JP4683872B2 - マイクロ化学チップおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体基板に形成された微小電子機械機構とこれに被処理流体を流す流路とを備えて成るマイクロ化学チップ、およびその製造方法に関するものである。
近年、化学分析の高精度化、高効率化の背景から、従来の実験室で行なっていた電位の測定、流量の測定、クロマトグラフや電気泳動に必要な試料の注入、排出、評定などを微小なサイズで実行可能にする、いわゆるマイクロ化学チップが提案されている。
マイクロ化学チップとして従来一般的なものは、流路が形成された半導体やガラス等から成る基板と、流路に被処理流体を流すためのマイクロポンプ等の動力源と、被処理流体に対して各種測定,分析を行なう機能部分とを備えた構成のものである。
マイクロ化学チップのうち、電位等の測定や、試料の移送等の機械的な動き等の機能を1つの半導体基板で実施可能にするものとして、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System:微小電子機械機構)が提案されている。
マイクロ化学チップ用のMEMSとは、例えば、一つの半導体基板の主面に、化学変化に応じて発生する気体や液体の圧力変化などを検出するための加速度計,圧力センサ,アクチュエータ等のセンサ、化学変化に応じて生じる変化を光学的に検出する際、高精度での検出等を目的とする光軸の変更のために使用される微細な鏡面体を可動式に形成したマイクロミラーデバイス、光デバイス等の機能部分にマイクロポンプ等を合わせて組み込んだ構造を有するもの等であり、非常に多岐にわたる構造を有するものである。
このMEMSが形成された半導体基板に、流路が形成されている流路基板等を接続し、流路とMEMSや機能部分が形成された部分とを連通させた構造とすることにより、MEMSが備えるマイクロポンプ等の動力で流路中を被処理流体を流すことが可能で、流路を流れて供給された被処理流体をMEMSが備える機能部分で分析、測定することが可能なマイクロ化学チップが形成されることになる。
上記MEMSは、例えば、電極用やDNA吸着用等の微細な突起、微小反応槽,マイクロミラー,マイクロポンプ等の微細な構造体や可動体等を備えたものである。
流路基板は、シリコン等の半導体やPDMS(ポリジメチルシロキサン)、ガラス等から成る基板の一主面に溝状の流路を形成したり、一主面から他主面にかけて貫通する流路を形成した構造である。
なお、MEMSおよび流路は、外気からの異物の進入を防いで分析、測定等の化学的な処理を高精度に行なわせるために、ガラス板等から成る蓋体で覆われる。蓋体で覆われた後、外部に露出している流路の開口部分が被処理流体の供給口や排出口となり、供給口から被処理流体が供給される。
シリコン,PDMS等から成る基板に開口した供給口に対する被処理流体(試料)の供給は、外部から液体ノズルや液体吐出装置等の送液装置を用いて加圧送液し、流路を介してMEMSに被処理流体を流して化学反応、検出等を行わせる。
また、マイクロ化学チップは、一般に、外部接続用の接続パッドが半導体基板の主面等に、MEMSに電気的に接続されて形成されており、この接続パッドをプリント回路基板等の外部電気回路基板の電気回路に電気的に接続しておくことにより、分析、測定等の化学処理の結果に応じてMEMSから発信される電気信号が接続パッドから外部の電気回路に送信される。
このMEMSを用いたマイクロ化学チップは、化学反応、分析のシステムを小型化し、シリコン基板やPDMS基板上に形成した流路基板を用いたもので、マイクロ流路,マイクロポンプ,マイクロリアクタ等からなる。基板の化学反応部をマイクロ化し単位体積あたりの表面積を増大させることで反応時間の大幅な削減を可能にしている。また、流量の精密な制御が可能なため高精度検出を行うことができる。
なお、これら従来のマイクロ化学チップのうち、MEMSは、例えば、シリコン等の半導体基板の主面に、焼付け、エッチング等のいわゆる半導体マイクロマシニング技術を用いて電極用やDNA吸着用等の微細な突起、微小反応槽,マイクロミラー,マイクロポンプ等の微細な構造体や可動体を形成することにより製作される。
また、流路部分は、シリコンやPDMS,ガラス等から成る流路基板の主面に、フォトリソグラフィーを応用した、いわゆる鋳型加工やスタンプ加工等の加工を施して溝状、孔状等の構造を形成することにより製作される。
特開2001−214241号公報(第4−5頁、第1図) 特開2001−108619号公報(第4−5頁、第1図)
しかしながら、上記従来のマイクロ化学チップにおいては、検出などに用いられる被処理流体は外部の液体ノズルや液体吐出装置などの装置でマイクロ化学システムに供給されており、液体である被処理流体は一度外気に曝されることが一般的であった。
このため、マイクロ化学チップの外部から被処理流体を流路に供給する際に、外部からの被処理流体中への雑菌やゴミなどの異物の混入(所謂コンタミネーション)の問題があった。
また、大型の液体供給装置を使用するため、被処理流体の流量の微小量化に制限があり、被処理流体の流量を小さく抑えることによる効率的な処理、処理速度の向上等に制約を受けるという問題があった。
また、大型の液体供給装置を別途用意する必要があるので、マイクロ化学システム装置を低コストで作製しても液体供給装置に多額のコストがかかるという問題があった。
また、シリコンやPDMSは一般的に取り扱いが難しく、例えば外部のプリント板やその他の基板や装置内部への実装を行うときに電気接続と流体接続を行う際に簡便な方法が少ないなどの問題があった。この場合、例えば、流路の開口部分が流路基板の主面に位置し、外部接続用の接続パッドが半導体基板の側面等に位置しているような構造、つまり流路の外部接続用の部分と電気的な接続を行なう部分とが異なる平面に位置するような構造等も多く、例えばチップコンデンサー等の電子部品をマイクロ化学チップに搭載する場合、一般的な表面実装の形態での接続が非常に難しい。
