JP4676349B2 - 塗装面の修整方法及び塗装面の修整工具 - Google Patents

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Description

本発明は、塗装面の修整方法及び塗装面の修整工具に関するものであり、特に、自動車や家電製品等の塗装面に生じる塗料の突部を除去して塗装面を整える塗装面の修整方法、及び該方法に用いるために適した塗装面の修整工具に関するものである。
自動車や家電製品等の塗装を行う工程では、塗装面上の突部を除去して塗装面を整える作業が行われている。この突部は、塗装環境中のほこりや塗料液中の異物に起因して生じるものであり、製品の外観が損なわれ、商品価値が低下する原因となる。そのため、一般的に、下塗り、中塗りの各塗装工程後に、これらの突部を除去して塗装面を整えてから、更に次の塗装を行うことが行われている。また、仕上げ塗装の後も、更に同様の突部の除去作業を行うことにより、最終的な塗装面の修整が行われている。このような塗装面の修整作業は、研磨パッドやサンディングペーパを高速回転させるサンダやポリシャ等の工具を使用して、突部をこすり取ることにより行われることが多い。
ところが、このような方法では、塗料の突部のみならず、周囲の面をも広い範囲で傷付けてしまうという問題があった。そして、このように広い範囲で傷付けられた塗装面を完全に修復することは難しく、最終的な塗装面に、いわゆる「白ぼけ」と呼ばれる光沢に乏しい面が生じてしまうこともあった。加えて、こすり取りの際に発生する粉が、二次的な突部の発生原因となってしまうという問題もあった。
そのため、従来より、刃物状の工具を使用して、局部的に塗料の突部を除去する作業が行われることもあった。この場合、切出しナイフ、スローアウェイチップ、ノミ等の既存の工具の中から、作業者が各自で工具を選択し、ある者はそれらの工具に自分なりの工夫を適宜加えて使用していた。
上記の従来技術は、公然に実施されているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を、本願出願時においては知見していない。
しかしながら、従来の刃物状の工具による作業には、高度に熟練した技術が必要であった。すなわち、塗装面上の突部は微小なものであり、しかも、自動車や家電製品等の製造工程においては、製品が製造ライン上を流れて行く過程で作業を行うことが多い。そのため、動いている製品の表面上の微小な突部に適当な角度で工具を当て、適当な角度に工具を動かして突部を除去する作業は、極めて高度な技術が求められるものであった。
ところが、近年では、自動車や家電製品等の業界においては期間従業員の雇用率が増加し、また、海外に工場を設けて現地の労働者を雇用することも増えてきている。そのため、技術の習熟や教育のために費やす充分な時間的余裕がないのが現状である。そして、熟練した技術を持たない作業者が塗装面の修整作業を行うことにより、製品の流れる速度に対応できずに、突部を除去し残してしまったり、工具を当てる角度を誤って、製品に深い傷を付けてしまったりすることがあった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、熟練を要しない容易な操作で、素早く、塗装面上の突部を除去して塗装面を整えることができ、且つ、塗装面に付ける傷の程度を軽減できる塗装面の修整方法、及び該方法に用いるために適した工具の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる塗装面の修整方法は、「塗装面上の塗料突部を除去して塗装面を整える塗装面の修整方法であって、略円環状の刃部、該刃部の内側縁にて構成された円形の刃先部、及び該刃先部から所定の逃げ角で形成された逃げ面を有する塗装面の修整工具を用い、除去しようとする塗料突部が円形の前記刃先部の内方に位置するように前記刃部を塗装面の上に載置し、前記刃先部の全体を前記塗装面に押し当てながら前記塗装面上を摺動させ、前記刃先部により前記塗料突部を除去する」ものである。
