JP4688745B2 - 位置検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、交流電圧を印加した状態で作動する位置検出器と、直流電圧を印加した状態で作動する位置検出器とを備える位置検出装置に関するものである。
位置検出器(回転位置検出器)の一例として可変磁気抵抗型レゾルバがある(例えば、特許文献1参照)。この可変磁気抵抗型レゾルバでは、ロータの回転に伴う該ロータとステータ極間のギャップの変化によりステータ巻線のインダクタンスが変化するので、このインダクタンスの変化を利用して回転角が検出される。
また、位置検出器の他の例として、磁気抵抗素子(MR素子)を用いた磁気エンコーダがある(例えば、非特許文献1参照)。この磁気エンコーダは、ロータシャフトに取り付けられた磁石の磁力変化による磁気抵抗素子の抵抗値変化を利用して回転角が検出される。
ところで、位置検出器は、軸倍角のサイクル内であれば絶対位置検出が可能である。しかし、一般的に、軸倍角の小さな位置検出器は精度を得るのが難しく、そのため、高精度の位置検出には軸倍角の大きな位置検出器の方が有利である。そこで、従来、位置決め用の精回転位置情報と絶対位置検出用の粗回転位置情報の双方を得るべく、軸倍角の異なる位置検出器を組み合わせた複速回転位置検出が実施されている。なお、検出信号の冗長性を増す目的や、故障等への対応性を高める目的で2つの位置検出器を組み合わせる場合もある。
特開平1−164298号公報 浜松光電株式会社、技術情報、すだれタイプMRセンサの基本動作原理、[平成18年6月21日検索]、インターネット<URL:http://www.hkd.co.jp/technique/amr/01.html
しかしながら、2つの位置検出器を組み合わせて使用する場合には、各位置検出器の出力信号を伝送するための個別の信号ラインを設けることになる。このため、配線数が増加し、また、その配線数に見合う大きなサイズのコネクタを使用することになって、コストおよび実装スペースの増大を招く。
また、交流電圧を印加した状態で作動する位置検出器と直流電圧を印加した状態で作動する位置検出器とが組み合わされる場合には、交流電圧を供給する電源ラインと交流電圧を供給する電源ラインの双方が設けられることになり、これもコストおよび実装スペースの増大を招く。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、2つの位置検出器をコストおよび実装スペースを増大することなく組み合わせて使用することが可能な位置検出器を提供することを目的としている。
本発明に係る位置検出装置は、電源ラインおよび信号ラインを介して相互が接続された第1、第2のユニットを有する。前記第1のユニットは、交流電圧を印加した状態で作動して、回転角と前記交流電圧の周波数とで規定される第1の位置信号を出力する第1の回転位置検出器と、前記交流電圧を直流電圧に変換する交流・直流変換手段と、前記直流電圧を印加した状態で作動して、回転角で規定される第2の位置信号を出力する第2の回転位置検出器と、前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とを合成する結合コンデンサと、を備え、 前記第2のユニットは、前記交流電圧を前記電源ラインを介して前記第1の回転位置検出器に供給する交流電源と、前記結合コンデンサによって合成された信号を前記信号ラインを介して入力し、この合成信号を前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに分離する信号分離手段と、を備える。前記第1、第2の回転位置検出器は、互いに異なる軸倍角数を有する
実施の形態では、前記第1の回転位置検出器としてレゾルバを使用し、前記第2の回転位置検出器として磁気抵抗素子を備える磁気エンコーダを使用している。もちろん、前記第1、第2の回転位置検出器として上記磁気エンコーダを使用してもよい。
前記レゾルバとしては、例えば、可変磁気抵抗型レゾルバや回転トランス型レゾルバを使用することができる。
本発明によれば、第1のユニットと第2のユニット間の配線数が低減され、また、この配線数の低減に伴って配線用のコネクタの小型化が可能になる。したがって、コストの低減および実装スペースの縮小を図ることができる。
図1は、本発明に係る位置検出装置の一実施形態を示す回路図である。この位置検出装置において、検出ユニット1と信号処理ユニット2は、互いに離隔して配置され、かつ、電源ライン3a,3bおよび信号ライン3c,3dを介して相互に接続されている。
