JP2004215873A - 白血球除去フィルター - Google Patents
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Abstract
【目的】血液から白血球を▲1▼選択的に、▲2▼詰まることなく、▲3▼高収率で、▲4▼短時間に除去するための装置で、▲5▼従来の装置と比較して単純な構造であり、安価で製造可能である白血球除去フィルターを提供する。
【構成】異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルターを積層することにより構成され、当該フィルターは、平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)の二種類のフィルターを含み、前記各フィルター(A)、(B)を血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層した白血球除去フィルター。
【構成】異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルターを積層することにより構成され、当該フィルターは、平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)の二種類のフィルターを含み、前記各フィルター(A)、(B)を血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層した白血球除去フィルター。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液から白血球を選択的に除去するためのフィルターに関するものである。さらに詳しくは繊維の直径が1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルターの上部に、繊維の直径が5.0μm以上から10.0μm以下の血餅・凝集塊等を取り除くことを目的としたプレフィルターを配置した白血球除去フィルターであり、血液を通過させることで白血球を▲1▼選択的に、▲2▼詰まることなく、▲3▼高収率で、▲4▼短時間に除去する事が可能なフィルターに関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
異なる平均繊維直径を有する複数のフィルター(不織布)を積層した公知文献として、特許文献1(プレフィルターの一層から四層目を血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターと小さいフィルターを15、12、15、12μmの順で交互に積層するとともにさらに平均繊維直径1.8μmの本フィルターを積層[実施例2参照]、プレフィルターの一層から四層目を血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターから小さいフィルターを32、16、14、12μmの順で積層するとともにさらに平均繊維直径2.6μmの本フィルターを積層[実施例5参照])、特許文献2(四層のフィルターを血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターと小さいフィルターを25、4、25、1.65または25、4、1.65、4μmの順で交互に積層[実施例1、9、10参照]、四層のフィルターを血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターから小さいフィルターをそれぞれ35、7.0、2.5、1.21μmの順で積層[実施例6参照])、特許文献3(1.5μmのフィルターの両側に20μmと30μmのフィルターを積層)、特許文献4(三層のフィルターを血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径7.0、1.4、1.0μmの順で積層)が既に開示されている。
【0003】
従来の白血球除去フィルターは各製剤(赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤)の輸血時に血液バッグから患者に輸血する輸血セットの間に組込まれ、輸血する血液が点滴される比較的長い時間(30分以上)をかけて濾過されていた。しかしながら、最近の輸血用血液からの白血球除去は、採血後に各血液製剤を分離調整・保存する前に速やかに全血を濾過する、保存前白血球除去用の白血球除去フィルターとして使用される。このため白血球を除去する濾過時間は全血から各製剤を調整する製剤作業の一貫として行なうことになり、製剤作業の効率化のためには濾過時間が短時間に行われることが望ましい。白血球が起因で発症する輸血後の副作用として、血液製剤中に混入する白血球が誘引する免疫作用(移植片宿主病:GVHD、免疫感作、抗体産生、非溶血性発熱等)、白血球を介在しての感染症(HIV、HTLV−1、CMV)があり、これら副作用を低減する効果が期待されており、全ての血液製剤から出来うる限り残存する白血球を少なくすることが望ましいとされている。
【0004】
