JP4696472B2 - 無段変速装置 - Google Patents

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この発明は、車両(自動車)用自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関し、通常走行時に於ける変速動作の迅速性を確保しつつ、停車時若しくは極低速走行時での特性を向上させるものである。
自動車用自動変速装置として、図3〜5に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に入力側ディスク2、2を、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持している。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車3を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車3の両側に1対の出力側ディスク4、4を、この出力歯車3と同期した回転自在に支持している。
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク4、4との間にそれぞれ複数個ずつ挟持したパワーローラ5、5を、それぞれ特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン6、6の内側面に、支持軸7、7及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持している。これら各トラニオン6、6は、それぞれの長さ方向(図3、5の上下方向、図4の表裏方向)両端部にこれら各トラニオン6、6毎に互いに同心に設けられた、枢軸8、8を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン6、6を傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ9、9により、これら各トラニオン6、6を上記各枢軸8、8の軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン6、6の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
上記入力軸1と出力歯車3との間の変速比を変えるべく、上記各トラニオン6、6の傾斜角度を変える場合には、上記各アクチュエータ9、9により上記各トラニオン6、6を所定方向に、互いに同じ距離だけ変位させる。この変位に伴って、上記各パワーローラ5、5の周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディスク4、4の内側面との転がり接触部でサイドスリップが発生し、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、上記各枢軸8、8を中心として揺動する。この結果、上記各転がり接触部の位置が変化し、上記入力軸1と出力歯車3との間の回転変速比が変化する。
上記各アクチュエータ9、9への圧油の給排状態の切り換えは制御弁10により行ない、何れかのトラニオン6の動きをこの制御弁10にフィードバックする様にしている。この制御弁10は、ステッピングモータ11により軸方向(図3の表裏方向、図5の左右方向)に変位させられるスリーブ12(請求項1に記載した一部の構成部材)と、このスリーブ12の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール13(請求項1に記載した他の構成部材)とを有する。又、上記各トラニオン6、6と上記各アクチュエータ9、9のピストン14、14とを連結するロッド15、15のうち、何れかのロッド15の端部に固定したプリセスカム16とリンク腕17とにより、上記トラニオン6の、軸方向の変位量と回転方向の変位量との合成値を上記スプール13に伝達する、フィードバック機構を構成している。
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ11により上記スリーブ12を、得ようとする変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記制御弁10の所定方向の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ9、9に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ9、9が上記各トラニオン6、6を前記各枢軸8、8の軸方向に変位させ、これら各トラニオン6、6がこれら各枢軸8、8を中心に揺動する。この動きは、上記フィードバック機構により上記スプール13に伝達され、このスプール13が軸方向に所定量変位して、上記制御弁10の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ9、9への圧油の給排が停止される。要するに、上記ステッピングモータ11により上記スリーブ12を上記所定位置に変位させた後は、上記各トラニオン6、6が上記各枢軸8、8の軸方向に往復移動する。そして、これら各トラニオン6、6の傾斜角度が、得ようとする変速比に見合う所定角度に達した状態で、これら各トラニオン6、6が中立位置に復帰すると同時に、上記制御弁10が閉じられて、上記アクチュエータ9への圧油の給排が停止される。
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸18により一方(図3、4の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置19を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ5、5を介して前記各出力側ディスク4、4に伝わり、前記出力歯車3から取り出される。
この様に上記各入力側ディスク2、2から上記各出力側ディスク4、4に動力を伝達する際に、上記各トラニオン6、6には、それぞれの内側面に支持した上記各パワーローラ5、5の周面と上記各ディスク2、4の内側面との転がり接触部(トラクション部)での摩擦に伴って、それぞれの両端部に設けた枢軸8、8の軸方向の力が加わる。この力は、所謂2Ftと呼ばれるもので、その大きさは、上記各入力側ディスク2、2から上記各出力側ディスク4、4(或は出力側ディスク4、4から入力側ディスク2、2)に伝達するトルクに比例する。そして、この様な力2Ftは、前記各アクチュエータ9、9により支承する。従って、トロイダル型無段変速機の運転時に、これら各アクチュエータ9、9を構成するピストン14、14の両側に存在する1対の油圧室20a、20b同士の間の圧力差は、上記力2Ftの大きさに比例する。
上記入力軸1と出力歯車3との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車3との間で減速を行なう場合には、上記各アクチュエータ9、9により上記各トラニオン6、6を上記各枢軸8、8の軸方向に移動させ、これら各トラニオン6、6を図4に示す位置に揺動させる。そして、上記各パワーローラ5、5の周面をこの図4に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク4、4の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン6、6を図4と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ5、5の周面を、この図4に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク4、4の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン6、6を傾斜させる。これら各トラニオン6、6の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車3との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。例えば特許文献1には、所謂ギヤード・ニュートラル(GN)と呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる無段変速装置が記載されている。この様な無段変速装置の場合、所謂低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、トロイダル型無段変速機の変速比を調節する事により、入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
