JP4690710B2 - 減速機構付き電動モータ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車のワイパアームの駆動や空気調整装置の流路調節弁を駆動するのに用いられるアクチュエータとしての減速機構付き電動モータに関する。
自動車などの車両に用いられるワイパ装置や空気調整装置の気流調節弁の駆動源として、電動モータにより駆動されるアクチュエータが用いられている。そのアクチュエータはモータの回転を所要の回転数に減速して出力軸へ伝える減速機構が付いた減速機構付き電動モータとなっている。
このようなアクチュエータの減速機構は、モータの回転軸に取り付けられたウォームギヤから平歯車、ピニオンギヤにより減速され出力軸を駆動する構成が用いられる。出力軸にはワイパアームを動作させるリンク機構や流路調節弁が取り付けられる。
このようなアクチュエータでは、ワイパアームや弁の揺動運動を行うにあたりより精度良く揺動運動を行うため、出力軸の回転位置を検出する必要がある。そのため、減速機構付き電動モータには、出力軸の回転角度を検出するためのセンサが設けられている。
これまで、出力軸の回転位置を検出するには、接触式センサとして出力軸と一体に回転する減速歯車にブラシを設け、そのブラシを減速歯車近傍に取り付けた印刷配線基板上に印刷形成された印刷抵抗等のパターンへ摺接させる構成が用いられている。
また、出力軸の回転位置を検出する構成として非接触式のセンサも用いられる。このような減速機構付き電動モータとしては、特開2002−262515号公報に示すような、出力軸の絶対位置を示すためのセンサを設けたものが知られている。
これは、モータ回転軸に設けられた多極着磁磁石の磁気をホールセンサにより検出することで出力軸の相対位置を検出し、出力軸と一体に設けられた減速用歯車に磁石を取付け、その磁石の磁気をホールセンサで検出して出力軸の絶対位置を検出するものである。
特開2002−262515号公報
ところで、出力軸の回転位置を検出するには、その初期位置を精度良く設定する必要がある。また、同時にこれら装置においては長寿命、高信頼性、高精度および低価格が常に要求される。
ブラシを用いた構成では接触式であるために長寿命化、高信頼性化に限界があり、ブラシや印刷抵抗等のばらつきにより初期位置設定や位置検出の高精度化にも限界がある。
そのため、ホールセンサを用い非接触式で検出する構成が用いられる。この構成は非接触式であるため長寿命化や高信頼性といった面では有利だが、センサやマグネット、検出回路等が比較的高価になり低価格化について問題が残る。
例えば特許文献1に示すような構成では相対位置検出用の構成と絶対位置検出用の構成が、同一基板上にセンサを配置したとはいえ小型化、低価格化に限界があり、検出精度も高くできにくいものである。
また、空気調整装置等では一つの装置に対しいくつかのアクチュエータが用いられる。駆動する弁により回転角制御が異なるが、アクチュエータとしてはできるだけ汎用性を保つことが要求される。
本願発明の目的は、これら課題を解決し長寿命、高信頼を有しつつ高精度に出力軸の初期設定や回転位置検出ができ、また小型化、低価格化可能な減速機構付き電動モータを提供するものである。
上述の課題を解決するため、本願発明では請求項1に示すよう、モータ回転軸の回転を複数段の減速歯車列により減速して出力軸を回転駆動する減速機構付き電動モータにおいて、前記複数段の減速歯車列の一つの歯車と一体に回転しその回転円周上に等間隔で形成された複数の磁極からなる第一の磁極群と、前記一つの歯車とは異なる他の歯車と一体に回転しその回転円周上の所定範囲に形成された第二の磁極群と、前記第一の磁極群と前記第二の磁極群で発生する磁気を同時に検出する第一のセンサを備え、前記第二の磁極群は一つのN極と一つのS極で構成されると共に、前記第一のセンサに対し一つのN極あるいはS極が対向し、他のS極あるいはN極が前記一つのN極あるいはS極を介して第一のセンサと対向する構成とする。
