JP4680395B2 - 板ガラスの曲げ成形装置および板ガラスの曲げ成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板ガラスを2方向に湾曲した形状に成形することができる板ガラスの曲げ成形装置および板ガラスの曲げ成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のサイドガラスには一方向のみに湾曲した形状を有する板ガラス(以下、「単曲面板ガラス」という)が多く用いられており、その技術として特公昭43−11768号公報(薄板ガラスとそれに接して流れるガスの間で熱の移動を行う方法)(US3332759、US3332760)のようなものが知られている。
【0003】
ところで、自動車のサイドガラスのなかには、デザイン上の要請により一方向に湾曲した形状を有するとともに、一方向に直交した方向にも湾曲した形状を有する板ガラス(以下、「複曲面板ガラス」という)を用いる場合もある。
この複曲面板ガラスを成形する曲げ成形装置として、特開平5−9037号公報(ガラス板の曲げ成形方法およびその装置)(US6014873)が提案されている。以下、同公報の要部を次図に示し、その内容を説明する。ただし、符号は振り直した。
【0004】
図15は従来の板ガラスの曲げ成形装置の概略全体図であり、側断面の状態を示している。
この曲げ成形装置は、加熱炉150内に複数のベッド151・・・(1個のみ図示する)を配置し、これらの炉内ベッド151・・・の上面151a・・・から噴射したエアで板ガラス153を浮上させ、この状態の板ガラス153を、図示しない搬送手段にてベッド151・・・の上面151a・・・に沿って矢印の方向に搬送する。
【0005】
これらのベッド151・・・の上面151a・・・は、加熱炉150の入口から出口150aに向けて徐々に幅方向(すなわち、板ガラス153の搬送方向に直交する方向)に湾曲状に形成されている。よって、板ガラス153が上面151a・・・に沿って矢印の方向に搬送することで、板ガラス153を自重で炉内ベッド151・・・の上面151a・・・に倣わせて徐々に湾曲状に成形して単曲面板ガラス153としている。
【0006】
単曲面板ガラス153が加熱炉150の出口150a近傍に到達すると、板ガラス153は上り勾配に傾けた炉内ベッド155,156に沿って斜め上向きに搬送される。これらの炉内ベッド155,156のそれぞれの上面155a,156aは幅方向に湾曲しており、かつ搬送方向にも湾曲しているので、炉内ベッド155,156に沿って単曲面板ガラス153を搬送することによって、搬送方向にも湾曲した形状の複曲面板ガラス153に成形することができる。
【0007】
この複曲面板ガラス153は加熱炉150の出口150aから搬出されて、冷却用ベッド160(以下、「炉外ベッド160」という)に搬送される。この炉外ベッド160の上面160aから噴射した冷却エアで複曲面板ガラス153を浮かせながら、冷却手段162から冷却エアを吹き付けることにより、複曲面板ガラス153は冷却されている。
【0008】
図16は従来の炉内ベッドの斜視図である。
炉内ベッド156は、上面156aを幅Wの幅方向に湾曲形状に形成し、長さLの搬送方向にも湾曲形状に形成したものである。この炉内ベッド156の上面156aにはエア噴射孔157・・・を備えている。
よって、エア噴射孔157・・・からエアを噴射して複曲面板ガラス153(図15に示す)を上面156aから浮上した状態に保つことにより、単曲面板ガラス153を搬送方向にも湾曲した形状に成形し、複曲面板ガラス153としている。
【0009】
図15に示す炉外ベッド160の上面160aも、炉内ベッド156の上面156aと同様に、幅方向に湾曲した形状で、かつ搬送方向にも湾曲した形状になっている。
なお、複曲面板ガラスを製造する曲げ成形装置として、上記公報以外に、例えば特開平6−191867号公報(曲げ板ガラスの製造装置)(US5522912)が知られている。
【0010】
この特開平6−191867号公報によれば、加熱炉内の最終ベッドは、幅方向に湾曲した形状で、かつ搬送方向に沿った方向には直線状になっている。この最終ベッドを板ガラスの搬送方向に沿って上り勾配とし、加熱炉外の急冷用ベッドを下り勾配とすることにより、最終ベッドから急冷用ベッドに乗り移る際に複曲面板ガラスを製造するようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、先に説明した単曲面板ガラスを製造する製造ラインと、複曲面板ガラスを製造する製造ラインとの2つの製造ラインを備えると設備費が嵩んでしまう。もし、単曲面板ガラスと複曲面板ガラスとの製造装置を兼用することができれば、設備費を抑えることができる。
【0012】
例えば、図15で説明した特開平5−9037号公報の曲げ成形装置において、炉内ベッド155,156を新たなベッド151,151(幅方向のみに湾曲したベッド)と交換し、さらに炉外ベッド160を幅方向のみに湾曲したベッド交換することで、この板ガラスの曲げ成形装置を単曲面板ガラスの製造装置として使用することが可能になる。
【0013】
これにより、図15に示す板ガラスの曲げ成形装置を1台用意しておけば、通常は単曲面板ガラスを製造し、必要に応じて成形装置の一部を交換することにより、複曲面板ガラスを製造することができる。
しかし、単曲面板ガラスの製造工程から複曲面板ガラスの製造工程に切換える際に、単曲面板ガラス用のベッドを複曲面板ガラス用のベッド155,156,160と交換する作業が必要になり、これらのベッドの交換に手間がかかってしまう。
【0014】
また、単曲面板ガラス用のベッドを複曲面板ガラス用のベッド155,156と交換する際には、加熱炉の温度を約700℃(板ガラスの軟化温度)の状態から雰囲気温度まで下げる必要がある。加えて、単曲面ガラス用のベッドを複曲面板ガラス用のベッド155,156と交換した後、加熱炉150内の温度を雰囲気温度から約700℃まで高める必要がある。このため、各々のベッドの交換に時間がかかり生産性を高めることは難しい。
さらに、複曲面板ガラス用のベッド155,156,160と、湾曲用のベッドの2種類のベッドを用意する必要がある。このため、設備費が嵩んでしまう。
【0015】
そこで、本発明の目的は、生産性を高めることができ、さらに設備費を抑えることができる板ガラスの曲げ成形装置および板ガラスの曲げ成形方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
発明者が鋭意研究に努めた結果、単曲面板ガラスの製造装置を適用して、加熱炉の出口近傍の炉内ベッドおよび炉外ベッドを搬送方向に山形に配置することで、単曲面板ガラスを搬送方向に湾曲にできることが判明した。
これらの観点から炉内・外のベッドを山形に配置する手段の開発を検討した結果、炉内・外のベッドを昇降する手段を採用することで、単曲面板ガラスの製造装置を複曲面板ガラスの製造に適用できるとの見通しを得た。
【0017】
