JP4680206B2 - 流量を増大させた圧力逃がし装置 - Google Patents

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Description

本発明は概して、変圧器、開閉器等の大型配電機器用の圧力逃がし装置に関する。これら配電機器は、絶縁油等が充填され障害発生時に圧力上昇による破損を受け易い。
圧力逃がし装置は一般にPRDと呼ばれ、上記のような配電機器を収容する筐体内に生じる上昇圧力を、極めて高温になり得る大量の流体を短時間で筐体から逃すことによって、迅速に除去しなければならない。この圧力逃がし装置は、機器を収容する筐体が破裂する前に反応する必要があり、反応においては、破損を防ぐために、十分な量の流体を十分短い時間内に排出しなければならない。その際、周辺の人々や機器に傷害や破損を与えることのない方法で、流体を排出するのが望ましい。
一般に、本発明が対象とするタイプの圧力逃がし装置は、二段式動作特性を有している。筐体内の圧力が、除去を必要とする所定の閾値水準まで上昇すると、第一弁が開く。第一弁を通って放出された圧力が、連通された第二弁を開き、それによって、さらに第一弁が開き、より大きな流量で流体を筐体から排出する。第二弁は第一弁が開くと動作するが、それ自体は第一弁の開き動作に必要な圧力よりも低い圧力で開く。第二弁がより低圧で作動するというこの特徴と、第一弁と第二弁との物理的関係により、第二弁は第一弁を更に広く開かせ、筐体内の圧力が第一弁の開き動作条件である閾値をかなり下回るまで、より長時間にわたって第一弁の開き状態を維持することが出来る。
これを達成する方法の一つに、大きさの異なる2つの弁開口部を備える方法があり、第一エリアの境界を画する第一シールと関連した第一段内側弁開口部と、より大きな第二エリアの境界を画する第二シールと関連した第二段外側弁開口部とを備える。第一段内側弁開口部は、筐体の排出口と同一直線状に配置された管状のカラーを貫通する出口によって、形成される。第二段外側弁開口部は、管状のカラーの周面に形成される。円盤型の予圧されたきのこ弁が両シールと係合する。弁体の端面が、圧縮ばねにより生じる予圧の力で第一シールと係合する。弁体の垂下したスカートが、スライド可能な当接(sliding fit)により第二シールと係合する。筐体内の圧力と第一エリアの面積の積が圧縮ばねが弁体に与える予圧の力を超えた時に、弁体が移動して、第一弁を開かせる。第一弁が開くと、第二エリアに対応する弁体のより大きな領域が、筐体内の圧力にさらされる。筐体内の圧力と第二エリアの面積の積によって得られる力は、筐体内の圧力と第一エリアの面積の積よりも、2つのエリアの面積の比率分だけ大きく、その比は、通常約2対1である。このより大きな力が更に弁体を移動させ、第二弁を開かせ、第一弁を更に広く開かせる。弁は両方とも広く速く開く。それは、第二弁の大きな第二エリアに筐体内の圧力が加わることによって生じる力が、両方の弁が閉位置にある時に圧縮ばねによる予圧の力を大きく上回る(2倍等)ためである。
圧力逃がし装置は、取付フランジを用いて電気器具筐体に設置される。この取付フランジは、通例、筐体の排出口を取り囲むボルトの配列に合うように構成されている。こうしたボルトの配列は、業界によってある程度標準化されており、圧力逃がし装置の形状に制限を加える。このことが、後述するように、圧力逃がし装置を通る流体の流量を制限してきた。
上記取付フランジは環状の作業エリアを有し、この作業エリアが取付フランジを筐体にボルト止めするためのクリアランスを提供する。作業エリアは有効内径と有効外径の間に画成され、取付フランジを筐体にボルト止めするための最低限のクリアランスを保証する。管状のカラーの内径は第一段内側弁開口部によって規定され、外径は第二段外側弁開口部によって規定されるが、このカラーは、作業エリアの内径より内側においてフランジから突出している。したがって、フランジの作業エリアの内径が管状のカラーの外径および第二段外側弁開口部の最大寸法を決定する。第一段内側弁開口部の直径を相応に小さくして、所望の二段式動作に要求される第一エリアと第二エリアとの差を提供する必要がある。圧力逃がし装置を通る最大吐出量を決定するのは、第一エリアの大きさであり、この第一エリアは(a)フランジの作業エリアの内径と(b)二段式動作のために必要な更なる直径の減寸とによって制限される。この制限が、圧力逃がし装置を通る最大流量を大きく制約する。
