JP4688424B2 - 有機電界発光素子およびその製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機電界発光素子およびその製造方法に関する。
従来、低分子系の有機電界発光素子では、乾式法を用いて形成された多層積層構造により発光層へのキャリアの円滑な注入がなされている。一方、高分子材料を用いた有機電界発光素子では、湿式法を用いて高分子層が形成される。しかしながら、一般的に用いられる湿式法によれば、上層の高分子層を形成する際に下層の高分子層が溶解する。
そこで、水溶性の導電性高分子と有機溶媒に可溶な発光高分子とを積層した2層型有機電界発光素子が提案されている。また、極性溶媒および無極性溶媒の2種類を用いて積層構造を形成することも提案されている。
さらに、発光層の材料として、基板側の第1の有機層を構成する材料に対して溶解範囲外の溶解度パラメータを有する溶媒に可溶な有機物を用い、発光層上に積層される第2の有機層の材料として、発光層を構成する材料に対して溶解範囲外の溶解度パラメータを有する溶媒に可溶な有機物を用いることにより、多層積層構造を作製する有機発光素子の製造方法も提案されている。
特開2002−299061号公報
しかしながら、上記の従来技術を用いても、いまだ十分な発光効率を有する有機発光素子は得られていない。
本発明の目的は、十分な発光効率を得ることができる有機電界発光素子およびその製造方法を提供することである。
本明細書において、高分子材料とは、繰り返し単位を含み、一定の分子量分布を有する有機化合物をいう。
本発明に係る有機電界発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、第1の高分子材料により形成される第1の有機層および第2の高分子材料により形成される第2の有機層を備え、第1の高分子材料の繰り返し単位と第2の高分子材料の繰り返し単位とは共通の骨格を含むものである。
本発明に係る有機電界発光素子においては、第1の電極と第2の電極との間に第1の高分子材料により形成される第1の有機層および第2の高分子材料により形成される第2の有機層が設けられる。
この場合、第1の高分子材料の繰り返し単位と第2の高分子材料の繰り返し単位とが共通の骨格を含むことにより、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料と第2の高分子材料との化学的親和性が増加し、パッキングが良好になる。
また、第1の高分子材料と第2の高分子材料との共通の骨格部分は類似した電子的構造を有すると考えられるので、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料および第2の高分子材料の共通の骨格同士が近接した部分ではキャリアの注入障壁が小さくなり、第1の有機層と第2の有機層との間でのキャリアの移動が円滑となる。それにより、発光効率および発光寿命が向上する。
第1の高分子材料が発光性を有し、第2の高分子材料がキャリア輸送性を有してもよい。
この場合、第1の有機層が発光するとともに、第2の有機層により第1の有機層へのキャリアの輸送が促進される。特に、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料および第2の高分子材料の共通の骨格同士が近接した部分ではキャリアの注入障壁が小さくなり、第2の有機層から第1の有機層へのキャリアの移動が円滑となる。それにより、発光効率および発光寿命が向上する。
第2の高分子材料は、第1の極性のキャリアの輸送性を有するとともに、第1の極性とは逆の第2の極性のキャリアに対する阻止性を有してもよい。
この場合、第2の有機層において第1の極性のキャリアが第1の有機層に効率よく輸送されるとともに、第1の有機層に注入された第2の極性のキャリアが第1の有機層を通り抜けることが阻止される。それにより、第1の有機層において第1の極性のキャリアと第2の極性のキャリアとが効率よく再結合することができる。その結果、発光効率がさらに向上する。
第1の高分子材料がキャリア輸送性を有し、第2の高分子材料が発光性を有してもよい。
この場合、第1の有機層により第2の有機層へのキャリアの輸送が促進されるとともに、第2の有機層が発光する。特に、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料および第2の高分子材料の共通の骨格同士が近接した部分ではキャリアの注入障壁が小さくなり、第1の有機層から第2の有機層へのキャリアの移動が円滑となる。それにより、発光効率および発光寿命が向上する。
第1の高分子材料は、第1の極性のキャリアの輸送性を有するとともに、第1の極性とは逆の第2の極性のキャリアに対する阻止性を有してもよい。
この場合、第1の有機層において第1の極性のキャリアが第2の有機層に効率よく輸送されるとともに、第2の有機層に注入された第2の極性のキャリアが第2の有機層を通り抜けることが阻止される。それにより、第2の有機層において第1の極性のキャリアと第2の極性のキャリアとが効率よく再結合することができる。その結果、発光効率がさらに向上する。
基板上に、第1の電極、第1の有機層、第2の有機層および第2の電極を順に備え、第2の高分子材料の分子量が第1の高分子材料の分子量よりも小さいことが好ましい。
この有機電界発光素子の作製に際には、第1の高分子材料の溶液を用いて第1の有機層が形成され、第1の有機層上に第2の高分子材料の溶液を用いて第2の有機層が形成される。
この場合、第2の高分子材料の分子量が第1の高分子材料の分子量よりも小さいので、第1の有機層中の第1の高分子材料が第2の高分子材料の溶液中に溶出することが防止される。それにより、第2の有機層の形成時における第1の有機層への影響が低減される。その結果、より高い発光効率を有する有機電界発光素子が実現される。
本発明に係る有機電界発光素子の製造方法は、第1の電極と第2の電極との間に第1の有機層と第2の有機層とを備えた有機電界発光素子の製造方法であって、第1の高分子材料を第1の有機溶媒に溶解させることにより第1の高分子材料の溶液を作製する工程と、第2の高分子材料を第2の有機溶媒に溶解させることにより第2の高分子材料の溶液を作製する工程と、第1の高分子材料の溶液を用いて第1の有機層を形成する工程と、第1の有機層上に第2の高分子材料の溶液を用いて第2の有機層を形成する工程とを備え、第1の高分子材料の繰り返し単位と第2の高分子材料の繰り返し単位とが共通の骨格を含むものである。
本発明に係る有機電界発光素子の製造方法によれば、第1の高分子材料を第1の有機溶媒に溶解させることにより第1の高分子材料の溶液が作製され、第2の高分子材料を第2の有機溶媒に溶解させることにより第2の高分子材料の溶液が作製される。第1の高分子材料の溶液を用いて第1の有機層が形成され、第1の有機層上に第2の高分子材料の溶液を用いて第2の有機層が形成される。
この場合、第1の高分子材料の繰り返し単位と第2の高分子材料の繰り返し単位とが共通の骨格を含むことにより、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料と第2の高分子材料との化学的親和性が増加し、パッキングが容易になる。
また、第1の高分子材料と第2の高分子材料との共通の骨格部分は類似した電子的構造を有すると考えられるので、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料および第2の高分子材料の共通の骨格同士が近接した部分ではキャリアの注入障壁が小さくなり、第1の有機層と第2の有機層との間でのキャリアの移動が円滑となる。それにより、発光効率および発光寿命が向上する。
第2の高分子材料は、第1の高分子材料の分子量よりも小さい分子量を有することが好ましい。
この場合、第2の高分子材料の分子量が第1の高分子材料の分子量よりも小さいので、第1の有機層中の第1の高分子材料が第2の高分子材料の溶液中に溶出することが防止される。それにより、第2の有機層の形成時における第1の有機層への影響が低減される。その結果、より高い発光効率を有する有機電界発光素子が実現される。
第1の有機溶媒の比誘電率は、第2の有機溶媒の比誘電率よりも大きいことが好ましい。
この場合、第2の有機層の形成時に第1の有機層が溶解することを抑制することができる。
第1の有機溶媒の比誘電率と第2の有機溶媒の比誘電率とが2以上の差を有することが好ましい。
この場合、第2の有機層の形成時に第1の有機層が溶解することをより抑制することができる。
第1の高分子材料は、複数種類の高分子材料を含んでもよい。この場合、複数種類の高分子材料を選択することにより、発光層における発光色を調整することができるとともに、発光効率および信頼性を向上させることができる。
