以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はディスク読み取り/書き込み装置の原理図である。第1の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置1は、アンテナ部20、ホルダ30、通信部40から構成されて、ディスク10に付加された無線ICタグ(以下、単にタグ)12の内容の読み取り/書き込みを行う装置である。
アンテナ部20は、スロットアンテナ21、第1の給電ケーブル(給電ケーブル22)、第2の給電ケーブル(給電ケーブル23)から構成される。スロットアンテナ21は、導体面上にあけた2つのスロットである、第1のスロット(スロット21a)と第2のスロット(スロット21b)とを有する放射素子(アンテナ)である。
給電ケーブル22は、スロット21aに対して第1の給電信号(給電信号d1)を与え、給電ケーブル23は、スロット21bに対して第2の給電信号(給電信号d2)を与える。なお、給電とは、アンテナに電力を供給すること、またはアンテナから電力を取り出すことであり、給電信号とは、RF(Radio Frequency)帯の交流信号のことである。
ホルダ30は、軸状の誘電体であり、スロットアンテナ21が、両端の導体が接続しないように貼り付けられている(図5で後述)。また、ディスク10の穴11がホルダ30に挿入されて、ディスク10がセットされる。
通信部40は、給電ケーブル22と給電ケーブル23に対して、給電信号d1と給電信号d2とを交互に給電し、ホルダ30に挿入されたディスク10に対して、スロットアンテナ21の電波指向性が、放射される電波の強さがどの方向でも同じとなる無指向性となるように、スロット21a及びスロット21bから交互に電波を送出させる。
ここで、アンテナからの距離が同じでも方向によって電波の強さが違うことを指向性といい、アンテナから放射される電波の強さがどの方向でも同じことを無指向性という。
そして、通信部40は、スロットアンテナ21からの放射電波により、ホルダ30に挿入されたディスク10に付加されたタグ12との通信を行う。なお、スロットアンテナ21や通信部40の詳細な構成・動作については図8以降で後述する。
図2はディスク10を示す図である。ディスク10は、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)などに該当し、ディスクの中央部の穴11の近傍表面(信号の記録されない領域)に、タグ12が貼り付けられている。
タグ12は、図示しないタグアンテナとタグチップを内部に含む。タグ12は、図37で上述した無線ICタグ110に対応し、タグアンテナは、アンテナ111に、タグチップは無線ICタグチップ112に対応する。
図3はディスク10が挿入される様子を示す図である。ディスク読み取り/書き込み装置1に設けられた軸状のホルダ30に、ディスク10の穴11が挿入して、複数枚のディスク10をセットすることができる。
ホルダ30にはスロットアンテナ21が貼り付けられており、通信部40は、スロットアンテナ21を介して、ホルダ30に挿入された複数のディスク10と交信し(ディスク10に付いているタグ12と交信し)、情報のやりとりを行う(このとき、図38で上述したようなアンチコリジョン制御も行われる)。また、スロットアンテナ21へ給電するための給電ケーブル22、23は図示していないが、例えば、ホルダ30内に収められて、ホルダ内部からスロットアンテナ21へ接続する構成をとることができる。
なお、ディスク読み取り/書き込み装置1は、図37で上述したリーダ/ライタ120に対応し、スロットアンテナ21はアンテナ121に、通信部40はR/W部122に対応する。
ここで、ホルダ30に挿入された、複数枚のディスク10のそれぞれに付けられた個々のタグ12には、例えば、映像や音楽のタイトルや価格などが記憶されており、これらの情報を通信部40が読み出したり、またはタグ12に対して、在庫管理のための商品番号などを送信して記憶させたりすることができる。
したがって、ユーザは、従来のようなバーコード表示されたディスクを、手作業で1つずつ読み取ったりするなどといった面倒なことを行わずに、タグ12を付けたディスク10をホルダ30に挿入するだけで、容易にディスク10(すなわちタグ12)に対して情報を書き込んだり、読み出したりすることが可能になる。
なお、通信部40には、実際にはユーザインタフェース機能またはパソコン等の端末とのインタフェース機能が設けられており、ユーザはこれらインタフェース機能により、通信部40に対して、情報の送受信制御の指示を任意に与えることができる。
次に一般のスロットアンテナの概要について説明する。図4はスロットアンテナの概要を示す図である。従来のスロットアンテナ200は、導体の金属板201の長手方向にスロット(切り欠き)が設けられた形状を持ち、通常、スロット202の長さLは、スロット202から放射される電波波長λのλ/2の長さに設定し、スロット幅WはLよりも小さく設定される。
そして、給電ケーブル203をスロット202に接続して給電する。給電ケーブル203としては、マイクロストリップ線路や導波管を用いることができるが、同軸ケーブルが最も簡単である(以下、給電ケーブルを同軸ケーブルと呼ぶ)。
図では、同軸ケーブル203の内部導線(RF信号が流れる芯線)を給電点a1に接続し、外部導体(GNDとなる編組の線)を給電点a2に接続している。この状態で給電すると、電流iは図に示すように金属板201の上に広がって流れ、スロット202を横切る方向に電界Eが生じて、空中に電波が放射されることになる。なお、電波は、スロット202から紙面上方及び紙面下方の両方から放射する。
