JP4683430B2 - 顆粒球除去材 - Google Patents

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Description

本発明は、血液等の顆粒球含有液から顆粒球を除去するための顆粒球除去材に関する。特に、輸血や血液の体外循環時に、血液中の顆粒球を除去し、血小板を回収するための顆粒球除去材に関する。
近年、慢性又は悪性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性炎症反応症候群(SIRS)、感染症等の治療の目的で、患者末梢血液から白血球を除去する技術が進歩してきた。最近では、潰瘍性大腸炎患者の手術中あるいは手術後に、被手術患者の血液より活性化白血球を除去することにより、潰瘍性大腸炎における手術部位感染を抑制させる試みがなされており、患者末梢血液から活性化白血球、特に顆粒球を除去する技術への要求が高まっている。
血液から顆粒球を除去する方法は、血液の比重差を利用した遠心分離方法と不織布などの繊維状媒体や粒子などを吸着材とした吸着法の2種に大別されるが、除去効率及び選択性が高いこと、操作が簡便なことの利点から吸着法が広く用いられている。
上記の吸着法による顆粒球除去の機構は、主として材料表面と接触した顆粒球が、表面に粘着又は接着されることによるとされている。従って、従来の吸着材における顆粒球除去性能の向上手段として、吸着材と顆粒球との接触頻度を高めること、即ち繊維直径や吸着材の細孔径を小さくしたり、嵩密度を高めたりすることなどにより吸着材の単位体積あたりの表面積を増やすなどの検討が行われている。
例えば、特許文献1には、平均直径が10μm以下の、血液を変性させない繊維を用いた白血球分離材が開示されている。更に、特許文献2には、繊維直径が3〜10μmで、嵩密度0.15g/cmを超え0.3g/cm以下の不織布からなる細胞吸着材が開示されている。しかし、上記手段では、高い顆粒球除去率は得られるものの、特に有用な血小板の粘着率が高く、顆粒球除去率と血小板回収率のバランスをとることが困難であった。特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性肝炎などの血小板減少性疾患の患者や、被手術患者は血小板減少が特に好ましくなく、顆粒球を選択的に除去し、血小板は通過させる材料が切望されてきた。
材料と血小板を含んだ血液等の水系の液体とが接触した場合、材料表面の親水性が高いほど血小板が活性化しにくく、また水と材料との水素結合等により材料表面に水の層ができやすくなり、血小板、疎水性蛋白質の吸着を抑制する利点を有するようになる。従って、材料表面を親水化する目的で様々な親水性ポリマーが開発され、グラフト重合やコーティングによって材料表面に導入することが公知の技術として知られている。
本出願人は、ポリアルキレンオキシド鎖を有する重合性モノマー由来のユニット、疎水性基を有する重合性モノマー由来のユニット、及び水酸基を有する重合性モノマー由来のユニットから構成される特定のポリマーを不織布表面に存在させたフィルター材が、血小板吸着を抑制し、白血球を選択的に除去できることを見出し、特許出願した(特許文献3)。このポリマーを用いることで血小板の吸着はかなり抑制できるが、高い顆粒球除去率を得るために材料の細孔径を小さくすると、使用時間の経過に伴い、通液抵抗が高まると共に目詰まりが発生しやすくなり、処理時間の延長や処理の停止、それに伴う血小板回収率の低下等の問題が発生することがあった。体外循環用途を考慮すると、目詰まりを抑制し、血小板の回収率を向上させる材料構造の設計技術が望まれていた。
顆粒球を除去し、血小板を回収する技術のうち、材料構造からのアプローチとしては、特許文献4に平均繊維直径2〜10μmの繊維を繊維間隙の平均円相当直径を16〜35μmになるように充填した白血球分離フィルターが開示されている。しかし、本発明者らの検討によれば、顆粒球除去率と血小板回収率の両立、特に血小板回収率の点で十分ではなかった。
また、特許文献5には、極細繊維の構成比が小さく、目付けを小さくした場合でも、最大開口径を小さくして粉漏れを防ぐことのできる積層型のフィルター不織布が開示されている。ところが、このフィルターは、コーヒー粉末等の粒子を抽出するための用途を意図したものであり、血液中の顆粒球を選択的に除去する技術については全く開示されていない。
以上のように、高い顆粒球除去率と,高い血小板回収率といった相反する要求を同時に満たす顆粒球除去材は、未だ得られていないのが現状である。
特公昭58−54126号公報 特開2002−102332号公報 国際公開第03/106518号パンフレット 特許第2870796号公報 特開2004−154760号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、顆粒球除去率がより高く、かつ高い血小板回収率を同時に達成する顆粒球除去材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、繊維直径1μm以上3μm未満の不織布からなるフィルター層(A)と、該フィルター層に比し血液がより流れやすい繊維直径7μm以上50μm未満の不織布からなるスペーサー層(B)を複数回繰り返して積層し、かつフィルター層(A)を構成する不織布の目付を特定範囲とすることで、驚くべきことに高い顆粒球除去率と高い血小板回収率を同時に達成する顆粒球除去材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下に示す顆粒球除去材である。