すなわち請求項1は、板ガラスを略軟化温度まで加熱する加熱炉を備え、この加熱炉内に炉内ベッドを複数個備え、それぞれの炉内ベッドの上面を湾曲形状にするとともに湾曲形状の曲率を加熱炉の出口側に向けて徐々に大きくし、かつ上面の稜線部を加熱炉の入口から出口に向けて直線に延ばし、それぞれの炉内ベッドの上面から噴射した加熱エアで板ガラスを浮かせ、この板ガラスを炉内ベッドに沿って加熱炉の出口に向けて搬送することにより、ベッドの上面に倣わせて板ガラスを徐々に湾曲に成形し、この板ガラスを加熱炉の出口から搬出して炉外ベッドに移載し、この炉外ベッドの上面から噴射した冷却エアで板ガラスを浮かせながら冷却する板ガラスの曲げ成形装置において、前記炉内ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉内ベッドを上り勾配にするとともに、前記炉外ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉外ベッドを下り勾配にすることにより、炉内・外のベッドを山形に配置する昇降機構を備えたことを特徴とする。
【0018】
昇降機構を操作することで、炉内ベッドの上り勾配および炉外ベッドの下り勾配の傾きを調整することができる、このため、炉内ベッドおよび炉外ベッドを簡単な作業で山形に配置して、複曲面板ガラスを成形することができる。
また、曲げ成形装置は、昇降機構を操作することで炉内ベッドを水平に戻すとともに炉外ベッドを水平に戻すことで、単曲面板ガラスを成形するという装置本体の機能を発揮させることもできる。
【0019】
従って、ベッドを交換することなく、炉内ベッドに上り勾配をつけ、炉外ベッドに下り勾配をつけるだけの簡単な作業で、複曲面板ガラスや単曲面板ガラスの両方を同じ装置で製造することができる。
加えて、単曲面板ガラス用のベッドを複曲面板ガラス用のベッドにも適用することができる。
このため、単曲面板ガラスの製造工程と、複曲面板ガラスの製造工程との切換え作業を簡単に行うことができる。
【0020】
請求項2は、炉内ベッドおよび炉外ベッドの少なくとも一方を搬送方向にスライドするためのスライド機構が備えられたことを特徴とする。
スライド機構を備えることで、炉内ベッドおよび炉外ベッドの少なくとも一方をそれぞれのベッドが互いに近づく方向にスライドさせることができる。よって、炉内ベッドを上り勾配とし、かつ炉外ベッドを下り勾配とした際に、炉内ベッドの下流側端と炉外ベッドの上流側端との間の間隙を小さくすることができる。このため、板ガラスを炉内ベッドから炉外ベッドへ円滑に搬送することができる。
【0021】
請求項3において、炉内ベッドは、板ガラス搬送方向の下流側の端面を湾曲に形成し、かつ前記炉外ベッドは、板ガラス搬送方向の上流側の端面を湾曲に形成したことを特徴とする。
よって、炉内ベッドを上り勾配にするとともに炉外ベッドを下り勾配にした際に、炉内ベッドの下流側の端面と、炉該外ベッドの上流側の端面とを近づけることができる。このため、炉内ベッドの下流側の端面と炉外ベッドの上流側の端面との間の間隙を小さくすることができる。
【0022】
請求項4は、炉内ベッドの下流側の端面の下角部、および前記炉外ベッドの上流側の端面の下角部の少なくとも一方を面取りしたことを特徴とする。
よって、炉内ベッドを上り勾配にするとともに炉外ベッドを下り勾配にした際に、炉内ベッドの下流側の端面と、炉該外ベッドの上流側の端面とを近づけることができる。このため、炉内ベッドの下流側の端面と炉外ベッドの上流側の端面との間の間隙を小さくすることができる。
【0023】
請求項5は、炉内ベッドおよび炉外ベッドの間の間隙に板ガラスを案内するための案内ローラを備えたことを特徴とする。
よって、炉内ベッドの出口端から搬出した板ガラスを案内ローラで円滑に案内して炉外ベッドに搬送することができる。このため、板ガラスを円滑に搬送することができる。
【0024】
請求項6は、案内ローラを板ガラスの形状に合せて湾曲状に形成したことを特徴とする。
よって、板ガラスをベッドの幅方向全域に渡って案内ローラで支えることができる。このため、板ガラスをより円滑に炉外ベッドに案内することができる。
【0025】
請求項7は、炉内ベッドおよび炉外ベッドの間の間隙に板ガラスを案内するためのエア噴射ノズルを備えたことを特徴とする。
よって、炉内・外のベッドを山形に配置することで浮上げ力が不足しがちになるが、エア噴射ノズルで不足した浮上げ力を補うことができる。このため、炉内・外のベッドに沿って板ガラスを円滑に搬送することができる。
【0026】
請求項8は、加熱炉内で板ガラスを軟化温度まで加熱するとともに、加熱炉内の炉内ベッドの上面から噴射した加熱エアで板ガラスを浮かせ、浮上させた板ガラスを炉内ベッドに沿って加熱炉の出口に向けて搬送することにより、ベッドの上面に倣わせて板ガラスを幅方向に徐々に湾曲した形状とし、この板ガラスを加熱炉の出口から搬出して炉外ベッドに移載し、この炉外ベッドの上面から噴射した冷却エアで板ガラスを浮かせながら冷却する板ガラスの曲げ成形方法において、前記炉内ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉内ベッドに上り勾配をつけ、前記炉外ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉外ベッドに下り勾配をつけることにより、炉内ベッドおよび炉外ベッドを山形に配置し、前記幅方向に湾曲した板ガラスを、山形に配置したベッドに沿って搬送することにより搬送方向に湾曲に成形する際に、前記上り勾配の炉内ベッドのベッド長さL1、前記下り勾配の炉外ベッドのベッド長さL2、炉内・外のベッドのベッド勾配高さH、および板ガラスの搬送方向のガラス長さGから、ベッド勾配高さHとみかけのベッド曲率半径Rとの関係を求め、このみかけのベッド曲率半径Rと、湾曲に成形された板ガラス曲率半径Cとの関係を予め求め、この関係から、所望の板ガラス曲率半径Cを得るように、炉内・外のベッドの勾配高さHを決めることを特徴とする。
【0027】
加熱炉の出口側の近傍の炉内ベッドに上り勾配をつけ、加熱炉の出口側の近傍の炉外ベッドに下り勾配をつけることで、炉内ベッドおよび炉外ベッドを山形に配置した。このように、山形に配置した炉内ベッドから炉外ベッドへ板ガラスを搬送すると、板ガラスを搬送方向に湾曲させた複曲面板ガラスを得ることができる。
【0028】
加えて、ベッド勾配高さH、みかけのベッド曲率半径R、板ガラス曲率半径Cとの関係を予め求め、これらの関係から、板ガラス曲率半径Cに対応させてベッド勾配高さHを簡単に決めることができる。
これに対して、上記関係が明らかでない場合には、ベッド勾配高さHを調節しながら、板ガラスを実際に湾曲に成形して、その板ガラスが所望の曲率半径Cを満足しているか否かを確認する必要がある。このため、ベッド勾配高さHを決めるための時間が長くかかる虞れがある。
【0029】
請求項9において、前記板ガラス曲率半径Cの逆数である曲率(1/C)は、
【数1】
0<(1/C)<1×10-4mm-1
の範囲であることを特徴とする。
【0030】
(1/C)=0になると板ガラス曲率半径Cは∞になり、板ガラスは搬送方向に直線状の単曲面板ガラスとなる。このため、0<(1/C)として複曲面板ガラスの適用範囲とした。
一方、(1/C)≧1×10-4mm-1になると板ガラス曲率半径Cは1×104mm以下になる。よって、ベッド勾配が急になり過ぎて板ガラスを円滑に搬送することが難しくなる。また、山形のベッドに板ガラスが干渉して板ガラスの下面に傷がつく虞れがある。さらに、板ガラスを搬送方向になめらかに曲げ成形することが困難になることがある。このため、ベッドの昇降を(1/C)<1×10-4mm-1に抑えた。従って、複曲面板ガラスの下面に傷が付くことを防ぐことができる。
【0031】
請求項10は、みかけのベッド曲率半径Rと板ガラス曲率半径Cとの関係が、
【数2】
R=0.43×C+12.8×103
であることを特徴とする。
よって上式の関係から、板ガラス曲率半径Cに対応するみかけのベッド曲率半径Rを簡単に求めることができる。