ここで、図4で示した従来のスロットアンテナ200を、図1に示したスロットアンテナ21の代わりにディスク読み取り/書き込み装置に適用すると、ディスク10をホルダ30へ挿入した際、ディスク10の挿入位置によって、タグ12との読み出し/書き込みが正常に行われない場合があるといった問題があった。ディスク読み取り/書き込み装置1の詳細を説明する前にその問題点について詳しく説明する。
図5はホルダ30にスロットアンテナ200が貼り付けられる様子を示す図である。薄い金属板上のスロットアンテナ200は、図に示すように、ホルダ30の表面に貼り付けられる(同軸ケーブルの図示は省略)。なお、貼り付ける際には、スロットアンテナ200の両端が接続しないように、スペース202aを設けて貼り付けられる。
図6はホルダ30に挿入されているディスク10を図3のX方向から見た図である。ホルダ30(従来のスロットアンテナ200が貼り付けられている)にタグ12が付いているディスク10が挿入されている。
この場合、スロットアンテナ200には指向性があるので、タグ12とスロット202との位置(以下、タグ−アンテナ角度と呼ぶ)によって、読み取り/書き込みの精度に違いが生じてしまう。
図7はスロットアンテナ200の電波強度をプロットした図である。円周外側の0〜350の数値は、10度刻みに記された角度を示す。また、中心点から角度0度方向に記されている0〜30の数値は、タグ12を読み取ることができた最低電力をある電力からの減衰量で示したもので、減衰量が大きい値ほど小さい電力で読み取れることを意味している。したがって、グラフの中心に向かうほどタグ12が読み取れなくなり、中心から離れるほどタグ12が小さい電力でも読み取れやすいことになる。
図からわかるように、ホルダ30に貼り付けられたときのスロットアンテナ200の指向性は、8の字形状のグラフになっている。これは角度から見れば、スロット202と、図5で上述したスペース202aとが存在する位置に対して、最も指向性が強い(スロット202が位置する0度の方向と、スペース202aが位置する180度の方向に電波強度が強い)ことがわかる。
しかし、角度の面から見た指向性については、図7に対して、スロット202が0度、スペース202aが180度の位置にあるならば、約90度と約270度の角度で指向性が最も弱くなることがわかり、この位置にタグ12が存在すると、タグ12との正常な通信を行うことができない。
すなわち、従来のスロットアンテナ200でディスク読み取り/書き込み装置を構成すると、タグ−アンテナ角度がスロット202の位置から(またはスペース202aの位置から)+90度または−90度ずれた位置にタグ12が存在すると、そのタグ12に対しては読み取り/書き込みの信頼性が低下するといった問題があった。
ユーザは、ホルダ30に対して、スロットアンテナ200のスロット202(またはスペース202a)の位置に関係なくディスク10を挿入するので、どのように挿入されてもすべてのディスク10に対して、同じ精度、同じ信頼性で通信できることが必要である。
本発明では、従来のスロットアンテナ200の指向性を改善して、タグ12が付けられたディスク10が置かれる位置に関係なく、タグ12との通信を確実に行って、タグ通信の品質及び信頼性を向上させたディスク読み取り/書き込み装置を提供するものである。
次にディスク読み取り/書き込み装置1の構成及び動作について詳しく説明する。図8はアンテナ部20を示す図であり、図9は同軸ケーブル22、23の接続部分を示す図である。スロットアンテナ21がホルダ30に貼り付けられている様子を示している。
ホルダ30に貼り付ける際には、スロットアンテナ21の両端が接続しないようにスペースを設けているが図示はしていない。また、スロットアンテナ21は、スロット21a、21bの2つのスロットを有し、スロット長Lは、放射電波の波長λのλ/2としている。
さらに、スロット21aに給電信号d1を給電する同軸ケーブル22と、スロット21bに給電信号d2を給電する同軸ケーブル23が設けられる。同軸ケーブル22、23のそれぞれの内部導体は、図9に示すように、スロット21a、21bの間の金属導体部分に接続し、同軸ケーブル22の外部導体は、スロット21aの外側の金属導体部分に接続し、同軸ケーブル23の外部導体は、スロット21bの外側の金属導体部分に接続する。
図10は図8をY方向から見た図である。スロット21a、21bを導体面上に生成する際には、スロットアンテナ21がスペース21sをあけて、ホルダ30に貼り付けられたときに、スロット21aの位置とスロットの位置21bとの角度が略90度となるような位置に設けられる。
図11は通信部40の構成を示す図である。通信部40は、制御部41、情報送信部42、情報受信部43、サーキュレータ44、分配・合成部45、スイッチ部46から構成される。制御部41は、各構成要素の全体制御を行う。情報送信部42は、タグ12へ送信するための情報の変調処理を含む送信制御を行う。情報受信部43は、タグ12から送信された情報の復調処理を含む受信制御を行う。
