JP4678935B2 - 液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents

液晶表示装置の駆動方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4678935B2
JP4678935B2 JP2000356605A JP2000356605A JP4678935B2 JP 4678935 B2 JP4678935 B2 JP 4678935B2 JP 2000356605 A JP2000356605 A JP 2000356605A JP 2000356605 A JP2000356605 A JP 2000356605A JP 4678935 B2 JP4678935 B2 JP 4678935B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
voltage
alignment film
display device
driving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000356605A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001215471A5 (ja
JP2001215471A (ja
Inventor
瑠茂 佐竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2000356605A priority Critical patent/JP4678935B2/ja
Publication of JP2001215471A publication Critical patent/JP2001215471A/ja
Publication of JP2001215471A5 publication Critical patent/JP2001215471A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4678935B2 publication Critical patent/JP4678935B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Display Device Control (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本明細書において、液晶表示装置とは液晶層に電圧を印可することで、液晶層に入射した光の偏光、散乱又は波長特性を変えて明暗の表示を行う表示装置を示す。
【0002】
本明細書において、無しきい値液晶、V字液晶又はカイラルスメクチックCR相を有する液晶とは、相転移前駆現象が顕著に起こるため、明確なしきい値を有さない液晶を示す。かつ、これらの液晶は絶対値の等しい正極性及び負極性の電圧を印加したときに、その電圧における液晶のチルト角が等しく、透過率が一義的に定まるという特性を有する。
【0003】
本明細書において、能動素子とは、外部の電源による電力を入力信号に応じて制御する素子を示す。能動素子として、薄膜トランジスタ、電界効果型トランジスタ、ダイオードが上げられる。
【0004】
本明細書において薄膜トランジスタとは半導体層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を有する半導体素子をいう。
【0005】
本発明は自発分極を有する液晶のうち、明確なしきい値を有さず中間調表示が可能な無しきい値液晶の材料特有のヒステリシスを低減し、良好な階調表示を行うことができ、同時に高速応答化をはかることができる駆動方法について示す。
【0006】
【従来の技術】
液晶パネルは薄型、軽量、低消費電力という利点がある。最近はポータブルTV、壁かけTVなど動画レベルの高速応答が要求される表示装置にも用いられている。また大画面表示ができることから、50インチリアプロジェクターなどプロジェクターパネルとして用いることもできる。
【0007】
液晶配向モードとして4〜5μmくらいのセルギャップのTNモードが配向制御の容易さから汎用されている。ただしTNモードは配向膜の配向規制力が強いため、白レベルに近い中間調表示の応答速度が遅く、高速の動画表示をした場合に液晶の応答がついていけずフリッカーとなって見えてしまう。
【0008】
TNモードに変わるネマチック液晶を使った高速応答化技術として、HANモード、OCBモード、2〜3μmとセルギャップを狭くして電界強度を強くし高速応答化したTNモード、配向膜の配向規制力が小さいためTNに比べ高速応答が期待されている垂直配向モード等がある。ただしネマチック液晶でマイクロ秒レベルの応答は難しい。
【0009】
ネマチック液晶に代わる材料として自発分極を有する液晶があり、自発分極と電界の相互作用でスイッチングするためマイクロ秒レベルの高速応答ができる。例えば単純マトリクスパネルには三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶が使われている。三安定の反強誘電性液晶の印加電圧と透過率の関係を図7(A)に、双安定強誘電性液晶の印加電圧と透過率の関係を図7(B)に示す。このように三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶は白レベルと黒レベルの二値が安定である。中間調表示をするためには、白と黒の画素数を調節しグレースケールを表示する面積階調、表示時間を調節する時間階調などの方法がある。パネルとして使う場合、通常液晶の応答は白レベルと黒レベルの間で行われる。
【0010】
単純マトリクスパネル(図8)は、走査線(X1、X2…Xn)801と信号線(Y1、Y2…Yn)802がマトリクス状に配置されたものである。三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶を単純マトリクスパネルに用いるには、ヒステリシス幅が大きい方が良い。ヒステリシスとは電圧経路による透過率の差をいう。ヒステリシス幅(図7の701)を同じ透過率を示す電圧値の差で定義する。たとえば単純マトリクスパネルで三安定の反強誘電性液晶を駆動するには、バイアス駆動をするのが適当である。黒レベルを表示するときも、液晶パネルにバイアス電圧が常に印加された状態になるため、良好な黒レベルを出すためにはバイアス電圧をかけても透過率の変化しない領域のある、明確なしきい値特性をもつ液晶を使うのが望ましい。
【0011】
双安定の強誘電性液晶、三安定の反強誘電性液晶に代わり、アナログ階調できる自発分極液晶として無しきい値液晶、あるいはV字液晶と呼ばれている液晶が注目されている(カシオ計算機 特開平9−50050号公報、特開平10−301091号公報)。無しきい値液晶はバルクの状態ではカイラルスメクチックCA相を示すが基板間に封入されると通常と異なり基板主面に対しチルトを持った状態で配向しこのチルトが印加電界に応じて連続的に変化する。液晶がその全厚にわたって混合相になっているのでダイレクタの動きが滑らかであり、明確なしきい値がなく、ヒステリシスがでにくい。このため三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶では困難であった階調表示が容易にできる。かつ自発分極があるため、電界との相互作用で高速のスイッチングをする。三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶にはないドメインレスのスイッチングをするため、中間調表示においてもドメインが少なく、かつ、高コントラストな表示が得られるという特徴がある。
【0012】
また無しきい値液晶は電界無印加時に、層間で液晶分子の傾きが相関を有していないSmCR*相(カイラルスメクチックCR相)を持つとも言われている。電圧を印加していないときに液晶のダイレクタがコーンにおいて任意のチルト角で配向しており、各層で異なったチルト角を持つため、全体として液晶の自発分極が相殺されて0になっている。液晶の平均の光軸はコーンの中心軸と等しい(特開平10−082985号公報)。
【0013】
無しきい値液晶のヒステリシスは図7の三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶に比べ小さい。無しきい値液晶は明確なしきい値特性を有さず、印加電圧に応じて単調に明るさが増加していくため、一般的にアクティブマトリクスパネルに使われる。単純マトリクスパネルは、液晶に常にバイアス電圧がかかるバイアス駆動で、液晶を駆動しているが、このようなバイアス駆動で無しきい値液晶を駆動すると、液晶がバイアス電圧によりスイッチングしてしまい、良質な黒レベルが達成できない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
第一に本発明は駆動方法を改善することにより無しきい値液晶、V字液晶又はカイラルスメクチックCR相を有する液晶に若干見られるヒステリシスを低減し、良好な階調表示をするものである。
【0015】
本発明は、無しきい値液晶、V字液晶又はカイラルスメクチックCR相を有する液晶に等しく用いることができる。ただし、以降説明を簡略にするために、これらの液晶を無しきい値液晶という言葉で代表して説明する。
【0016】
図9(1)〜図9(2)の各図は後述するセル電圧と透過率の関係を示している。無しきい値液晶は液晶セルの条件によっては図9のように若干のヒステリシスがでてしまう。図9(1)〜図9(2)は、無しきい値液晶のヒステリシスの特徴を示している。図9(1)は、配向膜の膜厚によるヒステリシスの変化を示している。図9(1)の(A)は配向膜が薄い場合、図9(1)の(B)は配向膜が厚い場合である。図9(2)は、自発分極によるヒステリシスの変化を示している。図9(2)の(A)は自発分極が小さい場合、図9(2)の(B)は自発分極が大きい場合である。特に配向膜厚が薄い場合や(Liquid Crystals,1998,Vol.25 LCT100975 Fukuda)液晶の自発分極が小さい場合は、ヒステリシスがでやすい。本発明はこのように液晶の自発分極が小さい場合や、配向膜の膜厚が薄い場合に有効である。
【0017】
第二に本発明は駆動方法を改善することにより、無しきい値液晶の応答速度についてさらなる高速化をはかるものである。特に自発分極が40nC/cm2と、無しきい値液晶としては比較的自発分極の小さな液晶に効果がある。
【0018】
第三に本発明の駆動方法はアクティブマトリクス駆動において能動素子の耐電圧の関係で後述の外部電圧に制限のあるような場合に、充分な白レベルを確保し、同時にヒステリシスを防ぐことを課題とする。なお本明細書で、耐電圧を有するとは、能動素子が液晶に印加できる電圧値が上限を有することをいう。本発明は、外部電圧に制限がある場合に、配向膜による電圧損失を防ぐために、配向膜の膜厚を薄くして、良好な白レベルが得られるようにしたときに出るヒステリシスを低減する効果があるものである。かつ、本発明は自発分極の反転に伴う電位の低下を防ぐために、液晶の自発分極を小さくして、良好な白レベルが得られるようにしたときに出るヒステリシスを低減する効果があるものである。
【0019】
能動素子としては、薄膜トランジスタ、ダイオード(二端子素子)等があるが、本明細書では薄膜トランジスタを例にとって説明する。図10のように走査線1002と信号線1001がマトリクス状に配置された交点に液晶を駆動するスイッチング素子として薄膜トランジスタ1003がある。信号線により付与される信号電圧に応じて液晶層1004を誘電体とした補助容量と、液晶層に並列接続した補助容量1005に電荷が供給される。本明細書では、
