JP4683187B2 - バランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法 - Google Patents

バランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、往復動エンジンに関し、より詳しくはバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法に関するものである。
エンジンの静粛性は車両の商品性を高めると共にドライバの疲労を軽減することができる。このため、エンジン振動及びこれに伴う騒音を抑制する技術の一つとして、エンジンのクランクシャフトにギヤ列を介してバランサ装置を連係させることが知られている。
特許文献1は直列4気筒エンジンに組み込んだバランサ装置を開示している。このバランサ装置は、互いに逆回転する一対のバランサシャフトを内蔵したユニットで構成されている。このバランサユニットは直列4気筒エンジンの気筒配列方向中間部分の下側に配設され、そして、バランサユニットに含まれる2本のバランサシャフトの一方とクランクシャフトとはギヤ列で連結されている。このギヤ列の一部を構成するクランクシャフト側のギヤつまりバランサ駆動ギヤはリングギヤで構成され、そして、このリングギヤは、クランクシャフトのアーム部に形成された円盤部に取り付けられており、円盤部はジャーナル軸線を中心とした円形の外周面を備えている。
このようなバランサユニットを組み込んだエンジンにあっては、エンジンのコンパクト性を確保するためにリングギヤの幅寸法が制限される。すなわち、クランクシャフトは往復動作を回転運動に変換するのが本来的な機能であり、コンパクト化のために多気筒エンジンの全長を抑えた設計を行うには、隣接するピストン間のピッチが制限され、このためリングギヤの取付座を構成する上記の円盤部の幅は限定されたものとなる。換言すれば、幅の大きな大径のリングギヤを採用することは、ピストン間のピッチに影響を及ぼすことになり、また、クランクシャフトの全長が拡大することになるため、エンジンのコンパクト化の要請に答えることができなくなってしまう。
エンジンの設計において、一つのエンジンの設計を基礎に、この基礎となるエンジンの排気量とは異なる排気量のエンジンを設計することが良く行われる。この場合、大排気量のエンジンを基礎に、これを小排気量に改変するのであれば、この小排気量化に当たってエンジン各部の寸法に余裕が出るため、このような小排気量化の改変は比較的容易であると言えるが、改変後の小排気量のエンジンは、ベースになった大排気量のエンジンの寸法を備えることになるためコンパクト性が犠牲になってしまうという問題がある。
他方、小排気量のエンジンを基礎に、これを大排気量に改変する場合、この大排気量のエンジンの全体寸法を小排気量のエンジンと実質的に同じにすることができることから、エンジンのコンパクト化の要求に応じることができるものの、小排気量から大排気量への改変は、設計上の各要素の寸法上の余裕が無くなるため、種々の解決しなければならない問題が出現することになる。
小排気量のエンジンを大排気量化するには、シリンダボアの直径を拡大するのが一般的である。しかしながら、ボア径の拡大には一定の制限がある。すなわち、ボア径を拡大すると、隣接するシリンダボア間の間隔が小さくなり、これに伴い、ボア間のウオータージャケットの容積が小さくなり過ぎてエンジンの冷却性能を確保するのが難しくなる等の問題が発生するため、ボア径の拡大による排気量の増大は限定的なものである。したがって、目標とする排気量の増大が、ボア径の拡大だけでは足りない場合には、ボアストロークつまりピストンストロークを長くすることで対処することになる。
ピストンストロークを延長した場合、これに伴って小排気量用のクランクシャフトの設計を改変することが必要となる。すなわち、コンロッドとの連結部分であるクランクシャフトのクランクピン部の回転半径、つまりジャーナル軸線とクランクピン部との間の離間距離(クランクアーム長)を拡大することが必要になり、このため、クランクシャフトは、クランクアーム長が相対的に長い大排気量用を用意する必要がある。このことは、バランサ装置を備えたエンジンの場合には以下に説明する問題を誘発する。
