JP4681377B2 - 緩徐相抽出方法及び眼振データ解析システム - Google Patents
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Description
前庭動眼反射解析のためには、小脳等の中枢の働きによって引き起こされる急速相成分を除去し、前庭動眼反射によって引き起こされる緩徐相成分のみを抽出する必要がある。
本発明の1つの観点による緩徐相抽出方法は、眼振データにおいてファジー理論を適用して緩徐相を抽出する方法であって、n(nは2以上の整数)個目の眼振データと(n−1)個目の眼振データとの差分データを算出するステップ、前記差分データの絶対値に基づいてメンバーシップ値を決定するステップ、及び前記メンバーシップ値を所定の閾値と比較することによって緩徐相を抽出するステップ、を有する。
所定の閾値は、任意の閾値決定方法により決定され得るが、例えば、Kittlerの方法が高精度であるため好ましい。
この発明によれば、回転刺激が与えられている場合の眼振データのみならず、回転刺激が与えられていない場合の眼振データからも高精度に緩徐相を抽出する、信頼性の高い緩徐相抽出方法を実現できる。
この発明によれば、回転刺激が与えられている場合の眼振データのみならず、回転刺激が与えられていない場合の眼振データからも高精度に緩徐相を抽出する、信頼性の高い緩徐相抽出方法を実現できる。
所定の閾値は、任意の閾値決定方法により決定され得るが、例えば、Kittlerの方法が高精度であるため好ましい。
この発明によれば、回転刺激が与えられている場合の眼振データのみならず、回転刺激が与えられていない場合の眼振データからも高精度に緩徐相を抽出する、信頼性の高い眼振データ解析システムを実現できる。
この発明によれば、回転刺激が与えられている場合の眼振データのみならず、回転刺激が与えられていない場合の眼振データからも高精度に緩徐相を抽出する、信頼性の高い眼振データ解析システムを実現できる。
まず、図1を参照して、本実施例における緩徐相抽出方法を用いた眼振データ解析システムで扱う眼振データについて説明する。
被験者の頭部を、60度後屈させ、かつ、右又は左の方向に45度回旋させた姿勢に保ち、時計回り又は反時計回りに被験者を回転させる。このようにして被験者の頭部へ回転刺激を与えることにより、半規管を刺激して眼振を誘発する。回転中に生じる眼球運動をビデオカメラで撮影する。
回転刺激の周波数は、例えば、0.1Hz(すなわち、10秒間に1回転)と0.5Hz(すなわち、2秒間に1回転)である。一般的に、このように被験者の頭部に回転刺激を与えた場合、得られる眼振データ中の緩徐相成分は、回転刺激の周波数に近い周波数の正弦波状になることが知られている。特に速度データに関して、この特徴が顕著に現れる。
半規管に疾患を有する良性発作性頭位めまい症(BPPV : Benign Paroxysmal Positional Vertigo)患者を対象に、後半規管の面で被験者の頭位を最初に1回だけ変化させて、眼振を誘発する。その後生じる眼球運動をビデオカメラで撮影する。
操作部2001は、操作者が、撮影された画像データの種別、即ち、回転刺激が与えられている場合のデータであるかどうか、あるいは、眼位データであるか速度データであるか等を入力するための操作入力部である。
表示部2005は、画像処理部2004が作成した表示画像データをディスプレイ等に出力する。操作者(例えば、医師等)は、表示部2005に表示された緩徐相抽出結果である画像データによって、BPPVを診断する。
ステップS201において、眼振データ抽出部2000は、眼球運動をビデオカメラで撮影して得られた画像系列から眼振データを抽出する。
ステップS202において、データ処理部2002は、操作部2001から入力された眼振データ種別に基づいて、抽出された眼振データが回転刺激を与えられた場合の眼振データであるか否かを調べる。眼振データが回転刺激を与えられた場合の眼振データである場合、ステップS203に進む。そうでない場合は、ステップS206に進む。
まず、図3〜図7を参照して、ステップS204の回転刺激が与えられている場合の速度データの緩徐相抽出方法について、詳細に説明する。図3は、回転刺激が与えられている場合の速度データについての緩徐相抽出方法を示すフローチャートである。