「塗装面」は、塗料が施された面であれば、塗料の種類や塗装方法等により限定されるものではない。また、「塗料突部」は、塗装の過程で塗装面上に生じる突状のものを指し、塗装対象となる金属板等が加工される際に生じた細かな粉、作業環境中のほこりやゴミが、塗装対象面に付着した状態で塗装されたり、これらの異物が塗料液中に混入したりすることに起因して生じるものを例示することができる。
「所定の」逃げ角とは、予め定められた逃げ角であれば、一定の角度であっても、漸次増加する角度であっても、段階的に増加する角度であってもよい。ここで、逃げ角が一定の場合、逃げ面は円錐状となり、逃げ角が漸次増加する場合、逃げ面は球面状や球面以外の湾曲面状となり、逃げ角が段階的に増加する場合、逃げ面は多段の円錐状となる。
従って、本発明の塗装面の修整方法によれば、円形の刃先部の全体を塗装面に押し当てることにより、塗装面が平面や球面であれば、円形の刃先部が円周状に塗装面に当接する。また、塗装面が湾曲した面であっても、刃先部は多点で塗装面と当接することとなる。特に、湾曲がゆるやかな曲面である場合は、円周に近い多点で塗装面と当接する。これにより、刃先部は塗料突部を除去する部分であると共に、工具全体を塗装面上に安定的に保持する部分ともなり、刃先部がぐらつくことなく塗装面上を摺動させ易いものとなる。
また、刃先部が円形で角を有しないこと、及び、刃先部を円周状または多点で塗装面と当接させることから、刃先部は塗装面に食い込みにくく、塗料突部を除去する際に、塗装面に深い傷を付ける恐れの少ないものとなる。加えて、塗装面上を摺動させる際、円形の刃先部のほとんどの部分で、刃先の方向は進行方向には向かわないため、刃先全体を塗装面に押し当てたまま摺動させても、塗装面に傷が付きにくいものとなる。
また、逃げ面を有する修整工具を用いるため、刃部が塗装面と干渉しにくいものとなる。加えて、塗装面が凹凸を有し、その近傍の塗料突部を除去する場合であっても、刃部と塗装面の凸面とが干渉しにくいものとなる。
更に、本方法に用いられる修整工具は、逃げ面が「刃先部から」形成され、刃先部は円環状の刃部の内側縁にて構成されることから、刃先部から直ちに逃げ面となり、刃先部は塗装面と線的に接触し、面接触しない構成となっている。ここで、「線的に接触」という表現は、塗装面が平面の場合に円周状に線接触し、塗装面がゆるやかに湾曲した面である場合に、円周状の線接触に近い多点で塗装面に当接する意で用いている。かかる刃先部の構成により、塗装面と面接触する刃先部を摺動させる場合に比べ、刃先部の摺動によりダメージを受ける恐れのある塗装面の面積が小さいものとなる。この点からも、塗装面に傷が付きにくいものとなる。
ここで、刃先部を円形としても、刃先部が塗装面と面接触する工具の場合は、塗装面に押し当てて摺動させる際に、塗装面から受ける反発力のために刃先部が塗装面から浮き上がって、刃先部が塗料突部にのり上がり易く、塗料突部を根元から除去することが困難となる。これに対し、本方法に用いられる修整工具は、上記のように、刃先部から直ちに逃げ面となり、刃先部が塗装面と線的に接触して面接触しない構成であることから、刃先部の全体を塗装面に押し当てながら摺動させた際、刃先部が塗料突部にのり上がりにくく、周囲の塗装面から突出している塗料突部の全体に対して、これを除去する力が刃先部から加えられる。これにより、塗料突部を根元近くから良好に取り除くことが可能となる。
加えて、刃先部が円環状の刃部の内側縁に形成されている修整工具を用い、円形の刃先部の内方に塗料突部を位置させてから刃先部を摺動させて、塗料突部を除去する方法であるため、例えば、刃部の外側縁に円形の刃先部を形成し、その円の外側に塗料突部を位置させて除去しようとする場合に比べ、刃先部を摺動させる方向によらず、刃先部を塗料突部に容易に当てることができ、塗料突部を容易な操作で除去することが可能となる。更に、何れの方向に動かしても、刃先部は常に工具の内方に向いているため、安全に作業を行うことができる。
以上のように、円形の刃先部の内方に塗料突部を位置させ、刃先部の全体を塗装面に押し当てながら塗装面上で刃先部を摺動させるという容易な操作で、塗料突部を除去することができる。すなわち、従来の工具のように、塗料突部に当てる工具の角度や、刃先部を動かす方向などを調整する必要がなく、熟練を要さない、誰にとっても容易な操作で、素早く、塗装面の修整作業を行うことができる。