また、英国で問題となった狂牛病由来のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が血液製剤を介して感染することが疑われ、各国で全血液製剤に白血球除去を実施するために、全血状態で白血球除去のための血液濾過を行なうようになった。欧州各国での白血球除去の基準として白血球除去後の血液バッグ中の残存白血球総数が1×106個未満に定められており、これを1μL中の白血球数に換算するとおよそ2個/μL未満となる。一方、アメリカ血液銀行協会(AABB)の白血球除去血液製剤の基準は5×106個未満であることを要求しており、この場合の1μL中の白血球数はおよそ10個/μL未満となる。本邦に置いては、白血球除去製剤の基準は定められていないが、将来的に全血液製剤の白血球除去が実施されるようになれば、より高いレベルの白血球除去が要求されると考えられる。
【0005】
このように、血液中の残存白血球数は現状の基準において最も少ない場合で血液バッグ中の総数が1×106個未満であり、2個/μL未満にすることが要求されているが、より高いレベルの基準を濾過された全血液バッグがクリアーするためには、より高い白血球除去性能を有した白血球除去フィルターを設定する必要があり、われわれは鋭意検討した結果、抗凝固剤(ACD液60ml、CPD液56mlまたはCPDA−1液56ml)入りの400ml血液バッグに採血された血液を、全血状態で白血球除去した場合の血液バッグ中の残存白血球数を、より低減する指標として、5×105個以下(1μL中の白血球数を1個以下)とし、より好ましくは2.5×105個以下(1μL中の白血球数を0.5個以下)に低減する性能を有する白血球除去フィルターを発明、開発することが必要であると考えた。
【0006】
このように白血球除去フィルターが、従来の使用方法と異なり、献血により採血された全ての血液製剤が速やかに白血球除去できるためには、(1)血液の濾過時間を短くすること(例えば15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下(白血球除去率を99.99パーセント以上にすること)等の性能が必要とされるようになってきている。
【0007】
しかしながら、前記公知文献にこれら要求性能を全て満たすものは無く、以前に本発明者らは鋭意検討を重ね、これら要求性能を全て満たすものとして特許文献4に記載の発明に到達した。
【0008】
ところが、特許文献4に記載された白血球除去フィルターは、3種類のフィルターを積層した複雑な構造である為、より安価で、簡便に製造が可能な単純構造である白血球除去フィルターの開発が強く望まれている。
【0009】
【特許文献1】
特公平2−13588号公報(実施例2、5)
【特許文献2】
特許第2559615号公報(実施例1、6、9、10)
【特許文献3】
特開平8−215521号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献4】
特開2002−204910号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記要求性能を全て満たし、且つ、より単純な構造である白血球除去フィルターを開発するためにさらなる鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。
[1]本発明は、異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルターを積層することにより構成され、当該フィルターは、平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)の二種類のフィルターを含み、前記各フィルター(A)、(B)を血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層した白血球除去フィルターを提供する。
[2]本発明は、前記フィルター(A)は、厚さが0.1mm以上、前記フィルター(B)は、厚さが3.0mm以上である[1]に記載の白血球除去フィルターを提供する。
[3]本発明は、前記フィルター(A)、(B)を装填したハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側チューブの上端から血液出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定し、血液を自然落下させてフィルター(A)、(B)で濾過した際に、濾過による血中残存白血球の減少が(a)1(個/μL)以下、好ましくは0.5(個/μL)以下または、(b)白血球を99.99パーセント以上除去することが可能な[1]ないし[2]に記載の白血球除去フィルターを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の白血球除去フィルターは、異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルター(不織布)を積層することにより構成され、前記フィルターは平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)を含む。前記各フィルター(A)、(B)は血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層して、血液入口と血液出口を有するハウジング内に配置される。
【0012】
前記フィルター(A)は、厚さが0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上、前記フィルター(B)は、厚さが3.0mm以上のものを使用するのが良い。本発明で、前記各フィルター(A)、(B)の厚さとは、ハウジングに組み込んだ時の厚さである。
