以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。本実施形態では、遊技機が、いわゆるパチスロ機といわれる回胴式遊技機である場合について説明する。図1は本発明の一実施形態である遊技機の概略正面図、図2はその遊技機の概略制御ブロック図である。
本実施形態の回胴式遊技機は、図1及び図2に示すように、第一回胴リール11a,第二回胴リール11b,第三回胴リール11cと、表示窓12と、メダル投入口13と、クレジット数表示部14と、MAXベットボタン15と、一枚投入ボタン16と、ベット(投入)枚数表示部17と、スタートレバー18と、第一停止ボタン19a,第二停止ボタン19b,第三停止ボタン19cと、清算ボタン21と、払出数表示部22と、メダル放出口23と、メダル受皿24と、画像表示部30と、電飾表示部40と、スピーカ部50と、投入メダル検出センサ61と、MAXベットボタン操作検出センサ62と、一枚投入ボタン操作検出センサ63と、スタートレバー操作検出センサ64と、第一停止ボタン操作検出センサ65a,第二停止ボタン操作検出センサ65b,第三停止ボタン操作検出センサ65cと、第一回胴リール駆動手段66a,第二回胴リール駆動手段66b,第三回胴リール駆動手段66cと、主制御基板70と、演出制御基板80と、サブ基板90とを備える。
図1に示すように、回胴式遊技機の中央部のやや上側には、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cが配設されている。各回胴リール11a,11b,11cは、複数の図柄を一列に配した図柄列を有しており、回転可能に構成されている。第一回胴リール11aは第一回胴リール駆動手段66aにより駆動され、第二回胴リール11bは第二回胴リール駆動手段66bにより駆動され、そして、第三回胴リール11cは第三回胴リール駆動手段66cにより駆動される。ここで、各回胴リール駆動手段66a,66b,66cとしては、例えばステッピングモータが用いられる。これら回胴リール駆動手段66a,66b,66cの制御は、主制御基板70により行われる。
各回胴リール11a,11b,11cに配される図柄には、例えば、赤色の数字「7」図柄、青色の数字「7」図柄、BAR図柄、リプレイ図柄、スイカ図柄、ベル図柄、チェリー図柄等がある。各回胴リール11a,11b,11cの外周には、これらの図柄が合計21個配されている。また、回胴リール11a,11b,11c毎に各図柄の数及び図柄の配置順序は異なっている。
表示窓12は回胴リール11a,11b,11cに対応する位置に設けられた透明な窓部である。遊技者は、図1に示すように、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cの停止時において表示窓12からそれぞれの回胴リール11a,11b,11cに付された三つの図柄を目視することができる。
メダル投入口13は、遊技者がメダル(遊技媒体)を投入するための投入口である。投入メダル検出センサ61はメダル投入口13の内部に設けられており、メダルがメダル投入口13に投入されたことを検出するものである。投入メダル検出センサ61からの検出信号は主制御基板70に送られる。
表示窓12のすぐ下側には、クレジット数表示部14が設けられている。クレジット数表示部14は、メダルのクレジット数(貯留数)を所定の範囲内(例えば50枚以内)で表示するものである。メダル投入口13からメダルを投入すると、主制御基板70は、投入メダル検出センサ61からの信号に基づいて、現在のクレジット数からその投入したメダルの数だけ増加させた数を計数して貯留し、クレジット数表示部14に表示させる。また、主制御基板70は、ゲームにおいて所定の役が成立すると、その役に対応して払い出されるメダルの払出枚数を現在のクレジット数に加算し、その加算した数をクレジット数表示部14に表示させる。
MAXベットボタン15及び一枚投入ボタン16は、メダルを賭けてゲーム(遊技)を行う旨を指示するためのものであり、表示窓12の左下側に設けられている。MAXベットボタン15は、メダルを三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンであり、また、一枚投入ボタン16は、メダルを一枚、二枚又は三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンである。具体的には、一枚投入ボタン16を一回押すことにより、メダルを一枚賭けてゲームを行うことが選択され、一枚投入ボタン16を二回押すことにより、メダルを二枚賭けてゲームを行うことが選択され、そして、一枚投入ボタン16を三回押すことにより、メダルを三枚賭けてゲームを行うことが選択される。すなわち、一枚投入ボタン16を三回押すことは、MAXベットボタン15を一回押すことと同じである。MAXベットボタン操作検出センサ62はMAXベットボタン15が押されたことを検出するものであり、一枚投入ボタン操作検出センサ63は一枚投入ボタン16が押されたことを検出するものである。各センサ62,63からの検出信号は、主制御基板70に送られる。これにより、主制御基板70は、メダルを何枚賭けてゲームを行うのかを認識することができる。
表示窓12のすぐ左下側には、ベット枚数表示部17が設けられている。かかるベット枚数表示部17は、当該ゲームにおいて賭けられたメダルの枚数を表示するものである。具体的には、一枚投入ボタン16が一回押されると、主制御基板70は、ベット枚数表示部17の「壱」の部分に対応するランプを点灯させる。一枚投入ボタン16が二回押されると、主制御基板70は、ベット枚数表示部17の「弐」の部分に対応するランプを点灯させる。そして、一枚投入ボタン16が三回押され、又はMAXベットボタン15が押されると、主制御基板70は、ベット枚数表示部17の「参」の部分に対応するランプを点灯させる。
