JP4691781B2 - 固体撮像素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体撮像素子に関するものであり、更に詳しくは、画素毎に入射する光量の割合を均一化させて画素の感度を均等化させた固体撮像素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子は、その光学系が1/3インチから1/4インチと小さくなっており、更には、固体撮像素子の小型化および画素数の増加に伴って受光部の開口が小さくなっていることから、画素に対応する個々の受光部の感度は低下する傾向にある。しかし、単に受光部の開口を拡大しても、入射光が電荷転送部へ侵入して撮影画像にスミア(例えば白線)を発生し易くなることから、問題の解決策としての開口の拡大には限界がある。
【0003】
そのために、特開平10−256518号公報には、入射光の色に応じた低反射膜を受光部のフォトセンサ上に設けた固体撮像素子が開示されている。すなわち、低反射膜を設けない場合、入射した光の約25%がフォトセンサの形成されている半導体基板の表面で反射され、残りがフォトセンサ内へ進入し光電変換されて信号電荷となっている。従って、反射光の割合を低下させれば感度が向上することになるが、例えば反射率が2〜3%になると感度は30%程度向上するとされている。更には低反射膜に加えて、半導体基板の表面に水素を供給し界面電位を低減させて暗電流を抑制するようにしたものが開示されている。
【0004】
図11は特開平10−256518号公報に記載されている固体撮像素子2の概略的な構成を示す平面図であり、固体撮像素子2は、マトリックス状に配置した画素としての受光部を構成し光電変換を行うフォトセンサ21と垂直転送レジスタ14とからなる撮像領域16と、垂直転送レジスタ14から転送される信号電荷を出力部18に転送する水平転送レジスタ17とからなっている。なお。このような構成は一般的なCCD固体撮像素子に共通するものである。そして特開平10−256518号公報の固体撮像素子2が特徴とするところは、図12に示すように、各フォトセンサ21の上に低反射膜35が形成されていることにある。すなわち、図12は低反射膜35が形成されたフォトセンサ21を含む受光部30からなる固体撮像素子2の部分平面図であり、後述の図13の断面図に示されている構成要素のなかで、フォトセンサ21と、電気信号の読み出し・転送を行う垂直転送電極34(34a、34b)と、フォトセンサ21の上に垂直方向に連続して形成されている低反射膜35とが示されている。その上には、図示されずとも、金属遮光膜がほぼ全面的に形成されるが、その金属遮光膜に設けられる受光窓37wが一点鎖線で示されている。
【0005】
そして、図13は図12におけるに[13]−[13]線方向(水平方向)の受光部30の断面図であり、図14は図12における[14]−[14]線方向(垂直方向)の受光部30の断面図である。図13、図14に示すように、受光部30は、フォトセンサ21のほかに、読み出しゲート、垂直転送レジスタ14、チャンネルストップ等が形成された半導体基板11の表面にゲート絶縁膜32が形成されており、フォトセンサ21の上方を避けてゲート絶縁膜32上に垂直転送電極34(34a、34b)が形成され、垂直転送電極34を覆って層間絶縁膜36が全面的に形成され、フォトセンサ21の上方に受光窓37wを有する金属遮光膜37が形成されている。そして、受光窓37wの下方に位置してフォトセンサ21上に低反射膜35を設け、フォトセンサ21へ進入する光量を増大させることによって固体撮像素子2の感度の向上を図ったものである。なお低反射膜35は各受光部30の上方にそれぞれ形成されるマゼンタ、シアン、イエロー、またはグリーンのカラーフィルター(図示されていない)を透過してくる光の色に応じた膜厚または屈折率とされている。そして、金属遮光膜37の全面を覆ってSiN(窒化珪素)膜とPSG(燐珪酸ガラス)膜とからなる保護膜38が形成されている。
【0006】
更には保護膜38の上に、図示を省略したが、全面を覆う平坦化膜、上記のカラーフィルタ、およびオンチップレンズ等が形成されている。なお、SiN膜にはプラズマCVDのプラズマに起因する水素が含まれており、金属遮光膜37にも水素を含有するAl等が使用されるので、金属遮光膜37や保護膜38からの水素が半導体基板11へ供給されて、半導体基板11とその上のゲート絶縁膜32との間の界面電位を低減させ暗電流を抑制する。
【0007】
