JP4690749B2 - 画像処理によるパンタグラフ動作測定装置 - Google Patents
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Description
パンタグラフ測定方式には、レーザセンサ方式、光切断センサ方式、加速度センサ方式、画像処理方式があり、以下の特徴がある。
主にスキャン式が使用され、パンタグラフをミラー等によりレーザで走査し、この反射波の位相差や反射したレーザ形状の変形により、パンタグラフまでの距離を測定する方式である。
パンタグラフに縞状の光を投光し、パンタグラフ形状に応じて凹凸になった縞を受光して、パンタグラフまでの距離を測定する方式である。
ジャイロや圧電素子などによって加速度を出力するセンサをパンタグラフに直接取り付け、パンタグラフの加速度を測定する方式である。
モデルマッチングやパタンマッチングでパンタグラフを検出する方式(特許文献1)、ラインセンサ画像を処理する方式(特許文献2)等がある。
ミラーを回転させるモータの回転数限界およびミラーの共振防止のため、レーザセンサの走査周期が相対的に遅く、レーザセンサ方式ではパンタグラフの位置(低周波成分)を測定できるが、加速度(高周波成分)の測定には向いていない。
投光された縞状の光を受光して計測する方式のため、照明環境を整備する必要があり、照明条件の差が大きい昼間の測定に向かない。
加速度センサによってパンタグラフの加速度を測定する方法は、現在主に用いられている方法であるが、以下の対策が必要で簡易な測定方法ではない。
(1)パンタグラフ自体にセンサを直接固定する必要がある。
(2)センサの出力電圧を取り出すケーブルに、耐ノイズ性を考慮する必要がある。
(3)センサの出力電圧を取り出すケーブルに、絶縁性を考慮する必要がある。
CCDカメラで撮影した画像を用いる方式では、測定時間が長い場合や単位時間当たりのフレームレート数が多い場合は計算処理が膨大になる。また、従来のラインセンサ画像で撮影した画像を用いる方式では、パンタグラフ近傍にある構造物がラインセンサ画像に映り込むことによるノイズ対策を考慮する必要がある。
(1)レーザの方式に比べて機械的な走査部分が無いため、高速な動作を測定することができ、また、データのサンプル周期を小さくすることができるため加速度計算などの高周波成分の計測にも対応できる。
(2)光切断センサのように投光機の縞を受光するための特別な照明環境の整備を行う必要がなく、装置自体のコストを削減することができる。
(3)加速度センサを用いる方法と比べて、センサを直接パンタグラフに固定しない、非接触による測定が可能であるため、固定器具、配線などの特別な処理を行う必要がなく、簡単な構成で実施することができる。
(4)CCDカメラで撮影する方法と比べて、ラインセンサを用いることで、画像のサンプル間隔を小さくしても撮像するのは1ラインであるため計算処理の増大化や画像データ保存のための容量を減少させることができる。
(5)従来のラインセンサ処理と比較して、パンタグラフ上端部あるいは下端部いずれか一方のみの動作を検出することで、地上に設置され車両運行中はパンタグラフに対して高速に移動する構造物は勿論、トロリ線のようにパンタグラフ上に比較的低速に移動する構造物やパンタグラフ近傍に設置された車両上の構造物に起因する画像状のノイズについて検出が容易となり、これらのノイズを削除することができる。
本形態によるパンタグラフ動作測定装置は、図1に示すようにパンタグラフ1に対して走査線が垂直になるよう設置されたラインセンサ2から得られる画像を入力画像として使用するもので、図2に示すように、ラインセンサ2と、ラインセンサ画像作成部21と、メモリ22と、メモリ22にLANで接続されているメモリ31と、二値化処理部32と、パンタグラフ幅フィルタ処理部33と、パンタグラフ軌跡トレースフィルタ処理部34と、パンタグラフ単一点フィルタ処理部35と、パンタグラフ実高さ計算部36と、パンタグラフ加速度計算部39により構成される。
ラインセンサ画像作成部21において、ラインセンサ2から得た走査線の輝度信号を時系列的に並べることで、図4に示すようなラインセンサ画像(平面の画像)を取得し、メモリ22に入力画像として保存する。また、ラインセンサ画像はLANを経由してメモリ31に保存される。
ラインセンサ画像上において、パンタグラフ部分は背景部分と比較して輝度値の異なる帯状の部分として撮影されている。二値化処理部32では、メモリ31から読み出したラインセンサ画像の帯状に撮影されたパンタグラフ部分とその他の背景部分を切り分けるような閾値を設定し、その閾値を用いてラインセンサ画像においてパンタグラフ部分が白、背景部分が黒となるような処理を行う。この時パンタグラフ部分が黒、背景部分が白となる場合は二値化反転処理を行い、常にパンタグラフ部分が白となるよう二値化ラインセンサ画像(以降、二値化処理(ステップS2)を行ったラインセンサ画像を「二値化ラインセンサ画像」と呼ぶ)を構成してメモリ31に保存する。