ここで、第一の磁極群は円周上に複数の磁極が交互に着磁された円環状の磁石であったり、単極がセンサに対向するよう磁石片が同心円上に等間隔で並べられたものであってもよく、センサにより所定周期を持って複数の山を有する波形を出力する構成であればよい。そして、第二の磁極群は円環状の磁性体の一部分に着磁されたものや、一つの磁石片に着磁されたもので、一回転の間にセンサにより一つの山が検出されるような構成であればよい。さらに第一の磁極群は一方の単極(NまたはS極)がセンサ側に位置し、他方の単極(SまたはN極)はセンサ側の極を介してセンサに対向するものである。
このような構成でセンサはそれぞれのギヤが一回転する間に、磁気検出出力として所定周期を持った検出波形と一つの山を有する検出波形を合成して出力する。
特に、第二の磁極群はセンサと対向する方向でひとつの例えばN極だけが直接センサと対向し、S極がそのN極を介してセンサと対向する位置にあるため、回転円周方向の磁束が少なく、センサ出力の山を急峻に形成できる。
請求項2に示すように、モータ回転軸の回転を複数段の減速歯車列により減速して出力軸を回転駆動する減速機構付き電動モータにおいて、前記複数段の減速歯車列の一つの歯車と一体に回転しその回転円周上に等間隔で形成された複数の磁極からなる第一の磁極群と、前記一つの歯車とは異なる他の歯車と一体に回転しその回転円周上の所定範囲に形成された第二の磁極群と、前記第一の磁極群と前記第二の磁極群で発生する磁気を同時に検出する第一のセンサを備え、前記一つの歯車と前記他の歯車の回転数比が整数倍で構成する。
ここで、一つの歯車と他の歯車はその間に入る減速段数に関係なく回転数比を整数倍に構成する。こうすることで、一つの歯車に設けられた第一の磁石群と他の歯車に設けられた第二の磁石群の位置関係にずれが生じないため、出力軸が多回転の場合でも正確な位置検出ができる。
請求項3に示す構成では、第一の磁極群の磁気を異なる位相で検出するので、一つの歯車の回転方向を検出可能となるとともに、第二のセンサ出力を利用して出力軸の位置検出をさらに精度良く行うことが可能となる。
請求項4に示す構成は、上述の請求項1に示すものをより具体的に現したもので、モータ回転軸から出力軸のあいだに平歯車による複数段の減速歯車列を有する減速機構付き電動モータにおいて、一つの平歯車の一面側に設けられ回転円周上に等間隔で複数の磁極が着磁された環状磁石からなる第一の磁石と、前記一つの平歯車と回転軸が平行で前記一面側と対向する面側を有する他の平歯車で、その対向する面側に設けられその回転円周上の所定範囲に形成され前記第一の磁石と対向する第二の磁石と、前記第一の磁石に平歯車回転軸方向で対向すると共に前記第二の磁石とその軸方向で対向して両磁石の間に配置された第一の磁気センサとを有し、前記第二の磁石は前記他の歯車の回転軸と平行方向にN極およびS極が一極ずつ着磁され、この第一の磁気センサは平歯車回転軸方向から見て前記第一の磁石の旋回領域でかつ前記第二の磁極の旋回領域に位置し、両磁石の磁気を同時に検出する構成とする。
請求項1に示す磁極群を複数段の減速歯車列を構成する平歯車に設け、センサをその平歯車間に設ける構成とする。
ここで第一の磁石は例えば減速歯車列の平歯車に同心で設けられた環状磁石で、NS交互に複数着磁されたような構成である。また、その磁石は歯車上に載置されるか、歯車と一体に回転するフランジのようなものに載置されたものも含む。
第二の磁石も同様であるが、磁気を発生させる手段として環状磁性体の一部領域を着磁させたり、小片状の磁石を用いても良い。