前述したバランサユニットを組み込んだエンジンを大排気量に改変するに当たって、バランサシャフトがクランクシャフトの2倍速で回転するように設計しなければならないという制約がある。このことに関して、バランサユニットを駆動するためのリングギヤとして、大排気量化したエンジンに適合したクランクシャフト、つまり延長したクランクアーム長を備えたクランクシャフトに見合った相対的に大径のリングギヤを採用すると、これに対応したバランサユニット側の従動ギヤを採用することが必要となり、バランサユニットの設計の見直しが必要となる。
特開2001−99232号公報
大排気量化に伴うバランサユニットの設計変更を回避する一つの手段として、バランサユニットの共用化も一つの選択可能な手段である。しかし、このことは、小排気量エンジンのクランクシャフトで採用したリングギヤをそのまま大排気量エンジンにも適用しなければならないことを意味する。大排気量用クランクシャフトの設計において、小排気量エンジン用のクランクシャフトの基本設計を変えないで、単にクランクアーム長だけを改変した場合、その結果として、リングギヤの取付座を構成する円盤部の外径寸法が、これに隣接するクランクピン部の最外周とクランクシャフト軸線との間の距離よりも小さくなったときには、クランクピン部と円盤部との間が逆段差になってしまい、クランクピン部のフィレットR部の背面に薄肉のフィレットR肩部が出来てしまう。
このような場合に、従来のクランクシャフトの製造手順に従って、クランクピン部の研削加工及び共にクランクシャフト軸線と共通の軸線を備えたジャーナル部及び円盤部を研削加工した後に、クランクピン部のフィレットR部にロール加工によりフィレットR部の表面硬化処理を施すと、フィレットR肩部が、そのクランクシャフトの軸方向の幅(厚み)が極めて小さいため、フィレットR肩部にクラックが発生しまう虞がある。
本発明の第1の目的は、バランサ装置を組み込んだエンジンの小型化の要請に応じるために、バランサ装置を駆動するためのリングギアの取付座を構成する円盤部とクランクピン部との間に逆段差ができてしまうクランクシャフトを設計した場合に、フィレットロール加工に伴ってフィレットR肩部にクラックが発生するのを防止することのできるバランサギヤ付きクランクシャフトの製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記の目的に加えて、クランクアーム長さが異なる複数種類のクランクシャフトの円盤部に設けるリングギヤを共通化しながら加工工程を共通化してクランクシャフトの加工作業の効率を向上することのできるバランサギヤ付きクランクシャフトの製造方法を提供することにある。
本件発明者は、クランクシャフトに機械加工を施す過程で、円盤部に研削加工を施すことで上述した逆段差ができ、これにより上述したフィレットR肩部が形成される点に着目し、このフィレットR肩部が出来る前段階でフィレットロール加工を行うことで、このロール加工に伴うフィレットR肩部のクラック発生の問題を解消することができるとの観点から本発明を案出するに至ったものである。
具体的には、前記第1の目的は、本発明のうち第1の発明によれば、
バランサ装置を組み込んだ多気筒エンジンのクランクシャフトであって、特定気筒のクランクピン部の一方のアーム部をクランクシャフト軸線を中心にした円形の外周面を備えた円盤部とし、該円盤部に、外歯を備えたリングギヤを取り付けて、該リングギヤにより前記バランサ装置を駆動するバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法であって、
前記クランクシャフトに機械加工を施す前段階のクランクシャフト素材に対して、ジャーナル部とクランクピン部に機械加工を行う第1工程と、
該第1工程の後に、クランクピン部のフィレットR部にロール加工を行う第2工程と、
該第2工程の後に、前記円盤部を小径に機械加工して該円盤部に隣接するクランクピン部との間に逆段差を形成して前記前記リングギヤを取り付ける取付座を作る第3工程と、
該第3工程の後に、前記円盤部にリングギヤを取り付ける第4工程とを有することを特徴とするバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法を提供することにより達成される。