本実施形態では、三つの回胴リール11a,11b,11cを停止させて所定の図柄を揃えるための入賞ラインが六つ設定されている。すなわち、表示窓12の上部、中央部、下部のそれぞれを通り水平方向に延びた三つのラインと、表示窓12の左上から右下に向かって延びるラインと、表示窓12の左下から右上に向かって延びるラインと、表示窓12の左部の真ん中から中央部の真ん中に向かって延び、その中央部の真ん中から右下に向かって延びるラインとである。メダルを何枚賭けるかに応じて、有効な入賞ラインが異なる。メダルを一枚賭けてゲームを行う場合には、表示窓12の中央部を通り水平方向に延びる一つの入賞ラインだけが有効な入賞ラインとなる。メダルを二枚賭けてゲームを行う場合には、表示窓12の上部、中央部、下部のそれぞれを通り水平方向に延びた三つの入賞ラインだけが有効な入賞ラインとなる。そして、メダルを三枚賭けてゲームを行う場合には、六つの入賞ラインすべてが有効な入賞ラインとなる。三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、六つの入賞ラインのうち有効な入賞ライン上に所定の図柄が揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となり、所定数のメダルが払い出される。
スタートレバー18は、ゲームを開始する旨を指示するために遊技者が操作するものである。メダル投入口13から一回のゲーム(遊技)に必要な数のメダルが投入されるか、又は、既に一回のゲームに必要な数のメダルがクレジットされている状態でMAXベットボタン15の操作、若しくは一枚投入ボタン16の必要回数の操作のうちいずれかの操作が行われることにより、スタートレバー18の操作が可能となる。ここで、一回のゲームは、スタートレバー18が操作されることにより開始し、三つの停止ボタン19a,19b,19cがすべて押されることにより終了する。スタートレバー操作検出センサ64は、スタートレバー18が操作されたことを検出するものである。スタートレバー操作検出センサ64は、スタートレバー18が操作されたことを検出すると、ゲーム開始信号を主制御基板70に送る。主制御基板70は、投入メダル検出センサ61、MAXベットボタン操作検出センサ62、一枚投入ボタン操作検出センサ63のいずれかから信号を受けているときに、スタートレバー操作検出センサ64からゲーム開始信号を受けると、前回のゲーム開始信号の受信時から所定時間(4.1秒)経過した後、ゲーム開始の処理を行う。具体的には、主制御基板70は、乱数値を取得し、その乱数値に基づいて役の抽選処理を行うと共に、三つの回胴リール11a,11b,11cの回転動作を開始する。
第一停止ボタン19aは第一回胴リール11aの回転動作の停止を指示するためのものであり、第二停止ボタン19bは第二回胴リール11bの回転動作の停止を指示するためのものであり、第三停止ボタン19cは第三回胴リール11cの回転動作の停止を指示するためのものである。第一停止ボタン操作検出センサ65aは第一停止ボタン19aが押されたことを検出するものであり、第二停止ボタン操作検出センサ65bは第二停止ボタン19bが押されたことを検出するものであり、第三停止ボタン操作検出センサ65cは第三停止ボタン19cが押されたことを検出するものである。各停止ボタン操作検出センサ65a,65b,65cからの検出信号は、主制御基板70に送られる。主制御基板70は、停止ボタン操作検出センサ65a,65b,65cからの検出信号を受けると、当該停止ボタン操作検出センサに対応する回胴リールの回転動作を所定の制御方法により停止する。こうして、三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、それらの回胴リール11a,11b,11cに付されている図柄が有効な入賞ライン上において特定の組合せとなると、役が成立することになる。
役の種類には、大きく分けて、大当りである大役(ボーナス)と、小当りである小役とがある。大役には、例えば、赤色の数字「7」の図柄及び青色の数字「7」の図柄(BB図柄)のうちいずれかが有効な入賞ライン上に揃った場合の役であるビッグボーナス(BB)と、「BAR」の図柄(RB図柄)が有効な入賞ライン上に揃った場合の役であるレギュラーボーナス(RB)とがある。大役になると、回胴式遊技機は、遊技者に有利な遊技状態に移行する。例えば、BBが成立した場合には、メダルが15枚払い出されるとともに、遊技者が最も多量のメダルを獲得可能なBBゲームに突入する。また、RBが成立した場合には、メダルが15枚払い出されるとともに、BBゲームに次いで遊技者が多量のメダルを獲得可能なRBゲームに突入する。
一方、小役には、例えば、スイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(スイカ小役)と、ベル図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(ベル小役)と、チェリー図柄が有効な入賞ライン上の左側の位置に停止した場合の役(チェリー小役)とがある。かかる小役が成立したときには、それぞれ所定枚数のメダルが払い出される。その他に、リプレイ図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(リプレイ)がある。このリプレイが成立した場合には、回胴式遊技機は、再遊技の状態、すなわち、今回のゲームに賭けたメダルと同数のメダルが自動投入され、遊技者が新たにメダルを投入することなく、再度、ゲームを行うことが可能な状態となる。尚、本実施形態では、リプレイはメダルの払出しがないことから、リプレイを小役に含めていないが、次の遊技のための賭数設定すなわち新たなメダルの投入操作が不要なので、その遊技に使用したメダルが払い出されたと仮定して、リプレイを小役として取扱うことも可能である。また、役を構成する図柄が有効な入賞ライン上に揃わなかった場合には、外れとなる。
払出数表示部22は、成立した役に対応して払い出されるメダルの払出枚数を表示するものである。払出数表示部22の制御は主制御基板70により行われる。メダル放出口23からは、例えば、遊技者が清算ボタン21を押した場合にそのときのクレジット数に対応する数のメダルが放出される。メダル受皿24は、メダル放出口23から放出されるメダルを蓄積するための皿である。
画像表示部30は、表示窓12の上側に設けられている。本実施形態では、画像表示部30として液晶表示装置を用いている。かかる画像表示部30は、図1及び図2に示すように、液晶パネル31と、液晶パネル31を制御する液晶制御基板32とを有する。画像表示部30は、複数の文字、数字、図形やキャラクター等の画像を変動表示することにより、役の成立の予告、所定の情報の告知、その他の遊技の演出を行う。例えば、大当り確定を予告するプレミアム演出を行ったり、有効な入賞ライン上に揃えるべき図柄の種類を告知したりする。この画像表示部30の制御は、主制御基板70からのコマンドに基づいて演出制御基板80により行われる。