次に、本発明にかかる塗装面の修整工具は、「上記に記載の塗装面の修整方法に用いられる塗装面の修整工具であって、略円環状の刃部と、該刃部の内側縁にて構成された円形の刃先部と、該刃先部から所定の逃げ角で形成された逃げ面とを」具備して構成されている。
従って、本発明の塗装面の修整工具によれば、上述の塗装面の修整方法に適用でき、塗料突部の除去による塗装面の修整に特に適した、従来にはない工具となる。なお、「刃部」の材質は、除去対象とする塗料突部の硬さや塗装面への付着力等に応じて適宜設定することができ、鋼やステンレス等の金属、合金、セラミックスを例示することができる。
また、本発明にかかる塗装面の修整工具は、上記構成に加え、「前記刃先部から、0°より大で30°より小のすくい角で形成されたすくい面を」具備するものとすることができる。
「すくい角」は、塗装面に対する垂直面からの角度である。例えば、すくい角が0°である場合、すなわち、刃部の内側面が塗装面に対して直角をなす場合は、刃先部から塗料突部にせん断力は働かず、刃先部に押される力によって塗料突部は変形により除去される。一方、すくい角が設けられる場合は、刃先部と塗料突部との間にせん断力が作用する。このせん断力は、すくい角が大きいほど大であり、せん断力が大きいほど塗料突部は切り取られ易くなるが、これと同時に、刃先部は塗装面に対して食い込み易いものとなる。
また、塗料突部は、一般的に高さが数百μm程度と微小であるため、切れ味良く切削され過ぎると作業者が手応えを感じることができず、除去しようとした塗料突部が除去できたかどうかの確認作業が必要となり、作業が煩雑で効率の悪いものとなる。そこで、塗料突部が除去されたかどうかを作業者の手感触で認識できるために、せん断力は大き過ぎず、刃先部が塗料突部に当接した際に、作業者の手にある程度の抵抗が感じられることが望ましい。
加えて、すくい角が大きい場合は、刃先部の先端側が薄くなり、刃部の成形加工の際にバリが出易い傾向がある。このバリは、塗装面上で刃先部を摺動させる際に、塗装面を傷付ける大きな原因となる。また、塗装面に傷を付けにくくするためには、刃先部及びその周辺の刃部を研磨し、表面粗さの小さい滑らかな面とすることが望ましいが、すくい角が大きく刃先部が薄い場合は、刃先部の強度が小さく研磨がしにくい。更に、すくい角が大きい場合は、刃先部の摩耗によって刃先部が塗装面と面的な接触となる度合いも大きなものとなる。
そこで、上記の諸要件を考慮しつつ鋭意研究の結果、すくい角を設けてせん断力を作用させる場合、すくい角は30°より小、より好ましくは、20°より小、の正角とすることが好適であることを知見した。
従って、本発明の塗装面の修整工具によれば、せん断力を作用させて塗料突部を除去できると共に、塗料突部の除去を作業者が手感触で確認することが可能となる。また、せん断力を作用させつつも、大きくは作用させないため、刃先部が塗装面に食い込みにくいものとなる。加えて、刃部の成形加工時にバリが生じやすくなったり、研磨しにくくなったりする恐れを減じて、すくい角を設けることができる。
また、刃先部が円形であるので、作業者が意図しなくとも、斜め方向のせん断力により対象物を切れ味良く切断する切り方である、いわゆる「引き切り」を、塗料突部に対して容易に実現することができ、作業者の技量に関わらず塗料突部を良好に除去することができる。
さらに、本発明の塗装面の修整工具は、上記構成に加え、「前記すくい面に連続して、前記すくい角より大である第二すくい角で形成された第二すくい面を」具備するものとすることができる。
すくい角が大きい場合、刃先部により除去された塗料突部の屑は、すくい面を伝わるようにして、刃先部の進行方向から排除される。これに対し、すくい角が小さい場合、除去された屑は、刃先部によって刃先部の進行方向に押され易い。
そこで、上記のように、0°より大で30°より小という小さなすくい角の範囲で形成される第一のすくい面に連続して、これより角度の大きな第二すくい角で第二すくい面を形成する。ここで、「第二すくい角」は、塗装面に対する垂直面と第二すくい面とで形成される角度である。
