JP4687920B2 - バイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法、及び自動サンプル処理装置 - Google Patents

バイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法、及び自動サンプル処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、バイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップを利用する際、蓋シール付きマイクロチップ中の分析対象サンプルに対する処理の自動化を図る方法、該方法に基づく、自動サンプル処理装置、ならびに、該自動サンプル処理方法を応用するバイオ物質の分析装置に関する。より具体的には、蓋シール付きマイクロチップ中の分析対象サンプルに対して、蓋シールを取り外し、処理を施す操作の自動化を図る方法と、該自動化された処理手法に準じた、自動サンプル処理装置に関する。
バイオ物質を含むサンプルに関して、該サンプル中に含まれるタンパク質や核酸物質の特定を行う際、各種の電気泳動方法が利用されている。特に、サンプル量自体が少ない場合、使用されるサンプル量が僅かであって、高い分離特性を示す電気泳動手法として、極く内径の小さなキャピラリー管内で泳動を行わせるキャピラリー電気泳動法が広く利用されている。この極く内径の小さなキャピラリー管に代えて、基板上に、断面形状として、流路幅、深さを100μm以下とし、所望の平面形状を有する流路配置を有する溝状の流路を形成し、かかる流路に対して、蓋としての機能を果す、蓋シールを設け、該溝状の流路部分をキャピラリー空間として利用する手法が提案されている(特許文献1)。このキャピラリー空間として利用可能な流路を設けた基板、その蓋シールは、互いに所定の配置で組み合わされ、両者の接着を図り、蓋シール付き「マイクロチップ」として利用される。かかる蓋シール付き「マイクロチップ」内で電気泳動を行うと、サンプル中に含有されているタンパク質や核酸物質複数は、泳動速度などに差違を有する結果、流路に沿って分離され、それぞれの種類に対応した複数のスポット点を示すものとなる。蓋シール付き「マイクロチップ」上に、複数の溝状の流路を形成し、複数のレーン(泳動路)を有する形態とすることもでき、その際には、蓋シールによって、各溝状の流路上面をシール密封することで、異なるレーン(泳動路)間を物理的に分離した状態とされる。
蓋シール付き「マイクロチップ」を利用して、キャピラリー電気泳動法に相当する電気泳動分離操作を行った後、その流路に沿って分離された、各スポット点の位置を検出する測定操作がなされる。例えば、電気泳動分離されるタンパク質や核酸物質複数に予め標識を付し、かかる標識を検出することにより、流路に沿って分離された、各スポット点の位置を検出することも可能である。具体的には、標識として蛍光標識を利用して、光学的な検出を行う形式のマイクロチップ電気泳動装置が提案されている(特許文献1:特開平10−246721号公報)。このマイクロチップ電気泳動装置は、蛍光標識の光学的な検出に利用される、励起光源、光学的検出器;流路に沿って光学的検出位置決定などの用途に利用される、マイクロチップの移動機構;マイクロチップ上の各流路に泳動液、サンプルの注入を行う、泳動液注入機構、サンプル注入機構;電気泳動分離のための電源装置;それらの動作を制御するCPUボードなどで構成されている。なお、この標識として蛍光標識を利用して、光学的な検出を行う方式を利用するため、蓋シール付き「マイクロチップ」は、光透過性材料、例えば、透明ガラス基板上に溝状の流路を形成し、蓋シール用の基板部材に、各溝状の流路に対して、電気泳動時の電圧印加用の電極装着部を設けている。電気泳動後、各溝状の流路内に液を保持したまま、各スポット点の検出を実施している。
蓋付き「マイクロチップ」を利用して、キャピラリー等電点フォーカシング法に相当する電気泳動分離操作を行った後、その流路に沿って分離されたタンパク質について、MALDI−MS(matrix−assisted laser desorption/ionization mass spectrometry)法を利用して、そのスポット位置、ならびに、分子量情報を採取する装置が提案されている(非特許文献1:Michelle L.−S. Mok et al., Analyst, vol.129, 109−110 (2004)、特許文献2:国際公開第03/071263号パンフレット)。等電点泳動に伴って印加される高電圧によって、微細な流路内の液が加熱され、溶媒が蒸散することを回避する目的で、「マイクロチップ」自体を熱電型冷却器上で冷却・温度の制御を行うとともに、蓋によって、各溝状の流路上面をシール密封する構成となっている。電気泳動分離操作を行った後、蓋を除去し、基板を加熱する、あるいは、真空中に置くことで、各溝状の流路内の溶媒を速やかに蒸散させ、各スポット点において、分離されたタンパク質の乾固化を行っている。この溝状の流路内に適当なマトリックス剤を添加し、マイクロチップ上に分離されたタンパク質を保持した状態で、流路に沿ってMALDI−MS測定を行って、各スポット点の検出を実施している。
蓋シール付き「マイクロチップ」において、蓋シールと基板部とが一体化され、蓋シールを剥離除去できない構成とされている際には、従来のキャピラリーを用いる場合と同様に、電気泳動分離操作後、一旦、流路内で分離されている物質を、ポンプ等の駆動手段を用いて、再混合を回避しつつ抜き出した後、種々の質量分析に供する必要があった。(非特許文献2:Daria Peterson et al., 「A New Approach for Fabricating a Zero Dead Volume Electrospray Tip for Non−Aqueous Microchip CE−MS」, Micro Total Analysis Systems 2002, Vol.2, p.691−693 (2002))。なお、一旦、「マイクロチップ」上の流路から抜き出した後、分離されたサンプルを専用サンプル・ホルダーに移し変る場合、質量分析方式としては、MALDI−MSの他、Electrospray ionization mass spectrometry(ESI−MS)の適用も可能である。
特開平10−246721号公報 国際公開第03/071263号パンフレット Michelle L.−S. Mok et al., Analyst, vol.129, 109−110 (2004) Daria Peterson et al., 「A New Approach for Fabricating a Zero Dead Volume Electrospray Tip for Non−Aqueous Microchip CE−MS」, Micro Total Analysis Systems 2002, Vol.2, p.691−693 (2002)
蓋シール付き「マイクロチップ」上に、複数の溝状の流路を形成し、複数のレーン(泳動路)を有する形態とする際、蓋シールによって、各溝状の流路上面をシール密封することで、異なるレーン(泳動路)間を物理的に分離した状態とできる点、一方、電気泳動分離操作後、蓋シール部を基板部から簡便に除去して、各レーン(泳動路)内において、分離されている物質に対して、更なる分析操作を施すことが可能である点が、蓋シール付き「マイクロチップ」の利用対象の拡大を更に進める上で、望まれる機能である。
蓋シール付き「マイクロチップ」において、基板部に形成された溝状の流路の上面を蓋シールによって、シール密封する構成を達成すると、かかる密封された流路は、従来のキャピラリーを利用する電気泳動法に相当する電気泳動分離操作に適したものとなる。かかる高い密封性を示す流路とする手段としては、溝状の流路が形成されている基板部上面と蓋シール部下面とを、熱融着や接着剤層を利用して、より強固な接着状態とすることが望ましい。一方、より強固な接着状態とすると、基板部上面と蓋シール部下面と間で剥離させ、蓋シール部を除去するため、蓋シール部に外力を加え、強制的に剥離をする過程で、微細な機械的な振動を生じさせることもある。この微細な機械的な振動は、溝状の流路内に存在する液内の混合を促進し、例えば、溝状の流路内で狭いスポット点として分離されている目的物質の再拡散を促進する要因ともなる。また、蓋シール部の除去作業に要する時間内において、液中の濃度勾配に起因する拡散も進行するため、溝状の流路内で狭いスポット点として分離されている目的物質の再拡散が一定の範囲起こってしまう。
加えて、蓋シール付き「マイクロチップ」中に形成されている流路を用いて、電気泳動分離操作を実施する際、液が基板部に形成されている溝状の流路の壁面に加えて、その上面をシール密封している、蓋シール部下面とも接触する形態とすることも少なくない。その際、蓋シール部下面に接触している液は、蓋シール部下面表面に対する、該液の濡れ性によっては、蓋シール部を剥離・除去する際、少量の液が、蓋シール部下面に付着した状態となる。その後、この少量の液が蓋シール部下面を流下して、集積した液滴を形成し、流路内に再落下することも想定される。この集積した液滴が再落下した部位では、本来存在していた液に、落下した液滴が混入すると、本来の分離状況と相違した「外的な干渉」を含むものとなってしまう。
蓋シール付き「マイクロチップ」では、基板部に形成されている溝状の流路は、その上面を蓋シール部によりシール密封されているため、「マイクロチップ」上に、複数の溝状の流路を形成し、複数のレーン(泳動路)を有する形態とする際、異なるレーン(泳動路)間は物理的に分離した状態となり、レーン(泳動路)相互間での液の混入、また、液の漏出、溶媒の蒸散、外来物質の侵入は回避されるが、蓋シール部を剥離・除去する操作自体に起因した、分離されている目的物質の再拡散、あるいは、蓋シール部下面に付着した少量の液に由来する「内因性の汚染」という現象をも抑制することが望まれる。
さらには、蓋シール部を剥離・除去する作業をマニュアル操作で実施すると、作業者の熟練度によって、作業時間にバラツキが生じるため、高い再現性を達成する上では、蓋シール部を剥離・除去する作業を、自動的に実施可能な手法とすることが望まれている。
本発明は、前記の課題を解決するもので、本発明に目的は、蓋シール付き「マイクロチップ」を利用して、分析対象の試料液に対して、電気泳動分離操作を実施した後、蓋シール付き「マイクロチップ」を構成する基板部上面に接着固定されている、蓋シール部を剥離・除去する操作を、分離されている目的物質の再拡散、あるいは、蓋シール部下面に付着した少量の液に由来する「内因性の汚染」という現象を抑制した上で、高い再現性で自動化された装置によって実施可能なサンプル処理方法、ならびに、かかる自動サンプル処理方法に基づいた、自動サンプル処理装置を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、鋭意研究を進め、下記する一連の知見を得た。