この構成によれば、次減速段あるいは数減速段後の、隣り合い軸方向に重なった平歯車の間に磁気センサを配置したので部品の配置効率がよく小型化が可能となる。また、同一のセンサを介して第一の磁石と第二の磁石を対向させたので、異なる磁石の磁気を一つのセンサで検出可能となるため低価格化でき、やはり装置の小型化が可能となる。
さらに、第二の磁石は平歯車の回転軸方向にN極、S極が一極ずつ着磁され、センサには一極のみが直接対向する構成である。このような構成ではセンサに対する磁束の作用を比較的容易に調整可能で、センサ出力の時間軸に対する幅を狭くして環状磁石によるセンサ出力の周波数を高くすることが可能となる。
さらに、請求項5に示す構成は請求項4に示す構成をより改良したもので、第二の磁石のセンサと反対側にヨークとしての磁性材を配置するものである。このようにすれば磁性材が磁束を集約し、センサ出力の時間軸方向の幅ををさらに狭くすることができる。
請求項6に示す構成は、上述の請求項2に示すものをより具体的に現したもので、モータ回転軸から出力軸のあいだに平歯車による複数段の減速歯車列を有する減速機構付き電動モータにおいて、一つの平歯車の一面側に設けられ回転円周上に等間隔で複数の磁極が着磁された環状磁石からなる第一の磁石と、前記一つの平歯車と回転軸が平行で前記一面側と対向する面側を有する他の平歯車で、その対向する面側に設けられその回転円周上の所定範囲に形成され前記第一の磁石と対向する第二の磁石と、前記第一の磁石に平歯車回転軸方向で対向すると共に前記第二の磁石とその軸方向で対向して両磁石の間に配置された第一の磁気センサとを有し、前記一つの歯車と前記他の歯車の回転数比が整数倍となっていることを特徴とする。
この構成により請求項2の構成で得られるのと同様の作用効果が平歯車を用いた減速機構により得られる。第一、第二の磁石の構成は請求項5に示すものと同様である。
さらに請求項7記載の構成によれば、第一あるいは第二のセンサ出力周波数を高くすることができ、出力軸の回転位置検出精度をより高めることができる。
請求項8に示す構成は、請求項4乃至7に記載の構成に請求項3に記載した構成をより具体化して加えたものである。
本願発明により、回転を検出するセンサーを用いて出力軸の位置を検出するための構成がアクチュエータの低価格化、小型化を図りつつ可能となる。
また、回転検出として位相検出用に2つのセンサを用いる場合、その位相差出力を用いて高精度な初期位置設定、位置検出が可能となる。
さらに初期位置設定や位置検出としての構成が簡素なものなので、汎用性の高い装置とすることが可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
図1は減速機構付き電動モータとして、例えば車載用空調装置等に用いるアクチュエータの正面図を示し、ハウジングの一部の記載を省略して内部構成を示したものである。
図2は図1に示すアクチュエータの側面図で、本願発明の構成の特徴となる部分を示したものである。
図3は本願発明の特徴となる構成をさらに抜き出し、(イ)にその正面図、(ロ)に側面図を示したものである。
図4は本願発明の構成による初期設定の動作を示し、(イ)にセンサ出力を示し、(ロ)にセンサ出力をデジタル波形整形し初期設定を行う状態を示す。
図1および図2によりアクチュエータ1の構成を説明する。
アクチュエータ1は下ケース2と上ケース3により箱状に形成され、内部に駆動用モータ22、減速歯車列となるウオームギヤ11、第一中間ギヤ12、第二中間ギヤ13および出力軸14cを有する出力ギヤ14、そして基板21が収容されている。基板21は減速歯車の回転を検出するための回路を構成する。
下ケース2はケースの底面を構成する底板2aとその底板2aの外周に形成された外周壁2bにより浅いカップ状に形成され、外周壁2bにはこのアクチュエータ1を各種装置へ取り付けるための取付フランジ2dが設けられている。上ケース3は図を見やすくするため破線でその外形を示し、説明を省略する。