第2の高分子材料は、複数種類の高分子材料を含んでもよい。この場合、複数種類の高分子材料を選択することにより、発光効率および信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、第1の高分子材料の繰り返し単位と第2の高分子材料の繰り返し単位とが共通の骨格を含むことにより、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料と第2の高分子材料との化学的親和性が増加し、パッキングが良好になる。また、第1の高分子材料と第2の高分子材料との共通の骨格部分は類似した電子的構造を有すると考えられるので、第1の有機層と第2の有機層との界面における第1の高分子材料および第2の高分子材料の共通の骨格同士が近接した部分ではキャリアの注入障壁が小さくなり、第1の有機層と第2の有機層との間でのキャリアでの移動が円滑となる。それにより、発光効率および発光寿命が向上する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る有機電界発光素子の模式的断面図である。なお、以下の説明において、分子量は、一般に用いられる重量平均で表される。
図1の有機電界発光素子は、基板1上に、陽極(ホール注入電極)2、正孔注入層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6および陰極(電子注入電極)7が順に形成された積層構造を有する。
基板1は、ガラスまたはプラスチック等からなる透明基板である。陽極2は、ITO(インジウム錫酸化物)等の金属化合物、銀等の金属または合金からなる透明電極または半透明電極である。
正孔注入層3は、例えば、水溶性の導電性高分子材料からなる。発光層4は、有機溶媒に可溶な発光性の高分子材料からなる。電子輸送層5は、有機溶媒に可溶な電子輸送性の高分子材料からなる。
電子注入層6は、例えばカルシウム等からなる。陰極7は、例えばアルミニウム等の金属または合金からなる。
発光層4を構成する高分子材料としては、電子輸送層5を構成する高分子材料の分子量よりも大きい分子量を有する高分子材料を選択する。また、電子輸送層5を構成する高分子材料としては、発光層4を構成する高分子材料の分子量よりも小さい分子量を有する高分子材料を選択する。
この場合、電子輸送層5を構成する高分子材料の分子量に対する発光層4を構成する高分子材料の分子量の比が3.5以上であることが好ましい。それにより、電子輸送層5の形成時に生じる下地の発光層4の溶解が低減される。その結果、発光効率が向上する。
また、電子輸送層5を構成する高分子材料の分子量に対する発光層4を構成する高分子材料の分子量の比が6.2以上であることがより好ましい。それにより、電子輸送層5の形成時に生じる下地の発光層4の溶解がさらに低減される。その結果、発光効率がさらに向上する。
また、発光層4を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒としては、電子輸送層5を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒よりも比誘電率が大きい有機溶媒を選択する。また、電子輸送層5を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒としては、発光層4を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒よりも比誘電率が小さい有機溶媒を選択する。それにより、電子輸送層5の形成時に下地の発光層4が溶解することが抑制される。
発光層4を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒の比誘電率と電子輸送層5を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒の比誘電率との差が0.2以上であることが好ましい。さらには2以上の差があることが好ましい。それにより、電子輸送層5の形成時に下地の発光層4が溶解することが十分に防止される。
発光層4は、2種類以上の高分子材料を含むことが好ましい。この場合、発光色を調整することができるとともに、発光効率および信頼性を向上させることができる。また、電子輸送層5は、2種類以上の高分子材料を含むことが好ましい。それにより、発光効率および信頼性を向上させることができる。
さらに、電子輸送層5は、正孔阻止性を有する高分子材料を含むことが好ましい。それにより、陽極2側から発光層4に注入された正孔が発光層4を通り抜けることが阻止される。その結果、発光層4において電子および正孔が効率よく再結合することができ、発光効率がさらに向上する。
また、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれることが好ましい。それにより、発光効率がさらに向上する。
発光層4を構成する発光性の高分子材料および電子輸送層5を構成する高分子材料の例については後述する。
電子輸送層5を構成する高分子材料に低分子材料を添加してもよい。電子輸送層5を構成する高分子材料に添加する低分子材料の例については後述する。また、電子輸送層5を構成する材料として低分子材料を用いてもよい。
図2は本発明の第2の実施の形態に係る有機電界発光素子の模式的断面図である。なお、以下の説明において、分子量は、一般に用いられる重量平均で表される。
図2の有機電界発光素子が図1の有機電界発光素子と異なるのは、電子輸送層5が設けられず、正孔注入層3と発光層4との間に正孔輸送層8が設けられている点である。
正孔輸送層8は、有機溶媒に可溶な電子輸送性の高分子材料からなる。発光層4は、有機溶媒に可溶な発光性の高分子材料からなる。
正孔輸送層8を構成する高分子材料としては、発光層4を構成する高分子材料の分子量よりも大きい分子量を有する高分子材料を選択する。また、発光層4を構成する高分子材料としては、正孔輸送層8を構成する高分子材料の分子量よりも小さい分子量を有する高分子材料を選択する。
それにより、発光層4の形成時に生じる下地の正孔輸送層8の溶解が低減される。その結果、発光効率が向上する。
また、正孔輸送層8を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒としては、発光層4を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒よりも比誘電率が大きい有機溶媒を選択する。また、発光層4を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒としては、正孔輸送層8を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒よりも比誘電率が小さい有機溶媒を選択する。それにより、発光層4の形成時に下地の正孔輸送層8が溶解することが抑制される。
正孔輸送層8を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒の比誘電率と発光層4を構成する高分子材料を溶解させる有機溶媒の比誘電率との差が0.2以上であることが好ましい。さらには2以上の差があることが好ましい。それにより、発光層4の形成時に下地の正孔輸送層8が溶解することが十分に防止される。
発光層4は、2種類以上の高分子材料を含むことが好ましい。この場合、発光色を調整することができるとともに、発光効率および信頼性を向上させることができる。また、正孔輸送層8は、2種類以上の高分子材料を含むことが好ましい。それにより、発光効率および信頼性を向上させることができる。
さらに、正孔輸送層8は、電子阻止性を有する高分子材料を含むことが好ましい。それにより、陰極7側から発光層4に注入された電子が発光層4を通り抜けることが阻止される。その結果、発光層4において電子および正孔が効率よく再結合することができ、発光効率がさらに向上する。
また、正孔輸送層8を構成する高分子材料の繰り返し単位と発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれることが好ましい。それにより、発光効率がさらに向上する。
正孔輸送層8を構成する高分子材料の例については後述する。正孔輸送層8を構成する高分子材料に低分子材料を添加してもよい。正孔輸送層8を構成する高分子材料に添加する低分子材料の例については後述する。また、正孔輸送層8を構成する材料として低分子材料を用いてもよい。
図3は本発明の第3の実施の形態に係る有機電界発光素子の模式的断面図である。
図3の有機電界発光素子が図2の有機電界発光素子と異なるのは、電子注入層6および陰極(電子注入電極)7の代わり電子注入層6aおよび陰極(電子注入電極)7aが設けられ、陰極7a上に保護層9がさらに設けられている点である。
電子注入層6aは、フッ化リチウム等のアルカリ金属を含有する化合物からなる。また、陰極7aは、例えばカルシウム等からなる。保護層9は、例えばアルミニウム等の金属または合金からなる。
本実施の形態に係る有機電界発光素子においては、電子注入層6aがアルカリ金属を含有するので、電子注入性が向上する。それにより、高い発光効率が得られる。
なお、本発明に係る有機電界発光素子の構成は、図1〜図3に示される構成に限定されず、種々の構成を用いることができる。例えば、キャリア輸送層として電子輸送層5および正孔輸送層8の両方を設けてもよい。
(発光層4の材料)
<MEH−PPV>
