JP4312373B2 - 特殊アスファルト混合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特殊アスファルト混合物の製造方法に関し、特にアスファルト系バインダの改質や舗装体への機能性の付与を効率的に実施することを可能にする特殊アスファルト混合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路の舗装等に用いられるアスファルト混合物(以下合材と称する場合がある)は、アスファルト系バインダに砕石、砂利、砂、石粉等の骨材を加熱混合して製造されるが、出荷効率を高めるため、合材製造工場内または合材製造工場から離れた都市近郊等に加熱貯蔵サイロ(以下合材サイロ又は単にサイロと略称する場合がある)を設置し、このサイロから貯蔵・出荷が行われることが多くなってきている。しかしこのサイロを利用する貯蔵・出荷は、比較的長時間サイロ内で安定的に存在し、またサイロからの排出にも困難を伴わない汎用のアスファルト混合物に事実上限られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は各種合材のサイロでの貯蔵・出荷の適用可能性について検討を進め、次のような合材がサイロ貯蔵に適さないことを知見した。
【0004】
(1)バインダに起因するもの
1)添加材料の変質
バインダ上の問題としては、まず、アスファルト系バインダに新たな性能を付与するために添加した材料(改質材、添加剤)が、サイロでの貯蔵中に変質してしまうことがあげられる。このような場合、添加材料の変質により、合材が本来持つべき機能を発揮することができなくなってしまう。
これには、例えば次のようなものがある。
添加材料の効果が短いもの(添加材料:発泡性中温化剤/合材:中温化合材など)、熱硬化性で貯蔵中に化学反応が進むもの(添加材料:エポキシ樹脂/合材:エポキシアスファルト混合物など)、貯蔵中に熱劣化しやすいもの(添加材料:ゴム粉/合材:ゴム入り合材など)
2)アスファルトモルタルの付着
粘度の高いバインダを使用した場合には、合材、特にモルタル分がサイロの内壁に付着し、この付着が成長して排出口付近で閉塞を起こしてしまうことがある。このような状態では、合材の出荷自体が不可能になってしまうためサイロでの貯蔵が行えない。
これに該当する合材としては、改質アスファルト(I型、II型)、セミブローンアスファルトなどをバインダとした合材などがある。また、繊維質補強材などを混合した合材も見かけの粘性が高くなりサイロ内壁への付着が生じやすい。
【0005】
(2)骨材粒度に起因するもの
骨材粒度上の問題としては、骨材の噛み合わせにより合材が排出口付近で閉塞を起こしてしまうことがあげられる。
例えば、ギャップ粒度の合材(密粒度ギャップアスファルト混合物、細粒度ギャップアスファルト混合物)、開粒度の合材(開粒度アスファルト混合物、排水性舗装用アスファルト混合物、透水性舗装用アスファルト混合物)、大粒径の合材などがこれに該当する。
なお、排水性舗装用アスファルト混合物についてはバインダに高粘度アスファルトを使用するので、これもサイロに貯蔵できない理由(上記(1)2)参照)となっている。
【0006】
(3)その他
顔料などを添加したカラー合材をサイロに貯蔵すると、着色されたバインダやモルタルがサイロの内壁に付着し、次にサイロへ入れる合材にその色を付けてしまう。
なお、カラー合材に用いる顔料やバインダの中には、貯蔵中の熱により変色するものもある。
従って本発明の目的は上記したようなサイロ貯蔵に適さない合材(これらを特殊アスファルト混合物即ち特殊合材と総称する)を効率的に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、アスファルト系バインダ、骨材及び少なくとも一種の添加材料を必須成分とする特殊アスファルト混合物を製造するに際し、少なくとも一種の添加材料を含有しないアスファルト混合物を加熱貯蔵サイロに加熱貯蔵し、該サイロの出口下部にて、該サイロからの排出アスファルト混合物及びサイロ内のアスファルト混合物に含有させなかった添加材料を計量の上混合し所望性状のアスファルト混合物を製造することを特徴とする特殊アスファルト混合物の製造方法である。
本発明は、第2に、サイロ内で加熱貯蔵するアスファルト混合物のアスファルト系バインダ量を所定量より少なくし、該サイロの出口下部にて、該サイロからの排出アスファルト混合物、バインダ量を所定量にするための追加のアスファルト系バインダ及びサイロ内のアスファルト混合物に含有させなかった添加材料を計量の上混合する上記の方法である。
本発明は、第3に、サイロ内のアスファルト混合物に含有させない添加材料がアスファルト改質材又は機能性付与材料である上記の方法である。
本発明は、第4に、アスファルト改質材がゴム又は樹脂である上記の方法である。
本発明は、第5に、機能性付与材料が顔料、繊維質補強材、弾性付与材、中温化剤、凍結遅延材料及び吸油性材料から選ばれる少なくとも1種である上記の方法である。
【0008】
図1〜図4は本発明方法の実施に適する装置の説明図である。
