JP4679225B2 - 火災警報器および煙センサの交換時期演算方法 - Google Patents
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この火災警報器には、煙センサを駆動する電源が必要である。電源は、外部電源式および電池式がある。
外部電源式の火災警報器は、ケーブル配線やコンセント設置等の電源供給工事が必要となる場合があり、このときには、火災警報器自身の設置以外に、電源供給工事のコストや労力を費やすことになる。そのため、火災警報器の普及促進の観点から、簡便に設置できる電池式の火災警報器が好ましい。
また、煙センサは、定期的な感度点検作業を行い、ある一定のセンサ感度を保持しなくなると、センサ寿命が尽きたと判断し、煙センサは交換することになる。
ここで、電池式の火災警報器においては、煙センサおよび電池の交換は、通常、業者が行う。
後者のケースでは、センサ寿命が尽きたときにセンサ感度異常の報知により煙センサの交換を行うことになる。このとき、煙センサ交換と電池交換とが異なったタイミングで行われる。そのため、これらの交換作業が別途発生するため、その都度、メンテナンスコストや労力を費やすことになるという問題点があった。
従って、本発明の火災警報器であれば、煙センサの交換時期が明確に判断できるようになり、計画的に煙センサの交換作業が行えるため、メンテナンスコストや労力を削減できる。
そのため、電池交換作業時に煙センサの交換時期の演算も同時に行うと、電池交換時に煙センサの寿命の予測ができることとなって煙センサの交換時期を明確にできる。そして、このときに煙センサの交換時期が、例えば次回の電池交換時期より以前であることが判明すれば、現電池交換時に煙センサの交換も合わせて行うようにできる。
従って、本発明の煙センサの交換時期演算方法であれば、業者が煙センサの交換時期の演算のみを行うために火災警報器の設置現場に出向く手間が省ける。そのため、煙センサ交換と電池交換とが異なったタイミングで行われるために発生していた別途のメンテナンスコストや労力を削減できる。
従って、本構成であれば、感度履歴記憶手段に記憶してあるセンサ感度を基に感度変化定数を算出し、この感度変化定数を用いて煙センサの交換時期の演算を行うことができるため、簡便な方法で煙センサの寿命を予測できる。さらに、煙センサのセンサ感度が異常な状態で火災警報器を使用することがなくなり、確実な火災の警報を行うことができる。
即ち、本構成は、電源部の交換に至る前に、複数の感度変化定数を算出する。例えば、煙センサ設置直後のセンサ感度と、ある一定期間経過後のセンサ感度と、電池交換時のセンサ感度が感度履歴記憶手段に記憶してある場合、これらセンサ感度をグラフ化することにより二つの傾き(感度変化定数)を算出できる。
ここで、煙センサは設置の途中からセンサ感度が変化しているため、これら二つの定数は異なる値となる。つまり、これら二つの定数に存在する変化割合を用いて現時点から所定期間後までの間の傾きと予測される複合感度変化定数を算出する。
そして、この複合感度変化定数を用いて所定期間後、例えば次回電池交換時における煙が存在しない時の煙センサのセンサ感度を算出する。つまり、当該複合感度変化定数を用いて、将来のある時期のセンサ感度の予測値を算出する。
火災警報器は、例えば屋内の火災等に起因する煙やガスの発生をセンサにより検知し、警報を発するように構成してある。このセンサは、煙を検知する煙センサや、火災時に発生するCOガス等を検知する公知のガスセンサ等が適用できる。本実施例では、煙センサを適用した火災警報器について説明する。
この火災警報器は、例えば屋内であれば、壁掛け型あるいは天井設置型等の態様により配設される。
そして、本発明の火災警報器Xは、煙が存在しない時の煙センサSのセンサ感度を点検する感度点検手段30と、感度点検手段30により得られたセンサ感度を記憶する感度履歴記憶手段40と、感度履歴記憶手段40に記憶されたセンサ感度を基に煙センサSの交換時期を電源部20の交換時に演算する交換時期演算手段50とを備えている。
そして、所望のタイミングで自動的に、或いは、作業者が手動で点検スイッチ(図示せず)を入力して、散乱光式煙センサSのセンサ感度を点検する。
交換時期演算手段50は、スピーカ・警報ランプ等のセンサ異常報知手段51と接続してある。つまり、交換時期演算手段50により、散乱光式煙センサSが感度異常であると判断されるとセンサ異常信号をセンサ異常報知手段51に出力し、警報音により聴覚的に、或いは、ランプの点滅等により視覚的にセンサの感度異常を報知できる。
上述したように、散乱光式煙センサSは、発光部S1からの光が煙粒子にあたると生じる散乱現象を利用し、受光部S2の受光素子が散乱光を受けて生じる光電流の変化を煙濃度に換算するように構成してある。
ここで、散乱光式煙センサSは、センサ素子表面の汚れやセンサ素子の劣化等によりセンサ感度が経年変化する。当該散乱光式煙センサSの感度変化は、高感度化と低感度化とがある。
この変化は、初期特性の関数Aに対して平行移動した関数Bにより表される。
この変化は、初期特性の関数Aの傾きを減少させた関数Cにより表される。