上述の様な、所謂無限大の変速比を実現できる無段変速装置の場合、上記出力軸を停止させた状態を含み、変速比を極端に大きくした状態で、トロイダル型無段変速機に加わるトルクを適正値に維持する事が、このトロイダル型無段変速機の耐久性確保と、運転操作の容易性確保との面から重要である。何となれば、「回転駆動力=回転速度×トルク」の関係から明らかな通り、変速比が極端に大きく、上記入力軸が回転したまま上記出力軸が停止又は極低速で回転する状態では、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)が、上記入力軸に加わるトルクに比べて大きくなる。この為、上記トロイダル型無段変速機の耐久性を、このトロイダル型無段変速機を大型化する事なく確保する為には、上述の様にトルクを適正値に納める為に厳密な制御を行なう必要が生じる。具体的には、上記入力軸に入力するトルクをできるだけ小さくしつつ、上記出力軸を停止させる為、駆動源を含めた制御が必要になる。
又、上記変速比が極端に大きな状態では、上記トロイダル型無段変速機の変速比が僅かに変化した場合にも、上記出力軸に加わるトルクが大きく変化する。この為、上記トロイダル型無段変速機の変速比調節が厳密に行なわれないと、運転者に違和感を与えたり、運転操作を行ないにくくする可能性がある。例えば、自動車用の自動変速装置の場合、停止時には運転者がブレーキペダルを踏んだままで、停止状態を維持する事が行なわれる。この様な場合に、上記トロイダル型無段変速機の変速比調節が厳密に行なわれず、上記出力軸に大きなトルクが加わると、停車時に上記ブレーキペダルを踏み込む為に要する力が大きくなり、運転者の疲労を増大させる。逆に、発進時に上記トロイダル型無段変速機の変速比調節が厳密に行なわれず、上記出力軸に加わるトルクが小さ過ぎると、滑らかな発進が行なわれなくなったり、上り坂での発進時に車両が後退する可能性がある。従って、停止時若しくは極低速走行時には、駆動源から上記入力軸に伝達するトルクを制御する他、上記トロイダル型無段変速機の変速比調節を厳密に行なう必要がある。
この様な事情に鑑みて、本発明者は先に、遊星歯車式変速機と組み合わせて無限大の変速比を実現できる構造で、トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)の制御を厳密に行なえる方法及び装置を発明した(特願2003−56681号)。図6は、この様な第一の先発明の制御方法及び装置の対象となる、無段変速装置の構造の1例を示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機21と遊星歯車式変速機22とを組み合わせて成る。具体的には、このトロイダル型無段変速機21を構成する入力軸1及び1対の入力側ディスク2、2と、上記遊星歯車式変速機22を構成するキャリア23とを、互いに同期した回転自在に結合している。そして、このキャリア23の両側面に、それぞれがダブルピニオン型である、第一、第二の遊星歯車組24、25を支持し、これら各遊星歯車組24、25を構成する歯車を互いに噛合させると共に、それぞれの内径側の歯車を上記トロイダル型無段変速機21の出力側ディスク4aにその基端部(図6の左端部)を結合した中空回転軸26の先端部(図6の右端部)及び伝達軸27の一端部(図6の左端部)にそれぞれ固設した第一、第二の太陽歯車28、29に、外径側の歯車をリング歯車30に、それぞれ噛合させている。
一方、上記伝達軸27の他端部(図6の右端部)に固設した第三の太陽歯車31の周囲に設けた第二のキャリア32に第三の遊星歯車組33を、回転自在に支持している。又、この第二のキャリア32は、上記入力軸1と同心に配置された出力軸34の基端部(図6の左端部)に固設している。又、上記第三の遊星歯車組33を構成する歯車を互いに噛合させると共に、内径側の歯車を上記第三の太陽歯車31に、外径側の歯車を、上記第二のキャリア32の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車35に、それぞれ噛合させている。又、上記リング歯車30と上記第二のキャリア32とを低速用クラッチ36により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車35とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ37により係脱自在としている。
上述の様な構造を有する無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ36を接続し、上記高速用クラッチ37の接続を断った状態では、上記入力軸1の動力が上記リング歯車30を介して上記出力軸34に伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機21の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての速度比eCVT 、即ち、上記入力軸1と上記出力軸34との間の速度比が変化する。この際のトロイダル型無段変速機21の速度比eCVU と無段変速装置全体としての速度比eCVT との関係は、上記リング歯車30の歯数m30と前記第一の太陽歯車28の歯数m28との比i1 (=m30/m28)を2とした場合に、図7に線分αで示す様に変化する。
これに対して、上記低速用クラッチ36の接続を断ち、上記高速用クラッチ37を接続した状態では、上記入力軸1の動力が、前記第一の遊星歯車組24、上記リング歯車30、前記第二の遊星歯車組25、前記伝達軸27、前記第三の遊星歯車組33、上記第二のキャリア32を介して、上記出力軸34に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機21の速度比eCVU を変える事により、無段変速装置全体としての速度比eCVT が変化する。この際のトロイダル型無段変速機21の速度比eCVU と無段変速装置全体としての速度比eCVT との関係は、上記リング歯車30の歯数m30と上記第一の太陽歯車28の歯数m28との比i1 (m30/m28)が2、上記リング歯車30の歯数m30と前記第二の太陽歯車29の歯数m29との比i2 (m30/m29)が2.2、前記第二のリング歯車35の歯数m35と前記第三の太陽歯車31の歯数m31との比i3 (m35/m31)が2.8である場合に、図7に線分βで示す様に変化する。
上述の様に構成し作用する無段変速装置の場合、図7の線分αから明らかな通り、上記入力軸1を回転させた状態のまま上記出力軸34を停止させる、所謂変速比無限大の状態を造り出せる。但し、この様に入力軸1を回転させた状態のまま上記出力軸34を停止させたり、或は極低速で回転させる状態では、前述した通り、上記トロイダル型無段変速機21を通過するトルク(通過トルク)が、駆動源であるエンジンから上記入力軸1に加えられるトルクよりも大きくなる。この為、車両の停止時又は微速運行時には、上記通過トルクが過大(或は過小に)にならない様にする為、駆動源から上記入力軸1に入力されるトルクを適正に規制する必要がある。
又、上記微速運行時、出力軸34を停止させる状態に近い状態、即ち、上記無段変速装置の変速比が非常に大きく、上記入力軸1の回転速度に比べて上記出力軸34の回転速度が大幅に遅い状態では、この出力軸34に加わるトルクが、上記無段変速装置の変速比の僅かな変動により、大幅に変動する。この為、円滑な運転操作を確保する為に、やはり駆動源から上記入力軸1に入力されるトルクを適正に規制する必要がある。
