JP4680446B2 - 油井鋼管用継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油井管用継手に係わり、特に過酷な環境下で多数回にわたって締め付け、取り外しが行われてもゴーリングを起こさない継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、深さ数千mにも及ぶ天然ガス田や原油田等の探索・生産に使用される鋼管(油井管という)を互いに接続するには、ネジ継手が広く用いられている。そして、このネジ継手は、前記油井管が高圧、高荷重及び悪環境下で使用されるため、接続された管の自重による軸方向の引張力に耐えること、外圧に耐えること、数十回の繰り返し使用ができること等の性能が要求されている。
【0003】
かかる継手としては、管1の一端に雄ネジを有するピン部2を、他端に雌ネジを有するボックス部を設け、それら雄雌ネジを互いに接続するもの(インテグラル方式という)と、図3に示すように、両端に前記ボックス部3を設けたカップリング4なる部材を使用し、両端にピン部2を設けた油井管1を接続するもの(カップリング方式という)とがある。近年は、高い機密性を要求されるため、改良が加えられ、下記のような継手が多用されるようになっている。
【0004】
例えば、ボックス部3の内周は、先端から軸線方向に沿い奥へ進むにつれ、テーパをもって内径が減少し、図4に示すような雌ネジ5が刻設され、内奥の周壁には、図5に示すように、軸心に向かって突出した環状の肩部(ショルダ14という)が形成されている。他方、該ボックス部3に螺合されるピン部2には、前記雌ネジ5に螺合される雄ネジ6立設されていると共に、該雄ネジ6の先にネジのない部分(リップ部7という)が設けられている。このリップ部7の外周面も、テーパ状になっており、図5で明らかなように、その突端はオーバハング状になっている。従って、このリップ部7が、前記ボックス部3の内周奥と接すると、そこに突き当てによるシール面(金属面対金属面のシールと称される)が形成される。一方、ネジは、図4に示したように、雄ネジ6と雌ネジ5の締結時の噛合いにより、雄ネジ6及び雌ネジ5が互いに接触する面をそれぞれの荷重面8といい、該荷重面8の傾斜を管軸線と垂直な線を基準にして、ロード・フランク角α(反時計方向を負)と称している。また、雄ネジ6と雌ネジ5との間に隙間9が生じる側の面を、それぞれの挿入面10といい、この面の傾斜は、スタッビング・フランク角θ(反時計方向を正)という。さらに、締結時のネジ面の接触状態は、前記図4に示したように、荷重面8で接触、挿入面10で非接触、頂面及び底面の少なくとも一方で接触となり、これらネジ面の接触でもシールが確保できる。つまり、かかるネジ継手は、ピン部2及びボックス部3のネジ同士の接触と突き当てシール面の接触によって、高い機密性を保持するようになっているのである。
【0005】
ところが、油井管の施工時に継手の締め付けを行うと、大なり小なり、ネジ部にむしれ(ゴーリングという)が生じ、継手の接続を困難にすることがある。そのため、本出願人の一人が先に特願平11−364074号公報で開示したように、ネジ部の前記ロード・フランク角を負にしたり、あるいは炭素鋼が多かった継手の材質に高Cr鋼を採用したりして、対策が種々試みられている。また、前記カップリング4の内面にCuめっきを施し、その上にドープと称しPbを含有したグリス状コンパウンドを塗ってネジ部の前記隙間9を塞ぐことで、ゴーリングの発生はかなり低減している。さらに、ピン部2の外周面をグラス・ビーズでブラストして滑り易くすることも行われている。
【0006】
しかしながら、環境汚染が強く叫ばれる最近では、前記Pb入りのドープは使用できない。Pbが周囲の海水や土壌に含まれるようになり、環境汚染が起きるからである。そのため、Pbを含有させないドープ(これをグリーン・ドープという)が開発、使用されるようになっているが、このグリーン・ドープを塗った継手を締め付けると、継手の材質によってはゴーリングの発生が防止できない場合があり、さらなる改良が熱望されているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、油井管の施工、つまり継手の締め付け時にネジ部にゴーリングが発生しない油井管用継手を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、従来のドープ中のPbの代替として優れた金属系固体潤滑剤であるSnに着目し、これとCuとを最適に組合わせることで本発明を完成させた。
