以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[第1実施形態]
まず、本発明の画像記録装置の一実施形態に係る複合機10の構成及び動作について説明する。図1は、複合機10の外観構成を示す斜視図である。
図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部20(本発明の装置本体に相当する)を下部に備え、スキャナ部12(本発明の読取部に相当する)を上部に備えて構成された多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。この複合機10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有し、プリンタ部20が本発明の画像記録装置に相当する。したがって、本発明に係る画像記録装置は複合機10に限定されるものではなく、例えば、スキャナ部12がなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタにも本発明は適用可能である。
複合機10は、主にコンピュータ等の外部情報装置(不図示)と接続される。複合機10は、外部情報装置から送信された画像データや文書データなどを含む印刷データを受信する。複合機10は、その印刷データに基づいて記録用紙(本発明におけるシート状の被記録媒体の一例)に画像を記録する。複合機10は、スキャナ部12により読み取られた原稿の画像データに基づいて記録用紙に画像を記録する。複合機10は、デジタルカメラ等が接続されて、デジタルカメラ等から出力される画像データを記録用紙に記録する。複合機10は、メモリカード等の各種記憶媒体が装填されて、該記憶媒体に記録された画像データ等を記録用紙に記録する。
図1に示されるように、複合機10は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体形状を呈する。プリンタ部20は、その正面側に開口16が形成されている。この開口16は、画像が記録されて開口16内に胴内排出された記録用紙をユーザが取り出すためのものである。開口16内には、給紙トレイ29(本発明の第1トレイの一例)及び排紙トレイ21(本発明の第2トレイの一例)が配置されている。給紙トレイ29及び排紙トレイ21は、排紙トレイ21を給紙トレイ29の上側として上下二段に配置される。給紙トレイ29は、給紙トレイ29の蓋として排紙トレイ21が一体に設けられた給紙カセット52(図6参照)である。
給紙トレイ29は、画像の記録に使用される記録用紙を収容する。記録用紙としては、普通紙、光沢紙、インクジェット紙、ハガキ等が挙げられる。記録用紙は、給紙トレイ29から搬送される過程で画像が記録されてプリンタ部20の空間40(図2参照)に胴内排出される。排紙トレイ21は、この画像が記録された記録用紙を収容する。
給紙カセット52は、開口16を通してプリンタ部20に対して挿抜される。本実施形態においては、図1に示されるように、開口16が操作パネル14と同じプリンタ部20の正面側(図2における左側)に設けられている。これにより、例えば開口16がプリンタ部20の側面に形成されている場合に比べて、排紙トレイ21からの記録用紙の取り出しは容易である。ただし、開口16の位置はこれに限定されるものではない。開口16は、プリンタ部20の側面又は背面に形成されてもよい。なお、給紙カセット52については後に詳述される。
プリンタ部2の正面の右下部には、扉28(図1参照)が開閉自在に設けられている。扉28の内側にはカートリッジ装着部(不図示)が設けられている。扉28が開かれると、カートリッジ装着部が正面側に露出されてインクカートリッジが装抜可能になる。インクカートリッジは、カートリッジ装着部に装着されることにより、インクチューブ41(図4参照)を介して記録ヘッド39(図5参照)と連結される。後述のキャリッジ38(図4参照)には、記録ヘッド39と共にサブタンクが設けられている。サブタンクは、インクカートリッジから供給されたインクを貯留する。記録ヘッド39は、このサブタンクから供給されるインクを吐出して記録用紙に画像を記録する。
複合機10の上部はスキャナ部12である。スキャナ部12は、原稿の画像を読み取るものである。このスキャナ部12は、フラットベッドスキャナ(FBS:Flat Bed Scanner)や自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)34を有して構成されている。スキャナ部12は、原稿台30及び原稿カバー17を備える。原稿台30は、FBSとして機能するものである。原稿台30の天面には、原稿が載置されるプラテンガラスが設けられている。原稿台30の内部には、原稿の画像を読み取るイメージセンサが設けられている。原稿カバー17は、プラテンガラスに載置された原稿をプラテンガラスに密着させるものであり、原稿台30に対して開閉自在に設けられている。原稿カバー17には、ADF34とともに、第1原稿トレイ32及び第2原稿トレイ18が設けられている。
スキャナ部12では、プラテンガラスに載置された原稿、又は第1原稿トレイ32に載置された原稿の画像がイメージセンサによって読み取られる。第1原稿トレイ32に原稿が載置された状態で原稿の読取開始が指示される。第1原稿トレイ32に載置された原稿は、ADF34により所定の搬送路に沿って搬送されて第2原稿トレイ18へ排出される。原稿は、その搬送過程で搬送路の所定位置に配置されたイメージセンサによってその画像が読み取られる。
プラテンガラスに原稿が載置された状態で原稿の読取開始が指示される。イメージセンサは、プラテンガラスに対向して原稿の副走査方向(プリンタ部20の幅方向)へ移動される。その過程で、プラテンガラス上の原稿の画像がプラテンガラスを通してイメージセンサにより読み取られる。
複合機10の正面上部には、操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、各種情報を表示する液晶ディスプレイ、ユーザが情報を入力する入力キー等から構成される。複合機10は、この操作パネル14からの操作入力、又はコンピュータ等から送信される情報に基づいて動作する。
図2は、複合機10の内部構成を示す縦断面図である。