(1)平均繊維直径1μm以上3μm未満の不織布からなるフィルター層(A)と平均繊維直径7μm以上50μm未満の不織布からなるスペーサー層(B)を有する顆粒球除去材であって、フィルター層(A)とスペーサー層(B)が交互に積層され、フィルター層(A)及びスペーサー層(B)の積層数が各々3以上100未満であり、かつフィルター層(A)の不織布の目付が1.0〜3.5g/mの範囲であることを特徴とする顆粒球除去材。
(2)前記スペーサー層(B)の充填率が1%以上70%未満であり、かつ該スペーサー層(B)の厚みが0.01mm以上0.4mm未満である(1)記載の顆粒球除去材。
(3)前記不織布がその表面に末端親水基を有する(1)または(2)に記載の顆粒球除去材。
(4)前記末端親水基が、水酸基、メトキシジエチレングリコール基、メトキシトリエチレングリコール基、エトキシジエチレングリコール基、エトキシトリエチレングリコール基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基からなる群より選択されることを特徴とする(3)に記載の顆粒球除去材。
本発明の顆粒球選択除去材は、目詰まりや圧力損失の増大の原因を抑制しつつ、高い顆粒球除去率と、高い血小板回収率を同時に達成できるため、血液、血液製剤に混入している顆粒球を除去するために極めて有効である。特に体外循環に用いるための顆粒球除去材として好適に利用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
一般に、血小板の回収率を向上させるには、血小板と接触する材料の表面積を小さくするために、不織布の平均繊維直径を大きくすることが有効と考えられてきた。しかし、本発明者等の検討によれば、血小板の回収率は材料の表面積と必ずしも相関せず、平均繊維直径が小さい不織布であっても、目付を特定範囲に設定すると、血小板の付着を格段に抑制できることがわかった。この理由は定かではないが、目付の小さな不織布を使用した場合、材料との接触時間が短いため、活性化を起こさず通過できること、材料に付着した血小板が、その他の血小板と接触しづらいため、血小板同士の相互作用による活性化反応が抑制されること、等の理由が推定される。
本発明の顆粒球除去材におけるフィルター層(A)は、顆粒球含有液から、血小板の付着をできるだけ抑制しつつ、顆粒球を効率よく除去する役割を有する。フィルター層(A)を構成する不織布は、平均繊維直径が1μm以上3μm未満である必要があり、1.2μm以上3μm未満が好ましく、1.4μm以上3μm未満が最も好ましい。平均繊維直径が1μm未満のものは、フィルター層の細孔径が小さすぎて、血球の付着量の増大に伴う目詰まりが発生しやすくなるなどの問題が生じるので不適である。また、平均繊維直径が3μmを超えると、繊維直径が大きすぎて、顆粒球除去率が低下するため不適である。なお、フィルター層(A)は異なる平均繊維直径を有する複数のフィルター材から構成される場合や同じ平均繊維直径を有する複数のフィルター材を重ね合わせて構成される場合もあるが、この場合、平均繊維直径が前記範囲に含まれる複数のフィルター材全てをフィルター層(A)とみなす。
本発明の顆粒球除去材における平均繊維直径とは、以下の手順によって求められる値をいう。即ち、フィルター材を構成する不織布から実質的に均一と認められるフィルター材の一部分を数箇所においてサンプリングし、走査電子顕微鏡などを用いて写真に撮る。写真に撮られた繊維の合計測定数が100本を超えるまで写真を撮り続け、このように得た写真について、写っている全ての繊維の直径を測定する。ここで直径とは、繊維軸に対して直角方向の繊維の幅をいう。測定した全ての繊維の直径の和を、繊維の数で割った値を平均繊維直径とする。但し、複数の繊維が重なり合っており、他の繊維の陰になってその幅が測定できない場合、また複数の繊維が溶融するなどして、太い繊維になっている場合、写真の焦点がずれて繊維の境界がはっきりしない場合、等の場合には、これらのデータは削除する。また、上流側と下流側で明らかに平均繊維直径の異なる2種類の繊維が混在する場合には、これを単一なフィルター材とは認めない。ここで「明らかに平均繊維径が異なる」とは統計的に有意差が認められる場合をいう。この場合は、2種類の繊維を異なるフィルター材としてとらえ、両者の境界面を見つけた後、両者の平均繊維径を別々に測定し直す。
本発明の顆粒球除去材におけるフィルター層(A)を構成する不織布は、目付が1.0g/m以上3.5g/m未満である必要があり、1.5g/m以上3.5g/m未満が好ましく、2.0g/m以上3.0g/m未満が最も好ましい。目付が1.0g/m未満のものは、フィルター充填量が少ないため、顆粒球除去性能を高めるには、フィルター層(A)の積層枚数を増やさねばならず、フィルター充填体積あたりの効率が悪く不適である。また、目付が3.5g/mを超えると、血小板付着量が増大し、目詰まりが発生する可能性があるため不適である。