○外部電圧…薄膜トランジスタでは信号電圧に相当する。走査線1001の選択期間に液晶層1004と補助容量1005にかかる電圧。
○セル電圧…液晶層1004に印加される電圧、つまり配向膜と液晶にかけられる電圧
○液晶実効電圧…液晶のみにかけられる電圧
と定義する。無しきい値液晶の自発分極の反転により外部電圧に比べセル電圧が低下し、配向膜の電圧損失によりセル電圧に比べ液晶実効電圧が低下するため、外部電圧に比べセル電圧のほうが小さくなり、セル電圧に比べ液晶実効電圧の方が小さくなる。
【0020】
無しきい値液晶では図9(1)の(B)のように配向膜厚が厚い場合には、ヒステリシスが小さくなる傾向がある。ただし、やみくもに配向膜の膜厚を厚くしてヒステリシスを抑えれば良いかというとそうではない。配向膜と誘電率の高い自発分極液晶とが直列接続しているため、配向膜が厚く電圧損失が大きいと液晶にかかる液晶実効電圧が低くなり、液晶が充分に反転できず白レベルが充分にとれない。外部電圧を±10〜±20Vに上げることで、液晶にかかる液晶実効電圧を上げる方法もあるが、外部電圧が±5V〜±7Vと低い薄膜トランジスタでは外部電圧を上げることには制限がある。このため、外部電圧に制限のあるアクティブマトリクス駆動で白レベルを良くするには配向膜を薄くして液晶にかかる実効電圧を高くすることが望ましい。しかし、アクティブマトリクス駆動で白レベルを充分にとれるように配向膜の膜厚を最適化すると、液晶の自発分極の大きさにもよるが最適な配向膜厚が薄くなり、ヒステリシスがでやすくなる。
【0021】
つまり、無しきい値液晶をアクティブマトリクス駆動するときには、配向膜の膜厚を厚くすると、ヒステリシスが抑制されるが、配向膜の膜厚を厚くすると良好な白レベルが得られないという関係がある。しかし、本発明を用いれば、配向膜の膜厚を薄くして出るヒステリシスを低減できる。
【0022】
無しきい値液晶では図9(2)の(B)のように自発分極が大きい場合にヒステリシスが小さくなる傾向がある。しかし、やみくもに自発分極を大きくすれば良いかというとそうではない。薄膜トランジスタは定電荷駆動であり、自発分極が大きすぎると、無しきい値液晶の自発分極を反転するのに充分な電荷を供給できず、白レベルが悪くなる。
【0023】
薄膜トランジスタにより液晶を駆動するときに、走査線を選択した期間に並列に接続した液晶セル及び補助容量に外部電圧を印加しても、自発分極の反転にともなって液晶セルと補助容量に蓄積された電荷が減っていき、自発分極が反転した後のセル電圧が走査線を選択した期間に印加した外部電圧に比べ低下してしまう。セル電圧が低下すると液晶実効電圧が低下し、液晶実効電圧が低下すると、白レベルが低下する。外部電圧を高くできるのならば、自発分極が反転した後に充分な白レベルを確保できるが、アクティブマトリクス駆動では能動素子の耐電圧の関係から外部電圧の高さに制限がある。
【0024】
このように能動素子の外部電圧に上限のある薄膜トランジスタによる駆動で、配向膜の膜厚を薄くし、配向膜による電圧損失を防ぎ、白レベルを良好にする場合や、補助容量の電位低下を防ぐために液晶の自発分極小さくする場合があるが、自発分極が小さい場合や、配向膜の膜厚が薄い場合は、どうしてもヒステリシスがでやすくなってしまう。
【0025】
つまり、無しきい値液晶をアクティブマトリクス駆動するときには、自発分極を大きくすると白レベルが悪くなるし、自発分極を小さくするとヒステリシスが大きくなるという関係がある。しかし本発明の駆動方法ではこういった自発分極の小さい無しきい値液晶を用いた条件で発生するヒステリシスを低減することができる。
【0026】
第四にヒステリシスを減らすために開示されている従来の駆動方法では、黒レベルが悪くなるが、本発明によれば、良好な黒表示を行うことができる。従来の駆動方法として、図1に示すように走査線選択期間101に焼き付き防止用のリセットパルスVL、液晶を所定位置に配向させる設定パルスVH、階調表示をするための階調表示パルスVDを印可するものがある(カシオ計算機 特開平10−073803号公報、10−082985号公報)。液晶を設定パルスVHで一定の配向状態にしてから、スイッチングさせることでヒステリシスを低減する駆動方法である。しかしこの場合、黒表示102をしたいときにも設定パルスVH2103によって表示される白レベル104がユーザーに認識されて、黒レベルと白レベルの混色が起こり、黒レベルの質が低下してしまう。
【0027】
第五に、本発明は、薄膜トランジスタのような能動素子に補助容量を直列接続して無しきい値液晶を駆動したときに良好な階調表示を行うことを課題とする。第1フレームで液晶層に+5V若しくは+1Vの電圧を印加するとする。交流駆動により、第1フレームと第2フレームで液晶層に印加される電圧の極性が変わり、第2フレームで液晶層に−3Vの電圧を印加するとする。このとき、無しきい値液晶の自発分極の反転に必要な電荷は、第1フレームの電圧により変わるので、第1フレームに液晶層に印加した電圧によって、第2フレームで液晶の自発分極が反転した後の明るさが異なる。つまり、第1フレームが+5Vのときの方が、第1フレームが+1Vのときに比べ、第2フレームの階調が暗くなる。無しきい値液晶を駆動するときには、前フレームの電圧によって、階調が変わってしまう。
【0028】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する手段を以下に示す。
【0029】
なお、本明細書において、0Vの電圧を液晶層に印加する期間を第1の期間、「0V」リセット期間又はリセット期間と称する。第1の期間において、液晶が0Vの電圧により指定される基準の位置にスイッチングする。第1の期間に液晶に電圧をかけて、液晶が0Vの電圧に応じて配向することを液晶がリセット位置にあるという。また、表示階調に対応した電圧を液晶層に印加する期間を第2の期間と称する。
【0030】
本発明は、無しきい値液晶を駆動するときに、第2の期間の前に0Vの電圧を液晶層に印加する第1の期間を設けて、無しきい値液晶を所定の位置から駆動して階調表示をすることで液晶のヒステリシスを防ぐものである。本発明を適用することで、配向膜が薄くヒステリシスがでやすいとき、自発分極が小さくヒステリシスがでやすいときも、良好な階調表示を行うことができる。
【0031】
第1の期間は階調表示をする第2の期間の前に設けてもよいし、後に設けても良い。第1の期間と第2の期間を交互に設けることで、無しきい値液晶を第1の期間により基準位置に戻してから、階調表示をすることになるからである。
【0032】
また、本発明は、能動素子、例えば、薄膜トランジスタに補助容量を直列に接続して無しきい値液晶を駆動するときに、第2の期間の前若しくは後に第1の期間を設ける。これにより液晶層を誘電体とする容量及び能動素子に直列接続した補助容量に蓄積された電荷を第1の期間に消滅させる。次いで、第2の期間において、液晶層を誘電体とする容量及び補助容量に電荷を供給して無しきい値液晶をスイッチングさせる。これにより前のフレームで補助容量及び液晶層を誘電体とする容量に蓄積された電荷の量に関わらず、第2の期間において無しきい値液晶が、供給された電荷に応じた一義的な位置にスイッチングする。
【0033】
また、本発明によれば、液晶層に0Vの電圧を印加する第1の期間を設けることで、無しきい値液晶の異極性の中間調間のスイッチングにかかる時間が遅いときも、第1の期間を経由して液晶をスイッチングさせて、液晶の応答時間を短縮することができる。つまり、本発明は、液晶の中間調間のスイッチングが、中間調間のスイッチングを「0V」を介しておこなうときに比べて著しく遅い場合に応答時間の改善効果がある。特に液晶の自発分極が40nC/cm2以下である場合に、中間調間での応答時間が長くなる傾向があるため、本発明は自発分極が40nC/cm2以下の無しきい値液晶を用いた液晶表示装置を駆動するのに特に有用である。
【0034】
また、本発明によれば、第1の期間の液晶配向により黒レベルが表示されるため、階調表示で黒を出す時も第1の期間に起因する混色が起こらない。かつ、第1の期間の液晶配向は自発分極が相殺された状態であるため、第1の期間に起因する液晶の焼付きが起こらない。
【0035】
本発明は、一対の基板と、前記一対の基板上に液晶の配向機能を有する配向層が形成され、液晶はカイラルスメクチックCR相を持ち、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、1つの画像を表示する期間を1フレーム期間とし、前記1フレーム期間において複数のサブフレーム期間を持ち、少なくとも一つのサブフレーム期間が第1の期間(リセット期間)であり、第1の期間においては、前記液晶に印可される電圧値を0Vにし、前記第1の期間の前、または後に第2の期間(階調表示をする期間)が設けられ所定の階調表示に対応した電圧値を有するパルスを液晶層に印加することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0036】
本発明は一対の基板の少なくとも一方に液晶層に電圧を印加する能動素子を持ち、能動素子の耐電圧により外部電圧が制限されている場合に特に有効である。つまり、外部電圧が制限された状態で、充分な白レベルを表示できるようにするためには、配向膜による電圧損失を抑えるために配向膜を薄くするか、自発分極の反転による補助容量の電位の降下を抑えるために無しきい値液晶の自発分極を小さくする必要がある。図9で図示したように、配向膜の膜厚が薄い場合や、無しきい値液晶の自発分極が小さい場合は、無しきい値液晶のヒステリシスがでやすくなってしまうが、本発明を適用することで、無しきい値液晶のヒステリシスを低減することができる。つまり、本発明は外部電圧に上限が有る場合に特に有用となる。薄膜トランジスタの場合、外部電圧の上限は±7V程度である。また、液晶の自発分極が40〜150nC/cm2であり、ポストベーク後の配向膜の膜厚が15〜75nmである場合、あるいは、液晶の自発分極が20〜40nC/cm2であり、ポストベーク後の配向膜の膜厚が30〜150nmであるときは、自発分極が小さく、配向膜が薄いためヒステリシスがでやすい。本発明は、このようなヒステリシスのでやすい液晶表示装置で特に有用である。
【0037】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
自発分極の比較的大きな無しきい値液晶に本発明を適用したことによりヒステリシスが低減され良好な階調表示ができた。液晶の応答時間については、自発分極が100nC/cm2と大きいため応答時間が短く、「0V」リセット期間の有無で大きな違いは見受けられなかった。
【0038】