ラインセンサ2によりパンタグラフ1を撮影した場合、パンタグラフ1と同様に、パンタグラフ1近傍に存在するトロリ線、碍子、トロリ線吊り上げ用ワイヤ類がラインセンサ画像に撮像されている。このため、パンタグラフ1と他の物体とを二値化ラインセンサ画像から切り分け、パンタグラフ部分を抽出する処理を行う。
パンタグラフ幅フィルタ処理(ステップS3)によってパンタグラフ上部位置の軌跡を求めた場合、幾つかの部分でパンタグラフ上部位置でない部分が検出される場合があり、これはトロリ線、碍子、トロリ線吊り上げ用ワイヤ類といったパンタグラフ1以外の物体が二値化ラインセンサ画像上でパンタグラフ部分の幅に近い状態になった場合発生する。これらはパンタグラフ軌跡画像中でノイズとして残るため、パンタグラフ軌跡トレースフィルタ処理部34において、このノイズ部分を削除する。
パンタグラフ軌跡トレースフィルタ処理(ステップS4)によるノイズ削除によって、連続しない短い点列はノイズとして除去することができるが、パンタグラフ1上部位置の軌跡と判断するよう設定した長さの範囲内にあるノイズ部分を削除することができないため、ここではパンタグラフ軌跡トレースフィルタ処理(ステップS4)とは別に、長い点列を示すノイズを削除する。
パンタグラフ実高さ計算部36において、メモリ31から読み出したパンタグラフ軌跡画像を変換することにより、パンタグラフ1上部の実際の三次元高さを求め、パンタグラフ高さデータとしてメモリ31に保存する。この変換にはラインセンサ2の設置位置姿勢データから得られる射影変換を用い、射影変換としては、既に広く一般的に知られているものを使用する。
パンタグラフ加速度計算部39において、メモリ31から読み出したパンタグラフ高さデータを二階差分することにより、加速度データを求め、パンタグラフ加速度としてメモリ31に保存する。
図5および図6に示すように、本実施例は、上述した「基本的な考え方」によるパンタグラフ動作測定装置において、パンタグラフ実高さ計算部36によるパンタグラフ実高さ計算(ステップS6)を行った後に、補間処理部37によるパンタグラフ高さデータ補間処理(ステップS7)を加えたものであり、上述した「基本的な考え方」と重複する部分については、説明を省略する。
図7および図8に示すように、本実施例は、上述した「実施例1」によるパンタグラフ動作測定装置において、補間処理部37によるパンタグラフ高さデータ補間処理(ステップS7)を行った後に、平滑化処理部38によるパンタグラフ高さデータ平滑化処理(ステップS8)を加えたものであり、上述した「実施例1」と重複する部分については、説明を省略する。
2 ラインセンサ
21 ラインセンサ画像作成部
22,31 メモリ
32 二値化処理部
33 パンタグラフ幅フィルタ処理部
34 パンタグラフ軌跡トレースフィルタ処理部
35 パンタグラフ単一点フィルタ処理部
36 パンタグラフ実高さ計算部
37 補間処理部
38 平滑化処理部
39 パンタグラフ加速度計算部
Claims (6)
- ラインセンサから得られる画像信号を用いてラインセンサ画像を取得する手段と、前記ラインセンサ画像に対して二値化処理を行い、パンタグラフ部分を強調して二値化ラインセンサ画像とする手段と、前記二値化ラインセンサ画像上の一ラインに対し、画素が黒から白に変わる部分の白点をアップエッジ点、白から黒に変わる部分の白点をダウンエッジ点とし、前記アップエッジ点から前記ダウンエッジ点までの距離が設定した範囲内である場合に、前記アップエッジ点あるいは前記ダウンエッジ点いずれかのみを白で残して前記パンタグラフの軌跡とする手段を有する
ことを特徴とする画像処理によるパンタグラフ動作測定装置。 - 請求項1において、前記軌跡から予め設定した長さより短い点列をノイズとして削除する手段と、前記ラインセンサの走査線方向に対し一ライン上に複数個の軌跡点が存在する場合に前記軌跡点の平均位置に最も近い前記軌跡点以外を除去することで、前記軌跡から予め設定した長さ以上の前記軌跡以外の長い点列をノイズとして削除する手段を有する
ことを特徴とする画像処理によるパンタグラフ動作測定装置。 - 請求項1あるいは請求項2において、画像上の前記軌跡の高さから実際の高さを求める計算を行い、パンタグラフ高さデータとする手段を有する
ことを特徴とする画像処理によるパンタグラフ動作測定装置。 - 請求項3において、前記パンタグラフ高さデータのデータ欠落を補間する手段を加えた
ことを特徴とする画像処理によるパンタグラフ動作測定装置。 - 請求項3あるいは請求項4において、前記パンタグラフ高さデータの平滑化を行う手段を加えた
ことを特徴とする画像処理によるパンタグラフ動作測定装置。 - 請求項3乃至請求項5のいずれかにおいて、前記パンタグラフ高さデータから前記パンタグラフの加速度の計算を行う手段を有する
ことを特徴とする画像処理によるパンタグラフ動作測定装置。
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