この為に、先発明による変速比の制御方法及び装置の場合には、図8に示す様にして、上記駆動源から上記入力軸1に入力されるトルクを適正に規制する様にしている。先ず、上記駆動源であるエンジンの回転速度を大まかに制御する。即ち、このエンジンの回転速度を、図8のw範囲内の点aに規制する。これと共に、この制御されたエンジンの回転速度に上記無段変速装置の入力軸1の回転速度を一致させる為に必要とされる、上記トロイダル型無段変速機21の変速比を設定する。即ち、先発明の方法によりエンジンから上記入力軸1に伝達するトルクを厳密に規制する必要があるのは、前記低速用クラッチ36を接続し、前記高速用クラッチ37の接続を断った、所謂低速モード時である。従って、上記入力軸1の回転速度を、必要とする出力軸34の回転速度に対応した値とすべく、前記遊星歯車式変速機22を構成する各歯車の歯数に応じ、公知の式に基づいて、上記トロイダル型無段変速機21の変速比を設定する。
又、上記トロイダル型無段変速機21に組み込んだトラニオン6、6を枢軸8、8の軸方向に変位させる為の油圧式のアクチュエータ9、9を構成する1対の油圧室20a、20b(図5及び後述する図9参照)同士の間の圧力差を、油圧センサ(図示省略)により測定する。この油圧測定作業は、上記エンジンの回転速度を大まか(但し回転速度を一定に保つ状態)に制御し、これに対応して、上述の様に公知の式に基づいて上記トロイダル型無段変速機21の変速比を設定した状態で行なう。そして、測定作業に基づいて求めた上記圧力差により、上記トロイダル型無段変速機21を通過するトルク(通過トルク)TCVU を算出する。
即ち、上記圧力差は、上記トロイダル型無段変速機21の変速比が一定である限り、このトロイダル型無段変速機21を通過するトルクTCVU に比例する為、上記圧力差により、このトルクTCVU を求める事ができる。この理由は、前述した様に、上記各アクチュエータ9、9が、前記入力側ディスク2、2から上記出力側ディスク4a(或は出力側ディスク4aから入力側ディスク2、2)に伝達されるトルク(=トロイダル型無段変速機21を通過するトルクTCVU )に比例する大きさを有する、2Ftなる力を支承する為である。
一方、上記トルクTCVU は、次式によっても求められる。
CVU =eCVU ・TIN/{eCVU +(i1 −1)ηCVU
この式中、eCVU は上記トロイダル型無段変速機21の速度比を、TINは上記エンジンから前記入力軸1に入力されるトルクを、i1 は第一の遊星歯車組24に関する遊星歯車変速機22の歯数比(リング歯車30の歯数m30と第一の太陽歯車28の歯数m28との比)を、ηCVU は上記トロイダル型無段変速機21の効率を、それぞれ表している。
そこで、上記圧力差から求めた、実際にトロイダル型無段変速機21を通過するトルクTCVU1と、上記式から求めた、目標とする通過トルクTCVU2とに基づいて、この実際に通過するトルクTCVU1と目標値TCVU2との偏差△T(=TCVU1−TCVU2)を求める。そして、この偏差△Tを解消する(△T=0とする)方向に、上記トロイダル型無段変速機21の速度比を調節する。
例えば、図8に示す様に、上記トロイダル型無段変速機21を実際に通過するトルクTCVU1(測定値)を目標値TCVU2に規制する領域で、上記エンジンが上記入力軸1を駆動するトルクTINが、この入力軸1の回転速度が高くなる程急激に低くなる方向に変化する場合に就いて考える。この様なエンジン特性を有する場合で、上記トルクの測定値TCVU1が同じく目標値TCVU2に比べて、各入力側ディスク2、2が各パワーローラ5、5(図4、5参照)からトルクを受ける方向の偏差を有する場合には、上記入力軸1を駆動するトルクTINを小さくする為にエンジンの回転速度を増大すべく、無段変速装置全体としての変速比を減速側に変位させる。この為に、上記トロイダル型無段変速機21の速度比を、増速側に変速する。
例えば、図8で、上記目標値TCVU2がa点に存在し、上記測定値TCVU1が同図のb点に存在する場合には、上記各入力側ディスク2、2が上記各パワーローラ5、5からトルクを受ける方向の偏差を有する状態となる。そこで、上記トロイダル型無段変速機21の速度比eCVU を増速側に変更して、無段変速装置(T/M)全体としての速度比eCVT を減速側に変更する。これに合わせてエンジンの回転速度を増速し、トルクを下げる。反対に、上記測定値TCVU1が同図のc点に存在する場合には、上記各入力側ディスク2、2が上記各パワーローラ5、5にトルクを付加する方向の偏差を有する状態となる。この場合には、上述した場合とは逆に、上記トロイダル型無段変速機21の速度比eCVU を減速側に変更して、無段変速装置(T/M)全体としての速度比eCVT を増速側に変更する。これに合わせて、エンジンの回転速度を減速してトルクを上昇させる。以下、前記圧力差から求めた、実際にトロイダル型無段変速機21を通過するトルクTCVU1が目標値TCVU2に一致するまで、上述した動作を繰り返し行なう。
上述の様にトロイダル型無段変速機21を実際に通過するトルクTCVU1を目標値TCVU2に一致させるべく、このトロイダル型無段変速機21の速度比eCVU を制御する部分の油圧制御回路は、例えば図9に示す様に構成する。この油圧制御回路では、トラニオン6を枢軸8、8(図5参照)の軸方向(図9の上下方向)に変位させる為の油圧式のアクチュエータ9を構成する1対の油圧室20a、20bに、制御弁10を通じて、圧油を給排自在としている。この制御弁10を構成するスリーブ12は、ステッピングモータ11により、リンク腕38とロッド39とを介して軸方向に変位自在としている。又、上記制御弁10を構成するスプール13は、リンク腕17とプリセスカム16とロッド15とを介して上記トラニオン6と係合させ、このトラニオン6の軸方向変位及び揺動変位に伴って、軸方向に変位自在としている。以上の構成は、従来から知られている、トロイダル型無段変速機の変速比制御機構と、基本的に同じである。
特に先発明の場合には、図9に示す様な構造により、上記スリーブ12を、上記ステッピングモータ11により駆動するのに加えて、油圧式の差圧シリンダ40によっても駆動する様にしている。先発明の場合、この差圧シリンダ40による上記スリーブ12の変位により、上記トロイダル型無段変速機21を通過するトルクTCVU1に応じてこのトロイダル型無段変速機21の速度比eCVU を調節する様にしている。
この為に先発明の場合には、上記差圧シリンダ40に設けた1対の油圧室41a、41b内に、補正用制御弁42を通じて、互いに異なる油圧を導入自在としている。これら各油圧室41a、41bに導入される油圧は、前記アクチュエータ9を構成する1対の油圧室20a、20b内に作用する油圧PDOWN、PUPの差圧△Pと、上記補正用制御弁42の開度調節用の1対の電磁弁43a、43bの出力圧の差圧△P0 とに基づいて決定される。即ち、これら両電磁弁43a、43bの開閉は、これら両電磁弁43a、43bの出力圧の差圧△P0 が前記トロイダル型無段変速機21の目標トルクTCVU2に対応する目標差圧となる様に、図示しない制御器(コントローラ)により演算され、この制御器から出力される出力信号に基づいて制御される。従って、上記補正用制御弁42を構成するスプール44には、上記アクチュエータ9の油圧室20a、20b内に作用する油圧の差圧△Pに応じた力と、これに対抗する力となる、上記目標トルクTCVU2に対応する目標差圧である上記電磁弁43a、43bの出力圧の差圧△P0 とが作用する。
上記トロイダル型無段変速機21を実際に通過するトルクTCVU1と上記目標トルクTCVU2とが一致する場合、即ち、これら通過トルクTCVU1と目標トルクTCVU2との偏差△Tが0の場合には、上記アクチュエータ9の油圧室20a、20b内に作用する油圧の差圧△Pに応じた力と、上記電磁弁43a、43bの出力圧の差圧△P0 に応じた力とが釣り合う。この為、上記補正用制御弁42を構成するスプール44は中立位置となり、上記差圧シリンダ40の油圧室41a、41bに作用する圧力も等しくなる。この状態では、この差圧シリンダ40のスプール45は中立位置となり、上記トロイダル型無段変速機21の速度比eCVU は変わらない(補正されない)。
一方、上記トロイダル型無段変速機21を実際に通過するトルクTCVU1と上記目標トルクTCVU2とに差が生じると、上記アクチュエータ9の油圧室20a、20b内に作用する油圧の差圧△Pに応じた力と、上記電磁弁43a、43bの出力圧の差圧△P0 に応じた力との釣り合いが崩れる。そして、上記通過トルクTCVU1と目標トルクTCVU2との偏差△Tの大きさ及び方向に応じて上記補正用制御弁42を構成するスプール44が軸方向に変位し、上記差圧シリンダ40の油圧室41a、41b内に、上記△Tの大きさ及び方向に応じた適切な油圧が導入される。そして、上記差圧シリンダ40のスプール45が軸方向に変位し、これに伴って、前記制御弁10を構成するスリーブ12が軸方向に変位する。この結果、前記トラニオン6が枢軸8、8(図5参照)の軸方向に変位して、上記トロイダル型無段変速機21の速度比eCVU が変わる(補正される)。