発光層4を構成する高分子材料としては、下記式(A1)で示される分子構造を有するポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](Poly[2-methoxy-5-(2-ethylhexyloxy)-1,4-phenylene-vinylene])(以下、MEH−PPVと呼ぶ)を用いることができる。MEH−PPVの分子量は750,000である。
Figure 0004688424
<PF8−PAV>
発光層4を構成する高分子材料としては、下記式(A2)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(9,10-ジビニレン−アントラセン)](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-(9,10-divinylene-anthracene)])(以下、PF8−PAVと呼ぶ)を用いることができる。PF8−PAVの分子量は75,000である。
Figure 0004688424
<PF8−MEHPPV>
発光層4を構成する高分子材料としては、下記式(A3)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-ジビニレン−フェニレン}](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-{2-methoxy-5-(2-ethylhexyloxy)-1,4-divinylene-phenylene}])(以下、PF8−MEHPPVと呼ぶ)を用いることができる。PF8−MEHPPVの分子量は86,000である。
Figure 0004688424
<PF8−CNMEHPPV>
発光層4を構成する高分子材料としては、下記式(A4)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-ビス(1-シアノビニレン)フェニレン}](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-{2-methoxy-5-(2-ethylhexyloxy)-1,4-bis(1-cyanovinylene)phenylene}])(以下、PF8−CNMEHPPVと呼ぶ)を用いることができる。PF8−CNMEHPPVの分子量は59,000である。
Figure 0004688424
<PF6−CVAP>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A5)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{2,5-ビス(N,N'-ジフェニルアミノ)-1,4-ビス(1-シアノビニレン)フェニレン}](Poly[(9,9-dihexylfluorene-2,7-diyl)-alt-{2,5-bis(N,N'-diphenylamino)-1,4-bis(1-cyanovinylene)phenylene}])(以下、PF6−CVAPと呼ぶ)を用いることができる。PF6−CVAPの分子量は57,000である。
Figure 0004688424
<Cz−CNMEHPPV>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A6)で示される分子構造を有するポリ[(9-エチルカルバゾール-3,6-ジイル)-alt-{2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-ビス(1-シアノビニレン)フェニレン}](Poly[(9-ethylcarbazole-3,6-diyl)-alt-{2-methoxy-5-(2-ethylhexyloxy)-1,4-bis(1-cyanovinylene)phenylene}])(以下、Cz−CNMEHPPVと呼ぶ)を用いることができる。Cz−CNMEHPPVの分子量は11,000である。
Figure 0004688424
<BDPAP−CNMEHPPV>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A7)で示される分子構造を有するポリ[{2,5-ビス(N,N’-ジフェニルアミノ)ベンゾ-1,4-ジイル}-alt-{2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-ビス(1-シアノビニレン)フェニレン}](Poly[{2,5-bis(N,N’-diphenylamino)benz-1,4-diyl}-alt-{2-methoxy-5-(2-ethylhexyloxy)-1,4-bis(1-cyanovinylene)phenylene}])(以下、BDPAP−CNMEHPPVと呼ぶ)を用いることができる。BDPAP−CNMEHPPVの分子量は30,000である。
Figure 0004688424
<CN−PPP>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A8)で示される分子構造を有するポリ[2-(6-シアノ-6-メチルヘプチルオキシ)-1,4-フェニレン](Poly[2-(6-cyano-6-methylheptyloxy)-1,4-phenylene])(以下、CN−PPPと呼ぶ)を用いることができる。CN−PPPの分子量は5,000である。
Figure 0004688424
<PF8−DMOP>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A9)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{1,4-(2,5-ジメトキシ)フェニレン}](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-{1,4-(2,5-dimethoxy)phenylene}])(以下、PF8−DMOPと呼ぶ)を用いることができる。PF8−DMOPの分子量は160,000である。
Figure 0004688424
<PF8−DSB>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A10)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{1,4-ジスチリル-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-メトキシベンゼン}](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-{1,4-distyryl-5-(2-ethylhexyloxy)-2-methoxybenzene}])(以下、PF8−DSBと呼ぶ)を用いることができる。PF8−DSBの分子量は56,000である。
Figure 0004688424
<PF6−CNVinyl>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A11)で示される分子構造を有するポリ(9,9-ジヘキシルフルオレニレン-シアノビニレン)(Poly(9,9-dihexylfluorenylene-cyanovinylene))(以下、PF6−CNVinylと呼ぶ)を用いることができる。PF6−CNVinylの分子量は420,000である。
Figure 0004688424
<PF8−PPV>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A12)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(1,4-ジビニレン-フェニレン)](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-(1,4-divinylene-phenylene)])(以下、PF8−PPVと呼ぶ)を用いることができる。PF8−PPVの分子量は20,000である。
Figure 0004688424
<PF8>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A13)で示される分子構造を有するポリ(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)(Poly(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl))(以下、PF8と呼ぶ)を用いることができる。PF8の分子量は140,000である。
Figure 0004688424
<PF6>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A14)で示される分子構造を有するポリ(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)(Poly(9,9-dihexylfluorene-2,7-diyl))(以下、PF6と呼ぶ)を用いることができる。PF6の分子量は300,000である。