モータ22は取付板22bにより底板2aの所定位置に固定され、モータワイヤ22aにより基板21と電気的に接続される。
このアクチュエータ1の減速歯車列は、モータ22の回転軸22cに取り付けられたウオームギヤ11、第一中間ギヤ12、第二中間ギヤ13および出力ギヤ14で構成されている。第一中間ギヤ12、第二中間ギヤ13はそれぞれ底板2aに形成された支持ボス2i、2hに回転支持されている。
第一中間ギヤ12は大ギヤ12aと小ギヤ12bが一体に形成され、所定の減速比になるよう歯数が決定される。また、第二中間ギヤ13も同様に大ギヤ13aと小ギヤ13bで形成されている。
ウオームギヤ11は第一中間ギヤ12の大ギヤ12aと噛み合い、小ギヤ12bが第二中間ギヤ13の大ギヤ13aと噛み合う。さらに、第二中間ギヤ13は小ギヤ13bが出力ギヤ14の大ギヤ14aと噛み合う。第一中間ギヤ12から出力ギヤ14までは平歯車とピニオンギヤが用いられ、それらの回転軸は底板2aに対し垂直でそれぞれ平行している。
出力ギヤ14には大ギヤ14aと一体に出力軸14cがその回転中心に設けられ、底板2aに設けられた、開孔を有する出力軸ガイド2gにより下ケース2に回転支持されている。出力軸14cは開孔からハウジングの外部へ突出されている。出力ギヤ14の出力軸14cと反対側には円柱状の支持部14fが形成され、上ケース3により回転支持される。出力軸14cにはDあるいはIカットが設けられ、取り付けられる空気調整装置の弁等を回転駆動させる。
基板21は印刷配線板で、モータへ駆動電流を供給する回路パターンが形成され、また減速歯車や出力ギヤの回転を検出するホールセンサが搭載され、そのための回路も形成されている。基板21にはまた、このアクチュエータ1を制御する制御機器からの信号や電源等を接続するコネクタ21bが取り付けられ、下ケース2にはコネクタを固定する取付リブ2cが形成されている。
この基板21は、出力ギヤ14の大ギヤ14aと第二中間ギヤ13の大ギヤ13aの間に挟まれるよう配置され、基板取付軸2fにより底板2aに固定されている。特に、磁気センサが搭載される部分は出力ギヤ14と第二中間ギヤ13が回転軸方向で重なる領域に配置される。
次に、図3により本願発明の特徴となる回転検出に関する構成を説明する。
第二中間ギヤ13は出力ギヤ14の大ギヤ14aと噛み合うために円柱状に形成された小ギヤ13bと、小ギヤ13bの片端部に円盤鍔状に形成されたフランジ部13dおよびフランジ部13dの外周に形成され、第一中間ギヤ12と噛み合う大ギヤ13aで形成されている。
フランジ部13dの出力ギヤ14側には、回転軸と同心に円周方向で複数のNS極が形成された環状磁石16とヨーク板17が取り付けられている。ヨーク板17は環状磁石16とフランジ部13dの間に配置され、環状磁石16の磁束を後述のホールセンサに作用
させるためのバックヨークとして機能している。本実施例では磁極は24極とし、約15度の着磁開角で環状に磁石を構成している。またその内径を約40mm、外径を約50mmとし、旋回半径は最外周で25mmである。
出力ギヤ14は、アクチュエータ1の外方へ突出する出力軸14cと、その出力軸14に形成されたフランジ部14d、フランジ部14dの外周に形成され第二中間ギヤ13の小ギヤ13bと噛み合う大ギヤ14aおよび上ケース3に回転支持される支持部14fで形成されている。
フランジ部14dの第二中間ギヤ13側には、出力軸方向にNS2極に着磁された磁石片18とヨーク片19が取り付けられている。本実施例では第二中間ギヤ13側をN極とする。ヨーク片19は磁石片18とフランジ部14dの間に取り付けられ、磁石片18の磁束をやはり後述のホールセンサへ作用させるバックヨークとして機能している。
