JP2005204781A - 血液処理フィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、血液から微小凝集物、白血球および/または血小板を除去するためのシート状フィルター要素とからなり、容器内空間がフィルター要素によって入口側空間と出口側空間とに仕切られている血液処理フィルターにおいて、フィルター要素と出口側の容器との間に、最大内接円直径が0.5〜10mm、空間面積率が5〜60%、深さが0.2〜3.0mm、の空間を保有しているポストフィルターが配置されていることを特徴とする血液処理フィルター。
【選択図】図2
Description
フィルターに関する。特に、輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などから輸血副作用の原因となる微小凝集物や白血球を除去する目的で用いられる血液処理フィルターに関するものであり、また体外循環白血球除去療法に用いられる血液処理フィルターに関するものである。
これらは、フィルター要素を一旦シート状の可撓性フレームに溶着した後に、該可撓性フレームを可撓性容器と溶着したもの(特許文献3および特許文献4)、可撓性容器を直接フィルター要素に溶着させたもの(特許文献5および特許文献6)とに大別できる(以下、前者をフレーム溶着型、後者を容器溶着型ということがある。)。これらの可撓性容器は、入口と出口とを有し、可撓性容器の内部空間は、フィルター要素によって、入口を
有する入口側空間と出口を有する出口側空間とに仕切られている。
し、フィルターの血液出口側に導管を介して接続された回収バッグに濾過後の血液製剤を収容する。濾過の最中にはフィルター要素の抵抗によって圧力損失が生じ、フィルター入口側の空間は陽圧となる。可撓性容器の場合、容器が可撓性であるが故に、入口側空間はこの陽圧によって風船状に膨らみ、フィルター要素は出口側の容器に押しつけられる。
血液を収納するためのバッグへと移動しようとするため、この作用によって出口側空間は、逆に陰圧となり、出口側の容器はフィルター要素に密着する傾向を示す。即ち、フィルター要素は二重の力によって出口側の容器と密着し、血液の流れが阻害される。
バー製のスクリーン等を挿入する方法(特許文献6)、メッシュまたは突起状物等を配置する方法(特許文献7)等が提案されている。しかしながら、特許文献3に記載されている連接棒を挿入する方法では、フィルター要素と出口側の容器との間の空間を保つためには多くの連接棒を必要とし、そのために製造工程が複雑になり、またコストが増すことになる。特許文献6、特許文献7に記載されるように、スクリーン、メッシュまたは突起状
物を挿入又は配置する方法では、コストが増すだけでなく、スクリーンやメッシュのような太い繊維を溶着しようとする場合、通常の溶着では十分に繊維を溶融することができず、リークなどの問題が生じ、逆に通常より強い条件で溶着すると可撓性容器の強度が低下してしまい、また、突起状物を用いる場合は別部材を挿入することによる容器の溶着不良を起こす危険性がある。また、特許文献4に開示された方法は、連接棒やスクリーン、メッシュまたは突起状物を挿入する方法の問題点を解決する方法として提案されたものの、凹凸部の均一な溶着は難しく、安定した強度が得難い。
(1)血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、血液中の微小凝集物、白血球および/
または血小板を除去するためのシート状フィルター要素とを有し、可撓性容器内空間がフィルター要素によって入口側空間と出口側空間とに仕切られている血液処理フィルターにおいて、出口側空間に、最大内接円直径が0.5〜10mm、空間面積率が5〜60%、深さが0.2〜3.0mm、の空間を保有しているポストフィルターが配置されていることを特徴とする血液処理フィルター。
(2)シート状フィルター要素が直接あるいはフレームを介して可撓性容器に溶着されている上記(1)に記載の血液処理フィルター。
(3)ポストフィルターがフィルター要素と共に、可撓性容器もしくは可撓性フレームに溶着されており、その溶着部分には空間が存在しない上記(2)に記載の血液処理フィルター。
(4)出口側空間に2種類以上のポストフィルターが配置されている上記(1)〜(3)に記載の血液処理フィルター。
(5)ポストフィルターのうち血液の出口に対面する部分にポストフィルターの保有する空間が存在する上記(1)〜(4)の何れかに記載の血液処理フィルター。
(6)ポストフィルターの保有する空間がポストフィルター中に略均等に配置されている上記(1)〜(5)の何れかに記載の血液処理フィルター。
(7)ポストフィルターが不織布または多孔質体である上記(1)〜(6)の何れかに記載の血液処理フィルター。