Figure 0004688424
<PF6−TPDAB>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A15)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt−{N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-1,4-ジアミノベンゼン}](Poly[(9,9-dihexylfluorene-2,7-diyl)-alt-{N,N’-bis(4-butylphenyl)-N,N’-diphenyl-1,4-diaminobenzene}])(以下、PF6−TPDABと呼ぶ)を用いることができる。PF6−TPDABの分子量は10,000である。
Figure 0004688424
<PF6−Ant>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A16)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(9,10-アントラセン-9,10-ジイル)](Poly[(9,9-dihexylfluoren-2,7-diyl)-alt-(9,10-anthracene-9,10-diyl)])(以下、PF6−Antと呼ぶ)を用いることができる。PF6−Antの分子量は65,000である。
Figure 0004688424
<PF6−Cz>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A17)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(9-エチルカルバゾール-3,6-ジイル)](Poly[(9,9-dihexylfluorene-2,7-diyl)-alt-(9-ethylcarbazole-3,6-diyl)])(以下、PF6−Czと呼ぶ)を用いることができる。PF6−Czの分子量は50,000である。
Figure 0004688424
<PF6−DAP>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A18)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-1,4-ジアミノベンゼン}](Poly[(9,9-dihexylfluorene-2,7-diyl)-alt-{N,N’-bis(4-buthylphenyl)-1,4-diaminobenzene}])(以下、PF6−DAPと呼ぶ)を用いることができる。PF6−DAPの分子量は40,000である。
Figure 0004688424
<Poly−TPD>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A19)で示される分子構造を有するポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン](Poly[N,N’-bis(4-buthylphenyl)-N,N’-diphenyl-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine])(以下、Poly−TPDと呼ぶ)を用いることができる。Poly−TPDの分子量は29,000である。
Figure 0004688424
<PF8−Bpy>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A20)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{(2,2’-ビピリジン)-6,6’-ジイル}](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-[(2,2’-bipyridine)-6,6’-diyl}])(以下、PF8−Bpyと呼ぶ)を用いることができる。PF8−Bpyの分子量は10,000である。
Figure 0004688424
<PF8−Cz>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A21)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(9-ブチルカルバゾール-3,6-ジイル)](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-(9-butylcarbazole-3,6-diyl)])(以下、PF8−Czと呼ぶ)を用いることができる。PF8−Czの分子量は32,000である。
Figure 0004688424
<PVCz>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A22)で示される分子構造を有するポリ(N-ビニルカルバゾール)(Poly(N-vinylcarbazole))(以下、PVCzと呼ぶ)を用いることができる。PVCzの分子量は1000,000である。
Figure 0004688424
<PF8−SB(10%)>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A23)で示される分子構造を有する[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル):(スチリルベンゼン-4,4’-ジイル)](90:10)共重合体(Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-co-(styrylbenzene)-4,4’-diyl])(以下、PF8−SB(10%)と呼ぶ)を用いることができる。PF8−SB(10%)の分子量は860,000である。
Figure 0004688424
<PF8−TPA>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A24)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(トリフェニルアミン-4,4’-ジイル)](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-(triphenylamine-4,4’-diyl)])(以下、PF8−TPAと呼ぶ)を用いることができる。PF8−TPAの分子量は50,000である。
Figure 0004688424
<PF8−TPD>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A25)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチクフルオレン-2,7-ジイル)-alt-{N,N’-ビス(4-tert-ブチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン}](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-{N,N’-bis(4-tert-butylphenyl)-N,N’-diphenyl-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine}])(以下、PF8−TPDと呼ぶ)を用いることができる。PF8−TPDの分子量は230,000である。
Figure 0004688424
<PF8−BT(10%)>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A26)で示される分子構造を有する[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル):(ベンゾチオゾール-4,7-ジイル)](90:10)共重合体(Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-co-(benzothiazole-4,7-diyl)])(以下、PF8−BT(10%)と呼ぶ)を用いることができる。PF8−BT(10%)の分子量は440,000である。
Figure 0004688424
<PF8−Py>
発光層4を構成する高分子材料として、下記式(A27)で示される分子構造を有するポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(ピリジン-2,6-ジイル)](Poly[(9,9-dioctylfluorene-2,7-diyl)-alt-(pyridine-2,6-diyl)])(以下、PF8−Pyと呼ぶ)を用いることができる。PF8−Pyの分子量は97,000である。
Figure 0004688424