電飾表示部40は、各種の遊技状態を報知したり、遊技の演出を行ったりするものである。かかる電飾表示部40は、図1及び図2に示すように、三つのトップLEDユニット41a,41b,41cと、八つのパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hと、三つのバックライト(不図示)と、冷陰極管(不図示)と、三つのトップLED基板44a,44b,44cと、八つのパネルLED基板45a,45b,・・・,45hと、三つのバックライト基板46a,46b,46cと、冷陰極管基板47とを有する。ここで、トップLEDユニット41a,41b,41c、パネルLEDユニット42a,42b,・・・,42h、及びバックライトは、遊技者に向けて点灯表示するように設けられており、これらの表示灯は、以下では、まとめて「演出用表示灯」とも称する。また、以下では、トップLED基板44a,44b,44c、パネルLED基板45a,45b,・・・,45h、及びバックライト基板46a,46b,46cをまとめて、「電飾基板」とも称することにする。
演出用表示灯の制御は、主制御基板70からのコマンドに基づいて演出制御基板80により行われる。具体的には、演出制御基板80は、主制御基板70からのコマンドに基づいて所定の点灯指令信号を作成し、その点灯指令信号をサブ基板90に送信する。そして、サブ基板90は、演出用表示灯については、演出制御基板80からの点灯指令信号に基づいて演出用表示灯の点灯時間をパルス幅変調(Pulse Width Modulation(PWM))制御する。一方、冷陰極管の制御は、演出制御基板80からの点灯指令信号(ON・OFF信号)に基づいて通常のON・OFF制御を行う。
三つのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、前扉の内側上部の左側、中央、右側に設けられている。これらのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、トップLED基板44a,44b,44cに搭載されている。
前扉の内側であって表示窓12の左側には、パネルLEDユニット42a,42b,42c,42d,42eがこの順番で上から下に向かう方向に沿って設けられている。また、前扉の内側であって表示窓12の右側には、パネルLEDユニット42f,42g,42hがこの順番で上から下へ向かう方向に沿って設けられている。8個のパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hはそれぞれ、パネルLED基板45a,45b,・・・,45hに搭載されている。
三つのバックライトはそれぞれ、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cの内部に設けられている。これらのバックライトはそれぞれ、バックライト基板46a,46b,46cに搭載されている。
冷陰極管は、前扉の内側であって表示窓12の上方に設けられている。冷陰極管は、遊技の演出を行うだけでなく、回胴リール11a,11b,11cに光を照射して、回胴リール11a,11b,11cに記された図柄の視認性を良くするという役割をも果たしている。冷陰極管基板47は、冷陰極管を駆動するものである。具体的に、冷陰極管基板47には、インバータ回路や高電圧発生回路等が搭載されている。演出制御基板80から送られた、クロック信号やラッチ信号を必要とないON・OFF信号は、サブ基板90に送られ、ここで、このON・OFF信号に基づいて駆動用パルス信号が生成され、冷陰極管基板47に送られる。この駆動パルス信号により、インバータ回路が駆動され、そのインバータ回路からの信号に基づいて高電圧発生回路が高電圧を発生させることにより、冷陰極管を点灯する。ソレノイド48は、前扉の開閉をロックするためのものであり、演出制御基板80からの、クロック信号やラッチ信号を必要とないON・OFF信号により制御される。
スピーカ部50は、音により遊技の演出を行うものである。スピーカ部50の制御は、主制御基板70からのコマンドに基づいて演出制御基板80により行われる。かかるスピーカ部50は、図1及び図2に示すように、第一ドアスピーカ51と、第二ドアスピーカ52と、背面スピーカ53とを有する。第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52はそれぞれ、前扉の内側上部の左側、右側に設けられている。すなわち、図1において、前扉上部に点線で描いた円の部分が第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52である。ここで、前扉の上部においては、トップLEDユニット41a,41b,41cが設けられた部分と画像表示部31が設けられた部分との間に隙間があり、第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52からの音はこの隙間を通して出てくる。また、背面スピーカ53は回胴式遊技機の背面側に設けられている。
主制御基板70は、主に遊技内容やメダルの払出しの制御及び管理を行う。かかる主制御基板70には、複数の集積回路素子が実装されている。具体的に、主制御基板70は、図2に示すように、ROM71と、RAM72と、CPU73とを備える。ROM71には、遊技内容の制御等に関する各種のプログラムが格納されている。また、RAM72は、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。
CPU73は、ROM71に格納されたプログラムを実行することにより、遊技内容の制御等を行う。例えば、CPU73は、役の抽選処理を行う。具体的に、この役の抽選処理は次のようにして行われる。ROM71には、役と乱数値との対応関係を示した抽選テーブルが格納されている。CPU73は、スタートレバー操作検出センサ64からの信号を受けると、乱数値を取得する。そして、その取得した乱数値が、抽選テーブルにおいていずれの役に該当するかを調べることにより、役の不当選、各種の役の当選のいずれであるかを決定する。CPU73は、抽選結果に応じて所定のコマンドを演出制御基板80に送信する。
