JP5607665B2 - 植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法 - Google Patents

植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法 Download PDF

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Description

この発明は、植物の栽培に関連する技術にあり、特に、永年に亘って良質な緑化植物を、より簡単、迅速且つ効率的に栽植、順化可能にすると共に、永年に亘って良質な緑化技術を提供可能とする植生基材、それを利用した植生基盤、および、それらを利用した栽植の技術分野は勿論のこと、それらの技術によって製造してなる植生基材、植生基盤、および、栽植対象植物の輸送、管理、保管、展示、販売、設置、栽植、緑化の技術分野、および、緑化に必要となる微生物類の培養・利用の技術分野、さらに、それらを利用した対象植物や微生物類の繁殖、栽培、培養などに必要となる植生基盤や、各種園芸用品類、各種輸送機械、各種土木機械、各種灌水装置などの様々な設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
工業団地、宅地、道路周辺、公園、鉄道周辺、空港、港湾、海岸、学校、公共施設、スポーツ施設、商業施設、病院などで様々な意図の下に整備される敷地内の緑地帯や、各種建築物の屋上などの緑地化は、景観を向上するのは勿論のこと、こうした緑地帯の拡大は、昨今の炭素社会における温室効果ガス排出による地球温暖化や、都市におけるヒートアイランド化を抑止、改善するのにも非常に有効であるとされているものの、地球全体を俯瞰した場合に、温暖化によって砂漠化が進行する地域や、原発事故によって太陽光発電および風力発電などの再生可能エネルギーヘの転換が予想される発電施設エリア、将来予想される原発廃炉後の施設エリア、および放射能汚染避難地区などといった場所の緑化に際しては、従前までの芝生類やセダム類、苔類などのような緑化植物では、繁殖や活着に長期間を要したり、過酷な環境に対応できず枯れてしまったり、灌水や施肥、除草などに多大な手間を要したりするなどして、繁殖、栽植および維持管理に多大な経費を要するものとなってしまうことから、これら過酷で緊急性の高い条件下での地域には、従前までよりも簡単、迅速且つ整然、確実に栽植可能であり、繁殖・維持管理を効率的に行える秀れた緑化技術へのニーズが高まるのは必至であると予想される。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)ないし(18)に提案されているものに代表されるように、園芸用土の代わりに、剪定枝、葉、木材チップなどの植物繊維や各種セルロース繊維を含む土代替材をそのままか、または、そうした土代替材を布製やネット製の適宜透水性の袋に充填するかの何れかとしてなる植生基材を緑化対象エリアに設置して植生基盤を形成し、目的とする緑化植物を栽植するようにし、用土の軽量化を図り、輸送経費の削減や、森林資源の再生利用による森林保護、屋上緑化施設の軽量化、ヒートアイランド対策などを可能とする外、各種植物繊維や各種セルロース繊維などが、次第に分解して栽植後の緑化植物に栄養成分を供給可能なものとし、施肥作業の頻度を削減して緑化エリア維持の労働負担や経済的負担を軽減可能とするものや、同特許文献1(19)および(20)に見られるような、栽培目的とする対象植物の苗に、その植物に共生可能な菌根菌を感染させ、栽植後の順化を促進する技術などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)ないし(18)に示されているように、植物繊維や各種セルロース繊維を含む植生基材をそのまま緑化対象となる敷地に供給し、緑化植物を植栽する技術は、輸送中の粉塵や埃の周囲への飛散や落下を防ぐのが難しく、例えば、建築物屋上まで運搬する場合などは、植生基材生産工場にてビニール袋や布製の袋などに所定量毎に充填・包装し、密閉状態にて屋上まで搬入し、緑化エリアに袋を開封し、所望の厚さの土壌層を設置するようにしなければならず、包装および開封の作業が不可欠で、緑化エリア内に所望の厚さとなるよう植生基材を移動したり、均したりする作業を要する上、使用済みとなった袋を適正に廃棄処理しなければならず、労働負担および経済適負担が増える結果となり、また、植生基材の所定量毎を生分解性の袋に充填し、その袋に充填したままの状態で緑化エリアに搬入および配置し、該袋に直接、穴を開けて緑化植物を栽植するようにしたものは、植生基材の搬送および設置作業の効率を高めるが、緑化植物が順化するまでには相当の長期間を要し、栽植後の施肥、除草、灌水などの維持・管理には多大な労力と経費とを要してしまうという欠点を残すものであり、後者許文献1(19)および(20)のように、栽培目的の植物に共生する菌根菌を対象植物の根元付近に接種する技術は、育苗に際して消毒した用土(バーミュキュライト、パーライトなど)を用いるものであり、こうした無菌状態の用土中に共生菌類を増殖させて対象植物が順化するには相当の期間を要するものとなってしまい、健全に活着し順化するまでに多大な維持・管理労力と経費とを要し、国内の多くの緑化エリアでは、経費の問題もあって栽植後の管理が行き届かずに、厳しい自然環境の下、早い段階にて緑化植物が枯死してしまう結果になっているという大きな問題を抱えていた。