従来の設計による代表的な圧力逃がし装置の一例を図1に示す。図示された圧力逃がし装置10は、電気機器筐体12の排出口14に被せるようにフランジ16で取付けられる。フランジ16は円形に配置されたボルト18によって筐体12に固定される。フランジ16は内径22と外径24の間に画成された環状の作業エリア20を有しており、そのエリアは、ボルト18と、ワッシャまたはフランジ16の筐体12への取付けに必要な他の締付要素により、占有されている。フランジ16と一体に形成された管状カラー30は、管状カラー30の最内径34近傍に第一段内側弁開口部32を有し、管状カラー30の最外径38上に、より大きな第二段外側弁開口部36を有している。上記第二段外側弁開口部36を含む管状カラー30の最外径38は、フランジ16の作業エリア20の内径22より内側に配置されている(つまり、この内径22よりも小さい)。通常のボルト配列を用いて圧力逃がし装置10を筐体12に設置すのに必要なクリアランスを確保するためである。管状カラー30の最内径34は、第一段内側弁開口部32によって制限される。この第一段内側開口部は、所望の二段式動作を確保するために、第二段外側弁開口部36よりも相応に小寸でなければならない。圧力逃がし装置10を通る流量は、管状カラー30の最内径34を制約する第一段内側弁開口部32によって制限される。
管状カラー30の内部にはスロート40がある。このスロート40は、筐体12の排出口14近傍に入口を有し、第一段内側弁開口部32近傍に出口を有する。入口におけるスロートの直径42は少なくとも排出口14の直径44と同じ大きさであり、フランジ16の作業エリア20の内径22と管状カラー30の厚さによってのみ制限される。出口におけるスロートの直径46は管状カラー30の最内径34に対応し、筐体12の排出口14の直径44よりも相当に小さく、第一段内側弁開口部32の寸法によって制限される。管状カラー30を通過可能な流量は、スロート40の入口径42と出口径46との差の分だけ減少し、あるいは少なくとも、筐体の排出口14の直径44とスロート40の制限された出口径46(つまり管状カラー30の最内径)との差の分だけ減少する。
従来の圧力逃がし装置は長年にわたって電気機器筐体の有効な圧力逃がし動作を提供してきたが、第一段内側弁開口部32の寸法が圧力逃がし装置を通る流体の流量を制限すること、この制限が筐体12の排出口14の寸法による制限よりも低流量であることは、図1を見れば容易に理解されるであろう。したがって、電気機器筐体の排出口の寸法に相応のより大きな流量を達成するためには、より大寸法の圧力逃がし装置が必要とされる。その場合、より設置面積(つまりフランジの直径)の大きな圧力逃がし装置に対応するため、高い費用をかけて電気機器筐体を改造する必要がある。一般的にこの種の改造は非常に費用が嵩むため、実施しにくい。
本発明は、電気機器筐体の圧力逃がしに使用出来るタイプの二段式圧力逃がし装置(PRD)を通る流量を増やすが、装置の筐体への取付けに必要な設置面積を増やさない。本発明のひとつあるいは複数の実施形態は、電気機器筐体の排出口の寸法に相応のより大きな流量を達成する、改良型の圧力逃がし装置(PRD)を提供する。これらの新型圧力逃がし装置は、筐体からの流体の流れを、筐体自身の排出口の寸法による制限以上に制限しないことが望ましい。
本発明による圧力逃がし装置は、従来のボルト円を用いた取付フランジの電気器具筐体への取付けを妨げることなく、従来の電気筐体の排出口と実質的に同一寸法である第一段内側弁開口部と、取付フランジの作業エリアと重なる第二段外側弁開口部を有することができる。この第一段開口部と第二段開口部とは、より大きな流量で筐体から高速度で流体を排出するために所望される二段式動作の実現に要求される寸法比(例えば2対1)を維持する。したがって、第二段外側弁開口部はもはや取付フランジの作業エリアによって制限されることなく、第一段内側弁開口部は電気筐体の排出口の直径を有効に生かした寸法にすることができる。この2つの改良を合わせると、新型圧力逃がし装置では、流量を50パーセント以上増大させることができる。