また、CPU73は、回胴リール11a,11b,11cを駆動及び停止させるリール制御を行う。このCPU73のリール制御には、リールの駆動開始制御、リールの駆動停止制御の他、例えば、役に当選した場合に行われるリール引込み制御、役に当選しなかった場合に行われる外れ制御等がある。
リール引込み制御とは、停止ボタンが押されたときに、その押されたタイミングで有効な入賞ライン上にある図柄を含めて当該図柄から所定のコマ数(例えば、5コマ)の範囲内に当該役を構成する図柄が存在するときに、その図柄を当該有効な入賞ライン上に引き込むように回胴リールの停止位置を制御することをいう。但し、遊技者が停止ボタンを押したタイミングにおいて上記の所定のコマ数の範囲内に当該役を構成する図柄が存在しないときには、リールの引込み制御が働かず、押したなりの図柄が有効な入賞ライン上に停止する。したがって、このときには、当該役を構成する図柄は有効な入賞ライン上に揃わず、当該役は成立しないことになる。
外れ制御とは、有効な入賞ラインにはいずれの役も成立しないように、リールの停止位置を制御することをいう。したがって、この場合には、遊技者が特定の役を狙って停止ボタンを押したとしても、どのような役も成立せず、ゲームの結果は外れとなる。
また、CPU73は、遊技状態の管理をも行っている。本実施形態の回胴式遊技機では、遊技機の遊技状態として、「BB未作動時の一般遊技状態」、「BB内部中状態」、「RB内部中状態」、「BB作動時の一般遊技状態」等の各種の遊技状態が設定されている。CPU73は、役の抽選結果に基づいて遊技状態の移行を制御する。
更に、CPU73は、演出制御基板80へコマンドを送信する処理を行う。CPU73から演出制御基板80に送信するコマンドには多くの種類がある。例えば、役の抽選処理の結果に基づいて作成される遊技の演出に関するコマンド(演出コマンド)や、遊技者によって所定の操作が行われたときに作成されるコマンド(操作コマンド)等がある。
尚、回胴式遊技機に関しては、さまざまな規格が定められている。その一つに、スタートレバー18を操作してから4.1秒を経過しないと、次にスタートレバー18を操作しても、回胴リール11a,11b,11cが回転しないという規格がある。このため、CPU73は、かかる規格に合致するように、回胴リール11a,11b,11cの駆動開始制御を行う。但し、スタートレバー18を操作してから4.1秒以内に、次にスタートレバー18を操作した場合であっても、CPU73が、投入メダル検出センサ61、MAXベットボタン操作検出センサ62、一枚投入ボタン操作検出センサ63のいずれかから信号をすでに受けていれば、乱数値に基づく抽選処理は行われる。
演出制御基板80は、主に遊技の演出に関する制御を行うものである。演出制御基板80には、複数の集積回路素子が実装されている。具体的に、演出制御基板80は、図2に示すように、ROM81と、RAM82と、CPU83とを備える。ROM81には、遊技演出の制御等に関する各種のプログラム、画像演出用コマンドデータや電飾演出用パターンデータ等の各種のデータが格納されている。また、RAM82は、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。尚、本実施形態では、CPU83として、パラレル通信機能とシリアル通信機能とを兼ね備えるものを用いている。また、演出制御基板80は音声データを生成してスピーカ部50を駆動するための音源LSIや音源データやアンプ等を有するが、本実施形態では、説明を簡略化するために、音声データの生成のための装置については詳細な説明を省略する。
本実施形態の演出制御基板80は、双方向シリアルバス方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板90を備える遊技機に対しても、また三線式シリアル通信方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板90aを備える遊技機に対しても、共通して使用することができる。まず、演出制御基板80が双方向シリアルバス方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板90に接続される場合について説明する。図3は双方向シリアルバス方式でデータの転送を行なうサブ基板90と演出制御基板80との間の接続を示す概略ブロック図である。本実施形態では、演出用表示灯を、トップLED基板(グループ1)、パネルLED基板(グループ2)、バックライト基板(グループ3)の3つのグループに分けてシリアル・データを用いて点灯・制御している。また、冷陰極管基板とソレノイドは、普通のON・OFF信号を用いて制御する。ここで、双方向シリアルバス方式とは、集積回路素子を複数個並列に接続可能な伝送線を介して情報を双方向に逐次伝送する方式である。特に、本実施形態では、双方向シリアルバス方式として、I2Cバス(Inter-Integrated Circuit Bus)方式を採用している。本実施形態のI2Cバスは、フィリップス社によって開発されたI2Cバスを用いている。尚、以下では、双方向シリアルバス方式をI2Cバス方式とも称する。また、本実施形態では、主制御基板70と演出制御基板80との間では、パラレル通信方式により信号送信が行われる。
図3に示すように、演出制御基板80には、信号方向自動切換機能を持つ双方向バスバッファ(P82B96)である二つのI2Cバッファ110a,120aと、一つの普通バッファ130aと、6つの接続端子を持つコネクタCNaが設けられている。サブ基板90には、同様に信号方向自動切換機能を持つ双方向バスバッファ(P82B96)である二つのI2Cバッファ110b,120bと、一つの普通バッファ130bと、6つの接続端子を持つコネクタCNbが設けられている。