この第1の本発明によれば、第2工程のフィレットロール加工を行う段階では、円盤部とこれに隣接するクランクピン部との間の逆段差が出来ていないので、フィレットロール加工に伴うクラックの発生の虞を防止することができる。したがって、アーム部に形成された円盤部にバランサ駆動リングギヤを取り付けたクランクシャフトを設計するに際して、フィレットロール加工に伴うクラック発生の虞を回避するためにアーム部の肉厚を大きく設定する結果、クランクシャフトの全長が長く設定する必要が無くなり、これによりコンパクトなエンジンを設計することができる。
本発明は、典型的には、バランサ装置を組み込んだ小排気量エンジンの設計を改変して大排気量エンジンを設計する場合に適用されるが、これに限定されることなく、広く一般的に、バランサ装置付きエンジンの設計において、円盤部に研削加工を施す段階で上述した逆段差ができ、これによりフィレットR肩部が形成されるクランクシャフトを設計した場合にも本発明を同様に適用することができる。
前記第2の目的は、本発明のうち第2の発明によれば、
バランサ装置を組み込んだ排気量が異なる複数種類の多気筒エンジンに対応した異なるクランクアーム長を備えた複数種類のクランクシャフトであって、特定気筒のクランクピン部の一方のアーム部をクランクシャフト軸線を中心にした共通の直径の円形外周面を備えた円盤部とし、該円盤部に、外歯を備えた共通のリングギヤを取り付けて、該リングギヤにより前記バランサ装置を駆動する複数種類のバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトを製造する方法であって、
前記複数種類のクランクシャフトの各々に機械加工を施す前段階の前記複数種類のクランクシャフト素材の各クランクシャフト素材に対して、ジャーナル部とクランクピン部に機械加工を行う第1工程と、
該第1工程の後に、クランクピン部のフィレットR部にロール加工を行う第2工程と、
該第2工程の後に、前記複数種類のクランクシャフトのうち、前記クランクアーム長が比較的短いクランクシャフトの前記円盤部を小径に機械加工して該円盤部に隣接するクランクピン部との間に段差を形成して前記前記リングギヤを取り付ける取付座を作ると共に、前記クランクアーム長が比較的長いクランクシャフトの前記円盤部を小径に機械加工して該円盤部に隣接するクランクピン部との間に逆段差を形成して前記前記リングギヤを取り付ける取付座を作る第3工程と、
該第3工程の後に、前記共通の直径を備えた円盤部に、前記共通のリングギヤを取り付ける第4工程とを有することを特徴とするバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法を提供することにより達成される。
この第2の発明によれば、前述した第1の発明の効果に加えて、クランクアーム長の異なる複数種類のクランクシャフトをリングギヤを共通化しながら、各種類のクランクシャフトに応じた加工工程を個別に変更するまでもなく、共通の加工工程で複数種類のクランクシャフトを製造することができるため、クランクシャフトの製造効率を向上することができる。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、バランサ装置を組み付けた直列4気筒エンジンの下部構造を示す概略図である。図1に図示の往復動エンジンは、従来と同様に、図示しないシリンダブロックに軸支されたクランクシャフト1を有し、このクランクシャフト1の下方にバランサユニット2が配設されている。バランサユニット2はケース3を備え、このケース3に、2本のバランサシャフト4がクランクシャフト1の軸線Aを通る垂直線を基準に水平方向に対称に軸支されている。
バランサユニット2は2本のバランサシャフト4を備え、各バランサシャフト4はバランサウェイト5及び反転ギア6を備えている。この2本のバランサシャフト4は一対の反転ギア6の噛み合いにより一方から他方へ動力が伝達される。一方のバランサシャフト4には、クランクシャフト1の駆動ギア7に噛み合う従動ギア8が設けられており、これにより、クランクシャフト1の回転力がバランサユニット2に伝達される。駆動ギヤ7と従動ギヤ8とのギヤ比は、バランサシャフト4がクランクシャフト1の2倍速で回転するように設定されている。
