JP4681359B2 - 高強度モルタル、高強度コンクリート、高強度モルタル硬化体の製造方法、構造物の耐久性の改善方法及び高強度モルタル用のプレミックス材料 - Google Patents

高強度モルタル、高強度コンクリート、高強度モルタル硬化体の製造方法、構造物の耐久性の改善方法及び高強度モルタル用のプレミックス材料 Download PDF

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Description

本発明は、化学的な環境条件の厳しい構造物において好適に使用される、高強度モルタル、高強度コンクリート、高強度モルタル硬化体の製造方法、構造物の耐久性の改善方法及び高強度モルタル用のプレミックス材料に関する。
様々な化学薬品や汚染物質等を取り扱う下水道施設や高度浄水処理場等においては、化学的な耐久性に優れた材料を用いて構造物を構築する必要がある。
このため、従来、このような化学的な環境条件の厳しい施設に構築される構造物は、アルミン酸カルシウム鉱物(CaO・Al23,CaO・2Al23等)を主体としたアルミナセメントにより組成されたモルタルを使用することによりその化学的な耐久性を改善している。
また、化学的に厳しい環境に置かれるコンクリート構造物の補修、補強については、劣化部位を覆うように保護材を設置したり、さらに修復後に表面に保護材を設置したりしている。このような補修、補強に用いる保護材として、構造物の表面に塗着したり、パネル材として形成した後構造物表面に設置したり、パネル材の背面に充填したり、構造物表面に型枠を設置した後この型枠と構造物との間に充填して一体化することが可能な材料が求められている。
例えば、特許文献1には、アルミナセメントとアルミナクリンカー骨材とを必須成分とした耐腐食性に優れたモルタル組成物が開示されている。当該モルタル組成物は、耐腐食性に優れるアルミナセメントをモルタル組成物の水硬性成分として使用しているため、当該モルタル組成物をコンクリート構造物表面に塗着することにより、耐腐食性に優れたコンクリート構造物が提供される。
特開2003−261372号公報([0006]−[0017])
ところが、アルミナセメントは、ポルトランドセメントに比べて初期の強度発現が速やかであるが、水和物の転化により長期強度が低下する、という特性を有している。また、この転化は養生温度や供用時の温度により促進され、顕著な強度低下を生じることがあることが知られている。
そのため、アルミナセメントを用いたモルタルの製造時に、水セメント比(アルミナセメントに対する水の比率であって、水の重量(質量)をアルミナセメントの重量(質量)で除した数値)を低くすること、あるいはアルミナセメントの単位量を増加することによりモルタルの強度を増進させ、水和物の転化により当該モルタルの強度低下が生じた場合でも必要とされる強度を確保することが考えられている。
また、アルミナセメントを用いた配合物の硬化時の養生温度を35℃以上とすること、あるいはアルミナセメントの50質量%(約51体積%)を高炉スラグで置換することにより、転化を生じない水和物を生成させることにより、強度低下を防ぐ方法が考えられている。ところが、養生温度を35℃以上にするためには、必要な装置を配置する手間を要する。また、置換率を50質量%とした場合、水セメント比を20%以下にすると十分な流動性が得られず所定の施工性を確保することができない。一方、水セメント比を20%を超えて高くすると流動性、すなわち施工性は改善されるが、圧縮強度が低下し、高強度化の達成が困難となる。
一方、化学的な耐久性を要求される環境には、例えば、下水道処理施設のような構造物があり、その構造物の補修、補強に際しては、流路の断面積の減少を抑える観点から、化学的な耐久性のほかに、強度に代表される力学的性能も高い方が望ましい。
さらには、パネル状の成形体の作製や、断面修復材としての狭隘部への充填を考慮すると、配合物は硬化前において、十分な流動性を持ち施工性に優れることが重要である。
高強度化のために水セメント比を低減すると、コンクリート用化学混和剤を適用した場合においても混練が不可能になる場合や、混練が可能であっても流動性が著しく低下して十分な充填性や施工性が確保できないことがあることから、水セメント比の低減による高強度化には限界があり、高い強度と高い化学抵抗性さらには高い施工性を同時に備えることは困難であるという問題を有していた。なお、化学的な耐久性を有したコンクリートの高強度化を図る上でも、同様の問題を有していた。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、施工が可能な流動性を有しており、且つ、化学的な耐久性に優れる高強度モルタル、高強度コンクリート、高強度モルタル硬化体の製造方法、構造物の耐久性の改善方法及び高強度モルタル用のプレミックス材料を提案することを課題とする。
このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、アルミナセメントと細骨材とコンクリート用化学混和剤と水とを混合してなる高強度モルタルであって、前記アルミナセメントの30体積%以下溶融スラグに置換することで水和物の転化を防ぎ、且つ、前記水の重量を前記アルミナセメントの重量と前記溶融スラグの重量との合量で除した割合20%以下とすることで高強度化を図り、なお且つ、前記細骨材の含有量を40体積%以上にすることで自己収縮量の減少を図ることを特徴としている。
かかる高強度モルタルは、アルミナセメントを使用しているため化学抵抗性が強い。そして、水セメント比を20%以下とすることで高強度化を図り、さらにアルミナセメントの30体積%以下を溶融スラグで置換することで、化学抵抗性と高い強度特性を損なうことなく、施工に必要な流動性を確保することが可能になった。さらに溶融スラグの置換により、水和物の転化を防ぐことが可能になった。すなわち、従来のように水和物の転化を防ぐために35℃以上の温度で養生することを必要とせず、本発明では、常温でも水和物の転化を抑制することが可能となるため、養生温度を35℃以上とする手間を省略することが可能となった。
本発明は、アルミナセメントの30体積%以下を溶融スラグで置換することにより、良好な流動性を持つことを可能としている。このため、本発明による高強度モルタルは、構造物に塗着することで化学的な環境が厳しい部位に適用する保護剤として使用することができるほか、化学的な環境が厳しい箇所へ適用する構造材の製造や、断面修復材や裏込め材として使用することができる。ここで、本発明に係る「水セメント比」は、下式(式1)に示すように、水の重量(質量)を、アルミナセメントと溶融スラグとの重量(質量)の合量で除した割合をいう。
水セメント比=水/(アルミナセメント+溶融スラグ)・・・(式1)
また、細骨材の量を40体積%以上含有させることにより、自己収縮量の減少を図り、養生条件により発生するひび割れを抑えることが可能となった。
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の高強度モルタルであって、3体積%以下の繊維材料が添加されていることを特徴としている。
かかる高強度モルタルは、3体積%以下(つまり、高強度モルタル全体積に対して3%以下)の繊維材料を含有することにより、前記の作用効果に加えて、さらに、硬化後の曲げ強度が増加するという作用効果を奏する。つまり、当該高強度モルタルは、混練可能な流動性と硬化後の高い圧縮強度及び曲げ強度とを兼ね備えている。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の高強度モルタルであって、収縮低減剤が混入されることを特徴としている。
かかる高強度モルタルは、収縮低減剤やその他の乾燥収縮を低減させる材料を含有することで、硬化時の自己収縮量を低減し、ひび割れの発生を抑えることを可能としている。このため、大規模な部材へこの高強度モルタルを使用してもひび割れが発生することがなく、好適である。ここで、収縮低減剤は、有機系界面活性剤を主成分とし、混入することにより混練水の表面張力を低下させ、高強度モルタル内の毛細管張力を下げて、収縮を低減させることができる材料である。また、乾燥収縮を低減させる材料には、水酸化カルシウムを生成してコンクリートの収縮を低減させることができる材料(いわゆる膨張材)、または、コンクリート内で固まる前に作用(発泡等)してコンクリートを膨張させることにより収縮の低減を図る材料(いわゆる膨張剤)がある
また、請求項に記載の発明は、アルミナセメントと骨材とコンクリート用化学混和剤と水とを混合してなる高強度コンクリートであって、前記アルミナセメントの30体積%以下溶融スラグに置換することで水和物の転化を防ぎ、且つ、前記水の重量を前記アルミナセメントの重量と前記溶融スラグの重量との合量で除した割合20%以下とすることで高強度化を図り、なお且つ、前記骨材の含有量を40体積%以上にすることで自己収縮量の減少を図ることを特徴としている。
かかる高強度コンクリートは、アルミナセメントを使用しているため化学抵抗性が強い。そして、水セメント比を20%以下とすることで高強度化を図り、さらにアルミナセメントの30体積%以下を溶融スラグで置換することで、化学抵抗性と高い強度特性を損なうことなく、施工に必要な流動性を確保することが可能になった。さらに溶融スラグの置換により、水和物の転化を防ぐことが可能になった。
また、骨材の量を40体積%以上含有させることにより、自己収縮量の減少を図り、養生条件により発生するひび割れを抑えることが可能となった。
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高強度モルタルからなる高強度モルタル硬化体の製造方法であって、前記高強度モルタルが30℃以上の温度で養生されることを特徴としている。
かかる高強度モルタル硬化体の製造方法は、高強度モルタルを30℃以上の温度で加温養生することで、水和物の転化を防ぐ観点からは必要としないが、当該高強度モルタルからなる硬化体の強度をさらに高めることを可能としている。