(1)特開平9−41384号公報 (2)特開平10−306430号公報 (3)特開2002−67号公報 (4)特開2003−199426号公報 (5)特開2003−321840号公報 (6)特開2003−335595号公報 (7)特開2004−187587号公報 (8)特開2004−313134号公報 (9)特開2004−360386号公報 (10)特開2005−58091号公報 (11)特開2006−101825号公報 (12)特開2006−314217号公報 (13)特開2007−198035号公報 (14)特開2008−17819号公報 (15)特開2009−39063号公報 (16)特開2009−178096号公報 (17)特開2010−57469号公報 (18)特開2011−172490号公報 (19)特開2009−296977号公報 (20)特開平5−111330号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある用土類や土代替材類を袋詰めし、そのまま緑化対象エリアに設置して利用する植生基材技術は、輸送や設置工数を削減し、周辺への塵埃の飛散や、土壌および肥料成分の流失を防止できるなど、様々な利点を得ることができるとはいうものの、袋詰めした用土類や土代替材類は、従来品と基本的に同様の成分のため、栽植した対象植物が順化するまでに2ないし3年の長期間を要してしまうという課題を抱え、また、緑化植物の苗に菌根菌を接種する技術は、菌根菌を持たない苗を栽植する場合に比較して格段に緑化植物の耐久性を高め、施肥の頻度を少なくすることが可能になるものの、緑化エリアに苗を栽植してから土壌中に菌根菌を増殖させて順化するまでに相当の期間を要し、苗が生長する頃には冬を迎え、繁殖を開始するのは翌年以降になってしまうという欠点が残るものであり、このように順化するまでの期間が長いために、多くの緑化植物が、栽植地域の厳しい自然環境に耐えられずに枯死してしまうというのが現状であり、しかも、これまで国内で使用されてきた海外品種を含む種々の緑化植物類は、南北に長い日本の国土における多様で過酷な自然環境や劣悪な土壌条件、および、様々な緑化目的の全てに適合できるものはなく、各地方の緑地帯毎夫々に、必ずしも最適でない植物を選択、使用してきた例があまりにも多かったし、他方、こうした厳しい条件を克服可能とする強い生命力を有している外国原産の帰化植物、外来植物を使用した事例も数多く見受けられるが、これら外来植物類は、その強い生命力で日本の植物生態系を脅かし、美しい日本の景観を損なうまでになってきている。
このように、従来から問題視されてきた緑化植物の課題に加え、近年では、炭素社会が排出する温室効果ガスが原因とされる地球温暖化の抑制、都市におけるヒートアイランド化などへの対策として、広大な緑地帯の確保が重視されるようになっており、節電を目的としたビル屋上の遮光、遮熱や、太陽光発電施設および風力発電施設などの広大な敷地の景観保全、原子力発電施設エリアの砂塵防止など新たに緑化を必要とする地域が増大しており、さらに、昨年起きた東日本大震災に伴う津波で被災した、県境を跨ぐ広大な面積の海岸エリアの荒廃を抑止し、景観を維持可能とする緑化技術などへのニーズが高まっており、このような情勢に鑑みて、本願発明者、出願人は、これまで既に10年以上にも亘り、我が国特有の美しい景観を破壊することのない日本原産の固有種の中から、前述した多様なエリアを効率的に緑化可能な新たな緑化植物の調査、研究、および、その栽培技術の研究、実験を弛まず繰り返してきたが、この新技術を一刻も早く実用化しなければならないと痛感するに至った。
(発明の目的)
そこで、この発明では、日本原産で国内固有の景観を維持でき、強い生命力をもつ緑化植物を逸早く調査、発見すると共に、当該緑化植物を効率的に短期間の中に栽植、順化可能とし、その後は永年に亘って健全且つ経済適に維持・管理することができる新たな緑化技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその研究、開発に着手し、永年に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な植物用植生基材、それを利用した新規な植物用植生基盤、および、それらを利用した新規なイソギク植栽方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の植物用植生基材は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、対象植物の自生地から採集した対象植物の菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとした構成を要旨とする植物用植生基材である。
この基本的な構成からなる植物用植生基材を、より具体的に示すと、加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、イソギクの自生地から採集したイソギクの菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとした構成からなる植物用植生基材となる。
(関連する発明1)
上記した植物用植生基材に関連し、この発明には、それを利用した植物用植生基盤も包含している。
即ち、この発明の基本をなす前記植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした、この発明の基本をなす前記植物用植生基材を利用した植物用植生基盤である。
これを換言すれば、この発明の基本をなす前記植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材か、または、前記植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製であって、天面の所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなる袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材かの何れか一方を、乾燥状態にある場合のパッケージ基材の外寸・形状よりも大きく、且つ、充分に灌水・膨張した状態にあるパッケージ基材外寸および形状に一致するか、それよりも僅かに小さな内寸・形状に設定し、有底、無底またはスノコ底の何れか1つとした天面開放の型枠内に収容可能に組み合わせてなるものとした、この発明の基本をなす前記植物用植生基材を利用した植物用植生基盤ということができる。
(関連する発明2)
上記したこの発明の基本をなす植物用植生基材、およびそれを利用した植物用植生基盤に関連し、さらに、この発明には、それらを利用してなるイソギク植栽方法も包含している。