図2に示されるように、複合機10の底側には給紙トレイ29が設けられている。この給紙トレイ29の奥側(図2における右側)には、傾斜板22(図6参照)が設けられている。傾斜板22は、装置背面側(図2における右側)へ倒れるように傾斜している。傾斜板22は、給紙トレイ29から供給された記録用紙を分離して上方へ案内する。傾斜板22の上方には搬送路23が設けられている。搬送路23は、記録用紙が搬送されるものであり、その一部が湾曲形成されている。具体的には、搬送路23は、傾斜板22から上方へ向かった後、複合機10の正面側(図2における左側)へ曲がって正面側へと延び、画像記録ユニット24(本発明の記録部に相当する)を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ29に収容された記録用紙は、搬送路23に沿って下方から上方へUターンするように案内されて画像記録ユニット24に至り、画像記録ユニット24により画像記録が行われて排紙トレイ21上の空間40に排出される。搬送路23は、画像記録ユニット24が配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とから構成されている。
図3は、プリンタ部20の主要構成を示す部分拡大断面図である。
図3に示されるように、給紙トレイ29の上側には給紙ローラ25(本発明の搬送部の一部)が設けられている。給紙ローラ25は、記録用紙と圧接して記録用紙を搬送ローラ67及びピンチローラ(不図示)へ供給する。給紙ローラ25は、湾曲形成された搬送路23よりも記録用紙の搬送方向の上流側(以下、単に「上流側」とも称される。)に設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ29に積載された記録用紙に圧接して記録用紙を傾斜板22へ供給する。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端に軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27により、LFモータ85(本発明の搬送部の一部、図5参照)から駆動力が伝達されて回転される。
図3に示されるように、給紙アーム26は、基軸26Aを回動軸として、給紙トレイ29に接離可能に上下動される。給紙アーム26は、自重により給紙トレイ29に接触するように下側に回動される。これにより、給紙ローラ25が給紙トレイ29に接触される。給紙トレイ29に記録用紙が収容されている場合、給紙ローラ25は、給紙トレイ29における最上位置の記録用紙に圧接される。給紙カセット52(図6参照)が開口16から挿抜される際には、給紙アーム26が上側へ退避される。
給紙ローラ25は、給紙トレイ29上の記録用紙の表面に圧接された状態でLFモータ85から伝達される駆動力により回転される。これにより、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力によって最上位置の記録用紙が傾斜板22へ向けて送り出される。記録用紙は、その先端が傾斜板22に当接して上方へ、つまり搬送路23へ案内される。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合があるが、該記録用紙は傾斜板22との当接によって制止される。
図3に示されるように、湾曲形成された搬送路23よりも記録用紙の搬送方向の下流側(以下、単に「下流側」とも称される。)には、搬送ローラ67(本発明の搬送部の一部)が設けられている。搬送路23を挟んで搬送ローラ67と対向する位置には、ピンチローラが設けられている。図には示されていないが、このピンチローラは、搬送ローラ67に圧接可能に付勢されている。記録用紙は、給紙ローラ25により搬送路23へ供給されると、搬送ローラ67とピンチローラとの間へ進入する。その際、ピンチローラは記録用紙の厚み分だけ退避して記録用紙を搬送ローラ67とともに狭持する。搬送ローラ67は、LFモータ85(図5参照)から駆動力が伝達されて回転される。搬送ローラ67の回転力が確実に記録用紙へ伝達され、記録用紙がプラテン42(図3参照)上へ搬送される。
図3に示されるように、搬送ローラ67の下流側には、画像記録ユニット24(図4参照)が設けられている。画像記録ユニット24は、主走査方向(図3の紙面に垂直な方向)へ往復動するキャリッジ38(図4参照)にヘッド制御基板33(図5参照)及び記録ヘッド39(図5参照)が搭載されたものである。ここで、主走査方向は、記録用紙の搬送方向50(図4参照)と略直交する方向である。記録ヘッド39には、上述のインクカートリッジからインクチューブ41(図4参照)を通じてインクが供給される。記録ヘッド39は、記録用紙にインクを微小なインク滴として選択的に吐出する。記録用紙は、搬送ローラ67及びピンチローラ64によりプラテン42上を搬送される。この搬送過程において、記録ヘッド39は、キャリッジ38の往復動により記録用紙の搬送方向と略直交する方向へ走査されながらインク滴を選択的に吐出する。これにより、プラテン42上を通過する記録用紙に画像が記録される。
画像記録ユニット24の下流側には、排紙ローラ68(本発明の搬送部の一部、図3参照)が設けられている。搬送路23を挟んで排紙ローラ68と対向する位置には、拍車ローラ69(本発明の搬送部の一部)が設けられている。拍車ローラ69は、排紙ローラ68に圧接されている。記録用紙は、上述のようにプラテン42を通過する過程において画像記録ユニット24により画像が記録される。この記録用紙が搬送ローラ68と拍車ローラ69との間へ進入すると、記録用紙は排紙ローラ68及び拍車ローラ69により狭持される。LFモータ85(図5参照)からの駆動力は、搬送ローラ67と共に排紙ローラ68へも伝達される。これにより、搬送ローラ67及び排紙ローラ68は、所定の改行幅で間欠駆動される。搬送ローラ67及び排紙ローラ68の回転は同期されている。画像が記録された記録用紙は、搬送ローラ67、ピンチローラ、排紙ローラ68、及び拍車ローラ69により搬送されて開口16へ向けて排紙トレイ21上に排出される。画像記録ユニット24の上方には、スキャナ部12が設けられている(図2参照)。スキャナ部12との排紙トレイ21との間には、空間40(図2及び図3参照)が設けられている。画像が記録された記録用紙は、搬送路23からこの空間40に排出されて排紙トレイ21に収容される。