すなわち、第一の本発明は、Crを9質量%以上含有する鋼管の一端に雄ネジ及びメタル−メタルシール部を有するピン部と、同材質で、雌ネジ及びメタル−メタルシール部を有するボックス部を両端に設けたカップリングとで形成する油井鋼管用継手において、前記カップリングの雌ネジ及びメタル−メタルシール部の表面に、Sn含有量が0〜100質量%のCu−Sn合金層を(Nは2以上)配置し、各Cu−Sn合金層のSn含有量が下記関係を満してなることを特徴とする油井鋼管用継手である。
0≦C 1 <……<C <……<C N ≦100
ここで、C 1 :最下層のSn含有量、C :第n層のSn含有量、C N :最上層のSn含有量
【0010】
らに、第の本発明は、Crを9質量%以上含有する鋼管の一端に雄ネジ及びメタル−メタルシール部を有するピン部と、同材質で、雌ネジ及びメタル−メタルシール部を有するボックス部を両端に設けたカップリングとで形成する油井鋼管用継手において、前記カップリングの雌ネジ及びメタル−メタルシール部の表面に、Sn含有量が下層から上層へ向かって連続的に多くなるような勾配をもたせたCu−Sn合金層を配置してなることを特徴とする油井鋼管用継手である。
【0011】
これらの発明においては、前記カップリングの雌ねじ及びメタル−メタルシール部の表面と前記Cu−Sn合金層との間に、さらにNi,Fe,Zn及びCrから選ばれた1種の金属層又はそれら金属の合金層を配置することが好ましい。
【0012】
本発明に係る油井鋼管用継手を用いると、グリーンドープを使用しても従来よりシール性が良好で、且つ継手に起きるゴーリングを格段に抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
本発明の対象となる継手は、材質がCrを9質量%以上含有する鋼管からなるカップリング方式のものである。通常の炭素鋼では、カップリングを燐酸マンガンで表面処理し、ピン部をグラスビードでブラストして表面を滑らかにするだけで、ゴーリング対策になるからである。
【0015】
まず、本発明者らは、カップリング4の雌ネジ5(図4参照)及びメタルーメタルシール部(図5参照)の表面に、以前より施しているCuめっきの改良に着眼した。めっきが適正であれば、カップリング4への油井管のピン部2の挿入、締め付けが円滑になり、ゴーリングの発生を抑制できると考えたからである。
【0016】
また、Pbが優れた金属系固体潤滑材であることから、その代替金属として同様に優れた潤滑材であるSnをCuめっき側に導入した。ただし、Pb及びSnが潤滑材として優れるのは、それらの剪断破壊応力が極めて小さいことによるので、それ自身の強度が弱く、締め付けにより除去されてしまい、複数回の締め付けには耐えられない。そこで、潤滑性には劣るが強度的には優れるCuとの組合せを種々試み、そのうち良好な成績を収めたものを本発明とした。
【0017】
その第一の本発明とは、前記カップリング4の雌ネジ5及びメタル−メタルシール部の表面に、Cu−Sn合金層をめっき法等により形成したものである。ここで、前記Cu−Sn合金層のSn含有量は10〜70質量%であることが好ましい。すなわち、Sn含有量が10質量%未満であると、潤滑性が不足し易くなり、70質量%を超えると、合金層の強度が不足し易く、締め付け回数とともに合金層が減少し易くなる。なお、鋼と合金層との密着性の観点から、Cu−Sn合金めっきを施すに先立って、予めNi,Fe,Zn及びCrから選ばれる1種の金属又はそれらの合金をめっきしておくのが好ましい。さらに、その中でもNi又はNi合金がより好ましい。以下、このような下地Ni層をNiストライク層と称する。
【0018】
この第一の本発明を概念的に図1(a)に示す。すなわち、素材4の鋼上にNiストライク層10を介して、Cu−Sn合金めっき13が形成されている。ここで、各めっき層の厚みは、雌ねじ5と雄ねじ6のクリアランスに依存するため特に限定されないが、通常は、Niストライク層10が1〜2μm、Cu−Sn合金めっき層が9〜13μm程度で、全体としては10〜15μmが好ましい。
【0019】
そこで、このNiストライク層の上に配置させるめっきについてさらに検討を重ねた結果、以下に述べる形態であればいずれも良好なゴーリング抑制効果を得たのである。