【0032】
請求項11は、炉外ベッドにおける板ガラスの冷却を風冷強化としたことを特徴とする。
よって、複曲面板ガラスを曲げ成形するとともに、複曲面板ガラスを強化することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置の斜視図である。
板ガラスの曲げ成形装置10は、板ガラス18を略軟化温度まで加熱する加熱炉11を備え、この加熱炉11内に入口から出口に向けて複数の炉内ベッド12・・・(一個のみを図示する)を備え、これら炉内ベッド12の後端につづいて加熱炉11の出口11a側に炉内ベッド15を備える。
【0034】
また、板ガラスの曲げ成形装置10は、炉内ベッド12・・・,15の上面13・・・,16を湾曲形状にするとともに湾曲形状の曲率を加熱炉11の出口側11aに向けて徐々に大きくした。
よって、それぞれの炉内ベッド12・・・,15の上面13・・・,16から噴射した加熱エアで板ガラス18を浮かせ、この板ガラス18を炉内ベッド12・・・,15に沿って加熱炉11の出口11aに向けて搬送することにより、炉内ベッド12・・・,15の上面13・・・,16に倣わせて板ガラス18を徐々に湾曲に成形して単曲面板ガラス18aとすることができる。
【0035】
さらに、板ガラスの曲げ成形装置10は、加熱炉11の出口11aに冷却用ベッド(以下、「炉外ベッド」という)20を備える。よって、単曲面板ガラス18aを加熱炉11の出口11aから搬出して炉外ベッド20に移載することにより、単曲面板ガラス18aを搬送方向に湾曲に成形して複曲面板ガラス18bとし、この複曲面板ガラス18bを炉外ベッド20の上面21から噴射した冷却エア(矢印で示す)で浮上させながら冷却することができる。
【0036】
なお、炉内ベッド12・・・の上面13・・・、炉内ベッド15の上面16および炉外ベッド20の上面21から浮上した板ガラスは、図示しない搬送機構でそれぞれのベッド12・・・,15,20に沿って搬送方向に搬送される。
【0037】
加えて、板ガラスの曲げ成形装置10は、炉内ベッド12・・・,15のうち加熱炉11の出口11a側の近傍の少なくとも1個の炉内ベッド15の下流側端15aを上昇させるとともに、炉外ベッド20のうち加熱炉11の出口11a側の近傍の少なくとも1個の炉外ベッド20の上流側端20aを上昇させることにより、炉内・外のベッド15,20を山形に配置する昇降機構30を備える。
【0038】
ここで、炉内ベッド15の上面16および炉内ベッド12・・・の上面13・・・について詳しく説明する。
炉内ベッド15は、上面16が幅方向に湾曲に形成されることで、上面16の中央が稜線状に形成され、この稜線部16aが直線状に延ばされた形状とし、この上面16の全域に板ガラス18を浮上させる為の加熱エア噴射孔17・・・が備えられている。
【0039】
また、炉内ベッド12・・・は、加熱炉11の入口近傍において上面13が平坦に形成され、加熱炉11の出口側に近づくにつれて上面13・・・の湾曲形状の曲率が徐々に大きくなるように形成されている。
このように、上面13・・・が湾曲に形成されることで、上面13・・・の中央に上面13の中央が稜線状に形成され、この稜線部13aが搬送方向に直線状に延ばされた形状とし、この上面13・・・の全域に板ガラス18を浮上させる為の加熱エア噴射孔14・・・が備えられている。
なお、図1に示す出口側近傍の炉内ベッド12は、炉内ベッド15の上面16と同じ上面構造であってもよい。
【0040】
炉外ベッド20は、上面21を炉内ベッド15の上面16と同様に形成したものであり、上面21に板ガラス18を浮上させる為の冷却エア噴射孔22・・・を有し、上面21が幅方向に湾曲で、上面21中央の稜線部21aは直線状であり、加熱炉11の出口11a近傍に配置したものである。
【0041】
このように、炉内ベッド15および炉外ベッド20のそれぞれの上面16,21を幅方向に湾曲に成形するとともに、それぞれの稜線部16a,21aを直線状とした。よって、単曲面板ガラス18aを製造するための湾曲成形用ベッドを、複曲面板ガラス18bを製造するための複曲面板ガラス用ベッドに適用させることができる。
【0042】
すなわち、昇降機構30で炉内ベッド15の下流側端15aおよび炉外ベッド20の上流側端20aを上昇させて、炉内ベッド15および炉外ベッド20を搬送方向に山形に配置することで複曲面板ガラス18bの成形が可能になる。
また、炉内ベッド15および炉外ベッド20を平坦に戻して単曲面板ガラス18aを成形成形するためには、昇降機構30で炉内ベッド15の下流側端15aおよび炉外ベッド20の上流側端20aを下降させればよい。
【0043】
昇降機構30は、炉内ベッド15の下流側端15aおよび上流側端15bを昇降する第1昇降機構31と、炉外ベッド20の上流側端20aおよび下流側端20bを昇降する第2昇降機構32からなる。
なお、第1昇降機構31は第2昇降機構32と同じ構成なので、以下第1、第2昇降機構31,32の構成部材に同一符号を付し、第2昇降機構32についてのみ説明して第1昇降機構31の説明は省略する。
【0044】
図2は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置の分解斜視図であり、炉外ベッド20および第2昇降機構32を示す。
第2昇降機構32は、炉外ベッド20の上流側端20aおよび下流側端20bをそれぞれ昇降するジャッキユニット33と、このジャッキユニット33および炉外ベッド20間に備えたスライド機構60とからなる。
【0045】
ジャッキユニット33は、一対の前ジャッキ34,34および一対の後ジャッキ44,44を各々架台25,25に取付け、一対の前ジャッキ34,34を前駆動ロッド35でつなぎ、前駆動ロッド35の端部に前操作ハンドル36を取付け、一対の後ジャッキ44,44を後駆動ロッド45でつなぎ、後駆動ロッド45の端部に後操作ハンドル46を取付け、一対の前昇降ロッド37,37のそれぞれの頂部および一対の後昇降ロッド47,47の頂部にそれぞれ前後の連結部40,50を介してテーブル52を取付けたものである。
【0046】
前連結部40は、一対の前昇降ロッド37,37の頂部にそれぞれピン40a,40aを介して前ブラケット41,41を取付け、一対の前ブラケット41,41にそれぞれガイド42,42を取付け、一対のガイド42,42にスライド自在に配置したそれぞれのレール43,43をテーブル52の入口端52aに取付けたものである。
【0047】
後連結部50は、一対の後昇降ロッド47,47の頂部にそれぞれピン50a,50aを介して後ブラケット51,51を取付け、一対の後ブラケット51,51をテーブル52の出口端52bに取付けたものである。
【0048】
このジャッキユニット33によれば、前操作ハンドル36で前駆動ロッド35を時計回り方向又は反時計回り方向に回転する(以下、「操作する」という)ことにより、一対の前昇降ロッド37,37を同時に昇降させてテーブル52の入口端52a側を昇降させることができ、後操作ハンドル46で後駆動ロッド45を操作することにより、一対の後昇降ロッド47,47を同時に昇降させてテーブル52の出口端52b側を昇降させることができる。
なお、前連結部40にガイド42,42およびレール43,43を備えることで、テーブル52を傾斜させることにより生じるテーブル52のずれを吸収することができる。
【0049】