図4は、プリンタ部20の主要構成を示す平面図である。
図4に示されるように、搬送路23の上側(図3における上側)には、一対のガイドレール43,44が設けられている。ガイドレール43,44は、記録用紙の搬送方向50に所定距離を隔てられて、搬送方向50と直交する方向(以下、「直交方向」とも称される。)51に延設されている。キャリッジ38は、ガイドレール43,44を跨ぐようにして搬送方向50と直交する水平方向(直交方向51)に往復動可能に載置されている。
ガイドレール43は、ガイドレール44よりも上流側に配設されている。ガイドレール43は、搬送路23(図3参照)の幅方向(直交方向51)の長さがキャリッジ38の往復動範囲より長い平板のものである。ガイドレール43における下流側の上面がガイド面43Aである。キャリッジ38における上流側の端部は、このガイド面43Aに摺動可能に支持される。
ガイドレール44は、ガイドレール43よりも下流側に配設されている。ガイドレール44は、搬送路23の幅方向の長さがガイドレール43とほぼ同じ平板状のものである。ガイドレール44における上流側の縁部45は、上方へ向かって略直角に曲折されている。ガイドレール44における下流側の上面がガイド面44Aである。キャリッジ38における下流側の端部は、このガイド面44Aに摺動可能に支持される。キャリッジ38は、縁部45を不図示のローラ等により狭持する。これにより、キャリッジ38が、ガイドレール43,44のガイド面43A,44A上に摺動自在に担持される。そして、キャリッジ38は、ガイドレール44の縁部45を基準として、記録用紙の搬送方向と直交する水平方向(直交方向51)に往復動可能となる。
ガイドレール44の上面には、ベルト駆動機構46が設けられている。ベルト駆動機構46は、ガイドレール44に沿って設けられている。ベルト駆動機構46は、駆動プーリ47、従動プーリ48、及び駆動ベルト49を有する。駆動プーリ47及び従動プーリ48は、搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられている。駆動ベルト49は、内側に歯が設けられた無端環状のものであり、駆動プーリ47と従動プーリ48との間に張り渡されている。駆動プーリ47の外周には、駆動ベルト49の歯と噛合する歯が形成されている。このため、駆動プーリ47の回転が駆動ベルト49に確実に伝達され、駆動ベルト49が周運動される。キャリッジ38は、この駆動ベルト49と連結されている。このため、キャリッジ38は、ベルト駆動機構46の動作に基づいてガイドレール43,44上を直交方向51へ往復動する。記録ヘッド39は、このキャリッジ38に搭載されている。このため、記録ヘッド39は、直交方向51を主走査方向として往復動可能となっている。
駆動プーリ47は、ガイド面44Aと直交する方向を軸として、ガイドレール44の上面の一方端(図4では右端)に回転自在に設けられている。つまり、駆動プーリ47の軸方向は、鉛直方向である。図4には表れていないが、ガイドレール44の下側にはCR(キャリッジ)モータ80(図5参照)が設けられている。CRモータ80の駆動力は、駆動プーリ47の軸へ伝達される。これにより、駆動プーリ47が回転されてキャリッジ38が往復動される。
図4に示されるように、搬送路23の下側には、記録ヘッド39と対向してプラテン42が配設されている。プラテン42は、キャリッジ38の往復動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に渡って配設されている。プラテン42の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものである。このため、記録用紙は、その両端が常にプラテン42の上を通過するように搬送路23に沿って搬送される。プラテン42とガイドレール43,44とは所定間隔が隔てられた状態で平行している。このため、ガイドレール43,44上をスライド移動される記録ヘッド39の下面と、プラテン42の上面とが所定のヘッドギャップで対向される。
図5は、本実施形態に係る複合機10の構成例を示すブロック図である。
制御部100は、複合機10の全体動作を制御する。制御部100は、図5に示されるように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)104を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。この制御部100は、バス107を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)109と接続されている。
ROM102には、CPU101が複合機10の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM104には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC109には、ヘッド制御基板33、駆動回路82、駆動回路81、スキャナ部12(図1参照)、操作パネル14(図1参照)等が接続されている。
ヘッド制御基板33は、ASIC109から入力される画像信号に基づいて、記録ヘッド39を駆動制御する。これにより、記録ヘッド39のノズル(不図示)から所定のタイミングでインクが選択的に吐出され、記録用紙に画像が記録される。なお、ヘッド制御基板33は、記録ヘッド39と共にキャリッジ38(図4参照)に搭載されている。
駆動回路82は、ASIC109から入力される相励磁信号等に基づいて、CRモータ80に駆動信号を通電する。この駆動信号を受けたCRモータ80が回転することにより、キャリッジ38の往復動が制御される。
駆動回路81は、LFモータ85を駆動させるものである。LFモータ85には、図3に示される給紙ローラ25、搬送ローラ67、及び排紙ローラ68が接続されている。駆動回路81は、ASIC109からの出力信号を受けてLFモータ85を駆動させる。LFモータ85の駆動力は、ギヤや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ25、搬送ローラ67、及び排紙ローラ68へ選択的に伝達される。
図6は、給紙カセット52の全体構成を示す斜視図である。
