JP4676142B2 - 土壌改良材用の菌培養体及び土壌改良材並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、土壌改良、地力の増進には、植物の栄養生理、植物の病理などの広範な要求をバランスよく満たさなければならないが、従来の土壌改良材は、いずれも偏った内容であり、不完全であって、使用する生産者が期待する効果があがらず、かえって損害を被るというケースも多く見られ、高価な経費を支払っていても、堆肥と同様な効果を挙げることは、到底不可能であった。
しかし最近の研究で、耐熱性好酸性菌が土壌中に存在し、食品の腐敗微生物として国際的に問題化しているので、安心する事は出来ない。また高温発酵の処理方法は、有用土壌棲息菌である放線菌、放射状菌、糸状菌などを逆に抑制することがある。
菌培養体は、硝酸ナトリウム、燐酸カリウムからなる胞子栄養材が添加されているので、菌培養体の内部にまで有用土壌棲息菌が繁殖し、胞子を十分に繁茂させた菌培養体を得ることが出来る。
菌培養体は、発芽性乳酸を菌選択剤として使用しているので、菌培養体に培養される有用土壌棲息菌が選択的に培養される。
土壌改良材は、アラニン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸の中から選択される1種以上の胞子増殖促進剤が含まれているので、農地に堆積させた農業用有機資材に、有用な土壌棲息菌が急速に培養されて、好ましい発酵をさせることができる。
本発明で使用する有用土壌棲息菌としては、
(1) 放線菌、放射状菌、(Actinomycetes、Streptomyces、Nocordia、Micromonospora、Actinomyces。)
(2) 糸状菌、トリコデルマ菌、(Signorum、Tricoderuma、glicocladiumuirens。)
(3) 光合成菌(Capsulateala、Chromatium、shodomienroliumu、Samprocystis。)などを挙げることができる。
これらの菌は、竹、松、落葉樹下の土壌に多く存在している。これら有用土壌棲息菌の生息しているところには、有害菌が少ないことが確認された。
まず、竹、松、落葉樹下の土壌の表層土壌約15cmを採集して、例えば図1に示すような発泡スチロールの培養箱(1)に入れる。この土壌(3)中には前記有用土壌棲息菌が棲息している。土壌(3)の深さは、約30cm程度で、蓋(2)との間は約5cmほど開ける。蓋(2)には、例えば0.5cm〜1cmの通気孔(2a)を、3cm間隔に開ける。この培養箱(1)の中の土壌(3)の上に、菌培養固体培地(4)を配置する。
胞子の栄養材としては、例えば硝酸ナトリウムと燐酸カリウムの稀釈液が選択される。
菌選択剤としては、例えば発芽性乳酸菌を含む乳酸の稀釈液が選択される。この菌選択剤は、有害菌を抑制し、有用土壌棲息菌を選択的に培養させる。
この菌培養固体培地(4)を裏返しにして1週間ほどすると、菌培養固体培地(4)の全面に、胞子が発芽し土壌棲息菌が繁殖し、菌培養固体培地(4)に付着している、胞子の栄養材の効果で、その胞子が繁茂し付着しており、菌培養体(5)が得られる。
この場合、菌培養固体培地(4)には菌選択剤が付着しているので、有害菌の繁殖は制御されている。
この菌培養箱(1)は多数使用することができ、また農地に簡易ビニールハウスを作り、採集土壌を配置して、ハウス内温度を10℃〜25℃に保持する事でもよい。
農業用有機資材としては、米糠、藁類、ふすま、等の混合材が選択される。
胞子増殖促進剤は、アラニン(alanineー疎水性のアミノ酸の1)、グリシン(glycineー極性アミノ酸の1)、アルギニン(arginineーアミノ酸の1)、グルタミン酸(glutamin acidー酸性α−アミノ酸の1)、の中から1種以上を選択して配合し、土壌改良材が得られる。土壌改良材の原料配合例は次の通りである。
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.稲藁 145kg、
4.発酵鶏糞 50kg、
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.なたね粕 5kg、
4.骨粉 50kg、
5.落葉 145kg、
1.菌培養体 5kg、
2.稲藁 200kg、
3.魚粕 10kg、
4.米糠 85kg、
N− 4.6(kg/t)、
P2O5− 2.8(kg/t)、
K2O− 10.5(kg/t)、
CaO− 8.0(kg/t)、
MgO− 3.0(kg/t)、
腐埴の測定は、ピロリン酸ソーダを使用した。供試農耕地は、東京都杉並区の火山灰土壌である。
また有用土壌棲息菌は、有機物の分解を行うだけでなく、フザリウム(Fusarium、植物の病原体カビの1)などの病原菌を分解する事でも知られている。
本発明に係る土壌改良材の特徴を、次に例挙する。
2.野生菌の為、繁殖力が旺盛であることから、地表に散布した状態で地中に浸透するので、作業性がよい。
3.栄養腐埴の存在は、施肥の吸収、利用効率を高め、有害細菌の抑制を行うので、農薬の使用が減少する。
4.堆肥の施用数量10アールあたりの3tに対して、本発明品は10分の1で、堆肥区より、理化学性が高い数値を示している。
