JP4688340B2 - 超音波プローブユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波プローブユニットに関し、特にステントを留置する患部を超音波測定するプローブユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管をはじめとする生体内の管腔組織における超音波診断を行う際には、軸状形状を有する管腔内挿入型のプローブ(以下、軸状プローブという)が利用されている。この軸状プローブは、カテーテル状のプローブシースの内部にトルクワイヤが回転自在に設けられ、そのトルクワイヤの先端に超音波振動子が設けられた構成を有している。このトルクワイヤは軸周りに回転駆動され、それに伴って超音波振動子も回転する。また、この超音波振動子は、軸状プローブの軸径方向に超音波を送波して超音波ビームを形成する。これにより、軸状プローブは、ラジアルスキャンを行う。また、超音波振動子は、各ビーム方向からの超音波エコーを受波する。この超音波エコーから2次元ラジアルスキャン画像が形成される。なお、上述のスキャンを行いながら、軸状プローブをその長手方向に移動させることによって、超音波振動子は3次元超音波エコー空間を形成し、それに基づいて3次元ラジアルスキャン画像を形成することができる。
【0003】
したがって、この軸状プローブを患者の管腔内に挿入し、管腔内の患部において軸状プローブを上述のようにラジアルスキャンを行うと共に、管腔の長手方向に沿って軸状プローブを移動させることで、管腔の長手方向に広がる患部の超音波画像を得ることができる。
【0004】
一方、患者の体内における血管などの管腔内に狭窄が生じた際には、その狭窄を起こした患部を押し広げ、その押し広げ状態を維持させるために、管状形状を有するステントをその患部に留置させる処置が施される場合がある。ステントは管状形状を有し、その径方向に拡張可能な構造を有している。このステントは、管腔内へ挿入される際には径方向に縮小されており、患部の位置において拡張される。これによって患部が押し広げられ、狭窄状態を解消することができる。ステントは患部に留置され、これによって患部は押し広げられた状態が維持される。
【0005】
ステントは、径方向への拡張状態を形成する上で、大別して2種類に分けることができる。その一方は自力拡張するものであり、他方は自力では拡張しないものである。
【0006】
自力拡張するタイプのステントは、留置するにあたって、以下のデリバリーユニットが利用される。このデリバリーユニットは、カテーテル状のステントシースが細長い形状を有する軸状部材に対して摺動自在に同軸外方に配置された構成となっている。ステントは留置前において、このステントシースと軸状部材との間に収納されている。このステントを患部に留置する場合には、先ず、このデリバリーユニットを管腔内に挿入し、X線透視下において患部まで移動させる。次に、患部においてステントシースを軸状部材に対して引き抜いて、ステントをステントシースから露出させていく。完全に露出させることでステントは解放される。これにより、ステントが自力拡張して狭窄を起こしている患部が押し広げられる。その後、デリバリーユニットを管腔内から引き抜く。
【0007】
なお、自力拡張するタイプのステントを患部に留置するにあたって、上述の他に例えば、軸状部材と糸とからなるデリバリーユニットを用いる方法がある。この方法においては、ステント留置前において、ステントは軸状部材に対して同軸外方に配置されている。ステントには、その上から糸がきつく巻き付けられており、これによってステントは軸状部材に圧縮締着されている。この糸は引き抜かれることによって解け、ステントは軸状部材から解放されるようになっている。したがって、このデリバリーユニットを管腔内に挿入し、患部においてこの糸を引き抜くことで、ステントを患部に留置することができる。
【0008】
一方、自力では拡張しないタイプのステントは、留置前において、カテーテル状のデリバリーシースの外周面に膨縮自在のバルーン体を設け、そのバルーン体にステントを被嵌させている。このステントを患部に留置する場合には、先ず、このデリバリーシースを管腔内に挿入し、X線透視下において患部まで移動させる。患部において、バルーン体を膨張させてステントを拡張させる。これにより、狭窄を起こしている患部が押し広げられる。バルーン体を縮小さた後、デリバリーシースを管腔内から引き抜く。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ステントを留置する際には、それに先立って、上述の軸状プローブを用いて患部の状態を確認することが行われている。また、ステント留置後においても、上述の軸状プローブを用いて実際のステントの留置状態を確認することが行われている。
【0010】
ここで、このような一連の作業を行う場合には、先ず、管腔内に軸状プローブを挿入し、それを患部まで導き入れる。患部を診断した後に軸状プローブを管腔内から抜き出す。次に、上述のデリバリーユニットを管腔内に挿入し、患部まで導き入れる。患部にステントを留置した後に、そのデリバリーユニットを管腔内から抜き出す。再び管腔内に軸状プローブを挿入し、ステント留置位置まで導き入れる。留置位置を確認した後に軸状プローブを管腔内から抜き出す。
【0011】
つまり、患部にステントを留置する処置を行うにあたっては、軸状プローブやデリバリーユニットを管腔内に挿入する作業が複数回行われる必要があった。したがって、ステントの留置処置が大変煩雑であり、また、それぞれの挿入作業において慎重さを要するため、ステントの留置処置に長い時間を要していた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ステントの留置と、その際に行われる超音波診断に伴う煩雑な作業を軽減することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