検出ユニット1は、第1の位置検出器としての可変磁気抵抗型レゾルバ4、整流回路5および第2の位置検出器としての磁気エンコーダ(磁気レゾルバ)6を有している。なお、この実施形態では、可変磁気抵抗型レゾルバ4として軸倍角10×のものを使用し、また、磁気エンコーダ6として軸倍角1×のものを使用している。
可変磁気抵抗型レゾルバ4は、例えば、モータの回転位置を検出するために使用され、その場合、該モータ内に組み込まれても良い。このレゾルバ4は、ブリッジ接続されたステータ巻線41,42,43および44を備え、そのロータの回転に伴う該ロータとステータ極間のギャップの変化により該巻線41〜44のインダクタンスが変化する。
上記巻線41,43の接続点は上記電源ライン3aに接続され、巻線42,44の接続点は上記電源ライン3bに接続されている。また、巻線41,42の接続点は結合コンデンサ7を介して信号ライン3cに接続され、巻線43,44の接続点は結合コンデンサ8を介して信号ライン3dに接続されている。
整流回路5は、ダイオードブリッジ回路で構成されている。このダイオードブリッジ回路は、一方および他方の交流入力がそれぞれ上記電源ライン3aおよび3bに接続され、一方および他方の直流出力がそれぞれ平滑コンデンサ9の一端および他端に接続されている。
磁気エンコーダ6は、例えば、上記モータの回転位置を検出するために使用され、その場合、該モータ内に組み込まれても良い。この磁気エンコーダ6は、ブリッジ接続したMR素子(磁気抵抗素子)61,62,63および64を備え、そのロータシャフトに取り付けられた磁石の磁力変化によってこの磁気抵抗素子61〜64の抵抗値が変化する。
MR素子61,63の接続点およびMR素子62,64の接続点は、それぞれ上記平滑コンデンサ9の一端および他端に接続されている。また、MR素子61,62の接続点およびMR素子63,64の接続点は、それぞれ信号ライン3cおよび3dに接続されている。
信号処理ユニット2は、励磁回路10、バンドパスフィルタ(あるいは、ハイパスフィルタ)11、復調回路12、ローパスフィルタ13および信号処理回路14を備えている。
励磁回路10は、直列接続された正弦波電圧源10a,10bを有する。正弦波電圧源10aおよび10bは、それらの出力が上記電源ライン3aおよび3bにそれぞれ接続され、また、それらの直列接続点が接地されている。
バンドパスフィルタ11は、一方および他方の入力が信号ライン3cおよび3dにそれぞれ接続されている。同様に、ローパスフィルタ12は、一方および他方の入力が信号ライン3cおよび3dにそれぞれ接続されている。
以下、本実施形態に係る位置検出装置の作用について説明する。
上記励磁回路10において、正弦波電圧源10aおよび10bは、それぞれ図2(A)に示すような高周波の正弦波電圧Vsinωt(周波数は、例えば100KHz)を発生する。上記したように、この正弦波電圧源10aおよび10bは、互いに直列接続されるとともに、その接続点が接地されている。したがって、可変磁気抵抗型レゾルバ4の一方および他方の入力には、極性の異なる正弦波電圧Vsinωtが励磁電圧としてそれぞれ印加される。
これにより、レゾルバ4は、ブリッジ回路の一方の中点(巻線41,42の接続点)および他方の中点(巻線43,44の接続点)に励磁電圧Vsinωtをキャリア信号とする下記の信号電圧Va1およびVb1をそれぞれ発生し、これらを前記コンデンサおよびを介して信号ライン3cおよび3dに出力する。図2(B)は、上記信号電圧Va1の波形を示している。
Va1=K1・V・sinωt・sin(nθ)=K1・V・sinωt・sin(10θ) (1)
Vb1=K1・V・sinωt・cos(nθ)=K1・V・sinωt・cos(10θ) (2)
ここで、K1:定数、n:軸倍角数、θ:モータの回転位置
一方、整流回路5は、ダイオードによる電圧降下を無視した場合、−Vおよび+Vの直流電圧を出力し、これを磁気エンコーダ6に印加する。これにより、磁気エンコーダ6は、MR素子61,62,63および64の抵抗値をそれぞれR1,R2,R3およびR4とした場合、ブリッジ回路の一方の中点(MR素子61,62の接続点)および他方の中点(MR素子63,64の接続点)に下式(3)および(4)に示す信号電圧Va1'およびVb1'をそれぞれ発生し、これらを信号ライン3cおよび3dに出力する。