本発明の顆粒球除去材におけるスペーサー層(B)とは、フィルター層(A)に比して液体がより流れやすい層であり、複数のフィルター層(A)の間に間隙を設け、フィルター層(A)を通過することによって偏った液体の流れを均等に再分配する役割を有する。また、血漿タンパク、微小凝集塊等の目詰まり原因物質を一部捕捉し、フィルター層(A)の目詰まりを軽減するプレフィルターとしての役割も有する。スペーサー層(B)を構成する不織布は、平均繊維直径が7μm以上50μm未満である必要があり、7μm以上40μm未満が好ましく、7μm以上30μm未満が最も好ましい。平均繊維直径7μm未満のものは、スペーサー層の流路が狭く、フィルター層の一部で液体の片流れが発生する可能性があるため不適である。また、平均繊維直径が50μmを超えると、上記プレフィルター効果が低下するため不適である。なお、スペーサー層(B)は異なる平均繊維直径を有する複数の不織布から構成される場合や同じ平均繊維直径を有する複数の不織布を重ね合わせて構成される場合もあるが、この場合、平均繊維直径が前記範囲に含まれる複数の不織布全てをスペーサー層(B)とみなす。
本発明の顆粒球除去材におけるスペーサー層(B)を構成する不織布の充填率は、1%以上70%未満であることが好ましい。本発明でいう不織布の充填率とは、任意の寸法にカットした不織布の面積と厚み、重量および不織布を構成する材料の比重を測定し、以下の式(1)により算出されるものである。

充填率(%)={不織布の重量(g)÷(不織布の面積(cm)×不織布の厚み(cm))}÷不織布を構成する材料の比重(g/cm)×100 (1)
充填率は、1%以上70%未満であることが好ましく、より好ましくは3%以上60%以下、さらに好ましくは5%以上50%以下である。充填率が1%よりも小さいと、強度の点で隣り合うフィルター層(A)の間隙を十分に保持することができないため好ましくない。また、充填率が70%よりも大きいと、スペーサー層の流路が狭く、フィルター層の一部で液体の片流れが発生する可能性があるため好ましくない。
本発明の顆粒球除去材におけるスペーサー層(B)の厚みは、0.01mm以上0.4mm未満の範囲であることが好ましい。厚みが0.01mmよりも小さいと、隣り合うフィルター層(A)の間隙が十分でなく、フィルター層(A)の一部で液体の片流れが発生する可能性があるため不適である。厚みが0.4mmよりも大きいと、材料と血小板の接触回数が増えるため、血小板回収率が低下することがあり好ましくない。より好ましいスペーサー層(B)の厚みは、0.03mm以上0.35mm未満、さらに好ましくは0.05mm以上0.3mm未満である。
本発明の顆粒球除去材は、フィルター層(A)とスペーサー層(B)を交互に、複数回繰り返し積層した構造を有する。ここでフィルター層(A)とスペーサー層(B)が交互に積層するとは、フィルター層(A)とスペーサー層(B)のみに着目した時にフィルター層(A)の隣はスペーサー層(B)であり、スペーサー層(B)の隣はフィルター層(A)であることを意味し、必ずしもフィルター層(A)とスペーサー層(B)が隣接して存在する必要はない。フィルター層(A)とスペーサー層(B)の間に他の層があっても良い。また、例えばフィルター層(A)とスペーサー層(B)の更に上流に液体中の微小凝集塊を捕捉するためのプレフィルター層があっても良いし、下流側に液体流路を確保するためのポストフィルター層があっても良い。フィルター層(A)とスペーサー層(B)を繰り返し積層することにより、上流部のフィルター層(A)で捕捉できなかった顆粒球を下流部のフィルター層(A)で確実に除去し、上流部のフィルター層に負担が集中することなく、顆粒球除去材全体で高い顆粒球除去性能を発揮できる。フィルター層(A)とスペーサー層(B)の積層数は、処理量と求められる顆粒球除去率より適宜設定できるが、フィルター層を均一に活用し、効率よく顆粒球を除去できる点で各々3以上100未満であることが必要である。積層数が3未満では、フィルター層の一部で液体の片流れが発生する可能性があるため好ましくない。また、積層数が100以上では、顆粒球除去材の厚みが増加し、プライミングボリュームが大きくなるため好ましくない。さらに好ましくは5以上90未満、最も好ましくは7以上80未満である。
本発明の顆粒球除去材における、フィルター層(A)とスペーサー層(B)の配置は、液体導入口から導出口に向けて、(A)、(B)、(A)、(B)・・・の順で配置されていても良いし、(B)、(A)、(B)、(A)・・・の順で配置されていても良いが、スペーサー層(B)のプレフィルター効果が発揮できる点で、(B)、(A)、(B)、(A)・・・の順に積層する配置が好ましい。また最下流は(A)でも(B)でも良いが、下流側に液体流路を確保できる点で(B)を配置することが好ましい。