バランサユニット2は、直列4気筒エンジンの二次起振力による振動を打ち消すことを意図されており、2本のバランサシャフト4、4のバランサウェイト5、5の合力中心が振動系の重心、即ち、クランクシャフト1の長手方向中心1aと直角に交差する直線1bに一致するように配置されている。これにより、バランサユニット2は、エンジンの二次起振力による慣性力(二次慣性力)と逆方向の慣性力を発生し、この逆方向の慣性力で二次慣性力を相殺することによりエンジン振動を低減することができる。
図2は、クランクシャフト1を作り上げる前段階の鋳造品10を示し、このクランクシャフト素材10のジャーナル部11、クランクピン部12、アーム部13、後に説明する円盤部14などに、研削加工、フィレットロール加工、表面研磨などの各種の処理を施すことによりクランクシャフト1が作られる。
なお、図2のクランクシャフト素材10は、特定の排気量のエンジンに適用されるものであり、この特定のエンジンの設計を改変して、これよりも大きな排気量のエンジンが設計され、この大排気量のエンジンに関するクランクシャフト素材は、図2のクランクシャフト素材10のクランクピン部12のクランクアーム長L1よりも長いクランクアーム長L2(図4)を備えている点及び小排気量クランクシャフト素材10のクランクピン部12のピン直径よりも大きなピン直径を有する点を除いて基本的には図2のクランクシャフト素材10と実質的に同じ構成を有する。
図3は、相対的に小排気量のエンジンに組み込まれる直前のクランクシャフト1の一部を示す側面図であり、図4は、図3のクランクシャフト10を組み込むエンジンの設計を改変して大排気量化したエンジンに組み込まれる直前のクランクシャフト20の一部を示す側面図である。これらの図面において、ジャーナル部、クランクピン部、アーム部、円盤部は、クランクシャフト素材10で説明したときに使用した参照符号を付してある。なお、図3、図4に示す参照符号21は油穴を示す。
円盤部14は、前述したバランサユニット2に対する駆動ギヤ7の取付座を構成するものであり、円盤部14は、3番気筒のクランクピン部12を挟む一対のアーム部13の一方のアーム部をクランクシャフト軸線Aを中心とした円形の外周面を備えた形状にすることにより作られている。この円盤部14は、小排気量用クランクシャフト1及び大排気量用クランクシャフト20で同じ直径を有し、両クランクシャフト1、20の円盤部14には、共通の駆動ギヤ7が取り付けられる。この駆動ギヤ7は、図5から分かるように、外歯を備えたリングギヤで構成されている。なお、図5は、小排気量用クランクシャフト1を例示しているが、大排気量用クランクシャフト20(図4)に関しても同様にリングギヤ7が取り付けられ、これにより小排気量エンジンと、この小排気量エンジンの設計を改変した大排気量エンジンには、共通のバランサユニット2が組み込まれる。
小排気量用クランクシャフト1と大排気量用クランクシャフト20とは、クランクピン部12の中心軸とクランクシャフト軸線Aとの間の距離つまりクランクアーム長L1、L2が違う点を除いて基本的には実質的に同じ構成を有する。すなわち、小排気量用クランクシャフト1のクランクアーム長L1は、大排気量用クランクシャフト20のクランクアーム長L2よりも短く(L1<L2)、したがって、大排気量エンジンは、その設計上の基礎をなす小排気量エンジンに比べてピストンストロークが長く、また、大排気量用クランクシャフト20のクランクピン部12のピン直径D2は、小排気量用クランクシャフト1のピン直径D1よりも大きな値に設定されている(D2>D1)。
クランクアーム長L1、L2の相違により、小排気量用クランクシャフト1と大排気量用クランクシャフト20とは、円盤部14とこれに隣接するクランクピン部12との境界部分に構造上の差異が存在する。図3と図4との対比すると理解できるように、小排気量用クランクシャフト1では、円盤部14の外径寸法が、これに隣接するクランクピン部12のフィレットR部22の最外周とクランクシャフト軸線Aとの間の離間距離よりも大きく、クランクピン部12と円盤部14との間に段差25が存在する。