まず、蓋シール部を剥離・除去する操作自体に起因した、微細な機械的な振動による液の混合、あるいは、分離されている目的物質の濃度勾配に由来する濃度拡散の、二つの「目的物質の再拡散」現象は、電気泳動分離操作の後も、蓋シール付き「マイクロチップ」に形成されている流路内に溶液として保持していることに付随する現象である点に気付いた。すなわち、溶液でなく、内部での物質の移動が困難な固相状態とすると、前記二つの「目的物質の再拡散」現象は実質的に回避されることを見出した。具体的には、電気泳動分離操作の後、その流路内に保持されている溶液を急速に冷却して、含まれる水溶媒を氷結させる操作を行った後、この氷結状態を保持した状態で、蓋シール部を剥離・除去する操作を実施することで、微細な機械的な振動による液の混合、ならびに、分離されている目的物質の濃度勾配に由来する濃度拡散ともに回避できることを見出した。
更に、蓋シール部を剥離・除去する過程では、必然的に、基板部上面と蓋シール部下面との間に、狭い隙間を過渡的に生じさせつつ、剥離が進行していく。その際、この狭い隙間に対して、その流路内に保持されている溶液が一部滲入すると、毛細管効果によって、剥離が進行している基板部上面と蓋シール部下面との境界面に沿って、漏れ拡がる場合もある。その結果、隣接するレーン(泳動路)間において、液が一部混入する「相互汚染」が生じる可能性がある。「マイクロチップ」上に形成されている流路内の電気泳動分離済み試料を、氷結状態を保持した状態とすると、蓋シール部を剥離・除去する過程において、基板部上面と蓋シール部下面との間に狭い隙間が過渡的に生じても、この狭い隙間に対して、その流路内に保持されている溶液が一部滲入する現象すらも、本質的に防止されている。従って、蓋シール部を剥離・除去する過程において、基板部上面と蓋シール部下面との間に狭い隙間が過渡的に生じている期間、また、過渡的に生じている狭い隙間の間隔、幅に関して、実質的に制約が無くなることも見出した。
最後に、蓋シール部下面に付着した少量の液に由来する「内因性の汚染」という現象も、予め含まれる水溶媒を氷結させる操作を行った後、この氷結状態を保持した状態では、蓋シール部下面の表面に対する液の濡れ性は最早問題とならないことも見出した。一方、氷結状態の試料の上面と、蓋シール部下面の表面とは接触しており、この界面において、氷結状態の試料が、蓋シール部下面の表面から良好に剥離する条件で、蓋シール部の剥離・除去を進める必要がある。蓋シール部下面の表面に対する、氷結状態の試料の接着力によって、蓋シール部下面の表面に部分的に氷結状態の試料から剥落した断片の残留が引き起こされない条件を選択した上で、蓋シール部の剥離・除去を進める必要がある。
本発明者らは、どのような場合に、蓋シール部下面の表面に部分的に氷結状態の試料から剥落した断片の残留が生じるかを検討した結果、氷結状態の試料の上面と剥離が進行している蓋シール部下面の表面とが接する部位、すなわち、蓋シール部を剥離・除去する過程において、氷結状態の試料上面と蓋シール部下面との間に過渡的に生じている狭い隙間部分において、蓋シール部はある曲率半径Rで撓んだ状態となっているが、この撓みの曲率半径Rがある閾値Req1を境にして、それより曲率半径Rが小さい条件(R<Req1)を選択すると、氷結状態の試料から剥落した断片の残留は起こらないことを見出した。また、この閾値Req1は、蓋シール部を形成する材料のヤング率E、氷結状態の試料の蓋シール部下面に対する単位面積当たりの接着力p、氷結状態の試料の剥落が生じるせん断応力値に依存して、決定されていることが判明した。
本発明者らは、以上の知見に基づき、
分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、
該流路内に保持されている電気泳動分離済みの液状試料に対して、含まれる水溶媒を氷結させる操作を施し、
該流路内において、電気泳動分離済みの試料は氷結状態を保持した状態を維持しつつ、基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部を、基板部から剥離・除去する操作を実施し、
基板部に形成されている溝状の流路中に、電気泳動分離済みの試料は氷結状態を保持した状態で、該蓋シール付きマイクロチップにおいて、基板部上面に接着固定されていた蓋シール部を取り外す作業を行うことができること、
さらに、これら一連の操作は、自動化が可能であることを検証し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法は、
バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路に保持されている電気泳動分離済みの液状試料を自動的に処理する方法であって、
前記蓋シール付きマイクロチップは、その基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部とが、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している構成を有し、
分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作が完了した後、
前記蓋シール付きマイクロチップの基板部を冷却し、氷点以下の所定の低温度条件を達成し、該流路内に保持されている電気泳動分離済みの液状試料に対して、含まれる水溶媒を氷結させる操作を施す冷却工程と、
前記蓋シール付きマイクロチップの基板部を前記所定の低温度に冷却保持して、該流路内において、電気泳動分離済みの試料は氷結状態を保持した状態を維持しつつ、
基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している接着力を開放する操作を施すため、基板部の上面から蓋シール部の下面を剥離するため、蓋シール部の端部に外力を印加し、該剥離が進行する境界面における該蓋シール部の局所的撓みが示す曲率半径Rを、所定の閾値Req1に対して、曲率半径Rが前記閾値Req1より小さい条件(R<Req1)を維持して、基板部から蓋シール部を剥離・除去する操作を実施する蓋シール部剥離工程と、
前記剥離工程を終了した後、該蓋シール付きマイクロチップにおいて、基板部上面から接着固定が開放され、分離された蓋シール部を取り外し、基板部に形成されている溝状の流路中に、電気泳動分離済みの試料は氷結状態を保持した状態の表面を露呈させた状態で、分離された蓋シール部を保持する移動操作を施す、蓋シール部の取り外し工程と
を有し、これら一連の工程を自動的に実施する
ことを特徴とする自動サンプル処理方法である。
なお、本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法は、
前記蓋シール部の取り外し工程を追えた後に、さらに、
基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、凍結乾燥処理を施し、
該基板部に形成されている溝状の流路上において、各スポット点として、分離されている含有成分物質を、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化する、凍結乾燥・固定化工程を有する構成とすることも可能である。
また、本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理装置は、
バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路に保持されている電気泳動分離済みの液状試料を自動的に処理するための装置であって、
前記蓋シール付きマイクロチップは、その基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部とが、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している構成を有し、
分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作が完了された蓋シール付きマイクロチップに対して、
前記蓋シール付きマイクロチップの基板部と接する配置に設置可能な基板部冷却機構と、
該基板部と接する配置に設置される基板部冷却機構による冷却により、少なくとも、基板部を氷点以下の所定の低温度条件に維持することが可能な冷却機構の制御機構部と、
前記蓋シール付きマイクロチップの基板部を前記基板部冷却機構と接する配置に固定可能な基板部固定機構と、
前記基板部固定機構によって、基板部を固定した配置において、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している接着力を開放するため、基板部上面に対して実質的に垂直な方向成分を有する外力を、蓋シール部の端部に印加する機能を具えた外力印加機構と、
前記外力印加機構による、蓋シール部の端部への外力印加と同期して、基板部上面と蓋シール部下面との接触界面に対して、実質的に垂直な方向へ、該蓋シール部の端部を移動させる蓋シール部端部移動機構と、
前記蓋シール部の端部に対して、同期して作用する外力印加機構と蓋シール部端部移動機構によって、基板部の上面から蓋シール部の下面を剥離する過程において、該剥離が進行する境界面における該蓋シール部の局所的撓みが示す曲率半径Rを、所定の閾値Req1に対して、曲率半径Rが前記閾値Req1より小さい条件(R<Req1)を維持するように、該蓋シール部の端部の移動速度を制御する機能を有する蓋シール部端部移動速度制御機構と、
基板部上面から蓋シール部を剥離する操作を終了した後、基板部上面から接着固定が開放され、分離された蓋シール部を保持し、基板部上面から移動させ、基板部に形成されている溝状の流路を露呈させる機能を有する、分離された蓋シール部の取り外し機構とを具え、
上記の一連の操作を実施する各機構の動作を、所定の工程プログラムに従って、自動的に実施させる機能を有する、自動操作制御機構を有する
ことを特徴とする自動サンプル処理装置である。
なお、本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理装置は、
上述の各機構に加えて、
さらに、
蓋シール部の取り外し機構により、分離された蓋シール部を基板部上面から移動させ、基板部に形成されている溝状の流路が露呈された状態において、
基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、凍結乾燥処理を施し、
該基板部に形成されている溝状の流路上において、各スポット点として、分離されている含有成分物質を、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化する、凍結乾燥・固定化機構を具えている構成とすることも可能である。