排出口に被せるように電気機器筐体に設置する新型圧力逃がし装置は、一例として、弁本体を有する多段弁を備えている。この弁本体には、筐体内から流体を排出するために排出口と同一直線上に配置可能なスロートが設けられている。弁本体を排出口に被せるようにして筐体に設置するため、フランジが弁本体を支持する。このフランジは、フランジを筐体に取付ける締付要素を受けるようにされた作業エリアを有する。弁体には上記フランジと隣接して台座が形成され、その高さが弁本体をスロート沿いに延長させる。弁本体には台座上にテーブルが形成され、そのテーブルの周縁部は弁本体をスロートの周りに拡張させ、フランジの作業エリアの上方に張り出す。テーブルは2つの弁開口部のうち大きい方を、フランジの作業エリア上方に張り出した部分で支持し、これにより、弁の流量を最適化するために、2つの弁開口部の寸法をフランジの作業エリアとは無関係に決定できるようにしてある。台座の高さは、テーブルの張出部とフランジの作業エリアとの間に、フランジを筐体に取付ける締付要素の受け入れに支障がないような十分なクリアランスを提供する。
フランジは、フランジを筐体に取付ける締付要素の予定箇所の境界を画する内径と外径との間に環状の作業エリアを有するのが望ましい。2つの弁開口部の一方は、弁本体のスロートからの流体排出を調節するため、弁本体に形成された第一段弁開口部であることが望ましく、2つの弁開口部のもう一方は、第一段弁開口部からの流体排出を調節するため、弁本体に形成された第二段弁開口部であることが望ましい。第二段弁開口部の有効径は、第一段弁開口部の有効径より所定の割合で大きくなっている。テーブル上に支持された大きい方の第二段弁開口部は、弁本体のスロート沿いに台座の分だけフランジから離間している。第二段弁開口部の有効径はフランジの作業エリアの内径よりも大きく設定され、筐体からの流体排出のために第一段弁の有効径を最適化出来るようになっている。第二段弁開口部がフランジから離れていることが、フランジを筐体に取付ける締付要素の予定箇所にアクセスするためのクリアランスを、弁本体沿いに提供する。
フランジと弁本体のテーブル部を連結する台座は、その外径が作業エリアの内径の内側に収まることが望ましい。従来の弁においては、第二段弁開口部の最大直径を決定するのは、この領域にある弁本体の外径であった。しかし、本発明によれば、弁本体の台座部が、第二段弁開口部を弁本体のスロート沿いに離れて配置された弁本体のテーブル部に配置するための支持を提供しているため、フランジの作業エリア近傍に必要なクリアランスを保持し、同時に第二段弁開口部の直径を作業エリアの内径よりも大きくすることが可能である。
弁本体のテーブル部が、カラーを含むことが望ましい。このカラーは、第一段弁開口部と第二段弁開口部の境界を画する第一シールと第二シールを支持する。第一段弁開口部に係わる第一シールは、テーブル上面のスロートとカラーとの交差部に形成された、カラーを貫通する内側弁開口部の境界を画する。第二段弁開口部に係わる第二シールは、カラーの周面に形成された外側弁開口部の境界を画する。両シールは予圧されたきのこ弁に係合している。このきのこ弁は、第一シールと係合するための円盤面と第二シールと係合するための垂下スカートを有する。第一段シールは、きのこ弁によって与えられる軸方向の付勢力によって圧縮される軸方向シールであることが望ましい。第二段シールは、きのこ弁の周縁リムとワイパーブレード型の係合をする周辺シールであることが望ましい。きのこ弁は、所定の動作範囲において、第二段シールから離れる、つまり第二段シールを開く必要がある。第二段シールの目的は、流体を電気機器筐体内に閉じ込めることではなく、第一段シールを開くための閾値圧に達したら、きのこ弁をより速く広く開くことが出来るようにするためである。