液晶セルの断面図を図6(A)に、上面図を図6(B)に示す。図6(A)の断面図を用いて説明すると、石英基板601上にITO602が120nmの膜厚でパターニングされている。ITO上に低プレチルトの配向膜603が配向膜の印刷、プリベーク、ポストベーク工程を経て形成されており、配向膜にはラビング処理がされている。本実施形態では液晶層に印可できる電圧値に上限を有する能動素子、例えば薄膜トランジスタを用いた駆動で、配向膜の電圧損失を抑え白レベルを良好にするために配向膜の膜厚を60nmと薄くしている。無しきい値液晶はラビング軸に対し液晶の配向軸が0〜15°くらいずれる傾向があるため、一対の基板601を貼り合わせたときにラビング軸606、607を交差させて、液晶の光軸が一軸に定まるようにしている。配向欠陥を防ぐためスペーサーは散布していない。シール材604を液晶セルの端部に設けて、二枚の基板間に空隙を形成しており、液晶セルのセルギャップは2.0μmである。基板には偏光板608、609が貼りつけられている。液晶セルに電圧を印可していないときは、可視光レベルの波長においてはクロスニコルに設定された偏光板の透過軸608と液晶の光軸がほぼ平行と近似できるため、液晶セルが黒表示となる。また、液晶セルに電圧が印可されていないときは、コーンのランダムな位置に液晶が配向しているため、全体としては液晶の自発分極が相殺されてなくなる。
【0039】
Waveteck社製の任意波形発生装置(ファンクションジェネレーター)で、型番が“MODEL275”の装置で液晶セルの駆動波形を作った。無しきい値液晶を薄膜トランジスタにより駆動するときは、電荷の供給量が外部電圧、ゲート選択時間等により定まる定電荷駆動となるが、暫定的に液晶セルを駆動するときに、常時電荷を供給する定電流駆動で特性を調べた。定電流駆動のため液晶層に電圧を印可した期間つまり、パルス期間内に液晶の自発分極の反転に応じた電荷が供給される。図3(A)及び図3(B)に液晶層に0Vの電圧を印可する第1の期間を設けたときの駆動波形と駆動結果を示す。液晶セルの駆動に用いた駆動波形を図3(A)に示す。図3(A)で横軸は時間で縦軸はセル電圧である。階調表示をする第2の期間302の前に、第1の期間(「0」Vのリセット期間)301がある。実験的では第1の期間301と第2の期間302を8.3msecとした。電圧経路(A)303は0Vから+1V、−1V、+2V、−2V、+3V、−3V、+4V、−4V,+5V、−5Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎に液晶セルに印可するセル電圧の絶対値を上げていく経路の波形である。電圧経路(B)304は+4V、−4V、+3V、−3V、+2V、−2V、+1V、−1V、0Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎にセル電圧の絶対値を下げていく経路の波形である。電圧経路(A)と電圧経路(B)とを組み合わせて一周期305とした波形を連続して液晶セルに入力した。
【0040】
このとき液晶セルの駆動に用いた波形の電圧値と液晶セルの光量との関係を示したのが図3(B)である。各セル電圧での透過率をプロットしてある。透過率は各セル電圧を液晶セルに印可した時間において液晶の光学応答が時間変化していくときの、最終的に示す明るさである。グラフでは液晶と配向膜に印加される電圧をセル電圧として横軸に示している。
【0041】
通常の薄膜トランジスタの駆動電圧(±5〜±7V)で充分な白レベルとするために無しきい値液晶の自発分極を小さくしたり、配向膜の膜厚を薄くしたりしていく必要がある。自発分極40〜150nC/cm2の無しきい値液晶で、ポストベーク後の配向膜を15〜75nmに薄くし電圧損失をおさえ、液晶実効電圧を高くすることが望ましかった。自発分極20〜40nC/cm2の無しきい値液晶では配向膜の厚さは75〜150nmが望ましいと考えられる。ただし、このような無しきい値液晶の自発分極と配向膜の膜厚の値の組み合わせでは、配向膜が薄く自発分極が小さいためヒステリシスがでやすい条件である。
【0042】
本実施形態の配向膜の膜厚は液晶及び配向膜に印可できる電圧に上限を有する能動素子例えば、薄膜トランジスタで駆動するために最適化してあり60nmと薄く、ヒステリシスがでやすい。しかし、第1の期間(「0V」リセット期間)を設け、液晶をリセット位置からスイッチングさせることにより電圧経路(A)と電圧経路(B)とで明るさの差がほとんど見られない良好な階調表示ができていた。
【0043】
同一の液晶セルを図3(A)とは別の波形で、電圧振幅、周期のみを変えて駆動した時のオシロスコープ写真を図17(A)に示す。図17(A)は、「0V」リセット期間(第1の期間)を設けたときの液晶の光学応答を表す。印可波形1710は0V、+1.6V、−1.6V、+3.2V、−3.2V、+4.8V、−4.8V、+3.2V、−3.2V、+1.6V、−1.6Vの順に電圧の極性、電圧の振幅を変えて印可されており、かつ、絶対値が0より大きい電圧を加え階調表示をする第2の期間を設けた後には「0V」リセット期間(第1の期間)がある。オシロスコープに示された二つの波形から、印可電圧と液晶の光学応答の関係がわかる。図17(B)を用いてオシロスコープの写真を説明する。横軸(X軸と称する)は時間を示しており、1目盛りが25msecである。縦軸(Y軸と称する)の液晶の光学応答を示す第1の軸(Y1軸と称する)は、光電子増倍管(photo multiplier)で測定した明るさを示し、1目盛りが10mVである。縦軸のうち、液晶セルに印可した電圧を示す第2の軸(Y2軸と称する)は、セル電圧を示し1目盛りが4Vである。
【0044】
液晶の光学応答は液晶セルに印可した電圧の絶対値に対応して明るさが変化していく。ノーマリーブラックモードのため絶対値の大きい電圧を液晶セルにかけると液晶セルは白レベルが高くなり、絶対値の小さい電圧を液晶セルにかけると黒レベルに近い階調になる。「0V」リセット期間(第1の期間)には、液晶が黒表示のリセット位置にスイッチングする。オシロスコープ表示では±1.6Vの電圧を印可したときの液晶の光学応答1701、1702、±3.2Vの電圧を印可したときの液晶の光学応答1703、1704、±4.8Vの電圧を印可したときの液晶の光学応答1705が示されている。液晶の光学応答1701〜1705の間に第1の期間による黒表示の期間がある。本実施例では、絶対値の同じ電圧を印可したときの液晶の光学応答は、ほぼ同じ明るさである。±1.6Vの電圧を印可したときに光学応答の光量差があるが、それでも光量の最大値と最小値の差はp−p(peak to peak)で2.2mVと少ない。
【0045】
無しきい値液晶はメモリー性を持たないため、液晶セルに電圧を印可していないときの配向は常に同じであるべきだが、実際は駆動時の0Vと駆動後の電圧を印加していない時とで黒レベルが変わってしまう。特に配向膜の膜厚が薄いほど(70nm以下)液晶セルを駆動しているときの黒の配向と、液晶セルの駆動をしていないときの黒の配向に差異が見られる。(Liquid Crystals,1998,Vol.25 LCT100975 Fukuda)。これは3安定の反強誘電性液晶、双安定の強誘電性液晶のようなメモリー性を有する液晶には見られない特徴である。しかし、不安定な現象が見られる電圧値をあえて、リセット期間の電圧値として設定しても、特に無しきい値液晶により表示した階調に問題はなくヒステリシスの無い電圧−透過率特性が得られた。つまり、無しきい値液晶において不安定な配向を示すと予測された「0V」のリセット期間を設けることで、実際はヒステリシスを低減できるという効果が得られた。
【0046】
[比較例1]
「0V」リセット期間(第1の期間)を設けなかった場合の駆動結果を以下に示す。
【0047】
液晶セルの断面図を図6(A)に、上面図を図6(B)に示す。石英基板601上にITO602が120nmの膜厚でパターニングされている。ITO上に低プレチルトの配向膜603が配向膜の印刷、プリベーク、ポストベークにより形成されており、配向膜にはラビング処理がされている。無しきい値液晶はラビング軸に対し液晶の配向軸が概略0〜15°くらいずれる傾向があるため、一対の基板601を貼り合わせたときにラビング軸606、607を交差させて、液晶の光軸が一軸に定まるようにしている。配向欠陥を防ぐためスペーサーは散布していない。シール材604を液晶セルの端部に設けて、二枚の基板間に空隙を形成している。液晶セルのセルギャップは2.0μmである。一対の基板のそれぞれに偏光板608、609が設けられており、液晶光軸は可視光レベルの波長では、一方の偏光板の透過軸608に概略平行である。このため、電圧を印可していないときは、液晶の光軸に沿って第1の偏光板の透過軸を設け、第2の偏光板の透過軸609を第1の偏光板と直交させて配置すると、液晶セルが黒表示となる。電圧が印可されていないときは、コーンのランダムな位置に液晶が配向しているため、全体としては液晶の自発分極が、相殺されてなくなる。配向膜の膜厚、液晶の自発分極は比較のため、実施形態1と同じ物を使ったため液晶材料、配向膜厚は図3のデータを取得するさいに使われたものと同じである。
【0048】
図2(A)及び図2(B)に「0V」リセット期間を設けないときの駆動波形と駆動結果を示す。本比較例の駆動波形を図2(A)に示す。一対の互いに逆極性で絶対値の等しい交流パルス204が、電圧振幅を変えながら液晶セルに印可されている。薄膜トランジスタは定電荷駆動だが、暫定的に定電流駆動で特性を調べた。定電流駆動では液晶セルに電圧を印可すると、液晶の自発分極の反転に応じた電荷が供給される。Waveteck社製のファンクションジェネーター“MODEL275”で駆動波形を作った。電圧経路(A)201は0Vから+1V、−1V、+2V、−2V、+3V、−3V、+4V、−4V,+5V、−5Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎に液晶セルに印可するセル電圧の絶対値を上げていく経路の波形である。電圧経路(B)202は+4V、−4V、+3V、−3V、+2V、−2V、+1V、−1V、0Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎にセル電圧の絶対値を下げていく経路の波形である。電圧経路(A)と電圧経路(B)とで1周期203とし、連続して液晶セルに電圧をかけた。パルス205〜208の幅は16.6msecとした。
【0049】
パルスを液晶セルに印加したときの光学応答を光電子増倍管で調べた。液晶の光学応答と液晶セルに入力される波形はオシロスコープ上に同期して表示されるため、各セル電圧に対する液晶の透過率がわかる。
【0050】
このときのセル電圧と光量の関係をグラフにしたのが図2(B)である。図2(B)に各セル電圧での透過率をプロットした。透過率はセル電圧を印可している時間において液晶の光学応答が時間変化していくときの、最終的な明るさを示した。セル電圧2V〜3Vの中間調表示領域で、最大0.2Vの電圧−透過率特性のシフト(ヒステリシス)がでてしまっている。交流駆動をして経路Aで正パルスの透過率211と負パルスの透過率212を平均化したものと、経路(B)で同電圧の正パルスの透過率209と負パルスの透過率210を平均化したものは明らかに同じ2Vの電圧でも明るさが〜5%異なってしまっている。
【0051】
印可波形図2(A)と液晶の光学応答図2(B)を対応させると、無しきい値液晶を駆動するときに、前の電圧の絶対値が今の階調を表示するための電圧に対し相対的に高電圧か低電圧かで液晶の示す明るさが変わってしまうことがわかる。つまり電圧絶対値の高い(−3V)パルス205から応答したときの透過率209と、電圧絶対値の低い(−1V)パルス206から応答したときの透過率211で、同じ2Vの電圧でもでも透過率209、211が変わっている。
【0052】