テーブル52は、左右のフレーム53,54の入口端を入口側フレーム55で連結し、左右のフレーム53,54の出口端を出口側フレーム56で連結することにより矩形状に形成したものであり、左右のフレーム53,54にスライド機構60の回転シャフト61を支えるための貫通孔53a,54aを開けたものである。
【0050】
スライド機構60は、回転シャフト61の左右端にそれぞれピニオン62,62を設け、この回転シャフト61の左右端を左右のフレーム53,54の貫通孔53a,54aに回転自在に差込み、回転シャフト61の端部に形成したスプライン61aを減速機63に組付け、減速機63の駆動軸64に操作ハンドル65を取付け、左右のピニオン62,62にそれぞれラック66,66を噛み合わせ、ラック66,66を案内ガイド67,67を介して炉外ベッド20に取付け、案内ガイド67,67を左右のフレーム53,54のレール(図示しない)にスライド自在に取付けたものである。
【0051】
このスライド機構60によれば、操作ハンドル65を操作することにより、回転シャフト61と一体に左右のピニオン62,62を回転し、左右のピニオン62,62の回転で左右のラック66,66を水平方向に移動し、左右のラック66,66を水平方向に移動することでそれぞれの案内ガイド67,67を介して炉外ベッド20を水平方向に移動することができる。
【0052】
これにより、炉内ベッド15の下流側端15aと炉外ベッド20の上流側端20aとの間隙を小さくすることができる。よって、板ガラス18を炉内ベッド15から炉外ベッド20へ円滑に搬送することができる。
【0053】
次に、板ガラスの曲げ成形装置10を使用した板ガラスの曲げ成形方法について図3〜図5に基づいて説明する。
図3(a),(b)は本発明に係る板ガラスの曲げ成形方法の第1説明図である。
(a)において、第1、第2昇降機構31,32(図1に示す)を操作して炉内ベッド15および炉外ベッド20を平坦にセットした状態で、板ガラス18を湾曲に成形する。すなわち、炉内ベッド12の上面13から噴射した加熱エア(矢印で示す)で板ガラス18を浮上させ、この状態で板ガラス18を炉内ベッド12に沿って搬送する。
この状態で、板ガラス18を加熱炉11内で軟化温度まで加熱する。これにより、板ガラス18を自重で炉内ベッド15の上面16に倣わせて単曲面板ガラス18aを成形する。
【0054】
単曲面板ガラス18aを加熱炉11から搬出して、炉外ベッド20に搬送する。炉外ベッド20の上面21から噴射した冷却エアで単曲面板ガラス18aを浮上させるとともに、冷却手段70から矢印の如く単曲面板ガラス18aの上面に冷却エアを吹き付けることにより単曲面板ガラス18aを強制的に風冷強化する。この単曲面板ガラス18aを搬送テーブル72で搬送しながら自然冷却する。
単曲面板ガラス18aを風冷強化することで、単曲面板ガラス18aを曲げ形成するとともに強化することができる。
【0055】
(b)において、第1昇降機構31の後操作ハンドル46(図1に示す)を操作することにより、炉内ベッド15の下流側端15aを矢印Aの如く上昇する。併せて、第1昇降機構31の前操作ハンドル36を操作することにより、炉内ベッド15の上流側端15bの高さを炉内ベッド12のレベルに合せる。
【0056】
次に、第2昇降機構32の前操作ハンドル36(図1に示す)を操作することにより、炉外ベッド20の上流側端20aを矢印Bの如く上昇させ、上流側端20aのレベルを炉内ベッド15の下流側端15aに合せる。
併せて、第2昇降機構32の後操作ハンドル46を操作することにより、炉外ベッド20の下流側端20bの高さを搬送テーブル72のレベルに合せる。
【0057】
炉内ベッド15や炉外ベッド20の高さ調整が完了した後、次いで、冷却手段70の加熱炉11側を矢印Cの如く上昇する。
なお、冷却手段70の高さを、単曲面板ガラスの製造工程と複曲面板ガラスの製造工程に適用するように設定することで、冷却手段70の上昇作業を省くことができる。
【0058】
図4(a),(b)は本発明に係る板ガラスの曲げ成形方法の第2説明図である。
(a)において、炉内・外のベッド15,20が山形に折れ曲がった状態になり、炉内ベッド15と炉外ベッド20との間の間隙がS1と比較的大きく開くことになる。また、冷却手段70は炉外ベッド20に沿って傾斜させるとよい。
【0059】
この状態で、第1昇降機構31の操作ハンドル65(図1に示す)を操作することにより、炉内ベッド15を矢印Dの如くスライドさせる。
また、第2昇降機構32の操作ハンドル65(図1に示す)を操作することにより、炉外ベッド20を矢印Eの如くスライドさせる。
【0060】
(b)において、炉内ベッド15および炉外ベッド20をスライドさせることにより、炉内ベッド15と炉外の炉内ベッド12との間の間隙をS2と小さくすることができる。
【0061】
図5は本発明に係る板ガラスの曲げ成形方法の第3説明図である。
炉内ベッド12の上面13から噴射した加熱エア(矢印で示す)で板ガラス18を浮上させ、この状態で板ガラス18を炉内ベッド12に沿って搬送する。この状態で、板ガラス18を加熱炉11内で軟化温度まで加熱する。これにより、板ガラス18を自重で炉内ベッド12の上面13に倣わせて単曲面板ガラス18aを成形する。
【0062】
この単曲面板ガラス18aを炉内ベッド15の下流側端15aから炉外ベッド20に搬送する。ここで、炉内ベッド15および炉外ベッド20は山形を形成しているので、単曲面板ガラス18aを炉内ベッド15から炉外ベッド20に搬送することにより、単曲面板ガラス18aを自重で搬送方向に湾曲に成形することができる。このように、板ガラス18を幅方向および搬送方向に湾曲に成形して複曲面板ガラス18bを得る。
【0063】
この複曲面板ガラス18bを炉外ベッド20に搬送する。
ここで、炉内ベッド15および炉外ベッド20をスライドすることで、炉内ベッド15の下流側端15aと炉外ベッド20の上流側端20aとの間隙を小さくすることができる。よって、複曲面板ガラス18bを炉内ベッド15から炉外ベッド20へ円滑に搬送することができるので、複曲面板ガラス18bの下面に傷が発生することを防ぐことができる。
【0064】
炉外ベッド20に流れた複曲面板ガラス18bを、炉外ベッド20の上面21から噴射した冷却エア(矢印で示す)で浮上させるとともに、浮上させた複曲面板ガラス18bの上面に冷却手段70から矢印の如く冷却エアを吹き付ける。これにより、複曲面板ガラス18bを強制的に風冷強化し、冷却した複曲面板ガラス18bを搬送テーブル72で搬送しながら自然冷却する。
複曲面板ガラス18bを風冷強化することで、複曲面板ガラス18bを曲げ成形するとともに強化することができる。
【0065】
図3〜図5において説明したように板ガラスの曲げ成形方法によれば、炉内ベッド15および炉外ベッド20のそれぞれの上面16,21を幅方向に湾曲させるとともに、それぞれの稜線部16a,21aを直線状とした。このため、炉内ベッド15および炉外ベッド20を水平に配置することで、板ガラス18から単曲面板ガラス18aを製造することができる。
【0066】
加えて、炉内ベッド15の下流側端15aを所定高さ上昇させ、炉外ベッド20の上流側端20aを所定高さ上昇させることで、板ガラス18から複曲面板ガラス18bを製造することができる。
従って、炉内ベッド15の下流側端15aおよび炉外ベッド20の上流側端20aの高さを調整するだけの簡単な作業で、単曲面板ガラス18aと複曲面板ガラス18bとの2種類の板ガラスを造り分けることができる。
【0067】
以下、複曲面板ガラスの搬送方向の曲率半径について図6〜図9に基づいて説明する。