きのこ弁は、きのこ弁を両シールと係合するように付勢する圧縮ばねによって予圧されるのが望ましい。テーブルはまた、蓋を取り付けるための支柱その他の軸方向支持部を含むのが望ましい。この蓋は、きのこ弁を2つのシールとの係合へと付勢する圧縮ばねを圧縮する。支柱の高さは、圧縮ばねの所望の予圧に関連した、テーブルと蓋との所定の離間距離を維持するように設定される。支持部はテーブルより上部に突出するため、フランジの作業エリアと干渉しない。
二段式弁から排出される流体を集めて導くために、テーブルと蓋は、二段式弁を取り囲む周辺遮蔽体を把持するようになされていることが望ましい。周辺遮蔽体はテーブルと蓋との間の空間を囲い込み、圧力逃がし装置から大量の流出物を安全に導き出す排出管の取付部を有する。周辺遮蔽体は、排出管の方向変化に応じて常に円周方向に回動出来るように、テーブルと蓋との間に把持されるのが望ましい。遮蔽体を位置調整した後、止め具で固定することも可能であるが、蓋は所定の距離を離してテーブルに固定して、周辺遮蔽体の回動の調整とは無関係に、圧縮ばねの所望の圧縮量を設定出来るようにするのが望ましい。換言すれば、蓋は、遮蔽体がテーブル及び蓋に対して回動するのを制限することなく、圧縮ばねを圧縮するため、テーブルにしっかりと固定するのが望ましい。遮蔽体を位置固定するため、止めねじ等の締付具を利用することができる。テーブルは、蓋の取付けのために、一体形成のボスを含んでいるのが望ましい。このボスは、テーブル上方に突出する取付支柱を支持する。蓋は取付支柱にボルト止めすることができる。取付支柱の高さを利用して、圧縮ばねの圧縮量を調節できる。
本発明による新型圧力逃がし装置を後取付けして改良する典型例においては、従来の電気機器筐体は、標準的な直径で標準的なボルト間隔のボルト円に囲まれた排出口を有している。本発明による圧力逃がし装置は、圧力逃がし装置を排出口に被せるために取付フランジを有し、この取付フランジには、上記の標準的なボルト円上に位置するボルト受け部が設けられている。この受け部は、フランジの作業エリアを画成する。この作業エリアは、フランジを従来の電気機器筐体に取付けるためのボルト及びワッシャ類を受け止める。フランジをボルト止めするために、作業エリアには常に空間を空けておく必要がある。そのため、従来の二段式圧力逃がし装置においては、弁開口部の寸法が制限され、その直径を作業エリアの内径より大きくすることは出来なかった。
図2から図6は、本発明による圧力逃がし装置の好ましい実施形態を示している。この実施形態では、従来の設置面の大きさを変えずに流量を大幅に増加させることを可能にする設計上の特徴を含んでいる。新型圧力逃がし装置(PRD)50は、電気機器筐体52の頂上に、筐体52の排出口54に被せるようにして設置される。通常の寸法のフランジ56は多数の溝付き開口部58を含み、この開口部58は従来パターン(ボルト円と呼ぶ)で配列されたボルト60を受け入れるようになっている。ボルト60は溝付き開口部58を貫通し、筐体52と螺合して、圧力逃がし装置50を筐体52に固定する。ボルト60はまた、フランジ56の作業エリア62と係合する。この作業エリア62は、フランジ56を筐体52に取付けるために必要な環状の区域として定義される。
図5に明確に示されているとおり、フランジ56の作業エリア62の内径64はボルト円60のわずかに内側に位置し、外径66はボルト円60のわずかに外側に位置している。図では、締付要素としてボルト60だけを用いてフランジ56を筐体に取り付けた構造が示されているが、フランジ56の作業エリア62は、フランジ56の筐体52への取り付けに使用される、ワッシャその他の要素を受けるようにしてもよい。
フランジ56は、弁本体70と一体に形成されるのが望ましい。この弁体70は、フランジの上方に突出する台座72と、台座72の上に配置されフランジ56の上方に張り出すテーブル74を含む。台座72は、概ね管状をなし、フランジ56およびテーブル74とともにスロート76を共有している。スロート76の直径78は、フランジ56からテーブル74に至る全長にわたってほぼ一定であり、その寸法は、排出口54の直径80と同じ大きさであることが望ましい。スロート76は、筐体52内の余分な圧力を除去するために、圧力逃がし装置50を貫く通路を提供する。スロートの直径78は排出口54の直径80とほぼ同寸であるため、圧力逃がし装置50は筐体52内からの最大流量に対応出来るようになっている。