また、流路封止を行う際に、半導体等のMEMSが形成されている基板と流路基板とを一つずつ、流路とMEMSの機能部分等とを位置合わせしながら接続しなければならず、生産性が悪い、コストが高くなるなどの問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、低コストで製造でき、不純物の混入が少なく、多種の実装形態を実現できる安定した性能のマイクロ化学チップおよびその製造方法を提供することである。
本発明のマイクロ化学チップは、一方主面から他方主面にかけて配線導体が形成されている絶縁基板と、該絶縁基板の前記一方主面の外周部に形成された枠状の導体層と、前記配線導体に電気的に接続されて前記一方主面の前記導体層よりも外側に形成された接続パッドと、前記絶縁基板の内部に形成された、前記一方主面の前記導体層の内側の部位に一つの開口端を有するとともに前記絶縁基板の外部に露出する表面に他の開口端を有する被処理流体を流通させるための流路と、一主面の中央部に微小電子機械機構および前記一主面の外周部に前記微小電子機械機構に電気的に接続された電極がそれぞれ形成されるとともに、前記一主面の外周部で前記電極よりも内側の部位が前記導体層に全周にわたって接合材を介して接合された半導体基板と、前記接続パッドと前記電極とを電気的に接続するとともに前記接合材と溶融温度が同じである導電性接続材とを具備しており、前記絶縁基板と前記半導体基板との間に前記接合材を側壁の一部とした内部空間が形成されているとともに、前記絶縁基板の前記微小電子機械機構に対向する部位に凹部が形成されており、前記内部空間内に前記微小電子機械機構が収納されていることを特徴とする。
本発明のマイクロ化学チップは好ましくは、前記流路は、流通方向に垂直な断面における幅が0.05乃至0.5mmであることを特徴とする。
また、本発明のマイクロ化学チップは好ましくは、前記流路は、平面視で枠状の前記導体層よりも内側に位置していることを特徴とする。
また、本発明のマイクロ化学チップは好ましくは、前記微小電子機械機構は、前記流路の前記一つの開口端から前記絶縁基板および前記半導体基板に挟まれた内部空間に湧出した前記被処理流体を化学的に分析するためのものであることを特徴とする。
また、本発明のマイクロ化学チップは好ましくは、前記絶縁基板は、他方主面または側面に前記流路の前記他の開口端が位置しており、前記他の開口端に前記流路と連通する外部接続用のパイプが取着されていることを特徴とする。
本発明のマイクロ化学チップの製造方法は、半導体母基板の一主面に、微小電子機械機構およびそれに電気的に接続された電極が形成されて成る微小電子機械機構領域を多数個縦横に配列形成した多数個取り微小電子機械機構基板を準備する工程と、絶縁母基板に、その一方主面から他方主面にかけて形成された配線導体、前記一方主面の外周部に形成されて表面に接合材が被着されている枠状の導体層、前記一方主面の前記導体層の外側に形成されて表面に導電性接続材が被着されている接続パッド、前記一方主面に形成された凹部、および前記一方主面の前記導体層の内側の部位に一つの開口端を有するように形成された被処理流体を流通させるための流路を一組としたマイクロ化学チップ基板領域を多数
個縦横に配列形成した多数個取りマイクロ化学チップ基板を準備する工程と、前記多数個取り微小電子機械機構基板の前記微小電子機械機構領域の前記各電極を、前記多数個取りマイクロ化学チップ基板の前記マイクロ化学チップ基板領域の前記各接続パッドに前記導電性接続材を介してそれぞれ接続するとともに、前記半導体母基板の前記一主面に形成されている前記各微小電子機械機構に対向するように前記絶縁母基板の前記一方主面に形成されている前記各凹部を配置し、前記半導体母基板の前記一主面と前記絶縁母基板の前記導体層とを前記接合材を介して接合して、前記半導体母基板と前記絶縁母基板との間に前記接合材を側壁の一部とした内部空間を多数個縦横に配列形成し、該各内部空間内に前記半導体母基板の前記一主面に多数個縦横に配列形成されている前記各微小電子機械機構を収納する工程と、互いに接合された前記多数個取り微小電子機械機構基板および前記多数個取りマイクロ化学チップ基板を前記微小電子機械機構領域および前記マイクロ化学チップ基板領域毎に分割して個々のマイクロ化学チップを得る工程とを具備していることを特徴とする。
本発明のマイクロ化学チップによれば、一方主面から他方主面にかけて配線導体が形成されている絶縁基板と、絶縁基板の一方主面の外周部に形成された枠状の導体層と、配線導体に電気的に接続されて一方主面の導体層よりも外側に形成された接続パッドと、絶縁基板の内部に形成された、一方主面の導体層の内側の部位に一つの開口端を有するとともに絶縁基板の外部に露出する表面に他の開口端を有する被処理流体を流通させるための流路と、一主面の中央部に微小電子機械機構および一主面の外周部に微小電子機械機構に電気的に接続された電極がそれぞれ形成されるとともに、一主面の外周部で電極よりも内側の部位が導体層に全周にわたって接合材を介して接合された半導体基板と、接続パッドと電極とを電気的に接続するとともに接合材と溶融温度が同じである導電性接続材とを具備しており、絶縁基板と半導体基板との間に接合材を側壁の一部とした内部空間が形成されているとともに、絶縁基板の微小電子機械機構に対向する部位に凹部が形成されており、内部空間内に微小電子機械機構が収納されていることから、絶縁基板の一方主面の流路の開口端部分に外部の被処理流体の供給口をロウ材等の手段で密着させて接合させることにより、絶縁基板と外部との被処理流体のやりとりが容易となる。その結果、被処理流体の供給から化学反応まで一貫して密閉状態を保つことができるので、外部から異物が混入することを防ぎ、所謂コンタミネーション等の問題の発生を効果的に防止することができる。
また、マイクロ化学チップが具備するMEMSへの送液機能により、別途大型の液体供給装置を使用することなく、流路に被処理流体を流すことができ、微細な流路に見合った微量の被処理流体を準備すればよく、所望の化学処理に要するコストを低く抑えることもできる。