サーキュレータ44は、3つのポートpa、pb、pcを有し、ポートpaから入力した信号をポートpbへ出力し、ポートpbから入力した信号をポートpcへ出力する。分配・合成部45は、サーキュレータ44から送信された信号を2つに分配してスイッチ部46へ出力し、またはスロット21a、21bを介して、タグ12から送信された情報を合成してサーキュレータ44へ出力する。スイッチ部46は、制御部41からの指示により、分配・合成部45から送信された信号をスロット21a、21bのいずれかにスイッチングし、またはスロット21a、21bのいずれかから受信した信号を分配・合成部45へ送信する。
図12は通信部40の動作を示すフローチャートである。
〔S1〕制御部41は、スイッチ部46へスロット21aへの切り替え指示を送信する。
〔S2〕情報送信部42は、送信情報を変調して出力し、送信情報はサーキュレータ44及び分配・合成部45を介して、スロット21aから送出される(すなわち、スロット21aにつながる同軸ケーブル22を通じて、情報が重畳されたRF信号(給電信号d1に該当)が印加され、スロット21aからRF信号が電波となってエア中に放射される)。
〔S3〕送信情報の送出後、制御部41は情報送信部42に対して、変調処理を停止させて、無変調の信号を出力させて、何の情報も重畳されていない電波をスロット21aから送出させる(タグ12への電源となる電波を常に送出する必要があるため)。
〔S4〕情報受信部43は、スロット21a、分配・合成部45及びサーキュレータ44を介して、タグ12から送信された情報を受信し復調して、情報の解析や記憶をしたりする。
〔S5〕ステップS1〜S4を一定回数繰り返す。
〔S6〕制御部41は、スイッチ部46へスロット21bへの切り替え指示を送信する。
〔S7〕情報送信部42は、送信情報を変調して出力し、送信情報はサーキュレータ44及び分配・合成部45を介して、スロット21bから送出される(すなわち、スロット21bにつながる同軸ケーブル23を通じて、情報が重畳されたRF信号(給電信号d2に該当)が印加され、スロット21bからRF信号が電波となってエア中に放射される)。
〔S8〕送信情報の送出後、制御部41は情報送信部42に対して、変調処理を停止させて、無変調の信号を出力させて、何の情報も重畳されていない電波をスロット21bから送出させる(タグ12への電源となる電波を常に送出する必要があるため)。
〔S9〕情報受信部43は、スロット21b、分配・合成部45及びサーキュレータ44を介して、タグ12から送信された情報を受信し復調して、情報の解析や記憶をしたりする。
〔S10〕ステップS6〜S9を一定回数繰り返す。そして、ステップS1へ戻る。
図13はスロットアンテナ21の電波強度をプロットした図である。グラフG1aは、スロット21aの指向性を示しており、グラフG1bは、スロット21bの指向性を示しており、グラフG1cは、グラフG1a、G1bを合成したグラフを示している。
ここで、スロット21a、21bは、図10で示したように、スロットアンテナ21がホルダ30に貼り付けられたときに、スロット21aの位置とスロット21bの位置との角度が略90度となるように構成されており、この状態で通信部40から、図12で上述した制御によって、スロット21a、21bに対して交互に給電される。
このため、スロット21aの8の字形状(縦向き)のグラフG1aと、スロット21bの8の字形状(横向き)のグラフG1bとが交互に現れることになり、その結果、ほぼ円形に近い指向性を持たすことができる(無指向性に近づけることになる)。
したがって、スロット21aからの電波で読み取り/書き込みがしにくいタグ−アンテナ角度にタグ12が位置していても、そのタグ−アンテナ角度を補償するように、スロット21bからの電波が放射されるので、タグ12に対する読み取り/書き込みを確実に行うことができ、どのようにディスク10がホルダ30に挿入されても、タグ12の位置に関係なく、タグ12との通信を行うことが可能になる。
次に給電信号d1、d2に位相差を与えて無指向性を実現した第2の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置について説明する。第2の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置で使用するスロットアンテナは、図8〜図10で示したものと同じであり、全体の構成は、基本的には図1の構成と同じである(図14で後述するように、通信部のブロック構成が異なる)。
ただし、図1のディスク読み取り/書き込み装置1では、スロット21a、21bに交互に給電したが、ここでのディスク読み取り/書き込み装置では、位相差のある給電信号をスロット21a、21bに同時に給電するものである。
図14は通信部の構成を示す図である。第2の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置の通信部40−2は、制御部41、情報送信部42、情報受信部43、サーキュレータ44、分配・合成部45、移相部47から構成される。
制御部41、情報送信部42、情報受信部43、サーキュレータ44及び分配・合成部45の動作は、図11で上述した内容と同じである。移相部47は、制御部41からの指示にもとづいて、分配・合成部45から出力された給電信号d1の位相を変えて、スロット21a、21bへ与える給電信号d1、d2に位相差を与える(移相部47は、給電信号d2側に設置して、給電信号d2側の位相を変えて位相差を生成してもよいし、給電信号d1、d2の両方に移相部47を2つ設置して制御してもよい)。
次に移相部47の移相制御として、給電信号d1の位相を給電信号d2に対して、+90度または−90度のいずれかに移相してスロット21aに給電する場合について説明する。