また、請求項に記載の発明は、構造物の耐久性の改善方法であって、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高強度モルタルを構造物に塗着する高強度モルタル塗着工程を含むことを特徴としている。
かかる構造物の耐久性の改善方法は、化学的な環境条件の厳しい施設の構造物等に、本発明による高強度モルタルを塗着することにより、当該構造物を、化学的な耐久性に優れた構造物に改善することを可能としている。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の構造物の耐久性の改善方法であって、前記構造物に塗着された前記高強度モルタルを30℃以上の温度で養生する加温養生工程を含むことを特徴としている。
かかる構造物の耐久性の改善方法は、高強度モルタルの養生温度を30℃以上とすることで、高強度モルタルの強度をさらに高めるため、化学的な環境条件の厳しい施設の構造物に塗着することにより、当該構造物を化学的な耐久性にすぐれた構造物に改善するとともに、その耐久性を長期間維持することが可能となり、当該施設の延命あるいは長寿命化を図る。
また、請求項に記載の発明は、高強度モルタル用のプレミックス材料であって、請求項1に記載の高強度モルタルが含有する固体材料の一部又は全部が、予め混合されてなることを特徴としている。
また、請求項に記載の発明は、高強度モルタル用のプレミックス材料であって、請求項に記載の高強度モルタルが含有する固体材料の一部又は全部が、予め混合されてなることを特徴としている。
また、請求項10に記載の発明は、高強度モルタル用のプレミックス材料であって、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高強度モルタルが含有する固体材料のうち、前記アルミナセメントと前記溶融スラグとしての高炉スラグ微粉末とが予め混合されてなることを特徴としている。
かかる高強度モルタル用のプレミックス材料は、本発明の高強度モルタルが含有する固体材料であるアルミナセメントと細骨材と溶融スラグと繊維材料等の一部又は全部について、予め工場などで所定の配合に混合されてなることにより、現場での作業を容易にすることを可能としている。例えば、アルミナセメントと溶融スラグの一種である高炉スラグ微粉末と骨材等が予め所定の配合で混合された高強度モルタル用のプレミックス材料と、液体材料である水とコンクリート用化学混和剤とが予め所定の配合で混合されてなるプレミックス液体材料とを搬入することにより、現場ではこれらの二種類のプレミックス材料を混合するのみで、高強度モルタルを生成することが可能となるため作業が容易で好適である。
本発明の高強度モルタルによれば、水セメント比が低い場合であっても、その流動性が改善されて十分な施工性が確保でき、硬化後においては圧縮強度で少なくとも100MPaを確保し、さらに、ポルトランドセメントを用いたモルタルに比して優れた化学抵抗性を有し、且つ、アルミナセメントを用いたモルタルに特有の水和物の転化による強度の低下を生じないモルタルの製造が可能になる。また、これを構造物の構築に利用することにより、化学的な環境条件の厳しい施設において長期的に使用することが可能な構造物の構築が可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
本発明に係る高強度モルタルは、下水処理施設等の化学的な環境条件の厳しい施設において好適に使用されるモルタルであって、アルミナセメントと細骨材とコンクリート用化学混和剤と水とを主体として構成されている。そして、このうち、アルミナセメントの30体積%以下、好ましくは5体積%以上10体積%以下が溶融スラグに置換されており、且つ、水セメント比が20%以下で混練されている。また、当該モルタルの3体積%以下、好ましくは2体積%以上2.4体積%以下のステンレス鋼繊維(繊維材料)が添加されている。なお、本実施の形態に係る「水セメント比」は、水の重量(質量)をアルミナセメントの重量(質量)と溶融スラグの重量(質量)との合量で除した割合とする(式1参照)。なお、本実施の形態では、アルミナセメントと溶融スラグに関して、予め前記の配合により混合されてなる高強度モルタル用のプレミックス材料であるプレミックス固体材料を使用し、また、水とコンクリート用化学混和剤に関しても、予め所定の配合で混合されてなるプレミックス液体材料を使用するものとする。
ここで、本実施の形態で使用するアルミナセメントは、特に限定されるものではなく、アルミン酸カルシウム鉱物(CaO・Al23,CaO・2Al23等)を主体とした市販のものを使用すればよい。
また、細骨材に関しても、限定されるものではなく、砕砂、川砂、海砂、山砂、珪砂、石灰岩砕砂等、通常のモルタルの製造に用いられる材料を使用すればよい。
さらに、コンクリート用化学混和剤に関しても、ポリカルボン酸エーテル系化合物、リグニンスルホン酸化合物、高変性ポリオール複合体、変性リグニンスルホン酸化合物、オキシカルボン酸化合物、セルロースエーテル等を主成分とする市販のものを使用すればよく、モルタルの混練に効果的であれば限定されるものではない。