火災時において、散乱光式煙センサSは、ある特定の警報レベルYa以上の出力電圧値によって、ある特定の煙濃度Xa以上の煙を検知したと判断するように設定される。ここで、散乱光式煙センサSの感度変化を考慮した場合、特定の煙濃度Xaにある程度の幅を持たせ、その範囲内の煙濃度を検知した場合に火災であると判断するのが望ましい。この煙濃度の範囲を警報範囲とする。これにより確実な火災警報を発することができる。
一方、散乱光式煙センサSが高感度化したとき(関数B)、警報レベルYaは煙濃度Xbとなる。さらに、散乱光式煙センサSが低感度化したとき(関数C)、警報レベルYaは煙濃度Xcとなる。つまり、散乱光式煙センサSの感度変化を考慮して、警報範囲は煙濃度Xb〜Xcとなっており、各煙濃度の警報範囲における関係は、Xb<Xa<Xcとなる。
これにより、散乱光式煙センサSの感度が変化している場合であっても、ベース電圧値の許容範囲を設けることができるため、高感度化による誤報の多発や低感度化による遅報の発生を防止し、信頼性の高い火災警報を発することができる。
上述したように設定した上限値Nbと下限値Ncとを基準に、電池交換時において、散乱光式煙センサSを継続して設置できるかを調べるため、当該散乱光式煙センサSの交換時期を演算する方法を以下に示す。当該散乱光式煙センサSの感度異常として低感度化を例示するが、高感度化も同様の方法で交換時期の演算が可能である。
本方法では、感度履歴記憶手段40に記憶してあるセンサ感度の変化に基づき感度変化定数を算出し、当該感度変化定数を用いて、所定期間後における煙が存在しない時の散乱光式煙センサSのセンサ感度を算出し、このセンサ感度が、正常センサ感度である所定感度範囲に収まるかを判断することにより、散乱光式煙センサSの交換時期の演算を行う。
このとき、散乱光式煙センサSの感度低下の変化を示す傾きG(感度変化定数)を求める。そして、次回電池交換時までに当該センサSの出力電圧値が感度異常となるか否か、つまり、下限値Ncを下回るか否か、を調べるため、前記傾きGに基づき、次回電池交換時における散乱光式煙センサSの予測出力電圧値N(y)を算出する。
図3に示したように、交換時出力電圧値N(x)〜予測出力電圧値N(y)間の傾きG’を、前記傾きGと同様に設定して予測出力電圧値N(y)導き出した場合、予測出力電圧値N(y)は下限値Ncを上回っている。このため、次回電池交換時においても散乱光式煙センサSは感度異常とならない。つまり、当該センサは長期の寿命を有しているものと認められる。従って、散乱光式煙センサSの設置を継続できる。
これにより、将来のある時期(図3においては、次回電池交換時)において、センサ感度が異常となることを事前の演算によって予測することができるため、この予測ができた時点で煙センサを交換できる。
尚、リセットスイッチを設ける等して、煙センサを交換した場合に感度履歴記憶手段40に記憶してあるセンサ感度をクリアできるように構成するとよい。
本方法では、電源部20の交換に至る前に、複数の感度変化定数を算出すると共に、これらの定数を基に複合感度変化定数を算出し、当該複合感度変化定数を用いて、所定期間後における煙が存在しない時の散乱光式煙センサSのセンサ感度を算出し、このセンサ感度が、正常センサ感度である所定感度範囲に収まるかを判断することにより、散乱光式煙センサSの交換時期の演算を行う。
本方法では、散乱光式煙センサSが設置の途中からセンサ感度変化の割合が変化する場合を想定している。
上述したように、感度点検手段30により、電池交換時以外にも点検機会を設定できる。この点検機会において、電源部20の寿命を診断するように構成できる。例えば電池の電圧を測定するように構成する。そして、電源部20の交換が必要であると判断されると、電源部交換警報を報知するように構成することが可能である。
X 火災警報器
10 警報手段
20 電源部
30 感度点検手段
40 感度履歴記憶手段
50 交換時期演算手段
Claims (4)
- 煙感知機能を有する煙センサと、前記煙センサが所定値以上の煙を検知したときに警報を発する警報手段と、前記煙センサに駆動電力を供給すると共に交換可能な電源部とを備えた火災警報器において、
煙が存在しない時の前記煙センサのセンサ感度を点検する感度点検手段と、前記感度点検手段により得られたセンサ感度を記憶する感度履歴記憶手段と、前記感度履歴記憶手段に記憶されたセンサ感度を基に前記煙センサの交換時期を前記電源部の交換時に演算する交換時期演算手段とを備えた火災警報器。 - 請求項1に記載の煙センサの交換時期の演算を、前記電源部の交換時に行う煙センサの交換時期演算方法。
- 前記感度履歴記憶手段に記憶してあるセンサ感度の変化に基づき感度変化定数を算出し、当該感度変化定数を用いて、所定期間後における煙が存在しない時の前記煙センサのセンサ感度を算出し、このセンサ感度が、正常センサ感度である所定感度範囲に収まるかを判断することにより、前記煙センサの交換時期の演算を行う請求項2に記載の煙センサの交換時期演算方法。
- 前記電源部の交換に至る前に、複数の感度変化定数を算出すると共に、これらの定数を基に複合感度変化定数を算出し、当該複合感度変化定数を用いて、所定期間後における煙が存在しない時の前記煙センサのセンサ感度を算出し、このセンサ感度が、正常センサ感度である所定感度範囲に収まるかを判断することにより、前記煙センサの交換時期の演算を行う請求項3に記載の煙センサの交換時期演算方法。
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