同一の液晶セルを図2(A)とは別の波形で、電圧振幅を変えて駆動した時のオシロスコープ写真を図13に示す。図13(A)及び図13(B)に、「0V」リセット期間を設けない場合の無しきい値液晶の光学応答を示す。印可波形は0V、+1.6V、−1.6V、+3.2V、−3.2V、+4.8V、−4.8V、+3.2V、−3.2V、+1.6V、−1.6Vの順に電圧極性、電圧振幅を変えている。オシロスコープに表示された波形から、液晶セルに印可した電圧と液晶の光学応答との関係がわかる。横軸(X軸と称する)は時間の経過を示す。オシロスコープ波形の1目盛りが25msecである。縦軸(Y軸と称する)の液晶の光学応答を示す第1の軸(Y1軸と称する)は、光電子増倍管で測定した液晶セルの明るさを示し、1目盛りが10mVである。縦軸のうち、液晶セルに印可した電圧を示す第2の軸(Y2軸と称する)は、セル電圧を示し1目盛りが4Vである。
【0053】
液晶セルは印可した電圧に対応して明るさが時間変化していく。液晶セルはノーマリーブラックモードである。絶対値の大きい電圧をかけると白レベルが高くなる方向に、絶対値の小さい電圧をかけると黒レベルが高くなる方向に液晶がスイッチングする。オシロスコープ表示の波形は±1.6Vの電圧を印可したときの液晶光学応答1301、1302、±3.2Vの電圧を印可したときの液晶光学応答1303、1304、±4.8Vの電圧を印可したときの液晶光学応答1305がある。液晶セルに印可する電圧の絶対値が0Vから1.6V毎に高くなり、±4.8Vの電圧を印可した後は、液晶セルに印可する電圧の絶対値が1.6V毎に低くなる。液晶セルの明るさは、それに伴って液晶光学応答の黒レベル1306から徐々に明るくなり、±4.8Vの電圧を印可したときに、液晶光学応答1305の白レベルが最大になる。次に、液晶セルに印可する電圧の絶対値が下がるにつれ、白レベルが液晶光学応答1304、1302の順に下がる。同じ電圧を液晶セルに印可しても、液晶セルの光量が多少変わる。液晶の光学応答の光量差は、±1.6Vの電圧を印可したときに大きく、光量の最大値と最小値の差を示すp−p(peak to peak)で5.8mVある。特に図17に示す「0V」リセット期間を導入した液晶の光学応答に比べ絶対値1.6Vの電圧を印可したときの液晶光学応答1301、1302の光量差が大きい。
【0054】
比較例1と実施形態1を比べると、「0V」リセット期間を設けることの有用性がわかる。「0V」リセット期間によりヒステリシスが抑えられる。
【0055】
【実施例】
[実施例1]
外部電圧に制限のあるアクティブマトリクス駆動をする場合に補助容量が小さくても良好な白レベルを確保するため自発分極の小さな無しきい値液晶を用いる。そこで、実施例1では自発分極の小さな液晶に本発明を適用した例を示す。自発分極が小さいとヒステリシスがでやすくなるが、本発明を適用することにより良好な階調表示ができる。同時に液晶の応答速度を改善し高速応答化をはかることができる。
【0056】
液晶セルの断面図及び上面図を図6に示す。石英基板601上にITO602が120nmの膜厚でパターニングされている。ITO上に低プレチルト配向膜603が印刷、プリベーク、ポストベークされており、配向膜の表面にはラビング処理がされている。無しきい値液晶はラビング軸に対し液晶の配向軸が概略0〜15°くらいずれる傾向があるため、一対の基板601でラビング軸606、607を交差させて、液晶光軸がセル厚方向で概略平行になるようにしている。配向欠陥を防ぐためスペーサーは散布していない。シール材604でのみギャップをとった構成であり、できあがりのセルギャップは2.0μmである。一対の基板のそれぞれに偏光板608、609が設けられている。液晶の光軸は可視光レベルの波長では、一方の偏光板光軸608に概略平行である。このため、電圧を印可していないときは、偏光板をクロスニコルに配置すると、液晶セルが黒表示となる。また、電圧が印可されていないときは、コーンのランダムな位置に液晶が配向しているため、全体としては液晶の自発分極が、相殺されてなくなる。本実施例では配向膜の膜厚を薄くし、液晶の自発分極を小さくし、アクティブマトリクス駆動で白レベルを良好にするために最適化しており、ポストベーク後の配向膜の膜厚は60nm、液晶605の自発分極40nC/cm2である。
【0057】
Waveteck社製のファンクションジェネレーター“MODEL275”で駆動波形を作った。薄膜トランジスタは定電荷駆動だが、暫定的に定電流駆動で特性を調べる。定電流駆動のためパルス期間内に液晶の自発分極の反転に応じた電荷が供給される。図11(A)及び図11(B)に、液晶の自発分極が40nc/cm2のときの、「0V」リセット期間を設けたときの駆動波形と駆動結果を示す。液晶セルの駆動波形を図11(A)に示す。階調表示パルス1102により階調を表示する第2の期間の前に「0V」のリセット期間である第1の期間1101がある。実験では第1の期間1101、第2の期間1102を8.3msecとした。電圧経路(A)1103は0Vから+1V、−1V、+2V、−2V、+3V、−3V、+4V、−4V,+5V、−5Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎に液晶セルに印可するセル電圧の絶対値を上げていく波形である。電圧経路(B)1104はは+4V、−4V、+3V、−3V、+2V、−2V、+1V、−1V、0Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎にセル電圧の絶対値を下げていく波形である。電圧経路(A)と電圧経路(B)で一周期1105とし、1周期の波形を1単位として連続して液晶セルに電圧をかける。
【0058】
液晶セルに電圧を印加したときの光学応答を光電子増倍管で調べた。液晶の光学応答と液晶セルに入力されるパルス波形はオシロスコープ上に同期して表示されるため、セル電圧に対する液晶の透過率がわかる。
【0059】
このとき液晶セルに印加した電圧と光量の関係をグラフにしたのが図11(B)である。図11(B)には、各セル電圧での透過率をプロットしてある。透過率は電圧を印可している時間に液晶の光学応答が時間変化していくときの、最終的な明るさを示した。図11(B)では液晶セル駆動時に液晶と配向膜に印加される電圧をセル電圧としている。
【0060】
「0V」リセット期間を設けることにより電圧経路(A)と電圧経路(B)で明るさの差がほとんど見られない良好な階調表示ができる。
【0061】
第一の効果として、自発分極40nC/cm2の無しきい値液晶に対し、駆動電圧に制限のあるアクティブマトリクスパネルで駆動できるように最適化した配向膜の膜厚は60nmと薄く、比較的ヒステリシスがでやすい条件である。しかし「0V」リセット期間を設けることでヒステリシスのほとんどない表示をすることができる。
【0062】
次に本実施例の第二の効果として無しきい値液晶に「0V」リセット期間を設けたときに、ヒステリシスの改善と同時に応答時間の改善ができる。
【0063】
本液晶の応答時間の測定結果を図12に示す。図12(A)は、正極性電圧間の応答時間、図12(B)は負極性電圧間の応答時間、図12(C)は異極性電圧間の応答時間を表す。図12(A)〜図12(C)の各図は初期電圧、終了電圧、応答時間の関係を示している。液晶セルの構成は液晶の自発分極が40nC/cm2であり、ポストベーク後の配向膜の膜厚が60nmであり、図11(B)のデータをとった液晶セルと同じである。正極性電圧から負極性電圧へとスイッチングするときの応答時間を調べると特に−5Vから+1Vでの応答に大きく時間がかかる(32msec)ことがわかった。−3V〜+1Vへのスイッチングも15.6msecと時間がかかっている(図12(C))。無しきい値液晶は異極性電圧間のスイッチングにおいて▲1▼白レベルから中間調、▲2▼中間調間のスイッチングに時間がかかっている。液晶の自発分極で比べた場合、本実施例のような40nC/cm2と自発分極の小さい液晶でこういった傾向が目立った。応答時間は自発分極が小さいと長くなる傾向があるため、自発分極が40nC/cm2以下ではさらにこのような傾向が目立つと考えられる。
【0064】
無しきい値液晶を薄膜トランジスタ等の能動素子で駆動する場合、液晶に直流成分が積算されて焼き付きが起こってしまうことを防ぐために、交流駆動をするのが一般的である。つまり液晶パネルに正電圧と、負電圧が交互に印可されるため、正負電圧間(つまり異極性電圧間)で液晶応答時間が長いと、動画表示のときに自然な絵をだすことが難しくなる。
【0065】
しかし本発明のように「0V」リセット期間を介して液晶がスイッチングしたときは、応答時間が改善できる。つまり、図12(C)に示される液晶の応答時間を比較すると、−5Vから+1Vへとダイレクトにスイッチングすると32msecの時間がかかるが、−5Vから0Vへのスイッチングは0.4msecであり、0Vから+1Vへのスイッチングは0.3msecのため、−5Vから0Vへとスイッチングさせた後にあらたに、0Vから+1Vへとスイッチングさせたら、応答時間を0.7msecとすることができる。
【0066】
また、液晶の応答時間を比較すると、−3Vから+1Vへのスイッチングには15.6msecの時間がかかるが、−3Vから0Vへのスイッチングは2.6msecであり、0Vから+1Vへのスイッチングは0.3msecのため、−3Vから0Vへとスイッチングさせた後にあらたに、0Vから+1Vへとスイッチングさせたら、応答時間を2.9msecとすることができる。
【0067】
このように、「0V」リセット期間を設けた場合は、「0V」リセット期間を設けない場合に比べ、応答時間が5倍以上に短くなることがわかる。つまり、−3Vの電圧値を有する第1の電圧と、第1の電圧と極性の異なる+1Vの電圧値を有する第2の電圧の間の応答時間を第1の応答時間とすると、第1の応答時間は15.6msecだが、第1の電圧と第2の電圧の間に0Vを介したときの液晶の応答時間を第2の応答時間とすると、第2の応答時間は2.9msecであり、第1の応答時間と第2の応答時間では、応答時間に5倍以上の差が出た。
【0068】
もちろん「0V」リセット期間は液晶がリセット位置に戻ることのできる長さにすればよい。例えば図12の応答特性を持つ液晶の場合、5V以下の電圧から0Vへ液晶が応答する時間の最大値が2.6msecのため、「0V」リセット期間を2.6msecとし、階調表示期間を14msecとしても良い。1フレーム内にサブフレームとして「0V」リセット期間2.6msecと階調表示期間14msecをもうけると、1フレームで所定階調まで液晶がスイッチングでき、所定階調を表示するために、液晶を複数のフレームに渡って累積応答させる必要が無い。
【0069】
このように、「0V」リセット期間を設けた場合の第二の効果として、白レベルから中間調あるいは中間調間の応答時間が長い液晶を交流駆動するときに、「0V」リセット期間をもうけることで、応答時間を改善する効果がある。もちろん液晶を直流駆動する場合においても、液晶の中間調間のスイッチングが、中間調間のスイッチングを0Vを介しておこなうときに比べて著しく遅い場合に、本発明の「0V」リセット期間を設けることで応答時間の改善効果が見積もれる。
【0070】
[実施例2]
ヒステリシスのあるパネルで「0V」リセット期間の効果を有効にするには液晶がリセット期間内に所定位置、あるいは所定位置付近にする必要が有る。本実施例では液晶が「0V」に戻る緩和時の応答時間(T3)が、液晶が電界に対し応答するときの応答時間(T4)に比べ短い(T3<T4)材料を用いて、リセット期間(T1)による黒表示の期間を階調表示期間(T2)に対し短くし(T1<T2)、パネルを明るくすることを試みた。
【0071】