加えて、本発明は、上述する構成を有する本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法を適用して、該蓋シール付きマイクロチップを利用する電気泳動分離操作後、基板部上面をシール密封していた蓋シール部を剥離・除去を行って、表面を露呈させた基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、更に質量分析操作を施す、バイオ試料の分析方法の発明をも提供している。
すなわち、本発明にかかるバイオ試料の分析方法は、
バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路に保持されている電気泳動分離済みの液状試料中、前記流路上において、スポット分離されている含有成分物質について、該スポット分離されている含有成分物質の質量分析を行う方法であって、
前記蓋シール付きマイクロチップは、その基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部とが、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している構成を有し、
分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作が完了した後、
上記の構成を有する本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法に従って、基板部上面をシール密封している蓋シール部を剥離・除去を行って、
表面を露呈させた基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料を回収する工程と、
基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、凍結乾燥処理を施し、
該基板部に形成されている溝状の流路上において、各スポット点として、分離されている含有成分物質を、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化する、凍結乾燥・固定化工程と、
該基板部に形成されている溝状の流路上に、MALDI−MS分析に採用されるマトリックス剤を塗布し、該スポット点上に凍結乾燥物として固定化されている、電気泳動分離処理済みの含有成分物質に、前記マトリックス剤を付与する、マトリックス剤付与工程と、
該基板部に形成されている溝状の流路に沿って、前記マトリックス剤を利用して、MALDI−MS分析操作を進め、該スポット点上に凍結乾燥物として固定化されている、電気泳動分離処理済みの含有成分物質に由来するイオン種の分子量情報と、当該イオン種の分子量情報を示すスポット点の位置情報とを取得する、MALDI−MS分析工程と、
取得された当該イオン種の分子量情報を示すスポット点の位置情報に基づき、該スポット点に相当する電気泳動指数値の特定を行い、
溝状の流路に沿って、分析対象の液体試料中に含有される成分物質に由来すると推定される、該特定される電気泳動指数値と、該スポット点で測定されるイオン種の分子量情報の組み合わせへと変換する、データ解析工程と
を有する
ことを特徴とするバイオ試料の分析方法である。
本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法、ならびに、バイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理装置を利用することで、蓋シール付き「マイクロチップ」を利用して、分析対象の試料液に対して、電気泳動分離操作を実施した後、蓋シール付き「マイクロチップ」を構成する基板部上面に接着固定されている、蓋シール部を剥離・除去する操作を、分離されている目的物質の再拡散、あるいは、蓋シール部下面に付着した少量の液に由来する「内因性の汚染」という現象を抑制した上で、高い再現性で自動化することが可能となる。加えて、高い再現性で自動化された蓋シール部を剥離・除去する操作に引き続き、電気泳動分離処理済みの試料を利用する、更なる分析、例えば、質量分析に先立つ、サンプル調製の操作も自動化を可能とする。従って、電気泳動分離操作を施す、分析対象の試料液の個数が多量となっても、電気泳動分離処理済みの試料を、更なる分析に供するためのサンプル処理工程自体の高い再現性を有するものとできる。
図1は、本発明が解決する課題を模式的に説明する図である。 図2は、本発明において利用される、マイクロチップの流路の一例を模式的に示す図である。 図3は、本発明において利用される、蓋シール付きマイクロチップ構成の一例を模式的に示す図である。 図4は、本発明において利用される、蓋シール付きマイクロチップ構成の他の一例を模式的に示す図である。 図5は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第一の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図6は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第二の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図7は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第三の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図8は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第四の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図9は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第五の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図10は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第六の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図11は、本発明にかかる自動サンプル処理装置に利用可能な蓋シール部の剥離機構の構成例を模式的に示す図であり、第七の実施態様の剥離機構で利用される動作原理を示す図である。 図12は、本発明において利用される、マイクロチップの流路の他の一例を模式的に示す図である。 図中に記載される、下記の各符号は、以下の意味を有する。
101 板状の蓋基材部
102 接着性樹脂膜層
103 基板部
105a、105b、105c、105d 液溜まり部
107a 投入用流路
107b 分離用流路
110 電極端固定用部材
112 蓋シール付きマイクロチップ
113 蓋シール部
以下に、本発明について、より詳しく説明する。
本発明にかかる自動サンプル処理方法では、対象となるサンプルは、バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施し、該液体試料中に含有される複数の物質を流路に沿って、それぞれスポット点を形成させて、位置的に分離した電気泳動分離済みの液状試料である。この電気泳動分離済みの液状試料は、所定の電気泳動分離操作が終了した時点では、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路内に液体状態で保持されている。この電気泳動分離済みの液状試料を、それ以降のバイオ分析に供するサンプルとする際、後段のバイオ分析の手法に応じて、試料調製処理を施す必要がある。
例えば、後段のバイオ分析手法が質量分析法である場合、流路に沿って、それぞれスポット点を形成させて、位置的に分離されている物質を一旦乾燥処理して、溶媒成分を除去することが必要である。その際、各スポット点を形成させて、位置的に分離されている物質が相互に交じり合うことを回避して、乾燥処理を施すことが必要である。本発明にかかる自動サンプル処理方法、自動サンプル処理装置は、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路内の電気泳動分離済みの液状試料を、この流路内から取り出す操作を省いて、その流路内のスポット点に維持した状態で、含まれる溶媒成分を蒸散させる処理形態に利用される。
(処理対象の電気泳動分離済みの液状試料)
まず、本発明の自動サンプル処理方法、自動サンプル処理装置の処理対象である、電気泳動分離済みの液状試料について説明する。
蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用する場合、従来のキャピラリー電気泳動法と同等の電気泳動分離が適用できる。具体的には、バイオ分析対象の液体試料中に含有されている生体物質が、タンパク質である場合には、各タンパク質が示す等電点の差違を利用して相互分離を行う等電点泳動、また、分子量差に由来する泳動速度の差違を利用して相互分離を行う泳動分離が利用できる。また、バイオ分析対象の液体試料中に含有されている生体物質が、核酸分子である場合には、その塩基長の差違、すなわち、分子量差に由来する泳動速度の差違を利用して相互分離を行う泳動分離が利用できる。
その際、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路自体の平面形状、流路の配置、流路の長さは、利用される電気泳動分離方法に応じて、適宜選択される。例えば、図2に示される平面形状を有する流路構成を選択することもできる。図2に例示する流路構成では、基板部103の上面に、等電点泳動分離に利用する分離用流路107bと、該流路107bに対して、泳動対象の生体物質、例えば、タンパク質を導入する投入用流路107aとを具えている。分離用流路107bの両端には、液溜まり部105d、105cが形成され、この液溜まり部105d、105cにpH勾配形成用の酸、塩基液を導入し、また、電界印加用の電極端が挿入される。投入用流路107aに対しても、その両端に液溜まり部105a、105bが形成されている。この液溜まり部105a、105bも、電界印加用の電極端が挿入され、投入用流路107a内におけるタンパク質の移動に際して使用する電界を生成する。
また、利用される電気泳動分離が、等電点泳動である場合には、図2に示す流路構成中の投入用流路107aを省き、等電点泳動分離に利用する分離用流路107bのみを具える流路構成を選択することもできる。図12に、等電点泳動分離に利用する分離用流路107bのみを具える流路構成の一例を示す。基板部103の上面に作製される分離用流路107bの両端には、液溜まり部105d、105cが形成され、この液溜まり部105d、105cにpH勾配形成用の酸、塩基液を導入する。電界印加用の電極端を挿入し、分離用流路107b内におけるタンパク質の移動に際して使用する電界を生成する。なお、図12に例示する分離用流路107bの形状は単一レーン構成であるが、基板部103の上面に複数本の溝状の流路を併設する、マルチ・レーン型のマイクロチップへ拡張することも可能である。
