JP4690939B2 - ブームスプレーヤ - Google Patents

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Description

本発明は、いわゆるスライド式のブームスプレーヤに関する。
薬剤などを散布するために用いられるブームスプレーヤとして、特許文献1に示すような3段スライドブームを備えたものが知られている。
図11に、このようなブームスプレーヤの配管の概略図を示した。このブームスプレーヤは、走行可能で薬剤タンク(薬液タンク)を備えた車両本体(スプレーヤ本体)に第1ブームが設けられ、第1ブームに対してスライド可能に第2ブームが、第2ブームに対してスライド可能に第3ブームが取り付けられているものである。第1ブーム、第2ブームおよび第3ブームにはそれぞれ、薬剤を噴出する複数のノズルを有するノズルパイプ8b、8c、8dが取り付けられている。
薬剤タンクからブーム側に薬剤(薬液)を分岐して供給する分水器(分岐部)6は、コック7a、7b、7cを備えている。コック7aには、配管7d、ボールバルプ3を介して、車両本体に設けられたセンターブームのノズルパイプ8aが接続されている。また、コック7bには、配管7eを介してノズルパイプ8bが接続され、コック7cには、配管7fを介してノズルパイプ8cとノズルパイプ8dとが接続されている。
そして、薬剤散布の際、メインコック5aを開くと、薬剤タンク1内の薬剤は、噴霧用ポンプ4により三方コック2aおよびストレーナ2を介して吸い上げられ、調圧弁5で加圧され、分水器6に圧送される。薬剤は、コック7aを開くとノズルパイプ8aに、コック7bを開くとノズルパイプ8bに送られる。また、コック7cを開くと、ノズルパイプ8c、8dにそれぞれ送られる。そして、これらのノズルパイプ8a、8b、8c、8dの各ノズルから薬剤が噴霧される。なお、符号6aは圧力計である。
図11に示すように、配管7fには、コイルホース9aが接続され、このコイルホース9aから2つに分岐して一方はノズルパイプ8cに接続され、他方はコイルホース9bを介してノズルパイプ8dに接続されている。これは、3段スライドブームの場合、第2ブームと第3ブームによる2段階のスライド動作に応じてノズルパイプまでの距離を伸縮させるために、少なくとも2列のコイルホースが必要だからである。同図において、コイルホース9aは、第1ブームに設けられ第2ブームのスライド動作に応じて伸縮し、コイルホース9bは、第2ブームに設けられ第3ブームのスライド動作に応じて伸縮するように構成されている。コイルホース9a、9bはそれぞれ、第1ブームおよび第2ブームに立設された支柱間に設けられたワイヤ等のレール手段によって吊設されている。
実公平1−25657号公報
しかしながら、以上のような従来のブームスプレーヤでは、配管7fが分岐し、2段ブームと3段ブームのノズルパイプとに接続する構成であるので、圧力降下を助長し、特に3段ブームのノズルパイプ8dにおける圧力降下が非常に大きくなる。このため、ブームスプレーヤ全体として見れば、各ノズルパイプの散布量が不均一になり、散布むらが生じるという問題がある。
この問題を解決するため、分水器6からスライドブームへの配管を1本追加し3本とすることが考えられる。この場合、2段ブームのノズルパイプ8cへ薬剤を供給するために、1段ブームに設けられる1本と、3段ブームのノズルパイプ8dへ薬剤を供給するために、1段ブームに設けられる1本と、2段ブームに設けられる1本の合計3本のコイルホースが必要となる。