即ち、前記植物用植生基盤の複数個を所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材の隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁などの近接物、および、各パッケージ基の底面をその接地面に夫々、密着・安定化させてから、パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、前記植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法である。
表現を変えて示すと、前記植物用植生基盤の複数個を、所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材を各型枠内に密着・一体化させてから、各パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、前記植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法となる。
以上のとおり、この発明の植物用植生基材によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従前までであれば緑化対象エリアに一般的な園芸用土を搬入し、栽植した緑化植物の苗が順化し、その地域の気候に順応するまで数年という長期間を要してしまい、その間の管理が難しく、活着するまでに多くの場合に枯死してしまい、その後は雑草や帰化植物が繁茂して荒れてしまうこととなって、確実な緑化が非常に困難なものとなっていたが、土代替材に対して対象植物の自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加した植物用植生基材を利用することにより、栽植後に特別な施肥や除草などを施さずとも、栽植直後から対象植物苗の養分吸収を活発化して格段に順化時期を早め、春に植栽すると夏には確実に活着し繁殖を開始し、秋には緑化を完了して越年することができるようになり、特に、土代替材が、乾燥木質チップおよび/または木質ペレットなどのように、加水によって膨張する植物組織、および/または、該植物組織の加工物を主要要素としてなるものは、乾燥状態では、通常の園芸用土よりも遙かに軽量且つコンパクトで、輸送、保管および人手による運搬などが非常に楽なものとなり、特に、建築物屋上への搬入および設置作業も格段に効率的に行うことができる上、建築物への重量負担を大幅に軽減することとなって、耐震強度などへの安全面の影響を最小限に留めることができ、さらに、緑化エリアに設置して灌水すると、水分を吸収、保水して膨張し、少量であっても充分量の土壌を形成可能なものとなり、しかも吸水による膨張にて、栽植直後の対象植物の根を確りと加圧保持して苗の倒れを確実に防止できるという秀れた効果を奏するものである。
加えて、土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する高分子ポリマーからなるものとしたこの発明の植物用植生基材によれば、吸水力、保水力および膨張力を格段に高め、砂漠のように強い保水力を要するエリアや、建築物屋上のように土壌を薄くせざるを得ない緑化対象エリアなどにも充分な保水力を与え、灌水作業頻度を大幅に減少し得るか、または全く不要なものとすることができ、少ない量でも対象植物苗の根を確りと加圧保持することができ、乾燥状態における全体重量を大幅に軽量化できるという利点が得られ、また、岩石粒子が、基材全体重量に対して10ないし50重量%の割合で混合してなるものは、通気性と保水性とを高め、岩石に含有する各種成分が、対象植物の不足しがちな栄養を長期的に補助するものとなり、その硬質で凹凸や空隙の多い表面形状が、自生地の菌類や微生物類の生息に適した環境を確保するものとなり、さらに、ペクチンは、植物用植生基材を長時間固化、維持するものとなり、緩効性肥料を適量添加してなるものは、対象植物を栽植した直後の材木腐朽菌および/または他の微生物が栄養成分の供給を開始するまでの僅かな間に、根を傷めることなく逸早く栄養成分を供給可能なものとする。
そして、材木腐朽菌は、自生地から採集した対象植物の菌根から無菌培養した材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得たものを利用することにより、この発明の植物用植生基材を格段に効率的に生産することが可能となり、一度に大量の植生基材を提供し、広大なエリアを一挙に緑化するのに有効なものとすることができ、さらに、材木腐朽菌が、自生地から採集したイソギクの菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得たものとすることにより、国内に自生するイソギクの苗を緑化対象エリアに栽植した直後から、自生のイソギク同様に、過酷な自然環境下であっても枯れることなく強靱な繁殖力を発揮可能なものとすることができ、しかもこの材木腐朽菌を添加した植物用植生基材を用いれば、一度に大量のイソギク苗を効率的に栽培し、それら大量のイソギク苗を緑化対象エリアに効率的に活着、順化させて短期間の中に、広大なエリアを悉く確実に緑化し、帰化植物やその他の雑草類の繁茂を抑止して日本固有の美しい景観を再生することができる上、栽植直後から維持管理も殆ど不要で、格段に経済的な緑化を実現化できるものになるという秀れた効果が得られるものである。
この発明の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした植物用植生基盤によれば、植物用植生基材を複数のパッケージ基材として取り扱うことが可能となり、従前までであれば輸送や運搬に伴い、大量の粉塵などの塵埃を生じてしまい、取扱いが困難なものであったが、こうした問題を解消し、個々のパッケージ基材は手に持って取り扱うことが容易になり、輸送、保管、運搬および配列、設置などの作業負担を大幅に軽減すると共に、設置面積に応じた必要個数および合計重量を正確に把握することが可能となり、無駄なく効率的に利用できるという効果が得られる上に、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の基盤容器を用いたものとすることによっては、緑化対象エリアに配列・設置し、灌水するだけで、透水・吸水して膨張し、隣接(接触)する物同士、または隣接(接触)する他物との接触圧力を高めて確りと固定し、植物用植生基材の流失を確実に阻止するものとなり、しかも生分解性素材製が、長期間を経て分解し、土になる頃には、外観上も自生地と同様の土壌を形成するものとなり、自然環境に優しい緑化を実現化できるものとなる。