後述する実施形態に係る超音波プローブユニットは、患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、前記軸状プローブに対して摺動自在に同軸外方に配置されたステントインナーシースと、前記ステントインナーシースに対して摺動自在に同軸外方に配置されるステントアウターシースと、引き込み状態において前記ステントアウターシースと前記ステントインナーシースとの間に収納され、前記ステントインナーシースに対する前記ステントアウターシースの引き抜きによる解放状態において径方向に自力拡張する構造を有するステントと、を含み、前記軸状プローブは、液体が充填されるプローブシースと、前記プローブシース内に回転自在に設けられたトルクワイヤと、前記トルクワイヤの先端に設けられ、前記プローブシースの先端部内において回転運動して超音波ビームのラジアルスキャンが行われるようにする超音波振動子と、を有し、前記ステントインナーシースよりも前方に前記先端部を位置させて前記ステントの外部で前記ラジアルスキャンを行わせる外部ラジアルスキャン状態と、前記ステントインナーシースの内部に前記先端部を位置させて前記ステントの内部で前記ラジアルスキャンを行わせる内部ラジアルスキャン状態と、を設定可能である、ことを特徴とする。
【0014】
上記超音波プローブユニットでは、内側から順に軸状プローブ、ステントインナーシース、ステントアウターシースが同軸に配置されており、それぞれが自在に摺動できる。また、解放状態において径方向に自力拡張するステントが、ステントインナーシースとステントアウターシースとの間に収納されている。したがって、超音波プローブユニットを患者の管腔内に挿入し、ステントを軸状プローブに沿って狭窄等を起こしている患部まで移動し、ステントアウターシースをステントインナーシースに対して摺動させ、ステントをステントアウターシースから露出させていくと、それに従ってステントの露出部分が径方向に自力拡張していく。ステントをステントアウターシースから完全に露出させると、ステントは解放状態となり、患部に留置される。留置されたステントによって、患部は押し広げられ、その状態が維持される。上記構成によれば、外部ラジアルスキャンと内部ラジアルスキャンの両者を選択的に実現できる。
【0015】
本発明の好適な態様では、前記ステントインナーシースの外表面には、前記引き込み状態において前記ステントの基端部側が当接可能なストッパーが設けられ、前記ステントアウターシースを引き抜いて前記ステントを解放するときに、ステント位置が維持されることを特徴とする。
【0016】
ここで、ストッパーは、例えばステントインナーシースの外周方向の一部又は全部に突出して設けられる部材である。
【0017】
また、本発明の好適な態様では、前記ステントは、前記引き込み状態において、前記超音波振動子に対して軸方向に所定量オフセットされて配置されていることを特徴とする。
【0018】
後述する実施形態に係る他の超音波プローブユニットは、患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、前記軸状プローブに対して摺動自在に同軸外方に配置されるステントシースと、前記ステントシースの外周面に膨縮可能に配置されたバルーン体と、縮小状態において前記バルーン体に同軸外方に設けられ、前記バルーン体の膨らみにより径方向に拡張可能な構造を有するステントと、を含み、前記軸状プローブは、液体が充填されるプローブシースと、前記プローブシース内に回転自在に設けられたトルクワイヤと、前記トルクワイヤの先端に設けられ、前記プローブシースの先端部内において回転運動して超音波ビームのラジアルスキャンが行われるようにする超音波振動子と、を有し、前記ステントシースよりも前方に前記先端部を位置させて前記ステントの外部で前記ラジアルスキャンを行わせる外部ラジアルスキャン状態と、前記ステントシースの内部に前記先端部を位置させて前記ステントの内部で前記ラジアルスキャンを行わせる内部ラジアルスキャン状態と、を設定可能である、ことを特徴とする。
【0019】
上記超音波プローブユニットでは、軸状プローブの外方にステントシースが同軸に配置されており、それぞれが自在に摺動できる。そのステントシースの外周面には、膨縮可能にバルーン体が配置されている。また、バルーン体には、径方向に拡張可能なステントが縮小状態で同軸外方に設けられている。したがって、超音波プローブユニットを患者の管腔内に挿入し、ステントを軸状プローブに沿って患部まで移動した後に、バルーン体を膨張させると、それに伴ってステントは径方向に拡張する。これにより、ステントが患部を押し広げる。バルーン体を縮小させると、ステントはバルーン体から解放され、患部に留置される。したがって、その患部では、その押し広げられた状態が維持される。上記構成によれば、外部ラジアルスキャンと内部ラジアルスキャンの両者を選択的に実現できる。
【0020】
本発明の好適な態様では、前記ステントは、縮小状態において、前記超音波振動子に対して軸方向に所定量オフセットされて配置されていることを特徴とする。
【0025】
後述する実施形態に係る他の超音波プローブユニットは、患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、前記軸状プローブに対して摺動自在に同軸外方に配置されたステントシースと、解放状態において径方向に自力拡張する構造を有し、前記ステントシースに対して同軸外径に配置されるステントと、前記ステントを前記ステントシースに対して解放可能に緊縛する糸と、を含み、前記軸状プローブは、液体が充填されるプローブシースと、前記プローブシース内に回転自在に設けられたトルクワイヤと、前記トルクワイヤの先端に設けられ、前記プローブシースの先端部内において回転運動して超音波ビームのラジアルスキャンが行われるようにする超音波振動子と、を有し、前記ステントシースよりも前方に前記先端部を位置させて前記ステントの外部で前記ラジアルスキャンを行わせる外部ラジアルスキャン状態と、前記ステントインナーシースの内部に前記先端部を位置させて前記ステントの内部で前記ラジアルスキャンを行わせる内部ラジアルスキャン状態と、を設定可能である、ことを特徴とする。