例えば、ローパスフィルタを用いる方法がある。元データyiとローパスフィルタ通過後のデータyi’との差を取り、ノイズ成分qiとする。ノイズ成分qiは、以下の式(1)で示される。
qi=yi−yi’ (i=2,3,・・・,N) ・・・・・・ (1)
|qi|>qref ・・・・・・ (2)
本実施例では、まず、周期分割のために次式(3)及び(4)で表される曲線f1(xi)を定義する。次式(3)において、A、B、及びCはフィッティングのためのパラメータである。ωは、1秒当たり30個のデータが得られる場合における、回転刺激の周波数Fに対する角周波数であり、次式(4)で表される。
f1(xi)=A・sin(ω・xi)+B・cos(ω・xi)+C ・・・・・・ (3)
ω=2πF/30 ・・・・・・ (4)
ステップS304において、選択された断片における速度データを近似する曲線f2(xi)を決定する。
まず、周波数F(単位はHz)の回転刺激に対して次式(6)で表される曲線(以下、「慣性曲線」と記す)f2(xi)を定義する。次式(6)において、P、Q、及びRはフィッティングパラメータである。ωは、1秒当たり30個のデータが得られる場合における、回転刺激の周波数Fに対する角周波数であり、上記式(4)で表される。
f2(xi)=P・sin(ω・xi)+Q・cos(ω・xi)+R ・・・・・・ (6)
まず、速度データ(xi,yi)に対して、次式(8)を満たすniの値を決定する。Δyは、次式(9)で定義される解像度である。max(yi)は、データyiのうち、最大値であるデータを示す。min(yi)は、データyiのうち、最小値であるデータを示す。
Δyとして任意の値が設定されうるが、本実施例では、一例として、眼位データの最大値max(yi)及び最小値min(yi)の差を20で割った値とする。niは、速度データの各点における、慣性曲線f2(xi)に対する、Δyを単位とした速度データyiの分離度を示す値である。
ni・Δy≦(yi−f2(xi))<(ni+1)・Δy ・・・・・・ (8)
Δy=(max(yi)−min(yi))/20 ・・・・・・ (9)
まず、図7に示すように、所定の速度データ個数(図7では速度データ3個分)に相当する幅wを有し、互いの重なり幅が(w/3)である2つの窓W1及びW2を定義する。1つ目の窓W1の中にある速度データの各点(現在の注目点と以前の2つの点)の分離度の総和をm1i(=ni−2+ni−1+ni)、2つ目の窓W2の中にある眼振データの各点(現在の注目点と以後の2つの点)の分離度の総和をm2i(=ni+ni+1+ni+2)、1つ目の窓W1及び2つ目の窓W2の重なり部分の中にある眼振データの点(現在の注目点)の分離度の総和をm3i(=ni)とする。m1i、m2i、及びm3iは、上記式(8)から算出される。
μi’=m1i・m2i・m3i (i=a+2,a+3,・・・,b−3,b−2) ・・・(10)
μi=1−(μi’/max(μi’)) ・・・・・・ (11)
E(k)=ω0log{σ0/ω0}+ω1log{σ1/ω1} ・・・・・・ (12)
以上ステップS301〜S311の処理が終了した後、図2のステップS207に進む。図2のステップS207については、既に説明した。
di=yi−yi−1 (i=2,3,・・・,N) ・・・・・・ (13)
f(xi)=a+b・xi+c・sin(ω・xi+d) ・・・・・・ (14)
di=yi−yi−1 (i=2,3,・・・,N) ・・・・・・ (16)
まず、差分データの各点において、次式(17)のniの値を決定する。Δyは、次式(18)で定義される解像度である。max(di)は、上記のようにして求めた差分データdiのうち、最大値である差分データを示す。min(di)は、上記のようにして求めた差分データdiのうち、最小値である差分データを示す。
Δyは、任意の値を設定しうるが、本実施例では、一例として、差分データの最大値max(di)及び最小値min(di)の差を20で割った値とする。niは、Δyを単位とした差分データdiの絶対値の分離度を示す値である。
ni・Δy≦|di|<(ni+1)・Δy ・・・・・・ (17)
