以下、本発明に係る電子部品のボンディング方法および電子部品のボンディング装置の実施の形態を、図を参照しながら説明する。なお、まず第1の実施の形態について図1から図9を参照しながら説明する。
この電子部品のボンディング装置は、超音波振動等の振動を利用して電子部品の接合を行うものである。超音波振動を利用して接合を行う超音波接合は、接合させる電子部品を基板側に押し当て加圧しながら超音波振動を発生させることで接合を行うものである。よって、この明細書では、超音波等の振動を利用した接合を適宜、圧接接合と呼ぶこととする。
圧接接合の場合、その振動の初期の段階で、接合界面の酸化皮膜や汚れが取り除かれる。これと同時に接触部分に摩擦熱が発生し、所定の接合時間またはエネルギーに達すると接合が完了する。界面がクリーンであれば強い接合が得られる。また、結晶粒どうしが原子間距離になるまで接近すると、強力な引力が働き、固相拡散接合する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品のボンディング装置(以下、単にボンディング装置という。)の主要な構成要素を示す図である。ボンディング装置1は、ヘッドとなる電子部品用の振動ヘッド2(ブランソン社製)と、基板載置側部材3とを有する。
振動ヘッド2は、振動ホーン2aと、振動ヘッド圧接部2bと、振動ヘッド用振動子2cとを備える。基板載置側部材3は、基板用振動子3aと、断熱層4と、基板加熱部5と、基板搭載テーブル6と、ヒータ7と、温度センサ8と、真空吸着孔9と、真空パイプ10とを備える。
振動ヘッド2と基板載置側部材3との間には、フレキシブルな樹脂基板となるCOFテープ11が、図1で左側から右側へ間欠的に進行していく状態で配置される。このCOFテープ11には、電子部品となるICチップ12がボンディングされる。基板搭載テーブル6上には、基板押さえ板13が載置されている。
ボンディング装置1は、上側に設けられた振動ヘッド2と、下側に設けられた基板載置側部材3により、ICチップ12をCOFテープ11に対して圧接接合する構造となっている。
図1に示すように、振動ホーン2aの先端部の底面には、振動ヘッド圧接部2bが設けられ、圧電素子からなる振動ヘッド用振動子2cが振動ホーン2aの後端部に設けられている。振動ヘッド圧接部2bは、超硬材料からなるが、特にこれに限定されるものではない。振動ヘッド圧接部2bの表面を、窒化チタンや炭素チタン等でコートするのが好ましい。そのようなコートを行うと、その基材がどのようなものであっても、耐久性が著しく向上する。
振動ヘッド用振動子2cの振動は、振動ホーン2a中を伝播して振動ヘッド圧接部2bへ収斂する。振動ヘッド圧接部2bの振動の垂直成分をゼロにするために、振動ホーン2aは、水平面に対してある角度をもって取り付けられている。これにより、振動ヘッド圧接部2bは、フレキシブル基板となるCOFテープ11の平面に対し平行な水平方向にのみ振動することとなる。振動周波数は、10〜60KHzである。ICチップ12の吸着、位置合わせ、後述するカメラユニット17からの逃げ、およびCOFテープ11からの逃げ等のために、振動ヘッド2を上下と左右に移動させる駆動機構(図示省略)が設けられている。
振動ホーン圧接部2bには、ICチップ12を真空吸着し、振動ヘッド2に保持(固定)するための直径が0.8mmの吸着孔が設けられている(図示省略)。この振動ヘッド2に設けられる吸着孔は、基板搭載テーブル6に設けられた真空吸着孔9と同様な構成を有している。なお、振動ホーン2aに、ICチップ12を加熱するヒータを埋め込むようにしても良い。この場合、基板加熱部5と同様な構成を採用しても良い。
基板用振動ヘッドとなる基板載置側部材3は、基板用振動子3aで励振された振動をCOFテープ11に印加する機能の他に、COFテープ11を吸着・保持する機能と、COFテープ11を加熱する機能とを備えている。
基板用振動子3aには、外部から与えられた磁界に対応して伸縮する超磁歪素子を用いている。振動周波数は、10〜30KHzである。超磁歪素子は、熱に弱い。そのため、基板用振動子3aと基板加熱部5との間に、断熱層4を設けて、基板加熱部5で発生する熱による基板用振動子3aの過熱を防止している。なお、超磁歪素子は、圧電素子と同様に、高周波振動を発生する素子で、圧電素子と比較して低い周波数領域で優れた特性を発揮する。しかし、電子部品のボンディング技術の領域では、超磁歪素子の機能を圧電素子で代用することも可能で、この逆も可能である。
断熱層4は、主に多孔質セラミックスからなる。多孔質セラミックスは、他の材料と比較すると、耐高温特性と、振動の低減衰特性と、比較的高い強度特性等の総合特性に優れた断熱材である。
基板加熱部5は、断熱層4と基板搭載テーブル6の間に配設されている。そして、基板加熱部5には、ヒータ7と、温度センサ8と、真空を発生させる真空源へ連結する真空パイプ10とが設けられている。この基板加熱部5からの熱は、基板搭載テーブル6以外には伝導し難いように設計されている。ヒータ7は、シースヒータであり、温度センサ8は、熱電対である。
