JP4694013B2 - アスファルト混合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスファルト混合物の製造方法に関する。特に、各種アスファルト混合物に共通するモルタルと粗骨材とを別々のサイロに貯蔵しておき、出荷時に該モルタルと該粗骨材とを混合するアスファルト混合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路等の舗装材として用いられるアスファルト混合物(以下「合材」という)は、所定量の粗骨材、細骨材およびフィラーとアスファルト系バインダとを加熱混合して製造されるが、出荷効率を高めるために、アスファルト混合物製造工場(以下「合材工場」という)の敷地内またはこの工場から離れた都市近郊等のサテライト工場やデポ基地に加熱貯蔵サイロ(以下合材サイロまたは単にサイロと称する場合がある)を設置し、このサイロを使用して合材の貯蔵・出荷が行われることが多くなってきている。
【0003】
また、合材の劣化防止およびサイロからの排出時における閉塞防止の目的で、所定量よりも少量のバインダを混合した合材(すなわち貧配合の合材)を製造してサイロに貯蔵し、この貧配合の合材の出荷時に不足分のバインダを添加して、ミキサで加熱・混合する合材の製造も行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の合材製造方法では、粗骨材、細骨材、フィラーおよびバインダの配合割合を製造する合材の種類毎に変えて製造していた。したがって、複数の合材をサイロに貯蔵する場合には、貯蔵する合材種類と同数のサイロが必要であった。しかし、実際にはサイロの数は限られており、時にはサイロ内に貯蔵しておいた合材を廃棄し、別の合材を貯蔵するためにサイロを空けなければならなかった。その結果、合材の出荷効率が低下するとともに、サイロ内の合材を廃棄することにより余分なコストがかかっていた。
【0005】
合材工場で製造した合材をサテライト工場またはデポ基地へ運搬してサイロに貯蔵する場合、運搬の過程で合材温度が低下することにより品質が低下し、またこの合材をサイロへ貯蔵した場合には、サイロからの合材排出時に排出口付近で合材が詰まってしまい排出が困難になる等の問題があった。
本発明の目的は上記した問題点を解決することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、加熱した細骨材、フィラーおよびバインダを各々計量して混合し製造したモルタルと、加熱した粗骨材とを別々のサイロに貯蔵しておき、アスファルト混合物出荷時に該モルタルと該粗骨材と中温化剤を各々計量してサイロ近傍に設置したミキサへ投入し、これらを混合することによってアスファルト混合物を製造することを特徴とするアスファルト混合物の製造方法である。なお、使用する粗骨材は1種類であっても複数種類であってもよく、粗骨材の種類毎にサイロに貯蔵してもよいし、複数種類を混合してサイロに貯蔵してもよい。
【0007】
本発明は、第2に、バインダを所定量よりも少量にして製造しサイロに貯蔵しておいた前記モルタルと、別のサイロに貯蔵しておいた前記粗骨材と、中温化剤とを混合する際に、所定量に不足するバインダを添加する上記の方法である。
【0009】
本発明は、第3に、粗骨材として少量のバインダでコーティングしたプレコート粗骨材を使用する上記の方法である。
【0010】
本発明は、第4に、常温の粗骨材または加熱後に温度が低下した粗骨材にマイクロ波を照射して所定温度まで加熱した後、前記モルタルと混合する上記の方法である。
【0012】
【実施例】
本発明の効果を確認するために実施した試験について説明する。
図−1は、本実施例の手順を表すフローチャートである。
【0013】
(1)各混合物に共通するモルタルの材料配合決定
通常、合材の製造に使用する材料には、砕石などからなる粗骨材、砂やスクリーニングスなどからなる細骨材、石粉などからなるフィラー、アスファルト系のバインダなどがある。これらのうち細骨材、フィラーおよびバインダを加熱混合して得られるモルタルについては、複数種類の合材に共通した材料配合を設定することができる。本実施例では密粒度アスファルト混合物、細粒度アスファルト混合物、密粒度ギャップアスファルト混合物について検討することとし、これら3種類の合材に共通するモルタルの材料配合を表−1のように決めた。