図1及び図2において、アスファルトプラントにより製造された合材又はトラックにより遠方の工場より運搬された合材は、1のスキップエレベータにより2のサイロに貯蔵される。サイロ内の合材は、必要量を3の合材計量ホッパにより計量し、また各種添加材料は4の添加材料ホッパにより計量して、それぞれ5のミキサに投入して混合し合材を製造する。
またサイロ内のバインダ量を最終必要量より少なくした場合には、7のバインダ計量槽により計量されたバインダをスプレーポンプ8により5のミキサに噴霧して混合し特殊合材を製造する。かくして製造した特殊合材は6のトラックにて舗装現場に運搬される。
【0009】
図3は上記フローの中で3の合材計量ホッパを省略し5のミキサに10のロードセル等の計量装置を取り付け、ミキサで合材の計量を行い、上記フローと同様にして他の添加材料及び必要によりバインダを計量、ミキサに投入し合材と混合して特殊合材を製造する態様である。
図4は計量装置を取り付けた5のミキサで合材、添加材料、バインダを各累加計量し、所望の特殊合材を製造する態様である。この場合、合材は9の合材サイロ計量ゲートよりミキサに所定量排出され、添加材料は12のサージビン、13の計量バルブ、14のシュート等により所定量ミキサに、バインダは15のタンク、16の供給ポンプ、11の噴霧装置により所定量をそれぞれミキサに供給され、所望の特殊合材が製造される。
【0010】
本発明方法においてサイロの出口から排出されるアスファルト混合物に別途添加する添加材料の例としては、舗装用石油アスファルト等のアスファルト系バインダを改質するアスファルト改質材(a)として、アスファルトに耐摩耗性などを付与する改質I型添加材、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)(液体(エマルジョン))やSBRと熱可塑性エラストマーを併用した固体(粉末状、顆粒状、粒状)、アスファルトに耐流動性などを付与する改質II型添加材、たとえばスチレン・ブタジエンブロックポリマー(SBS)、スチレン・イソプレンブロックポリマー(SIS)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)等の熱可塑性エラストマーの固体(粉末状、顆粒状、粒状)、針入度調整剤、たとえばギルソナイトの固体(粉末などがある。また、舗装体に機能性を付与する機能性付与材料(b)として、たとえば、酸化鉄(ベンガラ)、酸化クロム、酸化チタン(いずれも固体(粉末状))等の顔料、植物性繊維、合成繊維、鉱物質繊維(いずれも固体(短繊維状))等の繊維質補強材、ゴムチップ(固体(粉末状、粒子状))等の弾性付与材、発泡性無機物(固体(ペースト状))等の中温化剤、含塩人工骨材(固体(粒子状))等の凍結遅延材料、多孔質人工骨材(固体(粒子状))等の吸油性材料等がある。
【0011】
本発明方法では、サイロ内に加熱貯蔵する合材のバインダ量を最終必要量より少なくして貧配合の合材をサイロに貯蔵しておき、合材をサイロから排出した時点で不足分のバインダとして改質アスファルトや着色アスファルト等を添加混合することも好ましい。この場合に別途添加するバインダとしては、高粘性のためにサイロでの貯蔵が困難であるか熱劣化したり変質し易いものがあり、具体例としては、改質アスファルトI型(プレミックス型、熱可塑性)、改質アスファルトII型(プレミックス型、熱可塑性)、高粘度改質アスファルト(排水性舗装などに使用、プレミックス型、熱可塑性)、セミブローンアスファルト(プレミックス型、熱可塑性)、熱硬化性アスファルト(エポキシ樹脂などを添加、プレミックス型、熱硬化性)等がある。また壁面に色がつくためにサイロでの貯蔵が困難なものとして着色アスファルト(プレミックス型、熱可塑性)がある。
【0012】
本発明により、従来サイロ出荷が不可能であった各種の合材がサイロ出荷できるようになる結果、合材工場の出荷能力が高まり、所望の舗装体の施工を効率よく行うことが可能となる。またサイロ関連設備のみを、合材工場より離れた特殊合材の需要が多い都市部の近郊等に設置し特殊合材を出荷することが可能となり、工事現場からの合材運搬距離が短くなり、特殊合材を使用した舗装工事の作業効率が高まる。
また特殊合材を使用した舗装工事の作業効率が高まれば、舗設が連続して行える結果、舗装の出来映えや品質等も向上させることが可能となる。
【0013】
【実施例】
実施例1(タフプラスS−101):
本発明の実施例を図1に基づいて説明する。
アスファルトプラントで製造した合材をミキサ(図示せず)から排出した後、図1に示すスキップエレベータ1により合材サイロ2の上方へ搬送し、合材サイロ2上部にある合材投入口から合材サイロ2内へ投入する。合材サイロ2の内壁には電熱ヒータが埋め込まれており、投入された合材を一定温度(例えば150℃程度)に保温した状態で貯蔵することができる。本実施例で合材サイロ2に貯蔵する合材は一般的なアスファルト混合物で、粗粒度アスファルト混合物、密粒度アスファルト混合物、細粒度アスファルト混合物などである。これらの合材配合比率の一例を表1に示す。