又、図示はしないが、特願2003−105967号には、前述した様な無限大の変速機を実現できる無段変速装置を対象として、シフトレバーをPレンジ或はNレンジ等の非走行状態から、DレンジRレンジ等の走行状態に切り換えた瞬間に、出力軸に過大なトルクが加わる事を防止する為の構造が開示されている。この第二の先発明に係る構造の場合には、トロイダル型無段変速機を構成する入力側ディスクの回転速度と出力側ディスクの回転速度とをそれぞれ回転センサにより検知自在とする。そして、上記非走行状態では、上記トロイダル型無段変速機の変速比を、入力軸を回転させたまま出力軸の回転を停止させられる値に制御する。この様な第二の先発明に係る構造の場合には、上記入力側ディスクの回転速度と出力側ディスクの回転速度とをそれぞれ回転センサにより検知し、上記トロイダル型無段変速機の変速比として実際の値を使用するので、トロイダル型無段変速機の固体差(各部品の寸法誤差や組み付け誤差)に拘らず、上記入力軸を回転させたまま上記出力軸の回転を停止させる状態を実現できる。
前述した第一の先発明の様に、トロイダル型無段変速機21の変速比を、このトロイダル型無段変速機21を通過するトルクを検出して補正する場合、このトルクを検出したタイミングと検出したトルクに基づいて補正するタイミングとに多少なりともずれが生じる。そして、このずれに基づいて、無段変速装置から出力されるトルクが安定しない可能性がある。これに対して、前記差圧シリンダ40(図9参照)による補正を行なわず、前記ステッピングモータ11による制御弁10のスリーブ12(図5、9参照)の軸方向位置制御のみで、上記無段変速装置の出力軸を停止させる、所謂変速比無限大状態(ギヤードニュートラル)を実現する為の制御を行なう事も考えられる。但し、この場合には、上記ステッピングモータ11の駆動を、一般的な2相励磁或は1相励磁で行なうと、1ステップ当たりの角移動量が大きく、上記スリーブ12の軸方向位置を微調節できない。この結果、上記変速比無限大の状態を実現できないと言った問題を生じる。
ステッピングモータの駆動方式に就いては従来から、非特許文献1、2等に記載されて知られているが、このうちの非特許文献2の記載されている略図である、図10に基づいて説明する。
ステッピングモータ11は、永久磁石製のロータ46とこの周囲に固定された複数個の電磁石47、47とから成り、何れかの電磁石47を励磁する事で、上記ロータ46を固定した回転軸を所定角度毎に間欠的に回転させる。図10中、黒く塗り潰した電磁石が、励磁された電磁石を表している。図10(A)に示す様に1個の電磁石47だけを励磁する駆動方式を1相励磁と言い、上記ロータ46はこの励磁された1個の電磁石47に向いた位置に保持される。これに対して、図10(B)に示した様に、隣り合う2個の電磁石47、47に励磁する駆動方式を2相励磁と言い、上記ロータ46はこれら励磁された両電磁石47、47の間に向いた位置に保持される。上記ステッピングモータ11の駆動方式として、この様な1相励磁又は2相励磁を採用した場合、1ステップ当たりの上記回転軸の角移動量は、隣り合う電磁石47、47同士の中心角ピッチに一致する。又、上記1相励磁と上記2相励磁とを交互に繰り返す駆動方式を1−2相励磁と言う。この場合に上記ロータ46は、上記図10(A)に示した状態と上記図10(B)に示した状態とを交互に繰り返す。この様な1−2相励磁を採用した場合、1ステップ当たりの上記回転軸の角移動量は、隣り合う電磁石47、47同士の中心角ピッチの半分になる。この様な各駆動方式にはそれぞれ特徴があり、上記1相励磁は、1ステップ毎に1個の電磁石を励磁して駆動する最も一般的な駆動方式であり、電力消費量も少なく経済的であるが、駆動トルクが弱く、高速運転時に空回り(脱調)し易い。これに対して、上記2相励磁は、1ステップ毎に2個の電磁石を励磁して駆動する為、電力消費量が嵩む代わりに駆動力が強く、高速運転時にも脱調しにくい。又、上記1−2相励磁は、上記2相励磁と比べると駆動トルクは弱いが、角移動量が上記1相励磁、2相励磁の半分であり、細かいステップ量(1相励磁及び2相励磁の2倍の精度)で駆動できる。トロイダル型無段変速機の技術分野では、従来、上記ステッピングモータ11の駆動方式として、上記2相励磁を採用していた。
前述の図6に示した様な、トロイダル型無段変速機21と遊星歯車式変速機22とを組み合わせた無段変速装置の場合、入力軸1を回転させたまま出力軸34を停止若しくは極低速で回転させる場合には、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を高精度で行なう必要がある。例えば、前述した第二の先発明の様に、シフトレバーを非走行状態から走行状態に切り換えた瞬間に出力軸34に過大なトルクが加わる事を防止すべく、この非走行状態が選択されている場合に上記トロイダル型無段変速機21の変速比を、高精度で制御する必要がある。この場合に、このトロイダル型無段変速機21の変速比が、前記ギヤードニュートラルを実現する値からずれていると、上記シフトレバーを走行状態に切り換えた瞬間に、上記出力軸34に予想以上の駆動力(クリープ力)が伝達されたり、運転者の意図とは逆方向の駆動力が伝達される可能性がある。
無限大の変速比を実現する無段変速装置の場合、上述の様に、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を高精度で行なう必要があるが、上記ステッピングモータ11の駆動方式として上記2相励磁を採用すると、1ステップ当たりの角移動量が大きく、上記変速比制御を必ずしも十分な精度で行なえない可能性がある。具体的には、上記入力軸1を回転させたまま上記出力軸34を停止させるべき位置に、前記制御弁10のスリーブ12を停止させられない可能性がある。ステッピングモータ11に組み込んだ永久磁石の数を多くしたり、ステッピングモータ11の回転軸と上記制御弁10との間に減速機を設ければ、この制御弁10の軸方向位置、延ては上記トロイダル型無段変速機21の変速比を高精度で制御できる。但し、設置スペース等を考慮した場合には、現実的な解決方法とは言えない。
特開2000−220719号公報 特開平10−103461号公報 見城尚志著、「小形モータの基礎とマイコン制御」、総合電子出版社、昭和58年8月25日、p.96−102 「ステッピングモータを廻す1/ステッピングモータの原理」、[online]、2001年8月、エフテック株式会社、[2004年4月6日検索]、インターネット<URL:http://www.ftech-net.co.jp/robot/howto/motor01.html >
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、従来と同様のステッピングモータを使用して、減速機等を使用しなくても、トロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の制御弁の制御を高精度で行なえる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の無段変速装置は、入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、このトロイダル型無段変速機の変速比の変更を制御する為の制御器とを備える。
このうちのトロイダル型無段変速機は、入力側ディスクと、出力側ディスクと、複数個のパワーローラと、複数個の支持部材と、複数のアクチュエータと、制御弁と、ステッピングモータと、フィードバック機構とを備える。
このうちの入力側ディスクは、上記差動ユニットの第一の入力部と共に、上記入力軸により回転駆動される。
又、上記出力側ディスクは、上記入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持され、上記差動ユニットの第二の入力部に接続されている。
又、上記各パワーローラは、上記両ディスク同士の間に挟持されている。