Va1'=(R2/(R2+R1))×2V-V (3)
Vb1'=(R4/(R3+R4))×2V-V (4)
上記抵抗値R1,R2,R3およびR4は、磁力の変化によって以下のように変化する。
R1=Rc−Rv・sin(nθ)=Rc−Rv・sinθ (5)
R2=Rc+Rv・sin(nθ)=Rc+Rv・sinθ (6)
R3=Rc−Rv・cos(nθ)=Rc−Rv・cosθ (7)
R4=Rc+Rv・cos(nθ)=Rc+Rv・cosθ (8)
ここで、Rcは抵抗一定成分、Rvは抵抗変化成分である。
したがって、上記式(3)、(4)は、下式(9)、(10)のように表される。
Va1'=(Rv/Rc)・V・sinθ=K1'・V・sinθ (9)
Vb1'=(Rv/Rc)・V・cosθ=K1'・V・cosθ (10)
ここで、K1':比例定数
この結果、信号ライン3cには、上記レゾルバ4から出力されるサイン相信号電圧Va1に対応する信号電圧と磁気エンコーダ6から出力されるサイン相信号電圧Va1'に対応する信号電圧とを合成した下式(11)に示す信号電圧Va2が出力され、また、信号ライン3dには、レゾルバ4から出力されるコサイン相信号電圧Vb1に対応する信号電圧と磁気エンコーダ6から出力されるコサイン相信号電圧Vb1'に対応する信号電圧とを合成した下式(12)に示す信号電圧Vb2が出力されることになる。図2(C)は、合成信号電圧Va2の波形を示している。
Va2=K2・V・sinωt・sin(10θ)+K2'・V・sinθ (11)
Vb2=K2・V・sinωt・cos(10θ)+K2'・V・cosθ (12)
ここで、K2:比例定数
バンドパスフィルタ11は、上記合成信号電圧Va2およびVb2に含まれる低周波成分を除去する。したがって、このバンドパスフィルタ11からは、下式(13)、(14)に示す信号電圧Va3、Vb3(レゾルバ11が発生する信号電圧Va1、Vb1に対応)が出力されることになる。図2(D)は、信号電圧Va3の波形を示している。
Va3=K3・V・sinωt・sin(10θ) (13)
Vb3=K3・V・sinωt・cos(10θ) (14)
ここで、K3:比例定数
上記信号電圧Va3およびVb3は、復調回路12に入力される。復調回路12は、信号電圧Va3、Vb3からキャリア信号成分sinωtを除く処理を実行して、下記信号電圧Va4、Vb4を出力する。図2(E)は、信号電圧Va4の波形を示している。
Va4=K4・V・sin(10θ) (15)
Vb4=K4・V・cos(10θ) (16)
ここで、K4:比例定数
一方、ローパスフィルタ13は、前記合成信号電圧Va2およびVb2に含まれる高周波成分を除去する。したがって、このローパスフィルタ13からは、下記信号電圧Va4'、Vb4'(磁気エンコーダ6が発生する信号電圧Va1'、Vb1'に対応)が出力されることになる。図2(F)は、信号電圧Va4'の波形を示している。
Va4'=(Rv/Rc)・V・sinθ=K4'・Vsinθ (17)
Vb4'=(Rv/Rc)・V・cosθ=K4'・Vcosθ (18)
ここで、K4':比例定数
信号処理回路14は、復調回路12の出力Va4、Vb4に基づいて、軸倍角10×でのモータの回転位置θを演算し、また、ローパスフィルタ13の出力Va4'、Vb4'に基づいて、軸倍角1×でのモータの回転位置θを演算する。なお、例えば、前者の回転位置θはモータの位置決め制御に使用され、また、後者の回転位置θはモータの絶対位置の検出に使用される。
本実施形態によれば、信号処理ユニット2から2本の電源ライン3a、3bを介して検出ユニット1に供給される正弦波電源電圧に基づいて、第1の位置検出器(可変磁気抵抗型レゾルバ4)と第2の位置検出器(磁気エンコーダ6)の双方を作動させることが可能である。また、各位置検出器4,6の検出信号を合成伝送するので、検出ユニット1と信号処理ユニット2間に2本の信号ライン3c、3dを設けるのみでよい。したがって、電源ライン3a、3bならびに信号ライン3c、3dを接続するコネクタとしてピン数の少ない小型低コストのものを使用することが可能になり、また、検出ユニット1,2間の配線に要するコストおよび実装スペースの低減を図ることができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されず、例えば、以下のような変形態様を含むものである。