(蓋シール付きマイクロチップの構造とそれを用いる電気泳動操作)
蓋シール付きマイクロチップは、上面に所望の平面形状を有する溝状の流路が形成されている基板部103と、その溝状の流路上面をシール密封する蓋シール部113とで構成される。なお、蓋シール部113には、溝状の流路の末端にそれぞれ設ける液溜まり部に対応させて、液注入用の穴が形成され、一方、溝状の流路の上面は完全に覆う形態とされる。蓋シール部113は、該蓋シール部113の機械的強度を保持する機能を有する、板状の蓋基材部101と、その下面部に基板部103の上面との接着に利用する接着性樹脂膜層102とで構成される。また、板状の蓋基材部101と接着性樹脂膜層102とに形成される液注入用の穴は、液溜まり部105d、105cならびに液溜まり部105a、105bと位置合わせがなされている。さらには、板状の蓋基材部101と接着性樹脂膜層102の形成される液注入用の穴は、液溜まり部105d、105cならびに液溜まり部105a、105bに電界印加用の電極端を挿入する際にも利用される。なお、場合によっては、板状の蓋基材部101と、その下面部に基板部103の上面との接着に利用する接着性樹脂膜層102とを同一の材料を利用して構成することも可能である。両者に同一の材料を利用する際には、予め一体型として作製することも可能である。
この電界印加用の電極端を、板状の蓋基材部101の液注入用穴へ装着・固定するため、電極端固定用部材110が、板状の蓋基材部101に予め付設される。電気泳動操作に先立ち、電界印加用の電極端は、電極端固定用部材110を利用して、固定することができ、また、電気泳動操作の終了後、自動サンプル処理に移行する過程で、電界印加用の電極端は、電極端固定用部材110から取り外される。かかる蓋基材部101と電極端固定用部材110は、異なる素材で作製して、組み立てることもでき、また、同一素材で作製することも可能であり、その際には、予め、一体型に作製してもよい。この電気泳動操作に付随する電界印加用の電極端の着脱操作は、蓋シール付きマイクロチップを、電気泳動装置のマイクロチップ固定機構により、所定の位置に配置・固定した後、使用される電界印加用の電極端複数個の相互位置を予め決定されている、電極端着脱機構を利用して行うことができる。勿論、手動操作により、電極端の着脱、蓋シール付きマイクロチップの固定を行うことも可能であるが、電気泳動装置に具える、マイクロチップ固定機構、電極端着脱機構を自動操作可能な形態とすることが可能である。特には、本発明において、電気泳動操作の終了後、マイクロチップ自体は、その位置を保持したまま、一連のサンプル処理操作を自動的に実施することがより望ましいので、電極端の着脱、蓋シール付きマイクロチップの固定操作も自動化する形態が好ましい。
なお、図3に例示する構成では、電極端固定用部材110は、板状の蓋基材部101の液注入用穴の側壁部をも構成する形態で、取り付け固定されるが、図4に例示する他の構成のように、電極端固定用部材110は、板状の蓋基材部101の液注入用穴上端に連結される形態で、取り付け固定する構造を選択することもできる。
基板部103と、蓋シール部113とは、相互に、液注入用の穴と液溜まり部との位置を合わせて、基板部103の上面と、蓋シール部113の下面、すなわち、接着性樹脂膜層102とを接着させることで、溝状の流路107aの上面が、蓋シール部113でシール密封される構造となる。板状の蓋基材部101と接着性樹脂膜層102との間の接合は、高い接着特性を示す接合手段を採用し、後に蓋シール部113の剥離・除去を行う際、剥離は、基板部103の上面と、接着性樹脂膜層102との接着面で起こる形態を選択する。すなわち、基板部103の上面と接着性樹脂膜層102との接着面は、基板部103の上面に形成される溝状の流路107aから、流路内に充填される泳動液の漏洩、染み出しを生じさせない程度に緻密な接着状態を達成するに十分な接着強度を示すが、所定の外力を加えることで、この接着面で剥離が可能な状態とされる。
本発明にかかる自動サンプル処理方法、自動サンプル処理装置を適用する際には、基板部103の上面と接着性樹脂膜層102との緻密な接着状態の維持は、接着性樹脂膜層102自体の高い接着強度で達成することが好ましい。ただし、基板部103の上面と接着性樹脂膜層102との緻密な接着状態の維持は、接着性樹脂膜層102自体の接着強度は低くし、それを補うため、基板部103と蓋シール部113との間を密着させる外的な力の負荷に依る形態でも可能である。その基板部103と蓋シール部113との間を密着させる外的な力の負荷手段としては、蓋シール部113の上面から荷重を負荷する形態、負荷荷重印加機構を利用することができる。この負荷荷重印加機構は、基板部103と蓋シール部113との接着面全面に実質的に均等な負荷荷重の分散が可能な形態を選択することが望ましい。なお、蓋シール部113を剥離・除去する操作の際には、負荷荷重を取り除くため、マイクロチップ固定機構、電極端着脱機構と同様に自動操作可能な形態とすることが好ましい。例えば、負荷荷重印加機構と電極端着脱機構とを一体化し、負荷荷重印加機構による負荷荷重の印加がなされた後、電極端着脱機構による電極端の装着がなされるようにする。
基板部103の上面には、微細な溝状の流路107を作製するため、前記の微細構造加工を行なった際、目的の加工精度を達成することが可能な材料を選択する。利用する電気泳動法に応じて、作製される溝状の流路の断面形状は、流路の幅(W)、流路の深さ(D)は、5μm〜1000μmの範囲に選択される。この「マイクロチップ」の微細な溝状流路は、主に、キャピラリー電気泳動に代えて、微小試料液量を使用する電気泳動分離操作へ利用される。従って、微細な溝状流路の断面積(D×W)は、キャピラリー管内断面積と同程度、例えば、内径100μmの断面積を超えない範囲に選択することが望ましい。一方、流路の深さ(D)/流路の幅(W)の比率(D/W)は、基板部103の材質、溝状の流路の微細加工手段により決定される加工精度をも考慮して、適宜選択される。一般に、比率(D/W)を過大に大きくすると、加工の困難さが増すため、1/100≦D/W≦10の範囲に選択することが望ましい。
また、本発明にかかる自動サンプル処理方法、自動サンプル処理装置を適用する際には、この微細な溝状流路内において、電気泳動分離済みの試料に凍結乾燥・固定化処理を施し、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化した上で、分離されている含有成分物質をMALDI−MS分析に使用する。その際、溝状の流路の底面に存在する凍結乾燥物から、イオン種を生成し、溝状の流路上面の開口部より生成するイオン種を取り出す形態を利用するので、一般に、D/W≦1の範囲に選択することが望ましい。
本発明にかかる自動サンプル処理方法、自動サンプル処理装置を適用する際には、氷結状態を保持した状態のまま、電気泳動分離済みの試料が残留する状態とするため、溝状の流路の断面形状は、矩形とすることもでき、また、氷結状態の試料の脱離を困難とする、溝の底面部の幅(W1bottom)より上面の開放部の幅(W1 top)が狭い(W1 bottom>W1 top)台形形状とすることもできる。
基板部103の材料としては、例えば、石英もしくはガラス、シリコン等の微細加工に適する材料が好適に利用される。更には、ポリカーボネイト、PDMS、PMMA等の高い絶縁特性を有するプラスチック材料の内、目的とする微細加工精度を達成可能なものを利用することもできる。その上面に形成される溝状の流路に対して、電界を印加するため、基板部103自体は、溝状の流路内の泳動液から絶縁される必要があり、高絶縁性材料、例えば、石英もしくはガラスなどの使用が望ましい。また、シリコン等の絶縁性が劣る材料を利用する際には、溝状の流路内の泳動液と電気的な絶縁を図る、絶縁性の被膜層を溝状の流路内壁に設ける構成とする。あるいは、溝状の流路部分は、シリコン基板上に形成されるシリコン酸化物層を利用して形成する形態を採用することも可能である。
また、本発明では、剥離を行う際、基板部103は、弾性変形せず、蓋シール部113が弾性変形し、剥離の境界部に撓み構造を設けるため、板状の蓋基材部101には、可撓性を示す材料を利用する。または、蓋シール部113が弾性変形するに充分な厚みを蓋シール部113が備えていても良い。
本発明では、板状の蓋基材部101の材料として、液注入用穴の作製などの加工を施すことが可能であり、また、絶縁特性にも優れている上に、可撓性を示す材料が好適に利用される。例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などのアクリル樹脂、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等の高分子樹脂材料、特に、厚さが薄い場合にも、破断を起こすことなく、平坦で加工の容易な材料が好適に用いられる。また、接着性樹脂膜層102の基材に使用する樹脂としては、例えば、PDMSや、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ポリ塩化ビニルなどのポリオレフィン、またはポリエステルなどが用いられる。接着性樹脂膜層102としては、板状の蓋基材部101の材料よりも、弾性変形性が高い材料を用いることが好ましい。接着性樹脂膜層102の最表層には、接着性を付与する接着剤の被膜が付与される形態が望ましい。なお、溝状の流路上面の相当する領域は、接着剤の被膜はなく、疎水性、撥水性を示す表面とすることが好ましい。従って、接着性樹脂膜層102の基材として、例えば、PTFE等のフッ素系樹脂などの撥水性、撥油性を有する材料が好適に用いられる。
蓋シール付きマイクロチップ自体、基板部103の外形は矩形とし、その上面をシールする蓋シール部113も外形は矩形とする。蓋シール部113の剥離・除去を行う際、蓋シール部113の一端部に外力を印加するため、少なくとも、外力の印加に利用される一端部に、基板部103の外形より張り出した部分を設ける。例えば、基板部103の外形の矩形に対して、その長辺方向に蓋シール部113の剥離・除去方向を選択する場合、蓋シール部113の外形は、かかる長辺方向の長さを、基板部103の長辺よりも長くする。この長辺方向に張り出した部分に、蓋シール部113に対して、外力を印加する際、その作用点を設定することが可能となる。さらには、蓋シール部113の剥離・除去を終えた後、分離された蓋シール部を保持し、基板部上面から移動させ、取り外す操作を行う際、保持機構により分離された蓋シール部の端部を支えるための領域をかかる張り出し部分に設定することが可能となる。また、蓋シール部113の剥離・除去する際、外力を印加する部位として、基板部103の長辺と沿って設ける、蓋シール部113の短辺方向の張り出し部分を利用する形態を選択することも可能である。