Waveteck社製のファンクションジェネレーター“MODEL275”で駆動波形を作った。駆動は定電流駆動でありパルス期間内に液晶の自発分極の反転に応じた電荷が供給される。図4(A)及び図4(B)にリセット期間2msec、階調表示期間14.6msecと、「0V」リセット期間を短くしたときの駆動波形と駆動結果を示す。本実験の駆動波形を図4(A)に示す。階調表示パルスにより階調を表示する第2の期間402の前に「0V」リセット期間である第1の期間401がある。1フレーム期間403が16.6msecであり、リセット期間401が2msecと1フレーム期間の1/8程度の時間であるのが特徴である。電圧経路(A)404は0Vから+1V、−1V、+2V、−2V、+3V、−3V、+4V、−4V,+5V、−5Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎に液晶セルに印可するセル電圧の絶対値を上げていく波形である。電圧経路(B)405は+4V、−4V、+3V、−3V、+2V、−2V、+1V、−1V、0Vと、順次電圧の極性を変えながら、1V毎にセル電圧の絶対値を下げていく波形である。電圧経路(A)と電圧経路(B)を組み合わせて一周期406とし、1周期の波形を1単位として連続して液晶セルに電圧をかけた。液晶の自発分極は100nC/cm2、配向膜の膜厚は60nmであり実施形態1と同じである。
【0072】
各階調表示パルスでの各セル電圧の透過率をグラフにしたものを図4(B)に示す。透過率は電圧パルス印可時間で液晶の光学応答が時間変化していくときの、最終的な明るさを示した。図2の「0V」リセット期間がないときに比べ特に電圧2Vでの電圧経路(A)と電圧経路(B)で明るさの差が改良されている。光電子増倍管のノイズのせいで測定した黒レベルが2%浮いているが、実際の黒は図2とほとんど変わらなかった。リセット期間を階調表示期間に比べ短くしても問題なく階調表示ができている。リセット期間による黒表示の時間が短くなっているため、リセット期間を設けてもパネルの明るさを損なうことが少ない。
【0073】
本実施例では、自発分極の大きい液晶を使う事で、「0V」へリセットする応答時間を短くし、黒表示となるリセット期間を短くした。応答時間を短くするには、自発分極を大きくするだけでなく、プロジェクターパネルのように、パネル温度を上げて液晶の粘度を小さくする事も可能である。
【0074】
[実施例3]
本実施例は液晶の焼き付きを防ぎ、かつヒステリシスを抑える駆動方法であることを特徴とする。
【0075】
実験セルの構成は図6に準じる。液晶605は図2〜4のグラフでデータをとった液晶と同様のものを使っている。任意に印可波形をプログラムできるWaveteck社製のファンクションジェネレーター“MODEL275”で駆動波形を作る。駆動は定電流駆動でありパルス期間内に液晶の自発分極の反転に応じた電荷が供給される。本実験の印可パルスを図14に示す。1フレーム期間1404が4つのサブフレーム期間1401〜1403からなる。階調表示パルス1401、1403によって階調表示をする第2の期間の前に「0V」リセット期間である第1の期間1402が設けられ、液晶を「0V」のリセット位置に戻す。1フレーム期間(16.6msec)1404のうち、絶対値が同じであり、互いに逆極性の電圧パルス1401、1403で交流駆動が行われていることが特徴である。
【0076】
1フレーム期間が16.6msecのフレームを4つのサブフレームにわけた場合でも、液晶の応答時間が短いためリセット期間中(4.15msec)に所定のリセット位置に戻り、良好な階調表示が行える。また1フレーム期間内で直流成分が相殺されるため、長期間の表示においても焼き付きの生じにくい良好な階調表示が行える。リセット期間を階調表示パルスの後に設け、階調表示パルスで画像データを書き込んだ後に液晶を「0V」のリセット位置に戻しても良い。
【0077】
[比較例2]
本比較例ではリセット電圧を1Vにしたときの光学応答を調べ、「0V」のリセット期間を設けた場合と比較する。
【0078】
実験セルの構成は図6に準じる。比較のため、図2〜4でデータをとったセルと同じ物を使う。駆動波形を図5(A)に示す。リセット電圧を1Vにする。アクティブマトリクス基板は定電荷駆動だが、暫定的に定電流駆動で実験をしている。印可波形はWaveteck社製のファンクションジェネレーター“MODEL275”で作った。パルス幅501、502は8.3msecとした。電圧経路(A)503は+1Vから+2V、0V、+3V、−1V、+4V、−2V、+5V、−3V、+6V、−4Vと、+1Vをリセット電圧として、正極性の電圧は1Vずつ印加電圧が増え、負極性の電圧は1Vずつ印加電圧が減っていく。リセット電圧に対し印可する電圧値の差が大きくなる方向である。電圧経路(B)504は逆に+4V、−3V、+3V、−2V、+2V、−1V、+2Vと+1Vをリセット電圧として、正極性の電圧は+1Vずつ印加電圧が減り、負極性の電圧は‐1Vずつ印加電圧が増えていく。リセット電圧に対し印可する電圧値の差が小さくなる方向である。電圧経路(A)と電圧経路(B)を組み合わせて一周期505とし、1周期を1単位として波形が連続的に液晶セルに印可されている。
【0079】
液晶セルに印加したときのセル電圧と液晶セルの透過率の関係をグラフにしたのが図5(B)である。電圧経路によるヒステリシスは少ないものの、電圧−透過率特性が0Vから正電圧側にシフトしている。こういった電圧−透過率特性で無しきい値液晶を駆動した場合、正電圧の直流成分が積算されていき焼き付きの原因となる。
【0080】
無しきい値液晶の駆動では、単一極性の電圧パルスをリセットパルスとすると、電圧−透過率特性がシフトしてしまった。このことから極性をもたない「0V」リセット期間を設けることが電圧−透過率特性のシフトを防ぐ上でも有効なことがわかる。
【0081】
[実施例4]
本発明をアクティブマトリクパネルに適用してその効果を調べる。パネルの規格はVGA(640×480画素)である。画素ピッチは42μm×126μmである。図11のデータの自発分極40nC/cm2の液晶を用い、配向膜の膜厚は60nmとする。
【0082】
無しきい値液晶の駆動では、液晶が走査線選択期間内にその自発分極を反転しきらなかったとき、薄膜トランジスタの補助容量に蓄積された電荷により自発分極の反転をする。補助容量が小さすぎると、液晶層を誘電体とする容量への電荷の蓄積が不充分となり、液晶の自発分極が充分に反転できず、白レベルが低下してしまう。このため補助容量はあるていど大きいほうが望ましい。本実施例では補助容量として、画素単位面積あたり0.48fF/μm2と比較的容量の大きなものを用いる。
【0083】
本実施例の薄膜トランジスタ基板の構成を以下のように説明する。薄膜トランジスタの構成は以下のものに限定されるわけではない。本実施例ではトップゲート型の薄膜トランジスタを示しているが、ボトムゲート型としても良い。
【0084】
図15において、基板1501にはコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。ガラス基板のナトリウムイオン等可動イオンの影響をさけるために、ガラス基板上に下地膜(図示せず)を形成することも可能である。
【0085】
ガラス基板上に、25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで薄膜トランジスタのシリコン半導体膜よりなる活性層1502〜1504がある。薄膜トランジスタの活性層はa−Si(非晶質シリコン)、poly−Si(多結晶シリコン)のどちらも利用可能であるが、本実施例では非晶質シリコンに比べ多結晶シリコンのほうが抵抗が小さく書き込み電流を大きくできるため多結晶シリコンを用いている。書き込み電流は5Vで1μAである。不純物がドープされた活性層は、補助容量1525の容量電極として使われている。活性層には必要に応じてレジスト等のマスクを設けて、不純物をドープし、不純物領域及びチャネル領域を形成する。図15では活性層に真性半導体層領域1502、n型不純物領域1503、p型不純物領域1504が設けられている。
【0086】
ゲート絶縁膜1505はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、シリコンを含む絶縁膜として形成されている。ゲート絶縁膜は同時に補助容量1525を形成するときの絶縁膜となるため、誘電率が7程度と高い窒化シリコン膜を用いるのが望ましい。ゲート絶縁膜の膜厚は補助容量を大きくするには膜厚が薄いほど望ましいが、ショート、絶縁破壊を防止するためにはあまり薄くすることもできない。本実施例ではゲート絶縁膜の膜厚を30nmとする。本実施例の補助容量の面積は784μm2とする。絶縁膜材料の膜厚・誘電率から計算すると本実施例の補助容量は画素あたり376fFである。これだけの容量があれば、VGAレベルのパネルで本実施例の自発分極液晶を駆動できる。
【0087】
ゲート絶縁膜1505上に耐熱性導電層1506があり、走査電極と、補助容量の容量電極を形成している。耐熱性導電層は単層で形成しても良いが、必要に応じて二層あるいは三層といった複数の層から成る積層構造としても良い。導電層はタンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金か、前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金膜、Mo−Ta合金膜)で形成すれば良い。本実施例で耐熱導電層1506はタンタルを350nm形成している。本実施例では耐熱性導電層1506からなる走査線と活性層が複数回交差し、複数の真性半導体領域を持つ構造となっている。
【0088】
耐熱性導電層1506およびゲート絶縁膜1504上に保護絶縁膜1507がある。保護絶縁膜は酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、またはこれらを組み合わせた積層膜で形成すれば良い。いずれにしても保護絶縁膜1507は無機絶縁物材料から形成する。保護絶縁膜1507の膜厚は100〜200nmとする。
【0089】
保護絶縁膜1507上に、有機絶縁物材料からなる層間絶縁膜1508がある。有機樹脂材料は一般に誘電率が低いので、寄生容量を低減することができる。しかし、吸湿性があり保護膜としては適さないので、本実施例のように、保護絶縁膜1507として形成した酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜などと組み合わせて用いる必要がある。
【0090】
無しきい値液晶の配向性は表面の凹凸に大きく影響される。表面の凹凸によるプレチルトの違いから配向欠陥が誘起されてしまうため、液晶の配向面はできるだけ平坦化されていることが望ましい。そこで平坦化効果のある有機絶縁物材料からなる層間絶縁膜を保護絶縁膜上に形成することが望ましい。層間絶縁膜1508の厚さは1000〜6000nmが望ましい。層間絶縁膜1508の厚さが厚いほど液晶配向面の平坦化効果が高いため、有機樹脂膜の厚さはプロセスとして大きな問題がない範囲でできるだけ厚くするほうが望ましい。
【0091】
層間絶縁膜1508にコンタクトホールをあけ、ITO等の透明画素電極1510をパターニングし、液晶配向の電圧制御機能を持たせる。また同じ絶縁膜上に信号電極1509がパターニングされている。信号電極としては、抵抗値の小さい金属を用いる方が信号波形のなまりを防ぐためにも望ましい。以上から第1のpチャネルTFT1520、第2のnチャネルTFT1521を持つロジック回路部1526、第2のpチャネルTFT1522、第2のnチャネルTFT1523を持つサンプリング回路部1527、画素TFT1524、補助容量1525が形成される。ロジック回路部1526及びサンプリング回路部1527はアクティブマトリクス基板の駆動回路部1528に形成され、画素TFT1524と補助容量1525は画素部1529に形成される。