加えて、この発明の植物用植生基盤であるパッケージ基材の基盤容器天面に、所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなるものは、各切開目標に切り目を入れ、対象植物苗を植栽するようにすることにより、仮令初心者であっても各対象植物苗同士の栽植間隔を容易に一定化することが可能であることから、広大な面積の緑化対象エリアであってもムラ無く、均質な繁殖を実現化することができ、さらに、乾燥状態にある場合のパッケージ基材の外寸・形状よりも大きくて且つ充分に灌水・膨張した状態にあるパッケージ基材外寸および形状に一致するか、それよりも僅かに小さな内寸・形状に設定し、有底、無底またはスノコ底の何れか1つとした天面開放の型枠内に、当該パッケージ基材を収容可能に組み合わせてなるようにした、この発明の植物用植生基盤は、灌水に伴う膨張によってパッケージ基材を型枠内に確りと固定することができ、対象植物を栽植した後でも、型枠諸共に配置替え、運搬、輸送、保管、陳列などを可能にするというだけではなく、植木鉢やそれ以外の外装容器などへの収容や入れ替えなど、様々な利用を可能とすることができる。
この発明の植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法によれば、イソギクの自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加した植物用植生基材の利用により、従前までは、日本に自生するイソギクに共生する材木腐朽菌を純粋培養する技術、および、それを利用した栽培技術が一切存在せず、従来の繁殖技術にて栽培した材木腐朽菌を有しないイソギクを緑化対象エリアに栽植しても、栽植地の土壌に順化し、同地域の気候や天候に耐えられるように生長するまでには長期間を要し、健全に繁茂するまでに多大な労力と経費とを費やさざるを得ないものであって、しかも確りと根付いた後にも、季節毎の気候変化や周辺環境の変化などに耐えられず枯死してしまうことも多かったものが、こうした課題を一挙に解決可能とし、自生地と同じ菌根をもつイソギク苗を栽植した直後から、強靱な生命力を発揮して逸早く順化して速やかに繁殖を開始し、春に植え付けたイソギク苗が、秋には繁殖を完了し、緑の絨毯を形成し、その後は、永年に亘って除草や施肥といった従前までのもののような特段の管理を一切必要とせずとも、様々な帰化植物を悉く撃退し、日本的の景観を維持可能であるという大きな効果を奏することになる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
この発明の根幹をなす、植物用植生基材は、この発明に包含する植物用植生基盤の製造、さらに、その植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法の実現化に欠くことのできないものであり、土代替材に対して対象植物の自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加してなるものとしなければならず、さらに、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとすべきである。
対象植物は、本発明における緑化植物であり、基本的に日本原産のものとしなければならず、特に、本願出願人が、永年に亘る調査、研究によって発見したイソギクとすべきであって、当該イソギクは、日本を原産地とするキク科イソギク属の耐寒性宿根草であって、より具体的には、野菊の一種で国内の房総や伊豆の海岸の崖などに繁茂し、自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物をもつ野生品種とし、換言すると、菌根を有し、毛根を持たず、健全な日本原産の野生品種であるイソギクとすべきであり、植物が自生しない砂漠などの緑化に際して、日本原産の自生イソギクを利用することが可能である外、日本国内の緑化にあっては、日本原産のイソギクを採用するのが最も理想的ではあるものの、それが難しい場合であっても、少なくともアジア原産の自生イソギクを採用するのが望ましく、また、強靱な生命力をもちならが、他の植物と穏やかに共存可能な日本原産の自生イソギクは、海外の緑地化にも良く適合して、効果的に使用可能であるが、各国独自の植物環境を尊重する場合には、各国に自生するキク科植物、可能であれば自生のイソギクを繁殖、利用するのが望ましい。
土代替材は、この発明の基本をなす植物用植生基材、および、それを利用した植物用植生基盤の主要な構成要素であり、用土に置き換わるものであって、対象植物の根を保持可能とし、植生基材を軽量化、吸水、水分保持などの機能を担うものであり、加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有するものとしなければならず、より具体的には、一部または全体が、加水すると膨張する植物組織、および/または、該植物組織の加工物を主要要素としてなるものとすべきであり、例えば、ピートモスやミズゴケ、バークなどとすることができ、さらに具体的には、品質の安定性を考慮すると、後述する実施例に示すように、材木腐朽菌によって緩やかに分解可能であり、一部または全体が、加水によって膨張する乾燥木質チップおよび/または木質ペレットからなるものとするのが良く、さらに、一部または全体が、加水によって膨張する乾燥木質チップおよび/または木質ペレットと高分子ポリマーとを適宜割合で混合してなるものとすることができる。
木質チップおよび/または木質ペレットは、乾燥状態における運搬、輸送、設置作業を容易にし、加水によって膨張し、重量を増大して、栽植した対象植物の根を確りと固定可能なものとなり、しかも材木腐朽菌および/または他の微生物によってゆっくりと分解し、永年にわたって対象植物に栄養成分を供給可能にするという機能を担い、より具体的には、国産の広葉樹、針葉樹のチップやペレットなどであるということができ、地産穀物類の生産に伴い発生するモミガラや藁、葉などの殻類野菜などのような様々な植物組織を混合してなるものとすることができる。