テーブル74が二段式弁アッセンブリ82を支持し、この二段式弁アッセンブリ82は、フランジ56の作業エリア62の寸法とは無関係に寸法を定めることが出来る。環状の取付カラー84,86は、図4に示す拡大図に最もよく示されているように、二段式弁アッセンブリ82の第一段シール92および第二段シール94をテーブル74に固定する。2つのシール92,94は、図示ように共通のシール体90の両側に形成してもよく、同一または別の材料で別体に形成してもよい。2つのシール92,94は、様々な種類の油と適合する、二トリルまたはフルオロカーボンのエラストマで形成するのが望ましい。圧力逃がし装置用の二段式弁アッセンブリのシールやその他の構成の詳細については、本出願と同一の譲渡人に譲渡された、米国特許番号6,497,248(名称:一体型ガスケットを備えた圧力逃がし装置)で開示されており、同特許はこの参照により、開示に含まれる。
第一段シール92は有効径96を有する第一段内側弁開口部を画成し、第二段シール94は有効径98を有する第二段外側弁開口部を画成する。いずれの開口部も、ばねで付勢されたきのこ弁100によって閉じられている。きのこ弁100の円盤面102が第一段シール92と係合して第一段内側弁開口部を閉じ、きのこ弁100の周辺部をなす垂下スカート104が第二段シール94と係合して、第二段外側弁開口部を閉じる。きのこ弁100の円盤面102は、第一段シール92を圧縮しながら当接してこの第一段シール92にしっかりと着座し、これにより、スロート76からの流体の流入を阻止する。きのこ弁100の垂下スカート104は、第二段シール94とスライド可能に接合する。第二段シール94はワイパーブレード型の形状を有し、シール係合を維持しながらも、垂下スカート104が軸方向に小範囲で動くのを許容する。
きのこ弁100は、きのこ弁100と蓋110の間に収容された一対の圧縮ばね106,108に付勢されて、両シール92,94と係合する。取付支柱112が蓋110をテーブル74の上方に支持する。取付支柱112は、テーブル74の周りに等間隔で設けられたボス114から突出している。ボルト116を用いて蓋110を支柱112に固定し、圧縮ばね106,108を、テーブル74と蓋110との間の所定の距離内で圧縮するようにする。ばねの圧縮量が、きのこ弁100を持ち上げて二段式弁アッセンブリ82を開くのに必要な閾値圧を設定する。図示の実施例では2つの圧縮ばね106,108が示されているが、所望の力の態様に応じてきのこ弁100を持ち上げるのに必要な閾値圧を設定するために、圧縮ばねは1つでもよく、また他の付勢装置を用いてもよい。第一段シール92の有効径96が第一領域を画成し、この領域における流体の圧力は、きのこ弁100を第一段シール92から持ち上げるように働く。第二段シール94の有効径98は第二領域を画成し、この領域において、第一段内側弁開口部から流出する流体は、きのこ弁100を第二段シール94から持ち上げるように働く。第二段シール94の第二領域を、第一段シール92の第一領域より約2対1の比で大きくして、筐体52内に蓄積した圧力を逃すために急速にきのこ弁100を持ち上げられるようにするのが望ましい。約2対1という面積比はこの種の二段式弁アッセンブリでは典型的なものであるが、違う比率を用いて、きのこ弁100を第一段シール92および第二段シール94から持ち上げる速度と高さを調節してもよい。例えば、1.5対1から3対1までは、通常範囲の条件に対応して想定される通常範囲の比率である。
第一段シールと第二段シールの有効径がフランジの作業エリアの寸法に制限される従来構造とは対照的に、本発明による新しい構造では、第一段、第二段弁開口部の有効径96、98を、筐体52内からの流体の排出を最適化するよう、所望の寸法にすることが出来る。すなわち、本発明による新型設計では、二段式弁アッセンブリとフランジ56の作業エリア62との間に径方向のクリアランスを維持するのでなく、フランジ56から軸方向にずれたテーブル74の上に二段式弁アッセンブリ82を支持している。テーブル74の張出部88を、フランジ56の作業エリア62から高さ”H”だけ上方で台座72が支持している。高さ”H”は、ボルト60をフランジ56に挿通し、締め付けるのに十分なクリアランスを提供する。