このように第2ブームと第3ブームへの管路を独立に構成する場合、スライド動作に追従させる構造をとる都合上、従来の連結された2本のコイルホース9a、9bを3段ブームのノズルパイプ8dの供給に利用し、2段ブームのノズルパイプ8cへの供給用として新たなコイルホースを設けることが好ましい。しかし、2本のコイルホース9a、9bは、それらを伸縮方向から見た場合、左右方向にほぼ水平に並んで配置されているので、両コイルホース9a、9bn間の隙間は殆どなく、一方、新設するコイルホースのホース径を細くすることは、圧力降下につながるために好ましくない。したがって、新設するコイルホースは、伸縮方向から見た場合に、従来の2本のコイルホース9a、9bのうちの第1ブームに設けられるコイルホース9aの真上に配置せざるを得ない。しかし、これでは新設するコイルホースを支える支柱の高さを高くせざるを得ず、スライドブーム部が不安定である上に、支柱が長くなるため重量が増加するという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、圧力降下を抑制し散布の均一性を向上させることができるとともに、スライドブームの安定性に優れ、重量増加を抑制することができるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のブームスプレーヤ(10)は、走行可能に構成され、液体タンク(1)とこの液体タンク(1)からの液体を分岐して供給する分岐部(6)とを備えた車両本体(11)に、第1ブーム(30)と、第1ブーム(30)にその長さ方向に沿ってスライド移動可能に設けられた第2ブーム(40)と、第2ブーム(40)にその長さ方向に沿ってスライド移動可能に設けられた第3ブーム(50)とからなるスライドブーム(20)が設けられ、第1ブーム(30)、第2ブーム(40)および第3ブーム(50)にはそれぞれ、前記液体を噴出するノズル(39a、49a、59a)を有するノズルパイプ(39、49、59)が設けられているブームスプレーヤ(10)であって、
前記分岐部(6)には、第1ブーム(30)のノズルパイプ(39)に前記液体を供給するための第1の配管(16b)と、第2ブーム(40)のノズルパイプ(49)に前記液体を供給するための第2の配管(16c)と、第3ブーム(50)のノズルパイプ(59)に前記液体を供給するための第3の配管(16d)が接続され、
前記第2の配管(16c)と第2ブーム(40)のノズルパイプ(49)とは、第2ブーム(40)のスライド移動にしたがって伸縮するように、第1ブーム(30)に設けられた支持部材(60、62、64)によって支持されている第1のコイルホース(70)を介して接続され、
前記第3の配管(16d)と第3ブーム(50)のノズルパイプ(59)とは、第2ブーム(40)のスライド移動にしたがって伸縮するように、第1ブーム(30)に設けられた支持部材(61、63、65)によって支持されている第2のコイルホース(71)と、この第2のコイルホース(71)に直列に接続され、第3ブーム(50)のスライド移動にしたがって伸縮するように、第2ブーム(40)に設けられた支持部材(67、68、66)によって支持されている第3のコイルホース(72)とを介して接続され、
第2のコイルホース(71)と第3のコイルホース(72)とは、伸縮方向から見た場合に、左右方向に所定間隔離れて配置され、
第1のコイルホース(70)は、伸縮方向から見た場合に、第2のコイルホース(71)と第3のコイルホース(72)との左右方向ほぼ中間位置の少し上方に配置され、第2のコイルホース(71)と第3のコイルホース(72)との間の隙間に第1のコイルホース(70)の下部が入り込んでいることを特徴とする。
ここで、ノズルから噴射(噴霧)する液体は、特に限定されず、例えば、水、薬剤(薬液)、肥料を含む栄養液などを含む。また、第1の配管、第2の配管および第3の配管は、例えば、剛性の管、可撓性のホース、配管継手などにより構成される。
さらに、各コイルホースを支持する支持部材は、コイルホースがブームのスライド動作に応じて伸縮自在であるように支持できればよく、例えば、ブームの両端部に設けた支柱間に棒状部材、レールあるいはワイヤなどのレール手段を設け、これにコイルホースを吊設するように構成してもよく、または、第1ブームや第2ブームの先端部に、あるいは両端部に支持部材を立設し、支持部材にコイルホースを直接または間接に取り付けるようにしてもよい。
本発明によれば、分岐部からスライドブームへの液体の管路を第1の配管、第2の配管および第1のコイルホース、第3の配管および第2、第3のコイルホースの3系統としたので、第1ブーム、第2ブーム、第3ブームの各ノズルパイプにそれぞれ分岐部から独立の管路を通って液体が供給されるため、散布時の圧力降下を抑制でき、散布の均一性を向上させることができる。