フィルター材が液体入口側と出口側から見て対称的な構造をとることも可能である。このような対称構造の場合、入口側と出口側の識別が不要であり、濾過方向間違いによる性能不良の懸念が無く、生産性に優れたフィルターが実現可能である。
本発明の顆粒球除去材に用いられる不織布の素材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスチレン等の合成繊維、セルロース等の再生繊維、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等の半合成繊維、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル、芯がポリプロピレン、ポリエステル等の組み合わせからなる芯鞘構造等の複合繊維、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維等の繊維が用いられる。これらのうち熱や放射線による滅菌に安定である点でポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスチレンが好ましく、取扱い性に優れる点でポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが最も好ましい。
本発明の顆粒球除去材に用いられる不織布の製造法としては、公知のメルトブロー法、スパンレース法、フラッシュスパン法、スパンボンド法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ウォータージェット法、ニードルパンチ法、レジンボンド法、乾式法、湿式法などを挙げることができる。本発明の顆粒球除去材におけるフィルター層(A)を構成する不織布は、メルトブロー法により好適に製造できる。また、スペーサー層(B)を構成する不織布は、スパンボンド法により好適に製造できる。更に、メルトブロー不織布とスパンボンド不織布を、一工程内で積層、部分熱圧着して製造する方法は、繊細で弱いフィルター層(A)をスペーサー層(B)で保護できるため、取扱い性に優れた不織布が得られる点で最も好ましい。
本発明の顆粒球除去材は、血小板の付着を抑制し、顆粒球を選択的に除去するために、表面に末端親水性基を有することが望ましい。末端親水性基の例としては、水酸基、メトキシジエチレングリコール基、メトキシトリエチレングリコール基、エトキシジエチレングリコール基、エトキシトリエチレングリコール基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が好ましく用いられる。
好ましい末端親水基の存在比率は0.01%以上80%未満である。末端親水基の存在比率が0.01%未満の場合は疎水性が高いため、血小板回収率が極端に低下するため好ましくない。一方親水基の存在比率が80%を超えると、顆粒球除去率が低下するため好ましくない。更に好ましい範囲は、0.1%以上60%未満、最も好ましくは1%以上40%未満である。なお、本発明でいう末端親水基の存在比率とは、材料表面に存在する全ての原子に対し、末端親水基と結合した炭素原子の割合をいう。
末端親水基の存在比率の測定方法は、一般に高分子のごく表面を解析する際に用いられるXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)、TOF−SIMS(Time Of Flight-Secondary Ion Mass Spectrometry)などの解析装置を用いて求めることができる。本発明において、複数の解析法で表面被覆率の測定が可能な場合においては、表面より数10Å(オングストローム)〜100Åの情報を解析することの可能なXPS等で得られる値を正しいものとする。但し、表面の特性上TOF−SIMS等でなければ被覆率の測定ができない場合においては、その値を正しいものとする。
表面に末端親水性基を存在せしめる方法としては、ポリマーコーティング法、ポリマー沈殿不溶化法、ポリマー相分離法、プラズマ放電処理法、電子線照射法、放射線グラフト重合法等の公知の方法が挙げられる。この中で、ポリマーコーティングによる方法が工業的にも容易に行え、性能の安定性にも優れるため最も好ましい。
ポリマーコーティングに好ましく用いられるポリマーを例示すると、メトキシジエチレングリコールメタクリレート(以下「MDG」と略す)とメチルメタクリレート(以下「MMA」と略す)、及び2−ヒドロキシイソブチルメタクリレート(以下「HBMA」と略す)のランダム共重合体(共重合モル比、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下「HEMA」と略す)とジメチルアミノエチルメタクリレート(以下「DM」と略す)のランダム共重合体、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下「HPMA」と略す)とMDG、及びDMのランダム共重合体等が挙げられる。特に、MDGとMMA、及びHBMAのランダム共重合体(共重合モル比:MDG/MMA/HBMA=8〜45/30〜90/2〜50)が最も有用に用いられる。