I2Cバスは、一般に、二本のワイヤー(信号伝送線)からなる簡単な構造の双方向性バスである。すなわち、I2Cバスは、シリアル・データ線(SDA)とシリアル・クロック線(SCL)という二本のバス・ラインのみで構成される。図3に示すI2Cバスは、2本のSDA1,SDA2と、2本のSCL1,SCL2とを備える。このバス・ラインには、回路基板や集積回路素子等の複数のデバイスの並設が可能である。また、I2Cバスに接続されている各デバイスはそれぞれ固有のアドレスを持つので、その固有アドレスを用いることにより、ソフトウエアによる各デバイスのアドレス指定が可能である。更に、かかるI2Cバスには、集積回路素子間相互の制御を効率よく行うことができ、ハードウエアの効率を最大限に引き上げ、回路の簡素化を図ることができるといった、さまざまな利点がある。本実施形態では、演出制御基板80内の複数の集積回路素子の間でも、I2Cバス方式により情報の伝送が行われる。
ところで、図3に示すように、演出制御基板80がI2Cバス方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板90に接続される場合、二組のI2Cバスを用いて、合計4本の通信線だけで制御に必要な全てのデータをサブ基板90に転送することも可能である。しかしながら、二組のI2Cバスを用いて、合計4本の通信線だけで全てのデータを転送すると、後述する三線式シリアル通信方式を用いるサブ基板90aと演出制御基板80とを接続するときに必要となる6個の接続端子に比べて2個少ない接続端子で接続できてしまう。すなわち、後述するサブ基板90aとの接続のために演出制御基板80に配置されている6個の接続端子のうちの2個の接続端子が余ってしまう。このように何れの基板とも接続されない空き端子を設けると、この空き端子を用いて演出制御基板80に不正な信号を入力したり、当該基板から不正に信号を取り出したりする不正行為を許すことになる。そこで、本実施形態では、このような空き端子を設けないように、サブ基板90が制御するもののうち、クロック信号やラッチ信号を必要とせず、ON・OFF信号だけで制御できる冷陰極管と、前扉の開閉をロックするためのソレノイド48とを、この空き端子を用いて制御することにしている。この二つのON・OFF信号を転送するために、図3に示す演出制御基板80は、二つのI2Cバッファ110a,120aの他に、普通のON・OFF信号を転送するための一つの普通バッファ130aを備えている。同様にサブ基板90も、二つのI2Cバッファ110b,120bの他に、普通のON・OFF信号を転送するための一つの普通バッファ130bを備えている。
CPU83は、ROM81に格納されたプログラムを実行することにより、電飾表示部40等を制御する。具体的には、CPU83は、主制御基板70から演出コマンドを受けたとき、その演出コマンドに基づいて遊技の演出の内容を決定する。CPU83は、その決定した内容に対応する電飾演出用パターンデータをROM81から読み出した後、その電飾演出用パターンデータに基づいて所定の点灯指令信号を生成する。また、CPU83は、その生成した点灯指令信号を二組のI2Cバスと、二つのI2Cバッファ110a,120aを用いてサブ基板90に送出し、サブ基板90を介して3つのグループに分けた演出用表示灯の点灯を制御する。また、CPU83は、画像演出用コマンドデータに基づいて、冷陰極管の点灯を制御するためのON・OFF信号を普通バッファー130aを介してサブ基板90に送る。サブ基板90の駆動回路92は、このON・OFF信号に基づいて、冷陰極管基板の点灯を制御する駆動パルス信号を生成して、冷陰極管基板に送り、冷陰極管の点灯を制御する。さらに、演出制御基板80は、ソレノイド48を制御するためのON・OFF信号を、普通バッファ130aを介してサブ基板90に送る。サブ基板90の駆動回路92は、このON・OFF信号に基づいて、ソレノイド48を制御する駆動パルス信号を生成して、ソレノイド48に送り、ソレノイドの開閉を制御する。
サブ基板90は、演出制御基板80が行う遊技演出の制御のうち主として電飾表示部40に対する制御を補助する役割を果たすものである。具体的に、サブ基板90は、演出制御基板80から送られる点灯指令信号に基づいて電飾表示部40の点灯・消灯を制御する。サブ基板90には、図3に示すように、入出力エキスパンダ(PCA9532)91、I2Cバッファ110b,120b等の複数の集積回路素子が実装されている。そして、これらの集積回路素子の間では、I2Cバス方式によりデータの転送が行われる。この場合も、双方向シリアルバス方式としてI2Cバス方式が採用されている。なお、冷陰極管やソレノイドの制御は、I2Cバスと入出力エキスパンダ91を用いて行なうことが可能であるが、上述した理由から、本実施形態では、ON・OFF信号により制御することとしている。
次に、サブ基板90の入出力エキスパンダ91について詳しく説明する。入出力エキスパンダ91と二つのI2Cバッファ110b,120bとの間は、I2Cバス・ライン(SDAとSCL)により接続されている。この入出力エキスパンダ91は、信号の入出力数を増やすための集積回路素子である。ここでは、入出力エキスパンダ91として、16ビットの信号を入出力させることができるものを用いている。具体的に、入出力エキスパンダ91からの各信号は、電飾基板(トップLED基板44a,44b,44c、パネルLED基板45a,45b,・・・,45h、バックライト基板46a,46b,46c)に出力される。ここで、入出力エキスパンダ91は、I2Cバッファ110b,120bを介して送られたシリアル信号をパラレル信号に変換して、上記の各基板に出力する。
ところで、本実施形態では、入出力エキスパンダ91としては、信号の入出力数を増やすという機能だけを有するものではなく、さまざまな機能が付加されたものを用いている。具体的に、この入出力エキスパンダ91は、演出制御基板80からの点灯指令信号に基づいて演出用表示灯の点灯を制御する。すなわち、入出力エキスパンダ91は、LEDディマー(Dimmer)としての役割をも果たす。実際、入出力エキスパンダ91は、各演出用表示灯をON制御、OFF制御、あるいはPWM制御することができる。ここで、ON制御とは、単に演出用表示灯を点灯し続ける制御であり、OFF制御とは、単に演出用表示灯を消灯し続ける制御である。PWM制御とは、演出用表示灯に駆動用のパルス信号を出力し、そのパルス幅に応じて各演出用表示灯の点灯時間を変化させる制御である。すなわち、パルス信号がONのときに演出用表示灯が点灯し、パルス信号がOFFのときに演出用表示灯が消灯する。かかるPWM制御を行うために、入出力エキスパンダ91には、パルス信号を発生させるパルス発振器が内蔵されている。尚、本実施形態では、上述したように冷陰極管に対してはPWM制御を行わず、演出制御基板80から普通バッファ130aを介して送られてくるOF・OFF信号に基づいて点灯を制御することにしている。