図15はスロットアンテナ21の電波強度をプロットした図である。グラフG2aは、スロット21a、21bそれぞれに印加する給電信号d1、d2の位相差が+90度の場合を示しており、グラフG2bは、スロット21a、21bそれぞれに印加する給電信号d1、d2の位相差が−90度の場合を示している。図からわかるように、グラフG2a、G2bはいずれも、ほぼ円形に近い指向性の形状になっている(無指向性に近い形状になっている)。
したがって、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号d1、d2の位相差が+90度または−90度のいずれか一方になるように移相制御を行って同時に給電することにより、どのようにディスク10がホルダ30に挿入されても、タグ12の位置に関係なくタグ12との通信を行うことが可能になる。
なお、給電信号d1、d2の位相差を+90度または−90度のいずれか一方に設定して給電することにより、無指向性に近いグラフが得られることの説明については図17〜図20で後述する。
次に移相部47の移相制御として、給電信号d1の位相を給電信号d2に対して、0度、180度に切り替えて移相させて、スロット21aに給電する場合について説明する。
図16はスロットアンテナ21の電波強度をプロットした図である。グラフG3aは、スロット21a、21bそれぞれに印加する給電信号d1、d2の位相差が0度の場合を示しており、グラフG3bは、スロット21a、21bそれぞれに印加する給電信号の位相差が180度の場合を示しており、グラフG3cは、グラフG3a、G3bを合成したグラフを示している。
位相差0度、180度に切り替えて、給電信号d1、d2を常時、スロット21a、21bに与えることで、横向きの8の字形状のスロット21aのグラフG3aと、縦向きの8の字形状のスロット21bのグラフG3bとが現れることになり、その結果、ほぼ円形に近い指向性を持たすことができる(無指向性に近くなる)。
したがって、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号d1、d2の位相差が0度、180度に切り替える移相制御を行って給電することにより、どのようにディスク10がホルダ30に挿入されても、タグ12の位置に関係なくタグ12との通信を行うことが可能になる。
なお、給電信号d1、d2の位相差を0度、180度に切り替えて同時に給電することにより、無指向性に近いグラフが得られることの説明については図17〜図20で後述する。
次に給電信号d1、d2に±90度の位相差を与えた場合と、0度、180度の位相差を切り替えながら与えた場合に、無指向性に近いグラフが得られることの理由について図17〜図20を用いて概念的に説明する。最初に、1つのスロットを有する従来のスロットアンテナに対し、このスロットアンテナの指向性が8の字形状になる場合について説明する。
図17はスロットが1つあるスロットアンテナの指向性を説明するための概念図である。図4に示したスロットアンテナ200で考える。なお、“電波の大きさ”の項目に示されているスロットアンテナの形状は、図4をZ方向に見た図である。
図17において、“給電点の位相”、“電波の大きさ”、“ベクトル表示”の項目が記されており、これらの状態に対してステップS11〜S14まで順に説明する。なお、“ベクトル表示”は、最も大きな強度の電波のみをベクトルで表示したものである。
〔S11〕スロット202の給電点(図4の給電点a1、a2に該当)での給電信号の位相が0度のときは、スロット202から放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S12〕スロット202の給電点a1、a2での給電信号の位相がπ/2のときは、スロット202からの電波分布が正方向のλ/2の正弦波状の分布となる。また、これをベクトルv1aと表示する。
〔S13〕スロット202の給電点a1、a2での給電信号の位相がπのときは、スロット202から放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S14〕スロット202の給電点a1、a2での給電信号の位相が3π/2のときは、スロット202からの電波分布が負方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv1bと表示する。
したがって、スロットが1つある通常のスロットアンテナでは、印加する給電信号の位相によって、スロット202から発出される最大強度の電波が、互いに逆向きに生じることがわかり(このことをベクトルv1a、v1bで表している)、8の字形状(縦向きの8の字)の指向性となることが推測できる。
次に2つのスロット21a、21bを有するスロットアンテナ21の指向性について説明する。図18、図19はスロットが2つあるスロットアンテナ21の指向性を説明するための概念図である。最初に図16で説明した給電信号d1、d2の位相差を0度、180度に切り替えた際の指向性について説明する。なお、“ベクトル表示”の項目に示されているスロットアンテナの形状は、図8をY方向に見た図である。
図18において、“位相差0度のときの給電点での位相”、“ベクトル表示”の項目が記されており、これらの状態に対してステップS21〜S24まで順に説明する。なお、“ベクトル表示”は、最も大きな強度の電波のみをベクトルで表示したものである。