給紙カセット52は、大別して、給紙トレイ29と排紙トレイ21とを備える。排紙トレイ21は、給紙カセット29の上部に回動可能に連結されている。排紙トレイ21は、後述の第1方向36及び第2方向37と略直交する水平な方向(以下、「水平方向」とも称される)74を軸として、上方へ回動可能に構成されている。給紙トレイ29に対して排紙トレイ21が倒伏されることにより、給紙トレイ29の上面が排紙トレイ21に覆われる(図6参照)。この状態で、排紙トレイ21は、画像が記録された記録用紙を保持するとともに給紙トレイ29の蓋として機能する。これにより、給紙トレイ29へのゴミの進入が防止される。また、給紙トレイ29に対して排紙トレイ21が起立されることによって給紙トレイ29の上面が開放され、給紙トレイ29への記録用紙の補充が可能となる。なお、給紙トレイ29の奥側における上方は、駆動伝達機構27(図2参照)が配置されるために開放されている。
給紙トレイ29は、トレイ本体54と拡張トレイ59とを有する。給紙トレイ29は、トレイ本体54に対して拡張トレイ59が第1方向36及び第2方向37へスライド可能に構成されている。ここで、第1方向36は、拡張トレイ59や後述の拡張トレイ61(本発明のサブトレイの一例)が開口面19(図2及び図18)から開口16内へ押し込まれる方向である。第2方向37は、拡張トレイ59や拡張トレイ61が開口16から引き出される方向である。トレイ本体54に対して拡張トレイ59が必要に応じて第2方向37又は第1方向36へスライドされることにより、給紙トレイ29のシート積載面が搬送方向50(図4参照)へ拡張又は縮小される。これにより、給紙カセット29には各種サイズの記録用紙を収容することができる。なお、搬送方向50と第2方向37とは同一方向である。
排紙トレイ21は、トレイ本体56(本発明のトレイ本体の一例)と拡張トレイ61とを有する。排紙トレイ21は、トレイ本体56に対して拡張トレイ61が第1方向36及び第2方向37へスライド可能に構成されている。トレイ本体56に対して拡張トレイ61が拡張トレイ59に合わせて第2方向37又は第1方向36へスライドされる。これにより、給紙トレイ29の上方が排紙トレイ21に覆われた状態が維持される。すなわち、給紙トレイ29に収容される記録用紙のサイズを変更するために拡張トレイ59の位置が変更されたとしても、排紙トレイ21が給紙トレイ29の蓋として機能する。
図7は、給紙トレイ29の表面側を示す斜視図であり、トレイ本体54に対して拡張トレイ59が第2方向37へ引き出された状態を示す。図8は、図7に示される状態における給紙トレイ29の裏面側を示す斜視図である。図9は、給紙トレイ29の表面側を示す斜視図であり、トレイ本体54に対して拡張トレイ59が第1方向36へ押し込まれた状態を示す。図10は、図9に示される状態における給紙トレイ29の裏面側を示す斜視図である。なお、図7〜図10においては、給紙トレイ29から排紙トレイ21が取り外された状態が示されている。
図7〜図10に示されるように、トレイ本体54は、第1方向36及び第2方向37に長い矩形状に形成されている。トレイ本体54の先端60に傾斜板22(図2及び図3参照)が設けられている。傾斜板22は、トレイ本体54の幅方向(図6における水平方向74)に長い板状部材からなる。傾斜板22は、装置背面側(第1方向36側)へ傾倒している。したがって、傾斜板22に記録用紙の先端が当接すると、その先端が傾斜板22の内側面62に沿って斜め上方へ案内される。すなわち、内側面62は、記録用紙を搬送路23(図3参照)へ案内するガイド面の役割を担う。
内側面62には、分離部材71が設けられている。分離部材71は、内側面62において傾斜板22の長手方向の中央に配設されている。分離部材71は、内側面62から突出された複数の歯が傾斜板22の傾斜方向に並んで配設されてなる。複数枚の記録用紙が重ねられた状態で給送されて、その用紙束の先端が内側面62に当接すると、用紙束の先端が分離部材71によって捌かれる。その際に、分離部材71の歯が記録用紙と記録用紙との間に入り込み、記録用紙間に隙間ができる。これにより、記録用紙が分離されやすくなり、給送の際に給紙ローラ25から記録用紙に付与された力と相俟って、最上位の記録用紙のみが下位の記録用紙から確実に分離される。
内側面62には、二つの回転コロ65が回転自在に設けられている。回転コロ65は、傾斜板22の長手方向における分離部材71を挟んだ対称位置に設けられている。回転コロ65は、そのローラ面が内側面62から露出されている。回転コロ65が回転することによって、記録用紙に付加される搬送摩擦が軽減される。
トレイ本体54には、一対のサイドガイド70が設けられている。サイドガイド70は、トレイ本体54の幅方向(水平方向74)へスライド可能に設けられている。サイドガイド70は、給紙トレイ29に載置された記録用紙の幅方向の位置を規制するものである。具体的には、給紙トレイ29に載置された記録用紙の幅方向の位置を予め定められた基準位置(本実施形態では給紙トレイ29の幅方向の中央)に略一致させるように規制するものである。このように、記録用紙の幅方向の中央位置を基準位置に一致させるように記録用紙を規制することは、一般にセンターレジと呼ばれている。なお、図7及び図9には、サイドガイド70がトレイ本体54の幅方向の外側へ移動された状態が示されている。
サイドガイド70には、幅方向中央側へ延出されたラックギヤ76(図8及び図10参照)が設けられている。ラックギヤ76は、トレイ本体54の幅方向中央に埋設されたピニオンギヤ77に噛合されている。2つのサイドガイド70のうちいずれか一方が水平方向74へスライドされると、他方が連動して相反する方向へスライドされる。したがって、給紙トレイ29に載置された記録用紙の幅がサイドガイド70の離間距離よりも短い場合は、サイドガイド70の一方をスライドさせることにより2つのサイドガイド70それぞれが同時に移動される。これにより、記録用紙の幅方向の中央位置が上記基準位置に略一致する。
トレイ本体54には、側端ガイド78が設けられている。側端ガイド78は、トレイ本体54の幅方向の両端に設けられている。側端ガイド78は、トレイ本体54の底73から上方へ垂直に起立している。側端ガイド78には、排紙トレイ21(図11参照)を支持するための軸受け孔66が設けられている。