前記各フィルター(A)、(B)は、所定の厚さに形成されたものを1枚ないし複数枚重ねたものを使用するが、重ねる枚数よりもハウジングに組み込んだ時の全体の厚さのほうが、血餅・凝集塊の除去、白血球の捕捉性能等を制御する指標として重要である。なお、フィルター(B)は、所定の厚さに形成されたものを複数枚重ねて、所望の厚さに設定することが望ましい。
前記フィルター(A)は、厚さがあまり薄すぎると(0.1mm未満)血餅・凝集塊等を充分に取り除くことができないので好ましくない。前記フィルター(B)は、厚さがあまり薄すぎると(3.0mm未満)白血球を充分に捕捉することができないので好ましくない。
【0013】
本発明で、前記プレフィルター(A)として、例えばスパンボンド法またはメルトブローン法で製造したポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)等の不織布が使用される。本発明で、本フィルター(B)として、例えばメルトブローン法で製造したポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の不織布が使用される。上記の不織布は、製法を限定するものではなく、前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)に相当する平均繊維直径Dを有すればいかなる製法による不織布でもかまわない。
【0014】
以上のように本発明の白血球除去フィルターは、それぞれ固有の平均繊維直径D、厚さを有する前記各フィルター(A)、(B)を組み合わせることにより、(1)血液の濾過時間を短くすること(例えば15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下にし、白血球を99.99パーセント除去する等の性能を達成することができる。なお白血球の除去率を単にパーセントで表示しても、白血球数は個人差によって、成人で3000〜10000個/μLといわれている。残存白血球数が同じ1個/μLであったとしても除去前の白血球数が3000個/μLであるならば除去率は99.967パーセントにとどまり、除去前の白血球数が10000個/μLであれば99.990パーセントとなる。同様に残存白血球数が0.5個/μLであるならば除去前の白血球数が3000個/μLのとき除去率は99.983パーセントであり、除去前の白血球数が10000個/μLのときは99.995パーセントとなるため白血球除去フィルターの性能を白血球除去率で的確に規定するのは困難である。したがって、本発明では白血球除去フィルターとして必要な性能は、(1)血液の濾過時間が15分以下、より好ましくは10分以下であること、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数が1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下であることである。なお白血球除去率は99.99パーセント以上が好ましいが、前記のように白血球数は個人差がある。したがって濾過後の血液中の残存白血球数が1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下であれば、白血球除去率は99.96ないし99.98パーセント以上であっても本発明の白血球除去フィルター1として必要な性能を有しているとみなすことができる。
【0015】
前記プレフィルター(A)の平均繊維直径Dを、5.0μm以上から10.0μm以下に設定したのは、プレフィルターの役割として赤血球や白血球等の血球の直径よりも大きな凝集塊等を除き、以降の本フィルターで効率良く白血球を除去できることを目的としたものであり5.0μm未満では、凝集塊と同時に血球が補足されて目詰まりが生じやすく、10.0μmを超えるとプレフィルター以降の本フィルターに凝集塊等が漏れ出て本フィルターの目詰まりが生じ、白血球除去率が低下するか、もしくは濾過時間が延長してしまうからである。前記の本フィルター(B)の平均繊維直径Dを、1.2μm以上から2.0μm以下に設定したのは、平均繊維直径Dを、1.2μm未満にすると繊維径が充分に細いため目詰まりが生じ、白血球除去率が低下するか、もしくは濾過時間が延長してしまうからである。また、平均繊維直径Dを2.0μmより大きくすると、繊維径が充分に細くないため、目的とする白血球除去率を達成することが難しい為である。
【0016】
【実施例】
実験例1(白血球除去フィルターの組み立て)硬質合成樹脂製で上下に血液入口と血液出口有する円盤状のハウジング内に血液入口から血液出口の順に、直径29mmでそれぞれ所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)を装填した。前記ハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側チューブの上端から血液出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定した。血液入口側チューブ上流に容量50mlのシリンジ[(抗凝固剤としてACD液(60ml)の入った血液バッグに全血(400ml)を採血し、該シリンジに45ml採取した。)]に接続し、血液をシリンジから自然落下させて、前記二層のフィルターで濾過した。