本発明の顆粒球除去材の形状は特に限定しないが、平板状に積層したもの、またはそれをさらに円筒状に成型したものが挙げられる。前者は、コンパクトかつ比較的簡便に成型できる利点があり、後者は、多量かつ高流量の液体処理に適しているという利点をもつ。
本発明の顆粒球除去材は、少なくとも入口と出口を有する容器に充填して顆粒球除去フィルターとして用いることができる。容器形状としては、入口と出口を有する容器であれば特に限定はないが、材料の形状に応じた形状であることが好ましい。例えば、顆粒球除去材が平板状の場合には、四角形、六角形などの多角形や、円形、楕円形などの曲線からなる扁平形状であればよい。より詳細には、容器は入口側容器と出口側容器から構成され、両者が顆粒球除去材を直接あるいは支持体を介して挟み込むことによりフィルター内部を二室に分け、扁平状の顆粒球除去フィルターを形成するような形状であれば好ましい。また、別の例として、顆粒球除去材が円筒状の場合には、容器も同様に円筒状であることが好ましい。より詳細には、容器は、顆粒球除去材を収容する筒状胴部と血液入口を有する入口側ヘッダーおよび血液出口を有する出口側ヘッダーから構成され、ポッティング加工により、容器内部が入口から導入された血液が円筒状の顆粒球除去材の外周部から内周部(または内周部から外周部)に流れるように二室に分け、円筒状の顆粒球除去フィルターを形成するような形状であれば好ましい。
前記容器の材質は、硬質性樹脂や可撓性樹脂の何れでも良く、硬質性樹脂の場合、素材はフェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。可撓性樹脂の場合、可撓性の合成樹脂製のシート状または円筒状成型物から形成されるのが好ましく、素材は軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水添物、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、および熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレート等の軟化剤との混合物等が好適な材料として挙げられる。
本発明でいう顆粒球含有液とは、少なくとも顆粒球及び血小板を含有する液体で、例示すると、全血液、赤血球濃厚液、血小板濃厚液及び、血漿、或いはこれらを、血液成分を変性させない緩衝液で希釈した液体等が挙げられる。顆粒球含有液には、抗凝固剤を添加することができる。抗凝固剤の種類としては、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム等のヘパリン、あるいは、メシル酸ナファモスタットやメシル酸ガベキサート等の蛋白分解酵素阻害剤、及びクエン酸ナトリウム液、ACD−A、ACD−B、CPD、等のクエン酸系抗凝固剤等が好適に用いられる。
[実施例]
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(積層型不織布の作成)
公知のスパンボンド法でポリエチレンテレフタレートを用い、溶融紡糸方式で、温度300℃の紡糸口金から紡出し、高速牽引装置で延伸、開繊、捕集工程で、平均繊維直径12μm、目付6.25g/mのスパンボンド不織布を作成した。また、公知のメルトブロー法でポリエチレンテレフタレートを用い、温度300℃、加熱エアー300〜320℃、圧力800〜1000Nm/hrの間で調節し、平均繊維直径2.0μm、目付2.5g/mのメルトブロー不織布を作成した。前記スパンボンド不織布を上下層に、メルトブロー不織布を中間層に介在させ、エンボスロールと平滑ロール間で加熱(温度210℃)、加圧(150N/cm)で熱圧着し、部分熱圧着加工して、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンド(SMS)積層型不織布を得た。
(不織布表面の親水化)
不織布表面に末端親水基を導入する方法として、ポリマーコーティング法の1例を示す。エタノール16.4kg、重合性モノマーを還流装置を設置した反応容器に入れ、減圧した後、窒素ガスを加圧することにより反応容器内を窒素置換し、減圧−加圧操作をもう一度繰り返すことにより完全に反応容器内を窒素置換した。開始剤溶液を添加後、10時間重合を行った。重合性モノマーとしてはMDGを2.49kg(13.2mol)、及びMMAを2.21kg(22.1mol)、及びHBMAを1.40kg(8.86mol)を含む液体である。つまり各重合性モノマーの仕込み量は、MDGが30モル%、MMAが50モル%、HBMAが20モル%である。開始剤溶液は、アゾビスジメチルバレロニトリル(以下「V−65」と略す)を0.0183kg含むエタノール溶液(0.5kg)である。重合溶液を純水に滴下しポリマーを析出させ回収し、析出したポリマーを細断したものを再度純水に投入して1時間攪拌することでポリマーの洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを40℃で真空乾燥させた。
得られたポリマーの組成分析をNMR測定の積分値から算出したところほぼ仕込み比どおりであることを確認した。このポリマーを70%エタノール水溶液にてポリマー濃度0.5重量%となるように溶解した。この溶液に、SMS積層型不織布を浸漬させ、80℃で3時間乾燥させて、コーティング済み不織布を得た。