ーを得ることが出来た。また、耐圧性及び耐剥離性に優れ、濾過時の圧力や遠心操作時のストレスに対しても十分な強度を持つ可撓性の血液処理フィルターとなった。さらには、スクイージング操作やポンプによる急速濾過で発生する更に高い圧力にも耐えて、リーク、破裂及び剥離を生じない可撓性の血液処理フィルターを得ることが出来た。
本発明に用いる可撓性容器は、可撓性の合成樹脂製のシート状または円筒状成型物から形成されるのが好ましく、更に、合成樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明の可撓性容器は、フィルター要素と熱的、電気的性質が類似のものが良く、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水添物、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、及び、熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレート等の軟化剤との混合物等が好適な材料として挙げられる。好ましくは、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、及び、これらを主成分とする熱可塑性エラストマーであり、更に好ましくは軟質ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンである。
状の可撓性フレームに溶着した後に、該フレームを可撓性容器と溶着するフレーム溶着型や、可撓性容器を直接シート状フィルター要素とポストフィルターに溶着させる容器溶着型などいずれの形状でもよい。好ましくは、製造工程が少なく、また原材料のロスが少ない点で容器溶着型があげられる。また、ポストフィルターの溶着部となる部分には、空間が形成されていない方が、より均一なポストフィルター性状で溶着できるため、強度のある溶着部が得られ好ましい。
における最大内接円直径とは、ポストフィルターを平板上に平らに置き、垂直方向からポストフィルターを真っ直ぐに観察し、フィルターの空間内に円を描いたときに、円内部にポストフィルターを含まずに空間とポストフィルターの界面が多点で接する最も大きな円を描く時の円の直径のことである。最大内接円直径を測定する方法としては、例えばマイクロスコープなどにより垂直方向からポストフィルターを真っ直ぐに撮影し、画像をパソコンへ取り込んだ後にパソコン上でマイクロスコープに付属の計測機能などによって空間とポストフィルターの界面が多点で接する最も大きな円を描く円の直径を計測すると操作が簡便で正確な値を求めることができる。ここでいう空間とは、前述したようにポストフィルターの構造体部分が存在していない部分のことを指す。最大内接円直径が0.5mmよりも小さいと生産性の点で不適であり、10mmよりも大きいとフィルターの空間内に可撓性の出口側の容器が入り込み、血液が流れる空間が少なくなってしまい、不適である。最大内接円直径は、より好ましくは1.0〜8.0mm、更に好ましくは1.0〜7.0mmである。
空間面積率(%)=
(切り取った紙の重量(g)÷ポストフィルターの濾過面と等しい形状のコピー用紙の
重量(g))×100(%)
また、他に画像処理によりポストフィルターの濾過面の面積と空間の面積を求めて空間面積率を計算することもできる。
分に低くならず、処理時間や回収時間の短縮を望めない。空間の深さが3.0mm以下であれ
ば、いたずらに血液ロスを増大させることなくまた血液の流れを阻害することもない。空間の深さは、より好ましくは0.5〜2.5mm、特に好ましくは0.5〜2.1mmである。
ポストフィルターの形状は単一でも処理時間や回収時間の短縮効果が得られるが、独立した空間を繋ぐように異なる形状のポストフィルターを組み合わせて配置する場合、より効果的である。
ポストフィルターの空間は偏って配置されてもよいが、略均等に配置されていることが好ましい。均等に配置されているとは、空間が濾過面上に等しく、偏り無く存在していることを言う。
網目状連続細孔を有する多孔質体などの公知の濾過媒体で構成されてもよいし、複数枚組み合わせて1つのポストフィルターを構成してもよい。例えば、厚みが0.6mmの不織布1枚
を切り抜いて空間を持たせたポストフィルターとしてもよいし、厚みが0.2mmの不織布3枚を切り抜いて空間を持たせたポストフィルターとしてもよい。本発明に用いるポストフィルターの形態は、前述した通り不織布状であることが特に好ましい。
以下、実施例に基づき、本発明の血液処理フィルターについて詳細に説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
ルター要素を、それぞれ第一のフィルター要素を血液の入口側に4枚、第二のフィルター