又、上記各支持部材は、それぞれが上記各パワーローラを1個ずつ回転自在に支持すると共に、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在としている。
又、上記各アクチュエータは、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させてこれら各支持部材をこの枢軸を中心に揺動変位させ、上記入力側ディスクと上記出力側ディスクとの間の変速比を変える為のもので、油圧式である。
又、上記制御弁は、上記各アクチュエータへの作動油の給排を制御する為のものである。
又、上記ステッピングモータは、上記制御弁の切り換え状態を変える為のもので、この制御弁の一部の構成部材を変位させる。
又、上記フィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの動きを上記制御弁の他の構成部材に伝達して、この制御弁の切り換え状態を変える為のものである。
一方、前記差動ユニットは、上記第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して上記出力軸に伝達するものである。
更に、前記制御器は、上記トロイダル型無段変速機の変速比を調節して上記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事により、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換する機能を有するものである。
特に、本発明の無段変速装置に於いては、上記制御器は、上記ステッピングモータの駆動を、上記トロイダル型無段変速機の変速比を微調節する場合に1−2相励磁で行ない、それ以外の場合に1相励磁又は2相励磁で行う。そして、少なくとも上記トロイダル型無段変速機の変速比が、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる為の値の近傍で、上記ステッピングモータの駆動を1−2相励磁により行なう。又、上記トロイダル型無段変速機の変速比に関し、現時点での値と、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値との間に、予め設定した変速比に関するチューニング値以上の差がある場合で、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも遅い場合に、上記ステッピングモータの駆動を1相励磁により行なう。同じく、現時点での値と、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値との間に、予め設定した変速比に関するチューニング値以上の差がある場合で、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である場合に、上記ステッピングモータの駆動を2相励磁により行なう。
上述の様な本発明の無段変速装置によれば、従来と同様のステッピングモータを使用して、減速機等を使用しなくても、トロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の制御弁の制御を高精度で行なえる。即ち、上記ステッピングモータを1−2相励磁により駆動する事により、このステッピングモータによる制御弁の切り換え状態の調節を、従来の様に2相励磁により行なう場合に比べて2倍の精度で(1ステップ当りの変位を1/2にして)行なえる。この為、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させるべく、上記トロイダル型無段変速機の変速比を高精度で制御する事が可能になる。
即ち、本発明の場合、車両が停止している場合で、トロイダル型無段変速機の変速比が、入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸を停止させる値の近傍での制御中は、ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する事により、上記変速比を高精度で制御する事が可能になる。
これに対して、上記トロイダル型無段変速機の変速比が、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値の近傍から外れている(上記トロイダル型無段変速機の変速比に関し、その時点での実際の値と、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値との間に、予め設定した変速比に関するチューニング値以上の差がある)場合で、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも遅い場合(変速動作を緩徐に行なう場合)は、上記ステッピングモータを1相励磁で駆動する事により、このステッピングモータの電力消費の軽減を図れる。この場合には、このステッピングモータの駆動力は小さいが、上記変速動作を緩徐に行なう為、脱調を生じる事はない。
又、上記トロイダル型無段変速機の変速比が、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値の近傍から外れている場合で、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である場合(迅速な変速動作を行なう場合)は、上記ステッピングモータを2相励磁で駆動する事により、大きな駆動力を得て、変速動作を迅速に行なった場合にも、上記ステッピングモータが脱調しない様にできる。
本発明を実施する場合で、走行状態が選択されている場合には、請求項3〜5に記載した様に、現在の変速比と目標変速比とから変速必要量を算出して、この変速必要量と予め設定した変速比に関するチューニング値とを比較する。そして、この変速必要量がこのチューニング値以下の場合には、請求項3に記載した様に、上記ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する。この結果、上記トロイダル型無段変速機の変速比を微調節できて、この変速比を上記目標変速比に正確に一致させられる。
これに対して、上記変速必要量が上記変速比に関するチューニング値よりも大きい場合には、必要とされる変速速度を、予め設定した変速速度に関するチューニング値と比較する。必要とされる変速速度は、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバーの操作等の信号により求められる。例えば、アクセルペダルが強く踏み込まれたり、シフトレバーがLレンジに操作された場合には、運転者が急な加速を要求しているとして、無段変速装置の変速比を減速側に、短時間で変更する必要がある。これに対して、通常走行時の緩徐な速度変動に伴う変速動作は、緩徐に行なう。
そこで、上記必要とされる変速速度が予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも遅い(変速動作を緩徐に行なう)場合には、請求項4に記載した様に、上記ステッピングモータの駆動を1相励磁により行なう事で、このステッピングモータの電力消費の軽減を図る。これに対して、上記必要とされる変速速度が予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である(迅速な変速動作を行なう)場合には、請求項5に記載した様に、上記ステッピングモータの駆動を2相励磁により行なう事で大きな駆動力を得て、変速動作を迅速に行なった場合にも上記ステッピングモータが脱調しない様にする。
上記1−2相励磁と、上記2相励磁又は1相励磁との切り換えは、上述した様に、車両の変速状況に応じて行なう事もできるが、請求項6に記載した様に、運転席に設けたシフトレバーの位置により切り換える事もできる。この場合に制御器は、車両の停止中にこのシフトレバーが、Pポジション、Nポジション等の非走行状態を選択されている場合に、上記ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する。