【0026】
上記超音波プローブユニットでは、軸状プローブの外方にステントシースが同軸に配置されており、それぞれが自在に摺動できる。そのステントシースの同軸外方に自力拡張するステントが配置されており、そのステントは糸によってステントシースに解放可能に緊縛されている。したがって、超音波プローブユニットを患者の管腔内に挿入し、ステントを軸状プローブに沿って患部まで移動した後に、この糸によるステントの緊縛を解放させることによって、ステントが自力拡張する。これにより、ステントが患部を押し広げる。ステントを完全に解放させることによって、ステントは患部に留置され、患部が押し広げられた状態が維持される。上記構成によれば、外部ラジアルスキャンと内部ラジアルスキャンの両者を選択的に実現できる。
【0027】
後述する実施形態に係る他の超音波プローブユニットは、超音波振動子を有し、患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、解放状態において径方向に自力拡張する構造を有し、前記軸状プローブに対して同軸外方に配置されるステントと、前記ステントを前記軸状プローブに対して解放可能に緊縛する糸と、を含み、前記軸状プローブと共に前記ステントを患部に移動し、その患部にステントを留置することを特徴とする。
【0028】
上記超音波プローブユニットでは、軸状プローブの同軸外方に自力拡張するステントが配置されており、そのステントは糸によって軸状プローブに解放可能に緊縛されている。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、血管内に形成された狭窄を血管内から超音波診断し、その狭窄を起こした患部にステントを留置する際に、本発明に係る超音波プローブユニットを利用する場合を説明する。
【0030】
図1は、ステント留置前の超音波プローブユニット10を正面から見た断面図である。この超音波プローブユニット10は、超音波を送受波する軸状プローブ12と、患部に留置されるステント14と、ステント14を血管内の患部に留置するステントホルダ20とから構成されている。
【0031】
先ず、軸状プローブ12について説明する。軸状プローブ12は、主としてカテーテル状のプローブシース22と、その内部に回転自在に設けられたトルクワイヤ24と、そのトルクワイヤ24の先端に設けられ、超音波を送受波する超音波振動子26とから構成されている。プローブシース22の先端は封止されており、プローブシース22とトルクワイヤ24との間に形成された隙間には、生理食塩水等の音響媒体が充填されている。ここで、本実施形態におけるプローブシース22の外径は2.0mmであり、その長さは1.4mである。
【0032】
トルクワイヤ24の基端には、図示されていない回転駆動部が連結されている。この回転駆動部が駆動することによって、トルクワイヤ24が軸周りに回転し、先端に設けられた超音波振動子26に回転運動を伝達する。超音波振動子26は、この回転運動を受けて軸状プローブ12の軸周りに回転する。また、この超音波振動子26は、軸状プローブ12の軸径方向に超音波を送波して超音波ビームを形成する。これによって、超音波振動子26は、ラジアルスキャンを行う。また、この超音波振動子26は、各ビーム方向からの超音波エコーを受波する。この超音波エコーに基づいて2次元ラジアルスキャン画像が形成される。さらに、この軸状プローブ12をその長手方向に沿って移動させることで、超音波振動子26は3次元超音波エコー空間を形成し、それに基づいて3次元ラジアルスキャン画像を形成することができる。したがって、例えば、血管内においてこの軸状プローブ12を作動させつつ、血管の長手方向に沿って移動させると、血管内からの3次元ラジアルスキャン画像を得ることができる。
【0033】
次に、ステント14の説明をする。図中において格子柄で示されたステント14は、上述のように血管等の管腔内において狭窄などを起こした患部に留置される医療器具であり、その狭窄した部位を押し広げ、その患部の押し広げられた状態を維持するものである。このステント14は、チューブ状の形状を有しており、径の大きさが軸方向にわたって同じである。このステント14は、その径方向に自力拡張する。本実施形態においては、このステント14は、極細ワイヤで形成されており、メッシュ構造を有している。しかし、これに限らず、他の構造を有するステントであってもよい。また、ステント14として、それらのステントの外周面に沿って、柔軟性を有する膜が張られたカバードステントを利用してもよい。さらに、径の異なるステントが軸方向に連結されているタイプのステントを利用してもよい。ステント14は、ステントホルダ20に収納されている。
【0034】
次に、ステントホルダ20について説明する。ステントホルダ20は、ステントインナーシース16、フランジ28及びステントアウタシース18から構成されている。ステントインナーシース16はカテーテル状の柔軟性を有する部材であり、本実施形態では、ポリエチレンの素材で形成されている。このステントインナーシース16は、上述のプローブシース22よりも短いことが望ましく、本実施形態では、その長さは1.3mであり、その内径を2.2mmとしている。
【0035】
ステントインナーシース16先端部における外表面には、ストッパーとしてのフランジ28が固設されている。このフランジ28は、リング状形状を有しており、ステントインナーシース16の全周に渡って径方向に突起している。
【0036】
ステントアウターシース18は、カテーテル状の柔軟性を有する部材であり、本実施形態ではポリエチレンの素材で形成されている。ステントアウターシース18は、ステントインナーシース16に対して同軸外方に摺動自在に設けられている。つまり、ステントインナーシース16に対してステントアウターシース18が同軸にステントインナーシース16を覆うように配置され、摺動自在になっている。ステントアウターシース18は、ステントインナーシース16と同程度の長さか、或いはそれよりも短いことが望ましい。本実施形態では、長さを1.3mとしている。