【0092】
アクティブマトリクスパネルの対向基板1511には、液晶の配向欠陥による黒レベルの光漏れを防止するためにブラックマトリクス(図示せず)を設けても良い。特に無しきい値液晶は凹凸のある面で配向欠陥が大きくでる傾向があるため、薄膜トランジスタの表面凹凸の大きいところにブラックマトリクスを設けると良い。ブラックマトリクスの材料としては、クロム、酸化クロム、樹脂BMがある。直視パネルで樹脂BMを採用すると、ブラックマトリクスが光を反射することによる映り込みを避けることができ、ぎらつきのないパネルができる。プロジェクターパネルでは反射率の高い金属のブラックマトリクスを採用するほうが、不要な光を反射することで、活性層への光リークをおさえることができる。いずれにせよ、無しきい値液晶の場合、ブラックマトリクスの厚みによる凹凸が液晶配向に影響しないようにする必要がある。
【0093】
さらに、対向基板1511には液晶に電界をかけて配向制御をする機能を有する透明導電膜1512がある。透明導電膜としてはITOなどがあるが、いずれにしろ表面凹凸の少ないほうが無しきい値液晶の配向には望ましい。膜厚としては屈折率が2程度のITOの場合100nm〜120nmに設定すると、干渉条件により可視光領域での透過率を高くすることができる。
【0094】
対向基板上にパネルのセルギャップを維持するために柱状スペーサー(図示せず)の形成を行う。スペーサー材料の直径が大きくなるとスペーサーにより誘起される液晶の配向欠陥が大きくなる傾向があるため、柱状スペーサーの直径はできるだけ小さくするほうが望ましい。柱状スペーサーを薄膜トランジスタ基板の画素電極のコンタクトホール上に配置するようにすることで、薄膜トランジスタ表面の凹凸を覆うようにすることも可能である。
【0095】
セルギャップ維持手段としては柱状スペーサーだけでなく、液晶の配向欠陥を防止する目的で壁スペーサー(図示せず)を採用することも可能である。壁スペーサーを薄膜トランジスタ基板の画素電極と画素電極の境のような凹凸のある位置にくるように設計することで薄膜トランジスタ表面の凹凸を覆い、液晶配向面をできるだけ平坦にすることも可能である。本実施例ではスペーサー材料をパターニングして対向基板上に設けたが、スペーサー材料の形成は対向基板でも良いし、アクティブマトリクス基板でも良い。
【0096】
アクティブマトリクスパネルでカラー表示を行う場合、直視パネル、プロジェクター単板式パネルではカラーフィルター(図示せず)を適宜設ける必要がある。しかしこの場合異なる色のカラーフィルター樹脂が重なる部分の凹凸で液晶の配向欠陥が誘起される可能性があるため、カラーフィルター上にオーバーコート剤を設け充分に液晶配向面の平坦化をはかる必要がある。
【0097】
配向膜印刷法により配向膜1513が形成されている。配向膜の膜厚は60nmと薄くして、配向膜による電圧損失をおさえることをねらっている。
【0098】
配向膜のプリベーク、ポストベーク後にラビングが行われている。無しきい値液晶はラビング布の毛先のみだれにより、配向欠陥ができてしまい、黒レベルが低下してしまう。このためラビング布の材質、エージング回数の条件出しを行い良好な配向を得られるような条件を探す必要がある。出願人の実験結果ではラビング布はコットンよりもレーヨンの方が、毛先が揃っているせいかラビングの状態が均一で黒レベルが良い傾向があった。またある程度エージングをかけたラビング布のほうが毛先のほつれが少なく配向欠陥が少ない傾向があった。
【0099】
一対の基板間にシールパターン1514が形成されている。シール剤はセル組み熱プレス工程により1.5〜2.0μmにつぶすことができるものを使うと良い。
【0100】
液晶セルには無しきい値液晶1515が注入されている。無しきい値液晶は粘度が高く、常温での注入は時間がかかる。等方相以上に注入温度を上げて液晶注入を行うほうが望ましい。しかし真空加熱注入では、高真空・高温という条件のため、液晶の低粘度成分が揮発しやすくなっており、液晶の組成自体が変化し、液晶の配向性に影響を与えることもありうる。真空注入のプログラム・注入方法の条件出しを行い、液晶をできるだけ高真空・高温化に曝露しないように注意し、低粘度成分の揮発を抑えることが必要である。本実施例では液晶を等方相以上で注入し、注入終了後徐冷することで再配向処理をしている。再配向後、UV硬化樹脂(図示せず)で液晶の注入口を封止している。
【0101】
次にフレキシブルプリント配線板(FPC:Frexible Printed Circuit)(図示せず)を取り付け、FPCから外部信号を入力し液晶パネルを駆動する。薄膜トランジスタに接続した画素電極1510と、薄膜トランジスタと対向する基板に設けられた画素電極1511で液晶・配向膜に電界がかかる。
【0102】
アクティブマトリクスパネルの駆動において無しきい値液晶を駆動する場合は線順次駆動をして、走査線1本毎に画像データを書き込んでいく。線順次駆動では画像データの書き込み時間が点順次駆動に比べ長く、自発分極の反転に必要な書き込み電流を長時間入力できる。
【0103】
液晶パネルで動画表示を行うときは1枚の画像を1フレーム期間16.6msecで書き込む。図16に1フレーム期間の駆動波形を示す。1枚の画像を表示する1フレーム期間1601にサブフレーム1602、1603が二つ設けられている。二つのサブフレームはどちらも8.3msecとする。VGAの画素数から計算して、各サブフレームでの一本の走査線選択期間1604は17.2μsecである。第一のサブフレーム1602は「0V」リセット期間つまり第1の期間であり、信号電圧1606は0Vとなる。第二のサブフレーム1603は階調表示期間つまり第2の期間であり、走査線選択期間1605に信号電極から画像データに対応した信号電圧の階調表示パルス1607を各画素に入力する。実際の動画表示では、画像データに対応する階調表示パルス1607が各フレームで電圧値を変えて、連続的な画像を形成する。
【0104】
本実施例の無しきい値液晶は実験セルではセル電圧3.5Vで液晶の白レベルが飽和し、電圧―透過率特性で電圧を上げていった時に得られる明るさの最大透過率が得られるが、アクティブマトリクス駆動では、自発分極の反転によりセル電圧(配向膜と液晶にかかる電圧)と補助容量の電位が低下してしまうため、薄膜トランジスタの信号電圧に対しセル電圧が低くなってしまう。セル電圧を3.5Vにするには信号電圧を6Vに上げる必要がある。このため、信号電圧と透過率の関係は、液晶セル電圧と透過率の関係にくらべてしきい値特性が緩やかになり、階調がとりやすくなる。
【0105】
定電荷駆動のアクティブマトリクスパネルを用いて図16の駆動波形で「0V」リセット期間を設けて液晶を駆動したが、定電流駆動で実験したヒステリシスの改善効果が、アクティブマトリクス駆動でも同様にあることが確認できる。かつ、駆動電圧に制限のあるアクティブマトリクス駆動で配向膜の電圧損失を防ぎ白レベルを出すために最適化した膜厚60nmと薄くヒステリシスがでやすい配向膜厚でも、良好な階調が得られる。
【0106】
定電荷駆動のアクティブマトリクスパネルで「0V」リセット期間を設けて液晶を駆動したが、定電流駆動で実験した応答速度の改善効果が、アクティブマトリクス駆動でもあることが確認でき、「0V」リセット期間がない駆動方法に比べ、「0V」リセット期間を設けた方が動画表示をしたときの中間調表示のスイッチングがスムーズであり応答時間の改善効果がわかる。
【0107】
本発明の実施は、本実施例の無しきい値液晶の液晶材料、自発分極、配向膜厚に限定されるものでない。
【0108】
また、薄膜トランジスタに補助容量を設けて液晶を駆動すると、液晶を駆動したときの電圧の値によって、液晶層を誘電体とする容量及び能動素子に直列接続した補助容量に蓄積されている電荷が異なる。しかし、「0V」リセット期間を入れることで、液晶層を誘電体とする容量及び能動素子に直列接続した補助容量に蓄積された電荷を消滅させることができ、次のフレームでの階調を印加電圧に応じて表示することができる。
【0109】
スメクチック液晶のうち近年、第1の極性の電圧を印可したときは一定の黒レベルを示し、他方の極性つまり、第2の極性の電圧を印可したときは、電圧値に応じて液晶セルの透過率が連続的に変わる液晶が知られている。このような特性をHalf−V字特性と便宜的に称する。Half−V字特性を示す液晶としてクラリアント社製のR2402(LZ−972)、R2401(LZ−972)がある。Half−V字特性を示す液晶は第1の極性の電圧を印可したときは自発分極の反転が起こらず、第2の極性の電圧を印可したときのみ自発分極の反転が起こる。Half−V字特性を有する液晶を用いている限り、交流駆動をしたときに第1の極性の電圧の値によらず、一定の電荷を液晶層を誘電体とする容量に注入することで、同一の階調を表示できる。つまり、Half−V字特性を示す液晶では、駆動のさいに、「0V」リセット期間つまり第1の期間を設けて、補助容量及び液晶層を誘電体とする容量に蓄積された電荷を消滅させる必要がない。
【0110】
本発明において、能動素子例えば薄膜トランジスタに直列に補助容量を接続して無しきい値液晶を駆動するさいに、「0V」リセット期間つまり第1の期間を設けて、補助容量及び液晶層を誘電体とする容量に蓄積された電荷を消滅させている。このような構成は前段の説明から、特に、スメクチック液晶の中でも、液晶層に同一の絶対値で異なる極性の電圧を印加したときに一義的に透過率が定まる液晶、例えば無しきい値液晶に有効であることがわかる。
【0111】
本発明を実施して作製されたアクティブマトリクス基板および液晶表示装置は様々な電気光学装置に用いることができる。そして、そのような電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全てに本発明を適用することがでできる。電子機器としては、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、電子書籍など)、ナビゲーションシステムなどが上げられる。
【0112】
[実施例5]
本実施例では、実験データにより配向膜の膜厚及び液晶の自発分極によるヒステリシスの出方を示す。本実施例において、配向膜の膜厚を30nm、75nm、110nm、220nmの厚さにしている。配向膜は日産化学社製のRN1286を用いている。
【0113】
配向膜のラビング条件は、押し込み0.3mm、ロール回転数100rpm、ラビングロールの直径が130mmφ、ステージ速度が10mm/sec、ラビング回数が1回である。
【0114】
液晶は自発分極が40nC/cm2のMX−Z19と、自発分極が100nC/cm2のMX−Y102とを用いている。液晶はすべて三菱瓦斯化学社製である。
【0115】
液晶MX−Y102及びMX−Z19ともSmA(スメクチックA)相から等方相への相転移温度が96℃のため、これらの液晶を100℃の等方相にして注入した。ホットプレート上に液晶セルを設置して、液晶を加熱して注入した後に、1℃/min〜2℃/minで室温まで徐冷した。
【0116】
セルギャップの値は、すべての液晶セルにおいて1.5μm±0.5μmの範囲であった。
【0117】