【0017】
表1は所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)を二層に重ねた本発明の白血球除去フィルター(実施例1から5)、所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)のみまたは、前記本フィルター(B)のみからなる白血球除去フィルター(比較例1から2)、所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)と極細の繊維から成る本フィルター(C)を積層した白血球除去フィルター(比較例3)、特許文献4に記載された白血球除去フィルター(比較例4から6)の濾過後の血液中の残存白血球数、血球数除去率、血液の濾過時間を対比したものである。比較例4から6は本フィルターに異なる繊維径からなる二種類の不織布(本フィルター(B)、本フィルター(C))を用いたもので、プレフィルター(A)を加えて三層構成である。なお、本実験例1の実施例1から5、比較例1から5に使用した前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)及び本フィルター(C)は、表2に記載のポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)からなるフィルターを使用した。各フィルターの平均繊維直径D、厚さ、目付、嵩密度、空隙率等の各物性値は表2に記載の通りである。
【表1】
【表2】
【0018】
実施例1から5では、本発明の白血球除去フィルターで要求される(1)血液の濾過時間を短くすること(例えば15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下にし、白血球を99.99パーセント除去する等の性能を達成することが確認できた。なお実施例1では、白血球除去率が99.982パーセントであるが、濾過後の血液中の残存白血球数が、1(個/μL)未満であるため、本発明の白血球除去フィルターで要求される性能を有しているとみなすことができる。前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)の組み合わせは、プレフィルター(A)の平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下、本フィルター(B)の平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下で、厚さが3mm以上となる組み合わせの時、2層構造という従来と比較して単純な構造で、従来以上の高機能を発揮し得ることが確認できる。
【0019】
比較例1と比較例2では、プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)のいずれかを一層使用したのみであり、プレフィルター(A)のみを7.14mm重ねた比較例1では、白血球除去率が極端に低かった。これは平均繊維直径Dが単に7μmでは大きすぎて、白血球を捕捉できないためと考えられる。本フィルター(B)のみを7.18mm重ねた比較例2では、濾過時間が10分以上と長時間であった。これはプレフィルター無しに平均繊維直径D=1.4μmの本フィルター(B)を配置した結果、凝集塊等による目詰まりが生じたためと考えられる。比較例3では、濾過時間が10分以上と長時間であった。これは、プレフィルター(A)の下部に極細の繊維から成る本フィルター(C)を配置した結果、本フィルター(C)に目詰まりが生じたためと考えられる。この結果より、プレフィルター(A)の下に配置する本フィルターの繊維直径が細すぎては目詰まりを生じるということが確認できる。
【0020】
比較例4から6では、プレフィルター(A)と前記第一の本フィルター(B)および前記第二の本フィルター(C)の三層を重ねたものである。前記第二の本フィルター(C)を1.5mm重ねた比較例4では、濾過時間が10分を超過した。これは平均繊維直径Dが小さい1.0μmのフィルターの厚さが厚すぎるため捕捉された白血球や赤血球による目詰まりが生じたと考えられる。比較例5および6はいずれも要求機能を満たすものであったが、3層という複雑な構造であるにもかかわらず、機能面で実施例1〜5とほぼ同等であった。言い換えれば、実施例1〜5は使用する不織布の繊維径及び厚さを最適化することで、2層構造にもかかわらず、従来の3層構造と同程度以上の機能を発揮することに成功したといえる。
【0021】
【発明の作用効果】