前述した第二の先発明の説明から明らかな通り、車両停止中にシフトレバーが非走行状態を選択している場合には、トロイダル型無段変速機の変速比を、入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸を停止させる為の値に規制する事が好ましい。この場合には、上記変速比の制御を高精度で行なう必要がある為、上述の様に、上記ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する。
或は、無段変速装置が前述した第一の先発明の様に、トロイダル型無段変速機を実際に通過する実トルクと、目標とする目標トルクとの偏差を解消する機能を備えている場合には、請求項2に記載した様に、制御器は、この機能を働かせる場合に、上記ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する。
上記第一の先発明の説明から明らかな通り、上記実トルクと上記目標トルクとの偏差を解消する場合には、トロイダル型無段変速機の変速比の制御を高精度で行なう必要がある。上記第一の先発明の場合には、この変速比の制御を差圧シリンダ40(図9参照)のみで行なっているが、ステッピングモータとの共同で行なえば、上記偏差の解消を、より迅速に且つ安定させて行なえるものと考えられる。この様な場合、上記ステッピングモータによる制御は高精度で行なう必要がある為、上述の様に、このステッピングモータを1−2相励磁で駆動する。
図1〜2は、本発明の実施例を示している。先ず、図1のブロック図により、本実施例の無段変速装置に就いて説明する。この図1中、太矢印は動力の伝達経路を、実線は油圧回路を、破線は電気回路を、それぞれ示している。エンジン48の出力は、ダンパ49を介して、入力軸1に入力される。尚、本発明の特徴は、トロイダル型無段変速機21を通過して出力軸34に付与されるトルクの制御を厳密に行なうべく、車両の停止時若しくは極低速走行時に、ステッピングモータ11による制御弁10(図5、9参照)の制御を高精度(高分解能)で行なえる様にする点にある。無段変速装置自体の構造は前述の図6に示した構造を含め、従来から知られている、無限大の変速比を実現できる無段変速装置と同様であるから、上記図1で、上記図6と同等部分に関しては、できる限り、この図6に使用した符号を付して説明する。
上記入力軸1に伝達された動力は、上記トロイダル型無段変速機21を構成する油圧式の押圧装置19aから入力側ディスク2に伝達され、更にパワーローラ5を介して出力側ディスク4aに伝達される。これら両ディスク2、4aのうち、入力側ディスク2の回転速度は入力側回転センサ50により、出力側ディスク4aの回転速度は出力側回転センサ51により、それぞれ測定して、制御器52に入力し、上記両ディスク2、4a間の(トロイダル型無段変速機21の)変速比(速度比)を算出自在としている。又、上記入力軸1に伝達された動力は、直接又は上記トロイダル型無段変速機21を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機22に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機22の構成部材の差動成分が、クラッチ装置53を介して、上記出力軸34に取り出される。尚、このクラッチ装置53は、上記図6に示した低速用クラッチ36及び高速用クラッチ37を表すものである。又、本実施例の場合には、出力軸回転センサ54によっても、上記出力軸34の回転速度を検出自在として、上記入力側回転センサ50及び出力側回転センサ51の故障の有無を判定する為のフェールセーフを可能としている。
一方、前記ダンパ49部分から取り出した動力によりオイルポンプ55を駆動し、このオイルポンプ55から吐出した圧油を、上記押圧装置19aと、上記パワーローラ5を支持したトラニオン7を変位させるアクチュエータ9(図5、9参照)の変位量を制御する為の制御弁装置56とに、送り込み自在としている。尚、この制御弁装置56とは、前述の図9に示した制御弁10と、差圧シリンダ40と、補正用制御弁42と、上記クラッチ装置53を切り換える為の高速用、低速用両切換弁(図示省略)とを合わせたものである。又、上記アクチュエータ9に設けた1対の油圧室20a、20b(図5、9参照)内の油圧を(実際には1対の)油圧センサ57により検出して、その検出信号を、上記制御器52に入力している。この制御器52は、上記油圧センサ57からの信号に基づいて、上記トロイダル型無段変速機21の通過トルクを算出する。
又、上記制御弁装置56は、ステッピングモータ11と、ライン圧制御用電磁弁58と、上記補正用制御弁42を切り換える為の電磁弁43a(43b)と、上記高速用、低速用両切換弁を切り換える為のシフト用電磁弁59とにより、その作動状態を切り換えられる。そして、これらステッピングモータ11と、ライン圧制御用電磁弁58と、電磁弁43a(43b)と、シフト用電磁弁59とは、何れも上記制御器52からの制御信号に基づいて切り換えられる。
又、上記制御器52には、前記各回転センサ50、51、54及び上記油圧センサ57からの信号の他、油温センサ60の検出信号と、ポジションスイッチ61の位置信号と、アクセルセンサ62の検出信号と、ブレーキスイッチ63の信号とを入力している。このうちの油温センサ60は、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度を検出するものである。又、上記ポジションスイッチ61は、運転席に設けられたシフトレバーの操作位置を表す信号を出す為のものである。又、上記アクセルセンサ62は、アクセルペダルの開度を検出する為のものである。更に、上記ブレーキスイッチ63は、ブレーキペダルが踏まれた事、或はパーキングブレーキが操作された事を検出して、その事を表す信号を発するものである。
上記制御器52は、上記各スイッチ61、63及び各センサ50、51、54、57、60、62からの信号に基づいて、上記ステッピングモータ11と、ライン圧制御用電磁弁58と、電磁弁43a、43bと、シフト用電磁弁59とに上記制御信号を送る他、前記エンジン48を制御する為のエンジンコントローラ64に制御信号を送る。そして、前述した第一、第二の先発明の場合と同様にして、入力軸1と出力軸34との間の速度比を変えたり、或は停止時若しくは極く低速走行時に前記トロイダル型無段変速機21を通過して上記出力軸34に加えられるトルク(通過トルク)を制御する。
特に、本実施例の場合に上記制御器52は、このトルク制御の為に上記トロイダル型無段変速機21の変速比を調節すべく、上記ステッピングモータ11を駆動する方式を、状況に応じて1相励磁と2相励磁と1−2相励磁との何れかの駆動方式に変換する様にしている。この点に就いて、図2に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
先ず、ステップ1では、車両が停止状態にある(車速が0km/hである)か否かを、スピードメータ表示用の車速信号(又は出力軸回転センサ54の信号)に基づいて判定する。停止状態にあると判定した場合には次のステップ2に移り、停止状態にない(走行中)と判定した場合は後述するステップ12に移る。
上記ステップ2では、前記ポジションスイッチ61からの信号に基づいて、運転者が非走行状態(Pレンジ又はNレンジ)を選択しているか否かを判定する。
この場合に於いて、非走行状態が選択されている場合には、ステップ3に記載した様に、前述した第二の先発明の機能により、シフトレバーが走行状態に切り換えられた瞬間に出力軸に過大なトルクが加わる事を防止すべく、前記トロイダル型無段変速機21の変速比を、前記入力軸1を回転させたまま前記出力軸34の回転を停止させられる値に制御(GN制御)する。
そして、この場合には、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を高精度で行なう必要がある為、ステップ8で上記ステッピングモータ11の駆動を、1−2相励磁で行なうべきとし、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。
これに対して、非走行状態が選択されていない(D、R、Lレンジ等の走行状態が選択されている)場合には、ステップ4に記載した様に、前述した第一の先発明の機能により、上記出力軸34に適正トルク(ブレーキペダルを踏まない状態でクリープする程度のトルク)を伝達すべく、上記トロイダル型無段変速機21の変速比を制御する。