また、特開2000−77636号公報には、上記の受光部30は、低反射膜35を形成させた後に金属遮光膜37を形成させるので、低反射膜35のパターニングと受光窓37wを有する金属遮光膜37のパターニングとの位置ずれによって低反射膜35と受光窓37wと間に隙間を生じ易いが、その隙間を経由して入射光が垂直転送レジスタ14等に侵入し撮影画像にスミアを生ずるとして、図15に示すように、低反射膜35と金属遮光膜37との上下の関係を反転させ、金属遮光膜37上に低反射膜35を全面的に形成させ、その上へ保護膜38を形成させた受光部40からなる固体撮像素子が提案されている。なお、図15においては、低反射膜35、金属遮光膜37、保護膜38以外の構成要素で図13と共通するものには同一の符号を付しており、それらの説明は省略する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−256518号公報の図13に示したような構成の受光部30は、垂直転送電極34bの段差面34sが必ずしも垂直面とはならずに傾斜面となる場合があり、傾斜の段差面34sは低反射膜35を形成させるレジスト膜への露光を反射させ、そのハレーションによってレジスト膜の開口幅を不均一化させる。従って、形成される低反射膜35は幅のバラツキが大となり、その結果、矢印L1 、L2 で示すように、受光窓37wから低反射膜35を透過してフォトセンサ21へ入射する光量と、受光窓37wから低反射膜35を透過せずにフォトセンサ21へ入射する光量との割合が受光部30毎に異なるようになる。すなわち、画素毎に感度差を生じ、撮像画面の明るさが不均等になるので製品検査をパスしなくなる。そして、この低反射膜35の幅のバラツキは製造ロット間のバラツキとなるので、製造ロット毎に不良率が変化して製品の歩留りを不安定化させている。
【0009】
また、特開2000−77636号公報に開示の受光部40は、その構成によって低反射膜35と金属遮光膜37とのパターニングの位置ずれによる問題は回避されるが、保護膜38からの水素の供給は期待できない構成であるほか、特開平10−256518号公報の受光部30の製造プロセスの順序の変更を要し、それに伴って装置・機器の配列の変更を必要とする。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、低反射膜を透過する光量と低反射膜を透過しない光量との割合が異なることによる受光部毎の感度の不均一を発生せず、生産性を大幅に向上させ得る固体撮像素子を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題の解決手段を説明すれば、次の如くである。
【0012】
本発明の固体撮像素子は、半導体基板の表面部に画素としての受光部のフォトセンサをマトリックス状に配置し、半導体基板の表面のゲート絶縁膜にフォトセンサの上方を避けて転送電極を形成し、更に転送電極およびフォトセンサ上に形成された層間絶縁膜を介して、フォトセンサの上方に受光窓を有する遮光膜を形成して構成される固体撮像素子において、フォトセンサ面での光の反射率を低下させる低反射膜がフォトセンサ上のゲート絶縁膜と層間絶縁膜との間に受光窓より広い面積を占めて形成されているものである。このような固体撮像素子は、入射光の全てが低反射膜を透過してフォトセンサに進入することにより受光部毎の入射光量が一定化され、画素毎に感度差を生じるような問題を発生させない。
【0013】
本発明の固体撮像素子は、低反射膜に受光窓と重ならない部分的な欠落箇所が設けられているものである。このような固体撮像素子は、低反射膜の欠落箇所が低反射膜の上方に形成された膜から供給される水素を半導体基板へ導くに際しての通路として機能する。
【0014】
本発明の固体撮像素子は、低反射膜の上方に水素を供給する膜が形成されているものである。このような固体撮像素子は、水素が低反射膜の欠落箇所を経由して半導体基板へ供給され、半導体基板とゲート絶縁膜との界面電位を低下させて暗電流を抑制し、撮影画像のスミアを低減させる。
【0015】
本発明の固体撮像素子は、低反射膜がフォトセンサに入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成されているものである。このような固体撮像素子は、入射光の波長に基づく適切な膜厚または屈折率の低反射膜を有することから、各フォトセンサへの入射光量が大きく高い感度を有している。
