の発明は、連接する複数の前面部材と裏面部材を備え、少なくとも1つ以上の前面部材の前面部と前面から略直角方向に延設した端面部を透明または半透明樹脂で一体に形成した表面部材の裏面に隠蔽層を密着して形成し、前面部材と裏面部材を所定の空間を設けて配設し、前記空間の少なくとも一部に流動材料を充填硬化して芯材を形成した化粧部材であって、前記連接する複数の前面部材のうち一方の端部を構成する前面部材を不透明樹脂で形成し、この不透明樹脂で形成した前面部材における前記一方の端部側の端部に、軟質樹脂で形成した軟質リブを前面部材に沿って突設したことにより、前面部材と裏面部材は芯材を介して一体に結合し強度と剛性を備えることができ、しかも透明な表面部材を通してその奥にある隠蔽層を見る構成となることにより、独特の深みのある高級感を備えた意匠が実現できることとなり、高い質感と高級感を有する意匠を備えた化粧部材を提供することができる。
また本発明の化粧部材を足元で使用した場合、下部に位置する部分に不透明の樹脂を使用することにより、傷が目立ちにくく長い期間に亘り外観意匠を維持できるものである。
また、下端に軟質樹脂による軟質リブ設けたことにより、床面の凹凸になじんで隙間を隠すことができるものである。
(実施の形態1)
図1は本発明の化粧部材を使用したシステムキッチンの斜視図を示し、図2はシステムキッチンの扉として使用する本実施の形態の化粧部材の断面図を示し、図3は前面部材の詳細断面図を示し、図4は化粧部材の背面からの斜視図を示し、図5はヒンジ受金具取付部の分解斜視図を示す。
図1に示すようにシステムキッチン11には上部の吊戸棚12の扉13と、ワークトップ14の下部に設置したキャビネット15の引き出しの前板16、17、18および幕板19として本発明の化粧部材を使用しており、本実施の形態においては吊戸棚12の扉13として使用した化粧部材について記述する。
図2、図3に示すように扉13の前面となる前面部材20はフラットな形状の前面部20aと前面部20aの周辺より後方に延設した端面部20bが一体の略箱形状をなしている。端面部20bは両側及び上部が前面部20aより後方に直角に延設しており、下部の端面部20bは前面部20aから傾斜面20cを介して前面部20aと並行な取っ手取付面20dが設けてある。
上記形状の前面部材20はアクリル樹脂からなる透明樹脂を金型を用いて射出成型した表面部材21の裏面に塗装によって形成した隠蔽層22を備えた構成となっている。表面部材21は約3mmの厚さを有し、表面側は光沢面となっており、裏面側は高さ約1mmのディンプル状のシボ面になっている。
図3に示すように隠蔽層22は、まず表面部材21の裏面に直接透明層22aを塗装し、次に透明層22aの裏面に不透明層22bを塗装した2層の塗膜で構成してある。透明層22aに使用するアクリルウレタン系からなる塗料は、透明塗料にパール粉からなる微粒子23を添加したものであり、塗装膜厚として約18μm塗布している。不透明層22bに使用するアクリルウレタン系からなる塗料は任意の色に着色した隠蔽力の強いものであり、塗装膜厚として約25μm塗布する。前記透明層22aと不透明層22bに塗布した塗料は約70℃の硬化炉に30分放置し、その後冷却することにより表面から見て隠蔽層22を持つ化粧部材の前面部材20を得ることができる。隠蔽層22は、前面部20aと端面部20bの後端及び取っ手取付面20dまで同じ色で隠蔽されている。
前記取っ手取付面20dにはアルミの押し出し成形による断面形状が略F字形の取っ手24が係合してある。取っ手24の下端辺24aの先端には扉の開成時に指先が係る折り曲げ部24bが形成してあり、略中央に設けた中間辺24cの先端は上方に折り曲げた突起部24dが形成してある。また取っ手24の上端は略クランク形状をなし裏面材受24eが形成してある。
前面部材20の左右および上部の端面部20bと取っ手24の裏面材受24eで構成される開放面は略平板状の裏面部材25で閉塞する構成となっている。裏面部材25はABS樹脂の平板で表面部材と同じ厚さの3mmの押し出し材で構成されている。
図4に示すように裏面部材25の一方の側端近傍には扉13を吊戸棚12開閉自在に設置するヒンジ(図示せず)を取り付けるためのヒンジ取付穴25aが2か所設けてあり、ヒンジ取付穴25aの近傍の対向する2か所にはヒンジをねじで取り付けるための取付穴25bが設けてある。