〔S21〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相が共に0度(=位相差0度)のときは、スロット21a、21bから放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S22〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相が共にπ/2(=位相差0度)のときは、スロット21a、21bからの電波分布が正方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv2a、v2bと表示する。また、ベクトルv2a、v2bを合成してベクトルv2とする。
〔S23〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相が共にπ(=位相差0度)のときは、スロット21a、21bから放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S24〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相が共に3π/2(=位相差0度)のときは、スロット21a、21bからの電波分布が負方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv3a、v3bと表示する。また、ベクトルv3a、v3bを合成してベクトルv3とする。
したがって、スロットアンテナ21では、印加する給電信号d1、d2の位相差が0度の場合、スロット21a、21bから発出される最大強度の電波が、ベクトルv2a、v2b及びベクトルv3a、v3bで表されるので、これらのベクトルを合成したベクトルv2、v3から、8の字形状(縦向きの8の字)の指向性となることが推測できる。
図19に対し、“位相差180度のときの給電点での位相”、“ベクトル表示”の項目が記されており、これらの状態に対してステップS25〜S28まで順に説明する。
〔S25〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相がそれぞれ0度、π(=位相差180度)のときは、スロット21a、21bから放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S26〕スロット21a、21bの給電点での給電信号の位相がそれぞれπ/2、3π/2(=位相差180度)のときは、スロット21aからの電波分布が正方向のλ/2の正弦波状の分布となり、スロット21bからの電波分布が負方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これらをベクトルv4a、v4bと表示する。また、ベクトルv4a、v4bを合成してベクトルv4とする。
〔S27〕スロット21a、21bの給電点での給電信号の位相がそれぞれπ、0度(=位相差180度)のときは、スロット21a、21bから放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S28〕スロット21a、21bの給電点での給電信号の位相がそれぞれ3π/2、π/2(=位相差180度)のときは、スロット21aからの電波分布が負方向のλ/2の正弦波状の分布となり、スロット21bからの電波分布が正方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これらをベクトルv5a、v5bと表示する。また、ベクトルv5a、v5bを合成してベクトルv5とする。
したがって、スロットアンテナ21では、印加する給電信号の位相差が180度の場合、スロット21a、21bから発出される最大強度の電波が、ベクトルv4a、v4b及びベクトルv5a、v5bで表されるので、これらのベクトルを合成したベクトルv4、v5から、8の字形状(横向きの8の字)の指向性となることが推測できる。したがって、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号d1、d2の位相差を0度、180度に切り替えて給電することにより、図16に示したような無指向性のグラフが得られることがわかる。
次に図15で上述した位相差が90度のときの指向性について説明する。図20はスロットが2つあるスロットアンテナ21の指向性を説明するための概念図である。“ベクトル表示”の項目に示されているスロットアンテナの形状は、図8をY方向に見た図である。
位相差90度のときの給電点での位相”、“ベクトル表示”の項目が記されており、これらの状態に対してステップS31〜S34まで順に説明する。なお、“ベクトル表示”は、最も大きな強度の電波のみをベクトルで表示したものである。
〔S31〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相がそれぞれ0度、π/2(=位相差90度)のときは、スロット21aから放射される電波分布には正弦波の位相が現れず、スロット21bからの電波分布が正方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv6aと表示する。
〔S32〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相がそれぞれπ/2、π(=位相差90度)のときは、スロット21aからの電波分布が正方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv6bと表示する。また、スロット21bから放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