(a)上記実施形態では、交流電圧を印加した状態で作動する第1の位置検出器として可変磁気抵抗型レゾルバ4を使用している。しかし、第2の位置検出器として使用した磁気エンコーダ6は、交流電圧を印加した状態での作動も可能である。したがって、可変磁気抵抗型レゾルバ4に代えて、磁気エンコーダ6を使用(ただし、可変磁気抵抗型レゾルバ4と同じ軸倍角数を有するものを使用する)しても良い。この場合、置換した磁気エンコーダからは、レゾルバ4を使用した場合と同様に、前記式(1)、(2)に示す信号電圧が出力されることになる。
(b)上記実施形態では、信号の検出および伝送をシングルエンド方式で行っているが、この信号の検出および伝送を差動方式で行っても良い。この場合、可変磁気抵抗型レゾルバ4および磁気エンコーダ6におけるブリッジ回路の構成素子数が2倍になる。
(c)上記実施形態では、第1の位置検出器として可変磁気抵抗型レゾルバ4を使用しているが、これに代えて、回転トランス型レゾルバ等の他のレゾルバを使用することも可能である。
(d)上記実施形態における第1の位置検出器および第2の位置検出器は、いずれも回転機構の回転位置を検出するものである。しかし、この第1、第2の位置検出器として直動機構の動作位置を検出する直動型のものを用いることも可能である。
(e)上記実施形態では、第1の位置検出器(軸倍角10×)および第2の位置検出器(軸倍角1×)を同一軸上に設置して複速位置検出を実現しているが、これらの位置検出器を異なる軸上に配置しても良い。ただし、両位置検出器は、位置的には近接して配置することが好ましい。
(f)上記実施の形態では、第1の位置検出器として軸倍角数の大きなもの(10×)を使用し、第2の位置検出器として軸倍角数の小さなもの(1×)を使用しているが、両検出器の軸倍角数を上記と逆の関係にしても良い。
また、第1、第2の位置検出器として軸倍角数の等しいもの使用することも可能である。図3は、第1、第2の位置検出器として共に軸倍角10×のものを使用した場合の図2に対応する波形図を示している。
(g)第1の位置検出器に印加する交流電圧は正弦波電圧に限定されず、方形波電圧であっても良い。
本発明に係る位置検出装置の一実施形態を示す回路図である。 本発明に係る位置検出装置の動作を説明するための波形図である。 第1、第2の位置検出器として軸倍角の等しいものを使用した場合の動作を示す波形図である。
符号の説明
1 検出ユニット
2 信号処理ユニット
3a,3b 電源ライン
3c,3d 信号ライン
4 可変磁気抵抗型レゾルバ
5 整流回路
6 磁気エンコーダ
7,8 コンデンサ
10 励磁回路
11 バンドパスフィルタ
12 復調回路
13 ローパスフィルタ
14 信号処理回路

Claims (5)

  1. 電源ラインおよび信号ラインを介して相互が接続された第1、第2のユニットを有し、
    前記第1のユニットは、
    交流電圧を印加した状態で作動して、回転角と前記交流電圧の周波数とで規定される第1の位置信号を出力する第1の回転位置検出器と、
    前記交流電圧を直流電圧に変換する交流・直流変換手段と、
    前記直流電圧を印加した状態で作動して、回転角で規定される第2の位置信号を出力する第2の回転位置検出器と、
    前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とを合成する結合コンデンサと、を備え、
    前記第2のユニットは、
    前記交流電圧を前記電源ラインを介して前記第1の回転位置検出器に供給する交流電源と、
    前記結合コンデンサによって合成された信号を前記信号ラインを介して入力し、この合成信号を前記第1の位置信号と前記第2の位置信号とに分離する信号分離手段と、を備え
    前記第1、第2の回転位置検出器は、互いに異なる軸倍角数を有することを特徴とする位置検出装置。
  2. 前記第1の回転位置検出器としてレゾルバを使用し、前記第2の回転位置検出器として磁気抵抗素子を備える磁気エンコーダを使用したことを特徴とする請求項に記載の位置検出装置。
  3. 前記第1、第2の回転位置検出器として磁気抵抗素子を備える磁気エンコーダを使用したことを特徴とする請求項に記載の位置検出装置。
  4. 前記レゾルバが可変磁気抵抗型レゾルバであることを特徴とする請求項に記載の位置検出装置。
  5. 前記レゾルバが回転トランス型レゾルバであることを特徴とする請求項に記載の位置検出装置。
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