以上説明したように、本発明の白血球除去フィルターは、それぞれ固有の平均繊維直径D、厚さを有する前記各フィルター(A)、(B)を組み合わせることにより、(1)血液の濾過時間を短くし(例えば15分以下、より好ましくは10分以下)かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させる[例えば1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下にする。白血球除去率を99.99パーセント以上にする。なお、前記のように白血球数は個人差があるので、濾過後の血液中の残存白血球数が1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下であれば、白血球除去率は99.96ないし99.98パーセント以上であっても良い。]という高機能を、(3)2層構造という、より単純な構造で達成することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液から白血球を選択的に除去するためのフィルターに関するものである。さらに詳しくは繊維の直径が1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルターの上部に、繊維の直径が5.0μm以上から10.0μm以下の血餅・凝集塊等を取り除くことを目的としたプレフィルターを配置した白血球除去フィルターであり、血液を通過させることで白血球を▲1▼選択的に、▲2▼詰まることなく、▲3▼高収率で、▲4▼短時間に除去する事が可能なフィルターに関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
異なる平均繊維直径を有する複数のフィルター(不織布)を積層した公知文献として、特許文献1(プレフィルターの一層から四層目を血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターと小さいフィルターを15、12、15、12μmの順で交互に積層するとともにさらに平均繊維直径1.8μmの本フィルターを積層[実施例2参照]、プレフィルターの一層から四層目を血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターから小さいフィルターを32、16、14、12μmの順で積層するとともにさらに平均繊維直径2.6μmの本フィルターを積層[実施例5参照])、特許文献2(四層のフィルターを血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターと小さいフィルターを25、4、25、1.65または25、4、1.65、4μmの順で交互に積層[実施例1、9、10参照]、四層のフィルターを血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径の大きいフィルターから小さいフィルターをそれぞれ35、7.0、2.5、1.21μmの順で積層[実施例6参照])、特許文献3(1.5μmのフィルターの両側に20μmと30μmのフィルターを積層)、特許文献4(三層のフィルターを血液入口から血液出口に向けて平均繊維直径7.0、1.4、1.0μmの順で積層)が既に開示されている。
【0003】
従来の白血球除去フィルターは各製剤(赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤)の輸血時に血液バッグから患者に輸血する輸血セットの間に組込まれ、輸血する血液が点滴される比較的長い時間(30分以上)をかけて濾過されていた。しかしながら、最近の輸血用血液からの白血球除去は、採血後に各血液製剤を分離調整・保存する前に速やかに全血を濾過する、保存前白血球除去用の白血球除去フィルターとして使用される。このため白血球を除去する濾過時間は全血から各製剤を調整する製剤作業の一貫として行なうことになり、製剤作業の効率化のためには濾過時間が短時間に行われることが望ましい。白血球が起因で発症する輸血後の副作用として、血液製剤中に混入する白血球が誘引する免疫作用(移植片宿主病:GVHD、免疫感作、抗体産生、非溶血性発熱等)、白血球を介在しての感染症(HIV、HTLV−1、CMV)があり、これら副作用を低減する効果が期待されており、全ての血液製剤から出来うる限り残存する白血球を少なくすることが望ましいとされている。
【0004】
また、英国で問題となった狂牛病由来のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が血液製剤を介して感染することが疑われ、各国で全血液製剤に白血球除去を実施するために、全血状態で白血球除去のための血液濾過を行なうようになった。欧州各国での白血球除去の基準として白血球除去後の血液バッグ中の残存白血球総数が1×106個未満に定められており、これを1μL中の白血球数に換算するとおよそ2個/μL未満となる。一方、アメリカ血液銀行協会(AABB)の白血球除去血液製剤の基準は5×106個未満であることを要求しており、この場合の1μL中の白血球数はおよそ10個/μL未満となる。本邦に置いては、白血球除去製剤の基準は定められていないが、将来的に全血液製剤の白血球除去が実施されるようになれば、より高いレベルの白血球除去が要求されると考えられる。
【0005】
このように、血液中の残存白血球数は現状の基準において最も少ない場合で血液バッグ中の総数が1×106個未満であり、2個/μL未満にすることが要求されているが、より高いレベルの基準を濾過された全血液バッグがクリアーするためには、より高い白血球除去性能を有した白血球除去フィルターを設定する必要があり、われわれは鋭意検討した結果、抗凝固剤(ACD液60ml、CPD液56mlまたはCPDA−1液56ml)入りの400ml血液バッグに採血された血液を、全血状態で白血球除去した場合の血液バッグ中の残存白血球数を、より低減する指標として、5×105個以下(1μL中の白血球数を1個以下)とし、より好ましくは2.5×105個以下(1μL中の白血球数を0.5個以下)に低減する性能を有する白血球除去フィルターを発明、開発することが必要であると考えた。
【0006】