【0016】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、半導体基板の表面部に画素としての受光部のフォトセンサをマトリックス状に配置し、半導体基板の表面のゲート絶縁膜にフォトセンサの上方を避けて転送電極を形成し、更に転送電極およびフォトセンサ上に形成された層間絶縁膜を介して、フォトセンサの上方に受光窓を有する遮光膜を形成して構成される固体撮像素子の製造方法において、フォトセンサ面での光の反射率を低下させる低反射膜をフォトセンサ上のゲート絶縁膜と層間絶縁膜との間に受光窓より大きい面積で形成させる方法である。このような固体撮像素子の製造方法は、入射光の全てが低反射膜を透過してフォトセンサに進入することから受光部毎の入射光量を一定化させ、画素毎の感度差がない固体撮像素子を与える。
【0017】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、低反射膜に受光窓との重なりを避けて部分的な欠落箇所を設ける方法である。このような固体撮像素子の製造方法は、低反射膜の上方に形成された膜から供給される水素を半導体基板へ導く通路を備えた受光部からなる固体撮像素子を与える。
【0018】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、低反射膜の上方に水素を供給する膜を形成させる方法である。このような固体撮像素子の製造方法は、水素が低反射膜の欠落箇所を通路として半導体基板へ供給されることから、半導体基板とゲート絶縁膜との界面電位が低下され暗電流が抑制された固体撮像素子を与える。
【0019】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、低反射膜をフォトセンサに入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成させる方法である。このような固体撮像素子の製造方法は、各フォトセンサ面での反射率を入射光の波長に基づいて適切に低下させ、各受光部の感度が向上された固体撮像素子を与える。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の固体撮像素子は、上述したように、フォトセンサ面での光の反射率を低下させる低反射膜が金属遮光膜の受光窓より広い面積を占めてフォトセンサ上のゲート絶縁膜と層間絶縁膜との間に形成されているものである。低反射膜が受光窓より広い面積を持つものであり、入射光の全てが低反射膜を透過してフォトセンサに進入するものである限り、低反射膜の平面形状は特に限定されない。すなわち、フォトセンサ毎にフォトセンサを可及的に覆うように形成させてもよく、また垂直方向に連続する低反射膜として垂直な方向の線上にある各フォトセンサを覆うように形成させてもよく、また低反射膜を格子状として、格子の交差部分でフォトセンサを覆うように形成させてもよい。
【0021】
低反射膜は受光窓より広い面積とし、フォトセンサを可及的に覆うような形状に形成させるが、上方の膜から供給される水素の通路として、受光窓と重ならないように低反射膜に欠落箇所を設けたものであることが望ましい。通路とする低反射膜の欠落箇所はフォトセンサの四隅部に相当する箇所に設けてもよく、そのほか、フォトセンサの周縁部に相当する部分に設けてもよい。そして、欠落部分の平面形状は方形、三角形、半円形、その他どのような形状であってもよく、また欠落箇所の数も限定されない。低反射膜が金属遮光膜の受光窓の面積より大でフォトセンサより小さい平面形状である場合には、当該低反射膜の周囲が水素の通路となるので上記の欠落箇所を敢えて設ける必要はない。
【0022】
水素の供給膜としては、例えば水素の還元雰囲気で形成されたAlによる金属遮光膜や、プラズマCVD技術によって形成されたSiNによる保護膜には水素が含まれているので、これらの膜の少なくとも一種を採用することができる。そして、この水素をフォトセンサが形成されている半導体基板へ供給することによって、半導体基板とゲート絶縁膜との間の界面電位を低減させて暗電流を抑制することができる。
【0023】
また低反射膜はフォトセンサへ入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成される。すなわち、低反射膜の反射率は、低反射膜の屈折率をn、厚さをd、入射光の波長をλとすると、光学的膜厚ndが(λ/4)の奇数倍である時に最小となるので、この関係を利用して膜厚または屈折率が設定される。更には、低反射膜の材料としては、半導体基板の屈折率は3〜4であるので、一般的には、これよりも小さい屈折率を持つものが選択される。
【0024】
【実施例】