【0037】
ステントインナーシース16とステントアウターシース18との間には、ステント14が径方向に縮小されて収納されており、引き込み状態を形成している。ステント14の基端側にはフランジ28が配置されており、ステント14の基端が当接可能となっている。これにより、ステントアウターシース18をステントインナーシース16に対して基端方向に摺動させ、図中矢印Aに示される基端側に引き抜く際に、ステント14がそれに伴って基端方向に移動することを防止することができ、ステント位置を維持させることができる。ステントアウターシース18を引き抜くにしたがって、ステント14は、ステントアウターシース18から露出していく。ここで、露出した部分は、径方向に自力拡張する。ステント14が完全に露出するまでステントアウターシース18を引き抜くと、ステント14はステントホルダ20から解放される。
【0038】
次に、軸状プローブ12とステントホルダ20との配置関係について説明する。ステントホルダ20のステントインナーシース16は、軸状プローブ12に対して同軸外方に摺動自在に設けられている。これによって、ステント14がステントホルダ20に収納されている状態において、超音波振動子26とステント14の相対位置を変えることができる。
【0039】
また、軸状プローブ12の先端は、ステントホルダ20の先端から突出して配置されており、超音波振動子26がステント14に対して軸方向に所定量オフセットされている。この配置において超音波振動子26から超音波を送受波すると、その超音波伝搬経路状にステント14が存在しないため、良好な超音波画像を得ることができる。なお、必要に応じて、ステント14の内側に超音波振動子26を移動させ、超音波を送受波しても構わない。
【0040】
図2を用いて、本実施形態における超音波プローブユニット10の使用方法について説明する。図2(a)は、超音波プローブユニット10を血管30の患部32の位置まで挿入した状態を示し、図2(b)は、超音波プローブユニット10のステントアウターシース18を引き抜いている状態を示し、図2(c)は、ステント14を解放して患部32に留置させた状態を示している。
【0041】
先ず、図2(a)に示すように、X線透視下において、超音波プローブユニット10を血管30内に挿入し、超音波振動子26が患部32を越える位置まで導き入れる。このとき、超音波振動子26とステント14との相対位置が変化しないように、軸状プローブ12をステントホルダ20に対して摺動させずに挿入する。
【0042】
次に、軸状プローブ12を作動させる。これにより、軸状プローブ12はラジアルスキャンを開始する。この動作を行いながら超音波プローブユニット10全体を図中の矢印Aに示す基端方向に移動させる。これにより、超音波振動子26は、3次元超音波エコー空間を形成する。
【0043】
軸状プローブ12がラジアルスキャンを行っている状態のまま、超音波プローブユニット10を図2(a)に示す位置から患部32を通過して患部32を越える位置まで図中の矢印Aに示す基端方向に移動させる。これにより、患部32を含む3次元ラジアルスキャン画像としての血管超音波画像が形成される。医師等はこの血管超音波画像をモニターして、患部32の範囲とその病状を診断すると共に、超音波プローブユニット10に設けられたステント14の大きさ、長さ或いは性能等とその患部32とのマッチングを確認する。なお、上述の作業は、軸状プローブ12をステントホルダ20に対して摺動させずに実施させる。
【0044】
その後、血管超音波画像を見ながら再び図中の矢印Bに示す先端方向に超音波プローブユニット10を前進させる。ここで、超音波振動子26からステント14までのオフセット量は既知である。したがって、超音波振動子26によって患部32の血管超音波画像を捉えた位置まで前進させた後、超音波プローブユニット10全体をその所定のオフセット量だけさらに先端方向Bの方へ前進させる。これにより、ステント14は、患部32に正対した位置に配置される。なお、この作業は、軸状プローブ12をステントホルダ20に対して摺動させずに実施される。
【0045】
次に、図2(b)に示すように、ステントアウターシース18を引き抜いていく。これにより、ステント14がステントアウターシース18に対して露出され、その露出した部分が径方向に自力拡張する。ここで、ステントアウターシース18を引き抜く際に、その内部に収納されているステント14の基端部側がフランジ28に当接する。これによって、ステントアウターシース18の引き抜きに伴って、ステント14が基端方向Aに移動することが防止される。したがって、患部32に対するステント14の位置が正対した状態に維持される。
【0046】
さらに、ステントアウターシース18を引き抜いて、ステント14をステントアウターシース18から完全に露出させる。これにより、図2(c)に示すように、ステント14は、超音波プローブユニット10から解放され、患部32に留置される。したがって、患部32は、ステント14の自力拡張によって押し広げられ、その状態が維持される。
【0047】
ステント14を留置した後に、軸状プローブ12を作動させ、超音波プローブユニット10を基端方向Aに移動させる。これにより、ステント14が留置された状態における血管超音波画像を得ることができ、ステント14の留置状態を確認することができる。
【0048】
ここで、ステント14が拡張して患部32に留置されていく過程を超音波によって観察したい場合には、図2(b)に示されるステントアウターシース18を引き抜いている最中に、軸状プローブ12を作動させ、その軸状プローブ12をステントホルダ20に対して摺動させる。そして、ステント14の内側における所望の位置にその軸状プローブ12を配置させればよい。
【0049】