また、本発明のマイクロ化学チップは、被処理流体を流すための流路の開口端および電気的な接続のための接続パッドは、ともに機械的強度等の特性が良好で、取り扱いが容易な絶縁基板に形成されているため、取り扱いが容易である。
また、流路の開口端や接続パッドがともに絶縁基板の一方主面に形成されているため、プリント配線基板等の外部電気回路基板に対する電気的な接続、特に表面実装の形態での接続が容易である。
また、外部から被処理流体を供給するに際して液体供給用装置を別途用いて流路に被処理流体を供給する場合、外部環境をクリーンにする必要が無く、供給される被処理流体の量をより微小量化でき、一般的に高価な化学検出用の被処理流体を少量で効率よく使用することができる。
本発明において好ましくは、流路は、流通方向に垂直な断面における幅が0.05乃至0.5mmであることから、化学反応を効率的に行なわせることのできる大きさでかつ加工性を保てる小ささなので、絶縁基板への流路の形成がより簡便になり、被処理流体の流通量の制御に有効である。
また、本発明において好ましくは、流路は、平面視で枠状の導体層よりも内側に位置していることから、被処理流体が接続パッに触れないようにして被処理流体を効率よくMEMSに供給できるため、腐食性の強い被処理流体をMEMSに供給したとしても、電気的接続の信頼性が保たれ、導電性の被処理流体をMEMS部に供給することも可能となる。また、流路が導体層の内側に位置しているため、マイクロ化学チップの小型化をより効果的にかつ確実に行なうことができる。
また、配線導体および流路を、絶縁基体の内部で交錯しないようにして形成することができるため、製造が容易でコストをさらに低くすることもできる。
また、本発明において好ましくは、微小電子機械機構は、流路の一つの開口端から絶縁基板および半導体基板に挟まれた内部空間に湧出した被処理流体を化学的に分析するためのものであることから、絶縁基板と半導体基板とで挟まれた狭い空間内の少量の被処理流体を効率よく化学分析することができるので、化学分析を効率的に少量の被処理流体で行うことができる。
また、本発明において好ましくは、絶縁基板は、他方主面または側面に流路の他の開口端が位置しており、他の開口端に流路と連通する外部接続用のパイプが取着されていることから、外部接続用のパイプを絶縁基板に直接接続することができるので、接続の作業がより容易なものとなるとともに、被処理流体が供給されるところから化学反応を行うところまで一貫して密閉状態を保つことができる。その結果、マイクロ化学チップと外部の被処理流体供給装置との接続がより一層容易かつ確実になり、被処理流体の供給を簡易で高信頼性なものとすることができる。
本発明のマイクロ化学チップの製造方法によれば、上記各工程を具備することから、縦横に配列形成された多数個のマイクロ化学チップについて、それぞれの電極の外部接続のための接続と微小電子機械機構の封止とを同時に行なうことができるため、互いに接合された微小電子機械機構基板および多数個取り用マイクロ化学チップ基板から成る多数個取りのマイクロ化学チップを、容易かつ確実に製造することができる。
また、互いに接合された多数個取り用マイクロ化学チップ基板および多数個取り用微小電子機械機構基板を、微小電子機械機構領域およびマイクロ化学チップ基板領域毎に分割することにより、絶縁基板と半導体基板との間の微小空間内に微小電子機械機構を封止するとともに微小空間内に被処理流体を供給、排出するための流路を備えて成る個々のマイクロ化学チップを多数個同時に製造することができる。この分割の際、電子機械機構領域の各微小電子機械機構は多数個取り用マイクロ化学チップ基板によりそれぞれ封止されているので、ダイシング加工等による分割で発生するシリコン等の半導体基板の切削粉が微小電子機械機構に付着するようなことはなく、分割後のマイクロ化学チップにおいて微小電子機械機構を確実に作動させることができる。
また、分割して得られたマイクロ化学チップは、絶縁基板の他方主面や側面に配線導体が導出されているので、この導出された端部に金属バンプ等の端子を取着するだけで、表面実装等により外部電子回路基板に実装することができるものとなり、実装の工程を非常に短くかつ容易なものとすることができるマイクロ化学チップとなる。
本発明のマイクロ化学チップおよびその製造方法について以下に詳細に説明する。図1
は本発明のマイクロ化学チップの実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は絶縁基板、2は枠状の導体層、3は配線導体、4は接続パッ、5は流路、6は微小電子機械機構(MEMS)、7は電極、8は半導体基板、9は導電性接続材、10はマイクロ化学チップである。
絶縁基板1と半導体基板8とは枠状の導体層2に接合されている接合材11を介して接合され、両者の間に形成される内部空間内に微小電子機械機構6が流路5の部分を除いて外部と遮断されて収納されている。流路5を通って内部空間内に供給される被処理流体が微小電子機械機構6で処理され、処理に応じて生じる電気信号が電極7から導電性接続材9を介して接続パッド4に伝わり、接続パッド4と電気的に接続されている配線導体3から外部に伝送され、処理の結果がわかるような仕組みになっている。
本発明における微小電子機械機構6は、例えばバイオセンサー,DNAチップ,マイクロリアクタ,プリントヘッドなどの流体MEMSデバイス、化学センサ,ガスセンサ等の各種センサなどの機能を有するものであり、半導体微細加工技術を基本とした、所謂マイクロマシニングで作る部品であり、1素子あたり10μm〜数100μm程度の寸法を有する。
絶縁基板1は、微小電子機械機構6を封止するための蓋体や封止体として機能するとともに、枠状の導体層2、配線導体3、接続パッド4および流路5を形成するための基体としても機能する。
この絶縁基板1は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体,ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス材料、ポリイミド,ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料、セラミックスやガラス等の無機材料粉末をエポキシ樹脂等の樹脂で結合して成る複合材等により形成される。