(顆粒球除去材及び顆粒球除去装置の作成)
顆粒球除去材及びそれを容器に充填した顆粒球除去装置の作成方法を次に示す。コーティング済み不織布を直径6.8mmの円形に切断し、入口と出口を有する容量1mLのポリエチレン製カラムに厚み7.0mmとなるように積層して充填した。充填液として生理食塩液を充填し、顆粒球除去装置とした。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は2.5g/m、積層数は56、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は12.5g/m、厚みは0.1mm、充填率は9%、積層数は55、除去材の総表面積は135cmであった。
(血液性能試験)
次に顆粒球除去材の顆粒球除去率、血小板回収率、及びライフタイムを評価する試験方法を記述する。抗凝固剤としてヘパリン(5000U/L)を添加したヒト新鮮血液(顆粒球数:3,810/μL、リンパ球数:2,700/μL、血小板数:253,500/μL)12mLをシリンジポンプを用いて0.2mL/分の一定流速でカラム入口より流した。血液処理中のフィルター入口側と出口側の圧力を測定し、その差圧が13.33kPaを超えた時点で血液処理を終了し、血液をカラムに流し始めた時から終了時までの処理時間をライフタイムとした。処理後の血液を回収し、フィルター通過前後の血液中の顆粒球及び血小板濃度を自動血球数測定装置(東亜医用電子株式会社Sysmex SF−3000)にて測定し、 下記の計算式(2),(3)により顆粒球除去率および血小板回収率を算出した。

顆粒球除去率(%)=(1−出口側血液の顆粒球濃度/入口側血液の顆粒球濃度)×100 (2)

血小板回収率(%)=(出口側血液の血小板濃度/入口側血液の血小板濃度)×100 (3)

結果は、顆粒球除去率96%、血小板回収率68%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
実施例1と同様な方法により、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を8.35g/m:3.3g/m:8.35g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は3.3g/m、積層数は43、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は16.7g/m、厚みは0.13mm、充填率は9%、積層数は42、除去材の総表面積は138cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率94%、血小板回収率60%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
実施例1と同様な方法により、メルトブロー不織布の平均繊維径を1.8μm、スパンボンド不織布の平均繊維径を20μm、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を5.65g/m:1.2g/m:5.65g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は1.2g/m、積層数は84、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は11.3g/m、厚みは0.07mm、充填率は12%、積層数は83、除去材の総表面積は109cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率93%、血小板回収率68%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
メルトブロー不織布の平均繊維直径を2.7μmと変えた以外は実施例1と同様な方法でSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は2.5g/m、積層数は56、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は12.5g/m、厚みは0.1mm、充填率は9%、積層数は55、除去材の総表面積は116cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率93%、血小板回収率69%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