【0014】
(2)上記(1)のモルタル材料配合による各混合物の配合設計
次に、密粒度アスファルト混合物、細粒度アスファルト混合物、密粒度ギャップアスファルト混合物の3種類について配合設計を実施し、各混合物の最適アスファルト量とその混合物特性を求める。まず粗骨材、細骨材、フィラーの配合比を調整し、各混合物の粒度がアスファルト舗装要綱等の粒度規格を満たすような全骨材の配合比率を求める。この時、細骨材とフィラーの配合比率が表−1に示した比率になるようにしておく。こうして求めた配合比率および合成粒度は表−2に示すとおりであり、2.36mm以下の合成粒度は表−1の合成粒度とほぼ同じである。
この合成粒度となるように、各混合物について各々所定量の砕石、粗砂、細砂、スクリーニングスおよび石粉を計量する。次に、各混合物のアスファルト量を、予測される最適アスファルト量を中心に0.5%きざみで5段階に設定して計量し、計量済みの砕石、粗砂、細砂、スクリーニングスおよび石粉と加熱混合して合材を製造する。各配合のマーシャル安定度試験結果のうち、密粒度アスファルト混合物の結果を表−3に示す。表中、マーシャル基準値を満たすアスファルトの範囲が表中のAs量共通範囲であり、その共通範囲の中央値が最適アスファルト量(O.A.C.)である。
【0015】
(3)モルタルのアスファルト量の決定
モルタルのアスファルト量は、上記(2)で求めた各混合物の最適アスファルト量(O.A.C.)、および計算上で求めた値(モルタル骨材に対する重量比で12.1%)の2種類として以降の検討を行う。なお、以降の試験は(2)と同様に3種類の混合物について実施しているが、そのうち密粒度アスファルト混合物の結果を表−4として示す。
【0016】
(4)モルタルおよび混合物の製造(その1)
まず、加熱した粗砂、細砂、スクリーニングスおよび石粉を表−1の配合比となるように所定量計量してパグミルミキサに投入する。これらに上記(3)で選定した量の加熱アスファルトを添加し、混合してモルタルを製造する。次に、別途加熱した粗骨材を表−2に示す粒度となるように計量してパグミルミキサに投入し、前記モルタルと混合して合材を製造する(混合時間1分間:以降同じ)。製造した合材のマーシャル安定度試験結果は、表−4の▲1▼、▲4▼に示すとおりである。
【0017】
(5)モルタルおよび混合物の製造(その2)
まず、加熱した粗砂、細砂、スクリーニングスおよび石粉を表−1の配合比となるように所定量計量してパグミルミキサに投入する。これらに上記(3)で選定した量の加熱アスファルトを添加し、混合してモルタルを製造する。次に、別途加熱した粗骨材を表−2に示す粒度となるように計量してパグミルミキサに投入し、前記モルタルと混合して合材を製造する。この際、粗骨材には合材に対する重量比が1%の量のアスファルトでプレコートしたものを使用する。したがって、モルタルのアスファルト量は粗骨材のプレコートに使用した分を除いた量となる。製造した合材のマーシャル安定度試験結果は、表−4の▲3▼に示すとおりである。
【0018】
(6)サイロ貯蔵による製造
製造したモルタルを、150℃に保温した状態のサイロ内に2時間および4時間保持した後、上記(4)の手順で合材を製造する。各合材のマーシャル安定度試験結果は、表−4の▲2▼、▲5▼に示すとおりである。
【0019】
(7)中温化アスファルト混合物の製造
上記(4)を実施する際に、中温化剤(フォームセット)をアスファルトに対する重量比で7%添加し、中温化アスファルト混合物としての検討を行う。この時に中温化剤を添加するタイミングは、モルタルと粗骨材との混合時とする。各合材のマーシャル安定度試験結果は表−4の▲6▼、▲7▼に示すとおりであり、▲6▼は突固め温度145℃、▲7▼は同110℃のものである。
【0020】
(8)改質アスファルト混合物の製造
上記(4)を実施する際に、プラントミックス型の改質材をアスファルトに対する重量比で5%添加し、改質II型のアスファルト混合物としての検討を行う。この時に改質材を添加するタイミングは、モルタルと粗骨材との混合時とする。また、改質材はバインダの一部となるので、モルタルのアスファルト量は改質材の分を除いて考える。なお、150℃の混合温度で改質材が溶解しない場合には、モルタルの混合温度を160〜170℃に高めて実施する。各合材のマーシャル安定度試験結果は表−4の▲8▼〜(10)に示すとおりであり、▲8▼は突固め温度150℃、▲9▼は同160℃、(10)は同170℃のものである。