基板搭載テーブル6は、樹脂製のフレキシブル基板となるCOFテープ11を搭載し保持(吸着・固定)する機能の他に、圧接時の振動ヘッド2の荷重を受ける機能と、COFテープ11へヒータ7の熱を伝達する役割を担っている。この基板搭載テーブル6には、COFテープ11が搭載される搭載面6aと、COFテープ11の進行方向両端に設けられる段部6b,6bとが設けられている。その段部6b,6bには、4つのネジ係合穴6cと、1つの細径孔6dと、1つの長穴6eとが設けられている。
真空吸着孔9は、図1および図2に示すように、5本の垂直方向に延びる垂直部9aと、ICチップ12を取り囲む2つの大小のロの字形の溝部9b、9cと、5本の垂直部9aが底側でつながる楕円状の凹部9dとを有している。なお、4つの垂直部9aの先端は、溝部9b、9cに各2つずつ配設され、中央の垂直部9aのみが搭載面6aに形成されている。
基板搭載テーブル6の図1における上下方向の高さは12mmとされ、溝部9b、9cの各溝深さは0.5mmとされ、凹部9dの深さは1mmとされている。このため、垂直部9aの長さは10.5mmとされている。ロの字形の溝部9bを囲む搭載面6aの表面粗さ、ロの字形の溝部9bと9cで囲まれる部分の搭載面6aの表面粗さおよび小さいロの字形の溝部9cで囲まれる表面粗さはすべて同一とされ、R Maxが0.05〜0.2μmに設定されている。
なお、この値は、後述するように、0.01〜0.5μmの間に設定しても良い。また、このような鏡面加工は、少なくとも小さいロの字形の溝部9cで囲まれた部分、すなわちICチップ12を搭載するIC搭載面のみで良いが、この実施の形態では、COFテープ11が接触する全ての搭載面6aに上述のR Max0.05〜0.2μmの鏡面加工が施されている。
基板載置側部材3は、図1の矢示A方向にCOFテープ11を送る時に、基板搭載テーブル6とCOFテープ11とが接触しないように垂直方向に移動できるようになっている。
図3に示すように、基板押え板13の中央部には、四角形の開口14が設けられ、その進行方向前後には切り欠き15,15が設けられている。この開口14は、振動ヘッド2の先端部の底面と振動ヘッド圧接部2bが入るように設計されている。そして、開口14の外周は、振動ヘッド2との接触を防止するために、大きな面取り、すなわち、外側に行くほど厚くなるスロープ13aが形成されている。
また、基板押え板13は、COFテープ11を送る時、COFテープ11に形成されている電気接続端子部16(図3、図4において点線で示した部分参照)や、接合されたICチップ12と接触してそれらを損傷させないように、垂直方向に移動できる構造となっている。この電気接続端子部16は、図13に示す従来のリード部104に相当するものである。さらに、基板押え板13でCOFテープ11を押圧し固定した時、COFテープ11に形成されている各電気接続端子部16と、COFテープ11に圧接接合された各ICチップ12とを、開口14と切り欠き15によって逃がし、この基板押さえ板13と接触しない形状となっている。
COFテープ11は、真空吸着孔9による真空吸着と基板押え板13による押圧によって、基板搭載テーブル6に保持されると共に固定される。一方、COFテープ11の圧接面(図1では上面)は、COFテープ11の厚さ分だけ基板搭載テーブル6から離れている。COFテープ11は、フレキシブルであり、基板押え板13でこのCOFテープ11を固定しても、硬いセラミックス製の基板とは異なり、COFテープ11の圧接面を動かないように完全に固定することはできない。すなわち、COFテープ11の上面と下面の間にはやわらかい樹脂部材が存在しているため、COFテープ11の周囲を強く固定しても、COFテープ11の開口14に存在している上面や下面は、振動を受けると、水平方向に伸びたり縮んだりする。
さらに、COFテープ11の圧接面における固定程度は、上述のテープの厚みの他に、基板押え板13の開口14を形成する内側端面とICチップ12との距離に大きく依存する。真空吸着孔9の機能は、この固定強度を上げるためであり、主にCOFテープ11を固定することにある。COFテープ11は、真空吸着孔9によっても吸着固定されているが、主に基板押え板13の押えによって、強く固定されている。
図1および図3では、図を見やすくするために、基板押え板13とICチップ12との距離を大きく図示してあるが、この距離は、振動ヘッド2と接触しない範囲で極力小さくすることが好ましい。この実施の形態では、開口14を区画する端面から開口14内に位置するICチップ12までの最小距離を1.5mmとしている。この最小距離は、好ましくは、0.5〜5mmで、より好ましくは、0.8〜2mmである。この値を0.5mm以上とすると、振動ヘッド2と基板押さえ板13の接触リスクが大きく減少する一方、5mm以下とすると、開口14に配置されるCOFテープ11の動きをかなりの程度抑えることができる。