絶縁基板1は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム,ガラス粉末等の原料粉末,樹脂バインダー,溶剤等を混合して成るガラスセラミックスラリーをシート状に成形して成るガラスセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を作製するとともにその複数枚を積層し、焼成することにより形成される。なお、絶縁基板1は、酸化アルミニウム質焼結体で形成するものに限らず、用途や気密封止するマイクロ化学チップ10の特性等に応じて適したものを選択することが好ましい。
例えば、絶縁基板1は、枠状の導体層2を介して半導体基板8と機械的に接合されるので、半導体基板8との接合の信頼性、つまり絶縁基板1と半導体基板8との間に形成される内部空間の外部に対する遮蔽性や、マイクロ化学チップとして長期間の使用に耐える長期信頼性を高くするためには、ムライト質焼結体、または例えばガラス成分の種類や添加量を調整することにより熱膨張係数を半導体基板8に近似させるようにした酸化アルミニウム−ホウ珪酸ガラス系等のガラスセラミックス焼結体等のような半導体基板8との熱膨張係数の差が小さい材料で形成することが好ましい。
また、絶縁基板1は、配線導体3により伝送される電気信号の遅延を防止するような場合、ポリイミド,ガラスエポキシ樹脂等の有機樹脂材料、セラミックスやガラス等の無機粉末をエポキシ樹脂等の有機樹脂で結合して成る複合材、または酸化アルミニウム−ホウ珪酸ガラス系や酸化リチウム系等のガラスセラミックス焼結体等のような比誘電率の小さい材料で形成することが好ましい。
また、絶縁基板1は、被処理流体に対する保温性を高めて、微小電子機械機構6で施される処理、例えば化学反応等の処理の安定性を高める上では、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の熱伝導率の低い材料で形成することが好ましい
また、絶縁基板1は、微小電子機械機構6で行なわれる処理を目視で確認したり処理のために光を照射する場合、枠状のセラミック材料の中央部の開口にガラス材等の透光性材料を取着したもの等の、少なくとも一部に透光性を有するものであることが好ましい。
上記のように、本発明のマイクロ化学チップは、用途等に応じて種々の材料を選択することが可能で、機械的強度等の特性が良好であるとともに取り扱いが容易な絶縁基板1を用いることができ、この絶縁基板1に、被処理流体を流すための流路5の開口端および電気的な接続のための接続パッド4がともに形成されているため、取り扱いが容易である。
絶縁基板1の一方主面(微小電子機械機構6を封止する側の主面)から他方主面にかけて配線導体3が導出されている。この配線導体3は、一部が絶縁基板1の側面に導出されていてもよい。また、絶縁基板1の一方主面の外周部には枠状の導体層2が形成され、枠状の導体層2は、絶縁基板1を半導体基板8に接合するための下地金属層として機能する。枠状の導体層2に接合材11を接合し、この接合材11を半導体基板8に接合することにより、絶縁基板1と半導体基板8とが接合され、両者の間に接合材11を側壁の一部とした内部空間が形成される。この内部空間内に、半導体基板8の一主面の中央部に形成されている微小電子機械機構6が収納される。
半導体基板8は、シリコン,ポリシリコン等の半導体材料を板状に加工して成り、一主面の中央部に微小電子機械機構6が形成されている。微小電子機械機構6は、シリコン,ポリシリコン等から成る半導体基板8の一主面に対してフォトリソグラフィー技術やレーザー加工などのいわゆるマスクレスエッチング技術、フッ酸エッチング,ドライエッチングなどのエッチング技術を用いて所望の構造を形成することにより作製される。
微小電子機械機構6は、例えば、化学処理用のものであれば、その用途に応じてエッチング加工で所定の構造に成形した後、スピンコートやディップコートなどのコーティング技術を用いて表面状態を変化させ薬品の濡れ性や化学反応性などを制御して用いられ、化学分析やDNAの同定、クロマトグラフィーなどの各種分析などを行う。
また、半導体基板8の一主面の外周部には、微小電子機械機構6と電気的に接続された電極7が形成されている。この電極7は、微小電子機械機構6で行なわれた化学処理等の処理の結果に応じて発信される電気信号を半導体基板8の外部に接続し伝える機能をなし、アルミニウムや金等の金属材料等の導電性材料で形成されている
絶縁基板1と半導体基板8との接合は、半導体基板8の一主面の外周部のうち電極7よりも内側の部位を、接合材11を介して絶縁基板1の枠状の導体層2に接合することにより行われる。また、絶縁基板1の一方主面側の枠状の導体層2の外側の部位には、配線導体3と電気的に接続された接続パッド4が形成されている。
配線導体3および接続パッド4は、半導体基板8の電極7から送られてくる電気信号を、マイクロ化学チップ10の外部に伝送する導電路として機能する。これらの配線導体3,接続パッド4および導体層2は、銅,銀,金,パラジウム,タングステン,モリブデン,マンガン等の金属材料から成る。これらの配線導体3,接続パッド4および導体層2の形成の手段としては、メタライズ層として形成する手段、めっき層として形成する手段、蒸着等の金属を薄膜層として被着させる手段等を用いることができる。例えば、配線導体3,接続パッド4および導体層2がタングステンのメタライズ層から成る場合、タングステンの導体ペーストを絶縁基板1となるグリーンシートに印刷し、この導体ペーストをグリーンシートとともに焼成することにより形成される。
そして、絶縁基板1と半導体基板8との接合の際、半導体基板8の一主面の電極7が、接続パッド4に導電性接続材9を介して電気的に接続され、これにより微小電子機械機構6、電極7、接続パッド4および配線導体3の間が電気的に接続される。
