JP4692727B2 - 銅合金材 - Google Patents

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本発明は、自動車用のコネクタ端子やバスバー、電気・電子部品の端子、リードフレームなどの材料として使用される通電用の銅合金材およびその製造方法に関し、特に、高い電気伝導度(導電率)と優れた耐マイグレーション性が求められる銅合金材およびその製造方法に関する。
従来、自動車用ジャンクションボックス(以下「J/B」という)などの極間の狭いバスバーの材料として、耐マイグレーション性に優れた黄銅が使用されていた。しかし、J/Bの小型化・高密度化によりバスバーの通電部が細線化され、また、黄銅の導電率が約28%IACSと低いことにより、ジュール熱の発生などの問題が生じたため、導電率が45〜65%IACS程度で耐マイグレーション性にも優れたCu−1Ni−0.5Sn−0.05P、Cu−0.7Mg−0.005P(例えば、特許文献1参照)、Cu−2.3Fe−2Zn−0.03Pなどの銅合金材を使用することが提案されている。
また、他の銅合金材として、Cu−P系(例えば、特許文献2参照)、Cu−Sn系(例えば、特許文献3参照)、Cu−P−Sn系(例えば、特許文献4〜6参照)、Cu−Ni−P系(例えば、特許文献7参照)、Cu−Ni−P−Sn−Zn系(例えば、特許文献8参照)、Cu−Mg−P系(例えば、特許文献9参照)、Cu−Ni−Mg−P−Ti系(例えば、特許文献10参照)、Cu−Mg−P−Sn系(例えば、特許文献11〜15参照)、Cu−Mg−P−Zn−Pb系(例えば、特許文献16参照)、Cu−Ni−Mg−P系(例えば、特許文献17参照)などの様々な銅合金材が提案されている。
特公平6−90887号公報(第1−2頁) 特開昭61−221344号公報(第2頁) 特開平2−173248号公報(第2頁) 特開平2−141562号公報(第2頁) 特開平2−173228号公報(第2頁) 特開平5−195173号公報(段落番号0004−0010) 特開平4−218631号公報(段落番号0006−0010) 特開平7−331363号公報(段落番号0011−0022) 特開昭64−52034号公報(第2頁) 特開昭62−196344号公報(第1−2頁) 特開昭63−65038公報(第2−3頁) 特開昭64−4445号公報(第2頁) 特開平5−59467号公報(段落番号0005−0016) 特開平5−311288号公報(段落番号0004−0014) 特開平11−80863号公報(段落番号0004−0006) 特開平10−219372号公報(段落番号0006−0007) 特開2000−273562号公報(段落番号0006)
しかし、近年の自動車の軽量化や電装品の回路の数の増加に伴い、J/Bの小型化・高密度化の傾向が益々強くなっており、Cu−1Ni−0.5Sn−0.05P、特許文献1に提案されたCu−0.7Mg−0.005P、Cu−2.3Fe−2Zn−0.03Pなどの銅合金材のように、導電率が45〜65%IACS程度で耐マイグレーション性にも優れた銅合金材であっても、耐マイグレーション性が十分とはいえなくなってきているため、さらに高い導電率を有し且つさらに優れた耐マイグレーション性を有する材料が望まれている。
また、特許文献2のCu−P系の銅合金材は、0.1重量%以上のPをCu中に固溶させているため導電率が低く、特許文献3のCu−Sn系の銅合金材は、1重量%以上のSnをCu中に固溶させているため導電率が低く、特許文献4〜6のCu−P−Sn系の銅合金材は、1重量%以上のPおよびSnをCu中に固溶させているため導電率が低く、特許文献7のCu−Ni−P系の銅合金材は、0.5重量%以上のNiを添加しているため導電率が低く、特許文献8のCu−Ni−P−Sn−Zn系の銅合金材は、0.8重量%以上のSnを添加しているため導電率が低い。特許文献9のCu−Mg−P系の銅合金材は、優れた耐マイグレーション性を有するが、0.5重量%以上のMgを添加しているため、鋳造時に特別な雰囲気制御などが必要になり、製造コストが高くなる。