また、振動ヘッド圧接部2bの振動方向と基板搭載テーブル6の振動方向は、互いに水平方向でかつ直交している。直交すると、2つの振動が振幅を打ち消すことはなくなる。さらに、振動の周波数を異ならせることにより、2つの振動の合成ベクトルは、一定の方向のみではなく、ランダムな方向をとるようになる。
COFテープ11にICチップ12を載置し、基板搭載テーブル6と、振動ヘッド用振動子2cとを互いに直交する方向でかつ水平方向に振動させた場合の状況を以下に示す。
振動ヘッド用振動子2cの振動周波数を40KHzとした場合、振動ホーン2aの振幅は約3μm(ミクロン)となり、ICチップ12の振幅は、1.8μmとなり、ICチップ12の振幅は、振動ホーン2aの振幅の6割前後に減衰する。振動ヘッド用振動子2cの振動周波数を60KHzとした場合、振動ホーン2aの振幅は約1μmとなり、ICチップ12の振幅は、0.2μmとなり、振幅は、2割前後に減衰する。
以上のように、振動周波数が高くなると、振動エネルギーは大きくなるが、伝達ロスが大きくなるので、振動周波数は、振動の減衰を勘案して決める。なお、電子部品となるICチップ12の往復振動(振幅)の大きさを0.2〜3.6μmとすると、接合強度や傷の発生防止の面で好ましいものとなる。
図3は、COFテープ11と基板押え板13の関係を平面図で示したものである。COFテープ11の両端には係合孔となる送りのためのパーフォレーション11aがわずかな間隔をあけて連続的に形成されており、中央部には、配線(図示略)と電気接続端子部16が形成されている。COFテープ11は、図3における矢示Aの方向に送られる。進行方向手前の切り欠き15は、COFテープ11に設けられている電気接続端子部16に基板押さえ板13を接触させないための逃げ部となっている。進行方向後側の切り欠き15は、電気接続端子部16や圧接接合されたICチップ12に基板押さえ板13が接触しないようにする逃げ部となっている。
基板押え板13は、COFテープ11がフレキシブルなので、それを安定して押さえることができるように、圧接されるICチップ12の周辺のみに限定せずに、ICチップ12の搭載ピッチP(ICチップ12間の距離)の2〜7倍の幅Wとされ、COFテープ11を広く押さえることのできる形状となっている。
図4は、振動ヘッド圧接部2bに吸着された後、所定位置(第1所定位置)に移動させられたICチップ12と、所定位置(第2所定位置)に送られたCOFテープ11の電気接続端子部16とをカメラユニット17で撮影して位置合わせする工程を説明するための図である。図4では、振動ホーン2aの先端部の底部に配設された振動ヘッド圧接部2bにICチップ12が吸着されている。なお、図4では、基板押さえ板13や基板載置側部材3が省略されている。
カメラユニット17の開口14の周辺に位置する部分には、リング照明29(図9参照)が設けられていて(図4では省略)、その光を受けてICチップ12がカメラユニット17に撮影される。このリング照明29を用いて、フラッシュ撮影を行うこともできる。同様に、COFテープ11上に設けられた未接合の電気接続端子部16もカメラユニット17に撮影される。なお、図4のCOFテープ11には、未接合の電気接続端子部16(図4では未接合については高さ方向を拡大して示す)と圧接されたICチップ12とが示され、図4ではさらにCOFテープ11の送り方向として、矢示Aが示されている。
図5は、カメラユニット17の内部構成を説明する透視図で、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図である。カメラユニット17は、上下の被写体を撮影できるように2個のユニット部から構成されている。カメラユニット17は、光学系18と撮像部19とからなる。
光学系18は、2系統に分かれ、その1つは、COFテープ11上の電気接続端子部16の画像を下側のカメラ開口20aから取り込み、プリズム21で垂直方向から水平方向となるように90度曲げ、さらにミラー22aで90度水平方向に曲げてCCD(Charge Coupled Device)23にインプットする。カメラ開口20a、プリズム21、ミラー22aおよびCCD23によって一方のユニット部が形成される。撮像部19では、CCD23にインプットされた画像を電気信号に変換し、その信号を画像処理装置32(図9参照)に伝送する。図5において、実線の矢印はこの系統の光の進行方向を示す。
光学系18の他方は、振動ヘッド圧接部2bに吸着されたICチップ12の画像を上側のカメラ開口20bから取り込み、プリズム21で垂直方向から水平方向となるように90度曲げ、さらにミラー22bで90度曲げてCCD24にインプットする。カメラ開口20b、プリズム21、ミラー22bおよびCCD24によって他方のユニット部が形成される。そして、撮像部19では、CCD24にインプットされた画像を電気信号に変換し、その信号を画像処理装置32に伝送する。図5において、1点鎖線の矢印は、この他方の系統の光の進行方向を示す。