溶融スラグは、ごみ溶融スラグ、高炉スラグ、製鋼スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ等を含み、本実施の形態では、この中からセメントと置換することにより流動性を改善する材質のものを適宜選定して使用すればよく、例えば、ブレーン値で4000cm2/g〜12000cm2/gの高炉スラグ微粉末を使用することができる。ここで、ブレーン値とは、1グラムあたりの粒子表面積(比表面積)を示していて、ブレーン値が大きいほど、粒子が細かいことを示している。このブレーン値は、セメントの物理試験方法のブレーン空気透過粉末度測定装置により測定される。
本実施の形態では、水セメント比を20%以下とするものとしているが、当該水セメント比は、通常のモルタル製造の水セメント比と同様に、添加されるセメント及び高炉スラグと水との割合を示しており、コンクリート用化学混和剤等の他の添加材が含有する水分は含まないものとする。
ステンレス繊維には、直径が0.06〜0.4mmのもので、長さが6〜20mmの範囲内で細骨材の最大粒径の2倍以上のものを使用するものとする。
そして、前記の配合の高強度モルタルは、ミキサ等で混練された後、所定の構造物の表面に塗着される(高強度モルタル塗着工程)。なお、当該高強度モルタルの構造物への塗着方法は、限定されるものではなく、吹付け方式等、公知の方法を採用することができる。また、構造物に塗着された高強度モルタルを30℃以上の温度により加温しつつ、養生する(加温養生工程)。ここで、高強度モルタルの加温養生方法は、電気養生、温風養生、蒸気養生などの公知の技術により行えばよく、限定されるものではない。
本実施の形態に係る高強度モルタルは、水セメント比が20%以下でありながらも、アルミナセメントの30体積%までを溶融スラグ(例えばブレーン値で4000cm2/g〜12000cm2/gの高炉スラグ)に置換することにより、その混練が可能となり、その結果下記に示す効果を得ることが可能となった。
(1)セメントとして、アルミナセメントを使用しているため、耐酸性・耐化学薬品性に優れ、耐火性・耐熱性に優れたモルタルが製造されて、化学的な環境条件の厳しい下水道施設や高度浄水処理施設等への適用が可能となった。
(2)水セメント比を20%以下にすることにより、硬化後の圧縮強度が100MPaを超える高強度モルタルの製造が可能となった。
(3)アルミナセメントと溶融スラグとの配合により、当該高強度モルタルの強度が温度変化に対しても強度が低下することなく、水和物の転化による強度低下を抑制するため、長期的な強度の維持が可能となった。
(4)置換率を30体積%以下とすることで溶融スラグの置換による強度の低下を抑制し、圧縮強度で100MPaを確保した。
(5)置換率を30体積%以下とすることで、優れた施工性、充填性を確保した。特に、置換率が5体積%〜10体積%では、自己充填コンクリートと同等の施工性を持つ。
また、さらに当該高強度モルタルの3体積%以下の繊維材料を添加することにより、曲げ強度を増加することが可能となり、さらなるモルタルの高強度化が可能となった。
また、当該高強度モルタルを30℃以上の温度で養生することにより、高強度モルタル硬化体の強度をさらに向上することが可能となる。
本発明の高強度モルタルを硬化させてなる高強度モルタル硬化体は、高強度であるため、薄肉化が可能となり、例えば、流路等の補修に使用した場合には、流路の内面への塗着による流路の断面積の減少を抑制することが可能となる。また、耐摩耗性に関しても向上するため効果的である。
また、アルミナセメントを主成分とする本発明の高強度モルタルを、構造物に塗着することにより、当該構造物の化学的な耐久性を改善するとともに、その耐久性を長期間維持することが可能となるため、化学的な環境条件の厳しい構造物の延命を図ることが可能となる。
また、アルミナセメントと高炉スラグ微粉末が予め所定の配合で混合されてなるプレミックス固体材料と、水とコンクリート用化学混和剤が予め所定の配合で混合されてなるプレミックス液体材料を使用することにより、現地においてこれらの添加材の配合を調整する手間を省略することが可能となり、施工性に優れていて、好適である。また、予め所定の配合で混合されたプレミックス材料を使用することにより、材料の搬入に関して必要とされる分量のみを搬入することが可能となり、経済的にも優れていて好適である。
また、前記高強度モルタルについて、細骨材の含有量を、40体積%以上とすることで、自己収縮量を抑え、養生条件により発生する場合のあるひび割れを抑える構成としてもよい。また、細骨材の含有量を、上記のように設定することで、流動性を調整して、既存構造物への塗着性能も向上する。
また、さらに収縮低減剤を含有させているため、ひび割れの原因である自己収縮量をさらに低減することができ、硬化体のひび割れの発生を防ぐことが可能となる。