(蓋シール付きマイクロチップ内の流路への泳動液注入機構)
蓋シール付きマイクロチップ内の流路は、上で述べたように、その断面積(D×W)はキャピラリーと同様の微細な断面積を有するものとするが、例えば、その上面を構成する蓋シール部113の材質は水濡れ性が乏しい場合も少なくない。水濡れ性が良好な材料で作製されるキャピラリーでは、毛細管現象によって、流路の一端から泳動液がキャピラリー全体に供給されるが、水濡れ性に乏しい内壁面を有するマイクロチップ内の流路では、毛細管現象を利用する泳動液注入に代わる、液注入機構を設ける必要がある。具体的には、流路の末端に設ける液溜まり部と、流路内部との間に圧力差を形成し、この圧力差を利用して、一つの液溜まり部から供給される泳動液を流路内部へと強制的に注入する形態を利用することが好ましい。
蓋シール付きマイクロチップ内の流路自体は、シール密封された状態であるので、一つの液溜まり部から内部の気体を吸引し、他の液溜まり部に泳動液を供給すると、その間の圧力差により、泳動液が流路内へと浸入する。その際、泳動液が流路内全体を満たす状態となった時点で注入を停止する。この圧力差を利用する泳動液注入手法を利用すると、流路の末端に設ける液溜まり部の一つに、内部の気体吸引用の吸引システムを連結し、他の液溜まり部には、所定液量の泳動液を注入供給するマイクロ液量の液供給システムを連結し、更に、その注入動作の終了時を自動的に決定する判定システムと連動することで、泳動液注入操作の自動化が図れる。
注入動作の終了時を自動的に決定する判定システムには、例えば、以下に例示する注入された泳動液が流路内全体を満たす状態となったか否かを検出する検出系を利用する判定システムが利用できる。
泳動液が流路内全体を満たす状態となると、泳動液自体は、若干の電気伝導性を示す媒体であり、流路の両端間において、抵抗値をモニターすると、絶縁状態から、所定の抵抗値へと急激な変化を起こす。この泳動液の電気伝導性媒体としての機能を利用する、抵抗値モニター方式の液検出系を各流路の両端に付設することで、泳動液の充填状態を判定することができる。
あるいは、泳動液は、液体であり、その誘電率は、気体とは格段に異なっている。この特徴を利用すると、流路の両側壁間に平板型コンデンサーの電極を設けておき、この電極間に泳動液が浸入すると、容量の変化を引き起こす現象によるモニターも可能である。この平板コンデンサー方式の液検出系を各流路の両端に付設することで、泳動液の充填状態を判定することができる。
その他、泳動液は、液体であり、誘電率と同様に屈折率も、気体とは格段に異なっている。例えば、基板部103が光透過性材料で構成されている場合、その上面に形成されている流路の壁面における光反射率は、泳動液がこの壁面を覆う状態になると、変化する。この現象を利用して、流路の一壁面からの光反射を検出する反射率検出系を設けると、そのモニターしている流路の一壁面部分に泳動液が到達したか否かを判定することも可能である。この壁面光反射率モニター方式の液検出系を各流路の両端に付設することで、泳動液の充填状態を判定することができる。
前記の液検出系を利用する、泳動液の充填状態判定機構と、圧力差を利用する泳動液の注入機構とを一体化し、注入動作の終了時点を自動的に決定することで、泳動液注入操作全体の自動化を達成することができる。
(蓋シール付きマイクロチップの基板部固定機構、基板部冷却機構、冷却機構の制御機構部)
マイクロチップの基板部103の上面から蓋シール部113の剥離・除去する際、基板部103を固定した上で、蓋シール部113の一端部に外力を印加し、基板部103と蓋シール部113との接着面に対して実質的に垂直方向に、その蓋シール部113の一端部を強制的に変位させる。この一端部の変位に付随して、蓋シール部113は、接着面に対して撓み構造を有するものとなる。
その外力を印加した段階で、基板部103の移動を防止するため、基板部を固定する。同時に、蓋シール部113の剥離・除去操作に先立ち、基板部103の溝状の流路内に存在している電気泳動分離済みの液状試料を冷却し、該液状試料全体が、氷結された状態とする。この液状試料は、泳動液中に電気泳動分離された可溶性物質がスポット点を形成して溶解している状態となっている。その溶媒成分は水であるが、バッファ成分などが溶解しており、凝固点降下のため、氷結が開始する温度は氷点(0℃)よりも低くなっている。そのため、液状試料全体を、氷結が開始する温度よりも有意に低い温度まで急速に冷却し、一旦過冷却状態とすることで、溝状の流路内の液状試料全体を一気に氷結させることが望ましい。すなわち、氷結が開始する温度より僅かに低い温度で溶媒の水を緩やかに氷結させると、スポット点では溶解されている物質濃度は高いが、スポット点を除く領域では物質濃度は低いため、スポット点を除く領域から氷結が開始する。その場合、氷結に伴う体積膨張により、スポット点付近の未氷結領域が圧縮を受け、溝状の流路外へ液の染み出しを引き起こす要因ともなる。その回避を計る上では、氷結が開始する温度よりも有意に低い温度まで急速に冷却し、一旦過冷却状態とすることで、溝状の流路内全体にわたって、同時に氷結が進行する状態とすることが望ましい。
すなわち、マイクロチップの基板部103の底面から、流路全体を均一な温度となるように急速に冷却し、氷結が開始する温度よりも有意に低い温度とすることで、一旦過冷却状態とする基板部冷却機構を利用することが好ましい。この冷却機構は、基板部の底部全体と均一に接触する配置を採ることが望ましく、基板部固定機構と基板部冷却機構とを一体化する形態が望ましい。
基板部の固定は、基板部の側壁部の固定を行う形式も利用可能ではあるものの、基板部の底面を固定する形式が好ましい。例えば、基板部の底面を平坦な平面に加工した上で、真空チャック方式の固定ステージ上の所定位置に基板部の底面を固定する形式が好適に利用される。厚さ自体は数mm以下であるが、マイクロチップの基板部103の平面サイズは、少なくとも、数mm程度の小さなものではなく、短辺、長辺のサイズは10数cm以下であるので、真空チャック方式の固定ステージに対して、かかる固定ステージ面をペルチェ素子などの冷却手段を利用して、所定の温度まで冷却する形態とすることが好ましい。
なお、かかる一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構において、固定ステージ面ならびに蓋シール付きマイクロチップは、氷点(0℃)よりも有意に低い温度へ冷却するため、周辺雰囲気が水分を含む場合、その結露、氷結が生じる。この結露、氷結を防止するため、固定ステージ面ならびに蓋シール付きマイクロチップの周辺雰囲気は、水分を含まない乾燥気体雰囲気に保つ構成とする。具体的には、かかる基板部固定機構と基板部冷却機構を含む領域自体を気密性の密閉槽内に設置し、かかる気密性の密閉槽内を乾燥空気、乾燥窒素雰囲気下に維持する構成とする。
流路内の液体試料の氷結がなされていない状態では、搬送の際に振動は、流路内で液の混合を引き起こす要因ともなるため、上述する電気泳動分離操作を行う際、マイクロチップを固定している位置において、かかる一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構に対して、マイクロチップの基板部103の固定を行う。電気泳動装置に対して、一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構を付設し、電気泳動分離操作が終了した時点で、速やかに、一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構による、マイクロチップの基板部103の固定と、基板部の急冷の操作を実行する。
電気泳動分離操作の段階では、マイクロチップの基板部103の固定は、他の固定化手段を使用する場合、電気泳動分離操作を完了した時点で、一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構を、マイクロチップの基板部103の底部に緻密に接触可能な位置に移動させる形態を利用する。また、電気泳動分離操作に先立ち、蓋シール付きマイクロチップを装置上の所定位置にセット・固定する際には、その固定にかかる一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構を利用する場合であっても、使用される蓋シール付きマイクロチップの搬入操作に付随し、一体化された基板部固定機構と基板部冷却機構を移動可能な形態を選択することも可能である。
溝状の流路内の液状試料全体を、氷結が開始する温度よりも有意に低い温度まで急速に冷却し、一旦過冷却状態とすることで、溝状の流路内の液状試料全体を一気に氷結させる上では、冷却温度を、少なくとも氷点(0℃)よりも10℃〜30℃低い温度範囲、少なくとも、−20℃以下の温度に設定することが望ましい。前記冷却温度まで冷却した際、液状試料は、一旦過冷却状態となり、溝状の流路内の液状試料全体を一気に氷結に進行する。
基板部固定機構によるマイクロチップの基板部103の固定、ならびに、基板部冷却機構による基板部103の冷却を介する溝状流路内の液状試料の氷結処理、その後の氷結状態を維持するための温度制御、これらの一連操作は、冷却機構の制御機構部により自動化され、所定の条件に従って実施することが可能である。
(蓋シール部の剥離・除去機構)
本発明においては、蓋シール付きマイクロチップを構成する基板部103と蓋シール部113とを分離する際、マイクロチップの基板部103を固定した上で、基板部103上面に密着されている蓋シール部113を剥離・除去する手法を採用している。
具体的には、基板部103上面と蓋シール部113下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している接着力を開放するため、基板部103上面に対して実質的に垂直な方向成分を有する外力を、蓋シール部113の端部に印加して、蓋シール部113を撓ませ、この撓みを所定の曲率に保持しつつ、蓋シール部113の端部を上方に持ち上げる形式で所望の速度で剥離を進める。本発明では、この蓋シール部113の剥離の過程で、蓋シール部113下面と接触している、溝状流路内の氷結状態の電気泳動分離済み試料上面でも、速やかに剥離が進み、氷結状態の電気泳動分離済み試料は溝状流路内に残され状態で、蓋シール部113の剥離を完了させる。
本発明にかかる自動サンプル処理方法、自動サンプル処理装置を適用する際には、基板部103の上面と蓋シール部113下面との緻密な接着状態の維持は、基板部103上面に対する、蓋シール部113下面の接着力自体に因る形態とする。一方、冷却状況下においても、蓋シール部113下面と氷結状態の電気泳動分離済み試料上面との間の単位面積当たりの接着力pは、基板部103の上面と蓋シール部113下面との間の単位面積当たりの接着力pよりも、小さくする(p>p)。