磁石片の大きさは開角で約8度であるが、その幅は環状磁石16の一つの磁極の幅より小さくする。これは、出力ギヤ14の回転が第二中間ギヤ13より遅いためである。また、ヨーク片19の大きさは磁石片18ややより大きく、磁石片18がはみ出さないよう形成する。
磁石片18の径方向寸法は約7mmでその旋回半径は最外周部で約38mmとし、環状磁石16とは出力軸方向から見て最低1ヶ所でその旋回軌跡が交わるよう配置する。
この磁石片18は、環状の磁性体の一部領域を着磁し、その環状磁性体を出力軸14cと同心に配してもよい。環状磁性体を用いた場合はその取付が容易となる。また、小片である磁石片18を用いると、形状や厚み(例えば円周方向の幅や板厚)の調整によりホールセンサの出力調整が比較的容易にできる。
基板21は軸方向に対して第二中間ギヤ13と出力ギヤ14の間に位置し、それぞれのフランジ部13d、14dと平行になるよう取り付けられる。軸方向から見て第二中間ギヤ13と出力ギヤ14が重畳する部分には第一開孔21cが設けられ、その近傍にさらに第二開孔21dが設けられている。開孔21c、21dには磁気センサとして第一ホールセンサ31と第二ホールセンサ32が取り付けられる。このときホールセンサの位置は第二中間ギヤ13の回転軸を中心として37.5度の開角で、第二中間ギヤ13の回転軸に対し同心円周上に取り付けられる。
それぞれのホールセンサは本体が開孔に入り込むよう取り付けられる。特に第一ホールセンサ31は環状磁石16と磁石片18の両方の磁気を検出できるよう、それぞれの磁石から所定間隔離れた位置となる。本実施例では環状磁石16と第一、第二ホールセンサ31、32との間隔は約0.3mmであり、磁石片18と第一ホールセンサ31との間隔は約0.6mmである。
第一ホールセンサ31は磁石片18と環状磁石16の旋回範囲でそれぞれが重なる位置に配置し、第二ホールセンサ32は環状磁石16の旋回範囲内で、磁石片18の旋回範囲には入らないよう配置する。このように配置することにより、第一ホールセンサ31は環状磁石16と磁石片18両方の磁気を検出し、第二ホールセンサ32は磁石片18の影響はほとんど受けないで環状磁石16の磁気を検出する。
以上の構成による本願発明の減速機構付き電動モータの作用について説明する。
図4は上述の実施例に用いられるホールセンサのアナログ出力およびそのアナログ出力を波形整形してデジタル化したもので、出力波形により出力軸の位置に対応する磁石片を検出して出力軸の初期位置を設定する動作を示す。
出力軸14cの初期位置を設定するためモータ22を回転駆動させると、減速歯車列の減速比に従ってそれぞれのギヤが回転を始める。この場合第二中間ギヤ13は図面時計周り方向(CW方向)に回転するようモータを回転させる。
第二中間ギヤ13が時計回りに回転すると、環状磁石16が回転することによる磁気の変化を第一、第二ホールセンサ31、32が検出する。そのときの第一、第二ホールセンサ31、32の磁気検出出力はアナログ値で図4(イ)A、Bに示す実線のような所定周期を持った波形となる。このグラフは横軸を時間軸として上側がN極に対する出力で、下側がS極に対する出力であり、環状磁石16の磁化間隔に合わせてN極、S極側にそれぞれピークP1、P2を有している。Bに示す第二ホールセンサ32の出力は、2つのホールセンサの取付位置によりAに対し位相がずれた出力となる。この出力の位相ずれにより第二中間ギヤ13の回転方向が検出できる。
第二中間ギヤ13がCW方向に回転すると、出力ギヤ14が反時計方向(CCW方向)へ回転し、出力ギヤ14に取り付けられた磁石片18の磁気がホールセンサ31により検出される。そのときの出力波形は同図Cに示す第三出力のようになる。磁石片18は環状磁石16に対しホールセンサ31をはさんで反対側に、かつN極が下向きになるよう取り付けられているため、図中時間軸より下側がN極検出波形となる。そして、磁石片18は回転軸方向に着磁されているためホールセンサ31で検出される波形は出力ギヤ14が一回転、すなわち出力軸14cが一回転する間に、ピークP3を有する一つの波形のみ現れる。