岩石粒子および/または他の素材粒子は、この発明の基本をなす植物用植生基材に、保水性、排水性、通気性、栄養成分、肥料成分などを与える機能を担い、例えば火成岩、堆積岩、変成岩などの粒子や、セラミックスや陶磁器、ガラス、合成樹脂、金属類などの人工物の粒子などとすることができ、表現を変えると鉱物、石、砂、石英、化石、生物由来の有機物などということができ、さらに具体的には、例えば、赤玉土、鹿沼土、矢作砂、桐生砂、富士砂、日向土、山砂、川砂、海砂、軽石粒子、バーミュキュライト、パーライトなど様々な粒子物とすることが可能であり、特に海岸の岩場などに自生するイソギクを栽培する場合、植物繊維100%の土代替材を用いるのは好ましいものではなく、この発明の基本をなす植物用植生基材の全体重量に対して10ないし50重量%の割合で混合するのが望ましく、10重量%未満では、混合による効果は殆ど得られず、50重量%を超えると、植物用植生基材の軽量化が阻害されて、輸送や保管、および、建築物屋上への設置などに様々な支障や作業負担を生じるばかりでなく、加水による膨張力が低下して栽植後の対象植物の根を保持する力が低下してしまうという欠点を生じてしまう。
ペクチンは、対象植物を植栽し、灌水した後に、次第に乾燥して湿潤状態が失われたときにも植生基材を長時間固化、維持するよう結合状態を維持可能とする機能を担い、且つ栄養成分となって対象植物の成長を助長する機能を担い、木質ペレットに含まれるものとすることができる外、木質ペレットに含まれる量では不足する分を、追加して添加したものとすることができる。
肥料および/または微量要素は、この発明の自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加した植物用植生基材に対象植物の苗を植栽した直後に、材木腐朽菌および/または他の微生物が働き出すまでの間、移植のストレスや環境および気候の急激な変化などの様々な影響から苗を保護し、健全且つ短期間の中に順化可能とするよう逸早く栄養分を供給可能とする機能を担い、無機質肥料や有機質肥料とすることができ、より具体的には、腐葉土、単肥、複合肥料などの無機質肥料とするのが望ましく、肥料成分を調整してある化成肥料などの緩効性肥料とするのがよい。
高分子ポリマーは、乾燥状態の重量を大幅に軽量化すると共に、緑化エリアに設置後の加水によって大きく膨張し、土代替材の容積および重量を増大可能とする機能を担い、栽植した対象植物の乾燥・枯死を防ぎ、灌水などの作業を軽減可能とするものであり、砂漠や建築物屋上など、乾燥し易い場所に栽植した対象植物を乾燥から守るのに有効であり、乾燥地帯であっても自然の少量の雨水だけで充分な保水を可能とし、灌水作業の頻度を大幅に減少させたり、全く不要としたりすることが可能である。
対象植物の自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物は、植物組織からなる基材を緩やかに分解し、この分解養分をイソギクなどの対象植物の養分として供給し、生え替わりによって落ちたイソギクの茎葉や、周囲の樹木や草花が落とした葉、茎、枝、花などをも分解して養分とし、循環緑化を可能とする機能を担い、栽植直後から健全且つ永続的に繁殖させるのに有効なものとする機能を担うものであり、対象植物の自生地土壌から採取したり、対象植物の菌根から採取したりしたものを純粋培養してなるものとしなければならず、より具体的には、自生地から採集した対象植物の菌根から無菌培養した材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得たものとすることができ、さらに具体的には、後述する実施例に示すように、自生地から採集したイソギクの菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにしたものとすることができる。
イソギクと共生する材木腐朽菌は、イソギク自生地に生息し、イソギクと共生する材木腐朽菌を添加することによって植物組織基材を緩やかに分解し、この分解養分をイソギクの養分として供給し、生え替わりによって落ちたイソギクの茎葉をも分解して養分となし、永続的な循環緑化を可能とする機能を担い、栽植直後から健全且つ半永久的に繁殖させるのに有効なものである。
植物用植生基盤は、この発明の根幹をなす植物用植生基材の運搬や保管から輸送、設置までの作業を効率化可能とすると共に、栽植後の対象植物の支持力を高め、保水して水や栄養成分を供給可能とし、周辺への塵埃の飛散や流失を阻止可能とする機能を担い、植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材としなければならず、後述する実施例に示すように、当該パッケージ基材基盤容器天面の所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなるのとするのが望ましく、該切開目標は、対象植物の品種毎に適した栽植位置間隔を隔てて設定すべきであり、直線状、十字状、円形、星型などの様々な印刷表示、および/または、様々な形状のミシン孔線または周囲よりも肉厚を薄くするなどしてなる脆弱部分などとすることができ、カッターやハサミなどを使用するか、または、工具類を使わず手作業にて切り目を入れることが可能なものとすることができ、さらに、乾燥状態にある場合のパッケージ基材の外寸・形状よりも大きく、且つ、充分に灌水・膨張した状態にあるパッケージ基材の外寸および形状に一致するか、それよりも僅かに小さな内寸・形状に設定し、有底、無底またはスノコ底の何れか1つとした天面開放の型枠内に収容可能に組み合わせてなるものとすることができる。
基盤容器は、透水性、通気性を備え、植物用植生基材の所定量を一纏めに収容・保持してパッケージ基材を形成可能とする機能を担うものであり、植物用植生基材を充填した状態で、搬送容易、且つ植物用植生基盤の設置エリアに適した寸法、形状のものとすべきであり、植物性繊維、動物性繊維、合成樹脂などからなる板、器、フィルム、シートなどの素材製のものとするのが望ましく、より具体的には、紙、葉、草、木、樹皮、布、毛、皮革、合成樹脂繊維などの外、金属、ガラス、陶器、セラミックスなど様々な素材製のものとすることが可能であり、伸縮性を有し、且つ軽量で長期間を経過するに従い、微生物などの働きによって次第に崩壊して土となり、対象植物に影響がないか、または、栄養成分となる素材製のものとするのが望ましい。