ステップ3、4何れの場合でも、前記入力側回転センサ50と出力側回転センサ51とにより、上記トロイダル型無段変速機21の変速状況を、無段変速機全体として変速比無限大の状態(ギヤードニュートラル)若しくはそれに近い状態を実現すべき状態と判定する。そして、前記入力側、出力側、両ディスク2、4aの回転速度NID、NODを検出し、これら両回転速度NID、NODを表す信号に基づいて、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を行なう。
上記ステップ4に記載した様に、上記出力軸34に適正トルクを伝達すべく上記トロイダル型無段変速機21の変速比を制御する場合には、先ず、ステップ5で、現在の変速比(Ratio_Present)と目標変速比(Ratio_Target)とから、変速必要量(Req_Ratio)を算出する(Req_Ratio=Ratio_Target−Ratio_Present)。次いで、ステップ6で、この変速必要量(Req_Ratio)が0であるか否か(変速必要量の絶対値|Req_Ratio|が0よりも大きいか否か)を判定する。この変速必要量(Req_Ratio)が0である場合には、変速動作は不要であるから、そのまま終了する。これに対して、上記変速必要量(Req_Ratio)が0でない(変速必要量の絶対値|Req_Ratio|が0よりも大きい)場合には、次のステップ7で、求めた変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)を、予め設定した、変速比に関するチューニング値Aよりも小さいか否かを判定する。この変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)がこのチューニング値Aよりも小さい場合には、このトロイダル型無段変速機21の変速比制御を高精度で行なう必要がある為、ステップ8で、前記ステッピングモータ11の駆動を、1ステップ毎の角移動量が少ない、1−2相励磁で行なうべきとし、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。具体的には、上記両回転速度NID、NOD同士の比NID/NODが、無段変速装置全体としての変速比が無限大となる(出力軸34の回転速度が0となる)位置(例えばNID/NOD=1.658となる位置)に、上記ステッピングモータ11により前記制御弁10のスリーブ12(図5、9参照)を駆動する。
但し、前記ステップ2で走行状態が選択されていると判定し、上記ステップ4で上記出力軸34に適正トルクを伝達すると判定した場合には、上記トロイダル型無段変速機21の変速比NID/NODを、上記ギヤードニュートラルに対応する値(例えば1.658)から僅かにずらせ、上記出力軸34に、所望のクリープ力を伝達する。このクリープ力の大きさと方向とは、ブレーキペダルを軽く踏んだ程度で車両が停止するが、このブレーキペダルから足を離した状態でこの車両が、前記シフトレバーにより選択された方向に低速で発進する程度に規制する。
一方、上記ステップ7で、求めた変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)がチューニング値A以上であると判定した場合には、ステップ16で、必要とされる変速速度(必要変速速度)を求める。この場合の必要変速速度は、上記変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)と、シフトレバーの位置等に応じて求める。例えば、この絶対値が大きい程、又、シフトレバーが非走行状態を選択している場合よりも走行状態を選択している場合程、上記必要変速速度を大きく(速く)する。そして、この必要変速速度が予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも小さい(遅い)場合に、ステップ9でステッピングモータ11の駆動を1相励磁により行なうと判定し、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。この場合には、電力消費量の低減を図れる代わりに上記ステッピングモータ11の駆動力が弱いが、このステッピングモータ11の運転を低速で運転する為、脱調しにくい。これに対して、上記必要変速速度が予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である(速い)場合には、ステップ10でステッピングモータ11の駆動を2相励磁により行なうと判定し、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。この場合には、電力消費量が嵩む代わりに駆動力が強く、上記ステッピングモータ11を高速運転しても、脱調しにくくなる。
一方、前記ステップ1で車両が停止状態にないと判定した場合には、ステップ12で、走行に伴う通常の変速制御であると判定し、続くステップ13で、前述したステップ5と同様に、現在の変速比(Ratio_Present)と目標変速比(Ratio_Target)とから、変速必要量(Req_Ratio)を算出する(Req_Ratio=Ratio_Target−Ratio_Present)。次いで、ステップ14で、この変速必要量(Req_Ratio)が0であるか否か(変速必要量の絶対値|Req_Ratio|が0よりも大きいか否か)を判定する。この変速必要量(Req_Ratio)が0である場合には、変速動作は不要であるから、そのまま終了する。これに対して、上記変速必要量(Req_Ratio)が0でない(変速必要量の絶対値|Req_Ratio|が0よりも大きい)場合には、次のステップ15で、求めた変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)を、予め設定した、変速比に関するチューニング値Bよりも大きいか否かを判定する。この変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)がこのチューニング値B以下である場合には、このトロイダル型無段変速機21の変速比制御を高精度で行なう必要がある為、ステップ8で、上記ステッピングモータ11の駆動を、1ステップ毎の角移動量が少ない、1−2相励磁で行なうべきとし、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。
これに対して、上記求めた変速必要量の絶対値(|Req_Ratio|)が上記チューニング値Bよりも大きい場合には、前述した、車両が停止している場合と同様に、ステップ16で、必要とされる変速速度(必要変速速度)を求める。そして、この必要変速速度が予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも小さい(遅い)場合に、ステップ9でステッピングモータ11の駆動を1相励磁により行なうと判定し、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。これに対して、上記必要変速速度が予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である(速い)場合には、ステップ10でステッピングモータ11の駆動を2相励磁により行なうと判定し、ステップ11で、上記トロイダル型無段変速機21の変速比制御を開始する。
本実施例の場合、上述の様にして、上記ステッピングモータ11の駆動方式を、1相励磁と、2相励磁と、1−2相励磁とのうちの何れかに切り換える為、高精度の変速比制御と、電力消費の低減と、ステッピングモータ11の脱調防止とを図れる。例えば、変速比無限大状態及びその近傍では、高精度の変速比制御を行なって、安定したクリープ力制御を行なえる。これに対して、高精度の変速比制御が不要である代わりに迅速な変速動作が必要になる、変速比無限大状態の近傍以外の通常変速時には、変速時間の短縮とステッピングモータ11の脱調防止を図れる。更に、本実施例の場合には、変速比無限大状態の近傍以外の通常変速時にも、変速必要量に応じて1相励磁と2相励磁と1−2相励磁とを切り換える為、変速時間の短縮と、目標変速比停止性(収束性の向上)と、電力消費の低減とを並立させる事が可能となる。