導電性接続材9および接合材11は、錫−銀系半田,錫−銀−銅系半田等の半田、金−錫ろう材等の低融点ろう材、銀−ゲルマニウム系等の高融点ろう材、銀,銅等の導電性粉末を樹脂で結合して成る導電性樹脂接着剤等により形成されている。この場合、接合材11を介した絶縁基板1と半導体基板8との間の機械的な接合と、導電性接続材7を介した接続パッド4と電極8との間の電気的な接続の両方を容易かつ強固とするため、接合材11および導電性接続材7は、溶融温度が同じものとする必要がある。両者の溶融温度は厳密に同じ温度とする必要はなく、接合、接続の作業(実際には周知のトンネル炉やバッチ式の炉等を用いた加熱溶融)を同時に行なえる程度の温度差があってもよい。
そして、配線導体3のうち絶縁基板1の他方主面に露出している部分を外部の電気回路に錫−鉛半田等を介して接合することにより、マイクロ化学チップ10の電極7が導電性接続材9、接続パッド4および配線導体3を介して外部の電気回路に電気的に接続される。これにより、微小電子機械機構6と外部の電気回路とが電気的に接続される。
また、絶縁基板1の内部には、一方主面の導体層2の内側の部位に一つの開口端を有するとともに絶縁基板1の外部に露出する表面に他の開口端を有する被処理流体を流通させるための流路5が形成されている。この流路5を通って被処理流体が、絶縁基板1と半導体基板8と接合材11とで形成されて内部に微小電子機械機構6が収納されている内部空間に供給される。これにより、化学分析を行なう試料等の被処理流体を流し、電位測定、DNAの検出,同定、クロマトグフィー、光化学反応等の化学処理等の処理の機能を有するマイクロ化学チップ10が形成されることになる。
本発明のマイクロ化学チップ10によれば、上記の構成としたことから、主として処理等の機能を有する半導体基板8側と、被処理流体や電気信号の通り道および外部接続の機能を有する絶縁基板1側との電気的、機械的な接続、接合を容易に行なうことができ、マイクロ化学チップ10の生産性を優れたものとすることができる。この場合、例えば、半導体基板8側および絶縁基板1側をそれぞれ予め多数個縦横に配列しておき、これらを互いに一括して接続、接合し、マイクロ化学チップ10を多数個同時に気密封止することができ、生産性を極めて優れたものとすることができる。
流路5は、グリーンシート上にプレス金型,NCパンチングやレーザ加工を用いて窪みを作製し、その後グリーンシートを積層することによって作製される。また、流路5はグリーンシートの状態での断面をSEMや金属顕微鏡を用いて観察するとき、断面が矩形状に安定して作製できることを評価条件とすると、流通方向に垂直な断面における幅が0.05乃至0.5mmであることが好ましい。0.05mmよりも小さくなると加工することが困難になり、生産性の低下やコストの上昇等を招くおそれがある。また、0.5mmよりも大きくなると、流路5の断面積が大きくなり流路5が微小化されることによる化学反応の効率化に支障をきたす。そのため、微量の被処理流体で高精度の化学分析を行なうマイクロ化学チップ10としての機能が低下するおそれがある。
ここで、流路5について、絶縁基板1を厚さが0.5mmの板状の酸化アルミニウム質焼結体で形成し、一方主面から他方主面にかけて断面が円形状の流路5を形成したときの、加工性や化学反応性を試験した具体例を以下に示す。
グリーンシートは酸化アルミニウムと酸化ケイ素を主成分とする原料粉末を有機溶剤、樹脂バインダーとともにシート状に成形して作製し、流路5はNCパンチング加工により形成した。加工性の判断基準は、グリーンシートに断面が円形状の貫通穴が作製できるかの外観検査で判断しており、マイクロスコープを用いた。貫通穴がグリーンシートの上下面間にわたり貫通しているか否か検査するとともに、貫通穴の内面の軸方向からの傾斜角度(テーパー角)が、貫通穴の縦断面において、内面がグリーンシートの上下面に対して完全に垂直である場合(テーパー角=0°)の仮想線と、実際の内面の線との間に形成される三角形状の部分の幅(三角形の底辺の長さ)と深さ(仮想線の長さ)との比率(幅:深さ)が1:3以下を○とした。
また、化学反応性は、Siの半導体基板8に作製されたMEMS6において化学反応を行う際に、必要最小な送液量に対し実際にMEMS6に供給される被処理流体量が倍以下になる場合を○、実際にMEMS6に供給される被処理流体量が倍以上になる場合を△とした。表1に上記の加工性、化学反応性の結果を示す。
Figure 0004683872
表1より、流路5の流通方向に垂直な断面における幅が0.05mm未満では、加工性に不具合を生じやすくなる傾向があり、0.5mmを超えると、化学反応性に不具合が生じる傾向が見られた。
また、本発明において、流路5は、平面視で枠状の導体層2よりも内側に位置していることが好ましい。これにより、被処理流体が接続パッ4に触れずに効率よく微小電子機械機構6に供給されるため、腐食性の強い被処理流体を微小電子機械機構6に供給したとしても、電気的な接続の信頼性が保たれ、導電性の被処理流体を微小電子機械機構6に供給することも可能となる。また、流路5が導体層2の内側に位置しているため、マイクロ化学チップ10の小型化をより効果的にかつ確実に行なうことができる。また、配線導体3および流路5を、絶縁基体1の内部で交錯しないようにして形成することができるため、製造が容易でコストをさらに低くすることもできる。
また、本発明において、微小電子機械機構6は、流路5の一つの開口端から絶縁基板1および半導体基板8に挟まれた内部空間に湧出した被処理流体を化学的に分析するためのものであることが好ましい。これにより、絶縁基板1と半導体基板8とで挟まれた狭い内部空間内の少量の被処理流体を効率よく化学分析することができる。化学的分析をする微小電子機械機構6としては、例えば、多数のピン状の突起体の露出表面に予めそれぞれ異なるDNAの標準試料を固定しておき、突起体により被処理流体中のDNAを吸着させることにより、被処理流体中のDNAの同定を行なう、所謂DNAチップの機能をなすもの、分子を捕捉する突起状の吸着体を被処理流体の流れる方向に沿って多数個配列しておき、被処理流体中の分子を吸着体に順次吸着させるクロマトグラフィ分析の機能を有するものなどが挙げられる。