第1回、平成13年8月20日播種。 土壌改良材は、10アールあたり、
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.稲藁 145kg、
4.発酵鶏糞 50kg、
を用いた。結果は、無使用区と対比して、葉の繁茂が優れ、大根の品質も肌理細かく美味で、10%の増収となった。また無使用区と対比して害虫が付きにくい。
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.なたね粕 5kg、
4.骨粉 50kg、
5.落葉 145kg、
を用いた。気象条件が悪く、播種時期が遅れた。結果は、生育が少し遅れたが、葉の繁茂は良好で、病害虫の発生が少なく、収穫量は無使用区と対比して、0.5%ほどの増収で、品質は最高であった。
1.菌培養体 5kg、
2.稲藁 200kg、
3.魚粕 10kg、
4.米糠 85kg、
を用いた。生育状況は順調で、葉の繁茂はよく、大根の身が締まり柔らかく、市販大根と比較にならない美味となって、食用した付近の人の評判も良好であった。
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.なたね粕 5kg、
4.骨粉 50kg、
5.落葉 145kg、
を使用した。平成13年2月下旬から、本発明土壌改良材の試験を開始した。平成13年11月からの収穫期において、不使用地区のリンゴと対比して、糖度が1〜2度高い品質の優れた好結果が得られた。
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.稲藁 145kg、
4.発酵鶏糞 50kg、
を使用した。平成15年の春は異常気象であったが、本発明土壌改良材を使用した枝豆栽培の収穫は、堆肥よりも約15%の収穫増であった。また枝豆の豆の粒が大きく、味が濃厚であった。このため、市場では20%以上の高価格で取引された。中間試験で、枝豆の引抜き検査を行った結果、根の張りが堆肥地区の約2倍あり、引抜くのに大きな力を要したと報告されている。根粒菌も多く付着していた。
1.菌培養体 5kg、
2.米糠 100kg、
3.稲藁 145kg、
4.発酵鶏糞 50kg、
を使用した。平成15年の初春から、トマトハウス栽培を行う農家での試験成績を見ると、生育がよく、通常では、3〜4段位いから収穫量が減少するものであるが、本発明に係る土壌改良材を施用した区では、8段目くらいまでトマトの実が大きく結実したため、収穫量が約25%も増収した。更に品質も優れ、糖度は2倍近く上昇した。
(2)蓋
(2a)通気孔
(3)土壌
(4)菌培養固体培地
(5)菌培養体
Claims (5)
- 穀物の加工品からなる乾燥した菌培養固体培地に、硝酸ナトリウム、燐酸カリウムの稀釈液からなる胞子の栄養材、及び発芽性乳酸菌が含まれている乳酸の稀釈液からなる菌選択剤を付着させ、これに、林間地から土壌と共に採取した、これに棲息している有用土壌棲息菌を培養して、菌の胞子を繁茂させて後、これを乾燥させてなることを特徴とする、土壌改良材用の菌培養体。
- 前記有用土壌棲息菌は、放線菌、放射状菌、糸状菌、トリコデルマ菌、光合成菌の1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の土壌改良材用の菌培養体。
- 穀物の加工品からなる乾燥した菌培養固体培地に、硝酸ナトリウム、燐酸カリウムの稀釈液からなる胞子の栄養材、及び発芽性乳酸菌が含まれている乳酸の稀釈液からなる菌選択剤を付着させ、これに、林間地から土壌と共に採取した、これに棲息している有用土壌棲息菌を培養して、菌の胞子を繁茂させて後、これを乾燥させてなる土壌改良材用の菌培養体と、胞子の増殖を促進させる、アラニン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸の中から選択される1種以上のものからなる胞子増殖促進剤とを、農業用有機資材に混合してなることを特徴とする土壌改良材。
- 林間地から採取した土壌に、硝酸ナトリウム、燐酸カリウムの稀釈液からなる胞子の栄養材、及び発芽性乳酸菌が含まれている乳酸の稀釈液からなる菌選択剤を付着させた穀物の加工品からなる乾燥した菌培養固体培地を配置して、有害菌を菌選択剤で抑制して菌培養固体培地に、前記土壌に棲息している有用土壌棲息菌を1種以上培養して、該有用菌の胞子を繁茂させて後、これを乾燥させてなることを特徴とする、土壌改良材用の菌培養体の製造方法。
- 林間地から採取した土壌に、硝酸ナトリウム、燐酸カリウムの稀釈液からなる胞子の栄養材、及び発芽性乳酸菌が含まれている乳酸の稀釈液からなる菌選択剤を付着させた穀物の加工品からなる乾燥した菌培養固体培地を配置して、有害菌を菌選択剤で抑制して菌培養固体培地に、前記土壌に棲息している有用土壌棲息菌を1種以上培養して、該有用菌の胞子を繁茂させて菌培養体を形成し乾燥させる工程と、該菌培養体を、胞子の増殖を促進させる胞子増殖促進剤と共に農業用有機資材に混合させることを特徴とする、土壌改良材の製造方法。
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