実施例1と同様な方法により、メルトブロー不織布の平均繊維直径を1.6μm、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を21.25g/m:2.5g/m:21.25g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は2.5g/m、積層数は21、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、目付は42.5g/m、厚みは0.29mm、充填率は11%、積層数は20、除去材の総表面積は113cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率95%、血小板回収率63%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
実施例1と同様な方法により、スパンボンド不織布の平均繊維径を10μm、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を60g/m:3.3g/m:60g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は3.3g/m、積層数は7、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は120g/m、厚みは0.9mm、充填率は10%、積層数は6、除去材の総表面積は101cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率90%、血小板回収率60%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
重合性モノマーとしてHEMAを5.79kg(44.5mol)、及びDMを0.216kg(1.38mol)を含む液体を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリマーの合成を行った。各重合性モノマーの仕込み量は、HEMAが97モル%、DMが3モル%である。得られたポリマーを用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成、血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率93%、血小板回収率70%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
重合性モノマーとしてHPMAを4.95kg(34.4mol)、及びMDGを0.608kg(3.23mol)、及びDMを0.444kg(2.83mol)を含む液体を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でポリマーの合成を行った。各重合性モノマーの仕込み量は、HPMAが85モル%、MDGが8モル%、DMが7モル%である。得られたポリマーを用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成、血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率90%、血小板回収率71%、ライフタイム60分以上であり、圧上昇なく十分な顆粒球除去が可能であった。
〔比較例1〕
実施例1と同様な方法により、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を10.4g/m:4.2g/m:10.4g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は4.2g/m、積層数は33、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は20.8g/m、厚みは0.16mm、充填率は9%、積層数は32、除去材の総表面積は133cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率92%、血小板回収率22%、ライフタイム36分であり、圧上昇にともなう血小板回収率の低下が認められた。
〔比較例2〕
実施例1と同様な方法により、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を16.65g/m:6.7g/m:16.65g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は6.7g/m、積層数は21、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は33.3g/m、厚みは0.27mm、充填率は9%、積層数は20、除去材の総表面積は135cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率93%、血小板回収率3%、ライフタイム12分であり、圧上昇にともなう血小板回収率の低下が認められた。
〔比較例3〕
実施例1と同様な方法により、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を14.7g/m:0.6g/m:14.7g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は0.6g/m、積層数は26、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は29.4g/m、厚みは0.25mm、充填率は9%、積層数は25、除去材の総表面積は75cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率72%、血小板回収率66%、ライフタイム60分以上であり、顆粒球除去率の低下が認められた。