図5(b)(c)には、下と上のカメラ開口20a,20bとプリズム21が図示されている。この図に示すように、この実施の形態では、下と上の各被写体の画像を、それぞれのカメラ開口20a,20bから取り込み、同一平面上に配設された2系統の光学系18の各系統で画像を伝送し、CCD23,24でデジタル信号に変換する。
振動ヘッド2が保持しているICチップ12とCOFテープ11との位置合わせがなされ、かつ、カメラユニット17が退避した後に、振動ヘッド2は、ICチップ12をCOFテープ11に圧接接合するために降下する。
なお、通常、振動ヘッド2を、COFテープ11との位置合わせ後に、垂直方向に下降移動させると、位置合わせ精度が低下する。この位置合わせ精度の低下を防止するためには、振動ヘッド2の移動距離を短くすることが有効である。このため、本実施の形態では、カメラ開口20a,20b付近の厚さ(垂直方向の幅)を薄くしている。カメラ開口20a,20b付近のカメラユニット17の厚さを薄くする手段としては、この実施の形態で示すように、2系統に分かれる光学系18を同一平面に配設したり、光学系18と撮像部19を区分して、光学系18を撮像部19より薄くすることが好ましい。
なお、COFテープ11の位置合わせのためには、COFテープ11に設けられている位置マーク(アライメント・マーク)を用いている。振動ヘッド2に保持されたICチップ12の位置合わせには、ICチップ12に描かれている回路配線パターンを用いる。なお、ICチップ12の代わりに回路基板をCOFテープ11に圧接接合する場合は、回路基板に設けられている位置マークを用いる。位置マークの形状としては、直径0.2mmの○印を採用している。位置マークのその他の形状としては、四角形、×印等でも良く、寸法は、0.1〜5mmが好ましい。
図6は、電子部品(ここではICチップ12とする)と、樹脂製のフレキシブル基板(ここではCOFテープ11とする)上の電気接続端子部16との位置合わせ(アライメント)に関するフローチャートである。なお、以下の動作の制御は、ボンディング装置1の装置コントローラ30(図8参照)が行う。
まず、振動ヘッド2がICチップ12を保持する工程を開始する。すなわち、ICチップ12が入れられているトレイ(図示略)上に振動ヘッド2が移動し、振動ヘッド2は、ICチップ12を振動ヘッド圧接部2bに吸着固定することで保持する(ステップS1)。なお、テープで裏打ちされ、ダイシングによりカットされたウエハー基板の場合は、裏打ちしたテープがトレイに代わるものとなることもある。
次に、ICチップ12が、第1所定位置に移動する工程に移る。すなわち、ICチップ12を、COFテープ11との圧接位置(第1所定位置)に移動させるため、ICチップ12を吸着固定することで保持した振動ヘッド2が第1所定位置に移動する(ステップS2)。
次に、COFテープ11が、第2所定位置に移動する工程に移る。すなわち、COFテープ11は、装置コントローラ30の制御により、基板搭載テーブル6と基板押え板13から離間したフリーな状態で進行し、COFテープ11の電気接続端子部16がICチップ12との圧接位置(第2所定位置)に移動する(ステップS3)。
次に、COFテープ11を基板搭載テーブル6に保持する工程に移る。すなわち、基板載置側部材3が上昇することで、基板搭載テーブル6が上昇し、基板搭載テーブル6はCOFテープ11を真空吸着孔9による吸着力を利用して吸着することでCOFテープ11を保持する(ステップS4)。加えて、基板押え板13が降下し、COFテープ11は、基板搭載テーブル6と基板押え板13の間に固定される(ステップS5)。これにより、基板搭載テーブル6は、COFテープ11を強く保持する。
次に、ICチップ12とCOFテープ11とが位置合わせされる工程に移る。まず、カメラユニット17は、位置マークが撮影できる位置に移動する(ステップS6)。そして、カメラユニット17は、COFテープ11の位置マークと、ICチップ12の回路配線パターンまたは位置マークの画像を同時に撮影して、その画像データをカメラユニット17内に取り込む(ステップS7)。
次に、画像処理装置32(図8参照)は、COFテープ11の位置マークの座標と、ICチップ12の回路配線パターンの所定位置または位置マークの座標を計算する(ステップS8)。COFテープ11の位置マークまたはICチップ12の位置マーク(または回路配線パターンの所定位置)に関する座標の誤差が所定範囲を超えている場合(ステップS9においてYES)、装置コントローラ30(図8参照)は、位置ずれがあると判断し、振動ヘッド2を移動させて、ICチップ12側の位置合わせを行なう(ステップS10)。撮影された位置マークの座標の誤差が所定範囲内の場合(ステップS9においてNO)は、装置コントローラ30は、位置ずれが無いと判断し、振動ヘッド2の移動は行わずに、次工程に進む。
この実施の形態では、COFテープ11上の位置マークの画像を、テープや透明基板を透過させないで直接取り込んでいるので、透明基板を使用した場合に発生する光学的歪みによる位置読込精度の低下を引き起こすことなく、マーク位置の検出位置精度を向上させることができる。