また、伸縮方向から見た場合に、第2のコイルホースと第3のコイルホースとを、左右方向に所定間隔離して配置し、第1のコイルホースを、第2のコイルホースと第3のコイルホースとの左右方向ほぼ中間位置の少し上方に配置して、第2のコイルホースと第3のコイルホースとの間の隙間(谷間)にこの第1のコイルホースの下部が入り込むようにしたので、第1のコイルホースの位置を低くすることができるため、この第1のコイルホースを支持する支持部材の高さを低くでき、したがってスライドブームの安定性を良好にすることができるとともに、重量増加を抑制することができる。
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって、本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図10は本発明の実施の形態に係るブームスプレーヤを示す図であって、図1は全体を示す平面図、図2は配管の構成を示す構成図、図3はスライド機構を示す模式図、図4〜図10はコイルホースが収縮している状態におけるスライドブームの全体あるいは一部を示し、図4は全体斜視図、図5は基端部の右後方から見た斜視図、図6は基端部の左後方から見た斜視図、図7は基端部の平面図、図8は先端部の側面図、図9は基端部側から見た背面図、図10は先端部側から見た正面図である。なお、図2の構成において、薬剤タンクから分水器までは、図11と同様であるから同符号を付し詳細な説明は省略する。
図1および図2に示すように、ブームスプレーヤ10は、走行可能な車両本体11を備えている。車両本体11にはエンジンが搭載され、前後の車輪14、15により4輪駆動走行が可能となっている。なお、図面では省略しているが、車両本体11には、作業者が座る運転席と、レバー等を備えた操作部が設けられ、ブームスプレーヤ10は、作業者による操作部の操作により、各種動作を行うようになっている。
また、車両本体11は、薬剤タンク(液体タンク)1を備えており、この薬剤タンク1からの薬剤(液体)はメインコック(調圧弁レバー)5aが開状態に操作されると、薬剤タンク1内の薬剤(薬液)は、噴霧用ポンプ4により三方コック2aおよびストレーナ2を介して吸い上げられ、調圧弁5で加圧され、分水器(分岐部)6に圧送される。この分水器6には、該分水器6に設置されたコック17a、コック17b、コック17c、コック17dを介して4本の配管16a、配管(第1の配管)16b、配管(第2の配管)16c、配管(第3の配管)16dが接続されており、コック17a、17b、17c、17dを操作して開状態とすることで、薬剤が各配管にそれぞれ送出されるようになっている。噴霧用ポンプ4、調圧弁5、メインコック5aおよび分水器6は、車両本体11に設置されている。なお、コック17a、17b、17c、17dは分水器6に直接設置されている必要がなく、分水器6に配管を介して接続されていてもよい。
車両本体11の後部には、センターブーム12が取り付けられており、このセンターブーム12には複数のノズル19aがほぼ一定間隔で設けられたノズルパイプ19が取り付けられている。このノズルパイプ19には、配管16aを通して薬剤が送られるようになっている。
センターブーム12の一端部には、スライドブーム20が支軸13によって該支軸13を中心に水平面内において揺動可能に取り付けられている。このスライドブーム20は、第1ブーム30と、第1ブーム30の外側部に設けられた第2ブーム40と、第2ブーム40の外側部に設けられた第3ブーム50とからなる。第2ブーム40は、第1ブーム30に対してその長さ方向に沿ってスライド移動可能であり、第3ブーム50は、第2ブーム40に対してその長さ方向に沿ってスライド移動可能であり、これらのスライド移動によりスライドブーム20全体が伸縮自在となっている。なお、図1は、第2ブーム40と第3ブーム50がスライド動作により最も伸長した状態を示している。