発光層4を構成する高分子材料は、上記の例に限定されず、他の発光性の高分子材料を用いることもできる。ここで、発光層4を構成する高分子材料は、2種類以上の高分子材料の混合物でもよい。また、1種類または2種類以上の高分子材料に1種類または2種類以上の低分子材料を添加してもよい。
3種類以上の高分子材料を混合することにより白色発光を得ることも可能となる。
また、発光層4を構成する高分子材料として、電子受容性および電子供与性の両方を有するバイポーラ性の高分子材料を用いることにより、信頼性の向上を図ることができる。バイポーラ性の高分子材料として、例えば、PF6−CVAPを用いることができる。
また、発光層4にMEH−PPV等の単一の繰り返し単位を有する高分子材料を用いた場合、正孔の注入に対しては安定であるが、電子の注入により不安定になる。この場合、バイポーラ性のPF6−CVAPをMEH−PPVに混合することにより、発光層4の電子受容性を高め、結果的に有機電界発光素子の長寿命化を図ることができる。
図4は有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層における最低空分子軌道(LUMO)および最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギーレベルを示す模式図である。
図4において、電子は、陰極から電子注入層および電子輸送層を通して発光層に輸送される。また、正孔は、陽極から正孔注入層および正孔輸送層を通して発光層に輸送される。この場合、正孔輸送層のLUMOレベルが高いと、電子がブロックされる。また、電子輸送層のHOMOレベルが低いと、正孔がブロックされる。それにより、電子および正孔が発光層で結合しやすくなる。
HOMOとLUMOとのエネルギー差で示されるバンドギャップが異なる2つの発光性の高分子材料を混合して発光層に用いる場合、通常、バンドギャップが小さい発光性の高分子材料から発光が得られる。その際に、バンドギャップが小さい高分子材料が発光しない高分子材料からのエネルギー移動を受けることにより、より高い発光効率を得ることができる。
表1に上記の発光層4を構成する高分子材料の発光色、発光ピーク波長、吸収ピーク波長、HOMOレベル、バンドギャップ、LUMOレベルおよび分子量の一覧を示す。
Figure 0004688424
図5は発光層を構成する高分子材料のLUMOレベルおよびHOMOレベルを示す図である。
第1の実施の形態では、電子輸送層5の高分子材料を考慮して発光色、分子量、LUMOレベルおよびHOMOレベルに基づいて高分子材料を選択する。
また、第2および第3の実施の形態では、正孔輸送層8の材料を考慮して発光色、分子量、LUMOレベルおよびHOMOレベルに基づいて高分子材料を選択する。
(電子輸送層5の材料)
電子輸送層5を構成する材料としては、発光層4の高分子材料を考慮して上記の表1の高分子材料から選択することができる。この場合、電子輸送層5としては、発光層4よりもLUMOレベルが低い(LUMOレベルの絶対値が大きい)高分子材料を選択する。また、電子輸送層5のHOMOレベルが低い(HOMOレベルの絶対値が大きい)ほど正孔阻止の効果が大きくなる。
電子輸送層5としては、例えばPF8−DSB、MEH−PPV、PF8−MEHPPV、PF8、PF8−Py、PF6−Ant、PF6、PF6−CNVinyl等を用いることができる。
電子輸送層5を構成する高分子材料は、上記の例に限定されず、他の電子輸送性の高分子材料を用いることもできる。ここで、電子輸送層5を構成する高分子材料は、2種類以上の高分子材料の混合物でもよい。また、1種類または2種類以上の高分子材料に1種類または2種類以上の低分子材料を添加してもよい。
電子輸送層5を構成する高分子材料に添加する低分子材料(低分子電子輸送性材料)としては、次のものが挙げられる。
<ZnPBO>
低分子電子輸送性添加剤として、下記式(B1)で示される分子構造を有するジンク・ビス{2-(o-ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラート}(Zinc bis[2-(o-hydroxyphenyl)benzoxazolate])(以下、ZnPBOと呼ぶ)を用いることができる。ZnPBOの分子量は486である。
Figure 0004688424
<アントラセン>
低分子電子輸送性添加剤として、下記式(B2)で示される分子構造を有するアントラセン(Anthracene)を用いることができる。アントラセンの分子量は178である。
Figure 0004688424
<Alq3>
低分子電子輸送性添加剤として、下記式(B3)で示される分子構造を有するアルミニウム・トリス-(8-キノリノレート)(Aluminum tris-(8-quinolinolate)))(以下、Alq3 と呼ぶ)を用いることができる。Alq3 の分子量は459である。
Figure 0004688424
<ペリレン>
低分子電子輸送性添加剤として、下記式(B4)で示される分子構造を有するペリレン(Perylene)を用いることができる。ペリレンの分子量は252である。
Figure 0004688424
<OXD−7>
低分子電子輸送性添加剤として、下記式(B5)で示される分子構造を有する1,3-ビス[5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジゾール-2-イル]ベンゼン(1,3-bis[5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadizol-2-yl]benzen)(以下、OXD−7と呼ぶ)を用いることができる。OXD−7の分子量は478である。
Figure 0004688424
(正孔輸送層8の材料)
正孔輸送層8を構成する材料としては、発光層4の高分子材料を考慮して上記の表1の高分子材料から選択することができる。この場合、正孔輸送層8としては、発光層4よりもHOMOレベルが高い(HOMOレベルの絶対値が小さい)高分子材料を選択する。また、正孔輸送層8のLUMOレベルが高い(LUMOレベルの絶対値が小さい)ほど電子阻止の効果が大きくなる。
正孔輸送層8としては、例えばPF8−SB、PF8−BT、PVCz等を用いることができる。
正孔輸送層8を構成する高分子材料は、上記の例に限定されず、他の正孔輸送性の高分子材料を用いることもできる。ここで、正孔輸送層8を構成する高分子材料は、2種類以上の高分子材料の混合物でもよい。また、1種類または2種類以上の高分子材料に1種類または2種類以上の低分子材料を添加してもよい。
正孔輸送層8を構成する高分子材料に添加する低分子材料(低分子正孔輸送性材料)としては、次のものが挙げられる。
<TPD>
低分子正孔輸送性添加剤として、下記式(B6)で示される分子構造を有するN,N'-ビス-(3-メチルフェニル)-N,N'-ビス-(フェニル)-ベンジジン(N,N'-Bis-(3-methylphenyl)-N,N'-bis-(phenyl)-benzidine)(以下、TPDと呼ぶ)を用いることができる。TPDの分子量は570である。
Figure 0004688424
<NPB>
低分子正孔輸送性添加剤として、下記式(B7)で示される分子構造を有するN,N'-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(N,N'-Di(naphthalen-1-yl)-N,N'-diphenyl-benzidine)(以下、NPBと呼ぶ)を用いることができる。NPBの分子量は644である。
Figure 0004688424
上記の低分子材料を用いて電子輸送層5または正孔輸送層8を形成してもよい。上記の低分子材料を用いた電子輸送層5または正孔輸送層8の形成方法としては、一般的な真空蒸着法の他に、この低分子材料を有機溶媒に溶解させ、スピンコート法等の湿式法で成膜する方法を用いてもよい。特に、本実施の形態では、湿式法を用いることが好ましい。
発光層およびキャリア輸送層に用いることができる高分子材料としては、単一のモノマーから合成された高分子材料の他に、複数のモノマーから合成された共重合体が挙げられる。
表1には主として2種類のモノマーからなる1対1の共重合体の例を示したが、これに限らず、異なるモノマーを用いた共重合体、1対1以外のモノマー構成比を有する共重合体、または3種類以上のモノマーからなる共重合体を使用することも可能である。
共重合体の設計指針としては、べ一スとなる高分子骨格に、類似の形状を有するモノマーを適当な配合比で結合させたり、キャリア輸送性(電子輸送性または正孔輸送性)を補助するモノマーを適当な配合比で結合させたり、発光性の高いモノマーを適当な配合比で結合させたり、またはキャリア輸送性および発光性の両方を有するモノマーを適当な配合比で結合させることにより、高分子材料の性能を向上させる方法が用いられる。
キャリア輸送性モノマーでは、配合比が1モル%から70モル%の範囲、特に3モル%から50モル%の範囲にある場合に高い性能向上の効果が得られる。