液晶セルをWaveteck社製のファンクションジェネレーター“MODEL275”を用いて駆動をした。周波数の高低によりヒステリシスの出方が変わるが、周波数が0.1Hzの三角波駆動におけるヒステリシスが実際の液晶表示装置での駆動に際して出るヒステリシスの大小とほぼ近似できると一般的に言われていたため、液晶セルを駆動する周波数は0.1Hzとした。
【0118】
クロスニコルに透過軸を配置した偏光板の間に液晶セルを設けて、液晶セルに電圧を印可したときの電気光学特性を光電子増倍管を用いて測定した。オシロスコープの画面に表示されたデータを図20を用いて説明する。X軸は液晶セルに印可したセル電圧の値を示す。X座標が正の値のときは液晶セルに正極性の電圧が印可されていることを示す。X座標が負の値では液晶セルに負極性の電圧が印可されていることを示す。Y軸は光電子増倍管に入射した光電子の量を、電圧に変換して示したものである。つまり、Y軸2002は光電子増倍管を受光器として測定した明るさであり、それを液晶セルの透過率と便宜的に称する。Y座標が0mVのときは液晶セルが黒表示をしていて、光電子増倍管に光電子が入射していないことを示す。
【0119】
無しきい値液晶は液晶セルに印可する電圧の絶対値を徐々に上げていくと、複屈折効果で透過率が徐々に増加し、さらに印可電圧を増加すると液晶セルの透過率が一定になる。実験においては、液晶セルの透過率が一定になる電圧値を超えない範囲で液晶セルを駆動した。これは、液晶に印可する電圧の絶対値が大きすぎると、電気的なエネルギーにより液晶の配向が不均一になり、ヒステリシスがでやすくなるからである。
【0120】
図18に自発分極が40nC/cm2のMX−Z19を用いた液晶セルの電気光学特性を示す。図18(A)は配向膜の膜厚が30nm、図18(B)は75nm、図18(C)は110nm、図18(D)は220nmである。配向膜の膜厚を変えて、ヒステリシスの有無を確認したところ、配向膜が30nm〜110nmの範囲でヒステリシスが有ることが確認された。
【0121】
図19に自発分極が100nC/cm2のMX−Y102を用いた液晶セルの電気光学特性を示す。図19(A)は配向膜の膜厚が30nm、図19(B)は75nm、図19(C)は110nm、図19(D)は220nmである。配向膜が30nm〜75nmの範囲でヒステリシスが有ることが確認された。
【0122】
図18及び図19において、それぞれの液晶セルの示す透過率の最大値の差は主に、セルギャップの違いにより、液晶のリタデーションが異なることによる。
【0123】
つまり実験により、液晶の自発分極が40nC/cm2〜100nC/cm2で、配向膜が30nm〜75nmの範囲でヒステリシスが出てしまうことが確認された。配向膜の膜厚が出やすいほどヒステリシスがでやすいこと、液晶の自発分極が小さいほどヒステリシスがでやすいことを考慮すると、配向膜の膜厚が75nm以下で、かつ、液晶の自発分極が100nC/cm2以下のときにヒステリシスが出やすいことが確認された。
【0124】
もちろん、本発明のように、液晶に階調に応じた電圧を印可する第2の期間の前若しくは後に、0Vの電圧を印可する第1の期間を設けることで、このように、配向膜の膜厚が75nm以下で、かつ、液晶の自発分極が100nC/cm2以下の液晶セルでもヒステリシスを低減する効果が有る。
【0125】
【発明の効果】
本発明は無しきい値液晶を基準の位置、つまり、0Vの電圧値からスイッチングさせることで、無しきい値液晶のヒステリシスを低減する。
【0126】
第一に「0V」のリセット期間を導入することで、ヒステリシスのでやすい自発分極材料、配向膜厚でもヒステリシスをでにくくし、良好な階調表示をすることができる。無しきい値液晶は自発分極が小さいほどヒステリシスが出やすい傾向があるため本発明は自発分極の小さい材料(40nC/cm2以下)により有効である。無しきい値液晶は配向膜厚が薄い場合にヒステリシスがでやすいため配向膜厚が薄いパネルにより有効である。
【0127】
第二に「0V」リセット期間を設けることで応答速度の改善効果が見られる。これは自発分極が40nC/cm2以下と小さい液晶で特に有効である。また、液晶の中間調間のスイッチングが、中間調間のスイッチングを「0V」を介しておこなうときに比べて遅い場合に特に有効である。
【0128】
第三に駆動電圧に制限のあるアクティブマトリクス駆動で、配向膜による電圧損失を防ぐために配向膜厚を薄くしたとき、あるいは補助容量の電位低下による電圧降下を防ぐために無しきい値液晶の自発分極を小さくしたときはどうしてもヒステリシスがでやすくなってしまう。しかし、「0V」のリセット期間を導入することでヒステリシスを抑えて良好な階調表示を行うことができる。アクティブマトリクス駆動でつかうセル条件は薄膜トランジスタを例にとって説明すると、自発分極40〜150nC/cm2で配向膜が15〜75nm、あるいは自発分極20〜40nC/cm2で配向膜が75〜150nmと薄い場合であるが、このような条件でも、本発明を用いることでヒステリシスを抑えることができる。
【0129】
第四に従来の無しきい値液晶でヒステリシス低減をねらう従来の駆動に比べ、リセット期間電圧が「0V」なので、液晶の自発分極は平均すると相殺されてなくなり、リセット期間に起因する焼き付きを抑えることができる。かつ、リセット期間の表示が黒レベルなので、階調で黒を出す時にもリセット期間の表示に起因する混色が起こらず、安定した黒をだすことができる。
【0130】
第五に本発明では「0V」リセット期間を設けることを特徴とし、電圧−透過率特性のシフトを防いでいる。つまり、比較例1に示したようにリセット電圧を+1Vとしたときは、電圧−透過率特性が正電圧側にシフトしてしまう傾向が見られている。電圧―透過率特性が正電圧側にシフトすると、正極性電圧の偏りが起こり焼き付きにつながってしまう。リセット電圧を「0V」とし、できるだけ電圧−透過率特性のシフトを防ぐことが望ましい。
【0131】
第六に本発明では、「0V」リセット期間内に液晶が概略リセット位置にもどればヒステリシス低減効果を発揮できるため、「0V」リセット期間内に液晶が概略リセット位置に戻ることを前提として、下記のように駆動方法を変えることも可能である。
▲1▼液晶の応答速度に応じ「0V」リセット期間を自由に設定できる。つまり液晶が「0V」にリセットする応答時間(T3)が、リセット期間(T1)に対し短ければ良い(T3<T1)ため、リセット期間(T 1)を階調表示期間(T2)に対し短くし(T1<T2)、明表示の 期間を長くすることも可能である。
▲2▼ 本発明では液晶が「0V」リセット期間内に概略リセット位置に戻る場合に効果が発揮されるため、駆動電圧範囲で液晶の応答速度が比較的速いことが望ましい。プロジェクターパネルのような環境温度の高いパネルで液晶の粘度を下げて、「0V」リセット位置に戻る液晶の応答速度を速くすることも可能である。
▲3▼焼き付き防止のため、1フレーム期間に正負逆極性の電圧パルスを設けることも可能である。
【0132】
第七に本発明では、「0V」リセット期間を設けることで、薄膜トランジスタに補助容量を設けて液晶を駆動するときに、前フレームの階調により決まる液晶層及び補助容量に蓄積された電荷を「0V」リセット期間によりキャンセルすることができる。このため、前フレームの電圧値に関わらず良好な階調表示をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の駆動方法の例を示す。
【図2】比較例1の「0V」リセット期間を設けていないときの駆動波形と駆動結果を示す。
【図3】本発明の「0V」リセット期間を設けたときの駆動波形と駆動結果を示す。
【図4】実施例2の「0V」リセット期間を短くしたときの駆動波形と駆動結果を示す。
【図5】比較例2の「1V」リセット期間を設けたときの駆動波形と駆動結果を示す。
【図6】実施例に用いられた液晶セルを示す。
【図7】三安定の反強誘電性液晶、双安定強誘電性液晶のヒステリシスカーブを示す。
【図8】単純マトリクスパネルの構成を示す。
【図9】無しきい値液晶のヒステリシスの特徴を示す。
【図10】無しきい値液晶を駆動するパネルの一例として、薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクスパネルの回路を示す。
【図11】実施例1の自発分極の小さい無しきい値液晶の駆動に対し、「0V」リセット期間を設けたときの駆動波形と駆動結果を示す。
【図12】実施例1の自発分極の小さい無しきい値液晶の応答時間を示す。
【図13】比較例1の「0V」リセット期間がない場合の無しきい値液晶の光学応答実データを示す。
【図14】実施例3の本発明の焼き付きを防止する駆動例を示す。
【図15】実施例4のアクティブマトリクスパネルを示す。
【図16】実施例4のアクティブマトリクスパネルの1フレーム期間の駆動波形を示す。
【図17】本発明の「0V」リセット期間を設けた場合の無しきい値液晶の光学応答のデータを示す。
【図18】実施例5の無しきい値液晶MX-Z19の電気光学特性の配向膜の膜厚依存性を示す。
【図19】実施例5の無しきい値液晶MX-Y102の電気光学特性の配向膜の膜厚依存性を示す。
【図20】実施例5の図18、図19のセル電圧と液晶セルの透過率の関係の説明を示す。
【符号の説明】
101 走査線選択期間
102 階調表示パルスよる黒表示
103 設定パルス
104 設定パルスに起因する白レベル
201、303、404、503、1103
電圧経路A(印可電圧の絶対値を上げていく方向)
202、304、405、504、1104
電圧経路B(印可電圧の絶対値を上げていく方向)
203、305、406、505、1105
実験波形の1周期
204 交流パルス
205〜208 電圧パルス
209〜212 電圧パルスの透過率
301、401、501、1101、1402 「0V」のリセット期間
302、402、502、1102、1401、1403 階調表示パルス
403 画像表示の1フレーム
601 石英基板
602 ITO
603 低プレチルト配向膜
604 シール剤
606、607 無しきい値液晶のラビング方向
608、609 偏光板
701 ヒステリシス幅の定義
1001 アクティブマトリクスパネルの信号線
1002 アクティブマトリクスパネルの走査線
1003 アクティブマトリクスパネルの薄膜トランジスタ
1004 液晶層
1005 補助容量
1301〜1306、1701〜1705 液晶の光学応答
1501 ガラス基板
1502 真性半導体層
1503 nチャネル領域
1504 pチャネル領域
1505 ゲート絶縁膜
1506 耐熱性導電層
1507 保護絶縁膜
1508 有機樹脂層間絶縁膜
1509 信号電極
1510 透明画素電極
1511 対向基板
1512 透明導電膜
1513 配向膜
1514 シールパターン
1515 無しきい値液晶
1601 1フレーム期間
1602 第一のサブフレーム
1603 第二のサブフレーム
1604、1605 走査線選択期間
1606 「0V」リセット期間の信号電圧
1607 階調表示パルスの信号電圧

Claims (12)

  1. 基板上の配向膜と、前記配向膜上の液晶とを有する液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記液晶はカイラルスメクチックC相を有し、且つ、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、