スライド移動可能とするためのスライドブーム20の構造は、例えば、第1ブーム30の側部に長さ方向に沿って溝を形成し、第2ブーム40には前記溝にスライド移動可能に嵌合する突出部を長さ方向に形成するようにしてもよい。あるいは、第1ブーム30に、第2ブーム40を上下方向から挟んで支持する回転自在なローラを形成し、第2ブーム40がこれらローラの間を通ってスライド移動するように構成してもよい。第2ブーム40と第3ブーム50との間のスライド構造についても、同様である。
次に、図3の模式図を参照しながら、スライドブーム20のスライド動作の駆動機構を説明する。
第1ブーム30の基端部および先端部にはそれぞれ、スプロケット32およびワイヤローラー33が取り付けられている。スプロケット32は、前記操作部の操作でオン・オフ駆動される正逆回転可能な駆動モータ(図示略)により回転駆動される。スプロケット32およびワイヤローラー33にはそれぞれ、チェーン34およびワイヤ35が巻き付けられている。これらチェーン34およびワイヤ35がジョイント36、ターンバックル31により連結されて無端の輪に形成されているとともに、ワイヤ35の途中に第2ブーム40の基端部のブラケット47が固定されている。
また、第2ブーム40の基端部および先端部にはそれぞれ、ワイヤローラー41、42が取り付けられ、これらワイヤローラー41、42には、ターンバックル44により両端部を連結されて無端の輪に形成されたワイヤ43が掛け渡されている。このワイヤ43の上側の途中は、第1ブーム30の先端部に取り付けられたステー48に固定されており、またワイヤ43の下側の途中は、第3ブーム50の基端部のブラケット51に固定されている。
そして、スプロケット32を駆動モータにより図3において反時計方向に回転駆動させると、ワイヤ35のブラケット47の部分が矢印A方向に移動していくのに伴って、第2ブーム40が、第1ブーム30に沿って、その先端部から突き出ていく。この第2ブーム40の移動により、ワイヤ43のステー48の部分がワイヤローラー41、42の間において矢印D方向に移動し、これによりワイヤ43のブラケット51の部分が矢印C方向に移動して、第3ブーム50が、第2ブーム40に沿って、その先端部から突き出ていき、スライドブーム20全体の長さが伸長する。
一方、スプロケット32を駆動モータにより図3において時計方向に回転駆動させると、ワイヤ35のブラケット47の部分が矢印B方向に移動していくのに伴い、第2ブーム40が第1ブーム30に沿って元に戻るように矢印D方向に移動し、第1ブーム30の外側部に収められる。この第2ブーム40の移動により、ワイヤ43のステー48の部分がワイヤローラー41、42の間において矢印C方向に移動し、これによりワイヤ43のブラケット51の部分が矢印D方向に移動して、第3ブーム50が第2ブーム40に沿って元に戻るように移動し、第2ブーム40の外側部に収められて、スライドブーム20全体が元の長さに戻る。
次に、スライドブーム20に設けられているワイヤ64、65、66とコイルホース70、71、72について、図4〜図10に基づいて説明する。
第1ブーム30の基端部37には金属製の支柱(支持部材)60、支柱(支持部材)61が固定され、先端部38には金属製の支柱(支持部材)62が固定されている。支柱60、支柱61および支柱62はそれぞれ、第1ブーム30から上方にほぼ鉛直に、上方に斜めに、および上方にほぼ鉛直に延びている。また、支柱62の途中には支柱61側と同じ側の側方にほぼ水平に突出する金属製の側方突出支持部(支持部材)63が形成されている。
また、第2ブーム40の基端部45には、上部が細く下部が幅広に形成された支柱(支持部材)67が固定され、先端部46には支柱(支持部材)68が固定されている。支柱67および支柱68はそれぞれ、第2ブーム40から上方にほぼ鉛直に延びている。