【0020】
図1(b)に示すようなめっき層は、母材4から順に上に向け、Niストライクめっき10,Cuめっき11、Snめっき12としたものである。ここで、各めっき層の厚みは、通常、Niストライクめっき10が1〜2μm、Cuめっき11が7〜10μm、Snめっき12が2〜3μm程度であり、全体として10〜15μmが好ましい。
【0021】
図1(c)に示すめっき層は、下から上へ順次、Niストライクめっき10,Cuめっき11、Cu−Sn合金13、Snめっき12としたものである。ここで、Cuめっき11とSnめっき12との間にCu−Sn合金めっき13を介在させることにより、めっき層全体の強度と潤滑性のバランスが向上し、ゴーリングの抑制効果がより促進する。また、各めっき層の厚みは、通常Niストライクめっき10が1〜2μm、Cuめっき11が4〜5μm、Cu−Sn合金めっきが3〜5μm、Snめっき12が2〜3μm程度であり、全体として10〜15μmが好ましい。また、図1(d)に示すめっき層は、Cu−Sn合金めっき13が厚く、しかもSn濃度が階段状に異なるようにしたものである。
【0022】
以上図1(b)〜図1(d)に示した考えに基づいたのが第二の本発明である。すなわち、1〜2μmのNiストライクめっき層10を形成した後,Snを0〜100重量%含有するCu−Sn合金めっきをN層施して、各Cu−Sn合金層のSn含有量が下記関係を満足するようにしたものである。
【0023】
0≦C1<……<C<……<CN≦100
ここで、C1:最下層のSn含有量、C:第n層のSn含有量、CN:最上層のSn含有量
つまり、下層にはSn含有量の少ない強度を優先させためっき層を、上層にはSn含有量の多い潤滑性を優先させためっき層を配置したのである。この場合、多層めっきの全体の膜厚は、前記したように、Niストライク層を含めて10〜15μmが好ましい。また、層数のNを幾つにするかについては、Nが大きいほどゴーリング抑制効果が高まるが、それに応じてコストも増加するので、締め付け取り外しの必要回数を考慮して決定するのが良い。
【0024】
また、上記した多層めっきでは、めっき層の深さ方向のSn含有量は、各層毎に段階的に変化するが、後述するように、Cu−Sn合金めっきは、めっき電流密度を制御してある程度Sn含有量を変化させることができる。すなわち、めっき途中で連続的に電流密度を変化させると、めっき層中のSn含有量が深さ方向で連続的に変化し、めっき層が1層であっても前記多層めっきの場合と同様の効果を得ることもできる。この考えを概念的に図2(a)に示すと、Sn濃度が深さ方向で勾配を有するCu−Sn合金層13'となる。
【0025】
さらに、上記しためっき層中のSn含有量を深さ方向で連続的に変化させる形態は、図2(b)に示すように、Niストライクめっき10の上にCuめっき11を、その上にSnめっきを施してから、全体を熱処理することでCu-Sn相互拡散層13'として形成することも可能である。そこで、このようなSn含有量が下層から上層に向かって連続的に増大する濃度勾配を有するCu-Sn合金層からなるものを第二の本発明と区別し、第三の本発明としたのである。なお、この場合、Cu−Sn合金層は、一層でも複数層であっても良い。
【0026】
次に、以上述べた本発明に係るめっき層を雌ねじ及びメタル−メタルシール部の表面に形成するには、電気めっき、無電解めっき、気相めっき等、いかなるめっき手法を用いても良い。
しかし、現実的には、下記のように電気めっきを用いるのが効率的で、且つ経済的である。
【0027】
Niストライクめっき層の形成には、例えば、Niイオン濃度が60〜75g/Lとなるように塩化ニッケルを脱イオン水に溶解し、そこに30〜50g/Lの塩酸を添加した浴を用いることができる。さらに、めっきの外観に応じて市販の光沢剤を添加しても良い。この場合、めっき浴の温度を20〜40℃として電流密度2〜5A/dm2でめっきを行い、必要膜厚を確保する。
【0028】
Cuめっき層の形成には、例えば、Cuイオン濃度が150〜250g/Lとなるように硫酸銅を脱イオン水に溶解し、そこへ40〜80g/Lの硫酸を添加した浴を用いることができる。さらに、めっきの外観に応じて市販の光沢剤を添加しても良い。この場合は、めっき浴の温度を20〜40℃として電流密度2〜6A/dm2でめっきを行い、必要膜厚を確保する。