また、発光性モノマーでは、配合比が0.2モル%から50モル%の範囲、特に0.5モル%から30モル%の範囲にある場合に高い性能向上の効果が得られる。
発光性またはキャリア輸送性を発現するモノマーとしては、パイ電子を有するアリール基、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フェナントレン、スチリルベンゼン、ジスチリルベンゼン、フルオレン、ビフェニル等の芳香族炭化水素化合物またはこれらに種々の置換基が付加された化合物、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ポルフィリン、オキサゾール、ベンズオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、ベンズチアゾール、ベンズチジアゾール、ピラゾリン、トリアゾール、シロキサン、カルバゾール、ピリジン、フェニルピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、キノリン、キナゾリン、キナクリドン、チアジン、ベンゾフラン、クマリン、クロメン、ベンゾフラン、キサンテン、チオキサンテン、アクリジン、チオニン、フェナジン、フェノキサジン、フェナントロリン等のヘテロ環化合物またはこれらに種々の置換基が付加された化合物、フェニルアミン、ナフチルアミン、トリフェニルアミン、アゾベンゼン等の窒素含有化合物またはこれらに種々の置換基が付加された化合物、フェニルシラン等のシリコン含有化合物等を用いることができる。
高分子材料の分子量は、材料合成の際の反応条件(反応温度、反応時間、モノマー配合比、触媒濃度、原料濃度、反応溶媒等)を調整することにより制御することが可能である。また、精製条件(分液、カラムクロマトグラフィー、再沈殿等)を調整することにより不純物、触媒、未反応モノマー、低分子量成分等の不要物を取り除くことができるので、一定の分子量を有する高分子材料を得ることができる。
ここで、発光層4の形成に使用される有機溶媒は二種類以上の有機溶媒からなる混合溶媒でもよい。
発光層4の形成に使用される有機溶媒としては、例えば、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、トルエン、o−ジクロロベンゼン、2,2−ジメチルブタン、2,4−ジメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2−メチルブタン、2,2、5−トリメチルヘキサン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−ペンテン、2,2,3−トリメチルペンタン、2−メチルペンタン、n−ペンタン、trans−2−ペンテン、1−ヘキセン、cis−2−ペンテン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタン、1−へプテン、ヘキサン、n−オクタン、1−オクテン、ヘプタン、n−ノナン、1−ノネン、n−デカン、1−クロロペンタン、1−デセン、2−クロロブタン、ベンゾトリフルオリド、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、2−クロロプロパン、メシチレン、1−クロロブタン、エチルシクロヘキサン、p−キシレン、m−キシレン、2−ブロモプロパン、シクロヘキセン、シクロペンタン、1−クロロプロパン、シクロヘキサン、2,3−ジメチルブタン、o−キシレン、テトラクロロメタン、ヘキサフルオロベンゼン、ペンタクロロエタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1,1−ジクロロエチレン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1−ブロモプロパン、クメン、p−クロロトルエン、ジエチルスルファイド、o−クロロトルエン、p−ジクロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、m−ジクロロベンゼン、p−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、エチルベンゼン、トリクロロエチレン、3−クロロプロペン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモエタン、トルエン、クロロベンゼン、トリクロロメタン、フルオロベンゼン、1,2−ジクロロエチレン(trans)、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1.2−ジクロロプロパン、ベンゼン、1,2,3−トリクロロプロパン、スチレン、イソブチロニトリル、1,2−ジクロロエチレン(cis)、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサクロロエチレン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロメタン、バレロニトリル、チオフェン、カーボンジスルァイド、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、2−ニトロプロパン、1−ニトロプロパン、ベンゾニトリル、ニトロエタン等炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化炭化水素、ニトリル類等から選択された1種または2種以上の混合溶媒を用いることができる。
キャリア輸送層の形成に使用される有機溶媒は二種類以上の有機溶媒からなる混合溶媒でもよい。
キャリア輸送層(電子輸送層5または正孔輸送層8)の形成に使用される有機溶媒としは、例えば、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、トルエン、o−ジクロロベンゼン、2,2−ジメチルブタン、2,4−ジメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2−メチルブタン、2,2、5−トリメチルヘキサン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1−ペンテン、2,2,3−トリメチルペンタン、2−メチルペンタン、n−ペンタン、trans−2−ペンテン、1−ヘキセン、cis−2−ペンテン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタン、1−へプテン、ヘキサン、n−オクタン、1−オクテン、ヘプタン、n−ノナン、1−ノネン、n−デカン、1−クロロペンタン、1−デセン、2−クロロブタン、ベンゾトリフルオリド、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、2−クロロプロパン、メシチレン、1−クロロブタン、エチルシクロヘキサン、p−キシレン、m−キシレン、2−ブロモプロパン、シクロヘキセン、シクロペンタン、1−クロロプロパン、シクロヘキサン、2,3−ジメチルブタン、o−キシレン、テトラクロロメタン、ヘキサフルオロベンゼン、ペンタクロロエタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1,1−ジクロロエチレン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1−ブロモプロパン、クメン、p−クロロトルエン、ジエチルスルファイド、o−クロロトルエン、p−ジクロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、m−ジクロロベンゼン、p−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、エチルベンゼン、トリクロロエチレン、3−クロロプロペン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモエタン、トルエン、クロロベンゼン、トリクロロメタン、フルオロベンゼン、1,2−ジクロロエチレン(trans)、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1.2−ジクロロプロパン、ベンゼン、1,2,3−トリクロロプロパン、スチレン、イソブチロニトリル、1,2−ジクロロエチレン(cis)、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサクロロエチレン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロメタン、バレロニトリル、チオフェン、カーボンジスルァイド、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、2−ニトロプロパン、1−ニトロプロパン、ベンゾニトリル、ニトロエタン等、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化炭化水素、ニトリル類等から選択された1種または2種以上の混合溶媒を用いることができる。