〔S33〕スロット21a、21bの給電点での給電信号d1、d2の位相がそれぞれπ、3π/2(=位相差90度)のときは、スロット21aから放射される電波分布には正弦波の位相が現れず、スロット21bからの電波分布が負方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv6cと表示する。
〔S34〕スロット21a、21bの給電点での給電信号の位相がそれぞれ3π/2、0(=位相差90度)のときは、スロット21aからの電波分布が負方向のλ/2の正弦波状の分布となり、これをベクトルv6dと表示する。また、スロット21bから放射される電波分布には正弦波の位相が現れない。
したがって、スロットアンテナ21では、印加する給電信号d1、d2の位相差が90度の場合(プラス、マイナスの符号は左回りになるか右回りになるかの違いだけなので、上記では単に位相差90度として説明した)、スロット21a、21bから発出される最大強度の電波が、ベクトルv6a〜v6dで表されるので、円形に近い指向性(無指向性)となることが推測できる。
したがって、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号d1、d2の位相差を+90度、−90度のいずれか一方に設定して給電することにより、図15に示すような無指向性のグラフが得られることになる。
次にスロット21a、21bへの給電信号を交互に与える制御(図13で上述したグラフG1cが得られる制御)と、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号の位相差を0度、180度に切り替えて給電する制御(図16で上述したグラフG3cが得られる制御)とを組み合わせた第3の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置について説明する。
図21は通信部の構成を示す図である。第3の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置の通信部40−3は、制御部41、情報送信部42、情報受信部43、サーキュレータ44、分配・合成部45、スイッチ部46、移相部47から構成される。
これらの構成要素は図11、図14で示した構成要素を組み合わせたもので基本的な動作は同じである。動作の流れとしては、例えば、最初にスロット21a、21bへの給電信号d1、d2をスイッチ部46で制御して交互に与え、一定時間経過後に、移相部47の制御により、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号d1、d2の位相差を0度、180度に切り替えて給電するものである。
図22はスロットアンテナ21の電波強度をプロットした図である。第3の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置で得られるグラフであり、ほぼ円形の指向性となっている。なお、これは、図13、図16を組み合わせたグラフであり、詳細は上述したので説明は省略する。
このように、第1の実施の形態と第2の実施の形態の組み合わせとして、スロット21a、21bへの給電信号を交互に与える制御と、スロット21a、21bそれぞれに対する給電信号の位相差を0度、180度に切り替えて給電する制御とを組み合わせることで、アンテナ指向性の改善を行ってもよい。
次にスロットアンテナ21のスロット21a、21bそれぞれに2本の同軸ケーブルを設けて(計4本の同軸ケーブル)給電する場合の第4の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置について説明する。
図23はスロットアンテナの構成を示す図である。第4の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置で使用するスロットアンテナ21−4は、図8〜図10で示したものと基本的に同じであるが、図に示すように、スロット21aには同軸ケーブルC1a、C1bが接続し、スロット21bには同軸ケーブルC2a、C2bが接続する(なお、スロット長は放射電波波長λのλ/2に限らない)。
そして、同軸ケーブルC1a、C1bからスロット21aへ給電信号d1a、d1bが給電され、同軸ケーブルC2a、C2bからスロット21bへ給電信号d2a、d2bが給電される。
図24はスロットアンテナ21−4で生成される定在波の様子を示す図である。第4の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置に対し、最初にスロット21aに対する給電を示すと、スロット21aに同軸ケーブルC1a、C1bから同時に給電信号d1a、d1bを給電する。
このとき、スロット21aには図に示すような定在波(給電線上に生成され、一方向からの進行波と他方向からの進行波との干渉で生じて、定常的に存在する周期的な波を定在波と呼ぶ)Wが生じる。同軸ケーブルC1aから送出した給電信号d1aと、同軸ケーブルC1bから送出した給電信号d1bとの位相が同相のとき(給電信号d1a、d1bが同相で衝突するとき)、定在波Wは電力最大となり、同軸ケーブルC1aから送出した給電信号d1aと、同軸ケーブルC1bから送出した給電信号d1bとの位相が逆相のとき(給電信号d1a、d1bが逆相で衝突するとき)、定在波Wは電力最小となる。