また、2つの部品の位置合わせ精度は、2つの部品の座標を別々に異なる時刻に測定すると、各座標を別々に算出する必要が生じ、個々の原点からの座標の誤差が加算される。一方、上述の如く、2つの部品の位置を同一部材でかつ同時刻に測定すると、2つの測定位置の相対関係のみを把握すれば2つの部品の位置合わせが可能となる。このため、2つの部品の原点からの座標の各誤差を考慮する必要がなくなる。換言すると、カメラユニット17が動いていても、精度よく2つの部品の位置合わせデータを取り込むことができる。このような同一部材中の光学系18による同時撮影は、残留振動の検出を行っていない位置制御方式であるオープン制御に有効な方法である。この点について以下に説明する。
カメラユニット17は、位置合わせ毎に、位置マークや回路配線パターンの所定位置(以下、単に、位置マークという。)に移動して位置マークを撮影し、ICチップ12をCOFテープ11に圧接接合する時には、撮影位置から退避している。カメラユニット17は、短時間で完全に停止することは難しく、残留振動が残る。
残留振動がある程度大きい場合、ICチップ12の位置マークとCOFテープ11上の位置マークを異なる時刻に撮影すると、測定され計算された位置マークの座標には残留振動の影響が含まれる。しかし、ICチップ12の位置合わせをCOFテープ11の位置マークを基準として同時撮影をすれば上記の問題は生じない。すなわち、ICチップ12の位置マークとCOFテープ11上の位置マークを同一のカメラユニット17で同時に撮影すると、カメラユニット17の残留振動は、殆ど問題がなくなる。
このように、本実施の形態の位置合わせ方法を採用すると、2つの部品の位置合わせ精度が著しく向上する。また、上述のステップS7において、上下の被写体を撮影し、その画像を同時に取り込むことにより、画像取り込みのために残留振動の低下を待つという時間を省略でき、タクトの短縮をもたらす。
図7は、ICチップ12のバンプ電極(従来の金バンプ102に相当)をCOFテープ11上の電気接続端子部16に超音波振動を利用してボンディングする方法に関するフローチャートである。
位置合わせとなるステップSAは、ICチップ12とCOFテープ11の位置合わせ(アライメント)に関する上述したステップS1〜S10とほぼ同じである。なお、この場合、ステップS7の同時撮影は、必須要件ではない。これは、ICチップ12とCOFテープ11とは既に位置合わせが終了しているためであり、このステップSAではわずかな修正を行うに過ぎないためである。
以下に、図7を用いて位置合わせ後の工程について説明する。
まず、装置コントローラ30は、位置合わせ用のカメラユニット17を退避させる(ステップS11)。そして、少なくとも次のステップS12が行われる直前には、振動ホーン2aの温度は、300℃とされ、また、基板加熱部5の温度は、200℃とされる。なお、この加熱は、振動ヘッド2側では行わず基板加熱部5のみで行うようにしても良い。
次に、装置コントローラ30は、振動ヘッド2を降下させることにより、ICチップ12をCOFテープ11に近接させる工程を行う(ステップS12)。
次に、装置コントローラ30は、振動ヘッド用振動子2cの振動の周波数を基板用振動子3aの振動の周波数より大きい周波数とする条件で、振動ヘッド用振動子2cと基板用振動子3aとを励振させ、ICチップ12とCOFテープ11とを圧接接合する工程を行う。
より具体的には、振動ヘッド用振動子2cの周波数を40KHzとし、基板用振動子3aの周波数を18KHzとする条件で、振動ヘッド用振動子2cと基板用振動子3aを水平方向で互いに直交する方向に励振する(ステップS13)。このときの振動ヘッド圧接部2bの振幅は、8μmで、基板搭載テーブル6の振幅は、14μmである。
両者が近接した位置からさらに、振動ヘッド2を下降させ、ICチップ12をCOFテープ11の電気接続端子部16に0.5秒押圧させる(ステップS14)。なお、この実施の形態では、ICチップ12の寸法は、縦横が2×10mmで厚さが0.4mmで、端子(バンプ)数は40個である。圧接荷重は、概略100グラム/バンプで、全体では、40N(ニュートン)である。また、搭載面6aの鏡面加工は、上述したように、その凹凸がR Maxで0.05〜2.0μmの範囲になる程度とされている。
次に、装置コントローラ30は、ICチップ12を振動ヘッド2から離間させる工程を実行させる。具体的には、装置コントローラ30は、ICチップ12を吸着している真空をブレイクして、振動ヘッド圧接部2bをICチップ12から離す(ステップS15)。
次に、装置コントローラ30は、基板搭載テーブル6に固定されているCOFテープ11を、基板搭載テーブル6から離間させる工程を実行させる。具体的には、装置コントローラ30は、COFテープ11を吸着している真空のブレイクと、基板押え板13の上昇を行い、COFテープ11をフリーにする(ステップS16)。加えて、装置コントローラ30の制御により、振動ヘッド2は次のICチップ12をピックアップする位置に移動する。