側端ガイド78(図7〜図10参照)は、断面が逆U字形状のガイド溝75を有する。ガイド溝75は、拡張トレイ59のスライド方向を第1方向36及び第2方向37へ規制するものである。ガイド溝75に、拡張トレイ59のレール88が挿入される。
図7及び図9に示されるように、側端ガイド78における第2方向37側には、ガイド面89が設けられている。ガイド面89は、ガイド溝75の上方に第1方向36及び第2方向37へ延びるように設けられている。このガイド面89は、拡張トレイ61における側壁97(例えば図6及び図16参照)の下面119(図11及び図16参照)が当接する面である。下面119がガイド面89に当接することにより、拡張トレイ61が水平姿勢に維持される。
トレイ本体54には、凹部79が形成されている。凹部79は、トレイ本体54の長手方向に沿って長い矩形状に形成されている。凹部79には、2本のレール72(図7及び図9参照)が設けられている。図7及び図9に示されるように、レール72は、凹部79の底面から垂直方向に立設されている。レール72は、凹部79の長手方向の全域にわたって設けられている。レール72が拡張トレイ59のガイド溝108(図8及び図10参照)に挿入されることにより、拡張トレイ59のスライド方向が第1方向36及び第2方向37に規制される。
図7〜図10に示されるように、拡張トレイ59は、水平方向74(図6参照)に長い矩形状に形成されている。拡張トレイ59の後端部112における幅方向の中央には、水平な上面105が形成されている。排紙トレイ21の拡張トレイ61は、この上面105に支持される(図6参照)。
後端部112の幅方向における両端には、当接面116が設けられている。当接面116は、トレイ本体54側(第1方向36側)へ突出するように設けられている。当接面116は、拡張トレイ59が第1方向36側へスライドされた際に、後述の当接面136(例えば図11及び図16参照)に当接する部分である。したがって、当接面116は、当接面136に対応する位置に設けられている。
拡張トレイ59の幅方向両端それぞれには、幅方向の壁面を構成するとともに、トレイ本体54のガイド溝75に挿入されるレール88が第1方向36及び第2方向37へ延びるように設けられている。レール88は、ガイド溝75に挿入され得る位置及び形状に形成されている。
図7〜図10に示されるように、拡張トレイ59には上側挿入部90と下側挿入部91とが設けられている。上側挿入部90は、第1方向36及び第2方向37を長手方向として拡張トレイ59の幅方向中央に設けられている。図7及び図9に示されるように、上側挿入部90は、凹部79の上側を覆うようにトレイ本体54に挿入される。したがって、上側挿入部90は、凹部79に対応した位置及び形状に形成されている。
図8及び図10に示されるように、上側挿入部90の裏面には、拡張トレイ59の短手方向に沿って2本のガイド溝108が形成されている。ガイド溝108にトレイ本体54のレール72(図7及び図9参照)が挿入される。したがって、ガイド溝108は、レール72に対応した位置に設けられている。
上側挿入部90の幅方向中央には、長手方向全域にわたってスリット110(図7及び図9参照)が形成されている。上側挿入部90には、リヤガイド140(図7及び図9参照)が設けられている。リヤガイド140は、給紙トレイ29に載置された記録用紙の後端に当接してその後端の位置を規制するものである。リヤガイド140の下部は、スリット110に挿入されている。これにより、リヤガイド140はスリット110に沿ってスライド可能に支持される。したがって、リヤガイド140は、先端83と後端部112との間でスライド可能である。リヤガイド140が記録用紙の後端に向けてスライドされると、記録用紙の後端がリヤガイド140のガイド面に当接する。これにより、記録用紙の後端が揃えられる。
拡張トレイ59の底93のうち、上側挿入部90を除く部分が下側挿入部91(図8及び図10参照)である。つまり、下側挿入部91は、上側挿入部90の幅方向両端の外側に設けられている。図7〜図10に示されるように、下側挿入部91は、トレイ本体54の裏面側に潜り込むように挿入される。上側挿入部90と下側挿入部91との境界には、スリット111が形成されている(図7及び図9参照)。スリット111は、スリット110の延設方向と同方向に延び、スリット110と略同形状に形成されている。スリット111によって、上側挿入部90と下側挿入部91とが拡張トレイ59の幅方向に分離されている。これにより、拡張トレイ59をトレイ本体54に取り付ける際に、上側挿入部90をトレイ本体54の底73の表面側に露出するように挿入し、下側挿入部91を底73の裏面側に潜り込ませるように挿入することが可能となる。
このようにトレイ本体54及び拡張トレイ59が構成されているため、トレイ本体54に対して拡張トレイ59が第1方向36及び第2方向37へスライド可能となる。拡張トレイ59がトレイ本体54に収容された状態(図9及び図10参照)から第2方向37へ引き出されることにより、給紙トレイ29のシート積載面が拡張される。逆に、拡張トレイ59がトレイ本体54から引き出された状態(例えば、図6〜8参照)からトレイ本体54に対して第1方向36へ押し込まれることにより、給紙トレイ29のシート積載面が縮小される。
図11は、排紙トレイ21の表面側を示す斜視図であり、トレイ本体56に対して拡張トレイ61が第2方向37へ引き出された状態を示す。図12は、排紙トレイ21の表面側を示す斜視図であり、トレイ本体56に対して拡張トレイ61が第1方向36へ押し込まれた状態を示す。なお、図11及び図12では、排紙トレイ21が給紙トレイ29から取り外された状態が示されている。
図11及び図12に示されるように、トレイ本体56には回動軸35が設けられている。回動軸35は、トレイ本体56の先端84における幅方向(図6における水平方向74)の両端に設けられている。回動軸35が軸受け孔66(図7等参照)に挿入されることによって、排紙トレイ21が給紙トレイ29の幅方向を軸として、その上方で回動可能に支持される。
図13は、図11におけるXIII部の拡大図である。図14は、図11におけるXIV部の拡大図である。