その際、基板部103の上面と蓋シール部113下面との間の接着力のため、蓋シール部113の一端を基板部103上面に対して実質的に垂直な方向に持ち上げ、蓋シール部113が撓んだ状態となっても、剥離が開示しない範囲がある。さらに大きな撓みを示す状態となると、剥離が開始する閾値が存在している。その閾値条件を満足する時点の撓み形状は、蓋シール部113の一端の基板部103上面からの変位量:δ、基板部103上面と蓋シール部113下面とが接触する境界から、蓋シール部113の一端に負荷される外力の作用点までの長さ:Lによって規定されており、実質的に一定の曲率半径:Rを有する円弧状を示すものとなる。すなわち、この円弧の角度をθとすると、
L=R・θ
δ=R(1−cosθ)
を満足する。この撓み形状の際、基板部103上面と蓋シール部113下面とが接触する境界に加わる力Pは、蓋シール部113の厚さ:d、横幅:b、およびその実効的なヤング率:Eの値を用いると、下記のように近似的に表現される。
δ=P・(2L)/{4bdE}
P=δ・{4bdE}/(2L)
蓋シール部113の一端の変位量:δを、δ→δ+Δδと増加させると、撓み形状を示す曲率半径:Rは、R→R−ΔRに変化し、その円弧の角度:θは、θ=θ+Δθとなり、
L=(R−ΔR)・(θ+Δθ
≒R・θ+{R・Δθ−ΔR・θ}
δ+Δδ=(R−ΔR)・{1−cos(θ+Δθ)}
≒(R−ΔR)・{1−cosθ+Δθ・sinθ}
≒R(1−cosθ)+{R・Δθ・sinθ−ΔR・(1−cosθ)}
≒R(1−cosθ)+ΔR・{θ・sinθ−(1−cosθ)}
と過渡的に変化する。
この撓み形状の際、基板部103上面と蓋シール部113下面とが接触する境界に加わる 力P+ΔPは、下記のように近似的に表現される。
P+ΔP=(δ+Δδ)・{4bdE}/(2L)
P+ΔP→Pに減少するように、剥離が僅かに進行する。そして、再び、それ以上の剥離が進行しない状態となる。その剥離が停止した時点では、撓みの形状は、実質的に一定の曲率半径:Rを有する円弧状を示すものとなる。
L+ΔL=R・(θ+Δθ
δ+Δδ=R・{1−cos(θ+Δθ)}
≒R・{1−cosθ+Δθ・sinθ}
≒R・(1−cosθ)+R・Δθ・sinθ
この段階では、基板部103上面と蓋シール部113下面とが接触する境界に加わる力P−ΔPは、下記のように近似的に表現される。
P−ΔP2=(δ+Δδ)・{4bdE}/{2(L+ΔL)}
≒(δ+Δδ)・{4bdE}/{(2L)・(1+3ΔL/L)}
≒(δ+Δδ)・(1−3ΔL/L)・{4bdE}/(2L)
すなわち、(P+ΔP)→(P−ΔP)への減少する際、ΔLの部分が剥離される。従って、このΔLの部分の接着力減少が、(P+ΔP)→(P−ΔP)への変化に相当することになる。基板部103上面と蓋シール部113下面と間の単位面積当たりの接着力をp0とすると、
(ΔP+ΔP)=(3ΔL/L)・(δ+Δδ)・{4bdE}/(2L)
≒p・b・ΔL
換言すると、剥離が進行する上では、
3・(1/L)・P≒p・b>p・b
で表現される閾値条件を超えるひずみ(曲率半径Rが小さな撓み)が基板部103上面と蓋シール部113下面とが接触する境界で維持される必要があると算定される。
すなわち、蓋シール部113の端部に印加する外力は、1/2Pであり、
(1/2P)>p・b・L/6
を維持する範囲に選択すると、剥離が進行することになる。勿論、その際、氷結状態の電気泳動分離済み試料の上面と蓋シール部113下面との間の剥離も同時に進行する。
この条件は、基板部103上面と蓋シール部113下面とが接触する境界、換言するならば、剥離が進行する境界における、撓みを示す曲率半径Rを、前記閾値条件における曲率半径Req1より小さい(R<Req1)状態で剥離を行うことが必要となる。
一方、撓みを示す曲率半径Rに大きな変動があると、特に、曲率半径Rが一旦大きくなった後、元の小さな値になる際、剥離部位において、氷結状態の電気泳動分離済み試料の上面も急に大きな引っ張り応力が加わる。その結果、氷結体内部には多くの瑕(粒界)が存在しており、その瑕(粒界)から剥落が生じ、蓋シール部113下面にそのまま付着する状態となる。撓みを示す曲率半径Rが変動しない状況を維持することで、図1に示すような不具合、すなわち、この種の瑕(粒界)から剥落が生じ、蓋シール部113下面にそのまま付着する現象が回避される。
基板部上面に対して実質的に垂直な方向成分を有する外力を、蓋シール部の端部に印加する機能を具えた外力印加機構と、蓋シール部の端部への外力印加と同期して、基板部上面と蓋シール部下面との接触界面に対して、実質的に垂直な方向へ、該蓋シール部の端部を移動させる蓋シール部端部移動機構と、基板部の上面から蓋シール部の下面を剥離する過程において、該剥離が進行する境界面における該蓋シール部の局所的撓みが示す曲率半径Rを、所定の目標値に維持するように、該蓋シール部の端部の移動速度を制御する機能を有する蓋シール部端部移動速度制御機構とは、一体に構成され、例えば、次に示す構成を選択することができる。
(第一の実施態様)
図5に示す蓋シール部の剥離機構は、蓋シール部の端部を真空吸着した上で、所定の半径を有するローラーを利用して、巻き上げを行う方式である。蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rは、ローラーの半径に等しくなり、また、その巻き上げ速度を一定とすることで、蓋シール部端部移動速度も一定となる。
蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、ローラーの半径を変更し、また、巻き上げ速度を設定する。
(第二の実施態様)
図6に示す蓋シール部の剥離機構は、蓋シール部の端部をツマミ部でチャックした上で、引き上げる方式である。その際、蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、引き上げる速度を選択する。
(第三の実施態様)
図7に示す蓋シール部の剥離機構は、蓋シール部の端部、両端部を同時に持ち上げる方式である。蓋シール部の端部を移動させるツマミ部は、蓋シール部の下面を押し上げる方式である。その際、蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、押し上げる速度を選択する。
(第四の実施態様)
図8に示す蓋シール部の剥離機構は、蓋シール部の端部を真空吸着部でチャックした上で、引き上げる方式である。その際、蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、引き上げる速度を選択する。
引き上げる速度の制御は、引き上げアームの回転角と、回転軸の支持を行う支柱の上下移動速度とを用いて、所望の範囲に調整する。
(第五の実施態様)
図9に示す蓋シール部の剥離機構は、蓋シール部の端部を真空吸着部でチャックした上で、引き上げる方式である。その際、蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、引き上げる速度を選択する。
場合によっては、基板部を固定するステージを引き下げる、相対的に引き上げを行うことも可能である。
(第六の実施態様)
図10に示す蓋シール部の剥離機構も、蓋シール部の端部を真空吸着部でチャックした上で、引き上げる方式である。その際、蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、引き上げる速度を選択する。
場合によっては、基板部を固定するステージを引き下げる、相対的に引き上げを行うことも可能である。
(第七の実施態様)
図11に示す蓋シール部の剥離機構は、蓋シール部の端部から、所定のスロープ角を有するショベル状のガイド部を挿入し、蓋シール部の端部をこのスロープに沿って、持ち上げつつ、移動させる方式である。その際、蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rの目標値に応じて、移動速度を選択することで、撓みを示す曲率半径Rが制御される。
具体的には、スロープの斜面と、基板部の上面とに内接する円の半径が蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rとなる。移動速度を大きくするとともに、その蓋シール部の撓みを示す曲率半径Rは小さくなる。移動速度を一定とすると、その条件で決まる撓みを示す曲率半径Rに調整される。
(分離された蓋シール部の取り外し機構)
本発明では、氷結状態の電気泳動分離済み試料は溝状流路内に残され状態で、蓋シール部113の剥離を完了させる。その後、分離された蓋シール部は、例えば、上記の第二の実施態様では、蓋シール部の端部をツマミ部でチャックした状態に保持し、ツマミ部を移動させることで、基板部上面から取り除かれる。その他、第四の実施態様〜第七の実施態様では、剥離に使用した機構に保持した状態で、移動させることで、基板部上面から取り除かれる。第三の実施態様では、分離された蓋シール部に対して、別途、その端部をツマミ部でチャックした状態に保持し、ツマミ部を移動させることで、基板部上面から取り除く形態を採用できる。
氷結状態の電気泳動分離済み試料は溝状流路内に残され状態となっているので、基板部ごと、他の装置へ搬送することも可能である。基板部に形成されている溝状の流路を露呈させた状態となっており、例えば、そのまま、凍結乾燥処理を行うことが可能である。
(バイオ試料の分析方法)
本発明にかかるバイオ試料の分析方法において、電気泳動操作として、等電点泳動法を利用すると、バイオ分析対象の液体試料中に含有される複数種のタンパク質に関して、その等電点(pI)と、MALDI−MS分析に基づき、分子量(M)と存在量(C)の情報が入手される。この二種の情報(pI,M)を利用すると、バイオ分析対象の液体試料中に含有される複数種のタンパク質に関して、所謂、二次元電気泳動を行い、見かけの分子量と、その等電点(pI)の差違に従って、個々のタンパク質の分離を行った際、どのような「二次元電気泳動」パターンを示すかを、半定量的に予測することが可能である。従って、各種の疾病に関連する「マーカー・タンパク質」などを探索する際、疾病状態の患者から採取される試料と、健常者から採取される試料とを比較し、当該疾病に関連する「マーカー・タンパク質」の候補と想定される「未同定のタンパク質」を探索することで、「二次元電気泳動」で解析すべき試料の絞込みを行うことができる。
(マイクロチップ化学分析装置)
本発明にかかるマイクロチップ化学分析装置の全体構成の好ましい形態に関して、さらに説明する。
本発明にかかるマイクロチップ化学分析装置は、特には、対象となるサンプルとして、バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施し、該液体試料中に含有される複数の物質を流路に沿って、それぞれスポット点を形成させて、位置的に分離した電気泳動分離済みの液状試料を取り扱うが、電気泳動分離以外の化学分析手法を利用する際にも適用できる。