次に、装置コントローラ30の制御により、基板搭載テーブル6が降下する(ステップS17)。次に、COFテープ11は1ピッチ進行し、次のボンディング操作に入る(ステップS18)。
この実施の形態では、振動ヘッド用振動子2cの周波数を、基板用振動子3aの周波数より高くしている。また、振動の振幅は、周波数とは逆で、基板用振動子3aによって振動する基板搭載テーブル6の振幅を振動ヘッド用振動子2cによって振動する振動ヘッド圧接部2bの振幅より大きくしている。上下の周波数を異ならせることで、ランダムな擦り合わせが可能となり、良好な圧接強度を得ることができる。
振動ヘッド用振動子2cの周波数が、基板用振動子3aの周波数より低くなると、エネルギー効率が悪くなるとともに、良好な圧接強度が得られ難くなる。これは、COFテープ11にあたえる周波数が高いほど、COFテープ11の圧接面に伝達される基板用振動子3aからのエネルギーのロスが大きくなるからである。一方、ICチップ12は、振幅の減衰が小さいので、周波数をある程度高くしてエネルギーを大きくする方が得策である。このようなことから、振動ヘッド用振動子2cの周波数は、基板用振動子3aの周波数の1.2〜4倍が良い。より好ましくは、1.5倍〜2.5倍である。しかしながら、振動ヘッド用振動子2cの周波数を基板用振動子3aの周波数より低くしても、同一の周波数の場合に比べ、圧接強度は良好となり、このような周波数関係としても良い。
本発明においては、振動ヘッド用振動子2cの振幅を2〜12μm、基板用振動子3aの振幅を3〜20μmで実験を行った。振動ヘッド用振動子2cの振幅を、基板用振動子3aの振幅より大きくするためには、振動ヘッド用振動子2cの振動の周波数を低くする必要があり、エネルギー効率が悪くなるとともに良好な圧接強度が得られ難くなる。振動ヘッド用振動子2cの振幅は、基板用振動子3aの振幅の1/4〜1/1.2倍が好ましい。より好ましくは、1/2.5〜1/1.5倍である。
振動ヘッド用振動子2cの振動周波数、すなわち振動ホーン2aの周波数を40kHzとした場合、振動ホーン2aの振幅は約3μmであり、COFテープ11に押圧された状態のICチップ12の振幅は、振動ホーン2aに対して約6〜7割程度に減衰した約1.8〜2μmであった。一方、振動ホーン2aの周波数を60kHzとした場合、振動ホーン2aの振幅は約1μmであり、COFテープ11に押圧された状態のICチップ12の振幅は、振動ホーン2aに対して約2割程度に減衰した約0.2μmであった。したがって、振動ヘッド用振動子2cの振動周波数、すなわち振動ホーン2aの周波数を約40kHzとすると、振動ホーン2aの周波数を約60kHzとした場合に比べて、振動ホーン2aの振幅が大きくなり、かつICチップ12に伝わる振動の減衰も小さくなり、ICチップ12の接合部に与えられるエネルギーのロスが小さくなる。
各振動子2c,3aの励振開始とICチップ12のCOFテープ11への押圧開始のタイミングは、各振動子2c,3aの励振開始がICチップ12の押圧開始より早くても遅くても良い。より好ましい条件は、各振動子2c,3aの励振開始とICチップ12の押圧開始が同時である。
図8は、COFテープ11の厚さと実用性との関係を示す。
使用したCOFテープ11は、厚さが5〜300μmのポリイミド樹脂である。圧接強度が実用に耐える程度に高い場合は○で、低い場合は×で、中間の場合は△で示してある。同様に、テープ強度(=基板強度)が実用に耐える場合は○で、耐えない場合は×で、中間の場合は△で示してある。また、COFテープ11の裏面に基板搭載テーブル6の搭載面6aの表面粗さが転写されない場合は○で、転写されわずかに傷として確認できる程度は△で、転写され傷として目立つ場合は×で示している。製品の評価は、製品として合格する場合は○で、不合格の場合は×で、中間の場合は△で示している。図8から判断すると、好ましいCOFテープ11の厚さは、10〜200μmである。より好ましいCOFテープ11の厚さは、作業性の面等を考慮すると、20〜70μmである。
図9は、ボンディング装置1における、振動ヘッド2の先端部の底面に取り付けられたICチップ12を、COFテープ11に対して水平方向の位置決めするための位置合わせ機構25を構成する主な要素のブロック図である。
図9に示すように、位置合わせ機構25は、振動ヘッド2をX軸方向へ移動させるX軸テーブル26と、振動ヘッド2をY軸方向へ移動させるY軸テーブル27と、カメラユニット17と、リング照明29と、装置コントローラ30と、モータドライバ31と、画像処理装置32と、フラッシュ照明制御機構33とを有している。この位置合わせ機構25は、ICチップ12のCOFテープ11に対する位置合わせを行い、このICチップ12が吸着保持されている振動ホーン2aをX軸方向およびY軸方向に移動させる。
X軸テーブル26は、振動ホーン2aのX軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)への駆動を制御するためのものであり、振動ホーン2aのX軸方向の位置を検出するエンコーダを有している。このX軸テーブル26は、振動ホーン2aのX軸方向における位置データを、装置コントローラ30、モータドライバ31および画像処理装置32に常時送る。