次に本発明の固体撮像素子を実施例により図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
(実施例)
図1は実施例の固体撮像素子1の受光部20を含む部分平面図であり、図2は図1における[2]−[2]線方向(水平方向)の受光部20の断面図、図3は図1における[3]−[3]線方向(垂直方向)の受光部20の断面図である。すなわち、図1は従来例の図12に対応する図、図2は従来例の図13に対応する図、図3は従来例の図14に対応する。
【0026】
受光部20は、図2に示すように、フォトセンサ21のほかに、読み出しゲート、垂直転送レジスタ14、チャンネルストップ等が形成された半導体基板11の表面にゲート絶縁膜22が形成されており、ゲート絶縁膜22上に垂直転送電極24(24a、24b)が形成され、垂直転送電極24を覆って層間絶縁膜26が全面的に形成されている。そして、その上に水素を含むAlによる金属遮光膜27が受光窓27wと共に形成されていることは、従来例の受光部30の場合と基本的に同様であるが、実施例の受光部20の低反射膜25は、図1、図2、図3に示すように、金属遮光膜27の受光窓27wよりも広い面積を占めて、ゲート絶縁膜22を介しフォトセンサ21を可及的に覆うように形成されたものである。
【0027】
この時、低反射膜25はフォトセンサ21に入射する光の色(波長)に応じて最も適切な反射率が得られるように、厚さまたは屈折率を予め設定して形成される。低反射膜25には、図1に示すように、フォトセンサ21の四隅部に対応する部分に欠落箇所25cが受光窓27wと重ならないように設けられている。そして、従来例と同様に、これらの全面を覆ってSiN膜とPSG膜とからなる保護膜28が形成されている。
【0028】
低反射膜25は、上述したように、金属遮光膜27の受光窓27wより広い面積に形成されているので、低反射膜25の幅が多少のバラツキを生じても、入射光は全て低反射膜25を透過してフォトセンサ21に進入し、画素毎に感度が異なるような状態は発生しない。また低反射膜25の四隅の欠落箇所25cを経由してAlの金属遮光膜27や保護膜28からの水素がフォトセンサ21の形成されている半導体基板11へ供給されるので暗電流を抑制することができる。
【0029】
図4、図5は、図2に示す受光部20の製造プロセスを順に示す図である。図4のAを参照して、従来例の固体撮像素子30を製造する場合と同様に、半導体基板11にゲート絶縁膜22と垂直転送電極24を形成させ、その上へ例えばCVDの技術によってSiNからなる低反射膜25’を形成させる。続く図4のBは、フォトセンサ21を可及的に覆うように低反射膜25’上にレジスト膜29を選択的に形成させた状態を示す。なお、レジスト膜29には図2に示した低反射膜25の欠落箇所25cに対応する欠落箇所(図示されていない)を設ける。図4のCは、レジスト膜29をマスクとして低反射膜25’をエッチングし、続いてレジスト膜29を除去して、低反射膜25を出現させた状態を示す。
【0030】
続いて、図5のAは全面にSiO2 からなる層間絶縁膜26を形成させた状態を示す。そして、図5のBに示すように、層間絶縁膜26の上へ例えばCVD法によりAlからなる金属遮光膜27を形成させる。次に、図5のCに示すように、金属遮光膜27を選択的にエッチングして受光窓27wを形成させる。その後は図2に示したように、全面に保護膜28を形成させる。この製造プロセスの順序は従来例の固体撮像素子2の製造プロセスと同様である。従って、本発明の固体撮像素子1は、従来例の固体撮像素子2の製造プロセスを何等変更することなく、単に、受光窓27wより広い面積の低反射膜25を形成させることのみで製造することができる。
【0031】
このように低反射膜25の面積を大にすることは、図13に示す、フォトセンサ21と金属遮光膜37の下面との間隔Gの拡大を伴うので、入射光の一部が垂直転送レジスタ14等へ侵入し撮影画像にスミアを生じるとして従来は取り上げられなかったのであるが、試行した結果、受光部毎に異なる感度の問題の解決に極めて有効であることが見い出されたのである。
【0032】
以上、本発明の実施例について説明したが、勿論、本発明はこれに限られることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0033】