第一段弁開口部の有効径96を排出口54の直径80と同じ寸法にして、筐体52内からの流体の流れがさらに制限されるのを避けることが出来る。第二段弁開口部の有効径98は、フランジ56の作業エリア62によって従来課されていた制限とは無関係に、第一段弁開口部の有効径96と所望の比率で寸法を決めることが出来る。図示された実施例では、第二段弁開口部の有効径98は、フランジ56の作業エリア62の内径64よりも大きく設定されている。しかし、第二段弁開口部の有効径98は、フランジの作業エリア62の外径66より大きくしてもよい。
第二段シール94は、テーブル74の、フランジ56の作業エリア62の上方に張り出した部分88に支持されている。したがって、第二段シール94は、径方向には、フランジ56の作業エリア62の少なくとも一部と重なり合っているが、軸方向には、テーブル74をフランジ56から持ち上げている台座72によって、フランジ56の作業エリア62から離れて配置されている。台座72は、弁本体70をスロート76沿いに第一段シール92まで延長させる。スロートの直径78は、全長にわって、筐体52の排出口54の直径80と同程度の大きさを維持するのが望ましい。
台座72はフランジ56と隣接する直径118を有しており、この直径118はフランジ56の作業エリア62の内径64によって制限されるが、台座72上に載置されるテーブル74は、フランジ56の作業エリア62とは無関係に直径寸法を決めることが出来る。例えば、二段式弁アッセンブリ82よりも遠い位置で、テーブル74はボス114で取付支柱112を支持している。ボス114はテーブル74のかなり上方に突起しているように図示されているが、ボスは様々な寸法および形態が可能であり、例えば、テーブル74の上面とほぼ同一平面をなす、ねじ付き開口部を備えたボスであってもよい。あるいは、取付支柱112は、テーブル74の面にねじ付き開口部を形成する等して、直接テーブル74に取り付けてもよい。ボス114よりもさらに遠い位置で、テーブル74は周辺遮蔽体120を支持している。
周辺遮蔽体120は、テーブル74と蓋110との間の空間を囲み、二段式弁アッセンブリ82を囲んでいる。テーブル74に形成された環状溝122が、周辺遮蔽体をテーブル上で位置決めする。環状溝122内の径方向のクリアランスと、取付支柱112によって設定される蓋110とテーブル74との間の軸方向のクリアランスとの組み合わせにより、周辺遮蔽体120は、取付ねじ等の固定機構によって意図的に固定しない限り、環状溝122に沿って回動することが出来る。したがって、蓋110とテーブル74は周辺遮蔽体120を軸方向にも径方向にも拘束するように配置することが出来るが、周辺遮蔽体120は、取付ねじ等の固定機構によって意図的に固定されない限り、環状溝122の中を回動する能力を制限するような張力や圧縮を受けるように取り付けられることはない。周辺遮蔽体120の一側部には管取付部126に囲まれた開口部124が設けられており、遮蔽体120を排出管(図示せず)に接続出来るようになっている。周辺遮蔽体120は取付部126とともに回動可能であり、排出管の様々な角度方向に対応出来るようになっている。図2および図5では取付部126はフランジとして描かれているが、所望の接続形態に合わせて、他の様々な形を取ってもよい。例えば、周辺遮蔽体と排出管をただ単にスライド可能に嵌め込めば十分な場合もあるであろう。
周辺遮蔽体120はテーブル74および蓋110とともに、筐体52内から加圧状態で排出された流体を集め、集まった流体を排出管に導き、これにより、流体を圧力逃がし装置50から送り出すことが出来る。テーブル74の張出部88の開口部128は、排出管より低位置にある流体を排出出来るようにしている。周辺遮蔽体アッセンブリの構造および動作に関する詳細は、本出願と同一の譲渡人に譲渡された米国特許番号5,937,893(名称:圧力逃がし装置用遮蔽体)および、私の名前で本出願と同日付で出願し、同一の譲渡人に譲渡した圧力逃がし装置の包囲システムの米国特許出願で開示されており、これらの特許および出願はこの参照により、開示に含まれる。