以上、超音波プローブユニット10を利用してステント14を留置する方法について説明した。しかしながら上述の方法に限らず、例えば、ステント14の留置に先立って行われる患部32の超音波診断は、以下のような方法であってもよい。つまり、X線透視下において、超音波プローブユニット10を血管30内に挿入し、超音波振動子26が患部32を越える位置まで導き入れる。ここで、超音波振動子26が患部32の位置を通過する間にわたって、超音波を送受波させて、患部32に関する血管超音波画像を形成する。これによれば、超音波プローブユニット10を患部32まで導き入れる際に、同時に患部32における超音波診断を行うことができ、ステント14を留置する際の一連の作業を短期間で実施することができ、作業を簡素化することができる。
【0050】
ここで、超音波プローブユニット10の更に他の使用方法について図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態における超音波プローブユニット10の他の使用方法を説明する説明図であり、図3(a)は、超音波プローブユニット10の軸状プローブ12が患部32に当接した状態を示し、図3(b)は、その当接状態を解消するために、ステント14を途中まで解放させた状態を示している。
【0051】
軸状プローブ12によって患部32を超音波診断する工程では、軸状プローブ12を作動させながら超音波プローブユニット10を血管30内の長手方向に沿って移動させる。このとき、図3(a)に示すように血管30の患部32や他の内壁に軸状プローブ12が当接する場合がある。この状態で血管超音波画像を形成すると、その軸状プローブ12が当接した部分における画像の質が低下する。そこで以下の方法によって、血管超音波画像の質を向上させる。
【0052】
先ず、超音波プローブユニット10を血管30内に挿入し、超音波振動子26を患部32の位置まで移動させる工程において、患部32の位置にステント14の位置が到達する少し手前で、ステントアウターシース18をある程度引き抜き、ステント14の途中まで露出させる。これによって、図3(b)に示すように、患部32の手前で露出部分のステント14が自力拡張する。これにより、軸状プローブ12が血管30の内壁から遊離し、血管30のほぼ中心に定位される。この状態において、軸状プローブ12をステントホルダ20に対して先端方向Bに摺動させ、軸状プローブ12を作動させる。これによって、より良好な血管超音波画像を得ることができる。なお、ステント14を途中まで露出させて、軸状プローブ12を中心定位させた後、ステントインナーシース16に対してステントアウターシース18を摺動させて、先端方向Bに押し込むことによって、ステントホルダ20内にステント14を再び収納することができる。
【0053】
ステント14を収納した後に、超音波振動子26とステント14との距離が所定のオフセット量になるように軸状プローブ12とステントホルダ20の位置を調整する。なお、その具体的な方法としては、例えば、超音波プローブユニット10における軸状プローブ12の基端部にそれぞれ印を付し、ステントホルダ20を光透過性の素材で形成する等によって、軸状プローブ12の印がステントホルダ20を介して外部から視認可能な構成とする。また、ステントホルダ20にも印を付し、軸状プローブ12の印をステントホルダ20の印と一致させることで、超音波振動子26とステント14の距離が所定のオフセット量に設定されるようにする。これにより、上述のように軸状プローブ12をステントホルダ20に対して自由に摺動させた後であっても、超音波振動子26とステント14との距離を所定のオフセット量に調整させることができる。超音波振動子26とステント14との距離を所定のオフセット量に調整させた後、ステント14を患部32に正対させ、ステント14を露出させて解放する。これによって、ステント14は患部32に留置される。
【0054】
これらのステントの留置に関する作業を行うにあたって、必要に応じてX線造影を利用してもよい。
【0055】
次に、図1の超音波プローブユニット10に関連する他の実施形態における超音波プローブユニットの構成について説明する。その超音波プローブユニットは、軸状プローブ12とステントホルダ20が一体形成されているものである。つまり、図1に示されるステントインナーシース16が取り除かれ、それに設けられているフランジ28が代わりにプローブシース22に固設されている。ステント14は、ステントアウターシース18とプローブシース22との間に収納されている。つまり、この超音波プローブユニットでは、超音波振動子26とステント14の相対的な位置が固定される。このようにすれば、図1の超音波プローブユニット10より簡単な構成を有する超音波プローブユニットを実現することができる。
【0056】
図4は、別の実施形態におけるステント留置前の超音波プローブユニット38を正面から見た断面図である。ここで、図1に示した構成と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。この超音波プローブユニット38は、超音波を送受波する軸状プローブ12と、患部に留置されるステント36と、ステント36を血管内の患部に留置するステントホルダ40とから構成されている。
【0057】
先ず、ステントホルダ40について説明する。ステントホルダ40は、バルーン体42、チューブ44、ステントインナーシース16、フランジ28及びステントアウタシース18から構成されている。
【0058】
ステントインナーシース16の外表面には、膨縮可能なバルーン体42が、封止された状態で設けられている。このバルーン体42には、チューブ44の一端が接続されている。チューブ44の他端は、フランジ28の外側を越えてステントホルダ40の基端まで伸長している。このチューブ44の他端から生理食塩水又は空気等の媒体を注入することで、バルーン体42が膨張する。また、バルーン体42が膨張している状態において、このチューブ44から媒体を導出させることで、バルーン体42は縮小する。
【0059】