Δy=(max(di)−min(di))/20 ・・・・・・ (18)
まず、所定の差分データ個数(例えば3個分)に相当する幅wを有し、互いの重なり幅が(w/3)である2つの窓W1及びW2を定義する。1つ目の窓W1の中にある差分データの絶対値の各点(現在の注目点と以前の2つの点)の分離度の総和をm1i(=ni−2+ni−1+ni)、2つ目の窓W2の中にある差分データの絶対値の各点(現在の注目点と以後の2つの点)の分離度の総和をm2i(=ni+ni+1+ni+2)、1つ目の窓W1及び2つ目の窓W2の重なり部分の中にある差分データの絶対値の点(現在の注目点)の分離度の総和をm3i(=ni)とする。m1i、m2i、及びm3iは、上記式(17)から算出される。
μi’=m1i・m2i・m3i (i=3,4,・・・,N−1,N−2)・・・・・・(19)
μi=1−(μi’/max(μi’)) ・・・・・・ (20)
まず、図10を用いて、本実施例の緩徐相抽出方法をデータモデルに対して適用した場合の精度について述べる。図10は、4つのデータモデルを示す図である。
図10(a)、(b)、(c)、及び(d)に示したデータモデルを、それぞれ以下モデルA、B、C、及びDと記す。
p=(U/(N−V))×100 ・・・・・・ (21)
表1から明らかなように、いずれも85%以上の緩徐相抽出精度が得られた。モデルDに対しては、90%以上の緩徐相抽出精度が得られた。
まず、図11及び図12を参照して、本実施例の緩徐相抽出方法を回転刺激が与えられている場合の眼振データへ適用した結果について説明する。図11及び図12は、0.1Hz及び0.5Hzの回転刺激が与えられている場合の実測眼位データ及びそれに対する緩徐相抽出結果をそれぞれ示す図である。図11及び図12において、(a)は元の眼位データ、(b)は本実施例の緩徐相抽出方法を用いて緩徐相を抽出した結果、(c)は(b)の一部拡大図をそれぞれ示している。
図11及び図12の(b)及び(c)に示されるように、0.1Hz及び0.5Hzの両方のデータにおいて、眼位データ中の緩やかな変位部分が抽出されており、良好な緩徐相抽出結果が得られた。
図13及び図14の(b)及び(c)に示されるように、0.1Hz及び0.5Hzの両方のデータにおいて、速度データ中の緩やかな変位部分が抽出されており、良好な緩徐相抽出結果が得られた。
2 急速相
Claims (4)
- 眼振データにおいてファジー理論を適用して緩徐相を抽出する方法であって、
n(nは2以上の整数)個目の眼振データと(n−1)個目の眼振データとの差分データを算出するステップ、
前記差分データの絶対値に基づいてメンバーシップ値を決定するステップ、及び
前記メンバーシップ値を所定の閾値と比較することによって緩徐相を抽出するステップ、
を有することを特徴とする緩徐相抽出方法。 - 前記眼振データが、回転刺激が与えられている場合の眼振データであるか、回転刺激が与えられていない場合の眼振データであるかを選択するステップ、を更に有し、
前記選択するステップにおいて回転刺激が与えられていない場合の眼振データが選択された場合に、前記算出するステップ、前記決定するステップ、及び前記抽出するステップが実行される
ことを特徴とする請求項1に記載の緩徐相抽出方法。 - 眼振データにおいてファジー理論を適用して緩徐相を抽出する眼振データ解析システムであって、
n(nは2以上の整数)個目の眼振データと(n−1)個目の眼振データとの差分データを算出し、前記差分データの絶対値に基づいてメンバーシップ値を決定し、前記メンバーシップ値を所定の閾値と比較することによって緩徐相を抽出するデータ処理部
を有することを特徴とする眼振データ解析システム。 - 前記データ処理部は、前記眼振データが、回転刺激が与えられていない場合の眼振データである場合に、n(nは2以上の整数)個目の眼振データと(n−1)個目の眼振データとの差分データを算出し、前記差分データの絶対値に基づいてメンバーシップ値を決定し、前記メンバーシップ値を所定の閾値と比較することによって緩徐相を抽出する
よう構成されていることを特徴とする請求項3に記載の眼振データ解析システム。
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