型枠は、パッケージ基材を対象植物の植栽可能な状態に収容可能とし、加水によって膨張するパッケージ基材を外がわから保持して外周枠形状を維持可能とすると共に、膨張するパッケージ基材を確りと固定可能とする機能を担い、パッケージ基材の膨張力に抗して形状を確りと維持可能な程度に硬質なものとし、安定的に設置可能な底部形状のものとしなければならず、底部に排水口を設けたものとすべきであり、例えば、紙、木、金属、合成樹脂など様々な素材製のものとすることが可能であり、長期間に亘って破損せずに形状を維持するものとするのが望ましいが、長期間を経過するに従い、微生物などの働きによって次第に崩壊して土となり、対象植物に影響がないか、または、栄養成分となるかの何れかの素材製のものとすることができる。
イソギク植栽方法は、この発明の根幹をなす植物用植生基材を利用した植物用植生基盤で、その複数個を所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材の隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁などの近接物、および、各パッケージ基材の底面をその接地面に、夫々密着・安定化させてから、各パッケージ基材基盤容器の植栽箇所に切り目を入れ、イソギクを植えた後に充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確りと固定化し、以後基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにすべきであり、また、型枠を有する植物用植生基盤の複数個を、所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材を各型枠に密着・一体化させてから、各パッケージ基材基盤容器の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確りと固定化し、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにしたものとすることが可能である。
これを表現を変えて示すとすると、イソギク植栽方法は、この発明の根幹をなす植物用植生基材を利用した植物用植生基盤の複数個を、所望の緑化場所に密に配列設置し、乾燥状態にある各パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れ、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材の隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁などの近接物、および、各パッケージ基材の底面をその接地面に夫々、密着・安定化させてから、各切れ目にイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確りと固定化し、以後基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には、夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにすることができる外、この発明の根幹をなす植物用植生基材を利用した植物用植生基盤の複数個を、所望の緑化場所に密に配列設置し、乾燥状態にある各パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れ、イソギクを植えてから充分に灌水し、その膨張力にて各パッケージ基材を各型枠内に密着・一体化させると共に、イソギクの根元を確りと固定化し、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにしたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明の植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
植物用植生基盤利用のイソギク植栽方法を示すフローチャートである。 型枠を有する植物用植生基盤利用のイソギク植栽方法を示すフローチャートである。 イソギク用木材腐朽菌の培養方法を示すフローチャートである。 基盤容器に植物用植生基材を充填して植物用植生基盤としたパッケージ基材を示す斜視図である。 切開目標を表示してなるパッケージ基材の基盤容器を示す斜視図である。 植栽箇所に切り目を入れたパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 イソギク苗を植栽したパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 灌水するパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 イソギク苗を固定したパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 パッケージ基材の設置例を示す斜視図である。 袋状のパッケージ基材を示す平面図である。 袋状のパッケージ基材を示す正面図である。 袋状のパッケージ基材の設置例を示す平面図である。 軽い灌水を受けるパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 膨張して固定するパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 イソギク苗を植栽するパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 充分な灌水を受けるパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 灌水にてイソギク苗を固定するパッケージ基材の縦断面を示す側面図である。 型枠内にパッケージ基材を組み合わせてなる植物用植生基盤の平面図である。 型枠を有するパッケージ基材である植物用植生基盤の設置例を示す平面図である。 軽い灌水を受けて型枠内に固定するパッケージ基材を示す平面図である。 イソギク苗を植栽した植物用植生基盤を示す平面図である。 型枠を有する植物用植生基盤の設置例を示す平面図である。 順化したイソギクを示す平面図である。