Y軸テーブル27は、振動ホーン2aのY軸方向(COFテープ11の進行方向)への駆動を制御するためのものであり、振動ホーン2aのY軸方向の位置を検出するエンコーダを有している。このY軸テーブル27は、振動ホーン2aのY軸方向における位置データを、装置コントローラ30、モータドライバ31および画像処理装置32に常時送る。
装置コントローラ30は、このボンディング装置1全体の制御を司るものであり、具体的にはX軸テーブル26、Y軸テーブル27、モータドライバ31、画像処理装置32、フラッシュ照明制御機構33、基板載置側部材3(図9では省略)、基板押さえ板13(図9では省略)、COFテープ11の送り等の各動作を制御する。
装置コントローラ30は、X軸テーブル26およびY軸テーブル27から常時送られてくる位置データと、画像処理装置32から送られてくる画像データとに基づいて、モータドライバ31、画像処理装置32、フラッシュ照明制御機構33、基板載置側部材3、基板押さえ板13およびCOFテープ11の送り機構等の動作制御を行う。また、装置コントローラ30は、振動ヘッド2に保持されているICチップ12やCOFテープ11の位置データを定期的にスキャンして間欠的に読み込むようにしても良い。
装置コントローラ30は、X軸テーブル26およびY軸テーブル27からの位置データに基づき、ICチップ12がCOFテープ11の水平方向における所定位置の上方に接近したことを認識すると、画像処理装置32へ画像を取り込む旨の指令信号を送る。同時に、装置コントローラ30は、フラッシュ照明制御機構33に対して、フラッシュ照明を照射する旨の指令信号を送る。なお、両テーブル26,27からの位置データを監視し、そのデータに基づいてフラッシュ照明制御機構33へ指令信号を送るまでの遅延時間は、好ましくは零であるが、各テーブル26,27の残留振動の周波数の1/10以下であれば大きな問題はない。
モータドライバ31は、装置コントローラ30の制御により、振動ヘッド2、すなわち振動ホーン2aをX軸方向およびY軸方向に駆動させる。画像処理装置32は、装置コントローラ30の制御により、カメラユニット17で撮影している映像を画像処理する。この画像処理装置32は、カメラユニット17から画像データを受け取ると共に、X軸テーブル26およびY軸テーブル27から位置データを受け取る。
そして、画像処理装置32は、装置コントローラ30からの指令信号を受け取り、カメラユニット17の撮影動作を制御すると共に、同時のタイミングでフラッシュ照明制御機構33にフラッシュ照明動作を開始させる開始信号を送る。フラッシュ照明制御機構33は、画像処理装置32および装置コントローラ30からそれぞれの指令信号を受け取ると、リング照明29を動作させてフラッシュ照明を行う。
このフラッシュ照明と同時に、カメラユニット17は、COFテープ11とICチップ12の各位置マークを同時撮影したり、ICチップ12のバンプ電極とCOFテープ11の電気接続端子部16を撮影したりする。その撮影された画像は、上述したように、画像処理装置32で処理され、装置コントローラ30で位置状態が計算される。この計算結果に基づき位置合わせが行われる。
図6に記載した位置合わせ方法は、上述したICチップ12等の電子部品と、それを実装するCOFテープ11等の樹脂製のフレキシブル基板との位置合わせ精度の向上とタクト時間の短縮を可能とするものである。対象となる基板は、フレキシブルな樹脂製の基板(テープを含む)に限定されず、剛性の高い樹脂テープ、剛性の高い樹脂基板および剛性の高いセラミックス基板に適用できる。しかしながら、基板の裏面に基板搭載テーブル6の表面粗さが転写されるのは、フレキシブルな基板の場合であり、基板搭載テーブル6の搭載面6aへの鏡面加工は、フレキシブルな基板に電子部品を圧接接合する場合に好適なものとなる。
また、図6の位置合わせ方法や図7の圧接接合方法においては、2つの振動子2c,3aを用いた例を示したが、図6や図7に記載した各方法は、振動子が1個の場合、たとえば振動ヘッド用振動子2cのみを用いる場合にも適用できる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品のボンディング装置および電子部品のボンディング方法について、図10から図12を参照しながら説明する。なお、この第2の実施の形態の電子部品のボンディング装置51は、第1の実施の形態と比較すると、振動子が振動ヘッド2側のみに設けられている点が異なるのみであり、その他の点は、第1の実施の形態のボンディング装置1と同一であるため、同一部材には、同一符号を付すと共に、その説明を省略または簡略化することとする。
このボンディング装置51は、図10に示すように、振動ヘッド2と、基板載置側部材52とを有している。振動ヘッド用振動子2cは、10〜60KHzの周波数で振動する。これにより振動ホーン2aは、その値、すなわち10〜60KHzの周波数で振動することとなる。基板載置側部材52には、第1の実施の形態に係るボンディング装置1の基板載置側部材3に存在している基板用振動子3aと断熱層4が設けられていない。