図6は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置の概略図であり、各構成部材の寸法を示す。なお、板ガラス曲率半径Cは複曲面板ガラス18bの搬送方向の湾曲半径を示す。
板ガラス曲率半径Cは、みかけのベッド曲率半径Rにより決まり、みかけのベッド曲率半径Rは、ベッド15,20のそれぞれの長さL1,L2(以下、「ベッド長さL1,L2」という)、ベッド15,20の勾配高さH(以下、「ベッド勾配高さH」という)、板ガラス18の長さG(以下、「ガラス長さG」という)により決まる。以下、これらの関係を以下のグラフで説明する。
【0068】
なお、実施の形態では、L1=L2とし設定した例について説明するので、理解を容易にするために、以下、ベッド長さL1,L2をベッド長さLとして説明する。
また、実施の形態では、炉内ベッド15および炉外ベッド20をそれぞれ1個づつ傾斜させて、山形に配置した例について説明するが、複数個の炉内ベッド15および複数個の炉外ベッド20を傾斜させて山形に配置することも可能である。その際は、複数のベッドの全長がベッド長さLとなる。
ここで、ガラス長さGおよびベッド長さLは、G<Lの関係が成り立つようにしておくとよい。
【0069】
図7は本発明に係るみかけのベッド曲率半径Rとベッド勾配高さHとの関係を示すグラフであり、ベッド長さLが750mmのベッド15,20を使用した場合のグラフである。
縦軸はみかけのベッド曲率半径R(mm)を示し、横軸はベッド勾配高さH(mm)を示す。実線は板ガラスの長さが300mm、破線は板ガラスの長さが500mm、2点鎖線は板ガラスの長さが750mmを示す。
【0070】
例えば、ベッド勾配高さHが5mmに設定したときの、みかけのベッド曲率半径Rは、
板ガラスの長さがG=300mmでは、R=12×103mmであり、
板ガラスの長さがG=500mmでは、R=18×103mmであり、
板ガラスの長さがG=750mmでは、R=26×103mmである。
すなわち、ガラス長さGが大きい程、みかけのベッド曲率半径Rは大きくなり、複曲面板ガラス18bの湾曲形状の曲率は小さくなる。
【0071】
また、ガラス長さGが750mmの板ガラスにおいて、ベッド勾配高さHが10mmのとき、みかけのベッド曲率半径Rは15×103mmになり、ベッド勾配高さHが5mmのとき、みかけのベッド曲率半径Rは26×103mmになる。
すなわち、ベッド勾配高さHが高くなる程、みかけのベッド曲率半径Rは小さくなり、複曲面板ガラス18bの湾曲形状の曲率は大きくなる。
【0072】
図8は本発明に係るみかけのベッド曲率半径Rとベッド勾配高さHとの関係を示すグラフであり、ベッド長さLが1000mmのベッド15,20を使用した場合のグラフである。
縦軸はみかけのベッド曲率半径R(mm)を示し、横軸はベッド勾配高さH(mm)を示す。実線は板ガラスの長さが300mm、破線は板ガラスの長さが500mm、2点鎖線は板ガラスの長さが700mm、1点鎖線は板ガラスの長さが1000mmを示す。
【0073】
例えば、ベッド勾配高さHが5mmに設定したときの、みかけのベッド曲率半径Rは、
板ガラスの長さがG=300mmでは、R=15×103mmであり、
板ガラスの長さがG=500mmでは、R=25×103mmであり、
板ガラスの長さがG=700mmでは、R=35×103mmであり、
板ガラスの長さがG=1000mmでは、R=48×103mmである。
すなわち、図7と同様に、ガラス長さGが大きくなる程、みかけのベッド曲率半径Rは大きくなり、複曲面板ガラス18bの湾曲形状の曲率は小さくなる。
【0074】
ここで、ベッド傾斜長さLが750mm(図7のグラフ)の場合と、ベッド傾斜長さLが1000mm(図8のグラフ)の場合における、みかけのベッド曲率半径Rを、一例としてベッド勾配高さHが5mmの状態で比較する。
板ガラスの長さがG=300mmにおいて、ベッド傾斜長さL=750mmのとき、みかけのベッド曲率半径RはR=12×103mmになる。一方、ベッド傾斜長さL=1000mmのとき、みかけのベッド曲率半径RはR=15×103mmになる。
【0075】
また、板ガラスの長さがG=500mmにおいて、ベッド傾斜長さL=750mmのとき、みかけのベッド曲率半径RはR=18×103mmになる。一方、ベッド傾斜長さL=1000mmのとき、みかけのベッド曲率半径RはR=25×103mmとなる。
これにより、ベッド勾配高さHが同じでも、ベッド傾斜長さLが短い程、みかけのベッド曲率半径Rは小さくなり、複曲面板ガラス18bの湾曲形状の曲率は大きくなる。
【0076】
加えて、図8のグラフによれば、板ガラス長さGが700mmの板ガラスにおいて、ベッド勾配高さHが10mmのとき、みかけのベッド曲率半径Rは15×103mmになり、ベッド勾配高さHが5mmのとき、みかけのベッド曲率半径Rは26×103mmになる。
すなわち、ベッド勾配高さHが高くなる程、みかけのベッド曲率半径Rは小さくなり、複曲面板ガラス18bの湾曲形状の曲率は大きくなる。
【0077】
このように、図7および図8のグラフから、みかけのベッド曲率半径Rは、ベッド15,20のベッド長さL、ベッド15,20のベッド勾配高さH、板ガラスの長さGにより決まることが判る。
なお、炉内・外のベッド15,20のベッド長さを、双方ともLとした例について説明したが、炉内・外のベッド15,20の長さを異ならせることも可能である。
【0078】
図9は本発明に係るみかけのベッド曲率半径Rと板ガラス曲率半径Cとの関係を示すグラフである。縦軸はみかけのベッド曲率半径R(mm)を示し、横軸は板ガラス曲率半径C(mm)を示す。
このグラフは、(数2)の関係が成立する。
【数2】
R=0.43×C+12.8×103
但し、単位はmmである。
【0079】
従って、例えば板ガラス曲率半径Cが100×103mmの複曲面板ガラスを製造するためには、みかけのベッド曲率半径RをR=55.8×103mmと設定すればよい。
また、板ガラス曲率半径Cが200×103mmの複曲面板ガラスを製造するためには、みかけのベッド曲率半径RをR=98.8×103mmと設定すればよい。
【0080】
このように、みかけのベッド曲率半径Rを調整することにより板ガラス曲率半径Cを決めることができる。従って、みかけのベッド曲率半径Rを調整することで、複曲面板ガラス18bの搬送方向の湾曲曲げを好適に調整することができることが判る。
加えて、(数2)の関係を予め求めておくことにより、板ガラス曲率半径Cに対応するみかけのベッド曲率半径Rを手間をかけないでより簡単に求めることができる。
【0081】
なお、(数2)の関係、すなわち、R=0.43×C+12.8×103[単位:mm]の関係は、板ガラス曲率半径Cの範囲が、10×103mm<C<∞において成立する。
なお、板ガラス曲率半径Cの逆数(1/C)は板ガラスの曲率を示し、曲率(1/C)は、
【数1】
0<(1/C)<1×10-4mm-1
となる。
【0082】
0<(1/C)とした理由は、(1/C)=0になると板ガラス曲率半径Cは∞になり、板ガラスは搬送方向に直線状の単曲面板ガラスとなる。このため、0<(1/C)として複曲面板ガラスの適用範囲とした。
【0083】
一方、(1/C)<1×10-4mm-1とした理由は、(1/C)≧1×10-4mm-1になると板ガラス曲率半径Cは1×104mm以下になる。よって、ベッド勾配が急になり過ぎて板ガラスを円滑に搬送することが難しくなる。また、山形のベッドに板ガラスが干渉して板ガラスの下面に傷がつく虞れがある。さらに、板ガラスを搬送方向になめらかに曲げ成形することが困難になることがある。このため、ベッドの昇降を(1/C)<1×10-4mm-1に抑えた。