特許文献10のCu−Ni−Mg−P−Ti系の銅合金材は、高価なTiを添加しているため、材料コストが高く、また、導電率が50%IACS以下と低い。特許文献11〜15のCu−Mg−P−Sn系の銅合金材は、0.5重量%以上のSnを添加しているため導電率が低く、また、Niが添加されていないため耐マイグレーション性に乏しい。特許文献16のCu−Mg−P−Zn−Pb系の銅合金材は、環境に有害なPbを添加しているが、環境基準が厳しくなっている現在ではPbの使用は好ましくなく、また、導電率も65%IACS以下である。特許文献17のCu−Ni−Mg−P系の銅合金材は、Niの添加量が0.3重量%以上と高いため、導電率が70%IACS以下である。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、70%IACS以上の高い導電率と優れた耐マイグレーション性を有する銅合金材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、0.01量%以上で0.5量%未満のNiと、0.05量%より多く0.5量%未満のPと、0.01量%以上で0.5量%未満のMgと、0.2量%以下の不可避不純物とを含有し、残部がCuからなる銅合金の鋳塊に所定の熱処理を施すことにより、70%IACS以上の高い導電率と優れた耐マイグレーション性を有する銅合金材を製造することができることを見出し、特に適量のMgとPを添加することにより、銅合金材の耐マイグレーション性を大幅に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銅合金材の製造方法は、0.01量%以上で0.5量%未満のNiと、0.05量%より多く0.5量%未満のPと、0.01量%以上で0.5量%未満のMgと、0.2量%以下の不可避不純物とを含有し、残部がCuからなる銅合金の鋳塊を、750℃以上で950℃未満の温度に加熱した後に熱間圧延し、その後、加工率30%以上で冷間圧延した後に400〜600℃で時効焼鈍することを特徴とする。この銅合金材の製造方法において、銅合金の鋳塊が0.01量%以上で0.5量%未満のSnを含有するのが好ましい。また、銅合金の鋳塊がFe、Zn、Ti、Al、B、As、Sb、Ag、Pb、Be、Zr、Si、Cr、MnおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する場合には、この少なくとも1種の元素と不可避不純物の合計の含有量が0.2量%以下であるのが好ましい。
また、本発明による銅合金材は、0.01量%以上で0.5量%未満のNiと、0.05量%より多く0.5量%未満のPと、0.01量%以上で0.5量%未満のMgと、0.2量%以下の不可避不純物とを含有し、残部がCuからなる銅合金材であって、電導度85μS/cmに調整した水溶液中において極間距離1mmで14Vの直流電圧を印加して最大8時間までマイグレーション試験を行った際の最大リーク電流が3A以下であり、導電率が70%IACS以上であることを特徴とする。この銅合金材は、0.01質量%以上で0.5量%未満のSnを含有するのが好ましい。この銅合金材がFe、Zn、Ti、Al、B、As、Sb、Ag、Pb、Be、Zr、Si、Cr、MnおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する場合には、この少なくとも1種の元素と不可避不純物の合計の含有量が0.2量%以下であるのが好ましい。また、この銅合金の引張強さが400N/mm以上であるのが好ましい。さらに、この銅合金材が、マトリックス中にMg−P化合物およびNi−P化合物の少なくとも一方を含有するのが好ましい。
さらに、本発明による端子またはバスバーは、上記の銅合金材からなることを特徴とする。
本発明によれば、70%IACS以上の高い導電率と優れた耐マイグレーション性を有する銅合金材を提供することができる。また、本発明による銅合金材は、高い引張強さも有しているので、J/Bなどの自動車用バスバー材、狭ピッチ化したリードフレームや端子などの電気・電子部品用材料として極めて優れた銅合金材である。