ここで、収縮低減剤は、モルタルの練り混ぜ時に添加するものとする。本実施形態では、収縮低減剤として低級アルコールアルキレンオキシド付加物を主成分としたものを使用するものとするが、収縮低減剤は限定されるものではなく、例えば、グリコールエーテル系、ポリエーテル系またはプロピレングリコールエーテル系を主成分としたもの等を使用してもよい。なお、膨張材または膨張剤等の乾燥収縮を低減させる材料を含有させてもよい。膨張材としては、石灰系材料使用可能である。また、膨張剤としては、例えば、アルミニウム粉末等が使用可能である。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、ステンレス鋼繊維を添加する構成としたが、当該高強度モルタルに曲げ強度の増加の必要がない場合にはステンレス鋼繊維を添加する必要がないことはいうまでもない。
また、前記実施の形態では、繊維材料としてステンレス鋼繊維を混入するものとしたが、例えば炭素鋼繊維、銅繊維、炭素繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリルニトリル繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアミドあるいはポリイミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維等を使用しても良く、モルタルの曲げ強度を改善する効果が期待できるものであれば限定されるものではない。
また、添加される繊維材料の構成は前記のものに限定されるものではなく、例えば、繊維材料の長さ(L)と直径(d)の比率(L/d)が20以上で、繊維材料の長さが、2mm以上、且つ、細骨材の最大粒径に対して5倍以上とする構成や、平均長さの異なる2種類以上の繊維材料を使用するものとし、繊維材料の平均長さが細骨材の最大粒径の2.6倍〜5.7倍の範囲内とする構成や、平均長さの異なる2種類以上の繊維材料を添加するものとし、それぞれの平均長さが細骨材の最大粒径以上であり、全体の平均長さが細骨材の最大粒径の5.7倍以下とする構成や、平均長さの異なる2種類以上の繊維材料を添加するものとし、少なくともその1種類の繊維の長さが骨材の最大粒径以下で、全体の平均長さが骨材の最大粒径の2.6倍以上とする構成など、高強度モルタルの曲げ耐力の増加に効果的になるように、適宜設定すればよい。
また、特別な温度の調節のない養生で発現される強度が、当該高強度モルタルによる構造物が必要とする強度以上の場合には、養生温度を30℃以上とする必要はない。
また、前記実施の形態では、本発明の高強度モルタルを構造物の表面に塗着するものとしたが、本発明でいう構造物の化学的な耐久性の改善方法における構造物への塗着はこれに限定されるものではなく、例えば目地材として構造物に塗着することも含む。
また、本発明に係る高強度モルタルの使用は、構造物への塗着に限定されるものではなく、例えば、パネル材、U字溝、ヒューム管、ボックスカルバートのような2次製品の製造、断面修復材や裏込め材として使用する等、様々な用途に使用することが可能である。
また、本発明に係る高強度モルタルは、下水処理施設に限定されるものではなく、あらゆる化学的な環境条件の厳しい施設において使用が可能である。下水道処理施設以外であっても、例えばシールドトンネルなどの地下構造物においては、その構築時に使用した多量の薬液注入剤の副産物である硫酸ナトリウムが継手部等から内部に浸透することにより、劣化が進行することがあるので、このような地下構造物の補修に、本発明に係る高強度モルタルを使用しても良い。
また、高強度モルタルの添加材として、アルミナセメントと高炉スラグ微粉末とのプレミックス固体材料、水とコンクリート用化学混和剤とのプレミックス液体材料を使用するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、アルミナセメントと高炉スラグ微粉末と骨材が予め混合されてなるプレミックス固体材料、アルミナセメントと骨材とが予め混合されてなるプレミックス固体材料、高炉スラグ微粉末と骨材とが予め混合されてなるプレミックス固体材料等を使用したり、また、繊維材料を混入する場合には、前記した各プレミックス固体材料に繊維材料が予め混入されたプレミックス固体材料や、アルミナセメントと高炉スラグ微粉末からなるプレミックス固体材料と、骨材と繊維材料からなるプレミックス固体材料とを組み合わせて使用したり、さらに、プレミックス材料を使用することなく全ての添加材を個別に搬入してもよく、その費用や作業性により適宜設定するものとする。
また、本発明に係る高強度モルタルにおいて、前記指定の配合により混合された指定の材料の他に、その流動性や化学的な耐久性に悪影響を及ぼさない範囲で他の材料を混合してもよいことはいうまでもない。
さらに、前記細骨材に代えて、粗骨材と細骨材とを含む骨材を混合すれば、前記高強度モルタルと同様に、化学的な耐久性に優れ、施工が可能な流動性を有した高強度コンクリートを生成することが可能となる。