支柱60の上端部と支柱62の上端部との間、支柱61の上端部と側方突出支持部(支柱)63の先端部との間、および支柱67の上端部と支柱68の上端部との間にはそれぞれ、ワイヤ(支持部材)64、ワイヤ(支持部材)65、ワイヤ(支持部材)66が張った状態で取り付けられている。ワイヤ64、65はそれぞれ、第1ブーム30の長さ方向に沿って延び、ワイヤ66は第2ブーム40の長さ方向に沿って延びており、したがって各ワイヤ64、65、66は互いに並行に延びている。ワイヤ64、65、66が延びている方向から見て、ワイヤ65とワーヤ66とは高さ位置をほぼ同じくして、左右方向に離れて位置し、ワイヤ64はワイヤ65とワイヤ66との左右方向ほぼ中間位置の少し上方に配置されており、したがってワイヤ64、65、66は、二等辺三角形の各頂点の位置にほぼ位置している。
各ワイヤ64、65、66の両端部にはねじ部が設けられており、これらの各ねじ部が支柱60と支柱62、支柱61と側方突出支持部63、支柱67と支柱68に挿通されて、外側からダブルナットに螺合されることにより、各ワイヤ64、65、66の両端部が固定されるとともに、ナットの締め付け具合により各ワイヤ64、65、66に付与される張力が調整される。
各ワイヤ64、65、66にはそれぞれ、可撓性を有するコイル状のコイルホース(第1のコイルホース)70、コイルホース(第2のコイルホース)71、コイルホース(第3のコイルホース)72が伸縮自在に吊設されている。
コイルホース70、71、72の位置関係は、図9、図10からも明らかなように、コイルホース70、71、72を伸縮方向から見た場合、コイルホース70が、左右方向にほぼ水平に間隔をおいて配置されたコイルホース71、72のほぼ中間位置の少し上方に配置されている。すなわち、伸縮方向から見た場合に、連結する2本のコイルホース71、72の左右方向の間隔(図10のピッチP)が従来よりも少し広げられ、2本のコイルホース71,72の間の隙間(谷間)に新設のコイルホース70の下部が少し入り込むように配置されている。
前記支柱60の中央部には、配管16c(図2も参照)の終端部分が挿通された配管支持部材69が固定されている。コイルホース70の一端は配管支持部材69に支持された配管16cに接続され、他端は可撓性を有する連結ホース73に接続されている。さらに、連結ホース73は、第2ブーム40の外側部に、その長さ方向に沿って固定されているノズルパイプ49(図2も参照)に接続されている。これにより、薬剤は、配管16cからコイルホース70、連結ホース73を経て第2ブーム40のノズルパイプ49に供給されるようになっている。なお、図5において、ノズルパイプ49は、第3ブーム50の裏側に位置し見えない。
連結ホース73がノズルパイプ49に接続されているので、第2ブーム40が第1ブーム30から突出する方向にスライド移動すると、コイルホース70は、連結ホース73に引っ張られてワイヤ64に沿って伸び、逆に第2ブーム40が戻るときは縮む。
また、コイルホース71の基端部近傍の下側には、第1ブーム30の基端部37から断面L字形に突出する突出片37aが固定されており、この突出片37aに配管16d(図2も参照)の終端部分が挿通されている。この配管16dの終端部にコイルホース71の一端が接続されている。また、コイルホース71とコイルホース72とは、L形配管75で接続されている。つまり、コイルホース71の他端は、L形配管75の一端に接続され、このL形配管75の他端にコイルホース72の一端が接続されている。コイルホース72の他端は、可撓性を有する連結ホース74の一端に接続されている。この連結ホース74の一端部は、第3ブーム50に固定されている配管支持部材76に取り付けられている。連結ホース74は、第3ブーム50の外側部に、その長さ方向に沿って固定されているノズルパイプ59に接続されている。これにより、薬剤は配管16dからコイルホース71、L形配管75、コイルホース72、連結ホース74を経て第3ブーム50のノズルパイプ59に供給されるようになっている。
L形配管75が、第2ブーム40に固定されている配管支持部材77に取り付けられているので、第2ブーム40が第1ブーム30から突出する方向にスライド移動すると、コイルホース71は、L形配管75(配管支持部材77)に引っ張られて、ワイヤ65に沿って伸び、逆に第2ブーム40が戻るときは縮む。