【0029】
一方、Snめっき層の形成には、例えば、ホウフッ化第一スズを200g/L,ホウフッ化水素酸を125g/L,ホウ酸を25g/L,ゼラチンを2g/L,ベータナフトールを1g/Lとして脱イオン水に溶解した水溶液をめっき浴とし、浴温20〜25℃、電流密度1〜5A/dm2でめっきを行い、必要膜厚を確保する。このようなホウフッ化浴は古くから一般的であるが、廃水処理のし易さを考慮すると、市販の有機スルフォン酸ベースのSnめっき浴の利用が好ましい。
【0030】
また、Cu-Sn合金めっき層の形成には、前記硫酸ベースのCuめっき用浴に硫酸スズを必要量添加したものが利用できる。この場合、Snイオンの安定性を考慮して、さらにアルキルスルフォン酸、アルカノールスルフォン酸及び芳香族スルフォン酸等の有機スルフォン酸を添加するのが好ましい。また、硫酸スズ及び有機スルフォン酸の添加に代え、有機スルフォン酸Snめっきで用いられる市販のSn塩(有機スルフォン酸スズ)を添加しても良く、むしろその方が簡単である。また、Cu−Sn合金めっきのSn含有量は、めっき浴中のSnイオン濃度を高くすればするほど、また同じSnイオン濃度のめっき浴においては電流密度を高くすればするほど、多くすることができる。
【0031】
以上述べた本発明は、Pbを含有しないグリーンドープに対抗するためPbと同様の金属系固体潤滑材であるSnをCuめっきに導入したものである。従来技術のCuめっきとPb含有ドープとの組み合わせでは、鋼管継手の締め付け取り外しのたび毎に、Pb含有ドープが塗布され、常に潤滑状態が維持できた。そのため、Pbを含有しないドープを用いる本発明では、締め付け取り外しの必要回数までSnめっきを残存させなければ、良好な潤滑状態が維持できない。
【0032】
そこで、前記した第一の本発明では、めっき層の高潤滑性と高強度との両立を一層のCu−Sn合金めっき層で達成するようにした。また、第二の本発明では、下層にCuリッチな、上層にSnリッチなCu−Sn合金を多層にめっきすることで、下層が高強度、上層が高潤滑性を発揮するようにして両立を達成した。さらに、第三の本発明では、第二の本発明が多層めっきのSn含有量が段階的に変化するのに対して、連続的に変化させるようにした。従って、第二の本発明と基本的には同様の発想であり、実際に効果も同様であった。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
図3に示す雄ネジ及びメタル−メタルシール部を一端に設けた外径114.3mm,肉厚8.56mmで長さ1000mmの継目無鋼管からなる油井管を多数本製造した。一方、この油井管1を挿入し、接続するために、内面の両端に図3に示すような雌ネジ及びメタル−メタルシール部を設けたカップリング4も多数製造した。そして、このカップリング4の内面上に前記した手法で本発明に係るめっきを施し、その上にグリーン・ドープを塗った後、表面をグラス・ビーズでブラストした前記油井管1の一端(ピン部2)をねじ込む試験を行った。なお、継目無鋼管及びカップリングは、いずれもCrを13質量%含有する鋼種である。
【0035】
試験は、500〜1500kgmのトルクで、さらに取り外した後、グリーンドープを溶剤洗浄により除去してゴーリングの発生状況を目視観察することにより行った。この作業を10回まで繰り返し、ゴーリングが初めて発生する回数を試験結果とした。
【0036】
(実施例1)
カップリングの内周(雌ねじ及びメタル-メタルシールネジ部)を対象として、Niストライクめっきを1μm施した後,さらにその上層にCu-Sn合金めっきを13μm形成して、前記ゴーリング試験に供した。その結果、10回までゴーリングを起こすことなく、捻じ込み取り外しを行うことができた。なお、同様にめっきした予備のカップリングを切断してCu-Sn合金めっき層を分析したところ、Sn含有量は38質量%であった。
【0037】
(実施例2)
カップリングの内周を対象として、Niストライクめっきを1μm施した後、その上層にCuめっきを10μm、さらにその上層にSnめっきを4μm形成して、前記ゴーリング試験に供した。その結果、8回目でゴーリングが発生した。
【0038】
(実施例3)