ホールセンサ31、32から出力されたアナログ出力は基板21あるいは外付け回路に設けられた波形整形回路(図示および説明省略)によりデジタル信号へ波形整形され、制御部(図示および説明省略)へ出力される。その波形整形は、第一センサ出力Aおよび第二センサ出力Bが低い値から所定の閾値αに達するとデジタル信号としてL(LOW)からH(HIGH)へ立ち上がり(y1)、高い値から所定の閾値−αに達するとHからLへ立ち下がる(y2)よう行われる。
ホールセンサ31、32のアナログ出力がデジタル出力へ波形整形された状態を図4(ロ)に示し、同図Dは第一出力Aおよび後述の第四出力Dが波形整形された第一デジタル出力を、同図Eは第二センサ出力Bが波形整形された第二デジタル出力を示す。
ここで、アクチュエータ1が作動してモータ22により第二中間ギヤ13がCW方向へ回転し、ホールセンサ31により第一出力Aが検出されているとする。そのとき、出力ギヤ14のCCW方向への回転により磁石片18が第一ホールセンサ31に近づき、第一ホールセンサ31は第三出力Cとなる磁界の影響を受ける。
ここで磁石片18は第三出力CのピークP3は第一センサ出力AのピークP1と合うよう出力ギヤ14のフランジ部14dに取り付けておく。また、この第三出力Cは磁石片18の大きさ、磁化させた際の磁力、第一ホールセンサ31との距離等を調整することにより波形を最適化する。
出力ギヤ14の回転にともない磁石片18が第一ホールセンサ31に近づくと、第一ホールセンサ31からのアナログ出力は第四出力Dのように、閾値αを越えない部分が発生する。すなわち、ポイントx1で第四出力DがS側の閾値−αに達して第一デジタル出力Dが立ち下がり(ポイントX1)、その次の周期では第四出力Dは閾値αに達することなくさらに次の周期を迎える。そしてポイントx2で第四出力Dが閾値αに達したところで第一デジタル出力Dが立ち上がる(ポイントX2)。
一方、第二ホールセンサ32は磁石片18の影響を受けないため、第二出力Bは固有の周期通り波形が出力され、波形整形された後連続した立ち上がりy1、立ち下がりy2となる第二デジタル出力Eとなる。
第一ホールセンサ31が磁石片18の影響を受けない時点では、第二デジタル出力Eの立ち上がりy1は第一デジタル出力DがHの状態で出力されるが、磁石片18が第三出力Cの出力される位置にくると第一デジタル出力DがLのときに第二デジタル出力Eの立ち上がりy1が出力される。すなわち、第一デジタル出力DがLのときの立ち上がりy1を検出することで磁石片18の位置を特定できることとなる。
磁石片18を出力ギヤ14に対する特定位置(例えば出力軸14dに設けられたDカットやIカットに対応する位置)に取り付けておけば、出力軸がどの回転位置にあるか検出できることとなり、この立ち上がり位置y1を初期位置(IP)として設定することができる。そして、そこから第二デジタル出力Eのパルスをカウントして出力軸14cの回転角を検出できるようになる。
本願発明による上記の構成で、出力軸14cの初期位置を設定し回転角を検出できる。初期位置さえ決定すれば、第二デジタル出力のパルスをカウントして出力軸14cの回転角を検出することで一種類のアクチュエータで種々の回転位置に対応する弁に用いることが可能である。また、磁石片18およびヨーク板19はフランジ14d上であれば自由にその位置を変えて取り付けられる。そのため出力軸14cの必要な初期位置に応じて磁石片18の取り付け位置さえ変えれば良い。そのため、アクチュエータとしての汎用性が高まることになる。
さらに、初期位置設定(IP位置検出)とパルス数カウントによる回転位置検出を第二デジタル出力Eのみで行えば、それぞれを異なる検出出力で行うより検出精度がより高まることになる。