また、連結ホース74が、ノズルパイプ59に接続され第3ブーム50に固定された状態であるので、第3ブーム50が第2ブーム40から突出する方向にスライド移動すると、コイルホース72は、配管支持部材76に引っ張られて、ワイヤ66に沿って伸び、逆に第3ブーム50が戻るときは縮む。
以上のようにコイルホース70、71、72は、コイルホースの伸縮特性によって、第2ブーム40、第3ブーム50のスライド移動に追随して、ワイヤ64、65、66に沿って伸縮し、収縮時には第1ブーム30の基端部37側に収まり、無理に折曲されるようなことはない。
なお、図4、図6において、符号39は、第1ブーム30に固定されているノズルパイプであり、このノズルパイプ39の一端部39cに、配管16b(図2参照)が接続される。これにより、薬剤は配管16bからノズルパイプ39に供給される。
ノズルパイプ39、49、59にはそれぞれ、複数のノズル39a、49a、59aがほぼ一定の間隔をもって配設されている。各ノズル39a、49aにはそれぞれ、開閉レバー39b、49bが設けられている。第2ブーム40が伸長方向にスライド移動していく際に、第2ブーム40に設けられた操作片(図示略)が、第1ブーム30の基端部側から順に各開閉レバー39bに係合して、ノズル39aを開状態にしていく。また、第3ブーム50が伸長方向にスライド移動していく際に、第3ブーム50に設けられた操作片(図示略)が、第2ブーム40の基端部側から順に各開閉レバー49bに係合して、ノズル49aを開状態としていく。第2ブーム40、第3ブーム50が元に戻るときには、逆に前記操作片によって、開閉レバー39b、49bが閉められていく。また、ノズルパイプ59aは常に開状態である。この構成により、スライドブーム20をどういう長さに調節しても、同一箇所に重複して薬剤を散布することを防ぐことができるようになっている。
このブームスプレーヤ10においては、散布作業時には、必要に応じて第2ブーム40、第3ブーム50をスライド移動させて、スライドブーム20を伸長させる。このとき、第2ブーム40の移動に追従して、ワイヤ64に沿ってコイルホース70と、ワイヤ65に沿ってコイルホース71が伸びる。さらに第3ブーム50のスライド移動に追従して、ワイヤ66に沿ってコイルホース72が伸びる。
そして、薬剤散布する場合には、メインコック5aを開くと、薬剤タンク1内の薬剤は、噴霧用ポンプ4により三方コック2aおよびストレーナ2を介して吸い上げられ、調圧弁5で加圧され、分水器6に圧送される。さらに、コック17a、17b、17c、17dを開くと、薬剤は4本の互いに独立した配管16a、配管16b、配管16cおよびコイルホース70、配管16dおよびコイルホース71,72を通ってそれぞれ、ノズルパイプ19、39、49、59に供給され、ノズル19a、39a、49a、59aから噴霧される。
このように構成されたブームスプレーヤ10にあっては、分水器6からスライドブーム20への薬剤の管路が配管16b、配管16cおよびコイルホース70、配管16dおよびコイルホース71,72の3系統に構成されているので、第1ブーム30、第2ブーム40、第3ブーム50の各ノズルパイプ39、49、59にそれぞれ分水器6から独立の管路を通って薬剤が供給されるため、散布時の圧力降下を抑制でき、散布の均一性を向上させることができる。
また、伸縮方向から見た場合に、コイルホース71とコイルホース72とを、左右方向に所定間隔離して配置し、コイルホース70を、コイルホース71とコイルホース72との左右方向ほぼ中間位置の少し上方に配置して、コイルホース71とコイルホース72との間の隙間(谷間の部分)にコイルホース70の下部が入り込むようにしたので、このコイルホース70の位置を低くすることができるため、コイルホース70を支持する支柱60、62の高さを低くでき、これによりスライドブーム20の安定性を良好にすることができるとともに、重量増加を抑制することができる。
本発明は、自走式のほかに、トラクタなどに搭載される搭載式などの種々のブームスプレーヤに適用することができ、さらにはブームスプレーヤとしての機能のほかに、粒剤散布機能などの他の機能を付加したものにも適用可能であり、また水田や圃場で使用するブームスプレーヤのほかに、ゴルフ場などで使用するブームスプレーヤにも適用可能である。