蓋110の軸受筒132に案内される表示ピン130が、きのこ弁100の上に配置されている。きのこ弁100が動くと、ピン130が蓋110を通って持ち上がり、圧力逃がし装置50が作動したことを視覚的に指し示す。ピン130は軸受筒132と摩擦をもって嵌合しているため、手動でリセットされない限り、持ち上がった位置に維持される。警報スイッチアッセンブリ134をピン130に接続して、ピン130の動きが遠隔警報装置または信号装置(図示せず)を作動させるようにしてもよい。ピン130と軸受筒132が蓋110上方に突出する高さは、警報/信号装置の態様に応じて変えることが出来る。
好ましい実施形態を用いて説明してきたが、本発明の教示内容全体を逸脱しない範囲において、従来技術の限界を克服するために、特に弁の構造、弁の支持および周囲を取り囲むシステムについては、様々な変更が可能である。
従来の電気機器筐体用圧力逃がし装置の断面図である。 本発明による新型圧力逃がし装置の側面図で、装置から排出される流体を導く遮蔽体を備えた状態を示す。 本発明による新型圧力逃がし装置の斜視図で、遮蔽体を取り除いた状態を示し、テーブルと蓋の間の空間に架け渡された内部支持機構および、テーブル上に閉位置で着座したきのこ弁を示す。 テーブルの分解斜視図であり、スロートおよび2つの弁シール取付けリングを含む内部構造を示す。 圧力逃がし装置の内部構造を示す断面図である。 二段式弁動作を支えるシールを示す部分拡大断面図である。

Claims (11)

  1. 電気機器筐体に、上記筐体から加圧流体を排出するために、排出口に被せるように設置する圧力逃がし装置であって、次の構成を備えた圧力逃がし装置。
    弁本体を有する多段弁。この弁本体には、上記筐体から流体を排出するために上記排出口と同一直線上に配置可能なスロートが設けられている。
    上記弁本体を上記排出口に被せるようにして上記筐体に設置するため、上記弁本体を支持するフランジ。
    上記フランジは、上記筐体に取付ける締付要素の予定箇所の境界を画する内径と外径との間に、環状の作業エリアを有する。
    上記弁本体は、上記筐体側の一端部で上記フランジによって支持された台座を有している。この台座は上記スロートを画成し、上記弁本体をスロートに沿って延ばす。上記フランジは台座から径方向外方向に突出している。
    上記弁本体は、さらにテーブルを有している。このテーブルは、上記台座の上記筐体とは反体側の他端部に形成され、台座から径方向外方向に突出して、上記作業エリアにおおいかぶさるような張出部を形成している。
    上記テーブルに支持され、上記弁本体の上記スロートからの流体排出を調節するための第一段弁開口部を画成する第一段シール。この第一段弁開口部の有効径は、排出口からの流体の流通を制限しない大きさを有している。
    上記テーブルの張出部に支持され、上記第一段弁開口部からの流体排出を調節するための第二段弁開口部を画成する第二段シール。
    上記第二段弁開口部の有効径は、上記第一段弁開口部の有効径より所定の割合で大きく、上記フランジの上記作業エリアの内径よりも大きい。
    上記テーブルは、上記フランジから上記弁本体の上記スロート沿いに離間しており、これによりテーブルとフランジとの間にクリアランスが形成される。このクリアランスは、上記フランジを上記筐体に取付けるための上記締付要素の上記予定箇所へのアクセスを許容する。
    上記テーブルから所定の距離を隔てて、支柱に取り付けられた蓋。
    上記蓋と上記テーブルとの間に把持された周辺遮蔽体。
    上記筐体の内容物によって付与された圧力が閾圧力を超えた時に、第一段シールが非着座状態となって流体が第一段弁開口部を通過するのを許容し、次に第二段シールが非着座状態となって流体が第二段弁開口部を通過するのを許容し、このようにして上記筐体から流体が排出される。