このように白血球除去フィルターが、従来の使用方法と異なり、献血により採血された全ての血液製剤が速やかに白血球除去できるためには、(1)血液の濾過時間を短くすること(例えば15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下(白血球除去率を99.99パーセント以上にすること)等の性能が必要とされるようになってきている。
【0007】
しかしながら、前記公知文献にこれら要求性能を全て満たすものは無く、以前に本発明者らは鋭意検討を重ね、これら要求性能を全て満たすものとして特許文献4に記載の発明に到達した。
【0008】
ところが、特許文献4に記載された白血球除去フィルターは、3種類のフィルターを積層した複雑な構造である為、より安価で、簡便に製造が可能な単純構造である白血球除去フィルターの開発が強く望まれている。
【0009】
【特許文献1】
特公平2−13588号公報(実施例2、5)
【特許文献2】
特許第2559615号公報(実施例1、6、9、10)
【特許文献3】
特開平8−215521号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献4】
特開2002−204910号公報(特許請求の範囲)
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記要求性能を全て満たし、且つ、より単純な構造である白血球除去フィルターを開発するためにさらなる鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。
[1]本発明は、異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルターを積層することにより構成され、当該フィルターは、平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)の二種類のフィルターを含み、前記各フィルター(A)、(B)を血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層した白血球除去フィルターを提供する。
[2]本発明は、前記フィルター(A)は、厚さが0.1mm以上、前記フィルター(B)は、厚さが3.0mm以上である[1]に記載の白血球除去フィルターを提供する。
[3]本発明は、前記フィルター(A)、(B)を装填したハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側チューブの上端から血液出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定し、血液を自然落下させてフィルター(A)、(B)で濾過した際に、濾過による血中残存白血球の減少が(a)1(個/μL)以下、好ましくは0.5(個/μL)以下または、(b)白血球を99.99パーセント以上除去することが可能な[1]ないし[2]に記載の白血球除去フィルターを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の白血球除去フィルターは、異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルター(不織布)を積層することにより構成され、前記フィルターは平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)を含む。前記各フィルター(A)、(B)は血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層して、血液入口と血液出口を有するハウジング内に配置される。
【0012】
前記フィルター(A)は、厚さが0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上、前記フィルター(B)は、厚さが3.0mm以上のものを使用するのが良い。本発明で、前記各フィルター(A)、(B)の厚さとは、ハウジングに組み込んだ時の厚さである。
前記各フィルター(A)、(B)は、所定の厚さに形成されたものを1枚ないし複数枚重ねたものを使用するが、重ねる枚数よりもハウジングに組み込んだ時の全体の厚さのほうが、血餅・凝集塊の除去、白血球の捕捉性能等を制御する指標として重要である。なお、フィルター(B)は、所定の厚さに形成されたものを複数枚重ねて、所望の厚さに設定することが望ましい。
前記フィルター(A)は、厚さがあまり薄すぎると(0.1mm未満)血餅・凝集塊等を充分に取り除くことができないので好ましくない。前記フィルター(B)は、厚さがあまり薄すぎると(3.0mm未満)白血球を充分に捕捉することができないので好ましくない。
【0013】
本発明で、前記プレフィルター(A)として、例えばスパンボンド法またはメルトブローン法で製造したポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)等の不織布が使用される。本発明で、本フィルター(B)として、例えばメルトブローン法で製造したポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の不織布が使用される。上記の不織布は、製法を限定するものではなく、前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)に相当する平均繊維直径Dを有すればいかなる製法による不織布でもかまわない。