ここで、出力軸を多回転させたときにも初期位置を一定にするには、第二中間ギヤ13と出力ギヤの減速比すなわち回転数比を整数倍とすることが必要である。減速比が整数倍でないと、ギヤの回転に従ってピークP1とピークP3の相対的位置にずれが生じるためである。通常噛み合うギヤ同士の減速比は、扁摩耗を防ぐ目的から整数倍でないようにするが、出力ギヤ14の回転数が比較的小さいため、減速比を整数倍にしても問題がない。
本実施例では第二中間ギヤ13と出力ギヤ14は連続した歯車列であるが、この間に歯車を入れて減速する場合も考えられる。この場合でも環状磁石16と磁石片18が取り付けられた歯車同士の減速比(回転数比)を整数倍としておけばよい。
本願の実施例によれば、環状磁石16は出力ギヤ14ではなく回転数の比較的高い第二中間ギヤ13に取り付けられている。磁石片18の位置検出精度を高くするには第二センサ出力Bの周波数を高くする必要があるが、そのために環状磁石16の着磁極数を多くすると一つの極の磁力が少なくなってしまう。回転数の高いギヤ側に環状磁石16を取付けると、着磁極数を多くすることなく適度な周波数を得られることになる。ただし多極に着磁し適当な磁力を得られれば、環状磁石16を比較的回転数の低い出力ギヤ側に設けることも可能である。
さらに、本願では精度良く磁石片18の位置を検出して出力軸14cの回転位置を検出するために、ホールセンサを2つ用い検出出力として第一および第二デジタル出力D、Eを用いたが、比較的精度が要求されない場合、第一ホールセンサ31のみを用いて磁石片18の位置を検出することが可能である。
この場合、第一デジタル出力Dの立ち下がりy2を検出した後タイマで時間を計測し、所定時間内に立ち上がりy1を検出することで出力ギヤ14の回転を検出し、所定時間内に立ち上がりy1が検出されないときに、その時点で磁石片18が所定位置に到来したと検出する。
以上本願発明を実施するための最良の形態を説明したが、本願発明は上記実施例に限定されることなく、様々な形態で実施可能である。
例えば減速歯車による減速段数、減速比等は適宜定めることができ、それにより環状磁石の着磁極数、磁石片の大きさ、ホールセンサとの間隔等もそれぞれの状態に合わせた設定が可能である。さらに、本願ではホールセンサを連続して噛み合うギヤの間に配置したが、回転軸方向に重畳する位置にあるギヤの間であれば連続して噛み合うギヤの間でなくとも同様の作用効果が得られるものである。
また、センサとして本実施例ではホールセンサでアナログ波形を出力するものとしたが、波形整形を同時に行いデジタル波形を出力するセンサでも良く、また磁気に感応してアナログ、デジタル等の出力を行うものであればホールセンサでなく他のセンサでもよい。
本願発明の減速機構付き電動モータの正面図を示し、ハウジングの一部の記載を省略して内部構成を示したものである。 図1に示す減速機構付き電動モータの側面図である。 本願発明の減速機構付き電動モータの要部を示し、(イ)にその正面図、(ロ)に側面図を示したものである。 本願発明の減速機構付き電動モータの初期設定動作を示し、(イ)にセンサ出力、(ロ)にセンサ出力をデジタル波形整形し初期設定を行う状態を示す。
符号の説明
1 アクチュエータ
2 下ケース
13 第二中間ギヤ
14 出力ギヤ
14c 出力軸
16 環状磁石
18 磁石片
21 基板
31 第一ホールセンサ
32 第二ホールセンサ

Claims (8)