また、発光層4を構成する高分子材料を選択することにより、発光層4からの発光色を調整することができる。
発光層4を異なる発光色を発生する2層の発光層により形成してもよい。例えば、2層の発光層のうち一方に橙色〜赤色発光を得ることが可能な高分子材料を用い、他方に青色発光を得ることが可能な高分子材料を用いることにより、白色発光を得ることができる。この場合、白色発光を得ることが可能な有機電界発光素子に赤色、緑色および青色のフィルタを組み合わせることにより光の3原色の表示(RGB表示)が可能となり、フルカラー表示が実現する。
また、緑色発光する発光層を備えた有機電界発光素子、橙色または赤色発光する発光層を備えた有機電界発光素子および青色発光する発光層を備えた有機電界発光素子を組み合わせて用いてもよい。この場合、橙色または赤色発光する有機電界発光素子を赤色に発光する画素(R画素)として用い、緑色発光する有機電界発光素子を緑色に発光する画素(G画素)として用い、青色発光する有機電界発光素子を青色に発光する画素(B画素)として用いることにより、光の3原色の表示(RGB表示)が可能となり、フルカラー表示が実現する。
以下の実施例では、上記実施の形態に係る有機電界発光素子を作製し、発光特性および発光寿命を評価した。
(実施例1)
実施例1では、図1に示した三層構造を有する有機電界発光素子を次の方法により作製した。発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位および電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位には同一の骨格(ポリフルオレン骨格)が含まれる。
実施例1の有機電界発光素子の製造方法について説明する。ITOからなる陽極2を備えた基板1を用いた。まず、陽極2上に、下記式(C1)で示される分子構造を有するポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホナート)(Poly(ethylenedioxythiophene):Poly(styrenesulphonate))(以下、PEDOT:PSSと呼ぶ)をスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
Figure 0004688424
次に、正孔注入層3上に、PF6−CVAPをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより発光層4を形成した。この際、発光層4を構成する高分子材料はo−ジクロロベンゼン溶液(比誘電率6.828)として用いた。
続いて、発光層4上に、PF6−Antをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成することにより、正孔阻止層を兼ねる電子輸送層5を形成した。この際、PF6−Antはトルエン溶液として用いた。電子輸送層5は、発光層4の高分子膜を損傷することなく形成された。
電子輸送層5上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(比較例1)
比較例1では、図1に示した三層構造を有する有機電界発光素子を次の方法により作製した。発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位および電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位には同一の骨格が含まれない。
実施例1と同様に、ITOからなる陽極2を備えた基板1を用いた。まず、実施例1と同様に、陽極2上に、PEDOT:PSSをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
次に、正孔注入層3上に、MEH−CVAPをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより発光層4を形成した。この際、発光層4を構成する高分子材料はo−ジクロロベンゼン溶液として用いた。
続いて、発光層4上に、PF6−Antをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成することにより、正孔阻止層を兼ねる電子輸送層5を形成した。この際、PF6−Antは、トルエン溶液として用いた。電子輸送層5は、発光層4の高分子膜を損傷することなく形成された。
電子輸送層5上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(評価1)
実施例1および比較例1の有機電界発光素子の発光効率を測定した。実施例1および比較例1の有機電界発光素子における発光層4および電子注入層5の材料および発光効率の測定結果を表2に示す。
Figure 0004688424
表2に示すように、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれる実施例1の有機電界発光素子は、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれない比較例1の有機電界発光素子よりも高い発光効率を有することがわかった。
(実施例2)
実施例2では、図1に示した三層構造を有する有機電界発光素子を次の方法により作製した。発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位および電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位には同一の骨格(フェニレンビニレン骨格)が含まれる。
実施例1と同様に、ITOからなる陽極2を備えた基板1を用いた。まず、実施例1と同様に、陽極2上に、PEDOT:PSSをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
次に、正孔注入層3上に、MEH−PPVをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより発光層4を形成した。この際、MEH−PPVはo−ジクロロベンゼン(比誘電率6.828)溶液として用いた。
続いて、発光層4上に、PF8−DSBをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成することにより、正孔阻止層を兼ねる電子輸送層5を形成した。この際、PF8−DSBは、トルエン(比誘電率2.283)溶液として用いた。電子輸送層5は、発光層4の高分子膜を損傷することなく形成された。
電子輸送層5上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(実施例3)
実施例3では、図1に示した三層構造を有する有機電界発光素子を次の方法より作製した。発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位および電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位には同一の骨格(ポリフルオレン骨格およびフェニレンビニレン骨格)が含まれる。
実施例1と同様に、ITOからなる陽極2を備えたガラス基板1を用いた。まず、実施例1と同様に、陽極2上に、PEDOT:PSSをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
次に、正孔注入層3上に、PF6−CVAPをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより発光層4を形成した。この際、PF6−CVAPはo−ジクロロベンゼン溶液として用いた。
続いて、発光層4上に、PF8−DSBを40nmの膜厚を有するようにスピンコート法により形成することにより、正孔阻止層を兼ねる電子輸送層5を形成した。この際、PF8−DSBはトルエン溶液として用いた。電子輸送層5は、発光層4の高分子膜を損傷することなく形成された。
電子輸送層5上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(比較例2)
比較例2では、図1に示した三層構造を有する有機電界発光素子を次の方法により作製した。
実施例1と同様に、ITOからなる陽極2を備えた基板1を用いた。まず、実施例1と同様に、陽極2上に、PEDOT:PSSをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
次に、正孔注入層3上に、BDPAP−CNMEHPPVをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより発光層4を形成した。この際、発光層4を構成する高分子はo−ジクロロベンゼン溶液として用いた。
続いて、発光層4上に、PF8−DSBを40nmの膜厚を有するようにスピンコート法により形成することにより、正孔阻止層を兼ねる電子輸送層5を形成した。この際、PF8−DSBはトルエン溶液として用いた。電子輸送層5は、発光層4の高分子膜を損傷することなく形成された。