図13及び図14に示されるように、トレイ本体56は、その上面に断面がU字形状のガイド溝115を有する。ガイド溝115は、トレイ本体56の表面が裏面側へ凹むように形成されている。ガイド溝115は、第1方向36及び第2方向37へ延びるようにトレイ本体56の全域にわたって設けられている。ガイド溝115に拡張トレイ61の凸片58(図14参照)が挿入されることによって、拡張トレイ61のスライド方向が第1方向36及び第2方向37に規制される。
図13及び図14に示されるように、トレイ本体56は、その上面にレール98が設けられている。レール98は、トレイ本体56の幅方向にガイド溝115と交互に並べられている。レール98は、トレイ本体56の表面から垂直方向に立設されている。レール98は、第1方向36及び第2方向37に延びるようにトレイ本体56の全域にわたって設けられている。レール98が拡張トレイ61のガイド溝86(図14参照)に挿入されることにより、拡張トレイ61のスライド方向が第1方向36及び第2方向37に規制される。
拡張トレイ61は、図11及び図12に示されるように、幅方向に長い矩形状に形成されている。拡張トレイ61は、上面が平らに形成された平面部114、及び平面部114に対して第1方向36側へ下方に傾斜された傾斜部106からなる。
平面部114は、その幅が給紙トレイ29の拡張トレイ59の幅と略等しいものである。平面部114の幅方向の両側には、上面95から鉛直下向きに延びる側壁97が設けられている。側壁97は、その離間距離がガイド面89(図7参照)の離間距離と略等しくなるように設けられている。これにより、排紙トレイ21が給紙トレイ29に取り付けられた状態で、側壁97がガイド面89の直上に配置される。換言すれば、側壁97の下面119がガイド面89に当接可能となる。下面119がガイド面89に当接することにより、排紙トレイ21の回動が規制されて上面95が略水平姿勢に維持される(図6参照)。
側壁97は、その第2方向37側の端部に当接面136を有する。当接面136は、拡張トレイ59が第1方向36へスライドされることによって当接面116により押圧される部分である。また、当接面136は、拡張トレイ61が第2方向37へスライドされることによって当接面116を押圧する部分である。したがって、当接面136は、当接面116に対応する位置に設けられている。
平面部114は、後端部122に開口120が設けられている。後端部122は、拡張トレイ61における開口16(図1及び図2参照)側の端部である。開口120は、後端部122において、後端面117(本発明の端面の一例)の幅方向の中央から上面95にわたって設けられている。平面部114の裏面側には、小トレイ63が収容される収容部127が設けられている。収容部127は、第1方向36及び第2方向37へ延びる側壁124及び支持片(不図示)を有する。支持片は、側壁124の下端から平面部114の幅方向の中央へ突出されている。
小トレイ63は、幅方向(水平方向74)の長さと奥行き方向(第1方向36及び第2方向37)の長さが略等しい矩形状に形成されている。小トレイ63は、収容部127に収容されて支持片に下方から支持される。小トレイ63は、図11及び図12に示される状態から第2方向37へ拡張トレイ61に対してスライド可能に設けられている。小トレイ63は、図には示されていないが、拡張トレイ61から第2方向37へ引き出されることによって後端面117から突出する。これにより、拡張トレイ61におけるシート載置面が第2方向37側へ拡張される。
図14に示されるように、傾斜部106の先端96には、トレイ本体56のガイド溝115に挿入される凸片58が設けられている。凸片58は、先端96から下方へ突出するように形成されてる。凸片58は、ガイド溝115に挿入され得る位置及び形状に形成されている。
図14に示されるように、傾斜部106には、断面が逆U字形状のガイド溝86が形成されている。ガイド溝86は、傾斜部106における先端96から第2方向37へ延びるように、傾斜部106の裏面側に設けられている。ガイド溝86にトレイ本体56のレール98が挿入される。したがって、ガイド溝86は、レール98に対応した位置に設けられている。拡張トレイ61の凸片58がトレイ本体56のガイド溝115に挿入され、トレイ本体56のレール98が拡張トレイ61のガイド溝86に挿入される。これにより、拡張トレイ61のスライド方向が第1方向36及び第2方向37に規制される。
このようにトレイ本体56及び拡張トレイ61が構成されているため、トレイ本体56に対して拡張トレイ61が第1方向36及び第2方向37へスライド可能となる。拡張トレイ61がトレイ本体56に対して押し込まれた状態(例えば図12参照)から第2方向37側へ引き出されることにより、排紙トレイ21のシート積載面が拡張される。逆に、拡張トレイ61がトレイ本体56から引き出された状態(例えば図11参照)から第1方向36へ押し込まれることにより、排紙トレイ21のシート積載面が縮小される。また、回動軸35が軸受け部66に支持されることによってトレイ本体56が水平方向74(図6参照)を軸として上方へ回動可能に構成されている。
例えば、複合機10において原稿の読取開始が指示されると、スキャナ部12により原稿の画像が読み取られる。プリンタ部20は、この原稿の画像に基づいて印刷処理を実行する。この印刷処理は、以下のように行われる。すなわち、LFモータ85(図5参照)の駆動力が給紙ローラ25、搬送ローラ67、及び排紙ローラ68に選択的に伝達される。これにより、給紙トレイ29に収容されている記録用紙が搬送路23に沿って搬送される。記録用紙は、その搬送過程で画像記録ユニット24により画像が記録され、開口16へ向けて空間40(図2参照)へ排出される。
図15は、給紙カセット52の斜視図であり、排紙トレイ21が第2姿勢の状態を示す。図16は、図15におけるXVI部の拡大図である。図17は、給紙カセット52の斜視図であり、拡張トレイ59及び拡張トレイ61が開口面19から一体的に押し込まれた状態を示す。図18は、給紙カセット52の側面図であり、(A)は図15の状態における給紙カセット52を示し、(B)は図17の状態における給紙カセット52を示す。