これに対して、大排気量用クランクシャフト10では、円盤部14の外径寸法が、これに隣接するクランクピン部12のフィレットR部22の最外周とクランクシャフト軸線Aとの間の離間距離よりも小さく、フィレットR肩部23と円盤部14との間の逆段差26によって、フィレットR部22の背面には薄肉のフィレットR肩部23が形成されている(図4、図6参照)。
小排気量用クランクシャフト1と大排気量用クランクシャフト10は、共通の製造ラインで共通の工程を経て製造される。図7は、鋳造品のクランクシャフト素材10などに各種の機械加工を施してクランクシャフト1、20を製造する工程の手順を示すフロー図である。
図7を参照して、小排気量用クランクシャフト素材10又は大排気量用クランクシャフト素材は、クランクシャフト1又は20の全長を決める端面加工と、クランクシャフト1又は20の各部の加工の回転中心を決めるセンター穴加工が行われる(ステップS1)。次いで、ジャーナル部11、クランクピン部12の外形の荒削りが行われる(ステップS2)。この段階では、円盤部13とクランクピン部12との間に段差は殆ど無い。ステップS2の次に、ジャーナル部11、クランクピン部12に各種の油穴21を形成するドリル加工(ステップS3)を行った後に、ジャーナル部11、クランクピン部12のフィレットR部にロール加工が施され(ステップS4)、これにより表面硬化処理される。
ステップS4のフィレットロール加工の後の工程で、ジャーナル部11、クランクピン部12、円盤部14の外周面を研削して、ジャーナル部11、クランクピン部12の最終的な直径に整える仕上げ加工及び円盤部14についても外周面を研削して小径化されて最終的な直径に整えられる(ステップS5)。大排気量用クランクシャフト20では、この段階で、円盤部14の外径寸法が、これに隣接するクランクピン部12のフィレットR部22の最外周とクランクシャフト軸線Aとの間の離間距離よりも小さくなり、クランクピン部12と円盤部14との間、より詳しくはフィレットR肩部23と円盤部14との間に逆段差26ができ、フィレットR部22の背面にフィレットR肩部23が形成される。次に、ステップS6で、ジャーナル部11、クランクピン部12の外形表面が例えばペーパーラッピングによって研磨される。そして、その後、リングギヤ7が円盤部14に嵌め込まれる(ステップS7)
なお、図7の各ステップは、クランクシャフト素材に施される各種の加工及び作業の概要を示すものであり、ステップS4のフィレットロール加工の直後に、ジャーナル部などの研削加工を施すという限定的な意味で解釈すべきではなく、ステップS5の研削加工は、フィレットロール加工の後に行われるという意味に解釈すべきである。
叙上のように、小排気量用クランクシャフト1のクランクアーム長を拡大した大排気量用クランクシャフト20に関して、ステップS4でフィレットR部22のロール加工を施した後の円盤部14の研削加工によって、前述した逆段差26が出来き、これに伴って薄肉のフィレットR肩部23が出来るものの、この研削加工の前段階でフレットロール加工を行うことでフィレットR肩部23にクラックが発生するのを確実に防止することができる。
このことから、バランサユニット2を備えた小排気量エンジンの設計を基礎に、これを改変した大排気量エンジンを設計する際に、小排気量エンジンで採用したバランサユニット2を共用した大排気量エンジンを設計するときの一つの課題である、バランサ駆動リングギヤ7の共用が可能となる。すなわち、小排気量用クランクシャフト1のクランクアーム長Lを拡大した大排気量用クランクシャフト20に関してリングギヤ7の取付座を構成する円盤部14の直径を小排気量用クランクシャフト1と同じにすることができる。これにより、バランサユニット2を備えた小排気量エンジンの設計を基礎に、これを改変した大排気量エンジンの実用化が可能となり、勿論、この大排気量エンジンは、基になった小排気量エンジンの寸法を実質的に備えるため、コンパクト化の要請に十分に応じてることができる。
また、小排気量用クランクシャフト1に対しても、大排気量用クランクシャフト20と同じ工程手順(図7)を適用して製造するようにしてあるため、共通のリングギヤ7を組み込むクランクアーム長の異なるクランクシャフト1、20の加工手順を個別に変える場合に比べて製造効率を高めることができる。