次に、ステント36の説明をする。図中において格子柄で示されたステント36は、図1のステント14と同様の目的で利用される医療器具である。ステント36は、このステント14と同様のチューブ状の形状を有しているが、自力拡張をしないタイプのステントである。本実施形態におけるステント36は、その外周面に柔軟性を有する膜が張られていないタイプのステントである。しかしながら、このようなカバードステントを利用してもよい。また、ステント36は、その軸方向に同じ径を有するタイプのものであるが、これに限らず、例えば、径の異なるステントが軸方向に連結されているタイプのステントを利用してもよい。ステント36は、縮小状態のバルーン体42に対して同軸外方に当接されている。
【0060】
ステントアウターシース18は、バルーン体42とステント36が設けられたステントインナーシース16に対して同軸外方に摺動自在に設けられている。
【0061】
これらの構成により、ステントアウターシース18をステントインナーシース16に対して図中の矢印Aで示される基端方向に摺動させて引き抜き、ステント36をステントアウターシース18から露出させ、さらにバルーン体42内に媒体を注入することによってバルーン体42を膨張させることができる。これにより、ステント36が径方向に拡張される。さらに、バルーン体42を縮小させることによってステント36をバルーン体42から解放させることができる。
【0062】
本実施形態における軸状プローブ12とステントホルダ40との配置関係は、図1の軸状プローブ12とステントホルダ20の配置関係と同様であり、図1のものと同様の効果を有している。
【0063】
次に、図5を用いて、本実施形態における超音波プローブユニット38の使用方法について説明する。図5(a)は、超音波プローブユニット38を血管30内の患部32の位置まで挿入した状態を示し、図5(b)は、超音波プローブユニット38のステントアウターシース18を完全に引き抜いた状態を示し、図5(c)は、超音波プローブユニット38のバルーン体42を膨張させて、ステント36を拡張させている状態を示している。
【0064】
先ず、図5(a)に示すように、X線透視下において、超音波プローブユニット38を血管30内に挿入し、超音波振動子26が患部32を越える位置まで導き入れる。このとき、超音波振動子26とステント36との相対位置が変化しないように、軸状プローブ12をステントホルダ40に対して摺動させずに挿入する。
【0065】
次に、軸状プローブ12を作動させる。これにより、軸状プローブ12はラジアルスキャンを開始する。軸状プローブ12がラジアルスキャンを行っている状態のまま、超音波プローブユニット38全体を図5(a)に示す位置から患部32を通過して患部32を越える位置まで図中の矢印Aに示す基端方向に移動させる。これにより、患部32を含む3次元ラジアルスキャン画像としての血管超音波画像が形成される。医師等はこの血管超音波画像をモニターして、患部32の範囲とその病状を診断すると共に、超音波プローブユニット38に設けられたステント36の大きさ、長さ或いは性能等とその患部32とのマッチングを確認する。なお、上述の作業は、軸状プローブ12をステントホルダ40に対して摺動させずに実施させる。
【0066】
その後、血管超音波画像を見ながら再び図中の矢印Bに示す先端方向に超音波プローブユニット38を前進させる。ここで、超音波振動子26からステント36までのオフセット量は既知である。したがって、超音波振動子26によって患部32の血管超音波画像を捉えた位置まで前進させた後、超音波プローブユニット38全体をその所定のオフセット量だけさらに先端方向Bの方へ前進させる。これにより、ステント36は、患部32に正対した位置に配置される。なお、この作業は、軸状プローブ12をステントホルダ40に対して摺動させずに実施される。
【0067】
次に、図5(b)に示すように、ステントアウターシース18をステントインナーシース16に対して摺動させ、ステントアウターシース18を図中の矢印Aの基端方向に引き抜き、ステント36を完全に露出させる。チューブ44によってバルーン体42に媒体を注入する。これにより、バルーン体42が膨張し、ステント36が拡張する。さらに、バルーン体42を膨張させ、図5(c)に示すように患部32を押し広げる。バルーン体42を完全に膨張させ、ステント36によって完全に患部32を押し広げた状態にした後に、バルーン体42内の媒体を導出させる。これにより、バルーン体42が縮小し、ステント36が解放されて留置される。このとき、患部32はステント36によって押し広げられた状態が維持される。
【0068】
ステント36を留置した後に、軸状プローブ12を作動させ、超音波プローブユニット38を基端方向Aに移動させる。これにより、ステント36の留置後における血管超音波画像を得ることができ、ステント36の留置状態を確認することができる。
【0069】
なお、ステント36が拡張して患部32に留置されていく過程を超音波によって観察したい場合には、図5(c)に示されるステントアウターシース18を引き抜いている最中に、軸状プローブ12を作動させ、その軸状プローブ12をステントホルダ40に対して摺動させる。そして、ステント36の内側における所望の位置に軸状プローブ12を配置させればよい。
【0070】
以上、超音波プローブユニット38を利用してステント36を留置する方法について説明した。しかしながら上述の方法に限らず、例えば、ステント36の留置に先立って行われる患部32の超音波診断は、以下のような方法であってもよい。つまり、X線透視下において、超音波プローブユニット38を血管30内に挿入し、超音波振動子26が患部32を越える位置まで導き入れる。ここで、超音波振動子26が患部32の位置を通過する間にわたって、超音波を送受波させて、患部32に関する血管超音波画像を形成する。これによれば、超音波プローブユニット38を患部32まで導き入れる際に患部32の超音波診断を行うことができ、ステント36を留置する際の一連の作業を短期間で実施することができ、作業を簡素化することができる。