【0014】
以上のように本発明の白血球除去フィルターは、それぞれ固有の平均繊維直径D、厚さを有する前記各フィルター(A)、(B)を組み合わせることにより、(1)血液の濾過時間を短くすること(例えば15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下にし、白血球を99.99パーセント除去する等の性能を達成することができる。なお白血球の除去率を単にパーセントで表示しても、白血球数は個人差によって、成人で3000〜10000個/μLといわれている。残存白血球数が同じ1個/μLであったとしても除去前の白血球数が3000個/μLであるならば除去率は99.967パーセントにとどまり、除去前の白血球数が10000個/μLであれば99.990パーセントとなる。同様に残存白血球数が0.5個/μLであるならば除去前の白血球数が3000個/μLのとき除去率は99.983パーセントであり、除去前の白血球数が10000個/μLのときは99.995パーセントとなるため白血球除去フィルターの性能を白血球除去率で的確に規定するのは困難である。したがって、本発明では白血球除去フィルターとして必要な性能は、(1)血液の濾過時間が15分以下、より好ましくは10分以下であること、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数が1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下であることである。なお白血球除去率は99.99パーセント以上が好ましいが、前記のように白血球数は個人差がある。したがって濾過後の血液中の残存白血球数が1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下であれば、白血球除去率は99.96ないし99.98パーセント以上であっても本発明の白血球除去フィルター1として必要な性能を有しているとみなすことができる。
【0015】
前記プレフィルター(A)の平均繊維直径Dを、5.0μm以上から10.0μm以下に設定したのは、プレフィルターの役割として赤血球や白血球等の血球の直径よりも大きな凝集塊等を除き、以降の本フィルターで効率良く白血球を除去できることを目的としたものであり5.0μm未満では、凝集塊と同時に血球が補足されて目詰まりが生じやすく、10.0μmを超えるとプレフィルター以降の本フィルターに凝集塊等が漏れ出て本フィルターの目詰まりが生じ、白血球除去率が低下するか、もしくは濾過時間が延長してしまうからである。前記の本フィルター(B)の平均繊維直径Dを、1.2μm以上から2.0μm以下に設定したのは、平均繊維直径Dを、1.2μm未満にすると繊維径が充分に細いため目詰まりが生じ、白血球除去率が低下するか、もしくは濾過時間が延長してしまうからである。また、平均繊維直径Dを2.0μmより大きくすると、繊維径が充分に細くないため、目的とする白血球除去率を達成することが難しい為である。
【0016】
【実施例】
実験例1(白血球除去フィルターの組み立て)硬質合成樹脂製で上下に血液入口と血液出口有する円盤状のハウジング内に血液入口から血液出口の順に、直径29mmでそれぞれ所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)を装填した。前記ハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側チューブの上端から血液出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定した。血液入口側チューブ上流に容量50mlのシリンジ[(抗凝固剤としてACD液(60ml)の入った血液バッグに全血(400ml)を採血し、該シリンジに45ml採取した。)]に接続し、血液をシリンジから自然落下させて、前記二層のフィルターで濾過した。
【0017】
表1は所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)を二層に重ねた本発明の白血球除去フィルター(実施例1から5)、所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)のみまたは、前記本フィルター(B)のみからなる白血球除去フィルター(比較例1から2)、所定の厚さになるよう重ねた前記プレフィルター(A)と極細の繊維から成る本フィルター(C)を積層した白血球除去フィルター(比較例3)、特許文献4に記載された白血球除去フィルター(比較例4から6)の濾過後の血液中の残存白血球数、血球数除去率、血液の濾過時間を対比したものである。比較例4から6は本フィルターに異なる繊維径からなる二種類の不織布(本フィルター(B)、本フィルター(C))を用いたもので、プレフィルター(A)を加えて三層構成である。なお、本実験例1の実施例1から5、比較例1から5に使用した前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)及び本フィルター(C)は、表2に記載のポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)からなるフィルターを使用した。各フィルターの平均繊維直径D、厚さ、目付、嵩密度、空隙率等の各物性値は表2に記載の通りである。