トレイ本体56及び拡張トレイ61が上述のように構成されているので、排紙トレイ21は、第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変化可能である。第1姿勢は、拡張トレイ61の後端面117がプリンタ部20の開口面19(図2及び図18参照)と略同一平面をなす状態である(図2参照)。すなわち、第1姿勢は、開口面19に後端面117が位置するように、トレイ本体56に対して拡張トレイ61が第2方向37へ引き出された状態である。なお、給紙カセット52は、拡張トレイ59の第1方向36へのスライド、又は拡張トレイ61の第2方向37へのスライドによって、当接面116(図7参照)及び当接面136(図16参照)が当接する。拡張トレイ59が第1方向36側へ押し込まれている場合(例えば図17参照)、拡張トレイ61が第2方向37へ引き出されることによって当接面136(図16参照)によって当接面116(図15参照)が第2方向37側へ押圧される。その結果、拡張トレイ59が拡張トレイ61と一体的に第2方向37へスライドされる。したがって、第1姿勢では、開口面19、後端面117、及び後端面92によって同一平面が構成される(図2参照)。第2姿勢は、後端面117が開口面19から第1方向36へ押し込まれた状態である(図15、図17、図18参照)。
記録用紙は、排紙トレイ21が第1姿勢に維持された状態で排紙トレイ21上に排出される。例えば図6に示されるように、第1姿勢では、給紙トレイ29の上方が排紙トレイ21によって覆われている。このため、排紙トレイ21に収容された記録用紙に付着している紙粉などのゴミが給紙トレイ29へ進入することが防止される。
本実施形態に係る複合機10では、画像が記録された記録用紙は、プリンタ部20の背面側(図18の各図における右側)から開口16へ向けて空間40へ排出される。このため、印刷処理に例えばハガキなどの小サイズの記録用紙(以下、「小サイズ用紙」とも称される。)が使用された場合、小サイズ用紙は、排紙トレイ21上の開口16から離れた位置(排紙トレイ21上の奥部)に載置される。この場合、ユーザが開口面19に対して拡張トレイ61を押し込むことによって排紙トレイ21からの小サイズ用紙の取り出しが容易になる(図2及び図18(A)参照)。
図2、図6、及び図15に示されるように、開口16に対して拡張トレイ61が押し込まれる。トレイ本体56がトレイ本体54に支持されているので、拡張トレイ61がトレイ本体56に対して第1方向36へスライドされる(図6、図15、図18(A)参照)。図16に示されるように、拡張トレイ61は、その側壁97の下面119がトレイ本体54の側端ガイド78におけるガイド面89に支持されている。拡張トレイ61は、ユーザによって開口16から押し込まれることにより、下面119がガイド面89に沿って円滑に摺動しつつ第1方向36へスライドされる。その結果、後端面117が開口面19から押し込まれた第2姿勢となる(図18(A)参照)。このように、トレイ本体59に対して拡張トレイ61が開口面19から押し込まれることによって、排紙トレイ21が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化される。
上述の要領で排紙トレイ21が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化されることにより、開口16における排紙トレイ21上方の空間が開口16の下方及び奥側へ拡張される。換言すれば、上記姿勢変化により、排紙トレイ21から記録用紙を取り出すためにユーザが手を入れるための空間が開口16の下方及び奥側へ拡張される。図2及び図18(A)に示されるように、排紙トレイ21が第1姿勢のときにH1であった開口16における空間の高さが、排紙トレイ21が第2姿勢に姿勢変化されることによってH2となる。その結果、ユーザが開口16のより奥まで手を入れることが可能となり、排紙トレイ21の奥部から小サイズ用紙を容易に取り出すことができる。したがって、ユーザが排紙トレイ21から記録用紙を取り出しにくくなるといった不利益を被ることなく、開口16の高さ(カバー下31の高さ)を低くしてスキャナ部12及びプリンタ部20が上下二段に設けられた複合機10を薄型化することができる。これは、本実施形態に係る画像記録装置が単機能のプリンタである場合も同様である。
なお、本実施形態においては、拡張トレイ61の幅が給紙トレイ29の幅と略等しい。このため、上記排紙トレイ21の第1姿勢から第2姿勢への姿勢変化により、給紙トレイ29の幅方向の全域にわたって、ユーザが手を入れるための空間が開口16の下方及び奥側へ拡張される。したがって、本実施形態のように排紙トレイ21の幅方向の中央を基準として記録用紙が排出される場合のみならず、排紙トレイ21の幅方向の端部を基準として記録用紙が排出される場合でも、ユーザは排紙トレイ21から記録用紙を容易に取り出すことができる。
[第1変形例]
排紙トレイ21は、ユーザが拡張トレイ59を開口面19から押し込むことによって第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化されてもよい。拡張トレイ59が第1方向36へスライドされることによって、当接面116(図7参照)が当接面136(図16参照)に当接する。拡張トレイ61が第2方向37側へ引き出されている場合(例えば図6参照)、拡張トレイ59が第1方向36へ押し込まれることによって当接面116によって当接面136が第1方向36側へ押圧される。これにより、拡張トレイ61が拡張トレイ59と一体的に第1方向36へスライドされる。このように、給紙トレイ29は、その後端面92が拡張トレイ61と一体的に開口面19から押し込まれる方向(第1方向36)へスライドする。
このように、拡張トレイ59が拡張トレイ61と一体的に押し込まれることにより、排紙トレイ21から記録用紙を取り出すためにユーザが手を入れるための空間が開口16の下方及び奥側へさらに拡張される。図2及び図18(B)に示されるように、排紙トレイ21が第1姿勢のときにH1であった開口16における空間の高さが、排紙トレイ21が第2姿勢に姿勢変化されることによってH3となる。開口面19に対して拡張トレイ61のみが押し込まれて排紙トレイ21が第2姿勢となる場合(図18(A)参照)に比べて、ユーザが手を入れるための空間が開口16の下方及び奥側へさらに拡張される。その結果、排紙トレイ21からの記録用紙の取り出しが一層容易なものとなる。このため、複合機10の薄型化も一層容易になる。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態に係る複合機10は、排紙トレイ21の構成が一部異なるほかは、第1実施形態と同様の構成である。このため、排紙トレイ21以外の構成の説明は省略される。