例えば本実施例においては、受光部20毎に低反射膜25を独立させて設けたが、垂直方向に連続する低反射膜25’を設けてもよい。図6はそのような低反射膜25’を設けた受光部20’からなる固体撮像素子1’の部分平面図であり、実施例の図1に対応する図である。低反射膜25’の欠落箇所25c’は同様に設けられる。また、図7は図6における[7]−[7]線方向の受光部20’の断面図、図8は図6における[8]−[8]線方向の受光部20’の断面図であり、実施例の図2、図3に対応する。なお、図6、図7、図8において低反射膜25’以外の図1、図2、図3と共通する構成要素には同一の符号を付して、それらの説明は省略する。
【0034】
また、格子状の低反射膜25”を設けてもよい。図9はそのような低反射膜25”を設けた受光部20”からなる固体撮像素子1”の部分平面図であり、図1に対応する図である。低反射膜25”の欠落箇所25c”は同様に設けられる。また、図10は図9における[10]−[10]線方向の受光部20”の断面図であり図2に対応する。なお図9における[V]−[V]線方向の受光部20”の断面図は図8と同一であるので図8で代用する。図9、図10においても、図1、図2と共通する構成要素には同一の符号を付してそれらの説明は省略する。
【0035】
また本実施例においては、低反射膜の上方に設けられる光学フィルターについては記述しなかったが、例えば本発明の固体撮像素子がカラー撮像用である場合には、受光部毎にマゼンタ、シアン、イエロー、またはグリーンのカラーフィルターが設けられる。また本発明の固体撮像素子が赤外線撮像用である場合には、各受光部に赤外線フィルターが設けられる。
【0036】
また本実施例においては、受光部に設けられる低反射膜の詳細については述べなかったが、低反射膜の光の反射率は、周知のように、光の波長と低反射膜の厚さおよび屈折率によって定まるので、低反射膜に適切な反射率を与えフォトセンサへの入射光量を増大させて固体撮像素子の感度を向上させるように、低反射膜の厚さまたは屈折率は、受光部へ入射する光の色(波長)に応じて設定される。例えば、固体撮像素子がカラー撮像用であり、低反射膜の上方にマゼンタ、シアン、イエロー、またはグリーンのカラーフィルターが設けられる場合、低反射膜はカラーフィルターを透過してくる光の色に応じて厚さまたは屈折率を設定して成膜される。また、固体撮像素子が赤外線撮像用であり、受光部へ入射する光が赤外線の場合には、その赤外線の波長に応じた厚さまたは屈折率の低反射膜とされる。
【0037】
また本実施例においては、受光部の感度を向上させるために通常的に設けられるオンチップレンズについては述べなかったが、本発明の固体撮像素子においても受光部の感度を向上させるためにオンチップレンズを設けることが望ましい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の固体撮像素子は以上に説明したような形態で実施され、次に延べるような効果を奏する。
【0039】
本発明の固体撮像素子によれば、低反射膜が受光窓より広い面積を占めて形成されているので、入射光の全てが低反射膜を透過し各フォトセンサに均等に進入することから、各受光部の感度が均一化され、均一な明るさの撮影画像を与える。従ってまた、受光部の感度が製造ロット毎にバラツクような生産の不安定さを解消させる。更には、従来例の固体撮像素子とは受光窓に対する低反射膜の面積が大であることが異なるのみであり、製造に際しても、従来の製造プロセスの変更を必要としない。
【0040】
本発明の固体撮像素子によれば、低反射膜が受光窓を避けて部分的に欠落されているので、低反射膜の上方に形成される膜から供給される水素を低反射膜の欠落箇所から半導体基板へ供給することが可能である。本発明の固体撮像素子によれば、低反射膜の上方に水素を供給する膜が形成されているので、低反射膜の欠落箇所を通路として水素が半導体基板へ供給されることにより、半導体基板とゲート絶縁膜との界面電位が低下されて暗電流が抑制されたものとなる。
【0041】
本発明の固体撮像素子によれば、低反射膜が受光部に入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成されているので、入射光が最も効果的にフォトセンサへ進入することから高感度を有する。
【0042】
本発明の固体撮像素子の製造方法によれば、低反射膜を受光窓より広い面積に形成させるので、入射光の全てが低反射膜を透過し各フォトセンサに均等に進入することから、各受光部の感度が均一で撮影画像が均一な明るさの固体撮像素子を与える。従ってまた、受光部の感度が製造ロット毎にバラツクような生産の不安定さは解消される。更には、従来例の固体撮像素子とは受光窓に対する低反射膜の面積が大であることが異なるのみであり、従来の製造プロセスを変更することなく製造することができる。