従って、本発明の塗装面の修整工具によれば、すくい角の小さな第一のすくい面により除去された塗料突部の屑が、第二すくい面によって刃先部の進行方向から排除されやすいものとなる。また、第二すくい面を設けることにより、第一のすくい面の面積が小さくなるため、刃先部に近い第一のすくい面の研磨加工を効率良く行うことができる。加えて、第一のすくい角より大きな第二すくい角で第二すくい面を形成することにより、刃部の内方の円形の孔部が拡径して開口し、塗料突部が見易くなると共に、刃部に付着した塗料突部の屑を取り除く作業がし易いものとなる。
以上のように、本発明の効果として、熟練を要しない容易な操作で、素早く、塗装面上の突部を除去して塗装面を整えることができ、且つ、塗装面に付ける傷の程度を軽減できる塗装面の修整方法、及び該方法に用いるために適した工具を提供することができる。
以下、本発明の最良の一実施形態である塗装面の修整方法、及び該方法に適した塗装面の修整工具について、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の塗装面の修整方法に適した塗装面の修整工具の構成を示す平面図及び一部切欠き側面図であり、図2は図1の一部切欠き側面図におけるA範囲の拡大図であり、図3は図1の塗装面の修整工具の斜視図であり、図4は本実施形態の塗装面の修整方法を説明する説明図である。なお、本実施形態では、自動車や家電製品の塗装面に対して、本発明を適用する場合について例示する。
まず、本実施形態の塗装面の修整方法(以下、単に「修整方法」という)に適した塗装面の修整工具1(以下、単に「修整工具1」という)について説明する。修整工具1は、図1乃至図3に示すように、略円環状の刃部11と、刃部11の内側縁にて構成された円形の刃先部20と、刃先部20から所定の逃げ角で形成された逃げ面16とを、主に具備して構成されている。すなわち、逃げ面16が刃先部20から形成され、その刃先部20は円環状の刃部11の内側縁で構成されることから、刃先部20は塗装面と線的に接触し、面接触しない構成となっている。
更に詳細に説明すると、修整工具1は、高速度工具鋼によって形成された刃本体10と、樹脂によって形成されたホルダー40とを具備して構成されている。ここで、刃本体10は、略円環状の刃部11と、刃部11の刃先部20とは反対側の端部から一体的に連設された基部30とを具備している。この基部30は、対角線が刃先部20の直径より大である平面視略矩形に形成され、基部30の端面である取付面31は、円形の刃先部20で囲まれる平面に対して略平行に形成されている。
刃部11には、刃先部20側の端面に、逃げ角が漸次増加する球面状の逃げ面16が形成されている。また、図1の円範囲A内の拡大図を図2に示すように、刃先部20からは、10°の第一すくい角21aで第一すくい面21が形成され、第一すくい面21に連続して、45°の第二すくい角22aで第二すくい面22が形成されている。更に、刃本体10には、第二すくい面22に連続して、内径の均一な本体孔部15が穿設されている。
ホルダー40は、取付面31と平面視略同形に形成されたホルダー底部42、及びホルダー底部42に対して直角に立設された一対の立壁部41によって、断面略コ字形に一体的に形成されている。そして、取付面31とホルダー底部42とが、四つの螺子39により留め付けられて、ホルダー40が刃本体10に取付けられている。このとき、取付面31とホルダー底部42とは、平面視で一致するように重ね合わせられている。かかる構成により、一対の立壁部41は、取付面31の対向する一対の辺に沿って、円形の刃先部20に囲まれる平面に対して垂直に立設されることとなる。なお、立壁部41には、それぞれ一つの立壁孔部43が穿設されている。
また、ホルダー底部42には、ホルダー孔部45が本体孔部15と同心かつ同径に穿設されている。そして、第一すくい面21、第二すくい面22、本体孔部15、及びホルダー孔部45によって、連通孔部50が構成されている。
なお、本実施形態では、刃部11の外径(直径)は約24mm、刃先部20の直径は約16mmとされているが、かかるサイズに限定されるものではない。しかしながら、修整工具1は片手で扱うことができる大きさが望ましく、加えて、刃先部20の直径が大きくなれば、湾曲した塗装面に対して刃先部20全体を押し当てた際に、刃先部20が円周に近い状態では塗装面に当接しにくいものとなる。一方、刃先部20の直径が小さい場合は、塗装面が湾曲していても、円周に近い状態で刃先部20を塗装面に当接させることは可能となるが、修整工具1全体を刃先部20で塗装面上に安定的に保持する作用が減じ、塗装面上で刃先部20を摺動させる操作が不安定となり易い。従って、これらを考慮すると、刃先部20の直径は5〜25mmとすることが好適である。
また、第一すくい面21は、研磨の効率や第二すくい面22による塗料突部の屑の排除効果を考慮すると、高さ0.1〜1mmとすることが望ましく、本実施形態では、第一すくい面21の高さを、刃先部20から0.5mmとしている。なお、円環状の刃部11の幅(外径と内径との距離)を大きくすれば刃部11の剛性は増すが、逃げ面16が刃先部20から外方に広がることとなり、塗装面と干渉し易くなる。そのため、刃部11の外径は、刃部11の内径(刃先部20の径)の1.2〜2倍とすることが望ましい。本実施形態では、刃部11の外径を内径の1.5倍とし、刃部11の剛性を確保しつつ、逃げ面16を塗装面と干渉しにくいものとしている。
更に、本実施形態では、第一すくい面21の表面粗さを、第二すくい面22の表面粗さより小さなものとしている。すなわち、第一すくい面21及び刃先部20近傍の逃げ面16は、表面粗さを最大高さ粗さ0.8Rz(基準長さ0.25mm)以下に研磨することにより、表面粗さの小さい滑らかな面に仕上げられている。一方、第二すくい面22は、塗装面に当接する面ではなく、さほど滑らかに仕上げる必要はないため、最大高さ粗さ12.5Rz(基準長さ2.5mm)以上の、比較的表面粗さの大きな面に仕上げられている。
次に、修整工具1を用いた修整方法について、主に図4を用いて説明する。ここで、図4(a)は修整工具1及び塗料突部Dを平面的に見た説明図であり、図4(b)は修整工具1及び塗料突部Dを塗装面Sと同一の面から見た説明図である。なお、これらの図において、塗料突部Dの修整工具1に対する大きさは、実際より誇張されている。
本実施形態の修整方法により塗装面Sを修整する場合、図4(a)に示すように、まず、除去しようとする塗料突部Dが円形の刃先部20の内方に位置するように、刃部11を塗装面S上に載置する。そして、一対の立壁部41を片手で把持し、塗装面S上で刃先部20を任意の方向に摺動させる。
このとき、刃先部20全体を塗装面Sに押し当てることにより、多くの家電製品のように塗装面Sが平面であれば、刃先部20は円周状に塗装面Sに当接する。また、自動車のボンネットやドアのように塗装面Sがゆるやかに湾曲している場合であっても、刃先部20は直径約16mmに形成されているため、刃先部20の全体を塗装面Sに押し当てることにより、円周に近い状態で刃先部20を塗装面Sに当接させることができる。このように、円周または円周に近い状態で刃先部20を塗装面Sに当接させることにより、刃先部20は塗装面Sに食い込みにくいものとなる。特に、金属板上に塗装を施した自動車や家電製品の塗装面は剛性が高いため、刃先部20をほとんど塗装面Sに食い込ませることなく摺動させることができる。
図4(b)に示すように、刃先部20の全体を塗装面Sに押し当てたまま摺動させると、刃先部20が塗料突部Dを通過するのに伴い、塗料突部Dは刃先部20によって除去される。このとき、刃先部20は円形であるので、何れの方向に摺動させても刃先部20を塗料突部Dに当て、これを除去することができる。
また、塗料突部Dを除去する作業を素早く行う際、刃先部20において塗料突部Dと当接する部分の接線方向に対して、厳密に直交する方向に修整工具1を移動させることはあまりなく、図4(a)に示すように、修整工具1の移動方向(図示矢印B方向)は、塗料突部Dと当接する部分の刃先部20の接線方向(図示T方向)に対して、自ずと傾斜した方向となるのが通常である。従って、作業者が意図しなくとも、傾斜した方向のせん断力が作用して、いわゆる「引き切り」を容易に実現することができ、作業者の技量に関わらず、塗料突部Dを良好に除去することができる。
また、円形の刃先部20を何れの方向に摺動させても塗料突部Dを除去することができるため、例えば、対象製品が大きい場合や、製品が製造ライン上を流れて行く過程で作業を行う場合など、作業者が自分で塗装面の向きを変えることができない場合や、塗装面に対する作業者の体の位置や向きを変えることができない場合であっても、塗料突部Dを除去しやすい方向に刃先部20を摺動させればよい。また、塗装面Sに凹凸が存在する場合は、それを避ける方向に摺動させ、なるべく刃先部20と塗装面Sとの当接を良好に保つことが望ましい。
なお、上記の操作において、除去しようとする塗料突部Dを、連通孔部50を通して視認することができ、円形の刃先部20の内方に塗料突部Dを位置させる操作が容易なものとなる。これにより、例えば、図4(a)に示すように、塗料突部Dをなるべく刃先部20の近傍に位置させれば、刃先部20を大きく摺動させることなく、塗料突部Dを除去することができ、塗装面Sをより傷付けにくいものとなる。
上記に説明したように、本実施形態の修整方法によれば、従来の工具のように、塗料突部Dに当てる工具の角度や、刃先部20を動かす方向などを調整する必要がなく、熟練を要さず、誰にとっても容易な操作で、素早く、塗料突部Dを除去して塗装面Sの修整作業を行うことができる。
また、本実施形態の修整工具1によれば、上述の塗装面の修整方法に適用でき、塗料突部の除去による塗装面の修整に特に適した、従来にはない工具となる。すなわち、刃先部20が円形をしているため、何れの方向に動かしても塗料突部を除去することができる。加えて、何れの方向に刃部11を動かしても、刃先部20は常に修整工具1の内方に向いているため、安全に作業を行うことができる。
更に、刃先部20が円形をしているため、刃先部20の全体を塗装面に押し当てることにより、塗装面に円周状または円周に近い状態で当接し、塗装面上で刃先部20を安定的に摺動させることができる。また、刃先部20が塗装面に食い込みにくく、塗装面に深い傷を付ける恐れを減じて、塗料突部を除去することが可能となる。
また、逃げ面16を有するため、刃部11と塗装面とが干渉しにくいものとなる。加えて、塗装面が凹凸を有し、その近傍の塗料突部を除去する場合であっても、刃部11と凸面とが干渉しにくいものとなる。特に、本実施形態の逃げ面16は球面状に形成されているため、逃げが一律である円錐状の逃げ面16に比べ、刃先部20からの距離に対する逃げの度合いが大きく、刃部11と塗装面とがより干渉しにくいものとなる。
更に、刃先部20は塗装面と線的に接触し、面接触しない構成であるため、刃先部20の摺動によりダメージを受ける恐れのある塗装面の面積が小さいものとなると共に、刃先部20の全体を塗装面に軽く押し当てながら摺動させても、塗料突部を根元近くから良好に除去できるものとなる。
加えて、10°という小さな第一すくい角21aで第一すくい面21が形成されることにより、せん断力による切除作用と塗装面への刃先部20の食い込みにくさという相反する効果の調和が図られた修整工具1となる。また、塗料突部の除去を手感触で確認することが可能な程度の抵抗を作業者に感じさせられると共に、刃部11の成形加工時にバリが生じやすくなったり、研磨しにくくなったりする恐れの少ないものとなる。
また、第一すくい面21の高さを0.5mmという小さな値に抑えたことにより、第一すくい面21の面積が小さくなり、研磨加工の効率のよいものとなる。更に、第一すくい角21aより大きな45°の第二すくい角22aを有する第二すくい面22を、第一すくい面21に連続して形成することにより、10°という小さな第一すくい角21aを有する第一すくい面21によって、進行方向に押され易い塗料突部の屑が、第二すくい面22を伝わって刃先部20の進行方向から排除され易いものとなる。同時に、第二すくい面22から本体孔部15にかけて拡径し、連通孔部50が広く開口することとなり、塗料突部が見易いと共に、第一すくい面21から第二すくい面22にかけて付着する塗料突部の屑を除去する作業がし易いものとなる。
加えて、第一すくい面21及び逃げ面16を研磨し、バリが少なく表面粗さの小さい滑らかな面に仕上げているため、より塗装面に傷が付き難いものとなる。