以下、本発明に係る高強度モルタルの実証実験の結果について記載する。なお、実験において、各材料は、アルミナセメントとして市販のアルミナセメント(例えばアルミナセメント1号:電気化学工業株式会社製)、細骨材として5号珪砂、溶融スラグとして市販の高炉スラグ微粉末(例えばブレーン値6000cm2/g、ファインセラメント20A:株式会社デイ・シイ製)、コンクリート用化学混和剤として市販の高性能AE減水剤(例えばレオビルドSP8HU:株式会社ポゾリス物産製)、繊維材料として平均径0.2mm、平均長13mmのステンレス鋼繊維を使用した。
(1)流動性の確認
表1に示す配合による高強度モルタルのテーブルフローを測定することにより高炉スラグ置換率(溶融スラグ置換率)と流動性の関係を調べた。ここで、本実施例におけるテーブルフローとは、フロー試験(JIS R5210)において規定された打撃回数(15回)を0回に変更した試験方法によって得られた数値である。なお、テーブルフロー100mmとは、変形が生じていないことを意味し、流動性に乏しく評価が不能であることを示す。
本実証実験では、水セメント比が約10%のモルタルについて、アルミナセメントの高炉スラグ置換率を0体積%〜30体積%に変化させて、そのテーブルフローを測定した。
Figure 0004681359
図1は、表1に示す配合により混練された高強度モルタルの高炉スラグ置換率とテーブルフローとの関係を示した折れ線図である。図1をみると、高炉スラグ置換率が0体積%の場合、テーブルフローは100mmで評価不能であるが、高炉スラグ置換率が3体積%を超えるとテーブルフローは240mmを超えて流動性が大幅に改善されることが分かる。また、図1を見ると、高炉スラグ置換率が5体積%〜10体積%とするとテーブルフローが260mmを超え、流動性の改善効果が最大となることが分かる。なお、高炉スラグ置換率が10体積%を超えるとテーブルフローは減少するが、30体積%でもテーブルフローが220mm以上であり、十分な流動性を有していることが分かる。
つまり、図1に示す実証実験の結果により、水セメント比が20%以下であっても、アルミナセメントの30体積%以下を高炉スラグに置換することにより、流動性が改善され、モルタルの混練が可能であることが実証された。特に、その置換率を5体積%〜10体積%の間に設定すれば、より効果的に流動性が改善されることが実証された。
(2)圧縮強度の確認
次に、表2に示す配合によるモルタルの圧縮強度を測定し、高炉スラグ置換率と、圧縮強度との関係を調べた。
本実証実験では、水セメント比が約10%のモルタルについて、アルミナセメントの高炉スラグ置換率を0体積%〜30体積%で変化させて、養生温度20℃と40℃にて養生した供試体についてそれぞれ圧縮強度の測定を行った。
図2は、表2に示す配合によるモルタルの高炉スラグ置換率と圧縮強度との関係を示した折れ線図である。本実証実験では、表2に示す配合のモルタルを養生温度20℃と40℃により28日間封緘養生により養生した後、それぞれ圧縮試験を行った。
Figure 0004681359
図2に示すように、本実証実験により、高炉スラグ置換率が30体積%で室温(20℃)による養生においても圧縮強度は100MPaを超えており、高強度であることが実証された。また、図2の結果により、高炉スラグ置換率が20体積%までであれば、多少の上下はあるものの、圧縮強度が120MPaを超えることから、スラグ置換率は5体積%〜20体積%がより好ましいことが分かる。
(3)曲げ強度の確認
次に、表3に示す配合による高強度モルタルを40℃で28日間封緘養生を行った後、曲げ強度を測定し、高炉スラグ置換率と曲げ強度の関係を調べた。
本実証実験では、水セメント比が約10%のモルタルについて、アルミナセメントの高炉スラグ置換率を0体積%〜30体積%に変化させて、養生温度40℃にて養生した供試体について曲げ強度の測定を行った。
図3は、表3に示す配合による高強度モルタルの高炉スラグ置換率と曲げ強度との関係を示した相関図である。
Figure 0004681359
図3より、高炉スラグの置換率が大きくなると当該高強度モルタルの曲げ強度は低下する傾向にあるが、高炉スラグ置換率が30体積%でも曲げ強度は30MPaを超えており、十分な曲げ耐力を有していることが分かる。
(4)繊維材料の添加による流動性及び曲げ強度の確認
次に、表4に示す配合によるモルタルの曲げ強度及びテーブルフローの測定を行い、繊維材料の添加量と曲げ強度及びテーブルフローの関係を調べた。本実証実験は、水セメント比が約10%、高炉スラグ置換率が約10体積%のモルタルについて、ステンレス鋼繊維を0〜3体積%添加した供試体について、曲げ強度とテーブルフローの測定を行ったものである。
図4は、当該実証実験の結果を示す折れ線図であり、繊維添加率と曲げ強度及びテーブルフローの関係を示している。
Figure 0004681359
図4より、ステンレス鋼繊維の添加量が3体積%以下であれば、無添加の場合に比べて、曲げ強度が増進することが分かる。特に、ステンレス鋼繊維の添加量が2.0体積%〜2.8体積%の範囲内では、曲げ強度が25MPa以上を示し好適である。また、ステンレス鋼繊維を添加することによりテーブルフローの低下が見られる。しかし、3.0体積%まで混入した場合でもテーブルフローは200mm以上を示し、流動性が十分保たれていることが分かる。特にステンレス鋼繊維の添加量が2.4体積%以下では、テーブルフローは260mmを超え、好適である。