本発明の実施例を示すブロック図。 本発明の実施例の作用を示すフローチャート。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。 図3のA−A断面図。 同B−B断面図。 先発明に係る制御装置により変速比を制御する無段変速装置の1例を示す略断面図。 この無段変速装置に組み込んだトロイダル型無段変速機(CVU)の速度比と、この無段変速装置(T/M)全体としての速度比との関係を示す線図。 先発明に係る制御装置で変速比を制御する状態を説明する為、エンジンの回転速度とトルクとの関係を示す線図。 先発明の無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機の変速比を調節する為の機構を示す油圧回路図。 ステッピングモータの駆動方式を説明する為の略断面図。
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 出力歯車
4、4a 出力側ディスク
5 パワーローラ
6 トラニオン
7 支持軸
8 枢軸
9 アクチュエータ
10 制御弁
11 ステッピングモータ
12 スリーブ
13 スプール
14 ピストン
15 ロッド
16 プリセスカム
17 リンク腕
18 駆動軸
19、19a 押圧装置
20a、20b 油圧室
21 トロイダル型無段変速機
22 遊星歯車式変速機
23 キャリア
24 第一の遊星歯車組
25 第二の遊星歯車組
26 中空回転軸
27 伝達軸
28 第一の太陽歯車
29 第二の太陽歯車
30 リング歯車
31 第三の太陽歯車
32 第二のキャリア
33 第三の遊星歯車組
34 出力軸
35 第二のリング歯車
36 低速用クラッチ
37 高速用クラッチ
38 リンク腕
39 ロッド
40 差圧シリンダ
41a、41b 油圧室
42 補正用制御弁
43a、43b 電磁弁
44 スプール
45 スプール
46 ロータ
47 電磁石
48 エンジン
49 ダンパ
50 入力側回転センサ
51 出力側回転センサ
52 制御器
53 クラッチ装置
54 出力軸回転センサ
55 オイルポンプ
56 制御弁装置
57 油圧センサ
58 ライン圧制御用電磁弁
59 シフト用電磁弁
60 油温センサ
61 ポジションスイッチ
62 アクセルセンサ
63 ブレーキスイッチ
64 エンジンコントローラ

Claims (6)

  1. 入力軸と、出力軸と、トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、このトロイダル型無段変速機の変速比の変更を制御する為の制御器とを備え、
    このトロイダル型無段変速機は、上記差動ユニットの第一の入力部と共に上記入力軸により回転駆動される入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に、且つ、この入力側ディスクに対する相対回転を自在として支持され、上記差動ユニットの第二の入力部に接続された出力側ディスクと、これら両ディスク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、それぞれがこれら各パワーローラを1個ずつ回転自在に支持すると共に、それぞれの両端部に互いに同心に設けられた枢軸を中心とする揺動変位を自在とした複数個の支持部材と、これら各支持部材をこの枢軸の軸方向に変位させてこれら各支持部材をこの枢軸を中心に揺動変位させ、上記入力側ディスクと上記出力側ディスクとの間の変速比を変える、それぞれが油圧式である複数のアクチュエータと、これら各アクチュエータへの作動油の給排を制御する為の制御弁と、この制御弁の一部の構成部材を変位させてこの制御弁の切り換え状態を変える為のステッピングモータと、上記各支持部材のうちの何れかの動きを上記制御弁の他の構成部材に伝達してこの制御弁の切り換え状態を変える為のフィードバック機構とを備えたものであり、
    上記差動ユニットは、上記第一、第二の入力部同士の間の速度差に応じた回転を取り出して上記出力軸に伝達するものであり、
    上記制御器は、上記トロイダル型無段変速機の変速比を調節して上記差動ユニットを構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事により、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換する機能を有するものである無段変速装置に於いて、
    上記制御器は、上記ステッピングモータの駆動を、上記トロイダル型無段変速機の変速比を微調節する場合に1−2相励磁で行ない、それ以外の場合に1相励磁又は2相励磁で行なうものであって、少なくとも上記トロイダル型無段変速機の変速比が、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる為の値の近傍で、上記ステッピングモータの駆動を1−2相励磁により行ない、上記トロイダル型無段変速機の変速比に関し、現時点での値と、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値との間に、予め設定した変速比に関するチューニング値以上の差がある場合で、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも遅い場合に、上記ステッピングモータの駆動を1相励磁により行ない、同じく、現時点での値と、上記入力軸を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸を停止させる値との間に、予め設定した変速比に関するチューニング値以上の差がある場合で、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である場合に、上記ステッピングモータの駆動を2相励磁により行なうものである事を特徴とする無段変速装置。
  2. 制御器は、入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力軸を停止させる状態若しくはその状態に近い状態にトロイダル型無段変速機の変速比を調節する場合に、このトロイダル型無段変速機を通過すべきトルクの目標値を設定し、走行状態を選択されている場合で、この目標値と実際にこのトロイダル型無段変速機を通過するトルクとの間に偏差が存在する場合に、この偏差を解消する方向に上記変速比を調節する機能を有し、ステッピングモータは、この偏差を解消すべくこの変速比を調節する際に、1−2相励磁で駆動される、請求項1に記載した無段変速装置。
  3. 制御器は、走行状態が選択されている場合に、トロイダル型無段変速機の変速比に関して、現時点での変速比と目標変速比とから変速必要量を算出して、この変速必要量を予め設定した変速必要量に関するチューニング値と比較し、この変速必要量がこのチューニング値以下の場合に、上記ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  4. 制御器は、走行状態が選択されている場合に、トロイダル型無段変速機の変速比に関して、現時点での変速比と目標変速比とから変速必要量を算出して、この変速必要量を予め設定した変速必要量に関するチューニング値と比較し、この変速必要量がこのチューニング値よりも大きく、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値よりも遅い場合に、ステッピングモータを1相励磁で駆動する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  5. 制御器は、走行状態が選択されている場合に、トロイダル型無段変速機の変速比に関して、現時点での変速比と目標変速比とから変速必要量を算出して、この変速必要量を予め設定した変速必要量に関するチューニング値と比較し、この変速必要量がこのチューニング値よりも大きく、且つ、必要とされる変速速度が、予め設定した変速速度に関するチューニング値以上である場合に、ステッピングモータを2相励磁で駆動する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
  6. 制御器は、車両が停止状態でシフトレバーが非走行状態位置に存在する場合に、ステッピングモータを1−2相励磁で駆動する、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した無段変速装置。
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