基板搭載テーブル6の搭載面6aには、R Maxで、0.2μmの表面粗さとなる鏡面加工が施されている。しかし、ボンディング装置51の開発に当たっては、まずは鏡面加工を施さないものを使用し、1つの振動子のみでどの程度の厚さのフレキシブル基板であれば製品として満足できるものが得られるかを確認した。評価項目は、基板の傷を除く3項目とした。この結果を図11に示す。この図11に示すように、フレキシブル基板(COFテープ11)の厚さが5〜100μmであれば、ある程度満足できる製品を得ることができ、10〜50μmであれば非常に好ましい製品が得られることが判明した。
しかしながら、製品評価として○の評価を得たものを含め、全てのCOFテープ11の裏面に、鏡面加工を施していない搭載面6aの表面粗さがそのまま転写され、傷として現れていた。このため、図11に示す全ての製品が、製品評価としては最終的に×となった。この表面粗さの転写という新たな問題への対策として、搭載面6aの鏡面加工を実施した。この際に、鏡面加工の程度が表面粗さの転写の面から言ってどの程度が良いかの実験を行った。この実験では搭載面6aの表面粗さとして、R Maxで0.001μmから2.0μmのものを採用した。この結果を図12に示す。
図12に示すように、転写による不良発生の問題は、表面粗さのR Maxが0.001μmから0.5μmの範囲であればほぼ満足でき、0.001〜0.2μmであればさらに好ましいものとなる。一方、圧接強度の面では、表面粗さのR Maxが0.01μm以上であればほぼ満足できるものとなり、0.05μm以上であれば非常に好ましいものとなる。図12に示す実験結果が得られた際に使用したフレキシブル基板となるCOFテープ11は、その厚さが、5〜50μmのものである。具体的には、図11に示す実験結果では、圧接強度の面で○の評価がなされた5μm、10μm、20μm、30μm、50μmの5種類である。
図12に示すデータから次のことが推測される。表面粗さをある程度以上大きくすると、摩擦が大きくなり、COFテープ11の位置固定が向上し、圧接強度がアップすると判断される。一方、表面粗さをR Maxで0.5μm以下とすると、フレキシブル基板の弾力性が効いてきて、表面粗さの転写がなされず、ほとんど傷として現れてこないものと判断される。
なお、図12に示すデータの取得の際、振動ヘッド2は、図10の紙面と垂直の方向に振動させられている。この方向は、電気接続端子部16の延出形成される方向(リードの足が飛び出ている方向)に対して直角の方向となる。この振動方向を、COFテープ11の進行方向としたり、その他の方向としても良い。
上述した各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更実施可能である。たとえば、上述の各実施の形態では、フレキシブル基板として樹脂製のCOFテープ11を使用したが、TAB方式に使用されるTABテープを使用しても良い。また、フレキシブルな基板であればテープ以外の基板や樹脂製以外の基板にも適用できる。
また、上述の実施の形態では、上下2方向から超音波振動を印加する例と、上方向から超音波振動を印加する例を示したが、下方向からのみ超音波振動を印加するようにしても良い。また、振動子としては、超音波振動を与えるものとしたが、接合させる両部材の性質や必要とされる強度によっては超音波ではなく、音域の振動を与えるようにしても良い。
また、上下方向の2方向から超音波振動を印加する場合、上述のように、直交する2方向から印加するのが好ましいが、同一方向としたり、交叉する角度を90度ではなく他の角度となるように振動方向を設定しても良い。さらに、上下2方向からの振動印加の場合、両振動の周波数や振幅を異ならせるようにするのが好ましいが、両振動の周波数を同一としたり、振幅を同一としても良い。また、周波数や振幅を異ならせる場合、第1の実施の形態とは逆の関係となるように設定しても良い。
また、フレキシブル基板に接合する電子部品としては、ICチップの他に、表面弾性波素子、抵抗素子等、他の電子部品としても良い。また、基板載置側部材3,52としては、基板加熱部5を有さないものとしても良い。さらに、フレキシブル基板は、真空吸着と基板押さえ板13による押さえの両者で搭載面6aに保持固定されるが、いずれか一方のみとしたり、両者またはいずれか一方に加え、またはそれらに代えてマグネット吸着等他の固定手段を採用しても良い。また、電子部品の振動ヘッド2による保持としては、真空吸着の他に、チャッキング等の他の保持手段を採用しても良い。
また、図1や図9に記載された構成要素の全てではなく、それらの一部を有するボンディング装置で、本発明のボンディング方法を使用してボンディングを実施できる。さらに、本発明になる電子部品のボンディング方法は、この方法を用いて製造された製品、たとえばTCPにも適用することができる。