そのため、ステンレス鋼繊維を3体積%、好ましくは2.0体積%〜2.4体積%添加すれば、流動性が改善されるとともに、曲げ強度の増進効果を得ることが実証された。
(5)養生温度による効果の確認
次に、スラグ置換率10体積%、ステンレス鋼繊維添加率2.2体積%として、養生温度を20℃〜80℃に変化させて28日間封緘養生を行った供試体について、圧縮強度試験および曲げ強度試験を行い、養生温度と圧縮強度との関係を調べた。表5に本実証実験の配合を示す。
図5は、本実証実験の結果を示す折れ線図であり、養生温度と圧縮強度及び曲げ強度との関係を示している。
Figure 0004681359
図5より、養生温度が高くなると圧縮強度及び曲げ強度が増進することが分かる。そして、養生温度が30℃を超えると、圧縮強度、曲げ強度ともに、高い強度が維持されるため、養生温度を30℃以上とすることが好適であることが分かる。
(6)温度変化に対する安定性の確認
次に、表5に示した所定の養生温度(20℃〜80℃)により28日間養生を行った後、80℃で更に6時間封緘養生をした供試体の圧縮強度の計測を行い、本発明による高強度モルタルの温度変化に対する安定性の実証を行った。
図6は、所定の温度により28日間養生を行った高強度モルタルと、所定の温度により28日間養生を行った後、さらに80℃で6時間封緘養生をした高強度モルタルの養生温度と圧縮強度との関係を示した折れ線図である。
図6より、本発明の高強度モルタルを80℃で加熱しても、強度の低下は確認されず、本発明による高強度モルタルが、温度変化に対して安定性を有していることが分かる。
(7)化学的な耐久性の確認
次に、本発明の高強度モルタルの化学的な耐久性を実証するため、普通ポルトランドセメントを用いた供試体と、本発明の高強度モルタルによる供試体とを20℃の飽和硫酸ナトリウム水に浸漬して、その耐久性の比較を行った。その結果を図7に示す。
なお、表6は本実証実験に用いた供試体の配合を示している。
Figure 0004681359
図7に示すように、普通ポルトランドセメントによる供試体は、浸漬後、徐々に膨張して、100日を過ぎると破壊して測定不能となった。一方、本発明による高強度モルタルは、180日を過ぎても膨張やひび割れなどの変化はみられず、化学的な耐久性に優れていることが実証された。
(8)細骨材量とひび割れとの関係の確認
次に、細骨材の含有量を20体積%〜70体積%に変化させて、ひび割れ発生状況の測定を行った。
本実証実験では、100×100×5cmの型枠に細骨材量を20体積%〜70体積%に変化させたモルタルを打設し、表面を開放した状態で放置した場合における、幅0.2mm以上のひび割れの有無について測定を行った。表7に測定結果を示す。なお、型枠内面はモルタルと全て付着するように粗面処理を行った。
Figure 0004681359
表7に示すように、細骨材が40体積%以上70体積%以下では幅0.2mm以上のひび割れが発生せず、高強度モルタルの自己収縮が抑えられていることが実証された。このため、細骨材の含有量は40体積%以上が好ましいことが実証された。
(9)自己収縮量の減量の確認
次に、細骨材の含有量の調整と収縮低減剤を使用することによる、自己収縮量の減量の確認を行うため、表8に示す2種類の配合(配合1および配合2)からなる高強度モルタルの供試体について、自己収縮率の比較を行った。その結果を図8に示す。なお、図8において、収縮低減剤を含有しない供試体の測定結果は点線、収縮低減剤を含有した供試体の測定結果は実線でそれぞれ示してある。
なお、配合1は、アルミナセメントの30体積%以下が溶融スラグに置換されて、かつ、水セメント比が20%以下となるように配合された高強度モルタルである。また、配合2は、細骨材の含有量が40体積%以上(本実証実験では58.8体積%)で、収縮低減剤が添加された高強度モルタルであって、これに合わせて、アルミナセメントの30体積%以下が溶融スラグに置換されて、かつ、水セメント比が20%以下となるように配合されている。さらに、配合2には、消泡剤が所定量(本実証実験では0.8体積%)添加されている。ここで、収縮低減剤の添加は一般的にはセメント質量当り1〜6質量%または1〜9kg/m3の使用を基本としており、本実証実験では、7.3kg/m3添加した。
Figure 0004681359
図8に示すように、配合1の高強度モルタルの自己収縮率(図8の点線)が3500×10-6(28日材齢)であるのに対し、配合2の高強度モルタルの自己収縮率(図8の実線)は650×10-6(28日材齢)となり、自己収縮量が大幅に削減されたことが実証された。つまり、細骨材の量を40体積%以上として、乾燥収縮を低減する材料を添加すれば、高強度モルタルの自己収縮量が低減されて、より優れた高強度モルタルが提供されることが実証された。