また、入出力エキスパンダ91には、PWM制御を行うために必要な情報を記憶するPWM制御用のレジスタが設けられている。このPWM制御用レジスタとしては、PCSレジスタと、PWMレジスタとがある。PCSレジスタには、パルス幅の周期(パルス間隔)が記憶され、PWMレジスタには、デューティ(duty)比が記憶される。ここで、デューティ比とは、パルス幅の周期に対するパルス幅の割合である。
入出力エキスパンダ91は、ON制御を行う場合には、PWM制御用レジスタの内容を無視して、パルス発振器から常にオンの信号を発生させて電飾基板に送出する。同様に、入出力エキスパンダ91は、OFF制御を行う場合には、PWM制御用レジスタの内容を無視して、パルス発振器から常にオフの信号を発生させて電飾基板に送出する。また、入出力エキスパンダ91は、PWM制御を行う場合には、PWM制御用レジスタに記憶されているパルス幅の周期及びデューティ比に従ったパルス信号をパルス発振器から発生させて、電飾基板に送出する。
本実施形態では、演出用表示灯を制御する場合、演出制御基板80は、演出制御基板80とサブ基板90との間の信号送信を、I2Cバスを用いたシリアル通信方式により、入出力エキスパンダ91に対して点灯指令信号を送ればよい。ここで、かかる点灯指令信号としては、コマンド命令が用いられる。演出制御基板80が入出力エキスパンダ91に対して送信する点灯指令信号には、大きく分けて、次の三つの信号が含まれる。第一に、点灯制御方法の選択信号がある。この点灯制御方法の選択信号は、ON制御、OFF制御、PWM制御のうちいずれの方法により点灯制御を行うかを指定するものである。第二に、PWM制御を行う場合におけるパルス幅の周期の設定信号である。第三に、PWM制御を行う場合におけるデューティ比の設定信号である。パルス幅の周期の設定信号は、入出力エキスパンダ91のPCSレジスタに記憶され、デューティ比の設定信号は、入出力エキスパンダ91のPWMレジスタに記憶される。本実施形態では、これらのレジスタとして8ビットのものを用いているので、パルス幅の周期を、例えば0.16secから1.6secまでの範囲において256段階で設定することが可能である。また、デューティ比も、パルス幅の周期の各設定値に対して256段階で設定することが可能である。このように、演出制御基板80のCPU83は、PWM制御を行う場合、演出用表示灯の点灯タイミングを制御する必要はなく、上述した点灯指令信号を入出力エキスパンダ91に送信するだけでよいので、CPU83の作業負担を軽減することができる。
次に、演出制御基板80とサブ基板90との間でデータの転送を行うときの処理手順について説明する。まず、データを送信する演出制御基板80の側では、シリアル・データ線1(SCL1)を使用して16ビットのデータを送り、クロック線1(SCL1)を用いてクロック信号をサブ基板90転送する。また、シリアル・データ線2(SCL2)を使用して16ビットのデータを送り、クロック線2(SCL2)を用いてクロック信号をサブ基板90転送する。更に、出力線1及び出力線2を使用して2つのON・OFF信号をサブ基板90に転送する。
一方、データを受信するサブ基板90の側では、シリアル・データ線(SDA1)を介して受信した16ビットのシリアル・データと、クロック線1(SCL1)を介して受信したクロック信号とに基づいて、16ビットのシリアル・データをパラレルデータに変換する。また、入出力エキスパンダ91は、このパラレルデータを使用して、例えばグループ1のトップLED基板及びグループ2のパネルLED基板の点灯を制御する。また、シリアル・データ線2(SDA2)を介して受信した16ビットのシリアル・データと、クロック線2(SCL2)を介して受信したクロック信号に基づいて、16ビットのシリアル・データをパラレルデータに変換する。また、入出力エキスパンダ91は、このパラレルデータを使用して、例えばグループ3のバックライト基板の点灯を制御する。また、サブ基板90は、出力線1を介して受信したON・OFF信号に基づいて、冷陰極管の点灯を制御し、出力線2を介して受信したON・OFF信号に基づいて、ソレノイドの開閉を制御する。
次に、演出制御基板80が三線式シリアル通信方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板90a接続される場合について説明する。図4は三線式シリアル通信方式でデータの転送を行なうサブ基板90aと演出制御基板80との間の接続を示す概略ブロック、図5はサブ基板90aの入出力エキスパンダ91a内のシリアルイン・パラレルアウト変換IC(以下、シリ・パラ変換ICと称する。)の接続を説明するための概略回路図である。図4及び図5に示すサブ基板90aは、演出用表示灯を、トップLED基板(グループ1)、パネルLED基板(グループ2)、バックライト基板(グループ3)、冷陰極管基板(グループ4)の4つのグループに分けて点灯・制御している。なお、サブ基板90aは、ソレノイドの制御は行わないものとする。また、図5では、図を簡略化するために、普通バッファは省略している。また、図4において、図3に示すものと同一の機能を有するものには、同一の符号或いは対応する符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
本実施形態では、図4に示すように、演出制御基板80とサブ基板90aの間は、三線式シリアル通信方式によりデータの転送を行っている。三線式シリアル通信方式は、前述したように、データ線とクロック線とラッチ線の3本の通信線を用いてデータを転送する通信方式である。しかしながら、本実施形態では、演出制御基板80とサブ基板90とは、4本のデータ線(DATA1〜4)と一本のクロック線(CLK)と一本のラッチ線(LCH)の合計6本の通信線により接続されている。データ線については、上述した4つに分けた各グループを別個に制御するために4種類のデータが必要となるので、4本設けている。このように4本のデータ線を使用しているのは、次の理由による。本実施形態では、サブ基板90aの制御対象を4つのグループに分けて各々を独立して制御しており、また、入出力エキスパンダ91が16ビットのシリ・パラ変換ICを用いているので、仮に1本のデータ線で、4グールプの制御を行うとすると、一回のデータ転送に16×4=64ビットのデータを送る必要がある。したがって、4つのグループのうちのどれか1のグループだけのデータを変えるときにも、4グループ分の64ビットのデータを送る必要があり、1本のデータ線でデータを転送すると、データ転送に時間がかかる。このため、本実施形態では、4本のデータ線を用いてデータの高速転送を行っている。