【0084】
図7〜図9で説明したように、炉内・外のベッド15,20のベッド勾配高さHとみかけのベッド曲率半径Rとの関係を求め、さらにみかけのベッド曲率半径Rと板ガラス曲率半径Cとの関係を予め求めることにより、所望の板ガラス曲率半径Cを得るように、炉内・外のベッド15,20の勾配高さHを決めることができる。
このため、板ガラス曲率半径Cに対応させて、炉内・外のベッド15,20の勾配高さHを簡単に決めることができる。従って、所望の板ガラス曲率半径Cを手間をかけないで簡単に得ることができる。
【0085】
なお、図9はグラフでは、板ガラス曲率半径Cを10×103mm〜300×103mmの範囲で図示したが、本発明の方法および装置においては、炉内ベッドの上り勾配や炉外ベッドの下り勾配のそれぞれの傾斜を調整するだけで、板ガラス搬送方向の曲率半径Cが10×103mm〜∞(無限大)mmまでの複曲面板ガラスを製造することが可能である。なお、∞は単曲面板ガラスである。
【0086】
次に、第2実施形態〜第5実施形態を図10〜図14に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一部材については同じ符号を付して説明を省略する。
図10(a)〜(b)は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第2実施形態)を説明する図であり、(a)は炉内・外のベッド81,85を水平に配置した状態の平面図、(b)は炉内・外のベッド81,85を山形に配置した状態の側面図である。
【0087】
板ガラスの曲げ成形装置80は、炉内ベッド81の下流側の端面82と炉外ベッド85の上流側の端面86とを対向させ、炉内ベッド81の下流側の端面82を湾曲に形成するとともに((a)参照)、下流側の端面82の下角部を面取り(すなわち、欠落させること)し、かつ炉外ベッド85の上流側の端面86を湾曲に形成するとともに上流側の端面86の下角部を面取り(すなわち、欠落させること)したもので、その他の構成は第1実施形態の板ガラスの曲げ成形装置10と同じ構成である。
【0088】
炉内ベッド81の下流側の端面82の下角部を面取りすることで、下流側の端面82を上面84に対して鋭角θにすることができる。また、炉外ベッド85の上流側の端面86の下角部を面取りすることで、上流側の端面86を上面88に対して鋭角θにすることができる。
【0089】
これにより、(b)に示すように、炉内ベッド81の下流側の端面82を上昇するとともに、炉外ベッド85の上流側の端面86を上昇させた際に、炉内ベッド81の下流側の端面82と炉外ベッド85の上流側の端面86との干渉を避けることができる。よって、炉内ベッド81の下流側の端面82と炉外ベッド85の上流側の端面86との間の間隙をS3と小さくすることができる。
このため、複曲面板ガラス18bを炉内ベッド81から炉外ベッド85にさらに円滑に搬送することができるので、複曲面板ガラス18bの下面に傷がつくことをより確実に防ぐことができる。
【0090】
図11は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第3実施形態)の側面図である。
板ガラスの曲げ成形装置90は、炉内ベッド15および炉外ベッド20の間の間隙に複曲面板ガラス18bを案内するための案内ローラ91を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の板ガラスの曲げ成形装置10と同じ構成である。
【0091】
これにより、炉内ベッド15の出口端から搬出した複曲面板ガラス18bを案内ローラ91で円滑に案内して炉外ベッド20に搬送することができるので、複曲面板ガラス18bの下面に傷がつくことを確実に防ぐことができる。
【0092】
なお、案内ローラ91は、昇降手段(図示しない)で炉内ベッド15および炉外ベッド20の昇降状態に合せて昇降可能に構成したものである。
さらに、案内ローラ91を着脱自在に構成して、炉内ベッド15および炉外ベッド20を水平に配置した際に、案内ローラ91を取り外し可能に構成することも可能である。
また、この案内ローラ91は、複曲面板ガラス18bが冷却されることを防ぐために、加熱されていてもよい。
【0093】
図12は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第4実施形態)の側面図である。板ガラスの曲げ成形装置95は、炉内ベッド15および炉外ベッド20の間の間隙に複曲面板ガラス18bを案内するためのエア噴射ノズル96を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の板ガラスの曲げ成形装置10と同じ構成である。
【0094】
ここで、炉内・外のベッド15,20を山形に配置することで浮上げ力が不足しがちになることが考えられる。そこで、エア噴射ノズル96からエアを吹出すことにより、不足した浮上げ力を補うようにした。よって、炉内ベッド15の出口端から搬出した複曲面板ガラス18bを、エア噴射ノズル96から吹出したエアで円滑に案内して炉外ベッド20に搬送することができる。このため、複曲面板ガラス18bの下面に傷がつくことを確実に防ぐことができる。
【0095】
エア噴射ノズル96は、必要に応じて加熱エア、冷却エアに適宜選択することができる。
なお、エア噴射ノズル96は、昇降手段(図示しない)で炉内ベッド15および炉外ベッド20の昇降状態に合せて昇降可能に構成したものである。
【0096】
図13は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第5実施形態)の側面図である。
板ガラスの曲げ成形装置100は、炉内ベッド101を5個の炉内ベッド単体102・・・に分割し、それぞれの炉内ベッド単体102・・・の入口端102a・・・および出口端102b・・・を炉内昇降機構(図示しない)で昇降可能に構成することで炉内ベッド単体102・・・を上り勾配とし、炉外ベッド104を5個の炉外ベッド単体105・・・に分割し、それぞれの炉外ベッド単体105・・・の入口端105a・・・および出口端105b・・・を炉外昇降機構(図示しない)で昇降可能に構成することで下り勾配としたもので、その他の構成は第1実施形態の板ガラスの曲げ成形装置10と同じ構成である。
【0097】
炉内ベッド101を5個の炉内ベッド単体102・・・に分割したので、炉内ベッド101の上り勾配をよりなだらかに設定することができる。
加えて、炉外ベッド104を5個の炉外ベッド単体105・・・に分割したので、炉外ベッド104の下がり勾配をよりなだらかに設定することができる。
このため、複曲面板ガラス18bをより円滑に搬送することができるので、複曲面板ガラス18bの下面に傷がつくことを確実に防ぐことができる。
【0098】
炉内ベッド101を5個の炉内ベッド単体102・・・で構成し、炉外ベッド104を5個の炉外ベッド単体105・・・で構成したが、炉内ベッド単体102・・・および炉外ベッド単体105・・・の個数は任意に設定することができる。例えば、炉内ベッド単体102・・・を3個、炉外ベッド単体105・・・を2個に設定することも可能である。
【0099】
図14は本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第6実施形態)の側面図である。板ガラスの曲げ成形装置110は、第3実施形態の案内ローラ91(図11に示す)に代えて湾曲案内ローラ111を備えたもので、その他の構成は第3実施形態の板ガラスの曲げ成形装置90と同じ構成である。