図1および図4ないし図18に示す事例は、加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材Bに対し、対象植物Cの自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなる植物用植生基材Aの所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器Eに充填してパッケージ基材Fとした植物用植生基盤Dの複数個を利用し、対象植物Cを効率的に栽植、順化可能とするようにした、この発明の植物用植生基材A、それを利用した植物用植生基盤D(F,G)、および、それらを利用したイソギク植栽方法における代表的な一実施例を示すものである。
以下では、この発明のイソギク栽培方法の一例について示すこととするが、先ず、対象植物にイソギクCを選定した経緯について示すこととする。
当該発明に利用する対象植物を選定するに当たり、本願出願人は、我が国内に生息する植物のなかから、緑化植物に適するものを現在まで10年以上の期間を費やして調査してきた。
現在まで、国内では、高中木類や低木類の針葉樹、常緑樹、落葉樹、暖地型や寒冷地型の芝生、セダム類、コケ類、宿根草や球根などの多年草草花、春咲き、夏咲き、または春ないし秋咲きの一年草草花、グラス類、ハーブ類、野菜類、家庭果樹類など、様々な緑化植物が採用されてきているが、何れの植物を選択した場合にあっても、過去に緑化された場所やエリアで、除草などのメンテナンスが行われていないところでは、雑草の独壇場の荒れた状態になり、全国至る場所で強い生命力と繁殖力とを持っている帰化植物が、日本原産の植物を駆逐、繁茂して日本の景観を著しく阻害し、日本固有の生態系を破壊し、多大な影響を与えており、従前から緑化に用いられてきた植物は、緑化に必要な国内全エリアに適合する特性を具備せず、しかも帰化植物に勝てる強い生命力を具備していないというのが現状であり、日本の緑化を考えると、生物の生態系、環境、景観に影響を及ぼさない日本原産の植物の中から選択するのは当然至極なことであるものの、しかし、緑化という狭隘認識から、外国原産の帰化植物、外来植物、さらに新に世界中から緑化植物の検索導入を図ることは、緑化はできたとしても、植物生態系という視点から考察すると問題が多く、日本列島は沖縄を含めて島国であって南北に細長く、亜熱帯から3000mの高山まで、裏日本、表日本の変化の中に、主要な植物だけでも3000種を越える植物が自生しており、モンスーン気候が育んだ緑の島、瑞穂の国と呼称されてきた国土であり、この国の緑化を考えると、外国に自生する植物を安易に導入するのは、前述したきた如く大きな問題がある。
例えば、東日本大震災の塩害を受けた広大な面積に対応した緑化植物は、塩害地でも生育繁殖できる植物が理想であろうが、現在の緑化植物には見当たらず、潮水に浸かったエリアを日本固有の景観に緑化しようとすれば、外国産の植物を排除した日本原産の原生植物の中から新たな緑化植物を調査・発掘しなければならず、この観点から、国内全土に及ぶ過酷な環境を含む多様な緑化エリアと、多様な緑化目的とに適合する新たな緑化植物を発見するために、以下の26項目を設け、日本を原産とする植物約3000種の1つ1つを考察、検討することとし、その目的とするところは、日本の国土や建築物屋上などの緑化は日本に自生する固有種が日本の気候風土、環境、景観を損なわないという考えからであり、さらに、日本は南北に細長く、裏日本、表日本の多様な気候条件下での緑化は、日本の中でも極めて過酷な環境、気候条件下で進化し生存してきた植物が望ましいという視点である。
我が国の緑化植物として具備していなければならない必須特性および条件を下記の26項目とする。
( )内は緑化する場合の利点である。
1.日本原産の固有種であること。
(日本の植物生態系に影響を与えない。)
2.乾燥旱魃に耐えること。
(旱魃、屋上でも耐えられる。)
3.強光に耐えられること。
(更地、海岸、屋上でも耐えられる。)
4.強い紫外線に耐えられること。
(更地、海岸、屋上でも耐えられる。)
5.高温に耐えられること。
(道路、ビル、海岸、屋上、新造成地でも耐えられる。)
6.長雨、多湿に根腐れしないで生きられること。
(梅雨、豪雨でも耐えられる。)
7.強風、台風に耐えられること。
(茎、葉が痛まない。)
8.土質を選ばないで生育すること。
(造成地でも生きられる。)
9.ヤセ地でも生育、繁殖すること。
(少肥料でどんな場所でも永年緑化を持続できる。)
10.浅い土壌でも生育繁殖すること。
(植生基盤を軽量化できる、劣悪造成地でも生きられる。)
11.酸性土壌、アルカリ土壌でも生育繁殖すること。
(石灰岩、蛇紋岩などの土壌地帯でも生きられる。)
12.塩害土壌でも生育繁殖する事、潮風に強いこと。
(海岸地帯、砂漠、津波被害地区でも生きられる。)
13.草丈が低いこと。
(メンテナンスで茎葉の廃棄物が少ない。)
14.茎、葉がマット状に地面を覆うこと。
(地面、屋上の遮熱効果がある。)
15.多年草であること。
(一度植えれば永年緑化できる。)
16.低温、積雪に耐え越冬すること。
(本州の殆どエリアを緑化できる。)
17.枯れ葉が落葉、飛散しないこと。
(周囲に迷惑を与えない。)
18.長日条件で栄養生長し、短日条件で生殖生長する短日植物であること。
(春から夏に葉を繁茂させ、秋から晩秋に開花すること。夏に最も元気が良く緑化できる。)
19.病虫害が殆ど発生しないこと、消毒の必要がないこと。
(無農薬緑化ができる。)
20.茎棄が密生して土壌の流失・流亡を防止すること。
(雨を直接地面に当てない。)
21.茎葉が密生して砂塵の飛散を防止すること。
(砂塵、飛び砂を防止できる。)
22.CAM型植物でないこと。
(蒸散作用でヒートアイランド抑制できる。)
23.雑草の発生繁茂をさせないこと。
(緑化の最大の悩みを解消できる。)
24.苗生産、緑化工事が簡単なこと。
(広大な面積を安価に緑化できる。)
25.人間にアレギー、トゲ、その他で害を起こさないこと。
(公園など人の集まる所でも緑化できる。)
26.美しい日本の景観を創ること。
(日本本来の春、夏、秋を作ることができる。)