また、本発明において、絶縁基板1は、他方主面または側面に流路の他の開口端が位置しており、他の開口端に流路と連通する外部接続用のパイプ(図示せず)が取着されていることが好ましい。これにより、外部接続用のパイプを絶縁基板1に直接接続することができるので、マイクロ化学チップ10の外部電気回路基板等への接続の作業がより容易になるとともに、被処理流体が供給されるところから化学反応を行うところまで一貫して密閉状態を保つことができ、マイクロ化学チップ10と外部の被処理流体供給装置との接続がより一層容易かつ確実になり、被処理流体の供給を簡易で高信頼性なものとすることができる。
パイプは、Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金等の金属材料、またはそれらに金メッキを施した耐薬品性を増したもの、SiO等を主成分とするガラス、アルミナ,窒化アルミニウム等のセラミック材料等により形成される。また、パイプの絶縁基板1に対する取着は、ろう材,樹脂接着剤,低融点ガラス(封止用ガラス)等の接合材を介して接合する方法、表面をプラズマ装置やブラスト装置などを用いて活性化させた後に圧着やアニールすることにより接合を行う表面活性化接合等により行なうことができる。
次に、本発明のマイクロ化学チップの製造方法について図2(a)〜(d)に基づいて説明する。図2は本発明のマイクロ化学チップの製造方法の実施の形態の一例をそれぞれ工程順に示した断面図であり、図2において図1と同じ部位には同じ符号を付してある。
まず、図2(a)に示すように、半導体母基板28の一主面に、微小電子機械機構6およびそれに電気的に接続された電極7が形成されて成る微小電子機械機構領域29を多数個縦横に配列形成した多数個取り微小電子機械機構基板30を準備する。
半導体母基板28は、例えば単結晶や多結晶等のシリコン基板から成る。このシリコン基板の表面に酸化シリコン層を形成する。その中に微小な振動体等の微小電子機械機構6を形成し、円形状パターン等の導体から成る電極7が形成された微小電子機械機構領域29を主面に多数個配列形成することにより、多数個取り微小電子機械機構基板30が形成される。この例では、微小電子機械機構6と電極7とは、それぞれ半導体母基板28の主面に形成された微細配線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
次に、図2(b)に示すように、絶縁母基板21に、その一方主面から他方主面にかけて形成された配線導体3、一方主面の外周部に形成されて表面に接合材11が被着されている枠状の導体層2、一方主面の導体層2の外側に形成されて表面に導電性接続材9が被着されている接続パッド4、および一方主面の導体層2の内側の部位に一つの開口端を有するように形成された被処理流体を流通させるための流路5を一組としたマイクロ化学チップ領域22を、主面に多数個縦横に配列形成した多数個取りマイクロ化学チップ基板23を準備する。
絶縁母基板21は、例えば、それが酸化アルミニウム質焼結体から成り、配線導体3がタングステンのメタライズ層から成る場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム等の原料粉末を、樹脂バインダ、有機溶剤とともに混練してスラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法やリップコータ法等によりシート状に成形して複数のグリーンシートを形成し、このグリーンシートの表面および必要に応じてグリーンシートに予め形成しておいた貫通孔に、タングステンの導体ペーストを印刷塗布して充填し、その後これらのグリーンシートを積層して焼成することにより形成することができる。
枠状の導体層2は、例えば、配線導体3と同様のメタライズ層等の導体層から成り、絶縁母基板21が酸化アルミニウミ質焼結体等のセラミックスから成る場合の絶縁母基板21に対する接合強度、生産性、コスト等を考慮すれば、配線導体3と同様の組成のメタライズ層からなるものが好ましい。
接続パッド4は、例えば、配線導体3や導体層2と同様の材料から成り、タングステンの導体ペーストを絶縁母基板21となるグリーンシートのうち最表面側のものに、配線導体3となる印刷された導体ペーストと接続されるようにして、かつ多数個が縦横に配列形成されるようにして、スクリーン印刷法等により印刷しておくことにより形成される。
流路5は、例えば、絶縁母基板21が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、絶縁母基板21となるグリーンシートにプレス金型やNCパンチング、レーザ加工等の穴あけ加工、打抜き加工、切削加工等の機械的加工を施して、グリーンシートに開口部や貫通孔、溝等を形成しておくことにより形成される。例えば、流路5が、図2(b)に示すように絶縁母基板21の一方主面から他方主面にかけて貫通するような貫通孔から成る場合、各グリーンシートにNCパンチング加工で貫通孔を形成しておき、この貫通孔が最上層から最下層にかけて連通するようにしてグリーンシートを積層することにより形成される。
なお、流路5は、全長にわたって貫通孔状のものである必要はなく、絶縁母基板21を分割した後の状態で、絶縁母基板21の厚み方向の中央部等から各マイクロ化学チップ10の側面にかけて横溝状に形成された形態等の他の形態でもよい。この場合、グリーンシートの所定部位に、レーザ加工等で細長い溝状の開口部を形成しておき、この開口部の上下に他のグリーンシートを積層することにより、絶縁母基板21の内部に溝状の流路5を形成することができる。
導電性接続材9および接合材11は、錫−銀半田,錫−銀−ビスマス半田,錫−銅−ビスマス半田,錫−鉛半田等の半田、銀,銅,金,白金,パラジウム等の金属、このような金属を樹脂等の粉末コア材の表面にめっき等の手段で被着した導電性フィラー粉末をエポキシ樹脂,アクリル樹脂等の樹脂で結合して成る導電性樹脂接着剤等の材料を用いることができる。また、接合材11は導電性を有するものでなくてもよい。例えば、エポキシ樹脂,アクリル樹脂等の樹脂、または樹脂にガラス,シリカ等の無機粉末を添加したものでもよい。導電性接続材9および接合材11は、例えば、ともに錫−銀半田等の半田から成る場合、この半田を接続パッド4および導体層2上に位置決めして載置し、加熱、溶融、接合させることにより形成される。