本発明による銅合金材の製造方法の実施の形態では、0.01量%以上で0.5量%未満のNiと、0.05量%より多く0.5量%未満のPと、0.01量%以上で0.5量%未満のMgと、必要に応じて0.01量%以上で0.5量%未満のSnと、0.2量%以下の不可避不純物とを含有し、Fe、Zn、Ti、Al、B、As、Sb、Ag、Pb、Be、Zr、Si、Cr、MnおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する場合にはその少なくとも1種の元素と不可避不純物の合計の含有量が0.2量%以下であり、残部がCuからなる銅合金の鋳塊を、750℃以上で950℃未満の温度、好ましくは750〜910℃で10分〜24時間保持した直後に熱間圧延し、その後、加工率30%以上で冷間圧延した後に400〜600℃で10分〜24時間時効焼鈍して、Mg−P化合物およびNi−P化合物を析出させる。これにより、高導電性と高強度の特性を損なうことなく、耐マイグレーション性を向上させることができ、リードフレーム、端子、コネクタ、バスバーなどの材料として優れた特性を有する銅合金材を製造することができる。
Niは、銅合金材のマイグレーション性を抑制する効果を有する元素である。Niがマイグレーション現象を抑制するメカニズムは明確ではないが、Niの存在によりCuイオンの溶出量が減少し、Niの化合物の生成によってCuの析出が抑制されて、電極間のマイグレーション現象が抑制されると考えられる。また、NiとPを同時に含有させるのは、NiとPが化合物を生成して銅合金材中に析出し、銅合金材の導電率と強度を向上させるからである。Niの含有量を0.01量%以上で0.5量%未満とするのは、0.量%未満ではマイグレーションを抑制する効果がなく、0.5量%以上ではマイグレーション性の抑制効果はあるが導電率の低下が著しいからである。なお、Niの含有量を0.1〜0.3量%とするのがさらに好ましい。
Pは、一般に製造時の溶湯の脱酸に寄与し、Mg−P化合物やNi−P化合物を析出させることによって、強度の向上に寄与する元素として知られている。本発明者らは、Pの添加量を増加することによって耐マイグレーション性を大幅に改善できることを見出し、本発明による銅合金材の実施の形態では、Pの添加量を増加して耐マイグレーション性を大幅に改善している。このメカニズムは明確ではないが、陽極側から溶け出したMgやPの各成分が所定の量または比になると、陰極側に析出するCu系物質の生成が抑制され、あるいは、析出物の組成、形態、固有抵抗値などが変化し、リーク電流を低減させると考えられる。Pの含有量を0.05量%より多く0.5量%未満とするのは、0.05量%以下ではMg−P化合物やNi−P化合物の析出量が少ないので銅合金材の特性へ寄与が小さく、0.5量%以上では熱間加工性が低下するからである。なお、Pの含有量を0.055〜0.3量%とするのがさらに好ましい。
Mgは、単体で使用しても銅合金材の強度の向上や耐マイグレーション性の向上に寄与するが、単体で使用する場合、実用的には0.5量%を超える含有量が必要になる。しかし、Mgの含有量が0.5量%を超えると、導電率の大幅な低下が避けられず、鋳造時に特別な雰囲気制御が必要になるなど、製造コストの上昇も避けられない。一方、0.01量%未満では、Mg−P化合物の析出量が少なく、十分な効果を発揮しない。したがって、Mgの含有量は、好ましくは0.01量%以上で0.5量%未満、さらに好ましくは0.1〜0.4量%、最も好ましくは0.15〜0.3量%である。
Snは、強度と耐熱性を向上させる効果を有するが、0.01量%未満ではその効果が十分ではなく、0.5量%を超えると導電率の低下が著しい。すなわち、Snは、マトリックス中に固溶して強度の向上に寄与するが、0.01量%未満ではその効果が十分ではなく、0.5量%を超えると強度は向上するものの導電率の低下が大きいため、Snを含有させる場合には、その含有量が0.1量%以上で0.5量%未満であるのが好ましい。