要素を血液の出口側に25枚重ねてシート状フィルター要素とした。血液入口の付いた軟質ポリ塩化ビニル製シートからなる入口側の容器、シート状フィルター要素、繊維径12μm
、目付50g/m2、厚さ0.270mmのポリエステル不織布を4枚重ね、最大内接円直径3.0mm、空
間面積率18.4%、深さ1.1mmとなるように直方体の空間を作成したポストフィルター、血液
出口の付いた軟質ポリ塩化ビニル製シートからなる出口側の容器、をこの順序に配置し、シート状フィルター要素とポストフィルターを入口側の容器と出口側の容器で挟んだ状態でその周縁部近傍が全周に渡って可撓性容器と一体化するように溶着し、濾過部の平面寸法が7.5cm×5.8cmの血液処理フィルターを作成した。
収バッグに到達するまでの時間をプライミング時間とした。
の読み取り、1分間の天秤の値の変動が0.1g以下になった時点で回収を終了し、貯留バッ
グが空になってから回収が終了するまでの時間を回収時間、回収終了時の天秤の値を回収量とした。また、回収されなかったPVP溶液をロス量として、以下の式から求めた。
ロス量(g)=350g−回収量 (g)
結果を表1、図1に示す。
ーを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1、
図1に示す。
ーを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1、
図1に示す。
ーを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1、
図1に示す。
空間を作成したポストフィルターを配置したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルタ
ーを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1、
図1に示す。
間を作成したポストフィルターを配置したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィルター
を作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1、図1に示す。
の空間を作成したポストフィルターを配置したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィル
ターを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1
、図1に示す。
の空間を作成したポストフィルターを配置したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィル
ターを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1
、図1に示す。
ーを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1、
図1に示す。
の空間を作成したポストフィルターを配置したこと以外は、実施例1と同じ方法でフィル
ターを作成し、プライミング時間、処理時間、回収時間、回収量を測定した。結果を表1
、図1に示す。
Claims (7)
- 血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、血液中の微小凝集物、白血球および/また
は血小板を除去するためのシート状フィルター要素とを有し、可撓性容器内空間がフィルター要素によって入口側空間と出口側空間とに仕切られている血液処理フィルターにおいて、出口側空間に、最大内接円直径が0.5〜10mm、空間面積率が5〜60%、深さが0.2〜3.0mm、の空間を保有しているポストフィルターが配置されていることを特徴とする血液処理
フィルター。 - シート状フィルター要素が直接あるいはフレームを介して可撓性容器に溶着されている請求項1に記載の血液処理フィルター。
- ポストフィルターがフィルター要素と共に、可撓性容器もしくは可撓性フレームに溶着されており、その溶着部分には空間が存在しない請求項2に記載の血液処理フィルター。
- 出口側空間に2種類以上のポストフィルターが配置されている請求項1〜3に記載の血液処理フィルター。
- ポストフィルターのうち血液の出口に対面する部分にポストフィルターの保有する空間が存在する請求項1〜4の何れかに記載の血液処理フィルター。
- ポストフィルターの保有する空間がポストフィルター中に略均等に配置されている請求項1〜5の何れかに記載の血液処理フィルター。
- ポストフィルターが不織布または多孔質体である請求項1〜6の何れかに記載の血液処理フィルター。
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