前記(1)〜(9)に示した実証実験の結果、本発明による高強度モルタルは、水セメント比20%以下で、アルミナセメントの高炉スラグ置換率が30体積%以下、好ましくは5〜10体積%とすれば、十分な化学的な耐久性、温度変化に対する耐久性、及び圧縮強度を兼ね備えることが実証された。また、曲げ強度の増進を見込む場合には、繊維材料の添加率は3体積%以下、さらに良好な流動性を得るために、好ましくは2.0〜2.4体積%とすれば、十分な曲げ強度を発現することが実証された。また、養生温度を30℃以上とすれば、更にその強度の増進が見込まれる。また、40体積%以上の細骨材を含有すれば、高強度モルタルの自己収縮量を削減することが可能となる。また、乾燥収縮を低減する材料(収縮低減剤、膨張材または膨張剤等)を添加すれば、高強度モルタルの自己収縮量をさらに削減することが可能となる。
さらに、コンクリートは、骨材として細骨材と粗骨材とを含有する点のみが骨材として細骨材のみを含有するモルタルとの相違点である。そのため、前記実証実験の結果から、水セメント比20%以下で、アルミナセメントの高炉スラグ置換率が30体積%以下、好ましくは5〜10体積%とする本発明の高強度コンクリートが、十分な化学的な耐久性、温度変化に対する耐久性、及び圧縮強度を兼ね備えるといえる。同様に、骨材を40体積%以上含有すれば、自己収縮量を削減することが可能となることがいえる。
本発明による高強度モルタルの高炉スラグ置換率とテーブルフローとの関係を示した折れ線図である。 本発明による高強度モルタルの高炉スラグ置換率と圧縮強度との関係を示した折れ線図である。 本発明による高強度モルタルの高炉スラグ置換率と曲げ強度との関係を示した相関図である。 本発明による高強度モルタルの繊維添加率と曲げ強度及びテーブルフローの関係を示した折れ線図である。 本発明による高強度モルタルの養生温度と圧縮強度及び曲げ強度との関係を示した折れ線図である。 所定の温度により28日間養生を行った高強度モルタルと、所定の温度により28日間養生を行った後80℃で6時間封緘養生をした高強度モルタルの養生温度と圧縮強度との関係を示した折れ線図である。 本発明による高強度モルタルによる供試体と普通ポルトランドセメントによる供試体を硫酸ナトリウム水溶液に浸漬した場合の膨張率の経時変化を示す折れ線図である。 本発明の高強度モルタルについて収縮低減剤の有無による自己収縮率の比較を行った結果を示す折れ線図である。

Claims (10)

  1. アルミナセメントと細骨材とコンクリート用化学混和剤と水とを混合してなる高強度モルタルであって、
    前記アルミナセメントの30体積%以下溶融スラグに置換することで水和物の転化を防ぎ、且つ、前記水の重量を前記アルミナセメントの重量と前記溶融スラグの重量との合量で除した割合20%以下とすることで高強度化を図り、なお且つ、前記細骨材の含有量を40体積%以上にすることで自己収縮量の減少を図ることを特徴とする高強度モルタル。
  2. 3体積%以下の繊維材料が添加されていることを特徴とする、請求項1に記載の高強度モルタル。
  3. 収縮低減剤が混入されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の高強度モルタル。
  4. アルミナセメントと骨材とコンクリート用化学混和剤と水とを混合してなるコンクリートであって、
    前記アルミナセメントの30体積%以下溶融スラグに置換することで水和物の転化を防ぎ、且つ、前記水の重量を前記アルミナセメントの重量と前記溶融スラグの重量との合量で除した割合20%以下とすることで高強度化を図り、なお且つ、前記骨材の含有量を40体積%以上にすることで自己収縮量の減少を図ることを特徴とする高強度コンクリート。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高強度モルタルからなる高強度モルタル硬化体の製造方法であって、前記高強度モルタルを30℃以上の温度で養生することを特徴とする、高強度モルタル硬化体の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高強度モルタルを構造物に塗着する高強度モルタル塗着工程を含むことを特徴とする、構造物の耐久性の改善方法。
  7. 前記構造物に塗着された前記高強度モルタルを30℃以上の温度で養生する加温養生工程を含むことを特徴とする、請求項に記載の構造物の耐久性の改善方法。
  8. 請求項1に記載の高強度モルタルが含有する固体材料の一部又は全部が、予め混合されてなることを特徴とする、高強度モルタル用のプレミックス材料。
  9. 請求項に記載の高強度モルタルが含有する固体材料の一部又は全部が、予め混合されてなることを特徴とする、高強度モルタル用のプレミックス材料。
  10. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の高強度モルタルが含有する固体材料のうち、前記アルミナセメントと前記溶融スラグとしての高炉スラグ微粉末とが予め混合されてなることを特徴とする、高強度モルタル用のプレミックス材料。
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