  1. モータ回転軸の回転を複数段の減速歯車列により減速して出力軸を回転駆動する減速機構付き電動モータにおいて、前記複数段の減速歯車列の一つの歯車と一体に回転しその回転円周上に等間隔で形成された複数の磁極からなる第一の磁極群と、前記一つの歯車とは異なる他の歯車と一体に回転しその回転円周上の所定範囲に形成された第二の磁極群と、前記第一の磁極群と前記第二の磁極群で発生する磁気を同時に検出する第一のセンサを備え、前記第二の磁極群は一つのN極と一つのS極で構成されると共に、前記第一のセンサに対し一つのN極あるいはS極が対向し、他のS極あるいはN極が前記一つのN極あるいはS極を介して第一のセンサと対向するよう構成されたことを特徴とする減速機構付き電動モータ。
  2. モータ回転軸の回転を複数段の減速歯車列により減速して出力軸を回転駆動する減速機構付き電動モータにおいて、前記複数段の減速歯車列の一つの歯車と一体に回転しその回転円周上に等間隔で形成された複数の磁極からなる第一の磁極群と、前記一つの歯車とは異なる他の歯車と一体に回転しその回転円周上の所定範囲に形成された第二の磁極群と、前記第一の磁極群と前記第二の磁極群で発生する磁気を同時に検出する第一のセンサを備え、前記一つの歯車と前記他の歯車の回転数比が整数倍で構成されたことを特徴とする減速機構付き電動モータ。
  3. 前記第一のセンサで周期的に検出した第一の磁極群の磁気を、異なる位相で検出する第二のセンサを有することを特徴とする請求項1乃至2記載の減速機構付き電動モータ。
  4. モータ回転軸から出力軸のあいだに平歯車による複数段の減速歯車列を有する減速機構付き電動モータにおいて、一つの平歯車の一面側に設けられ回転円周上に等間隔で複数の磁極が着磁された環状磁石からなる第一の磁石と、前記一つの平歯車と回転軸が平行で前記一面側と対向する面側を有する他の平歯車で、その対向する面側に設けられその回転円周上の所定範囲に形成され前記第一の磁石と対向する第二の磁石と、前記第一の磁石に平歯車回転軸方向で対向すると共に前記第二の磁石とその軸方向で対向して両磁石の間に配置された第一の磁気センサとを有し、前記第二の磁石は前記他の歯車の回転軸と平行方向にN極およびS極が一極ずつ着磁され、この第一の磁気センサは平歯車回転軸方向から見て前記第一の磁石の旋回領域でかつ前記前記第二の磁極の旋回領域に位置し、両磁石の磁気を同時に検出することを特徴とする減速機構付き電動モータ。
  5. 前記対向する面側に、前記第二の磁石を介して前記第一のセンサと対向する磁性材が設けられたことを特徴とする請求項4記載の減速機構付き電動モータ。
  6. モータ回転軸から出力軸のあいだに平歯車による複数段の減速歯車列を有する減速機構付き電動モータにおいて、一つの平歯車の一面側に設けられ回転円周上に等間隔で複数の磁極が着磁された環状磁石からなる第一の磁石と、前記一つの平歯車と回転軸が平行で前記一面側と対向する面側を有する他の平歯車で、その対向する面側に設けられその回転円周上の所定範囲に形成され前記第一の磁石と対向する第二の磁石と、前記第一の磁石に平歯車回転軸方向で対向すると共に前記第二の磁石とその軸方向で対向して両磁石の間に配置された第一の磁気センサとを有し、前記一つの歯車と前記他の歯車の回転数比が整数倍であることを特徴とする減速機構付き電動モータ。
  7. 前記第一の磁石は前記減速歯車列のモータ側平歯車に設けられ、前記第二の磁石は減速歯車列の出力側平歯車に設けられたことを特徴とする請求項4乃至6記載の減速機構付き電動モータ。
  8. 前記一面側と平行で前記第一のセンサと同一となる面上で、前記第一の磁石に前記回転軸方向で対向し、その回転軸方向から見て前記第一の磁石の旋回領域内でかつ前記前記第二の磁石の旋回領域外に位置し前記第一の磁石の磁気を検出する第二のセンサとを有し、前記第一および第二のセンサは前記第一の磁石の磁極間隔とは異なる間隔で配置されその磁気を異なる位相で検出することを特徴とする請求項4乃至7記載の減速機構付き電動モータ。
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