【0021】
(9)試験結果に関する検討
密粒度アスファルト混合物を例にして、通常の方法による製造と本発明の方法による製造とを比較検討する。
まず、標準配合の合材についてマーシャル安定度試験の結果を比較すると、密度に関しては、12.1%モルタルを使用して製造した合材(サイロ貯蔵:表−4の▲2▼)、およびO.A.C.モルタルを使用して製造した合材(サイロ貯蔵:表−4の▲5▼)とも、通常の方法で製造した合材(突固め温度145℃:表−3の▲1▼)よりも若干小さくなっている。また、安定度に関しては、12.1%モルタルを使用して製造した合材では通常の方法で製造した合材とほぼ同じで、O.A.C.モルタルを使用して製造した合材では若干小さくなっている。
次に、O.A.C.モルタルを使用して製造した中温化アスファルト混合物(突固め温度145℃:表−4の▲6▼)と通常の方法で製造した中温化アスファルト混合物(突固め温度145℃:表−3の▲3▼)を比較すると、密度に関してはほぼ同じで、安定度に関しては本発明の方法によるほうが若干大きくなっている。
また、O.A.C.モルタルを使用して製造した改質アスファルト混合物(突固め温度150℃:表−4の▲8▼)と通常の方法で製造した改質アスファルト混合物(突固め温度150℃:表−3の▲5▼)を比較すると、密度に関してはほぼ同じで、安定度に関しては本発明の方法によるほうが若干小さくなっている。
さらに、12.1%モルタルを使用して製造した合材(プレコートした粗骨材を使用:表−4の▲3▼)と通常の方法で製造した合材(突固め温度145℃:表−3の▲1▼)を比較すると、密度に関してはほぼ同じで、安定度に関しては本発明の方法によるほうが若干小さくなっている。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
以上の比較結果をまとめると、本発明の方法で製造した合材と通常の方法で製造した合材との間には多少の違いはあるものの、問題となるような差異はないといえる。ここでは密粒度アスファルト混合物の結果のみを表示したが、細粒度アスファルト混合物および密粒度ギャップアスファルト混合物の結果もほぼ同様である。したがって、本発明の方法で製造した合材を使用しても、通常の方法で製造した合材と同等の品質を有する舗装体を提供することが可能であると結論づけられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の手順を表すフローチャートである。
【図2】本発明のアスファルト混合物の製造方法の一態様を表す模式図である。
【図3】本発明のアスファルト混合物の製造方法を表す模式図である。
【図4】本発明のアスファルト混合物の供給システムを表す模式図である。
【符号の説明】
1:スキップエレベータ
2:モルタルサイロ
3:骨材サイロ
4:バインダ計量ホッパ
5:添加剤計量ホッパ
6:モルタル計量ホッパ
7:骨材計量ホッパ
8:スプレーポンプ
9:ミキサ
10:トラック
11:マイクロ波加熱装置
12:ロードセル
13:計量ゲート
Claims (4)
- 加熱した細骨材、フィラーおよびバインダを各々計量して混合し製造したモルタルと、加熱した粗骨材とを別々のサイロに貯蔵しておき、アスファルト混合物出荷時に該モルタルと該粗骨材と中温化剤とを各々計量してサイロ近傍に設置したミキサへ投入し、これらを混合することによってアスファルト混合物を製造することを特徴とするアスファルト混合物の製造方法。
- バインダを所定量よりも少量にして製造しサイロに貯蔵しておいた前記モルタルと、別のサイロに貯蔵しておいた前記粗骨材とを、中温化剤と混合する際に、所定量に不足するバインダを添加する請求項1記載のアスファルト混合物の製造方法。
- 粗骨材として少量のバインダでコーティングしたプレコート粗骨材を使用する請求項1または2記載のアスファルト混合物の製造方法。
- 常温の粗骨材または加熱後に温度が低下した粗骨材にマイクロ波を照射して所定温度まで加熱した後、前記モルタルと混合する請求項1〜3のいずれか1項記載のアスファルト混合物の製造方法。
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