    前記液晶が黒レベルを表示する前に、前記液晶に電圧を印加して階調表示を行うことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  2. 基板上の配向膜と、前記配向膜上の液晶と、を有する液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記液晶は、カイラルスメクチックC 相を有し、且つ、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、
    前記液晶が黒レベルを表示した後に、前記液晶に電圧を印加して階調表示を行うことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  3. 基板上の配向膜と、前記配向膜上の液晶とを有する液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記液晶はカイラルスメクチックC相を有し、且つ、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、
    前記液晶の自発分極を相殺する前に、前記液晶に電圧を印加して階調表示を行うことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  4. 基板上の配向膜と、前記配向膜上の液晶と、を有する液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記液晶は、カイラルスメクチックC 相を有し、且つ、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、
    前記液晶の自発分極を相殺した後に、前記液晶に電圧を印加して階調表示を行うことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  5. 請求項3又は請求項4において、
    前記液晶の自発分極が40nC/cm以下であることを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  6. 請求項3又は請求項4において、
    前記液晶の自発分極が40nC/cm〜150nC/cm であり
    前記配向膜が15nm〜75nmの厚さを有することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  7. 請求項3又は請求項4において、
    前記液晶の自発分極が20nC/cm〜40nC/cm であり
    前記配向膜が30nm〜150nmの厚さを有することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  8. 基板上の配向膜と、前記配向膜上の液晶とを有する液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記液晶はカイラルスメクチックC相を有し、且つ、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、
    前記液晶が0Vとなるように電圧を印加する前に、前記液晶に電圧を印加して階調表示を行うことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  9. 基板上の配向膜と、前記配向膜上の液晶と、を有する液晶表示装置の駆動方法であって、
    前記液晶は、カイラルスメクチックC 相を有し、且つ、印加電界に応じて連続的にスイッチングし、
    前記液晶が0Vとなるように電圧を印加した後に、前記液晶に電圧を印加して階調表示を行うことを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
    前記液晶表示装置は、能動素子と、前記能動素子に直列に接続された補助容量と、を有し、
    前記能動素子を介して前記液晶に電圧を印加することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  11. 請求項10において、
    前記能動素子はトランジスタであり、
    前記トランジスタと前記液晶との間に前記配向膜が設けられていることを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
    前記液晶は、同一の絶対値で異なる極性の電圧を印加したときに一義的に透過率が定まる液晶であること特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
JP2000356605A 1999-11-22 2000-11-22 液晶表示装置の駆動方法 Expired - Fee Related JP4678935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000356605A JP4678935B2 (ja) 1999-11-22 2000-11-22 液晶表示装置の駆動方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-331948 1999-11-22
JP33194899 1999-11-22
JP2000356605A JP4678935B2 (ja) 1999-11-22 2000-11-22 液晶表示装置の駆動方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2001215471A JP2001215471A (ja) 2001-08-10
JP2001215471A5 JP2001215471A5 (ja) 2008-01-24
JP4678935B2 true JP4678935B2 (ja) 2011-04-27

Family

ID=26574021

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000356605A Expired - Fee Related JP4678935B2 (ja) 1999-11-22 2000-11-22 液晶表示装置の駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4678935B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8564514B2 (en) 2001-04-18 2013-10-22 Fujitsu Limited Driving method of liquid crystal display device and liquid crystal display device

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3205598B2 (ja) * 1992-07-13 2001-09-04 シャープ株式会社 液晶表示素子及びその駆動方法
JP3657012B2 (ja) * 1993-03-17 2005-06-08 富士通株式会社 液晶表示装置および該液晶表示装置の駆動方法
JPH08271905A (ja) * 1995-03-31 1996-10-18 Casio Comput Co Ltd 強誘電性液晶表示素子とその製造方法
JPH0954307A (ja) * 1995-08-18 1997-02-25 Sony Corp 液晶素子の駆動方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001215471A (ja) 2001-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6219019B1 (en) Liquid crystal display apparatus and method for driving the same
US6700558B1 (en) Liquid crystal display device and displaying method thereof
US7427974B2 (en) Display apparatus, liquid crystal display apparatus and driving method for display apparatus
US6208403B1 (en) Antiferroelectric liquid crystal display device
US5541747A (en) Electro-optical device utilizing a liquid crystal having a spontaneous polarization
JP3535769B2 (ja) 液晶表示素子、及び該液晶表示素子の駆動方法
JP2000010076A (ja) 液晶素子
US6577289B1 (en) Liquid crystal device and display apparatus including the device
JPH07191304A (ja) 液晶電気光学装置
JP3305990B2 (ja) 液晶表示装置およびその駆動方法
US6473117B1 (en) Driving method for liquid crystal device
JP2805253B2 (ja) 強誘電性液晶装置
US7348953B1 (en) Method of driving liquid crystal display device
JP4599743B2 (ja) ホールド型表示素子、ディスプレイ、モニタ、ライトバルブ及びプロジェクタ
JP2681528B2 (ja) 液晶ライトバルブ装置
JP4678935B2 (ja) 液晶表示装置の駆動方法
JP3259633B2 (ja) 反強誘電性液晶表示素子
JP2997866B2 (ja) 強誘電性液晶表示素子
US20020080102A1 (en) Process for producing liquid crystal device and driving method of the device
JP2977356B2 (ja) アクティブマトリックス液晶表示装置の駆動方法
JP3123704B2 (ja) 自発分極を有する液晶を用いた液晶表示素子
JP3259634B2 (ja) 反強誘電性液晶表示素子
US20020050966A1 (en) Process for producing liquid crystal device and driving method of the device
US20020054007A1 (en) Process for producing liquid crystal device and driving method of the device
JP2984788B2 (ja) 表示素子装置及び表示素子の駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071122

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101005

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101021

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110125

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees