JP4677704B2 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球温暖化やエネルギー問題に対する関心の高まりとともに太陽電池の様々な開発が進められている。その太陽電池の中でも、米国特許4927721号公報等に発表された色素増感型太陽電池は、ルテニウム錯体色素を金属錯体色素(増感色素)として含む二酸化チタン多孔質薄膜を有する光電極(作用電極)を備えており、使用する材料(酸化物半導体等)が安価であること、使用する材料を高純度に精製することなく用いることができること、比較的シンプルなプロセスで製造できること、用いる金属錯体色素の吸収波長領域がブロードなため、可視光線のほぼ全ての波長領域の光を電気に変換できること等からその実用化が期待されている。
【0003】
そして、色素増感型太陽電池に使用される金属錯体色素としては、従来より、例えば、ルテニウム(Ru3+イオン,Ru2+イオン)を配位中心とし、チオシアン酸イオン、1,10-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン誘導体、2,2’-ビピリジル及び2,2’-ビピリジル誘導体等を配位子とするイソチオシアネート錯体(後述の式(I)を参照)、チオシアネート錯体、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素等が知られている。
【0004】
また、金属錯体色素の他に有機色素も使用される場合があり、このような有機色素としては、キサンテン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フェニルキサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、ロダシアニン系色素等が知られている。
【0005】
色素増感型太陽電池おいては、電池特性(光電変換効率)の向上を図る一方で、電池寿命を実用レベルにまで向上させることが実用化に向けた重要な課題となっている。すなわち、長期使用中における電池特性の低下を低減し、優れた電池特性を長期にわたり得ることである。
【0006】
そのためのアプローチの一つとして、光電極の半導体電極に含有される金属錯体色素及び有機色素の熱、光、薬品に対する耐久性を向上させ、その寿命をのばすことにより、優れた電池特性を長期にわたり得ることが可能な電池を構成するための様々な検討が行われている。
【0007】
上記の検討としては、例えば、特開2002−25635号公報に記載の金属錯体色素が挙げられる。
【0008】
【特許文献1】
米国特許4927721号公報
【特許文献2】
特開2002−25635号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、上記の特開2002−25635号公報に記載の金属錯体色素であっても、十分な耐熱性、耐光性及び化学的安定性を得ることができておらず、従って、この色素を含む光電極を備えた色素増感型太陽電池であっても、使用開始時の光電変換効率を長期にわたって安定的に得ることができず未だ不十分であるということを見出した。
【0010】
すなわち、上記公報に記載の金属錯体色素を含む従来の金属錯体色素は、光電極を構成する半導体電極内に含有させて光電変換反応の増感剤として使用し、太陽光等の光の照射下で光電変換反応を進行させつづけると金属錯体色素が分解し変質するという問題があった。
【0011】
また、この光や熱により電解質中或いは該電解質に接触する半導体電極中に発生する活性酸素種(例えば、ヒドロペルオキシラジカル、アルキルペルオキシラジカル、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、アルキルヒドロペルオキシド、一重項酸素、原子状酸素、オゾン、スーパーオキシドアニオン、過酸化物アニオン、酸素アニオン等)により金属錯体色素が酸化分解されるという問題があった。
【0012】
また、光に含まれる紫外光の吸収によっても金属錯体色素が光分解されるという問題があった。更に、上記のの問題は、金属錯体色素のかわりに有機色素を使用する場合にも同様に発生していた。
【0013】
更に、上述の色素の分解(酸化分解、光分解、熱分解)の進行は、例えば、色素増感型太陽電池を、実用化された際に最も適用される可能性の高い比較的高温(例えば、60℃以上)の作動環境下(例えば、屋外等の)に設置する場合に、一段と顕著となる傾向があった。
【0014】
そのため、従来の色素増感型太陽電池は、上記の金属錯体色素及び有機色素の分解による劣化が大きく影響して充分な電池寿命を得ることができなかった。
【0015】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、色素の耐熱性、耐光性及び化学的安定性を容易に向上させることができ、優れた光電変換効率を長期にわたり得ることができる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、電池系内(特に有機溶媒を含む電解質中)に水が存在する場合に色素(金属錯体色素及び有機色素)の分解反応が著しく促進されることを見出した。そして、本発明者らは、色素自体の分子構造をかえるよりも、むしろ電解質中に水を分解する特定の添加剤を添加することが色素の分解反応の進行防止に極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0017】
すなわち、本発明は、受光面を有する半導体電極と受光面上に隣接して配置された透明電極とを有する光電極と、対極とを有しており、半導体電極と対極とが電解質を介して対向配置された色素増感型太陽電池であって、半導体電極には、色素が含有されており、電解質には、加水分解能を有するケイ素化合物が含有されていること、を特徴とする色素増感型太陽電池を提供する。
【0018】
ここで、本発明において、「色素」とは、金属錯体色素及び有機色素を示す。また、「電解質」とは、電解質溶液(以下、必要に応じて「電解液」という)、電解質溶液にゲル化剤を添加してゲル化したもの、及び、固体電解質を示す。更に、「加水分解能を有するケイ素化合物」とは、少なくとも1つの加水分解能を有する特性基がケイ素原子に結合した構造を有するケイ素化合物を示す。
【0019】
本発明によれば、加水分解能を有するケイ素化合物を電解質中に含有させることにより、太陽光等の光の照射下であっても長期にわたって色素(金属錯体色素及び有機色素)の酸化による劣化が充分に防止される。すなわち、色素(金属錯体色素及び有機色素)の耐熱性、耐光性及び化学的安定性を容易に向上させることができる。その結果、優れた光電変換効率を長期にわたり得ることができる色素増感型太陽電池を容易に構成することができる。
【0020】
上述のように、電池系内(特に有機溶媒を含む電解質中)に水が存在する場合に色素(金属錯体色素及び有機色素)の分解反応が著しく促進されること理由については明確には解明されていないが、本発明者らは以下のように考えている。
【0021】
即ち、本発明者らは、電池外部の水の混入或いは製造過程において混入した水等により電池系内に水が存在していると、電池に光が照射されたときに半導体電極を構成する半導体(例えば、酸化チタン)、色素分子、又は、電解質中の分子(例えば、電解液中の有機溶媒分子又は電解液中に溶存する酸素分子など)が励起され、電子或いはエネルギー移動反応が進行して上述の活性酸素種やその他のラジカル種が生じ易くなり、これらが色素と反応して色素の分解又は色素の光増感機能の低下が起こり易くなると考えている。
【0022】
また、電池系内に水が存在している場合、色素の配位子交換反応も進行し易くなり、この観点からも色素の分解又は色素の光増感機能の低下が起こり易くなると考えている。このような色素の配位子交換反応としては、色素としていわゆるRed dye(後述の式(I)で表される構造を有する色素)を用いる場合には、例えば、Red dyeを構成する配位子NCS-が配位子OH-と交換する反応等が考えられる。
【0023】
更に、加水分解能を有するケイ素化合物を電解質中に含有させることにより、色素の分解が充分に防止される理由については明確には解明されていないが、本発明者らは以下のように考えている。
【0024】
すなわち、加水分解能を有する化合物の中でも加水分解能を有するケイ素化合物は、電解質中(又は、光電極中或いは対極中に吸着した状態)で長期にわたって化学的安定に存在でき、ケイ素原子に結合する加水分解性を有する特性基が高い加水分解反応に対する反応性を有しており、かつ、反応生成物(例えば、アルコール、チオール、ハロゲン等)が電池反応の阻害物とならないからであると考えている。
【0025】
また、本発明によれば、加水分解能を有するケイ素化合物を電解質(例えば、電解液)中に含有させることにより、光や熱による上記活性酸素種の発生による電解質(例えば、電解液)自体の酸化反応も充分に防止することができる。更には、加水分解能を有するケイ素化合物を電解質(例えば、電解液)中に含有させることにより、光や熱による電解質自体の光分解及び熱分解も充分に防止することができる。このような観点からも、本発明によれば、優れた光電変換効率を長期にわたり得ることができる色素増感型太陽電池を容易に構成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の光電極及び色素増感型太陽電池の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の第1実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【0028】
図1に示す色素増感型太陽電池20は、主として、光電極10と、対極CEと、スペーサSにより光電極10と対極CEとの間に形成される間隙に充填された電解液Eとから構成されている。また、図1に示す光電極10は、主として、受光面F2を有する半導体電極2と、当該半導体電極2の受光面F2上に隣接して配置された透明電極1とから構成されている。そして、半導体電極2は、受光面F2と反対側の裏面F22において電解液Eと接触している。
【0029】
この色素増感型太陽電池20は、透明電極1を透過して半導体電極2に照射される光L10によって、半導体電極2内に吸着されている増感色素が励起され、この増感色素から半導体電極2へ電子が注入される。そして、半導体電極2において注入されした電子は、透明電極1に集められて外部に取り出される。
【0030】
透明電極1の構成は特に限定されるものではなく、通常の色素増感型太陽電池に搭載される透明電極を使用できる。例えば、図1に示す透明電極1は、ガラス基板等の透明基板4の半導体電極2の側にいわゆる透明導電膜3をコートした構成を有する。この透明導電膜3としては、液晶パネル等に用いられる透明電極を用いればよい。
【0031】
例えば、フッ素ドープSnO2コートガラス、ITOコートガラス、ZnO:Alコートガラス、アンチモンドープ酸化スズ(SnO2−Sb)、等が挙げられる。また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。
【0032】
透明基板4としては、液晶パネル等に用いられる透明基板を用いてよい。具体的には透明なガラス基板、ガラス基板表面を適当に荒らすなどして光の反射を防止したもの、すりガラス状の半透明のガラス基板など光を透過するものが透明基板材料として挙げられる。なお、光を透過するものであれば材質はガラスでなくてもよく、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などでもよい。
【0033】
図1に示す半導体電極2は、酸化物半導体粒子を構成材料とする酸化物半導体層からなる。半導体電極2に含有される酸化物半導体粒子は特に限定されるものではなく、公知の酸化物半導体等を使用することができる。酸化物半導体としては、例えば、TiO2,ZnO,SnO2,Nb25,In23,WO3,ZrO2,La23,Ta25,SrTiO3,BaTiO3等を用いることができる。これらの酸化物半導体の中でもアナターゼ型TiO2が好ましい。
【0034】
また、半導体電極2に含有される増感色素は、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つ色素であれば特に限定されるものではない。より好ましくは、少なくとも200nm〜10μmの波長の光により励起されて電子を放出するものであればよい。このような増感色素としては、金属錯体や有機色素等を用いることができる。金属錯体としては銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィルまたはその誘導体、ヘミン、ルテニウム、オスミウム、鉄及び亜鉛の錯体(例えば、シス−ジシアネート−N,N’−ビス(2、2’−ビピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))等が挙げられる。有機色素としては,メタルフリーフタロシアニン,シアニン系色素,メロシアニン系色素,キサンテン系色素,トリフェニルメタン系色素等を用いることができる。
【0035】
また、対極CEは、電解質中の酸化還元対(例えば、I3 -/I-等)に高効率で電子を渡すことができる材料から構成されるのもであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン太陽電池、液晶パネル等に通常用いられている対極と同じものを用いてよい。例えば、前述の透明電極1と同じ構成を有するものであってもよく、透明電極1と同様の透明導電膜3上にPt等の金属薄膜電極を形成し、金属薄膜電極を電解液Eの側に向けて配置させるものであってもよい。また、透明電極1の透明導電膜3に白金を少量付着させたものであってもよく、白金などの金属薄膜、炭素などの導電性膜などであってもよい。
【0036】
更に、電解液Eは、先に述べた加水分解能を有するケイ素化合物を含み、かつ、光励起され半導体への電子注入を果した後の色素を還元するための酸化還元種を含んでいれば特に限定されず、例えば、液状の電解質であってもよく、これに公知のゲル化剤(高分子或いは低分子のゲル化剤)を添加して得られるゲル状の電解質であってもよい。
【0037】
また、電解液Eに使用される溶媒としては、溶質成分を溶解できる化合物であれば特に制限はないが、電気化学的に不活性で、比誘電率が高くかつ粘度が低い溶媒(およびこれらの混合溶媒)に溶かしたものが好ましく、例えば、例えば,メトキシプロピオニトリルやアセトニトリルのようなニトリル化合物,γ−ブチロラクトンやバレロラクトンのようなラクトン化合物,エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのようなカーボネート化合物、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0038】
電解液Eに使用される溶質としては,半導体電極2に担持された色素や対極CEと電子の受け渡しを行える酸化還元対(I3 -/I-系の電解質、Br3 -/Br-系の電解質、ハイドロキノン/キノン系の電解質などのレドックス電解質)や、この電子の受け渡しを助長する作用を有する化合物等が挙げられ、これらがそれぞれ単独あるいは複数組み合せて含まれていてもよい。
【0039】
より具体的には、酸化還元対を構成する物質としては、例えば,ヨウ素,臭素,塩素などのハロゲン,ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム,ヨウ化テトラプロピルアンモニウム,ヨウ化リチウムのようなハロゲン化物などが挙げられる。電子の受け渡しを効率よく行うための添加剤としては、4−t−ブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾールのようなヘテロ環状化合物などが挙げられる。
【0040】
次に、電解液Eに添加する加水分解能を有するケイ素化合物について説明する。このケイ素化合物の分子量は1000以下であることが好ましい。電解液Eに添加する加水分解能を有するケイ素化合物の分子量が1000を超えると、電解液Eの粘度が上昇し、抵抗上昇を招くため、電池電圧等の電池特性が低下する傾向が大きくなる。また、上記と同様の観点から、加水分解能を有するケイ素化合物の分子量は、30〜1000であることがより好ましい。
【0041】
また、電解液Eに添加する加水分解能を有するケイ素化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0042】
【化6】
Figure 0004677704
【0043】
ここで、式(1)中、nは、1〜4の整数を示し、Xは、加水分解能を有する特性基を示し、R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、及び、複素環基からなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素基を示す。
【0044】
なお、本明細書において、「複素環基」とは、ピロール、ピロリン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、テトラゾール、ピラン、チイン、ピリジン、オキサジン、チアジン、ピリタジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、クロマン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ジベンゾフラン、カルバゾール、キサンテン、アクリジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノキサジン、チアントレン、インドリジン、チノリジン、ナフチリジン、プリン、及び、プテリジンからなる群から選択される少なくとも1種を示す。
【0045】
また、加水分解能を有するケイ素化合物の電解質中での長期にわたる化学的安定及び加水分解反応に対する反応性を充分に確保する観点と、加水分解反応の反応生成物の電池反応に対する阻害性を充分に低減するという観点から、R1となるアルキル基は炭素数が1〜20であることが好ましく、R1となるアルケニル基は炭素数が2〜20であることが好ましく、R1となるアルキニル基は炭素数が2〜20であることが好ましい。
【0046】
また、上記と同様の観点から、式(1)中のXは、下記一般式(2)〜(5)及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0047】
【化7】
Figure 0004677704
【0048】
【化8】
Figure 0004677704
【0049】
【化9】
Figure 0004677704
【0050】
【化10】
Figure 0004677704
【0051】
ここで、式(2)〜(5)中、R1は式(1)中に記載のR1と同義であり、R2及びR3は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、及び、複素環基からなる群から選択される少なくとも1種を示す。
【0052】
また、加水分解能を有するケイ素化合物の電解質中での長期にわたる化学的安定及び加水分解反応に対する反応性を充分に確保する観点と、加水分解反応の反応生成物の電池反応に対する阻害性を充分に低減するという観点から、R2又はR3となるアルキル基は炭素数が1〜20であることが好ましく、R2又はR3となるアルケニル基炭素数が2〜20であることが好ましく、R2又はR3となるアルキニル基は炭素数が2〜20であることが好ましい。
【0053】
更に、色素(金属錯体色素及び有機色素)及び電解液Eの酸化分解、光分解及び熱分解の進行をより確実に防止する観点から、式(1)〜式(4)中のR1を構成する少なくとも1つの水素原子が、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基(−SO−)、オキシカルボニル基(−CO−O−)、ハロホルミル基、カルバモイル基、ヒドラジノカルボニル基(−CO−NH−NH2)、アミジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、オキソ基、チオホルミル基、チオキソ基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、アリロキシ基(−O−RA)、スルフィド基(−S−R4)、ニトロ基、シリル基及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の置換基により更に置換されていてもよい。なお、上記の「R4」は炭素数1〜50のアルキル基又は芳香族置換基を示す。また、上記の「RA」は芳香族置換基を示す。
【0054】
また、上述したように色素(金属錯体色素及び有機色素)及び電解液Eの酸化分解、光分解及び熱分解をより十分に防止する観点から、式(5)中のR2は水素原子以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、及び、複素環基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0055】
更に、この場合には、R2を構成する少なくとも1つの水素原子が、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基(−SO−)、オキシカルボニル基(−CO−O−)、ハロホルミル基、カルバモイル基、ヒドラジノカルボニル基(−CO−NH−NH2)、アミジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、オキソ基、チオホルミル基、チオキソ基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、アリロキシ基(−O−RA)、スルフィド基(−S−R4)、ニトロ基、シリル基及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の置換基により更に置換されていてもよい。なお、上記の「R4」は炭素数1〜50のアルキル基又は芳香族置換基を示す。また、上記の「RA」は芳香族置換基を示す。
【0056】
更に、上述したように色素(金属錯体色素及び有機色素)及び電解液Eの酸化分解、光分解及び熱分解をより十分に防止する観点から、式(5)中のR3が水素原子以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、及び、複素環基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0057】
更に、この場合にも上記R2の場合と同様に、R3を構成する少なくとも1つの水素原子が、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基(−SO−)、オキシカルボニル基(−CO−O−)、ハロホルミル基、カルバモイル基、ヒドラジノカルボニル基(−CO−NH−NH2)、アミジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、オキソ基、チオホルミル基、チオキソ基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、アリロキシ基(−O−RA)、スルフィド基(−S−R4)、ニトロ基、シリル基及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の置換基により更に置換されていてもよい。なお、上記の「R4」は炭素数1〜50のアルキル基又は芳香族置換基を示す。また、上記の「RA」は芳香族置換基を示す。
【0058】
なお、式(1)式で表される加水分解能を有するケイ素化合物は、異なる構造を有するものを任意に組み合せて同時に使用してもよい。
【0059】
上述した、式(1)式で表される加水分解能を有するケイ素化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記化学式(6)〜(13)の化合物が挙げられる。
【0060】
【化11】
Figure 0004677704
【0061】
【化12】
Figure 0004677704
【0062】
【化13】
Figure 0004677704
【0063】
【化14】
Figure 0004677704
【0064】
【化15】
Figure 0004677704
【0065】
【化16】
Figure 0004677704
【0066】
【化17】
Figure 0004677704
【0067】
【化18】
Figure 0004677704
【0068】
また、電解液E中の加水分解能を有するケイ素化合物の濃度は、1mmol/L〜1mol/Lであることが好ましい。加水分解能を有するケイ素化合物の濃度が1mmol/L未満であると、色素(金属錯体色素及び有機色素)の分解防止の効果を充分に得ることができなくなる傾向が大きくなる。また加水分解能を有するケイ素化合物の濃度が1mol/Lを超えると、電解液E中に溶解しにくくなる傾向が大きくなる。
【0069】
また、電解液Eには、紫外線吸収剤を更に含有させていてもよい。紫外線吸収剤を電解質E中に含有させることにより、光電極10に照射される光のうち、色素(金属錯体色素及び有機色素)の光増感機能の劣化に大きな影響を与える紫外線を選択的に吸収することができ、電解質中において色素(金属錯体色素及び有機色素)をより安定化した状態で保持することができるようになる。
【0070】
また、スペーサSの構成材料は特に限定されるものではなく、例えば、シリカビーズ等を用いることができる。
【0071】
また、電解液Eを密封する目的で光電極10、対極CE及びスペーサSを一体化するために使用する封止材としては、電解液Eの成分ができる限り外部に漏洩しないように封止できるものであればよく、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合体,表面処理ポリエチレンからなる熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0072】
次に、図1に示した色素増感型太陽電池20の製造方法の一例について説明する。
【0073】
透明電極1を製造する場合は、ガラス基板等の基板4上に先に述べたフッ素ドープSnO2等の透明導電膜3をスプレーコートする等の公知の薄膜製造技術を用いて形成することができる。例えば、この他にも、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法及びゾルゲル法の公知の薄膜製造技術を用いて形成することができる。
【0074】
透明電極1の透明導電膜3上に半導体電極2を形成する方法としては、例えば、以下の方法がある。すなわち、先ず、所定の大きさ(例えば粒子径が10〜30nm程度)を有する酸化物半導体粒子を分散させた分散液を調製する。この分散液の溶媒は水、有機溶媒、または両者の混合溶媒など酸化物半導体粒子を分散できるものなら特に限定されない。また、分散液中には必要に応じて界面活性剤、粘度調節剤を加えてもよい。
【0075】
次に、分散液を透明電極1の透明導電膜3上に塗布し、次いで乾燥する。このときの塗布方法としてはバーコーター法、印刷法などを用いることができる。そして、乾燥した後、空気中、不活性ガス或いは窒素中で加熱、焼成して半導体電極2(多孔質半導体膜)を形成する。
【0076】
次に、半導体電極2中に浸着法等の公知の技術により色素を含有させる。増感色素は半導体電極2に付着(化学吸着、物理吸着または堆積など)させることにより含有させる。この付着方法は、例えば色素を含む溶液中に半導体電極2を浸漬するなどの方法を用いることができる。この際、溶液を加熱し還流させるなどして色素の吸着、堆積を促進することができる。なお、このとき、色素の他に必要に応じて、銀等の金属やアルミナ等の金属酸化物を半導体電極2中に含有させてもよい。
【0077】
また、半導体電極2内に含まれる光電変換反応を阻害する不純物を除去する表面酸化処理を、各層それぞれの形成時毎、或いは、各層全てを形成した時などに公知の方法により適宜施してもよい。
【0078】
また、透明電極1の透明導電膜3上に半導体電極2を形成する他の方法としては、以下の方法がある。すなわち、透明電極1の透明導電膜3上にTiO2等の半導体を膜状に蒸着させる方法を用いてもよい。透明導電膜3上に半導体を膜状に蒸着させる方法としては公知の薄膜製造技術を用いることができる。例えば、電子ビーム蒸着、抵抗加熱蒸着、スパッタ蒸着、クラスタイオンビーム蒸着等の物理蒸着法を用いてもよく、酸素等の反応性ガス中で金属等を蒸発させ、反応生成物を透明導電膜3上に堆積させる反応蒸着法を用いてもよい。更に、反応ガスの流れを制御する等してCVD等の化学蒸着法を用いることもできる。
【0079】
このようにして光電極10を作製した後は、例えば、光電極10の作製に用いた方法と同様の公知の薄膜製造技術により対極CEを作製し、図1に示すように、光電極10と、対極CEとをスペーサSを介して対抗させるように組み上げる。このとき、スペーサSにより光電極10と対極CEとの間に形成される空間に、先に述べた成分を含む電解液Eを充填し、色素増感型太陽電池20を完成させる。
【0080】
[第2実施形態]
図2は、本発明の色素増感型太陽電池の第2実施形態を示す模式断面図である。以下、図2に示す色素増感型太陽電池30について説明する。なお、上述の図1に示した色素増感型太陽電池20に関して説明した要素と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0081】
図2に示す色素増感型太陽電池30は、図1に示した光電極10を使用し、図1に示した対極CEと同様の対極CEを使用している。そして、図1に示した色素増感型太陽電池20においてはスペーサSにより光電極10と対極CEとの間に形成される空間に電解液Eを充填したのに比較して、図2に示す色素増感型太陽電池30においては、光電極10と対極CEとの間に多孔体層PSを配置している。そして、対極CEの多孔体層PSと反対側の面には透明基板6が配置されている。
【0082】
この多孔体層PSは多数の細孔を有した構造を有しており、この多孔体層PSの内部には、図1に示した色素増感型太陽電池20に使用したものと同様の電解液Eが充填されて保持されている。
【0083】
また、この電解液Eは半導体電極2内や、使用する構成材料(例えば、炭素等の多孔質の導電性膜)によっては対極CEにも保持されている。そして、図2に示す色素増感型太陽電池30の半導体電極2、多孔体層PS及び対極CEの側面は、電解液Eが、半導体電極2、多孔体層PS及び対極CEの側面から外部に漏れることを防止するためにシール材5により被覆されている。
【0084】
多孔体層PSは、電解液Eを保持可能であり、電子伝導性を有さない多孔体であれば特に限定されない。例えば、ルチル型の酸化チタン粒子により形成した多孔体を使用してもよい。また、ルチル型の酸化チタン以外の構成材料としては、ジルコニア、アルミナ、シリカ等が挙げられる。
【0085】
また、シール材5としては、例えば、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルム、あるいはエポキシ系接着剤を使用することができる。対極CEの側に配置される透明基板6は光電極10の透明電極1に使用される透明基板4と同様の基板を使用することができる。
【0086】
次に、図2に示す色素増感型太陽電池30の製造方法の一例について説明する。先ず、図1に示した色素増感型太陽電池20と同様にして光電極10を作製する。次に、光電極10の半導体電極2を作製する場合と同様の手順により、光電極10の半導体電極2の面F22上に多孔体層PSを形成する。例えば、ルチル型の酸化チタン等の多孔体層PSの構成材料を含む分散液(スラリー)を調製し、これを半導体電極2の面F22上に塗布し乾燥させることにより形成してもよい。
【0087】
また、対極CEについても、例えば、炭素等の多孔質の導電性膜を対極CEとする場合には、例えば、カーボンペーストを調製し、これを多孔体層PSの面上に塗布し乾燥させることにより形成してもよい。そして、公知の薄膜製造技術により、対極CEの多孔体層PSの側と反対の側の面上に透明基板6を形成し、半導体電極2、多孔体層PS及び対極CEの側面をシール材5で被覆して色素増感型太陽電池30を完成する。
【0088】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0089】
例えば、本発明の色素増感型太陽電池は、例えば、図3に示す色素増感型太陽電池40のように、複数の電池を併設したモジュールの形態を有していてもよい。図3に示す色素増感型太陽電池40は、図2に示した色素増感型太陽電池30を複数個直列に併設する場合の一例を示している。
【0090】
図2に示した色素増感型太陽電池30に比較して、図3に示す色素増感型太陽電池40は、隣り合う太陽電池の単セルの光電極10間に設けられるシール材5と一方の単セル(以下、単セルAという)の光電極10との間に溝が形成されている。
【0091】
この溝は、単セルAの半導体電極2を、例えばレーザースクライブなどの技術により削りとることにより形成される。この溝のうちのシール材5の近傍部分は、半導体電極2の部分を完全に除去して透明電極1の透明導電膜3の層があらわれる深さまで達している。また、この溝のうちの単セルAの半導体電極2の近傍部分は、半導体電極2の部分と透明導電膜3の部分を完全に除去して、透明電極1の透明基板4の層があらわれる深さまで達している。
【0092】
そして、この溝のうちのシール材5の近傍部分には、隣り合う光電極10の透明導電膜3及び該透明導電膜3上の半導体電極2の部分同士が電気的に接触しないように、これらの部分の間に単セルAの多孔体層PSの鍔状に形成された縁部分が透明電極1の透明基板4に接触するようにして挿入されている。
【0093】
更に、この溝のうちの単セルAの半導体電極2の近傍部分、すなわち、単セルAの多孔体層PSとシール材5との間の部分には、単セルAの対極CEの鍔状に形成された縁部分が、もう一方の単セルの透明電極1の透明導電膜3に接触するようにして挿入されている。
【0094】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の色素増感型太陽電池について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0095】
(実施例1)
以下に示す手順により、図1に示した光電極10と同様の構成を有する光電極を作製し、更に、この光電極を用いた以外は図1に示す色素増感型太陽電池20と同様の構成を有する色素増感型太陽電池(受光面の面積:0.5cm2)を作製した。
【0096】
先ず、オートクレーブの温度を230℃とした以外は、Journal of ceramic society (第80巻、第3157〜3171頁、1987年)に記載のバルベらの方法に従いアセチルアセトン、イオン交換水、界面活性剤(Aldrich社製、商品名;「tritonX」)からなる液にTiO2粒子(Degussa社製、商品名;「P25」)を分散した半導体電極形成用のスラリー(TiO2粒子の含有量;11質量%、TiO2粒子の平均粒子径:約10nm、「スラリー1」とする)を調製した。
【0097】
次に、スラリー1中に増粘剤としてポリエチレングリコール(和光純薬社製、数平均分子量;2000)を添加し混合することにより、半導体電極形成用のペースト(以下、ペースト1という)を調製した。なお、ペースト1中のTiO2粒子とポリエチレングリコールとの質量比はTiO2粒子:ポリエチレングリコール=10:3となるように調節した。
【0098】
一方、ガラス基板4(透明導電性ガラス)上にフッ素ドープされたSnO2導電膜3(膜厚;600nm)を形成した透明電極1(日本板ガラス社製、表面抵抗;約10Ω/cm2、厚さ;1mm)を準備した。そして、このSnO2導電膜3上に、上述のペースト1をドクターブレードを用いて100μmの厚さとなるまで塗布し、次いで温度を25℃に保持して30分間乾燥させた。
【0099】
その後、ペースト1を塗布した透明電極1を電気炉内に移して、大気中、450℃の条件のもとで30分間焼成した。次に、電気炉から透明電極1を取り出し、冷却した。このようにして、SnO2導電膜3上に図1に示す半導体電極2と同様の構成の半導体電極(受光面の面積;4cm2、半導体膜からなる層の厚さ;8μm、TiO2の塗布量:15g/cm2)を形成し、色素(金属錯体色素及び有機色素)を含有していない状態の光電極を作製した。
【0100】
その後、光電極の半導体電極の裏面に色素を以下のようにして吸着させた。先ず、増感色素として下記式(I)で表される色素(Red dye,Soloronix社製、商品名:「N719」)を用い、これをエタノールとDMFの混合溶媒(エタノールとDMFの質量比;エタノール:DMF=1:1)に溶解させた溶液(増感色素の濃度;3×10-4mol/L)を調製した。次に、この溶液に半導体電極を浸漬し、暗所、25℃の温度条件のもとで12時間放置した。次に、この溶液から半導体電極を取り出してエタノールで洗浄し、暗所にて自然乾燥させた。これにより、半導体電極2の内部に増感色素を約1.2×10-7mol/m2吸着させた光電極12を完成させた。
【0101】
【化19】
Figure 0004677704
【0102】
次に、上記の光電極と同様の形状と大きさを有する対極として、電子ビーム蒸着法によりPtが蒸着された透明導電性ガラス電極(Pt薄膜の厚さ;3nm)を作製した。
【0103】
また、電解液Eとして、式(6)に示したケイ素化合物を含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。
【0104】
更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有する三井デュポンポリケミカル社製のスペーサS(商品名:「ハイミラン」)を準備した。次に、図3に示すように、光電極12と対極CEとスペーサSを介して対向させた。そして、毛細管現象を利用することにより、スペーサSと光電極12又は対極CEとの間の隙間からスペーサS、光電極12及び対極CEによりに画成された空間に上記の電解液Eを充填し、エポキシ樹脂により各部材間をシールして、色素増感型太陽電池を完成させた。
【0105】
(実施例2)
電解液Eとして、式(7)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0106】
(実施例3)
電解液Eとして、式(8)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0107】
(実施例4)
電解液Eとして、式(9)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0108】
(実施例5)
電解液Eとして、式(10)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0109】
(実施例6)
電解液Eとして、式(11)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0110】
(実施例7)
電解液Eとして、式(12)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0111】
(実施例8)
電解液Eとして、式(13)に示したケイ素化合物含むヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、ケイ素化合物の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0112】
(比較例1)
電解液Eとして、加水分解能を有するケイ素化合物を含まないヨウ素系レドックス溶液(ヨウ化テトラブチルアンモニウムの濃度;0.6mol/L、ヨウ素の濃度;0.1mol/L、溶媒;メトキシプロピオニトリル)を調製した。この電解液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順及び条件で色素増感型太陽電池を作製した。
【0113】
[電池特性試験1]
以下の手順及び測定条件により電池特性試験を行ない、実施例1〜実施例8及び比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率ηを測定した。
【0114】
電池特性試験は、ソーラーシミュレータ(ワコム製、商品名;「WXS−85−H型」)を用い、AMフィルター(AM1.5)を通したキセノンランプ光源から1000mW/cm2の擬似太陽光を照射することにより行った。
【0115】
先ず、各色素増感型太陽電池について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、開放電圧(Voc/V)、短絡電流(Isc/mA・cm-2)、曲線因子(F.F.)を求め、これらから起動初期の光電変換効率η[%]を求めた。
【0116】
その後、85℃に保持した恒温槽に各色素増感型太陽電池を入れ、遮光状態でありかつ回路開放状態で保存し、360時間経過した後、恒温槽から取り出して、室温にて上記と同様の電流−電圧特性を測定し、360時間経過後の光電変換効率ηを求めた。その結果を表1に示す。
【0117】
【表1】
Figure 0004677704
【0118】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の色素増感型太陽電池に使用する加水分解能を有するケイ素化合物を含有させた電解質を用いた実施例1〜実施例8の色素増感型太陽電池は、85℃という色素増感型太陽電池が実用化された際に最も適用される可能性の高い比較的高温の作動環境下で長期にわたり保存された後においても優れた光電変換効率をほぼ維持できることが確認された。一方、比較例1の色素増感型太陽電池は、保存時間の経過とともに光電変換効率が大幅に低下していることが確認された。
【0119】
[電池特性試験2]
実施例1と比較例1の色素増感型太陽電池を別途作製し、以下に示す手順及び条件以外は上述の電池特性試験1と同様の手順及び測定条件により電池特性試験を行ない、実施例1と比較例1の色素増感型太陽電池の光電変換効率ηを測定した。
【0120】
すなわち、実施例7と比較例1の色素増感型太陽電池をそれぞれ短絡させ、電解液Eの温度を60℃に保持した状態とし、これに先に述べた1000mW/cm2の疑似太陽光を連続的に照射した。そして、疑似太陽光の照射開始から24時間経過後、120時間経過後、240時間経過後の光電変換効率ηをそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
Figure 0004677704
【0122】
表2に示した結果から明らかなように、実施例1の色素増感型太陽電池は、60℃の作動環境下で長期にわたり疑似太陽光の照射を受けて連続的に作動させられた後においても優れた光電変換効率を維持できることが確認された。一方、実施例1の色素増感型太陽電池に比較して、比較例1の色素増感型太陽電池は、疑似太陽光の照射時間の経過とともに光電変換性能が大幅に低下していることが確認された。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電解質中に加水分解能を有するケイ素化合物が含有されているので、色素(金属錯体色素及び有機色素)の耐熱性、耐光性及び化学的安定性を容易に向上させることができ、優れた光電変換効率を長期にわたり得ることができる色素増感型太陽電池を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色素増感型太陽電池の第1実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の色素増感型太陽電池の第2実施形態の基本構成を示す模式断面図である。
【図3】図2に示した色素増感型太陽電池を複数併設する場合の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…透明電極、2…半導体電極、3…透明導電膜、4…透明基板、5…シール材、6・・・透明基板、10…光電極,20,30,40…色素増感型太陽電池、CE…対極、E…電解液、F1,F2,F3,…受光面、F22…半導体電極2の裏面、L10…入射光、S…スペーサ、PS…多孔体層。

Claims (1)

  1. 受光面を有する半導体電極と前記受光面上に隣接して配置された透明電極とを有する光電極と、対極とを有しており、
    前記半導体電極と前記対極とが電解液を介して対向配置された色素増感型太陽電池であって、
    前記半導体電極には、色素が含有されており、
    前記電解液には、加水分解能を有するケイ素化合物が含有されており、
    ケイ素化合物が、下記化学式(6)〜(13)で示されるケイ素化合物からなる群より選ばれる1つ以上であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
    Figure 0004677704
    Figure 0004677704
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    Figure 0004677704
    Figure 0004677704
    Figure 0004677704
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