バランサ装置を組み込んだエンジンのクランクシャフトとバランサ装置との関係を説明するための図である。 小排気量用クランクシャフトの鋳造品を示す側面図であり、このクランクシャフト素材に加工を施すことによってクランクシャフトが作られる。 小排気量用クランクシャフトの要部を抽出した部分側面図である。 大排気量用クランクシャフトの要部を抽出した部分側面図である。 図3の小排気量クランクシャフトの円盤部にリングギヤを組み込んだ状態を示す部分側面図である。 図4の矢印VIで指し示す部分の拡大図であり、大排気量用クランクシャフトに研削加工を施した後に出来る逆段差及びフィレットR肩部を説明するための図である。 クランクシャフト素材に研削加工やフィレットロール加工を施す手順を示す作業フロー図である。
符号の説明
A クランクシャフトの軸線
L クランクアーム長
1 小排気量用クランクシャフト
2 バランサユニット
7 駆動ギア(リングギヤ)
8 従動ギア
11 クランクシャフトのジャーナル部
12 クランクシャフトのクランクピン部
13 クランクシャフトのアーム部
14 クランクシャフトの円盤部
20 大排気量用クランクシャフト
22 フィレットR部
23 フィレットR肩部
26 逆段差

Claims (2)

  1. バランサ装置を組み込んだ多気筒エンジンのクランクシャフトであって、特定気筒のクランクピン部の一方のアーム部をクランクシャフト軸線を中心にした円形の外周面を備えた円盤部とし、該円盤部に、外歯を備えたリングギヤを取り付けて、該リングギヤにより前記バランサ装置を駆動するバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法であって、
    前記クランクシャフトに機械加工を施す前段階のクランクシャフト素材に対して、ジャーナル部とクランクピン部に機械加工を行う第1工程と、
    該第1工程の後に、クランクピン部のフィレットR部にロール加工を行う第2工程と、
    該第2工程の後に、前記円盤部を小径に機械加工して該円盤部に隣接するクランクピン部との間に逆段差を形成して前記前記リングギヤを取り付ける取付座を作る第3工程と、
    該第3工程の後に、前記円盤部にリングギヤを取り付ける第4工程とを有することを特徴とするバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法。
  2. バランサ装置を組み込んだ排気量が異なる複数種類の多気筒エンジンに対応した異なるクランクアーム長を備えた複数種類のクランクシャフトであって、特定気筒のクランクピン部の一方のアーム部をクランクシャフト軸線を中心にした共通の直径の円形外周面を備えた円盤部とし、該円盤部に、外歯を備えた共通のリングギヤを取り付けて、該リングギヤにより前記バランサ装置を駆動する複数種類のバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトを製造する方法であって、
    前記複数種類のクランクシャフトの各々に機械加工を施す前段階の前記複数種類のクランクシャフト素材の各クランクシャフト素材に対して、ジャーナル部とクランクピン部に機械加工を行う第1工程と、
    該第1工程の後に、クランクピン部のフィレットR部にロール加工を行う第2工程と、
    該第2工程の後に、前記複数種類のクランクシャフトのうち、前記クランクアーム長が比較的短いクランクシャフトの前記円盤部を小径に機械加工して該円盤部に隣接するクランクピン部との間に段差を形成して前記前記リングギヤを取り付ける取付座を作ると共に、前記クランクアーム長が比較的長いクランクシャフトの前記円盤部を小径に機械加工して該円盤部に隣接するクランクピン部との間に逆段差を形成して前記前記リングギヤを取り付ける取付座を作る第3工程と、
    該第3工程の後に、前記共通の直径を備えた円盤部に、前記共通のリングギヤを取り付ける第4工程とを有することを特徴とするバランサ駆動ギヤ付きクランクシャフトの製造方法。
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