図5に示すようにヒンジ取付穴25aと取付穴25bに対応する裏面部材25の内面に当接してヒンジ受金具26が配置してある。ヒンジ受金具26は中央にはヒンジの枢支部を収容する箱状の凹部26aとその周辺にはフランジ部26bが設けてあり、フランジ部26bの前記取付穴25bに対応する位置にはねじ穴26cが設けてあり、ヒンジの取付用のねじ(図示せず)を裏面部材25を介して強固に固定できる構成となっている。フランジ部26bの先端部は裏面部材25から浮き上がるように折り曲げた切り起こし部26dが設けてあり折り曲げ部26dには複数の貫通穴26eが設けてある。
前面部材20と取っ手24と裏面部材25で形成される空間27全体に、裏面部材25の注入口(図示せず)より流動材料であるウレタン樹脂を充填し発泡硬化させて芯材28を形成し、前面部材20と裏面部材25と取っ手24とヒンジ受金具26は芯材28を介して一体に結合している。
以上のように構成された扉について、以下その動作、作用を説明する。
本実施の形態における扉は、前面部材20と取っ手24と裏面部材25とヒンジ受金具26を仮組みした状態でウレタン樹脂からなる芯材28を充填し発泡硬化することにより得たものである。
このようにして得られた扉は、ヒンジ取付穴にヒンジを取り付け、吊戸棚に設置することにより、取っ手を使用して開閉自在の扉となり、吊戸棚への物品の収納を快適に行うことができるものとなる。
また、前面部材の前面部と略同厚さの裏面材を芯材を介してサンドイッチ構造にすることにより、扉全体として個々の部材の強度を加えた強度以上に強い強度を発揮し、かつ前面部材と裏面部材を略同厚さの樹脂成形体で構成することにより、樹脂の熱膨張係数はほぼ近いので温度変化や湿度変化による化粧部材の反りや変形を極力防止する作用を発揮する。
以上のように本実施の形態では、透明樹脂の表面部材の裏面に隠蔽層を塗装した前面部材と、裏面部材と、取っ手と、ヒンジ受金具をウレタン樹脂からなる流動材料を充填し発泡硬化して芯材を形成することで一体化した扉を得ることができ、独特の深みのある意匠性の高い扉を容易に作ることができるものである。
特に、表面部材の裏面をディンプル状のシボ面にし、微小粒子を含んだ透明層と不透明層からなる2層構成の隠蔽層にすることにより、独特の深みのある意匠の扉を得ることができる。特に、裏面をディンプル状のシボ面とすることにより、塗装膜厚による色むらなどがシボ面で光が乱反射することにより目立たなくすることができ、量産性に優れた扉を得ることができる。
また、隠蔽層が、前面部材の前面部と前面部から略直角方向に延設した端面部の裏面まで同じ色で隠蔽されているので、システムキッチンとして構成した場合に扉の隣同士間の目地(隙間)が目立たないので、外観良好なものを得ることができる。
また、ヒンジ受金具の切り起こし部に設けた貫通穴と取っ手の先端に突起部を設けたことにより、ヒンジ受金具および取っ手と芯材とが強固に結合することとなり、使用時に特に力が加わるヒンジと取っ手の取り付け部の強度を増すことができ耐久性を確保することができる。
なお、本実施の形態においては前面部材の表面部材を射出成形により成形したが、これに限るものではなく、真空成形法や圧空成形法により成形体を得ることもできる。また成形材料も、透明樹脂あるいは半透明樹脂であれば良くABS樹脂、PS樹脂、ポリカーボネート樹脂等でも良い。
また、本実施の形態においては表面部材の裏面はディンプル状のシボ面になっている場合を述べたが、表面部材の裏面は波状や斑点状などの凹凸があって前面から入射する光が表面部材の裏面で乱反射するような裏面状態であれば本実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態では隠蔽層が2層で構成される場合について述べたが、透明塗料にパール粉やアルミ粉等の微粒子を適量添加することにより十分隠蔽できるので、塗装膜層を1層で構成し、メタリック調の隠蔽層とすることもできる。
また、隠蔽層は、前面部と端面部の後端までの裏面を同じ色で塗装する場合について述べたが、端面部裏面を前面部とは異なる色で塗装すれば、扉の外枠がアクセントラインとなって、デザインバリエーションを充実させることができる。