次に、図2(c)に示すように、多数個取り微小電子機械機構基板30の微小電子機械機構基板領域29の各電極7を、多数個取りマイクロ化学チップ基板23のマイクロ化学チップ基板領域22の接続パッド4に導電性接続材9を介してそれぞれ接続するとともに、半導体母基板28の一主面と絶縁母基板21の導体層2とを接合材11を介して接合する。この工程において、多数個取り微小電子機械機構基板30と多数個取りマイクロ化学チップ基板23とが機械的、電気的に接合、接続され、各微小電子機械機構領域29とマイクロ化学チップ基板領域22毎に形成される内部空間内に微小電子機械機構6が収納された多数のマイクロ化学チップが一括して、縦横に配列された状態で形成される。
このように、電極7と接続パッ4とを導電性接続材9を介して接続するとともに、半導体母基板28の一主面と導体層2とを接合材11を介して接合する工程を一つの工程で行うことを可能とし、多数個取りの状態でマイクロ化学チップを形成することを容易なものとするとともに、電極7と接続パッド4との間の電気的接続や、半導体母基板28と導体層2および絶縁母基板21との間の機械的な接合を確実に強固なものとするために、導電性接続材9と接合材11とは、溶融温度が同じものとしておく。
また、導電性接続材9および接合材11は同じ高さであることが好ましい。これにより、導電性接続材9の電極7に対する接続面と、接合材11の半導体母基板28の一主面に対する接合面とが同じ高さになるため、電極7と接続パッ4とを導電性接続材9を介して接続するとともに、半導体母基板28の一主面と導体層2とを接合材11を介して接合する工程を一つの工程で行うことが、より一層容易なものとなる。また、電極7と接続パッド4との間の電気的な接続、半導体母基板28と導体層2および絶縁母基板21との間の機械的な接合がより確実に強固なものとなる。
接合材11の高さを導電性接続材9の高さと同じとする方法としては、例えば、導電性接続材9となる錫−銀半田を溶融させて接続パッド4上に取着形成する際に、その上面を接合材11と同じ高さとなるようにしてセラミックス製の治具等で押さえておく等の方法を用いることができる。
ここで、電極7と接続パッ4との接合は、例えば、接続パッ4および接合材11が錫−銀半田から成る場合、電極7上に接続パッド4を位置合わせして載せ、これらを約250〜300℃程度の温度のリフロー炉中で熱処理すること等により行なわれる。
また、各微小電子機械機構領域29の外周部分の半導体母基板28の一主面に対する接合材11による接合は、例えば、接合材11を半導体母基板28の一主面に押し当てておき、上述の電極7と接続パッ4との導電性接続9を介した接続と同時にリフロー炉中で熱処理することにより行なうことができる。この場合、上述のように、接続パッ4の高さを枠状の導体層2の高さと同じとしておくと、電極7と接続パッ4との導電性接続材9を介した接続と、接合材11と半導体母基板28の一主面との接合をさらに容易かつ確実に、同時に行なうことができる。
このように、本発明のマイクロ化学チップ10の製造方法によれば、微小電子機械機構領域29の電極7の外部への導出のための接合と、半導体母基板28(半導体基板8)と絶縁母基板21(絶縁基板1)との接合とを同時に、しかも多数個配列した状態で行なうことができるため、数時間程度を要する半田(ろう)付け等の接合の工程を1回で済ませることができ、また同時に多数個のマイクロ化学チップ10を配列させた状態で作製することができるので、マイクロ化学チップ10の生産性を非常に高めることができる。
そして、図2(d)に示すように、互いに接合された多数個取りマイクロ化学チップ基板23および微小電子機械機構領域基板30を、微小電子機械機構領域29およびマイクロ化学チップ領域22毎に分割して、絶縁基板1に半導体基板8が接合されて成る個々のマイクロ化学チップ10を得る。この場合、互いに接合された絶縁母基板21と半導体母基板28の接合体の切断は、この接合体に対してダイシング加工等の切断加工を施すことにより行なうことができる。
本発明のマイクロ化学チップ10の製造方法においては、ダイシング加工等の切断加工の際に、各微小電子機械機構6は枠状の導体層2と半導体基板8と絶縁基板1とにより形成される内部空間に収納されているので、半導体基板8や絶縁基板1等の切断に伴って発生するシリコンやセラミックス等の切削粉等が微小電子機械機構6に付着することは効果的に防止され、完成したマイクロ化学チップ10において、微小電子機械機構6を確実に正常に作動させることができる。
なお、この場合、流路5を経て微小電子機械機構6が収納されている内部空間に切削粉等が侵入する可能性があるが、流路5の開口面積を0.3mm以下と小さくすることにより、内部空間に切削粉等が侵入する可能性を実用上支障の無い程度に抑制することができる。また、切削時に併用される洗浄用の水の流速を速くしたり、流れる方向を流路5の開口端に対して直角方向にするなどの対応を行なうことで、より確実に微小電子機械機構6を正常に作動させることができる。
このように、本発明のマイクロ化学チップ10の製造方法によれば、微小電子機械機構6が収納される内部空間の形成工程と、微小電子機械機構6に電気的に接続された電極7を、表面実装が可能な形態で外部に導出する導電路に接続する工程と、内部空間内に被処理流体を湧出させる流路5を開口させる工程とを一つの工程で行なうことができるので、マイクロ化学チップ10の生産性を非常に高くすることができる。
また、上記のように製造されたマイクロ化学チップ10は、すでに気密封止されているとともに、その電極7が配線導体3を介して外部に導出された状態であるので、これを別途パッケージ内に実装するような工程を追加する必要はなく、配線導体3の導出された部分を外部の電気回路に半田ボール等の外部端子を介して接続するだけで、外部電気回路基板に実装して使用することができる。
また、上記のように製造されたマイクロ化学チップ10は、被処理流体の流出入口である流路5の開口端が絶縁基板1側にあるので、絶縁基板1に金属製のパイプなどを流路5と連通するようにして取着するだけで簡易に外部との接続を行うことができる。この場合、配線導体3および流路5の少なくとも一つの開口端は、絶縁基体1の他方主面または側面に導出されているので、外部電気回路に表面実装の形態で接続することができ、高密度に実装することや、外部電気回路基板を効果的に小型化することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば、種々の変形は可能である。例えば、上述の実施の形態の例では、一つのマイクロ化学チップ10内に一つの微小電子機械機構6を気密封止したが、一つのマイクロ化学チップ10内に複数の微小電子機械機構6を気密封止してもよい。また、図1に示した例では、配線導体3は絶縁基板1の他方主面側に導出されているが、一部を側面に導出したり、複数の部位に導出したりしてもよい。また、この導出された部分の外部電気回路への電気的な接続は錫−銀半田等の半田を介して行なうものに限らず、リード端子、ピン端子、導電性接着剤や導電性クリップ等を介して行なってもよい。
本発明の電子部品封止用基板について実施の形態の一例を示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明のマイクロ化学チップの製造方法について実施の形態の一例をそれぞれ工程順に示した断面図である。
符号の説明
1:絶縁基板
2:枠状の導体層
3:配線導体
4:接続パッド
5:流路
6:微小電子機械機構
7:電極
8:半導体基板
9:導電性接続材
10:マイクロ化学チップ
11:接合材
21:絶縁母基板
22:マイクロ化学チップ領域
23:多数個取りマイクロ化学チップ基板
28:半導体母基板
29:微小電子機械機構領域
30:多数個取り微小電子機械機構基板

Claims (6)

  1. 一方主面から他方主面にかけて配線導体が形成されている絶縁基板と、該絶縁基板の前記一方主面の外周部に形成された枠状の導体層と、前記配線導体に電気的に接続されて前記一方主面の前記導体層よりも外側に形成された接続パッドと、前記絶縁基板の内部に形成された、前記一方主面の前記導体層の内側の部位に一つの開口端を有するとともに前記絶縁基板の外部に露出する表面に他の開口端を有する被処理流体を流通させるための流路と、一主面の中央部に微小電子機械機構および前記一主面の外周部に前記微小電子機械機構に電気的に接続された電極がそれぞれ形成されるとともに、前記一主面の外周部で前記電極よりも内側の部位が前記導体層に全周にわたって接合材を介して接合された半導体基板と、前記接続パッドと前記電極とを電気的に接続するとともに前記接合材と溶融温度が同じである導電性接続材とを具備しており、前記絶縁基板と前記半導体基板との間に前記接合材を側壁の一部とした内部空間が形成されているとともに、前記絶縁基板の前記微小電子機械機構に対向する部位に凹部が形成されており、前記内部空間内に前記微小電子機械機構が収納されていることを特徴とするマイクロ化学チップ。
  2. 前記流路は、流通方向に垂直な断面における幅が0.05乃至0.5mmであることを特徴とする請求項1記載のマイクロ化学チップ。
  3. 前記流路は、平面視で枠状の前記導体層よりも内側に位置していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のマイクロ化学チップ。
  4. 前記微小電子機械機構は、前記流路の前記一つの開口端から前記絶縁基板および前記半導体基板に挟まれた内部空間に湧出した前記被処理流体を化学的に分析するためのものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマイクロ化学チップ。
  5. 前記絶縁基板は、他方主面または側面に前記流路の前記他の開口端が位置しており、前記他の開口端に前記流路と連通する外部接続用のパイプが取着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクロ化学チップ。
  6. 半導体母基板の一主面に、微小電子機械機構およびそれに電気的に接続された電極が形成されて成る微小電子機械機構領域を多数個縦横に配列形成した多数個取り微小電子機械機構基板を準備する工程と、絶縁母基板に、その一方主面から他方主面にかけて形成された配線導体、前記一方主面の外周部に形成されて表面に接合材が被着されている枠状の導体層、前記一方主面の前記導体層の外側に形成されて表面に導電性接続材が被着されてい
    る接続パッド、前記一方主面に形成された凹部、および前記一方主面の前記導体層の内側の部位に一つの開口端を有するように形成された被処理流体を流通させるための流路を一組としたマイクロ化学チップ基板領域を多数個縦横に配列形成した多数個取りマイクロ化学チップ基板を準備する工程と、前記多数個取り微小電子機械機構基板の前記微小電子機械機構領域の前記各電極を、前記多数個取りマイクロ化学チップ基板の前記マイクロ化学チップ基板領域の前記各接続パッドに前記導電性接続材を介してそれぞれ接続するとともに、前記半導体母基板の前記一主面に形成されている前記各微小電子機械機構に対向するように前記絶縁母基板の前記一方主面に形成されている前記各凹部を配置し、前記半導体母基板の前記一主面と前記絶縁母基板の前記導体層とを前記接合材を介して接合して、前記半導体母基板と前記絶縁母基板との間に前記接合材を側壁の一部とした内部空間を多数個縦横に配列形成し、該各内部空間内に前記半導体母基板の前記一主面に多数個縦横に配列形成されている前記各微小電子機械機構を収納する工程と、互いに接合された前記多数個取り微小電子機械機構基板および前記多数個取りマイクロ化学チップ基板を前記微小電子機械機構領域および前記マイクロ化学チップ基板領域毎に分割して個々のマイクロ化学チップを得る工程とを具備していることを特徴とするマイクロ化学チップの製造方法。
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