その際、全体の装置構成は、マイクロチップの流路にてサンプルを化学分析する化学分析部1と、化学分析されたサンプル・泳動液を固定するための溶液固定部2と、マイクロチップ基板部の流路中の固定されたサンプルを露出するために、基板部から蓋シール部を分離する蓋シール部分離部3を備える構成とする。その他、マイクロチップ中でサンプルを化学分析できる構造に付随して設ける個々の部材、機構、また、次段以降の分析へ、かかるサンプルを利用する際に利用される、付属機構に関しては、化学分析部1における分析に影響を及ぼさない限り、特に制限はない。
本発明における化学分析部1で行う化学分析は、特に制限はないが、例えば、電気泳動による分離があげられ、特にサンプルを個々の等電点で濃縮できる等電点電気泳動が好適である。この場合、化学分析部1は、電極部と泳動用電源から形成されていてもよい。泳動用電源から配線を通じて電極部へ電圧を供給し、電極部を用いて、マイクロチップの流路中の泳動液に電圧を印加して電気泳動させる。マイクロチップに対して、蓋シール部の上にさらに、液だめフタ部を配置し、流路中の泳動液の蒸発を抑制することもできる。また、電圧印加時に、その電流値をモニターする電流モニター部を備えていてもよい。
また、化学分析部1は、液だめフタ部や電極部を自動で所定の位置に移動させる移動機構を備えていてもよい。これら付属機構は、1種類でも、複数でも、複数種類を併用して組み合わせてもよい。
本発明における溶液固定部2は、特に制限はないが、例えば、前記化学分析部1にて化学分析したサンプル・泳動液を凍結することで固定する冷却機構を利用する。
本発明における冷却機構は、マイクロチップの基板部に直接接触することで冷却する形式が望ましい。冷却機構は1つでも複数でもよく、基板部側に加えて、液だめフタ部を介して、蓋シール部側から冷却する副次的冷却機構を付設してもよい。特に制限はないが、例えば、ペルチェ素子やチラーを利用する冷却機構などを挙げることができる。
本発明における蓋シール部分離部3は、蓋シール部を吸着する、あるいは接触あるいは固定する機構と、基板部を吸着する、あるいは接触あるいは固定する機構と、固定した蓋シール部と基板部とを相対的に遠ざける移動機構とを有する。
本発明における蓋シール部を吸着する、あるいは接触あるいは固定する機構は、特に制限はないが、例えば、減圧により蓋シール部を固定機構に吸着させる吸着部であってもよく、蓋シール部を固定機構に粘着させる粘着部12であってもよく、また、蓋シール部を固定機構に接触あるいは固定させる蓋シール部固定部であってもよい。
本発明における基板部を吸着する、あるいは接触あるいは固定する機構は、特に制限はないが、例えば、減圧により基板部を固定機構に吸着させる基板部吸着部であってもよく、基板部を固定機構に粘着させる基板部粘着部であってもよく、また、基板部を固定機構に接触あるいは固定させる基板部固定部であってもよい。
本発明において、利用可能な蓋シール部吸着部、基板部吸着部は、吸着孔と、吸着孔を通して減圧する減圧機構を有し、吸着孔に接近した物体を吸着することができる。
本発明における固定した蓋シール部と基板部とを相対的に遠ざける移動機構は、特に制限はないが、例えば、基板部、あるいは蓋シール部を上下させるチップステージ部であってもよく、回転して蓋シール部を巻き取るローラ部であってもよく、蓋シール部あるいは基板部をつまみ、あるいは引っ掛けて上下させるつまみ部または引っ掛け部であってもよく、軸を回転の中心として開閉する開閉部であってもよい。
本発明のマイクロチップ化学分析装置は、さらに必要に応じて、マイクロチップを接合する蓋シール部・基板部接合機構や、サンプル・泳動液をマイクロチップ流路に注入するための溶液注入機構や、蓋シール部を基板部から取り除いた後に、基板部上に露出された凍結サンプル・泳動液を乾燥させるための乾燥機構や、化学分析の進行の様子あるいは結果を検出するための信号検出部を備えることができる。
本発明における蓋シール部・基板部接合機構は、特に制限はないが、例えば、マイクロチップの形状に合うように設計された突起、くぼみ、孔、ピン等の位置決め用のガイドや、マイクロチップを保持するホルダや、基板部と蓋シール部を所定の位置に配置し、基板部と蓋シール部とを圧迫することで、密着性を高めて両者を接合する移動機構等をあげることができる。これらは、1種類でも、複数でも、複数種類を併用してもよい。
本発明における溶液注入機構は、特に制限はないが、例えば、マイクロチップ流路の両端に位置する開口部に、差圧を発生させて溶液を導入する減圧機構、あるいは加圧機構等があげられる。
本発明における乾燥機構は、特に制限はないが、例えば、基板部上に露出された凍結サンプル・泳動液を蒸発させるための加熱機構や、基板部上に露出された凍結サンプル・泳動液を昇華させるための密閉槽と減圧機構等があげられる。密閉槽中に基板部を配置し、密閉槽内を減圧することで、サンプル・泳動液を昇華させることができる。化学分析後に蓋シール部が取り除かれることによって露出された凍結サンプル・泳動液は、しかし、周囲の温度が上昇すると溶解し、液中拡散してしまうため、冷却状態でしか分析状態を維持できなかった。しかし、乾燥機構で乾燥させることによって、周囲の温度に関係なく、流路中のサンプル・泳動液を完全に固定することができる。
本発明における信号検出部は、特に制限はないが、例えば、光照射部を備えていても良い。信号検出部は、流路内の吸収波長、蛍光等の光波長信号を測定するために、少なくとも光検出器を有する。例えば、光照射部から、流路に励起光を照射し、信号検出部を用いて蛍光を検出する。この信号検出部は、化学分析部1を用いてサンプルを分析している場合に用いても良いし、分析後に、溶液固定部2を用いて溶液を固定した後に用いても良いし、蓋シール部分離部3を用いて蓋シール部を分離した後に、露出させたサンプルを保持する流路に対して用いてもよいし、乾燥機構を用いて乾燥固定されたサンプルを保持する流路に対して用いてもよい。
本発明のマイクロチップ化学分析装置は、以上に述べた本構成の1種類でも、複数でも、複数種類を併用して組み合わせていてもよい。
本発明のマイクロチップ化学分析装置は、操作の容易性の観点からは、さらに制御部を備えることが好ましい。制御部は、電流モニター部を用いて電流値をモニターし、電源から供給する電圧を制御するために用いることができる。さらに、制御部は、電流値のモニターや電圧の印加時間、使用電力量から化学分析の終了を判断するために、また、冷却機構の動作を制御するために用いることができる。さらに、制御部は、蓋シール部を吸着する、あるいは接触あるいは固定する機構と、基板部を吸着する、あるいは接触あるいは固定する機構と、固定した蓋シール部と基板部とを相対的に遠ざける移動機構の動作を制御し、流路を露出させるために用いることができる。さらに、制御部は、蓋シール部・基板部接合機構で、蓋シール部と基板部とを接合する移動機構を制御するために、また、溶液注入機構で、差圧を発生させる減圧・加圧機構を制御するために、また、乾燥機構で、加熱機構や減圧機構を制御するために、また、信号検出部で、サンプルの分析状態を確認するために用いることができる。
次に、より具体的な例示により、本発明のマイクロチップ化学分析装置を説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これら具体的な態様に限定されるものではない。
(第八の実施態様)
図3は、本発明のマイクロチップ化学分析装置の実施態様の一例として、等電点分離を実施する装置の概要を模式的に示す図である。この第八の実施態様では、サンプルを等電点分離により化学分析し、凍結固定によりサンプルと泳動液とを分析状態のままで固定したのちに、蓋シール部を基板部から分離し、取り除く。その結果として基板部上に露出されたサンプル・泳動液を、密閉槽と減圧機構を用いて昇華させることにより、乾燥固定する。
マイクロチップは、流路構造を持つ基板部103と液だめとなる穴構造を持つ蓋シール部113から構成される。
まず、基板部103を、チップ・ガイドに沿ってチップ台に設置する。チップ台は、ペルチェと吸着孔と移動機構で構成されている。ペルチェは、マイクロチップを冷却する冷却機構としても用いる。吸着孔は、真空ポンプにつながっており、基板部103をチップ台に吸着させることで、固定させる。移動機構は、蓋シール部と基板部とを互いから遠ざける移動機構として利用する。また、蓋シール部・基板部接合機構としても利用している。
次に、蓋シール部113を、フタ・ガイドに沿ってフタ台に設置する。フタ台は、本実施態様ではフタ・ガイドと一体としてあり、蓋シール部固定機構としても機能する。
その後、液だめフタ部を蓋シール部113上に設置する。液だめフタ部は、下面に電極部と吸着孔を備えており、この電極部は、蓋シール部113の液だめ部に配置される。吸着孔は、吸着孔を通じて減圧することにより、液だめフタ部と蓋シール部113とを吸着させるために用いられる。また、液だめフタ部と蓋シール部113とを分離する際には、液だめフタ部は、蓋シール部用の冷却機構として用いるペルチェを備えている。さらに、液だめフタ部は移動機構を備えており、液だめフタ部を所定の位置に移動させる移動機構として、蓋シール部と基板部とを相対的に遠ざける移動機構として機能し、さらには、蓋シール部・基板部接合機構としても用いる。
次に、基板部103が設置されたチップ台を移動機構により上昇させることにより、基板部103を蓋シール部113に圧迫させてマイクロチップを接合させる。その後、チップ台の位置はそのまま維持される。液だめフタ部は、蓋シール部113上から移動させ、マイクロチップの液だめ部を露出する。蓋シール部113の液だめに、サンプルを溶解させた泳動液を注入する。特には、等電点電気泳動をおこなうため、泳動液に2%アンフォライト(両性担体)を用いた。注入により、マイクロチップの流路全体に泳動液が満たされたら、液だめに残っている泳動液を取り除く。次に、流路両端の液だめに、それぞれ陰極液、陽極液を注入し、再度液だめフタ部を蓋シール部113上に設置する。
以上の移動機構は、すべて制御部で動作させることができる。
電源から配線を通じて電極部に電圧を印加し、電流モニター部を用いて電極部の陽極・陰極間の電流値を測定する。電流値は、電圧印加時から徐々に減少するため、この電流値あるいは電力値を測定できれば、等電点分離の終了を判断できる。
等電点分離後、チップ台と液だめフタ部の冷却機構を動作させて、サンプル・泳動液を凍結させる。次に、吸着孔でチップを吸着しながらチップ台を下降させて、基板部103から蓋シール部113を分離させる。液だめフタ部は、フタ・ガイドとともに蓋シール部113を上下から挟み固定することで、蓋シール部固定装置として動作する。このとき、チップ台の冷却機構により基板部103を冷却し続けることで、凍結したサンプル・泳動液を基板部103上に露出することができる。この時点で、基板部103は蓋シール部113の下部に位置している。液だめフタ部は、蓋シール部113を吸着孔により吸着させた状態で、化学分析部1の隣にあるフタ廃棄部の上部まで移動し、フタ廃棄部の底面に蓋シール部113を配置する。