不純物の含有量を0.2量%以下にし、Fe、Zn、Ti、Al、B、As、Sb、Ag、Pb、Be、Zr、Si、Cr、MnおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する場合にその少なくとも1種の元素と不可避不純物の合計の含有量を0.2量%以下にするのは、導電率の低下を抑制するためであり、これらの元素がCu中に固溶することによって、導電率を著しく低下させて70%IACS以上の高い導電率を得ることができないからである。なお、上記の少なくとも1種の元素と不可避不純物の合計の含有量を0.1量%未満にするのがさらに好ましい。
熱間圧延前の加熱は、鋳造組織を壊し、均質な成分および組織に改変するために行われる。加熱保持温度は、750℃未満では均質化が十分に行われず、950℃以上では熱間圧延時に割れが生じるため、750℃以上で950℃未満の温度、好ましくは750〜910℃であり、さらに好ましくは800〜880℃である。また、加熱保持時間は、10分未満では均質化が十分に行われず、24時間を超えると経済的ではないため、好ましくは10分〜24時間である。さらに、熱間圧延における加工率は、動的再結晶を起こさせるために40%以上であるのが好ましい。
加工率30%以上で冷間圧延した後に400〜600℃で10分〜24時間焼鈍を行うのは、Mg−P化合物を析出させるためである。400℃未満では析出が不十分であり、600℃を超えるとMg−P化合物が再固溶してしまい、10分未満では析出が不十分であり、24時間を超えると経済的に不利であるためである。
以下、本発明による銅合金材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1〜8]
表1に示す組成の銅合金を大気中または不活性雰囲気中で溶解し、40mm×40mm×150mmのインゴットを鋳造し、このインゴットから40mm×40mm×20mmを切り出し、鋳造組織を壊して均質な成分および組織に改変するために850〜910℃で熱間圧延を行い、厚さ7.4mmの板材とした。この熱間圧延後の板材の表面の酸化物を酸洗および研磨により除去した後、1次冷間圧延によって板厚を2.5mmとし、その後、圧延組織が残らない程度の再結晶組織を得るために400〜600℃で1時間焼鈍(1次熱処理)を行った。この焼鈍後の板材の表面の酸化物を酸洗および研磨により除去した後、2次冷間圧延によって板厚を0.64mmとし、その後、250〜300℃で30分間歪取り焼鈍(2次熱処理)を行った。なお、上記の熱間圧延の開始温度、1次熱処理の温度および2次熱処理の温度は、上記の各温度範囲内において、各実施例の銅合金の組織に応じて最適な温度を決定した。
得られた銅合金材について、導電率および引張強さを測定し、耐マイグレーション性を評価した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0004692727
Figure 0004692727
なお、導電率は、JIS H0505に基づいて測定し、引張強さは、長手方向を圧延方向と平行にしてJIS Z2241に基づいて測定した。
また、耐マイグレーション性は、各実施例の銅合金材を10mm×100mmの大きさの試験片に切断し、図1に示すように2枚1組としてセットし、図2に示すように、純水に亜硫酸ナトリウムを加えて電導度を85μS/cmに調整した水溶液中に浸漬した後、2枚の試験片の間に14Vの直流電圧を印加し、経過時間に対する電圧値の変化を記録計で測定して電流値を算出し、最大リーク電流値によって評価した。実施例1において、試験時間に対する最大リーク電流の変化を図3に示す。なお、図1において、参照符号10はアクリル樹脂板、12はアクリル樹脂板10に固定された試験片を示している。また、図2において、参照符号14は試験水溶液(600mL、初期水温25℃)、16は樹脂クリップ、18は定電圧直流電源(DC14V)、20はシャント抵抗、22は電圧の記録計を示している。
[比較例1〜7]
比較例1および2として、それぞれ市販の無酸素銅(C1020)と黄銅(C2600)からなる銅合金材を用意するとともに、比較例3〜7として、表1に示す組成の銅合金から実施例1〜8と同様の方法により銅合金材を製造し、これらの銅合金材について、実施例1〜8と同様の方法により、導電率および引張強さを測定し、耐マイグレーション性を評価した。これらの結果を表2に示す。