また、刃本体10には、一対の立壁部41を有するホルダー40が設けられているため、これを把持することにより、刃先部20を塗装面上で摺動させる操作が容易なものとなる。すなわち、立壁部41は円形の刃先部20で囲まれる平面に対して垂直であり、しかも一対が平行に設けられているため、通常、真直ぐには動かしにくい円形の部材である刃先部20を、目的の方向に摺動させることが容易となる。これにより、刃先部20を塗装面上で任意の方向に摺動させる操作が容易となり、塗料突部の除去作業が効率の良いものとなる。
更に、立壁部41は、略矩形のホルダー底部42の対向する一対の辺に沿って設けられ、残る一対の辺は開放されているため、連通孔部50を通して、除去しようとする塗料突部を見通し易いものとなる。加えて、立壁部41には立壁孔部43が穿設されているため、ここに紐を通して首にかけたり指を通したりすることができ、修整工具1の携帯や不使用時の保持に便利なものとなる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態の修整工具1における第一すくい面21に相当する面を、塗装面に対して直角をなす第一直角面とし、その他の構成は上記の実施形態と同様な修整工具としてもよい。この場合は、刃先部から塗料突部にせん断力は働かず、刃先部から押される力による変形によって塗料突部がこそぎ取られる、スクレーパ的な修整工具となる。なお、この場合であっても、第一直角面の刃先部からの高さは、第一すくい面21と同様に小さく抑えて、すくい角の大きな第二すくい面22を連設すると共に、第一すくい面21と同様に第一直角面も表面粗さの小さい滑らかな面に仕上げられることが望ましい。
また、本実施形態の修整工具1では、断面略コ字形のホルダー40を例示したが、ホルダーの形状はこれに限定されず、例えば、一対の立壁部が刃本体の取付面に対して、直接的に立設されるものであってもよい。また、ホルダーは刃本体と別体でなくてもよく、例えば、上記の実施形態の基部30に相当する部分を、指で把持できる程度の高さ(厚さ)に形成し、刃本体とホルダーとを兼ねるものとしてもよい。
本発明の一実施形態の塗装面の修整方法に適した塗装面の修整工具の構成を示す平面図及び一部切欠き側面図である。 図1の一部切欠き側面図におけるA範囲の拡大図である。 図1の塗装面の修整工具の斜視図である。 本発明の一実施形態の塗装面の修整方法を説明する説明図である。
符号の説明
1 修整工具(塗装面の修整工具)
11 刃部
16 逃げ面
20 刃先部
21 第一すくい面(すくい面)
21a 第一すくい角(すくい角)
22 第二すくい面
22a 第二すくい角
S 塗装面
D 塗料突部

Claims (4)

  1. 塗装面上の塗料突部を除去して塗装面を整える塗装面の修整方法であって、
    略円環状の刃部、該刃部の内側縁にて構成された円形の刃先部、及び前記刃部の外側面に前記刃先部から形成され、前記刃先部で囲まれた平面の延長面と所定の逃げ角をなす逃げ面を有する塗装面の修整工具を用い、
    除去しようとする塗料突部が円形の前記刃先部の内方に位置するように前記刃部を塗装面の上に載置し、
    前記刃先部の全体を前記塗装面に押し当てながら前記塗装面上を摺動させ、前記刃先部により前記塗料突部を除去する
    ことを特徴とする塗装面の修整方法。
  2. 請求項1に記載の塗装面の修整方法に用いられる塗装面の修整工具であって、
    略円環状の刃部と、
    該刃部の内側縁にて構成された円形の刃先部と、
    前記刃部の外側面に前記刃先部から形成され、前記刃先部で囲まれた平面の延長面と所定の逃げ角をなす逃げ面と
    を具備することを特徴とする塗装面の修整工具。
  3. 前記刃部の内側面に前記刃先部から形成され前記刃先部で囲まれた平面に対する垂直面と0°より大で30°より小のすくい角をなすすくい面を、更に具備することを特徴とする請求項2に記載の塗装面の修整工具。
  4. 前記すくい面に連続して形成され前記刃先部で囲まれた平面に対する垂直面と前記すくい角より大である第二すくい角をなす第二すくい面を、更に具備することを特徴とする請求項3に記載の塗装面の修整工具。
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