【0043】
本発明の固体撮像素子の製造方法によれば、受光窓を避けて低反射膜に部分的な欠落箇所を設けるので、低反射膜の上方に形成された膜から供給される水素を低反射膜の欠落箇所から半導体基板へ導く通路が形成される。本発明の固体撮像素子の製造方法によれば、低反射膜の上方に水素を供給する膜が形成させるので、低反射膜の欠落箇所を通路として水素を半導体基板へ供給し、半導体基板とゲート絶縁膜との界面電位を低下させて暗電流を抑制することが可能になる。
【0044】
本発明の固体撮像素子の製造方法によれば、低反射膜をフォトセンサに入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成させるので、受光部に設ける光学フィルターを透過した入射光を最も効果的にフォトセンサへ進入させて固体撮像素子の感度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の固体撮像素子の部分平面図である。
【図2】図1における[2]−[2]線方向の断面図である。
【図3】図1における[3]−[3]線方向の断面図である。
【図4】図5と共に実施例の固体撮像素子の製造プロセスを示す図である。
【図5】図4と共に実施例の固体撮像素子の製造プロセスを示す図である。
【図6】変形例の固体撮像素子の部分平面図である。
【図7】図6における[7]−[7]線方向の断面図である。
【図8】図6における[8]−[8]線方向の断面図である。
【図9】他の変形例の固体撮像素子の部分平面図である。
【図10】図9における[10]−[10]線方向の断面図である。
【図11】固体撮像素の概略的な構成を示す平面
【図12】従来例の固体撮像素子の部分平面
【図13】図12における[13]−[13]線方向の断面
【図14】図12における[14]−[14]線方向の断面
【図15】他の従来例の固体撮像素子の受光部の縦断面
【符号の説明】
1……固体撮像素子、11……半導体基板、21……フォトセンサ、25……低反射膜、25c……低反射膜の欠落箇所、27……金属遮光膜、27c……受光窓、28……保護膜。
Claims (4)
- 半導体基板と、
前記半導体基板の表面部にマトリックス状に配置された画素としての受光部であるフォトセンサと、
前記半導体基板の表面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に前記フォトセンサの上方を避けて形成された転送電極と、
前記転送電極および前記フォトセンサ上に形成された層間絶縁膜と、
前記フォトセンサの上方に前記層間絶縁膜を介して形成された、受光窓を有する遮光膜と、
前記フォトセンサ上の前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜との間に前記受光窓より広い面積を占めて形成され、前記フォトセンサの四隅部に対応する部位に前記受光窓と重ならない部分的な欠落箇所が設けられた、前記フォトセンサでの光の反射率を低下させる低反射膜と、
前記低反射膜の上方に形成され、前記欠落箇所を経由して前記半導体基板へ供給される水素を含有する保護膜と
を具備する固体撮像素子。 - 前記低反射膜が前記フォトセンサに入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成されている請求項1に記載の固体撮像素子。
- 半導体基板の表面部に画素としての受光部のフォトセンサをマトリックス状に配置し、
前記半導体基板の表面のゲート絶縁膜に前記フォトセンサの上方を避けて転送電極を形成し、
前記転送電極および前記フォトセンサ上に形成された層間絶縁膜を介して、前記フォトセンサの上方に受光窓を有する遮光膜を形成し、
前記フォトセンサの四隅部に対応する部位に前記受光窓と重ならない部分的な欠落箇所が設けられ前記フォトセンサでの光の反射率を低下させる低反射膜を、前記フォトセンサ上の前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜との間に前記受光窓より大きい面積で形成し、
前記低反射膜の上方に、前記欠落箇所を経由して前記半導体基板へ水素を供給する保護膜を形成する
固体撮像素子の製造方法。 - 前記低反射膜を前記フォトセンサに入射する光の波長に応じて膜厚または屈折率を変えて形成する請求項3に記載の固体撮像素子の製造方法。
Priority Applications (1)
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