また、本実施の形態においては表面部材の裏面に塗装により隠蔽層を構成したが、これに限るものではなく、表面部材の裏面にシートを貼って隠蔽層を構成することもでき、この構成の場合非常に簡便な生産設備で生産することが可能となる。また表面部材と隠蔽層を樹脂の一体成型で構成することもでき、この場合隠蔽層を形成するための2次工程が不要となるため生産性を向上することができる。
また、芯材として発泡ウレタン樹脂について述べたが、これに限るものではなく、充填硬化が可能な他の樹脂や石膏等の無機材料でも良く、また芯材の一部または全部を板状のパーティクルボードやMDFなどの木質系の芯材を介して前面部材と裏面部材を接着することにより同様な意匠の扉を得ることができる。
また、本実施の形態では裏面部材としてABSの押し出し材を使用したが、これに限るものではなく、前面部材と同様な構成の透明樹脂に隠蔽層を密着させた構成とすることにより化粧部材の裏面の意匠性を高めることとなり、より高級感を向上することができる。
なお、本実施の形態における表面部材の表面部はフラットな形状としたが、これに限るものではなく、表面の一部が突出した突出部を備えたものや、取っ手を一体で形成したもの等も成型可能である。また、前面部材を複数に分割した部品で成型し、それらを組み合わせて構成することも可能である。その場合一部の部品を不透明樹脂や異なった色の樹脂で成型することにより雰囲気の異なるデザインを得ることができる。
(実施の形態2)
図6はシステムキッチンの引き出しの前板17として使用する本実施の形態の化粧部材の前面斜視図を示し、図7は引き出しの前板の背面斜視図を示し、図8は図6におけるAA断面図を示し、図9は図6におけるBB断面図を示し、図10は収納箱受金具取付部の分解斜視図を示す。
図に示すように本実施の形態における引き出しの前板17の前面部材31の前面部31aは、前方に突出した突出部31bと奥行き方向に後退した後退部31cを滑らかな曲面形状の屈曲部31dを介して連続的に形成した波形の形状をしており、周囲には後端が略同一面となる端面部31eを備えている。
前面部材31は実施の形態1と同様に、前面部31aと端面部31eを透明なアクリル樹脂の射出成型により約3mmの厚さで一体に成型した表面部材32の裏面に隠蔽層22を塗装した構成であり、前面部31aの裏面のディンプル形状および隠蔽層22は実施の形態1と同様な構成である。
前面部材31の屈曲部31dの中央部には略長穴形状の取っ手開口31fが前面部材31を貫通して設けてあり、図8に示すように取っ手開口31fに対応する裏面には凹形状の堀込取っ手33が設置してあり、堀込取っ手33の周縁部33aは取っ手開口31fの周縁に全周に亘り嵌合している。
図7、図9に示すように引き出しの前板17上部には裏面より開閉自在な収納蓋34を備えた収納部35が設置してある。収納部35は前面部材31上部の全幅に亘り開放面を隠蔽する上部裏面部材36の略中央に設けた凹陥部36aを収納ケースとし、凹陥部6aの開口下端に設けた枢支ピン36bを収納蓋34の枢支穴34a挿入することにより開閉自在としている。また、収納蓋34のほぼ全面には内外を連通するスリット状の通気口34bを備え、上端部には樹脂の弾性を利用したストパー34cが一体に成型してあり、凹陥部36aに設けた突起部36cと係合することにより閉成状態を保持できる構成となっている。
上部裏面部材36の上部には略直角方向に折れ曲がった係止片36dが一体の形成してあり、前面部材31の上部の端面部31eに設けた切り欠き部31gに嵌合している。また上部裏面部材36の下端部には略クランク形状をなし裏面材受36eが形成してある。
前面部材36の左右および下部の端面36aと上部裏面部材36の裏面材受36eで構成される開放面は略平板状の裏面部材37で閉塞する構成となっている。裏面部材37は実施の形態1と同様にABS樹脂の平板で表面部材と同じ厚さの3mmの押し出し材で構成されている。
図7に示すように裏面部材37の両側端近傍には引き出しの前板17に収納箱(図示せず)を取り付けるための収納箱取付穴37aが左右にそれぞれ2か所づつ設けてある。
図10に示すように収納箱取付穴37aに対応する裏面部材37の内面に当接して収納箱受金具38が配置してある。収納箱受金具38の前記収納箱取付穴37aに対応する位置にはねじ穴38aが設けてあり、収納箱の取付用のねじで裏面部材37を介して強固に固定できる構成となっている。収納箱受金具38の先端部は裏面部材37から浮き上がるように折り曲げた切り起こし部38bが設けてあり折り曲げ部38bには複数の貫通穴38cが設けてある。