本発明の実施の形態に係るブームスプレーヤ全体の概略構成を示す平面図である。 同、配管の構成を示す配管系統図である。 同、スライドブームのスライド機構を示す模式図である。 同、スライドブーム全体の斜視図である。 同、スライドブームの基端部の右後方から見た斜視図である。 同、スライドブームの基端部の左後方から見た斜視図である。 同、スライドブームの基端部の平面図である。 同、スライドブームの先端部の側面図である。 同、スライドブームの基端部側から見た背面図である。 同、スライドブームの先端部側から見た正面図である。 従来のブームスプレーヤの配管の構成を示す配管系統図である。
符号の説明
1 薬剤タンク(液体タンク)
6 分水器(分岐部)
10 ブームスプレーヤ
11 車両本体
16b 配管(第1の配管)
16c 配管(第2の配管)
16d 配管(第3の配管)
20 スライドブーム
30 第1ブーム
39 ノズルパイプ
39a ノズル
40 第2ブーム
49 ノズルパイプ
49a ノズル
50 第3ブーム
59 ノズルパイプ
59a ノズル
60、61、62、67、68 支柱(支持部材)
63 側方突出支持部(支持部材)
64、65、66 ワイヤ(支持部材)
70 コイルホース(第1のコイルホース)
71 コイルホース(第2のコイルホース)
72 コイルホース(第3のコイルホース)

Claims (1)

  1. 走行可能に構成され、液体タンク(1)とこの液体タンク(1)からの液体を分岐して供給する分岐部(6)とを備えた車両本体(11)に、第1ブーム(30)と、第1ブーム(30)にその長さ方向に沿ってスライド移動可能に設けられた第2ブーム(40)と、第2ブーム(40)にその長さ方向に沿ってスライド移動可能に設けられた第3ブーム(50)とからなるスライドブーム(20)が設けられ、第1ブーム(30)、第2ブーム(40)および第3ブーム(50)にはそれぞれ、前記液体を噴出するノズル(39a、49a、59a)を有するノズルパイプ(39、49、59)が設けられているブームスプレーヤ(10)であって、
    前記分岐部(6)には、第1ブーム(30)のノズルパイプ(39)に前記液体を供給するための第1の配管(16b)と、第2ブーム(40)のノズルパイプ(49)に前記液体を供給するための第2の配管(16c)と、第3ブーム(50)のノズルパイプ(59)に前記液体を供給するための第3の配管(16d)が接続され、
    前記第2の配管(16c)と第2ブーム(40)のノズルパイプ(49)とは、第2ブーム(40)のスライド移動にしたがって伸縮するように、第1ブーム(30)に設けられた支持部材(60、62、64)によって支持されている第1のコイルホース(70)を介して接続され、
    前記第3の配管(16d)と第3ブーム(50)のノズルパイプ(59)とは、第2ブーム(40)のスライド移動にしたがって伸縮するように、第1ブーム(30)に設けられた支持部材(61、63、65)によって支持されている第2のコイルホース(71)と、この第2のコイルホース(71)に直列に接続され、第3ブーム(50)のスライド移動にしたがって伸縮するように、第2ブーム(40)に設けられた支持部材(67、68、66)によって支持されている第3のコイルホース(72)とを介して接続され、
    第2のコイルホース(71)と第3のコイルホース(72)とは、伸縮方向から見た場合に、左右方向に所定間隔離れて配置され、
    第1のコイルホース(70)は、伸縮方向から見た場合に、第2のコイルホース(71)と第3のコイルホース(72)との左右方向ほぼ中間位置の少し上方に配置され、第2のコイルホース(71)と第3のコイルホース(72)との間の隙間に第1のコイルホース(70)の下部が入り込んでいることを特徴とするブームスプレーヤ(10)。
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