【0100】
案内ローラ111は、ローラ本体112を湾曲状に変形可能に構成し、このローラ本体112の湾曲形状を調整可能に構成したものである。
すなわち、案内ローラ111は、ハンドル113・・・を操作して支持ローラ114・・・の高さを調整することにより、複曲面板ガラス18b(図11に示す)の形状に合せてローラ本体112の湾曲形状を調整することができる。
【0101】
これにより、第3実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに複曲面板ガラスの幅方向全域を案内ローラ111で支えることができるので、複曲面板ガラス18bをより円滑に炉外ベッド20に案内することができる。従って、複曲面板ガラス18bの下面に傷がつくことをより確実に防ぐことができる。
【0102】
なお、案内ローラ111は、昇降手段(図示しない)で炉内ベッド15および炉外ベッド20の昇降状態に合せて昇降可能に構成したものである。
さらに、案内ローラ111を着脱自在に構成して、炉内ベッド15および炉外ベッド20を水平に配置した際に、案内ローラ111を取り外し可能に構成することも可能である。
また、この案内ローラ111は、複曲面板ガラス18bが冷却されることを防ぐために、加熱されていてもよい。
【0103】
なお、前記実施の形態では、第1昇降機構31で炉内ベッド15の下流側端15aおよび上流側端15bを昇降する例について説明したが、炉内ベッド15の下流側端15aのみを昇降させる構成にすることも可能である。
また、第2昇降機構32で炉外ベッド20の上流側端20aおよび下流側端20bを昇降する例について説明した、炉外ベッド20の上流側端20aのみを昇降させる構成にすることも可能である。
【0104】
さらに、前記実施の形態では、第1、第2の昇降機構31,32を手動で操作する例について説明したが、手動に代えて油圧や空圧で操作するように構成することも可能である。
また、前記実施の形態では、炉内ベッド15および炉外ベッド20の両方のベッドをスライド機構60でスライドする例について説明したが、いずれか一方のベッドのみをスライドさせる構成することも可能である。
前記実施形態では、炉外ベッド20の上方に冷却手段70を備えて、板ガラスを強制的に急冷した例について説明したが、徐冷や半強化状態の冷却でもよい。
【0105】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、昇降機構で炉内ベッドおよび炉外ベッドを簡単に山形に配置して、複曲面板ガラスを成形することができる。また、昇降機構で炉内ベッドを水平に戻すとともに炉外ベッドを水平に戻すことで、単曲面板ガラスを成形するという装置本体の機能を発揮させることもできる。
【0106】
これにより、ベッドを交換することなく簡単な作業で、複曲面板ガラスや単曲面板ガラスの両方を同じ装置で製造することができる。従って、単曲面板ガラスの製造工程と、複曲面板ガラスの製造工程との切換え作業を簡単に行うことができるので生産性を高めることができる。
【0107】
加えて、複曲面板ガラス用のベッドを単曲面板ガラス用のベッドとして適用することができる。このため、湾曲用のベッドおよび複曲面板ガラス用のベッドの2種のベッドを準備する必要がないので、設備費を抑えることができる。
【0108】
請求項2は、炉内ベッドおよび炉外ベッドの少なくとも一方をそれぞれのベッドが互いに近づく方向にスライドさせることで、炉内ベッドの下流側端と炉外ベッドの上流側端との間の間隙を小さくすることができる。
このため、板ガラスを炉内ベッドから炉外ベッドへ円滑に搬送することができるので、板ガラスの下面に傷が付くことを防ぐことができる。
【0109】
請求項3は、炉内ベッドを上り勾配にするとともに炉外ベッドを下り勾配にした際に、炉内ベッドの下流側の端面と、炉該外ベッドの上流側の端面とを近づけることができる。このため、炉内ベッドの下流側の端面と炉外ベッドの上流側の端面との間の間隙を小さくすることができる。
従って、炉内ベッドから炉外ベッドに板ガラスをさらに円滑に搬送することができるので、板ガラスの下面に傷がつくことをより確実に防ぐことができる。
【0110】
請求項4は、炉内・外のベッドのそれぞれの対向端面の少なくとも一方の下角部を面取りした。炉内ベッドを上り勾配にするとともに炉外ベッドを下り勾配にした際に、炉内ベッドの下流側の端面と、炉該外ベッドの上流側の端面とを近づけることができる。このため、炉内ベッドの下流側の端面と炉外ベッドの上流側の端面との間の間隙を小さくすることができる。
従って、板ガラスを炉内ベッドから炉外ベッドにさらに円滑に搬送することができるので、板ガラスの下面に傷がつくことをより確実に防ぐことができる。
【0111】
請求項5は、炉内ベッドおよび炉外ベッドの間の間隙に案内ローラを備えた。よって、炉内ベッドの出口端から搬出した板ガラスを案内ローラで円滑に案内して炉外ベッドに搬送することができる。このため、板ガラスを円滑に搬送することができるので、板ガラスの下面に傷がつくことを確実に防ぐことができる。
【0112】
請求項6は、案内ローラを板ガラスの形状に合せて湾曲状に形成した。よって、板ガラスをベッドの幅方向全域に渡って案内ローラで支えることができる。このため、板ガラスをより円滑に炉外ベッドに案内することができるので、板ガラスの下面に傷が付くことをより確実に防ぐことができる。
【0113】
請求項7は、炉内ベッドおよび炉外ベッドの間の間隙にエア噴射ノズルを備えた。よって、炉内・外のベッドを山形に配置することで浮上げ力が不足しがちになるが、エア噴射ノズルで不足した浮上げ力を補うことができる。このため、炉内・外のベッドに沿って板ガラスを円滑に搬送することができるので、板ガラスの下面に傷が付くことを確実に防ぐことができる。
【0114】
請求項8は、炉内ベッドおよび炉外ベッドを山形に配置し、これらのベッドに沿って板ガラスを搬送することにより複曲面板ガラスを成形する。この際に、ベッド勾配高さH、みかけのベッド曲率半径R、板ガラス曲率半径Cとの関係を予め求め、これらの関係から、板ガラス曲率半径Cに対応させてベッド勾配高さHを簡単に決めることができる。
従って、所望の板ガラス曲率半径Cを手間をかけないで簡単に得ることができるで、複曲面板ガラスの生産性を高めることができる。
【0115】
請求項9は、板ガラス曲率半径Cとしたときの曲率(1/C)を、
【数1】
0<(1/C)<1×10-4mm-1
の範囲とした。
(1/C)=0になると板ガラス曲率半径Cは∞になり、板ガラスは搬送方向に直線状の単曲面板ガラスとなる。このため、0<(1/C)として複曲面板ガラスの適用範囲とした。
【0116】
一方、(1/C)≧1×10-4mm-1になると板ガラス曲率半径Cは1×104mm以下になる。よって、ベッド勾配が急になり過ぎて板ガラスを円滑に搬送することが難しくなる。また、山形のベッドに板ガラスが干渉して板ガラスの下面に傷がつく虞れがある。さらに、板ガラスを搬送方向になめらかに曲げ成形することが困難になることがある。このため、ベッドの昇降を(1/C)<1×10-4mm-1に抑えた。従って、複曲面板ガラスの下面に傷が付くことを防ぐことができる。
【0117】
請求項10は、
【数2】
R=0.43×C+12.8×103 [単位:mm]