図19は、給紙カセット52の平面図であり、排紙トレイ21が第1姿勢の状態を示す。図20は、給紙カセット52の斜視図であり、拡張トレイ133に対して小トレイ126が開口面19から押し込まれた状態を示す。
本実施形態においては、排紙トレイ21は、本発明のトレイ本体の一例であるトレイ本体56及び拡張トレイ133と、本発明のサブトレイの一例である小トレイ126とから構成される。
拡張トレイ133は、図19及び図20に示されるように、後端面117の一部が第2方向37側から第1方向36側へ切り欠かれている。これにより、拡張トレイ133は、開口16側の端部に開口147(本発明の切り欠き部の一例)を有する。この開口147は、開口120(図11参照)と同様に、後端面117から上面95にわたって形成されている。開口147は、開口120に比べて後端面117及び上面95がより広範囲に切り欠かれることによって形成されている(図6及び図20参照)。この開口147は、ユーザが開口147を通して空間87(図20参照)へ手を入れることが可能なように、ユーザの手の大きさに合わせて形成されている。
小トレイ126は、小トレイ63(図6参照)と略同形状のものであって、開口147に合わせて小トレイ63よりも大きく形成されている。小トレイ126が拡張トレイ133の開口147に配置されることにより、開口147が閉塞される(図19参照)。すなわち、小トレイ126が開口147に配置されることによって、小トレイ126の後端面94(本発明の端面の一例)及び拡張トレイ133の後端面117が略同一平面を形成し、且つ小トレイ126の上面15が上面95における開口147を閉塞する(図19参照)。これにより、給紙トレイ29の上側が拡張トレイ133及び小トレイ126に覆われる。図には示されていないが、小トレイ126の幅方向の両側には、水平方向74の外側へ突出するレールが設けられている。このレールは、第1方向36及び第2方向37へ延びるように小トレイ126の奥行き方向の全域に設けられている。このレールが後述のガイド溝137(図20参照)に支持されることにより、小トレイ126が収容部144に収容される。したがって、レールは、ガイド溝137に対応する位置に設けられている。
拡張トレイ133の裏面側には、収容部144が設けられている。小トレイ126は、この収容部144に収容される。このため、収容部144は、収容部127(図11参照)よりも幅広で奥行きが長くなるように形成されている。水平方向74における収容室144の両側には、ガイド溝137が設けられている。図19及び図20に示されるように、ガイド溝137は、第1方向36及び第2方向37へ延びるように収容室144の内側へ向けて設けられており、縦断面がコの字形のものである。ガイド溝137は、小トレイ126のレールに対応する位置に設けられている。小トレイ126は、そのレールがガイド溝137に支持されることによって、第1方向36及び第2方向37へスライド可能に拡張トレイ133に設けられる。
このように、本実施形態における給紙カセット52は、開口147の部分を除いて第1実施形態における給紙カセット52と同様に構成されている(図6及び図20参照)。このため、本実施形態の給紙カセット52は、第1実施形態における給紙カセット52と同様にプリンタ部20の開口16内に配置される。
本実施形態においては、排紙トレイ21は、プリンタ部20の開口面19(図2参照)、拡張トレイ133の後端面117、及び小トレイ126の後端面94が略同一平面を形成することによって第1姿勢に維持される(図19参照)。すなわち、第1姿勢は、小トレイ126が開口147に配置された状態である。したがって、第1姿勢では、給紙トレイ29の上方が拡張トレイ133及び小トレイ126に覆われる。この状態からユーザによって小トレイ126が押し込まれる。これにより、小トレイ126が拡張トレイ133に対して第1方向36へスライドされる。その結果、排紙トレイ21が第2姿勢となる(図20参照)。
このように、排紙トレイ21は、拡張トレイ133に対して小トレイ126が第1方向36へスライドされることによって第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化される。この姿勢変化によって開口147が開放され、小トレイ126により区画されていた排紙トレイ21上の空間と給紙トレイ29内の空間87が連続する。これにより、排紙トレイ21から記録用紙を取り出すためにユーザが手を入れるための空間が開口147の下方(拡張トレイ59の内部)まで拡張される。その結果、排紙トレイ21からの記録用紙の取り出しが容易になる。
本実施形態においては、給紙トレイ29における記録用紙の基準位置にセンターレジが採用されているため、記録用紙は、排紙トレイ21の幅方向の中央位置を基準に排紙トレイ21上に排出される。記録用紙の幅方向の端部を給紙トレイ29における幅方向の端部に一致させるサイドレジの場合、記録用紙は、排紙トレイ21の幅方向の端部を基準に排紙トレイ21上に排出されることとなる。この場合、排紙トレイ21上に排出される記録用紙の基準位置に応じて、開口147の位置を拡張トレイ133の幅方向端部に変更することが好ましい。
なお、第1実施形態及び第2実施形態においては、排紙トレイ21が給紙トレイ29の蓋として給紙トレイ29に連結されている形態について説明したが、排紙トレイ21は、給紙トレイ29ではなくプリンタ部20(例えばカバー下31)に設けられていてもよい。
第1実施形態及び第2実施形態においては、拡張トレイ61又は小トレイ126が開口面19から押し込まれて排紙トレイ21が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化される形態について説明した。ただし、開口面19から押し込まれる部材は排紙トレイ21の一部に限定されるものではなく、例えば排紙トレイ21全体が開口面19から押し込まれてもよい。
第1実施形態及び第2実施形態においては、排紙トレイ21が第1姿勢及び第2姿勢の間で姿勢変化される形態について説明した。ただし、排紙トレイ21は、後端面117や後端面94が開口面19の外側へ引き出し可能に構成されていてもよい。すなわち、本発明における第1姿勢は、排紙トレイ21が伸縮される姿勢変化の一姿勢である。