この場合、ホルダ30にディスク10が挿入されているならば、例えば、定在波Wの電力最大点で最もタグ12に記載されている情報を読み取りやすく(またはタグ12に情報を書き込みやすく)、定在波Wの電力最小点で最もタグ12に記載されている情報が読み取りにくくなる(またはタグ12に情報を書き込みにくくなる)。
したがって、定在波Wの位相を、給電信号d1a、d1bの位相を変えて制御することで(定在波Wの電力最大点の位置を変えることで)、ホルダ30にディスク10が挿入されている際の、ディスク10への読み取りやすいまたは書き込みやすい箇所を設定することができ、ホルダ30に挿入されているディスク10の位置に応じた、スロット21aとの通信アクセスを可能にすることができる。
または、給電信号d1a、d1bのいずれか一方の位相を固定し、他方の位相を360度徐々に移相させれば、定在波Wを移動(スキャン)させることができる(例えば、図の矢印方向)。このような制御により、ホルダ30に挿入されているディスク10をホルダ30の端から端まで順にスロット21aからの電波でスキャンさせることが可能になる。
一方、上記ではスロット21aへの同軸ケーブルC1a、C1bによる給電制御を示したが、スロット21bに対しても同じ制御を行う。すなわち、上記と同様にして、スロット21bに対して同軸ケーブルC2a、C2bから同時に給電信号d2a、d2bを給電し、スロット21bに対しても定在波Wを生じさせる。
そして、給電信号d2a、d2bの位相を制御して、ホルダ30に挿入されているディスク10の位置に応じた、スロット21bとの通信アクセスを可能にしたり、ホルダ30に挿入されているディスク10をホルダ30の端から端まで順にスロット21bからの電波でスキャンさせる。そして、このようなスロット21a、21bへの給電制御を一定周期で切り替える。
なお、上記のような給電制御に加えて、図15、図16で上述した給電信号に位相差を与える制御も行って、アンテナ指向性を改善する。例えば、スロット21aに対して、給電信号d1a、d1bに位相差90度を付けて(または0度、180度の位相を切り替える)、かつ給電信号d1aの位相を360度徐々に移相させれば、円形状に近い指向性の電波を発出しながら、定在波Wをスキャンさせることができる。スロット21bに対しても同様な制御を行い、スロット21aの制御とスロット21bの制御とを一定周期で切り替える。
図25は通信部の構成を示す図である。第4の実施の形態のディスク読み取り/書き込み装置の通信部40−4は、制御部41、情報送信部42、情報受信部43、サーキュレータ44、分配・合成部45a〜45c、移相部47a、47b、スイッチ部46a、46b、定在波移相部48から構成される。
定在波移相部48は、分配・合成部45aから出力された信号の位相を360度徐々に移相させる(定在波Wの位相を1回転させる)。移相部47aは、制御部41からの指示にもとづいて、給電信号d1a、d1bの位相差に±90度持たせるか、または0度、180度の位相切り替えを行う。移相部47bは、制御部41からの指示にもとづいて、給電信号d2a、d2bの位相差に±90度持たせるか、または0度、180度の位相切り替えを行う。
スイッチ部46aは、ポートp1から給電信号d1aをスロット21aに与え、ポートp2から給電信号d2aをスロット21bに与える。スイッチ部46bは、ポートp3から給電信号d1bをスロット21aに与え、ポートp4から給電信号d2bをスロット21bに与える。
これらのスイッチング制御としては、スロット21aをアクティブにする場合は、ポート(p1、p2、p3、p4)に対して、(ON、OFF、ON、OFF)となり、スロット21bをアクティブにする場合は、ポート(p1、p2、p3、p4)に対して、(OFF、ON、OFF、ON)となる(ONが該当ポートへの接続、OFFは該当ポートと接続しないことを意味する)。スロット21a、21bへのアクティブ切り替えは一定間隔で行う。
次に通信部の変形例について説明する。通信部の変形例として、通信部の出力段にレベル変換部(例えば、可変減衰器)を設けて、スロット21a、21bへ印加する給電信号のレベルを変えるものである。
図26は通信部の変形例の構成を示す図である。通信部40−1は、制御部41、情報送信部42、情報受信部43、サーキュレータ44、分配・合成部45、スイッチ部46、可変減衰器49a、49bから構成される。図11で上述した通信部40にレベル変換部としての可変減衰器49a、49bを設けたものである。
可変減衰器49a、49bは、制御部41からの指示にもとづき、給電信号のレベルを変換する。このような構成にすることにより、スロット21a、21bへの電力差を任意に補正することが可能になる(第2〜第4の実施の形態の通信部に対しても適用可能)。
次にスロットアンテナの変形例について説明する。図27は第1の変形例のスロットアンテナの構成を示す図である。スロットアンテナ210の構成は図8、図9で上述したスロットアンテナ21と基本的には同じ構成である。異なる点は、スロット21a、21bの同軸ケーブルが接続されていない端側を終端する点である。図では終端抵抗R1、R2で終端されている。