〔比較例4〕
実施例1と同様な方法により、スパンボンド:メルトブロー:スパンボンドの目付を180g/m:2.5g/m:180g/mに変えたSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は2.5g/m、積層数は2、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は360g/m、厚みは3.0mm、充填率は9%、積層数は1、除去材の総表面積は66cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率76%、血小板回収率58%、ライフタイム60分以上であり、顆粒球除去率の低下が認められた。
〔比較例5〕
メルトブロー不織布の平均繊維径を0.8μmとした以外は実施例2と同様な方法でSMS積層型不織布を作成した。このSMS積層型不織布を用いて、実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層はメルトブロー不織布1枚分に相当し、フィルター層の目付は3.3g/m、積層数は43、スペーサー層はスパンボンド不織布2枚分に相当し、スペーサー層の目付は16.7g/m、厚みは0.13mm、充填率は9%、積層数は42、除去材の総表面積は250cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率92%、血小板回収率8%、ライフタイム33分であり、圧上昇に伴う血小板回収率の低下が認められた。
〔比較例6〕
目付90g/m、平均繊維径3.9μmの均一なポリエステル不織布を用いたこと、及びスペーサー層を用いなかったこと以外は実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層の積層数は1、除去材の総表面積は292cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率99%、血小板回収率2%、ライフタイム22分であり、圧上昇にともなう血小板回収率の低下が認められた。
〔比較例7〕
目付42g/m、平均繊維径6.3μmの均一なポリエステル不織布を用いたこと、及びスペーサー層を用いなかったこと以外は実施例1と同様な方法で顆粒球除去材を作成した。フィルター層の積層数は1、除去材の総表面積は147cmであった。
得られた顆粒球除去材を用いて、実施例1と同様な方法で血液性能試験を実施した。結果は、顆粒球除去率98%、血小板回収率39%、ライフタイム60分であり、圧上昇は認められなかったものの、血小板回収率の低下が認められた。
顆粒球除去材の特性値及び、血液性能試験により得られた結果を表1にまとめた。
Figure 0004683430
表1より明らかなように、フィルター層を構成する不織布の目付が特定範囲にあり、更にフィルター層とスペーサー層とが繰り返された構造を有する顆粒球除去材は高い顆粒球除去率と高い血小板回収率を同時に達成できる結果であった。
上記実施例から明らかなとおり、本発明の顆粒球除去材は、従来の方法に比べ、高い顆粒球除去率と、高い血小板回収率を同時に達成でき、かつ目詰まりや圧力損失の上昇を引き起こさないことから、血液、血液製剤に混入している顆粒球を除去するために極めて有効である。特に体外循環顆粒球除去療法に用いるための顆粒球除去材として好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 平均繊維直径1μm以上3μm未満の不織布からなるフィルタ−層(A)と平均繊維直径7μm以上50μm未満の不織布からなるスペーサー層(B)を有する顆粒球除去材であって、
    フィルター層(A)とスペーサー層(B)が交互に積層され、
    フィルター層(A)及びスペーサー層(B)の積層数が各々3以上100未満であり、
    かつフィルター層(A)の不織布の目付が1.0〜3.5g/m2の範囲であり、更に前記不織布がその表面に末端親水基を有することを特徴とする顆粒球除去材。
  2. 前記スペーサー層(B)の充填率が1%以上70%未満であり、かつ該スペーサー層(B)の厚みが0.01mm以上0.4mm未満である請求項1記載の顆粒球除去材。
  3. 前記末端親水基が、水酸基、メトキシジエチレングリコール基、メトキシトリエチレングリコール基、エトキシジエチレングリコール基、エトキシトリエチレングリコール基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基からなる群より選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の顆粒球除去材。
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