【0014】
【表1】
Figure 0004312373
【0015】
本実施例により特殊合材を出荷する手順は、以下の通りである。
合材サイロ2下部にある合材排出口を開放することにより、合材サイロ2に貯蔵された合材を合材サイロ2の下方に設置した合材計量ホッパ3に投入する。所定量の合材を計量した後、合材計量ホッパ3の下部にある合材排出口を開放して、合材計量ホッパ3の下方に設置されたミキサ5に投入する。一方、添加材料(タフプラスS−101)は熱可塑性エラストマーの粉末と鉱物質粉末とを等重量比率で混合したもので、プラントミックス型の改質材である。この添加材料はポリエチレン製の袋にパック詰めにされていて、そのまま袋ごと所定量をミキサに投入して合材と混合する。この時の混合時間は25〜30秒とする。混合完了後、ミキサ下部の合材排出口を開放して、ダンプトラックに必要量を積み込んで現場へ出荷する。
本発明の方法で出荷された特殊合材Aと従来の方法(アスファルトプラントから直接出荷)で出荷された特殊合材B、及び従来の方法で出荷された一般的な合材Cとの性状を比較した試験結果は表2の通りになった。この試験結果より分かるとおり、特殊合材Aと特殊合材Bとの性状にはほとんど違いがなく、またA,Bどちらの特殊合材とも一般的な合材Cよりは性状的に優れているということができる。したがって、本発明の方法によれば、従来の方法により出荷された特殊合材と同程度の品質の特殊合材をサイロから出荷することができる。
【0016】
【表2】
Figure 0004312373
【0017】
実施例2(カラー舗装);
アスファルトプラントで製造された合材を、実施例1と同様にして合材サイロ2に貯蔵する。この時、合材サイロ2に貯蔵する合材は一般的なアスファルト混合物で、細粒度アスファルト混合物などである。合材の配合比率は表1に示す通りである。
本実施例により特殊合材を出荷する手順は、以下の通りである。
合材サイロ2下部にある合材排出口を開放することにより、合材サイロ2に貯蔵された合材を合材サイロ2の下方に設置した合材計量ホッパ3に投入する。所定量の合材を計量した後、合材計量ホッパ3の下部にある合材排出口を開放して、合材計量ホッパ3の下方に設置されたミキサ5に投入する。一方、添加材料ホッパ4に貯留された添加材料(ベンガラ=酸化鉄)を計量して所定量(合材に対する重量比で5.8%)をミキサ5に投入し合材と混合する。混合完了後、ミキサ5の下部にある合材排出口を開放して、ダンプトラックに必要量を積み込み現場へ出荷する。
本発明の方法で出荷されたカラー合材を従来の方法で出荷されたカラー合材と比較すると、色に関して色相、色彩、明るさとも大きな違いは見られなかった。したがって、本発明の方法によれば、従来の方法により出荷されたカラー合材と同程度の品質のカラー合材をサイロから出荷することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるに適する装置の一例を示す説明図。
【図2】本発明に用いるに適する装置の一例を示す説明図。
【図3】本発明に用いるに適する装置の一例を示す説明図。
【図4】本発明に用いるに適する装置の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1 スキップエレベータ
2 合材サイロ
3 合材計量ホッパ
4 添加材料ホッパ
5 ミキサ
6 トラック
7 バインダ計量槽
8 スプレーポンプ
9 合材サイロ計量ゲート
10 ロードセル
11 噴霧装置
12 サージビン
13 計量バルブ
14 シュート
15 タンク
16 供給ポンプ

Claims (5)

  1. アスファルト系バインダ、骨材及び少なくとも一種の添加材料を必須成分とする特殊アスファルト混合物を製造するに際し、少なくとも一種の添加材料を含有しないアスファルト混合物を加熱貯蔵サイロに加熱貯蔵し、該サイロの出口下部にて、該サイロからの排出アスファルト混合物及びサイロ内のアスファルト混合物に含有させなかった添加材料を計量の上混合し所望性状のアスファルト混合物を製造することを特徴とする特殊アスファルト混合物の製造方法。
  2. サイロ内で加熱貯蔵するアスファルト混合物のアスファルト系バインダ量を所定量より少なくし、該サイロの出口下部にて、該サイロからの排出アスファルト混合物、バインダ量を所定量にするための追加のアスファルト系バインダ及びサイロ内のアスファルト混合物に含有させなかった添加材料を計量の上混合する請求項1記載の方法。
  3. サイロ内のアスファルト混合物に含有させない添加材料がアスファルト改質材又は機能性付与材料である請求項1又は2記載の方法。
  4. アスファルト改質材がゴム又は樹脂である請求項3記載の方法。
  5. 機能性付与材料が顔料、繊維質補強材、弾性付与材、中温化剤、凍結遅延材料及び吸油性材料から選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の方法。
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