  2. 上記テーブルがカラーを含み、上記カラーは、上記スロートとの交差部に上記第一段弁開口部として内側弁開口部を有し、その周面に上記第二段弁開口部として外側弁開口部を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 電気機器筐体に、上記筐体から加圧流体を排出するために、排出口に被せるように設置する圧力逃がし装置であって、次の構成を備えた圧力逃がし装置。
    弁本体を有する多段弁。この弁本体には、上記筐体から流体を排出するために上記排出口と同一直線上に配置可能なスロートが設けられている。
    上記弁本体を上記筐体に上記排出口に被せるように設置するため、上記弁本体を支持するフランジ。
    上記フランジは上記筐体に取付ける締付要素を受けるようにされた作業エリアを有する。
    上記弁本体は、上記フランジにより支持された台座を有し、この台座は上記スロートを画成し、上記弁本体をスロートに沿って延ばす。
    上記弁本体は、さらに上記台座に設けられたテーブルを有している。このテーブルは、台座から径方向外方向に突出して上記作業エリアにおおいかぶさるような張出部を有している。
    上記テーブルに支持され、上記弁本体の上記スロートからの流体排出を調節するための第一弁開口部を画成する第一シール。この第一段弁開口部の有効径は、排出口からの流体の流通を制限しない大きさを有している。
    上記テーブルの張出部に支持され、上記第一弁開口部からの流体排出を調節するための第二弁開口部を画成する第二シール。第二弁開口部の有効径は第一弁開口部の有効径より大きい。
    上記テーブルから所定の距離を隔てて、支柱に取り付けられた蓋。
    上記蓋と上記テーブルとの間に把持された周辺遮蔽体。
    上記台座の高さが、上記テーブルの上記張出部と上記フランジの上記作業エリアとの
    間に、上記フランジを上記筐体に取付ける上記締付要素の受け入れに支障がないように十分なクリアランスを提供する。
  4. 上記フランジの上記作業エリアが、上記フランジを上記筐体に取付ける締付要素の予定箇所の境界を画する内径と外径との間の、環状の領域であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
  5. 上記第二弁開口部が、上記フランジから上記弁本体の上記スロート沿いに離間し、その有効径は、上記フランジの上記作業エリアの内径よりも大きいことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
  6. 上記第二弁開口部の有効径が上記第一弁開口部の有効径よりも、少なくとも2対1の割合で大きいことを特徴とする、請求項に記載の装置。
  7. 上記テーブルが、第一シールと第二シールを支持するカラーを含み、上記第一シールは、上記スロートと上記カラーとの交差部に形成されて上記カラーを貫通する上記第一弁開口部としての内側弁開口部の境界を画し、上記第二シールは、上記カラーの周面において上記第二弁開口部としての外側弁開口部の境界を画することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
  8. 両シールが、予圧されたきのこ弁に係合していることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
  9. 上記台座の外径が上記フランジの上記作業エリアの内径よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
  10. 上記蓋と上記テーブルとの間で圧縮ばねが圧縮され、上記2つの弁開口部を閉じる位置にきのこ弁を付勢するようにしていることを特徴とする、請求項に記載の装置。
  11. 上記周辺遮蔽体が、上記圧力逃がし装置から排出される流体を導くための開口部を有し、上記テーブル及び上記蓋に対してその周方向に回動可能であることを特徴とする、請求項に記載の装置。
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