また、本実施形態では、図5に示すように、クロック線とラッチ線は4個のデータ線に対して共通に使用するために、分岐させて各シリ・パラ変換IC911〜914に接続している。すなわち、本実施形態では、4種類のデータを転送するのに、共通のクロック信号と共通のラッチ信号とを用いている。また、データ線1〜4(DATA1〜4)とクロック線(CLK)とラッチ線(LCH)は、演出制御基板80側では、I2Cバッファ110a.120aと普通のバッファ130aを介してCPU83の同一の入出力ポート83aに接続される。このように、4本のデータ線1〜4(DATA1〜4)を、CPU83の同一の入出力ポート83aに接続することにより、4本のデータ線で送られる4種類のデータに対して共通のクロック信号を用いることができる。また、サブ基板90a側でも、4本のデータ線1〜4(DATA1〜4)は、入出力エキスパンダ(PCA9532)91aの同一の入出力ポート91bに接続されている。
図4及び図5に示すサブ基板90aは、4本のデータ線と1本の共通クロック線と1本の共通ラッチ線の合計6本の通信線でデータの転送を行なうために、三組の普通バッファ110c,120c130bと6個の接続端子を有するコネクタCNbとを備えている。また、図4に示す演出制御基板80は、図3に示す演出制御基板80と同一のものであり、演出制御基板80にも、この6本の通信線を接続するための6個の接続端子を備えるコネクタCNaが配置されている。なお、演出制御基板80に搭載されている本実施形態のI2Cバッファは、I2Cバス用のバッファとして使用することができるだけでなく、普通のバッファとしても使用することができる。
ところで、三線式シリアル通信方式では、シリアル信号をラッチするためのラッチ信号は、各データ線毎に異なる場合がある。例えば、本実施形態では、データ線1(DATA1)で転送するデータは16ビット、データ線2(DATA2)で転送するデータは12ビット、データ線3(DATA3)で転送するデータは8ビット、データ線4(DATA4)で転送するデータは4ビットである。この場合、従来の通信方法では、各データごとにラッチ信号が異なり、したがって各データ線毎にラッチ信号を送るためのラッチ線を設けなければならない。
これに対して、本実施形態では、4種類のデータに対して共通のラッチ信号を使用するために、各データ線で送るデータに必要に応じて空のデータを付加し、転送する全てのデータのデータ長を揃えている。すなわち、本実施形態の場合、一番長いデータ長はデータ線1(DATA1)で転送する16ビットのデータであるので、他のデータ線、例えばデータ線2(DATA2)で転送する12ビットのデータには4ビットの空のデータを付加し、データ線3(DATA3)で転送する8ビットのデータには8ビットの空のデータを付加し、データ線4(DATA4)で転送する4ビットのデータには12ビットの空のデータを付加する。CPU83は、これらのデータ線2〜4(DATA2〜4)の各データを送るときには、各々のデータ長を16ビットにするために、上述した空のデータを付加して、サブ基板90に送る。なお、本実施形態では、空のデータを付加するときには、全て、転送する実際のデータ(実データ)の前に付加するものとし、実データは後に配置する。
サブ基板90aの入出力エキスパンダ91aは、各データ線1〜4(DATA1〜4)から送られてきた、シリアル・データをシリ・パラ変換IC911〜914によりパラレルデータに変換する。このシリ・パラ変換を行う際に、シリ・パラ変換IC911により変換された16ビットのパラレルデータは全てのビットをパラレルデータとして使用する。一方、シリ・パラ変換IC912で変換された16ビットのデータは、実際のデータ長は後の方の12ビット分であり、前の方の4個は空のデータであるので、パラレル変換されたデータのうち1〜4ビット目までは使用せずに、5〜16ビット目までを実データとして取り出して使用する。また、シリ・パラ変換IC913により変換された16ビットのデータは、実際のデータ長は8ビットであり、前の方の8個は空のデータであるので、パラレル変換されたデータのうち1〜8ビット目までは使用せずに、9〜16ビット目までを実データとして取り出して使用する。シリ・パラ変換IC914で変換された16ビットのデータは、実際のデータ長は4ビットであり、前の方の12個のデータは空のデータであるので、パラレル変換されたデータのうち1〜12ビットを破棄して、13〜16ビットまでを実データとして取り出して使用する。
本実施形態の三線式シリアル通信方式の場合、上述したように、4本のデータ線1〜4(DARA1〜4)と、4本のデータ線に共通に使用する一本のクロック線(CLK)と一本のラッチ線(LCH)とを備える。したがって、図4に示す場合も、演出制御基板80とサブ基板90aとの間は、6本の通信線と6個の接続端子を備えるコネクタCNa,CNbを用いて接続しており、空いた接続端子はない。なお、三線式シリアル通信方式の場合、次のラッチ信号が送られるまでは、データ線で送るデータの内容は変わらない。
次に、演出制御基板80とサブ基板90aとの間でデータの転送を行うときの処理手順について説明する。まず、データを送信する演出制御基板80の側では、データ線1(DATA1)を使用して16ビットのデータを送るときには、空のデータを付加することなく送る。データ線2(DATA2)を使用して12ビットのデータを送るときには、12ビットのデータの前に4ビットの空のデータを付加し、16ビットのデータ長にして送る。データ線3(DATA3)を使用して8ビットのデータを送るときには、8ビットのデータの前に8ビットの空のデータを付加し、16ビットのデータ長にして送る。データ線4(DATA4)を使用して4ビットのデータを送るときには、4ビットのデータの前に12ビットの空のデータを付加し、16ビットのデータ長にして送る。なお、付加する空のデータは、点灯制御には使用しないので、どのようなもの、例えば全て「H」或いは全て「L」などであってもよい。また、クロック線(CLK)を介してクロック信号を、ラッチ線(LCH)を介してラッチ信号を送る。なお、ラッチ信号は、シリアル・データの転送終了時に出力されるパルスである。