【0071】
これまで、ステント36の留置に関する作業手順について説明したが、これらの上述の作業を行うにあたって、必要に応じてX線造影を利用してもよい。
【0072】
次に、図4の超音波プローブユニット38に関連する他の実施形態における超音波プローブユニットの構成について説明する。その超音波プローブユニットは、上述の超音波プローブユニット38における軸状プローブ12とステントホルダ40が一体形成されているものである。つまり、図4に示されるステントインナーシース16が取り除かれ、それに設けられているバルーン体42とフランジ28が代わりにプローブシース22に固設されている。つまり、この超音波プローブユニットでは、超音波振動子26とステント36の相対的な位置が固定される。このようにすれば、図4の超音波プローブユニット38より簡単な構成を有する超音波プローブユニットを実現することができる。
【0073】
図6は、更に別の実施形態におけるステント留置前の超音波プローブユニット48の正面図である。この超音波プローブユニット48は、超音波を送受波する軸状プローブ12と、患部に留置されるステント14と、ステント14を血管内の患部に留置するステントホルダ50とから構成されている。
【0074】
ここで、図1に示した構成と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
先ず、ステントホルダ50について説明する。ステントホルダ50は、ステントシース52と糸54とから構成されている。
【0076】
この糸54は、ステントシース52の同軸外方に配置されたステント14をステントシース52の外周面に緊縛し、ステント14をステントシース52に圧縮締着させる器具である。この糸54は引き抜かれることにより解け、これによってステント14は自力拡張してステントホルダ50から解放される。
【0077】
本実施形態における軸状プローブ12とステントホルダ50との配置関係は、図1の軸状プローブ12とステントホルダ20との配置関係と同様であり、図1のものと同様の効果を有している。
【0078】
次に、図7を用いて、本実施形態における超音波プローブユニット48の使用方法について説明する。図7(a)は、超音波プローブユニット48を血管30内の患部32の位置まで挿入した状態を示し、図7(b)は、超音波プローブユニット48に設けられたステント14を解放している状態を示し、図5(c)は、留置されたステント14を軸状プローブ12を用いて診断している状態を示している。
【0079】
先ず、図7(a)に示すように、X線透視下において、超音波プローブユニット48を血管30内に挿入し、超音波振動子26が患部32を越える位置まで導き入れる。このとき、超音波振動子26とステント14との相対位置が変化しないように、軸状プローブ12をステントホルダ50に対して摺動させずに挿入する。
【0080】
次に、軸状プローブ12を作動させる。これにより、軸状プローブ12はラジアルスキャンを開始する。軸状プローブ12がラジアルスキャンを行っている状態のまま、超音波プローブユニット48を図中(a)に示す位置から患部32を通過して患部32を越える位置まで図中の矢印Aに示す基端方向に移動させる。これにより、患部32を含む3次元ラジアルスキャン画像としての血管超音波画像が形成される。医師等はこの血管超音波画像をモニターして、患部32の範囲とその病状を診断すると共に、超音波プローブユニット48に設けられたステント14の大きさ、長さ或いは性能等とその患部32とのマッチングを確認する。なお、上述の作業は、軸状プローブ12をステントホルダ50に対して摺動させずに実施させる。
【0081】
その後、血管超音波画像を見ながら再び図中の矢印Bに示す先端方向に超音波プローブユニット48を移動させる。ここで、超音波振動子26からステント14までのオフセット量は既知である。したがって、超音波振動子26によって患部32の血管超音波画像を捉えた位置まで前進させた後、超音波プローブユニット48全体をその所定のオフセット量だけさらに先端方向Bの方へ前進させる。これにより、ステント14は、患部32に正対した位置に配置される。なお、この作業は、軸状プローブ12をステントホルダ50に対して摺動させずに実施される。
【0082】
次に、糸54を引き抜く。これにより、糸54がステント14の先端部側から解け、図7(b)に示すようにステント14が自己拡張していく。糸54を完全に引き抜くと、それに伴ってステント14が完全に解放され、ステント14が患部32に留置される。これにより、患部32が押し広げられ、その押し広げられた状態が維持される。
【0083】
ステント14を留置した後に、軸状プローブ12を作動させる。そして、図7(c)に示すように、超音波プローブユニット48を基端方向Aに移動させる。これにより、ステント14が留置された状態における血管超音波画像を得ることができ、ステント14の留置状態を確認することができる。
【0084】
なお、ステント14が拡張して患部32に留置されていく過程を超音波によって観察したい場合には、図7(b)に示される糸54を引き抜いている最中に、軸状プローブ12を作動させた状態でステントホルダ50に対して摺動させる。そして、ステント14の内側における所望の位置に軸状プローブ12を配置させればよい。
【0085】
以上、超音波プローブユニット48を利用してステント14を留置する方法について説明した。しかしながら上述の方法に限らず、例えば、ステント14の留置に先立って行われる患部32の超音波診断は、以下のような方法であってもよい。つまり、X線透視下において、超音波プローブユニット48を血管30内に挿入し、超音波振動子26が患部32を越える位置まで移動させる。ここで、超音波振動子26が患部32の位置を通過する間にわたって、超音波を送受波させて、患部32に関する血管超音波画像を形成する。これによれば、超音波プローブユニット48を患部32まで導き入れる際に患部32における超音波診断を行うことができ、ステント14を留置する際の一連の作業を短期間で実施することができ、作業を簡素化することができる。