の関係から、板ガラス曲率半径Cに対応するみかけのベッド曲率半径Rを手間をかけないでより簡単に求めることができる。従って、複曲面板ガラスの生産性をより高めることができる。
【0118】
請求項11は、炉外ベッドにおける板ガラスの冷却を風冷強化とした。よって、複曲面板ガラスを曲げ成形するとともに、複曲面板ガラスを強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置の斜視図
【図2】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置の分解斜視図
【図3】本発明に係る板ガラスの曲げ成形方法の第1説明図
【図4】本発明に係る板ガラスの曲げ成形方法の第2説明図
【図5】本発明に係る板ガラスの曲げ成形方法の第3説明図
【図6】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置の概略図
【図7】本発明に係るみかけのベッド曲率半径Rとベッド勾配高さHとの関係を示すグラフ
【図8】本発明に係るみかけのベッド曲率半径Rとベッド勾配高さHとの関係を示すグラフ
【図9】本発明に係るみかけのベッド曲率半径Rと板ガラス曲率半径Cとの関係を示すグラフ
【図10】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第2実施形態)を説明する図
【図11】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第3実施形態)の側面図
【図12】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第4実施形態)の側面図
【図13】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第5実施形態)の側面図
【図14】本発明に係る板ガラスの曲げ成形装置(第6実施形態)の側面図
【図15】従来の板ガラスの曲げ成形装置の側面図
【図16】従来の炉内ベッドの斜視図
【符号の説明】
10,80,90,95,100・・・板ガラスの曲げ成形装置、11・・・加熱炉、11a・・・加熱炉の出口、13a,16a,21a・・・稜線部、15,81,101・・・炉内ベッド、15a・・・炉内ベッドの下流側端、15b・・・炉内ベッドの上流側端、16,84・・・炉内ベッドの上面、17,22・・・エア噴射孔、18・・・板ガラス、18a・・・単曲面板ガラス、18b・・・複曲面板ガラス、20,85,104・・・炉外ベッド、20a・・・炉外ベッドの上流側端、20b・・・炉外ベッドの下流側端、21,88・・・炉外ベッドの上面、30・・・昇降機構、31・・・第1昇降機構、32・・・第2昇降機構、60・・・スライド機構、82・・・下流側の端面、86・・・上流側の端面、91・・・案内ローラ、96・・・エア噴射ノズル、H・・・ベッドの所定高さ。
Claims (11)
- 板ガラスを略軟化温度まで加熱する加熱炉を備え、この加熱炉内に炉内ベッドを複数個備え、それぞれの炉内ベッドの上面を湾曲形状にするとともに湾曲形状の曲率を加熱炉の出口側に向けて徐々に大きくし、かつ上面の稜線部を加熱炉の入口から出口に向けて直線に延ばし、それぞれの炉内ベッドの上面から噴射した加熱エアで板ガラスを浮かせ、この板ガラスを炉内ベッドに沿って加熱炉の出口に向けて搬送することにより、ベッドの上面に倣わせて板ガラスを徐々に湾曲に成形し、この板ガラスを加熱炉の出口から搬出して炉外ベッドに移載し、この炉外ベッドの上面から噴射した冷却エアで板ガラスを浮かせながら冷却する板ガラスの曲げ成形装置において、
前記炉内ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉内ベッドを上り勾配にするとともに、前記炉外ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉外ベッドを下り勾配にすることにより、炉内・外のベッドを山形に配置する昇降機構を備えたことを特徴とする板ガラスの曲げ成形装置。 - 前記炉内ベッドおよび炉外ベッドの少なくとも一方を搬送方向にスライドするためのスライド機構が備えられたことを特徴とする請求項1記載の板ガラスの曲げ成形装置。
- 前記炉内ベッドは、板ガラス搬送方向の下流側の端面を湾曲に形成し、かつ前記炉外ベッドは、板ガラス搬送方向の上流側の端面を湾曲に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の板ガラスの曲げ成形装置。
- 前記炉内ベッドの下流側の端面の下角部、および前記炉外ベッドの上流側の端面の下角部の少なくとも一方を面取りしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の板ガラスの曲げ成形装置。
- 前記炉内ベッドおよび炉外ベッドの間の間隙に板ガラスを案内するための案内ローラを備えたことを特徴とする請求項1記載の板ガラスの曲げ成形装置。
- 前記案内ローラを板ガラスの形状に合せて湾曲状に形成したことを特徴とする請求項5記載の板ガラスの曲げ成形装置。
- 前記炉内ベッドおよび炉外ベッドの間の間隙に板ガラスを案内するためのエア噴射ノズルを備えたことを特徴とする請求項1記載の板ガラスの曲げ成形装置。
- 加熱炉内で板ガラスを軟化温度まで加熱するとともに、加熱炉内の炉内ベッドの上面から噴射した加熱エアで板ガラスを浮かせ、浮上させた板ガラスを炉内ベッドに沿って加熱炉の出口に向けて搬送することにより、ベッドの上面に倣わせて板ガラスを幅方向に徐々に湾曲した形状とし、この板ガラスを加熱炉の出口から搬出して炉外ベッドに移載し、この炉外ベッドの上面から噴射した冷却エアで板ガラスを浮かせながら冷却する板ガラスの曲げ成形方法において、
前記炉内ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉内ベッドに上り勾配をつけ、
前記炉外ベッドのうち加熱炉の出口側の近傍の少なくとも1個の炉外ベッドに下り勾配をつけることにより、炉内ベッドおよび炉外ベッドを山形に配置し、
前記幅方向に湾曲した板ガラスを、山形に配置したベッドに沿って搬送することにより搬送方向に湾曲に成形する際に、
前記上り勾配の炉内ベッドのベッド長さL1、前記下り勾配の炉外ベッドのベッド長さL2、炉内・外のベッドのベッド勾配高さH、および板ガラスの搬送方向のガラス長さGから、ベッド勾配高さHとみかけのベッド曲率半径Rとの関係を求め、
このみかけのベッド曲率半径Rと、湾曲に成形された板ガラス曲率半径Cとの関係を予め求め、この関係から、所望の板ガラス曲率半径Cを得るように、炉内・外のベッドの勾配高さHを決めることを特徴とする板ガラスの曲げ成形方法。 - 前記板ガラス曲率半径Cの逆数である曲率(1/C)は、
【数1】
0<(1/C)<1×10-4mm-1
の範囲であることを特徴とする請求項8記載の板ガラスの曲げ成形方法。 - 前記みかけのベッド曲率半径Rと板ガラス曲率半径Cとの関係が、
【数2】
R=0.43×C+12.8×103 [単位:mm]
であることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の板ガラスの曲げ成形方法。 - 前記炉外ベッドにおける板ガラスの冷却を風冷強化としたことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の板ガラスの曲げ成形方法。
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