その後、密閉槽全体を排気する吸気孔を通じて、密閉槽を減圧する。減圧状態で、流路中の溶液が昇華し終わったら、減圧を停止し、大気圧にまで戻す。
以上から、マイクロチップ上で等電点分離したサンプルを化学分析装置内で凍結固定し、フタを取り除いて流路のサンプル・泳動液を露出した後に、サンプル・泳動液を凍結乾燥させることで、乾燥固定できた。
本発明にかかるバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法、ならびに、バイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理装置は、電気泳動分離処理済みの試料を利用する、更なる分析、例えば、質量分析やバイオアッセイ分析に供するサンプル調製工程の再現性の向上に利用できる。

Claims (8)

  1. バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路に保持されている電気泳動分離済みの液状試料を自動的に処理する方法であって、
    前記蓋シール付きマイクロチップは、その基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部とが、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している構成を有し、
    分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作が完了した後、
    前記蓋シール付きマイクロチップの基板部を冷却し、氷点以下の所定の低温度条件を達成し、該流路内に保持されている電気泳動分離済みの液状試料に対して、含まれる水溶媒を氷結させる操作を施す冷却工程と、
    前記蓋シール付きマイクロチップの基板部を前記所定の低温度に冷却保持して、該流路内において、電気泳動分離済みの試料は氷結状態を保持した状態を維持しつつ、
    基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している接着力を開放する操作を施すため、基板部の上面から蓋シール部の下面を剥離するため、蓋シール部の端部に外力を印加し、該剥離が進行する境界面における該蓋シール部の局所的撓みが示す曲率半径Rを、所定の閾値Req1に対して、曲率半径Rが前記閾値Req1より小さい条件(R<Req1)を維持して、基板部から蓋シール部を剥離・除去する操作を実施する蓋シール部剥離工程と、
    前記剥離工程を終了した後、該蓋シール付きマイクロチップにおいて、基板部上面から接着固定が開放され、分離された蓋シール部を取り外し、基板部に形成されている溝状の流路中に、電気泳動分離済みの試料は氷結状態を保持した状態の表面を露呈させた状態で、分離された蓋シール部を保持する移動操作を施す、蓋シール部の取り外し工程とを有し、これら一連の工程を自動的に実施する
    ことを特徴とする自動サンプル処理方法。
  2. バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路に保持されている電気泳動分離済みの液状試料を自動的に処理するための装置であって、
    前記蓋シール付きマイクロチップは、その基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部とが、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している構成を有し、
    分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作が完了された蓋シール付きマイクロチップに対して、
    前記蓋シール付きマイクロチップの基板部と接する配置に設置可能な基板部冷却機構と、
    該基板部と接する配置に設置される基板部冷却機構による冷却により、少なくとも、基板部を氷点以下の所定の低温度条件に維持することが可能な冷却機構の制御機構部と、
    前記蓋シール付きマイクロチップの基板部を前記基板部冷却機構と接する配置に固定可能な基板部固定機構と、
    前記基板部固定機構によって、基板部を固定した配置において、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している接着力を開放するため、基板部上面に対して実質的に垂直な方向成分を有する外力を、蓋シール部の端部に印加する機能を具えた外力印加機構と、
    前記外力印加機構による、蓋シール部の端部への外力印加と同期して、基板部上面と蓋シール部下面との接触界面に対して、実質的に垂直な方向へ、該蓋シール部の端部を移動させる蓋シール部端部移動機構と、
    前記蓋シール部の端部に対して、同期して作用する外力印加機構と蓋シール部端部移動機構によって、基板部の上面から蓋シール部の下面を剥離する過程において、該剥離が進行する境界面における該蓋シール部の局所的撓みが示す曲率半径Rを、所定の閾値Req1に対して、曲率半径Rが前記閾値Req1より小さい条件(R<Req1)を維持するように、
    該蓋シール部の端部の移動速度を制御する機能を有する蓋シール部端部移動速度制御機構 と、
    基板部上面から蓋シール部を剥離する操作を終了した後、基板部上面から接着固定が開放され、分離された蓋シール部を保持し、基板部上面から移動させ、基板部に形成されている溝状の流路を露呈させる機能を有する、分離された蓋シール部の取り外し機構とを具え、
    上記の一連の操作を実施する各機構の動作を、所定の工程プログラムに従って、自動的に実施させる機能を有する、自動操作制御機構を有する
    ことを特徴とする自動サンプル処理装置。
  3. バイオ分析対象の液体試料に対して、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作を施した後、該蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路に保持されている電気泳動分離済みの液状試料中、前記流路上において、スポット分離されている含有成分物質について、該スポット分離されている含有成分物質の質量分析を行う方法であって、
    前記蓋シール付きマイクロチップは、その基板部に形成されている溝状の流路に対して、その上面をシール密封している蓋シール部とが、基板部上面と蓋シール部下面とを密着させ、所定の配置で接着状態を達成している構成を有し、
    分析対象の液体試料を、蓋シール付きマイクロチップに形成されている流路を利用して、所望の電気泳動分離操作が完了した後、
    請求項1に記載のバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法に従って、基板部上面をシール密封している蓋シール部を剥離・除去を行って、
    表面を露呈させた基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料を回収する工程と、
    基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、凍結乾燥処理を施し、
    該基板部に形成されている溝状の流路上において、各スポット点として、分離されている含有成分物質を、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化する、凍結乾燥・固定化工程と、
    該基板部に形成されている溝状の流路上に、MALDI−MS分析に採用されるマトリックス剤を塗布し、該スポット点上に凍結乾燥物として固定化されている、電気泳動分離処理済みの含有成分物質に、前記マトリックス剤を付与する、マトリックス剤付与工程と、
    該基板部に形成されている溝状の流路に沿って、前記マトリックス剤を利用して、MALDI−MS分析操作を進め、該スポット点上に凍結乾燥物として固定化されている、電気泳動分離処理済みの含有成分物質に由来するイオン種の分子量情報と、当該イオン種の分子量情報を示すスポット点の位置情報とを取得する、MALDI−MS分析工程と、
    取得された当該イオン種の分子量情報を示すスポット点の位置情報に基づき、該スポット点に相当する電気泳動指数値の特定を行い、
    溝状の流路に沿って、分析対象の液体試料中に含有される成分物質に由来すると推定される、該特定される電気泳動指数値と、該スポット点で測定されるイオン種の分子量情報の組み合わせへと変換する、データ解析工程と
    を有する
    ことを特徴とするバイオ試料の分析方法。
  4. 電気泳動分離操作が、等電点泳動法である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 電気泳動分離操作が、等電点泳動法である
    ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
  6. 電気泳動分離操作が、等電点泳動法である
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. 請求項1に記載するバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理方法に従って、
    蓋シール部の取り外し工程を終えた後に、さらに、
    基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、凍結乾燥処理を施し、
    該基板部に形成されている溝状の流路上において、各スポット点として、分離されている含有成分物質を、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化する、凍結乾燥・固定化工程を有する
    ことを特徴とする自動サンプル処理方法。
  8. 請求項2に記載するバイオ分析用の蓋シール付きマイクロチップの自動サンプル処理装置の各機構に加えて、
    さらに、
    蓋シール部の取り外し機構により、分離された蓋シール部を基板部上面から移動させ、基板部に形成されている溝状の流路が露呈された状態において、
    基板部に形成されている溝状の流路中に、氷結状態を保持した状態で維持されている、電気泳動分離済みの試料に対して、凍結乾燥処理を施し、
    該基板部に形成されている溝状の流路上において、各スポット点として、分離されている含有成分物質を、当該スポット点上に凍結乾燥物として固定化する、凍結乾燥・固定化機構を具えている
    ことを特徴とする自動サンプル処理装置。
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