【0086】
これまで、ステント14の留置に関する作業手順について説明したが、これらの上述の作業を行うにあたって、必要に応じてX線造影を利用してもよい。
【0087】
次に、図6の超音波プローブユニット48に関連する他の実施形態における超音波プローブユニットについて説明する。その超音波プローブユニットは、軸状プローブ12とステントホルダ50が一体形成されているものである。つまり、図6に示されるステントシース52が取り除かれ、ステント14が代わりにプローブシース22に直接糸54によって緊縛されている。つまり、この超音波プローブユニットでは、超音波振動子26とステント14の相対的な位置が固定される。このようにすれば、図6の超音波プローブユニット48より簡単な構成を有する超音波プローブユニットを実現することができる。
【0088】
以上、血管30内における狭窄を起こした患部32にステントを留置する場合を例にとって説明した。しかし、これに限らず、血管以外の生体の管腔内にステントを留置する際にも、この超音波プローブユニットを利用することができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、ステントの留置と、その際に行われる超音波診断に伴う煩雑な作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態におけるステント留置前の超音波プローブユニットを正面から見た断面図である。
【図2】 図1の超音波プローブユニットの使用方法について説明する図である。
【図3】 図1の超音波プローブユニットの他の使用方法を説明する図である。
【図4】 別の実施形態におけるステント留置前の超音波プローブユニットを正面から見た断面図である。
【図5】 図4の超音波プローブユニットの使用方法について説明する図である。
【図6】 更に別の実施形態におけるステント留置前の超音波プローブユニットの正面図である。
【図7】 図6の超音波プローブユニットの使用方法について説明する図である。
【符号の説明】
10 超音波プローブユニット、12 軸状プローブ、14 ステント、16ステントインナーシース、18 ステントアウターシース、20 ステントホルダ。
Claims (3)
- 患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、
前記軸状プローブに対して摺動自在に同軸外方に配置されたステントインナーシースと、
前記ステントインナーシースに対して摺動自在に同軸外方に配置されるステントアウターシースと、
引き込み状態において前記ステントアウターシースと前記ステントインナーシースとの間に収納され、前記ステントインナーシースに対する前記ステントアウターシースの引き抜きによる解放状態において径方向に自力拡張する構造を有するステントと、
を含み、
前記軸状プローブは、
液体が充填されるプローブシースと、
前記プローブシース内に回転自在に設けられたトルクワイヤと、
前記トルクワイヤの先端に設けられ、前記プローブシースの先端部内において回転運動して超音波ビームのラジアルスキャンが行われるようにする超音波振動子と、
を有し、
前記ステントインナーシースよりも前方に前記先端部を位置させて前記ステントの外部で前記ラジアルスキャンを行わせる外部ラジアルスキャン状態と、前記ステントインナーシースの内部に前記先端部を位置させて前記ステントの内部で前記ラジアルスキャンを行わせる内部ラジアルスキャン状態と、を設定可能である、
ことを特徴とする超音波プローブユニット。 - 患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、
前記軸状プローブに対して摺動自在に同軸外方に配置されるステントシースと、
前記ステントシースの外周面に膨縮可能に配置されたバルーン体と、
縮小状態において前記バルーン体に同軸外方に設けられ、前記バルーン体の膨らみにより径方向に拡張可能な構造を有するステントと、
を含み、
前記軸状プローブは、
液体が充填されるプローブシースと、
前記プローブシース内に回転自在に設けられたトルクワイヤと、
前記トルクワイヤの先端に設けられ、前記プローブシースの先端部内において回転運動して超音波ビームのラジアルスキャンが行われるようにする超音波振動子と、
を有し、
前記ステントシースよりも前方に前記先端部を位置させて前記ステントの外部で前記ラジアルスキャンを行わせる外部ラジアルスキャン状態と、前記ステントシースの内部に前記先端部を位置させて前記ステントの内部で前記ラジアルスキャンを行わせる内部ラジアルスキャン状態と、を設定可能である、
ことを特徴とする超音波プローブユニット。 - 患者の管腔内に挿入されて前記管腔内の患部に超音波を送受波する軸状プローブと、
前記軸状プローブに対して摺動自在に同軸外方に配置されたステントシースと、
解放状態において径方向に自力拡張する構造を有し、前記ステントシースに対して同軸外径に配置されるステントと、
前記ステントを前記ステントシースに対して解放可能に緊縛する糸と、
を含み、
前記軸状プローブは、
液体が充填されるプローブシースと、
前記プローブシース内に回転自在に設けられたトルクワイヤと、
前記トルクワイヤの先端に設けられ、前記プローブシースの先端部内において回転運動して超音波ビームのラジアルスキャンが行われるようにする超音波振動子と、
を有し、
前記ステントシースよりも前方に前記先端部を位置させて前記ステントの外部で前記ラジアルスキャンを行わせる外部ラジアルスキャン状態と、前記ステントインナーシースの内部に前記先端部を位置させて前記ステントの内部で前記ラジアルスキャンを行わせる内部ラジアルスキャン状態と、を設定可能である、
ことを特徴とする超音波プローブユニット。
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