前面部材31と上部裏面部材36と裏面部材37と堀込取っ手33とで形成される空間39全体に、裏面部材37の注入口(図示せず)より実施の形態1と同様にウレタン樹脂を充填し発泡硬化させて芯材40を形成し、前面部材31と上部裏面部材36と裏面部材37と堀込取っ手33と収納箱受金具38は芯材40を介して一体に結合している。
実施の形態1と同一符号の部材は同一構造を有し、詳細な説明は実施の形態1の説明と同内容とし、本実施の形態においては説明を省略する。
以上のように構成された引き出しの前板として使用する化粧部材について、以下その動作、作用を説明する。
本実施の形態における化粧部材は、前面部材31と上部裏面部材36と裏面部材37と堀込取っ手33と収納箱受金具38を仮組みした状態で、ウレタン樹脂からなる流動材料を充填して発泡硬化した芯材40で一体に構成した本体部分に、収納蓋34を取り付けることにより堀込取っ手33と収納部35を備えた引き出しの前板を完成することができるものである。
上記構成の化粧部材を引き出しの前板として使用すると、引き出しの摺動操作には前面部材の屈曲部に設けた堀込取っ手を使用することで、引き出しへの物品の収納を快適に行うことができるものである。特に、堀込取っ手は前面部材の屈曲部に設けてあるため前面からその存在がほとんど視認できないため、意匠性の向上に寄与する効果が非常に大きいものである。
また、引き出しの前板上部に設けた収納部はスリット状の通気口を有する収納蓋を備えた構成であり、小物類の収納が可能であるが、特に通気口を備えているので、脱臭剤や乾燥剤あるいは酸化抑制剤等を収納することでシステムキッチンの庫内に収納した食品等を最適条件で保存することができるものであり、しかも引き出し前板のデッドスペースを活用することで省スペースの効果も奏するものである。
上記本実施の形態特有の作用効果以外に、意匠面、強度面においては実施の形態1と同様の効果を奏するものである。
なお、本実施の形態においては引き出しの前板の上部に収納部を設けたがこれは必須の要素ではなく、幅の狭い引き出しに使用する引き出しの前板には収納部を設けないシンプルな構成が適している。
なお、本実施の形態における表面部材は樹脂を一体成型したものを使用したが、これに限るものではなく、例えば突出部等の前面部材の一部を分割して成型し、それらを組み合わせて構成することも可能である。その場合一部の部品を不透明樹脂や異なった色の樹脂で成型することにより異なった雰囲気のデザインを得ることができる。
(実施の形態3)
図11はシステムキッチンの下部で引き出しの前板18として使用する本実施の形態の化粧部材の前面斜視図を示し、図12は引き出しの前板18の断面図を示す。
図11に示すように本実施の形態における引き出しの前板18が他の実施の形態と大きく異なるのは前面部材41が上部前面部材42と下部前面部材43の2つの部材で構成している点である。
上部前面部材42は他の実施の形態と同様に、前面部42aと端面部42bを透明なアクリル樹脂の射出成型により約3mmの厚さで一体に成型した表面部材44の裏面に隠蔽層22を塗装した構成であり、前面部42aの裏面のディンプル形状および隠蔽層22は他の実施の形態と同様な構成である。上部前面部材42の上端部には実施の形態1と断面が同形状の取っ手45が実施の形態1と同構造で取り付けてある。
下部前面部材43は着色したABS樹脂を押し出し成型により成型したもので、前面部43aは硬質材料を使用し、前面部43aの下端部には軟質樹脂による軟質リブ43bが一体で成型してある。下部前面部材43の両側端部にはABS樹脂を射出成型で成型したキャップ46がそれぞれ設置してある。
上部前面部材42と下部前面部材43の前面接合部は略同一面となるように接合しており、上部前面部材の両側の端面部42aとキャップ46も略同一面となるように接合している。
前面部材41と取っ手45で構成される開放面は略平板状の裏面部材47で閉塞する構成となっている。裏面部材47は他の実施の形態と同様にABS樹脂の平板で表面部材と同じ厚さの3mmの押し出し材で構成されている。