【表1】
【表2】
【0018】
実施例1から5では、本発明の白血球除去フィルターで要求される(1)血液の濾過時間を短くすること(例えば15分以下、より好ましくは10分以下に設定すること。)、かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させ、1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下にし、白血球を99.99パーセント除去する等の性能を達成することが確認できた。なお実施例1では、白血球除去率が99.982パーセントであるが、濾過後の血液中の残存白血球数が、1(個/μL)未満であるため、本発明の白血球除去フィルターで要求される性能を有しているとみなすことができる。前記プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)の組み合わせは、プレフィルター(A)の平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下、本フィルター(B)の平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下で、厚さが3mm以上となる組み合わせの時、2層構造という従来と比較して単純な構造で、従来以上の高機能を発揮し得ることが確認できる。
【0019】
比較例1と比較例2では、プレフィルター(A)、前記本フィルター(B)のいずれかを一層使用したのみであり、プレフィルター(A)のみを7.14mm重ねた比較例1では、白血球除去率が極端に低かった。これは平均繊維直径Dが単に7μmでは大きすぎて、白血球を捕捉できないためと考えられる。本フィルター(B)のみを7.18mm重ねた比較例2では、濾過時間が10分以上と長時間であった。これはプレフィルター無しに平均繊維直径D=1.4μmの本フィルター(B)を配置した結果、凝集塊等による目詰まりが生じたためと考えられる。比較例3では、濾過時間が10分以上と長時間であった。これは、プレフィルター(A)の下部に極細の繊維から成る本フィルター(C)を配置した結果、本フィルター(C)に目詰まりが生じたためと考えられる。この結果より、プレフィルター(A)の下に配置する本フィルターの繊維直径が細すぎては目詰まりを生じるということが確認できる。
【0020】
比較例4から6では、プレフィルター(A)と前記第一の本フィルター(B)および前記第二の本フィルター(C)の三層を重ねたものである。前記第二の本フィルター(C)を1.5mm重ねた比較例4では、濾過時間が10分を超過した。これは平均繊維直径Dが小さい1.0μmのフィルターの厚さが厚すぎるため捕捉された白血球や赤血球による目詰まりが生じたと考えられる。比較例5および6はいずれも要求機能を満たすものであったが、3層という複雑な構造であるにもかかわらず、機能面で実施例1〜5とほぼ同等であった。言い換えれば、実施例1〜5は使用する不織布の繊維径及び厚さを最適化することで、2層構造にもかかわらず、従来の3層構造と同程度以上の機能を発揮することに成功したといえる。
【0021】
【発明の作用効果】
以上説明したように、本発明の白血球除去フィルターは、それぞれ固有の平均繊維直径D、厚さを有する前記各フィルター(A)、(B)を組み合わせることにより、(1)血液の濾過時間を短くし(例えば15分以下、より好ましくは10分以下)かつ(2)濾過後の血液中の残存白血球数を大幅に減少させる[例えば1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下にする。白血球除去率を99.99パーセント以上にする。なお、前記のように白血球数は個人差があるので、濾過後の血液中の残存白血球数が1(個/μL)以下、より好ましくは0.5(個/μL)以下であれば、白血球除去率は99.96ないし99.98パーセント以上であっても良い。]という高機能を、(3)2層構造という、より単純な構造で達成することができる。
Claims (3)
- 異なる平均繊維直径Dを有する二種類のフィルターを積層することにより構成され、当該フィルターは、平均繊維直径Dが5.0μm以上から10.0μm以下のプレフィルター(A)と、平均繊維直径Dが1.2μm以上から2.0μm以下の本フィルター(B)の二種類のフィルターを含み、前記各フィルター(A)、(B)を血液導入口から導出口に向けて、(A)、(B)の順に積層したことを特徴とする白血球除去フィルター。
- 前記フィルター(A)は、厚さが0.1mm以上、前記フィルター(B)は、厚さが3.0mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の白血球除去フィルター。
- 前記フィルター(A)、(B)を装填したハウジングの血液入口と血液出口にそれぞれチューブを接続し、血液入口側チューブの上端から血液出口側チューブの下端までの落差を60cmに設定し、血液を自然落下させてフィルター(A)、(B)で濾過した際に、濾過による血中残存白血球の減少が(a)1(個/μL)以下、好ましくは0.5(個/μL)以下または、(b)白血球を99.99パーセント以上除去することが可能な請求項1ないし請求項2に記載の白血球除去フィルター。
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