一方、データを受信するサブ基板90aの側では、入出力エキスパンダ91aのシリ・パラ変換IC911〜914は、受信したクロック信号とラッチ信号に基づいて、各データ線の16ビットのシリアル・データをパラレル・データに変換する。また、入出力エキスパンダ91aは、データ線1(DATA1)を介して転送された16ビットの全てのパラレルデータを使用してグループ1のトップLED基板の点灯を制御する。また、データ線2(DATA2)を介して転送された16ビットのデータは、後の方の12ビットだけを使用する。入出力エキスパンダ91はこの12ビットのデータを用いて、グループ2のパネルLED基板の点灯を制御する。また、データ線3(DATA3)を介して転送された16ビットのデータは、後の方の8ビットだけを使用する。入出力エキスパンダ91はこの8ビットのデータを用いて、グループ3のバックライト基板の点灯を制御する。更に、データ線4(DATA4)を介して転送された16ビットのデータは、後の方の4ビットだけを使用する。入出力エキスパンダ91はこの4ビットのデータを用いて、グループ4の冷陰極管基板の点灯を制御する。すなわち、データを受信する側のサブ基板90aでは、シリ・パラ変換した16ビットのパラレルデータのうち、実際のデータである実データのみを使用し、付加された空のデータを破棄することにより、各データ線から送られてきたデータ長の異なるデータでも、確実に実データのみを用いて、演出用表示灯の点灯を制御することができる。
演出制御基板80のCPU83は、図3に示す場合と同様に、ROM81に格納されたプログラムを実行することにより、電飾表示部40等を制御する。具体的には、CPU83は、主制御基板70から演出コマンドを受けたとき、その演出コマンドに基づいて遊技の演出の内容を決定する。また、CPU83は、その決定した内容に対応する電飾演出用パターンデータをROM81から読み出した後、その電飾演出用パターンデータに基づいて所定の点灯指令信号を生成する。そして、CPU83は、その生成した点灯指令信号を4本のデータ線と1本のクロック線と1本のラッチ線と2つのI2Cバッファ110a,120aと普通バッファ130aを用いてサブ基板90aに送出し、サブ基板90aを介して演出用表示灯の点灯等を制御する。なお、図4では、サブ基板90aが3個の普通バッファ110c,120c,130bを備える場合について説明したが、この普通バッファ110c,120cは、図3に示すものと同じI2Cバッファを用いても良い。
図5に示すサブ基板90aによる制御と図3に示すサブ基板90による制御は、演出用表示灯の点灯を制御する方法が若干異なる。すなわち、入出力エキスパンダ91aは、I2Cバスを使用する図3場合と異なり、演出用表示灯の明るさを連続的に滑らかに変化させてフェードインしたり、フェードアウトしたりする制御を行うことはできない。サブ基板90aは、フェードインしたり、フェードアウトしたりする制御を行う場合、明るさを階段的にしか変化させることができない。図3に示すI2Cバス方式の場合、デューティ比が変わらなければ、デューティ比のデータを送る必要がないのに対して、三線式シリアル通信方式の場合、毎回デューティ比のデータを送る必要があり、転送するデータ量がI2Cバス方式に比べて多いからである。また、サブ基板90aは、演出制御基板80から送られるシリアル・データに基づいて冷陰極管及びソレノイドの制御を行う。その他の作用・効果は、図3に示すものと同様である。
上記の本実施形態によれば、演出制御基板80は一方向の三線式シリアル通信方式及びI2Cバス方式の何れの方式でもデータの転送することができるバッファ装置を搭載することにより、演出制御基板80を、I2Cバス方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板を備える遊技機に配置するときも、また三線式シリアル通信方式を用いてデータの転送を行なうサブ基板を備える遊技機に配置するときも、同じ演出制御基板を使用することができる。したがって、本実施形態によれば、三線式シリアル通信方式を用いる基板を備える機種用の演出制御基板とI2Cバス方式を用いる基板を備える機種用の演出制御基板とを別個に開発・設計しなければならなかった従来の演出制御基板の開発・設計に比べて、演出制御基板の開発・設計を短期間で、効率良く行なうことができる。
また、上記の実施形態によれば、演出制御基板は、I2Cバス方式を用いてデータの転送を行なう基板と接続するときも、また三線式シリアル通信方式を用いてデータの転送を行なう基板と接続するときも、空き接続端子は生じない。したがって、本実施形態よれば、演出制御基板80を、I2Cバス方式を用いてデータの転送を行なう基板と接続するときも、また三線式シリアル通信方式を用いてデータの転送を行なう基板と接続するときも、空き接続端子を用いた不正行為を確実に防止することができる。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態では、本発明の基板が演出制御基板であり、本発明の他の基板がサブ基板である場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば本発明の基板がサブ基板で、他の基板が液晶制御基板であってもよい。
また、上記の実施形態では、4本のデータ線を用いる三線式シリアル通信方式について説明したが、三線式シリアル通信方式は、1本、2本又は3本のデータ線を用いるものであってもよいし、5本以上のデータ線を用いるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、本発明を、遊技媒体としてメダルを使用した回胴式遊技機に適用した場合について説明したが、例えば、パロット機、パチロット機等と称される、遊技媒体としてパチンコ球を使用したスロットマシン遊技機に適用してもよい。更に、本発明をパチンコ遊技機に適用してもよい。