表2からわかるように、実施例1〜8の銅合金材は、所定量のNi、Mg、PおよびSnを含有し、適切な熱処理によりNi−P化合物およびMg−P化合物が母相中に析出しているため、優れた引張強さおよび導電率を有し、且つ比較例2の銅合金材(黄銅からなる銅合金材)と同程度の優れた耐マイグレーション性を有している。
一方、比較例1の銅合金材は、従来の自動車のバスバーに使用されている無酸素銅(C1020)からなる銅合金材であり、導電率は高いが、引張強さと耐マイグレーション性に劣っている。比較例2の銅合金材は、従来の自動車のバスバーに使用されている黄銅(C2600)からなる銅合金材であり、Znの含有量が高いため耐マイグレーション性に優れているが、導電率は低い。比較例3の銅合金材は、Mgを含有していないため耐マイグレーション性に劣っている。Mgの含有量が高い比較例4の銅合金材は、Mg−P化合物として析出することができない過剰のMgが母相中に固溶しているため、導電率が低い。比較例5の銅合金材は、Niを含有していないため、耐マイグレーション性に劣っている。Niの含有量が高い比較例6の銅合金材は、Ni−P化合物として析出することができない過剰のNiが母相中に固溶しているため、導電率が低い。比較例7の銅合金材は、Pが添加されていないのでNi−PやMg−Pなどの化合物を析出しないため、母相中にNiやMgが固溶して導電率が低い。
[実施例9〜13、比較例8〜12]
表1の実施例1に相当する組成のインゴットから40mm×40mm×20mmを切り出し、それぞれ表3に示す条件で熱間圧延、1次冷間圧延、1次熱処理、2次冷間圧延および2次熱処理を施し、板厚0.64の銅合金材を得た。なお、実施例7は実施例1と同じの条件を採用した。得られた銅合金材について、実施例1〜8と同様の方法により、導電率および引張強さを測定した。これらの結果を表4に示す。
Figure 0004692727
Figure 0004692727
表4からわかるように、実施例9〜13の銅合金材は、70%IACS以上の高い導電率と、400N/mm以上の引張強さを有している。一方、比較例8の銅合金材では、熱間圧延温度が高過ぎて熱間割れを生じた。比較例9の銅合金材では、1次熱処理温度が低過ぎ、比較例10の銅合金材では、1次熱処理温度が高過ぎて、いずれもNi−P化合物やMg−P化合物などの析出が不十分であるため、導電率が低い。比較例11の銅合金材では、熱間圧延温度が低過ぎて鋳造組織の残留が生じた。比較例12の銅合金材では、1次冷間圧延率が低過ぎて1次熱処理による析出が十分でないため、導電率が低い。
図1は、実施例および比較例の耐マイグレーション性の試験に使用する試験片の配置を概略的に示す斜視図である。 図2は、図1の試験片を使用して耐マイグレーション性の試験を行う方法を説明する概略図である。 図3は、実施例1の試験時間に対する最大リーク電流の変化を示すグラフである。
符号の説明
10 アクリル樹脂板
12 試験片
14 試験水溶液
16 樹脂クリップ
18 定電圧直流電源
20 シャント抵抗
22 記録計

Claims (5)

  1. 0.01量%以上で0.5量%未満のNiと、0.05量%より多く0.5量%未満のPと、0.01量%以上で0.5量%未満のMgと、0.2量%以下の不可避不純物とを含有し、残部がCuからなる銅合金材であって、電導度85μS/cmに調整した水溶液中において極間距離1mmで14Vの直流電圧を印加して最大8時間までマイグレーション試験を行った際の最大リーク電流が3A以下であり、導電率が70%IACS以上であることを特徴とする、銅合金材。
  2. 0.01量%以上で0.5量%未満のSnを含有することを特徴とする、請求項に記載の銅合金材。
  3. 引張強さが400N/mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の銅合金材。
  4. マトリックス中にMg−P化合物およびNi−P化合物の少なくとも一方を含有することを特徴とする、請求項乃至のいずれかに記載の銅合金材。
  5. 請求項乃至4のいずれかに記載の銅合金材からなる端子またはバスバー。
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