カップリングの内周を対象として、Niストライクめっきを1μm施した後,その上層にCuめっきを5μm、その上層にCu-Sn合金めっきを5μm,さらにその上層にSnめっきを4μm形成して、前記ゴーリング試験に供した。その結果、10回までゴーリングを起こすことなく、捻じ込み取り外しを行うことができた。なお、中間層のCu-Sn合金めっきは、そのSn含有量が実施例1と同様となるようにめっき条件を実施例1と同様とした。
【0039】
(実施例4)
カップリングの内周を対象として、Niストライクめっきを1μm施した後,その上層にCuめっきを7μm、その上層にSnめっきを6μm形成し、さらに設定温度220℃の電気炉中で3時間加熱した後、前記ゴーリング試験に供した。その結果、10回までゴーリングを起こすことなく、捻じ込み取り外しを行うことができた。
【0040】
(比較例)
カップリングの内周を対象として、Niストライクめっきを1μm施した後,その上層にCuめっきを12μm形成して、前記ゴーリング試験に供した。その結果、1回でゴーリングが発生した。
【0041】
以上の実施例及び比較例の結果より、本発明に係る油井鋼管用継手は、比較例として示した従来のものに比べて明らかにゴーリングの抑制効果が大きいことがわかる。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る油井鋼管継手は、Pb含有ドープを使用しなくても良いので、環境問題の一つである地盤のPb汚染解決に大きく寄与することができる。同時に、ゴーリング発生を効果的に抑制できるので、高価な高Cr含有鋼管が再利用できるようになり、経済的な効果も多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油井鋼管継手のカップリング表面に形成するめっき層を示す断面図であり、(a)は請求項1の1様態、(b)は請求項2のN=2の場合の様態、(c)は、請求項2のN=3の場合の様態、(d)は、N=nの場合である。
【図2】本発明に係る油井鋼管継手のカップリング表面に形成するめっき層を示す断面図であり、(a)は請求項3を、めっき条件を連続的に変化させることにより作製した場合の様態、(b)は請求項3を、Snめっき及びCuめっきを熱処理して拡散層を形成させることにより作製した場合の様態である。
【図3】本発明の対象とする油井鋼管継手の一例を示す断面図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】図4と別位置の拡大図である。
【符号の説明】
1 油井鋼管(管)
2 ピン部
3 ボックス部
4 カップリング(母材)
5 雌ネジ
6 雄ネジ
7 リップ部
8 荷重面
9 隙間
10 Niストライクめっき
11 Cuめっき
12 Snめっき
13 Sn含有Cu合金めっき
13' Sn含有量が下層から上層に向かって連続的に多くなるような勾配を持たせたCu−Sn合金層
14 ショルダ

Claims (3)

  1. Crを9質量%以上含有する鋼管の一端に雄ネジ及びメタル−メタルシール部を有するピン部と、同材質で、雌ネジ及びメタル−メタルシール部を有するボックス部を両端に設けたカップリングとで形成する油井鋼管用継手において、
    前記カップリングの雌ネジ及びメタル−メタルシール部の表面に、Sn含有量が0〜100質量%のCu−Sn合金層を(Nは2以上)配置し、各Cu−Sn合金層のSn含有量が下記関係を満してなることを特徴とする油井鋼管用継手。
    0≦C 1 <……<C <……<C N ≦100
    ここで、C 1 :最下層のSn含有量、C :第n層のSn含有量、C N :最上層のSn含有量
  2. Crを9質量%以上含有する鋼管の一端に雄ネジ及びメタル−メタルシール部を有するピン部と、同材質で、雌ネジ及びメタル−メタルシール部を有するボックス部を両端に設けたカップリングとで形成する油井鋼管用継手において、
    前記カップリングの雌ネジ及びメタル−メタルシール部の表面に、Sn含有量が下層から上層へ向かって連続的に多くなるような勾配をもたせたCu−Sn合金層を配置してなることを特徴とする油井鋼管用継手。
  3. 前記カップリングの雌ねじ及びメタル−メタルシール部の表面と前記Cu−Sn合金層との間に、さらにNi,Fe,Zn及びCrから選ばれた1種の金属層又はそれら金属の合金層を配置してなることを特徴とする請求項1または2に記載の油井鋼管用継手。
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