正孔阻止層を兼ねる電子輸送層5上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(評価2)
実施例2,3および比較例2の有機電界発光素子の発光効率を測定した。実施例2,3および比較例2の有機電界発光素子における発光層4および電子輸送層5の材料および発光効率の測定結果を表3に示す。
Figure 0004688424
表3に示すように、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれる実施例2,3の有機電界発光素子は、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれない比較例2の有機電界発光素子よりも高い発光効率を有することがわかった。
また、発光層4の材料の分子量が電子輸送層5の材料の分子量よりも大きい実施例2,3の有機電界発光素子は、発光層4の材料の分子量が電子輸送層5の材料の分子量よりも小さい比較例2の有機電界発光素子よりも高い発光効率が得られることがわかった。
さらに、電子輸送層5を構成する材料が電子輸送性に加えて発光層4に対する正孔阻止性を有する実施例2の有機電界発光素子は、電子輸送層5を構成する材料が発光層4に対する正孔阻止性を有さない実施例3および比較例2の有機電界発光素子よりも高い発光効率を有することがわかった。
(実施例4)
実施例4では、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位および電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位には同一の骨格(フルオレン骨格)が含まれる。
実施例1と同様に、ITOからなる陽極2を備えた基板1を用いた。まず、実施例1と同様に、陽極2上に、PEDOT:PSSをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
次に、正孔注入層3上に、PVCzにPF8−TPAを50wt%添加したものをスピンコート法により25nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより電子阻止層を兼ねる正孔輸送層8を形成した。この際、PVCzはo−ジクロロベンゼン(比誘電率6.828)溶液として用いた。
次に、正孔輸送層8上に、PF8−BT10%をスピンコート法により70nmの膜厚を有するように形成することにより発光層4を形成した。この際、PF8−SB10%はキシレン(比誘電率2.274〜2.562)溶液として用いた。発光層4は、正孔輸送層8の高分子膜を損傷することなく形成された。
続いて、発光層4上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(比較例3)
比較例3では、図2に示した三層構造を有する有機電界発光素子を次の方法により作製した。
実施例1と同様に、ITOからなる陽極2を備えた基板1を用いた。まず、実施例1と同様に、陽極2上に、PEDOT:PSSをスピンコート法により40nmの膜厚を有するように形成し、180℃で10分間大気中においてベークすることにより正孔注入層3を形成した。
次に、正孔注入層3上に、PVCzをスピンコート法により25nmの膜厚を有するように形成し、窒素雰囲気中において80℃で5分間ベークすることにより電子阻止層を兼ねる正孔輸送層8を形成した。この際、PVCzはo−ジクロロベンゼン(比誘電率6.828)溶液として用いた。
次に、正孔輸送層8上に、PF8−SB10%をスピンコート法により70nmの膜厚を有するように形成することにより発光層4を形成した。この際、PF8−SB10%はキシレン(比誘電率2.274〜2.562)溶液として用いた。発光層4は、正孔輸送層8の高分子膜を損傷することなく形成された。
続いて、発光層4上に、膜厚6nmのカルシウムからなる電子注入層6および膜厚200nmのアルミニウムからなる陰極7を真空蒸着法により形成した。
(評価3)
実施例4および比較例3の有機電界発光素子の発光効率を測定した。実施例4および比較例3の有機電界発光素子における正孔輸送層8および発光層4の材料および発光効率の測定結果を表4に示す。
Figure 0004688424
表4に示すように、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれる実施例4の有機電界発光素子は、発光層4を構成する高分子材料の繰り返し単位と電子輸送層5を構成する高分子材料の繰り返し単位とに同一の骨格が含まれない比較例3の有機電界発光素子よりも高い発光効率を有することがわかった。
また、下層である正孔輸送層8を構成する材料の分子量が上層である発光層4の材料の分子量よりも大きいことにより、高い発光効率が得られることがわかった。
また、正孔輸送層8が2種類の材料から構成される実施例4の有機電界発光素子は、正孔輸送層8が1種類の高分子材料から構成される実施例3の有機電界発光素子よりも高い発光効率を有することがわかった。
特に、正孔輸送層8の材料としてPVCzにPF8−TPAを50wt%添加したものを用いた有機電界発光素子にあっては、正孔輸送層8の材料としてPVCzを用いた有機電界発光素子よりも発光効率が大幅に向上することがわかった。
本発明に係る有機電界発光素子は、種々の表示装置、種々の光源等に利用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る有機電界発光素子の模式的断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る有機電界発光素子の模式的断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る有機電界発光素子の模式的断面図である。 有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層における最低空分子軌道(LUMO)および最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギーレベルを示す模式図である。 発光層を構成する高分子材料のLUMOレベルおよびHOMOレベルを示す図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 発光層
5 電子輸送層
6,6a 電子注入層
7,7a 陰極
8 正孔輸送層
9 保護層

Claims (7)

  1. 第1の電極と第2の電極との間に、第1の高分子材料により形成される第1の有機層および第2の高分子材料により形成される第2の有機層を備え、
    前記第1および第2の高分子材料は、複数種類のモノマーから合成された共重合体からなり、前記第1の高分子材料の繰り返し単位と前記第2の高分子材料の繰り返し単位とは共通の骨格を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記第1の高分子材料が発光性を有し、前記第2の高分子材料がキャリア輸送性を有することを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
  3. 前記第1の高分子材料がキャリア輸送性を有し、前記第2の高分子材料が発光性を有することを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
  4. 基板上に、前記第1の電極、前記第1の有機層、前記第2の有機層および前記第2の電極を順に備え、
    前記第2の高分子材料の分子量が前記第1の高分子材料の分子量よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  5. 第1の電極と第2の電極との間に第1の有機層と第2の有機層とを備えた有機電界発光素子の製造方法であって、
    第1の高分子材料を第1の有機溶媒に溶解させることにより第1の高分子材料の溶液を作製する工程と、
    第2の高分子材料を第2の有機溶媒に溶解させることにより第2の高分子材料の溶液を作製する工程と、
    前記第1の高分子材料の溶液を用いて第1の有機層を形成する工程と、
    前記第1の有機層上に前記第2の高分子材料の溶液を用いて第2の有機層を形成する工程とを備え、
    前記第1および第2の高分子材料は、複数種類のモノマーから合成された共重合体からなり、 前記第1の高分子材料の繰り返し単位と前記第2の高分子材料の繰り返し単位とが共通の骨格を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  6. 前記第2の高分子材料は、前記第1の高分子材料の分子量よりも小さい分子量を有することを特徴とする請求項5記載の有機電界発光素子の製造方法。
  7. 前記第1の有機溶媒の比誘電率は、前記第2の有機溶媒の比誘電率よりも大きいことを特徴とする請求項5または6記載の有機電界発光素子の製造方法。
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