裏面部材47の両側端近傍には引き出しの前板18に収納箱(図示せず)を取り付けるための収納箱取付穴47aが左右にそれぞれ2か所づつ設けてある。収納箱取付穴47aに対応する裏面部材47の内面には実施の形態2と同様に収納箱受金具38が配置してある。
前面部材41と取っ手45とキャップ46と裏面部材47とで形成される空間48全体に、裏面部材47の注入口(図示せず)より他の実施の形態と同様にウレタン樹脂を充填し発泡硬化させて芯材49を形成し、前面部材41と取っ手45とキャップ46と収納箱受金具38は芯材49を介して一体に結合している。
実施の形態1または2と同一符号の部材は同一構造を有し、詳細な説明は実施の形態1または2の説明と同内容とし、本実施の形態においては説明を省略する。
以上のように構成された引き出しの前板として使用する化粧部材について、以下その動作、作用を説明する。
本実施の形態における化粧部材は、前面部材41と取っ手45とキャップと裏面部材47と収納箱受金具38を仮組みした状態でウレタン樹脂からなる芯材49を充填し発泡硬化することにより得たものである。
本実施の形態の化粧部材はシステムキッチンの足元部分に設置する引き出しの前板として使用するのに適した構成であり、その特徴的な構成は前面部材の下部を着色した樹脂を使用した点が、他の実施の形態における化粧部材が前面部材全体を透明樹脂で構成している点と大きく異なるものである。
システムキッチンの足元は使用中に足や各種の物品が当たるため化粧部材の表面が損傷を受ける可能性が非常に高く、透明樹脂を使用した場合傷が目立ちやすく、その点着色した不透明の樹脂を使用した本実施の形態における化粧部材は、傷が目立ちにくく長い期間に亘り外観意匠を維持できるものである。
また、前面部材の下端に設けた軟質樹脂による軟質リブは、システムキッチンの設置場所の床面に凹凸がある場合に、軟質リブが床面の凹凸になじんで隙間を隠すことができるため、キッチン空間全体の意匠性を向上することができるという作用効果を備えたものである。
なお、本実施の形態における表面部材の表面部はフラットな形状としたが、これに限るものではなく、表面部材の一部が突出した突出部を備えたものや、取っ手を一体で形成したもの等も成型可能であり、取っ手を一体で形成した場合は上部に設置したアルミの押し出し成型による取っ手は不要となり生産性の向上が図れる。
以上のように、本発明にかかる化粧部材は、強度を備えた意匠性の高い部材であるため、各種建材にも適用できる。
本発明の化粧部材を使用したシステムキッチンの斜視図 本発明の実施の形態1における化粧部材の断面図 本発明の実施の形態1における化粧部材の要部詳細断面図 本発明の実施の形態1における化粧部材の背面斜視図 本発明の実施の形態1における化粧部材の要部斜視図 本発明の実施の形態2における化粧部材の前面斜視図 本発明の実施の形態2における化粧部材の背面斜視図 本発明の実施の形態2における化粧部材の図6に示すAA断面図 本発明の実施の形態2における化粧部材の図6に示すBB断面図 本発明の実施の形態2における化粧部材の要部斜視図 本発明の実施の形態3における化粧部材の前面斜視図 本発明の実施の形態3における化粧部材の断面図 従来の化粧部材の斜視図 従来の化粧部材の断面図
符号の説明
20、31、41 前面部材
20a、31a、42a、43a 前面部
20b、31e、42b 端面部
21、32、44 表面部材
22 隠蔽層
25、37、47 裏面部材
27、39、48 空間
28、40、49 芯材
43b 軟質リブ

Claims (1)

  1. 連接する複数の前面部材と裏面部材とを備え、
    少なくとも1つ以上の前面部材の前面部と前面から略直角方向に延設した端面部を透明または半透明樹脂で一体に形成した表面部材の裏面に隠蔽層を密着して形成し、
    前面部材と裏面部材を所定の空間を設けて配設し、前記空間の少なくとも一部に流動材料を充填硬化して芯材を形成した化粧部材であって、
    前記連接する複数の前面部材のうち一方の端部を構成する前面部材を不透明樹脂で形成し、
    この不透明樹脂で形成した前面部材における前記一方の端部側の端部に、軟質樹脂で形成した軟質リブを前面部材に沿って突設した
    ことを特徴とする化粧部材。
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