通常、スロットアンテナのスロットの長さLは、放射電波の波長のλ/2に設定されている。これは、λ/2よりもスロット長を伸ばすと、同軸ケーブルから供給される電力がスロットに対して印加されずに、給電点において反射現象が顕著に生じてしまい(給電点において跳ね返った反射波が同軸ケーブルを流れる)、アンテナとしての正常な機能を持たすことができないからである(ただし、スロット長がλ/2の整数倍の場合には反射波の影響はほとんどない)。
このため、図に示すように終端することで、給電点から見た入力インピーダンスを調整して、反射波の影響をなくし(入射波a11と反射波b11の割合であるSパラメータの1つである反射係数S11(=b11/a11)を小さくしている)、スロット長の電波波長依存性をなくしている。このような構成にすることにより、スロットアンテナ210が貼り付けられるホルダ30の軸を長くできるので、より多くのディスク10を挿入することが可能になる。
図28は第2の変形例のスロットアンテナの構成を示す図である。第2の変形例のスロットアンテナ220は、3つのスロット21a〜21cを設け、それぞれのスロットに同軸ケーブルC1〜C3から給電するものである。
スロットアンテナ210では、2つのスロット21a、21bを有し、ホルダ30に貼り付ける際に両端の導体が接続しないようにして空いたスペースを設けていたが、スロットアンテナ220ではこのスペースもスロット21cにしたものである。スロットアンテナ220の給電制御としては、例えば、スロット21a〜21cへ順番に給電を与える方法が行える。
図29は第3の変形例のスロットアンテナの構成を示す図である。第3の変形例のスロットアンテナ230は、スロット21a、21bの長さLを共に放射電波の波長nλ/2(nは整数)と同じにして、スロット21a、21bの端側を、長手方向にスロット21a、21bをλ/4ずらした構成をとる。また、同軸ケーブルC1はスロット21a側に接続し、同軸ケーブルC2はスロット21b側に接続する。
図30はスロットアンテナ230によって生じる正弦波を示す図である。スロット21a、21bへ給電したときに正弦波が生成されている状態を示している。スロット21aからは正弦波W1が生じ、スロット21bからは正弦波W2が生じる。このとき、正弦波W1のボトムB1に対しては、正弦波W2のピークP2でカバーし、正弦波W2のボトムB2に対しては、正弦波W1のピークP1でカバーしている。このような構成のスロットアンテナとすることで、タグ12との読み取り/書き込みができない位置をなくすことができる。なお、図31はスロットアンテナ230の変形例を示しており、スロットアンテナ230aは、スロット21a、21bの一端をλ/4ずらし、他端の位置を合わせたものである。
次にディスク読み取り/書き込み装置の構成上の変形例について説明する。図32はディスク読み取り/書き込み装置の第1の変形例を示す図である。ディスク読み取り/書き込み装置1−1は、スロットアンテナ21が張り付いたホルダ30を筐体70に格納し、タグが付いた板状の物体(カード等)80を筐体70上に配置して、タグとの通信を行う。このような装置形状にすることで、円板上のディスク10だけでなく、タグが付けられたカードに対しても、複数枚カードをセットして、一括して読み取り/書き込みを行うことが可能になる。
なお、筐体70内のスロットアンテナ21は円柱のホルダ30である必要はなく、図33に示すように、板状の誘電帯300にスロットアンテナ21を貼り付けて筐体70内に設置してもよい。
以上説明したように、ディスク読み取り/書き込み装置により、アンテナの指向性を改善し、無線ICタグが付けられたディスクが置かれる位置に関係なく、高品質なタグとの通信が可能になる。
なお、ディスク読み取り/書き込み装置からの電波をタグ12でよりよく受信できるように、図34に示すように、タグ12に接続するタグアンテナ12aを円状にしてディスク10に貼り付けるようにしてもよい。
また、上記では、中央部に穴の開いたディスク10に付いているタグ12と、ディスク読み取り/書き込み装置との動作を中心に説明したが、円板状のディスク10に限らず、タグが付いているあらゆる物体に対して、ディスク読み取り/書き込み装置が有する機能をリーダ/ライタに持たせることで、高品質な通信を行うことができ、幅広い分野での応用が可能である。
さらに、スロットアンテナの変形例として、図35に示すスロットアンテナ21−5のように、スロット長が波長に依存しない場合、スロットの両端が導体で接続されていない(給電する導体が分かれている)スロット21a−5、21a−5のような構成にしてもよく、このような構成においても図23で示したスロットアンテナと同じ効果が得られる(図27に示した終端されているスロットアンテナ210に対して、同様にしてスロットの両端が導体で接続されていない構成にしてもよい)。
同様に図36に示すスロットアンテナ21−6のように、スロット長が波長に依存する場合にも、スロットの両端が導体で接続されていないスロット21a−6、21b−6のような構成にしてもよく(スロット21a−6、21b−6の長さは、(n・λ/2)+λ/4である)、このような構成においても図8、図29で示したスロットアンテナと同じ効果が得られる。
さらにまた、上記の説明ではスロットアンテナ21のスロット21a、21bは、ホルダ30と平行に直線上の形状になっているが、この形状に限らず、例えば、ホルダ30に対して斜めに設けることや、波状にするなどの形状にしてもよく、ホルダ30と平行に直線上に限定することはない。また、ホルダ30は、円形になっているが、正多角形等の軸でもよく、円形である必要はない。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。