現在、我が国で地面、屋上、その他の場所、エリアに用いられているものには、前記した様々な緑化植物を挙げられるが、上記の緑化必須特性、条件に照合して適否を考察してみると、殆どの緑化植物が多くの項目に適合せず、長期間に亘って経済的に緑化地帯を維持することができず、特に、東日本大震災のエリアは広大で、このエリアの緑化を考えれば、前記26項目の中の一つでも多くの項目に合致した植物を探す必要がある。
このような観点から、日本に自生する主要な植物3000余種を、緑化植物としての前記合否基準に1つ1つ照らし合わせ、且つ、永年をかけて実験と検討とを繰り返してきた結果、緑化植物として画期的な特性を具備した植物としてイソギク(Chrysanthemum pacificum Nakai)を発見した。
イソギクを検定した結果を示すと以下のとおりである。
イソギクは、下記のように、緑化植物として具備しなければならない必須特性、前記条件26項目の中、特性として18項目をクリアし、必須条件9項目をクリアし、全ての項目を完全にクリアした希有な植物であることが判明する。
緑化植物として具備していなければならない必須特性および条件に対するイソギクの評価(適合 ○ 最適○○ 不適合 × )
1.日本原産の固有種である。 ○○
2.乾燥旱魃に耐える。 ○○
3.強光に耐えられる。 ○○
4.強い紫外線に耐えられる。 ○○
5.高温に耐えられる。 ○○
6.長雨、多湿に絶えられる。 ○○
7.強風、台風に耐えられる。 ○○
8.土質を選ばないで生育する。 ○○
9.ヤセ地でも生育、繁殖する。 ○○
10.浅い土壌でも生育繁殖する。 ○○
11.酸性土壌、アルカリ土壌でも生育繁殖する。 ○○
12.塩害土壌でも生育繁殖する事、潮風に強い。 ○○
13.草丈が低い。 ○○
14.茎、葉がマット状に地面を覆う。 ○○
15.多年草である。 ○○
16.低温、積雪に耐え、本州の平地で越冬する。 ○
17.枯れ葉が落葉、飛散しない。 ○○
18.長日条件で栄養生長し、短日条件で生殖生長する短日植物であり、春から夏に葉を繁茂させ、秋から晩秋に開花する。 ○○
19.病虫害が殆ど発生せず、消毒の必要がない。 ○○
20.茎葉が密生して土壌の流亡を防止する。 ○○
21.茎葉が密生して砂塵の飛散を防止する。 ○○
22.CAM型植物でない。 ○○
23.帰化植物、雑草の発生繁茂をさせない。 ○○
24.苗生産、緑化工事が簡単である。 ○○
25.人間にトゲ、アレルギーなどで害を起こさない。○○
26.美しい日本の景観を創る。 ○○
以上の検定評価が示すように、イソギクは緑化植物として利用した場合、他の植物に見ることができない傑出した特性を具備していることを新発見した。
この傑出した希有な特性は、日本国内の緑化だけでなく、砂漠の緑化、外国の都市緑化、その他の緑化にも役立つものであり、なぜなら、キク科植物は世界中のエリアで生きられる強い生命力を持っているものが多く、日本で雑草としてはびこっている植物の多くは、キク科植物である。
さらに、本願出願人は、イソギクが菌根植物であり、菌根の利用が循環型緑化の確立に極めて有効であるということを発見した。
イソギク(キク科:Chrysanthemum Pacificum
Nakai)は、本州関東(千葉)および東海地方(静岡)、伊豆諸島の一部の海岸の崖、傾斜地の瘠せた土壌に自生するキク科の多年草。草丈30cm前後、上部まで密に葉を付けマット状になり、葉は厚く葉の裏には白い短毛を持ち、乾燥、高温、強光、紫外線、強い潮風に耐え、根は根毛を持たず、根は枯れ葉を分解する材木腐朽菌と共生する菌根であり、吸水力が強く、浅い砂の中に張り、茎は硬く密生し他の植物が発生繁茂できず、繁殖は冬至芽で行い、太平洋に面した海岸の崖、傾斜地は極めて浅く薄く、養分が殆ど無い瘠せた貧しい土壌であり、雨水は保存されることなく乾燥し、台風が襲えば塩を含んだ潮風と海水が葉を濡らし、ここで生きるには高山のハイマツのように草丈を低くして強風を凌ぐしかなく、以上のように、イソギクの自生地は、植物が生存するには最も酷しい条件が揃った場所であり、このような過酷な環境条件で生きられるということは、緑化植物として希有な特性を持った植物ということができ、さらにイソギクはキク科植物で美しい花がマス状に咲き乱れることも着目した理由でもあって、緑化しながら美しい日本の秋を創ることができるからであり、緑化の対象になる土地、屋上は、多くの場合植物にとってイソギクの自生地と同じく、植物が生きるには極めて過酷な場所であり、こういう場所に植える植物は、酷しい条件下で生き続けてきた植物を用いるのが基本であり理想であり、イソギクはこの理想に合致した唯一の植物であると言える。
下記の外国原産の植物は、帰化植物の雑草となり、全国各地で猛威をふるっており、こうした帰化植物に対抗できるのはイソギクだけであるといえる。
セイタカアワダテソウ(キク科)Solidago・altssima L.
北アメリカ原産 明治40年頃渡来 帰化植物
アレチノギク(キク科)Erigeron cinifolius
Wild.
南アメリカ原産 明示中頃渡来 帰化植物
オオアレチノギク(キク科)Erigeron.sumatrensis Retz.
南部アジア原産 大正年間1920年頃渡来 帰化植物
ハルジオン(キク科)Erigeron pholadelphicus
L.
北アメリカ原産 大正中期に渡来 帰化植物
ヒメムカシヨモギ(キク科)Erigeron Canadensis L.
北アメリカ原産 明治に渡来 帰化植物
ブタクサ(キク科)Ambrosia elatior
L.
北アメリカ原産 明示初年に渡来 帰化植物
雑草として全国各地で猛威を振るっている帰化植物にキク科植物が多いのは、どんな過酷な条件でも生きられる特性を持ち、種子が空中に舞い飛び、広範囲に飛散、短時間に生息エリアを広げられる特性を具備しているからであり、これに打ち勝てる植物は、日本原産の植物には多くはなく、キク科植物である「イソギク」に着目した理由の一つが帰化植物の雑草化である。
さらに、本願出願人は、以下のようにして、イソギクが永久的な循環型緑化を実現化可能な菌根植物であることも発見した。
一般に、園芸や農業業界において観賞用や食用として栽培および販売されているキク類は、連作障害やイヤ地の問題を克服するため、挿し木やクローンなどによって毎年新しい苗を作り、新しい土地、用土で栽培するものであり、灌水は勿論のこと施肥、除草などの様々なメンテナンスを必要とし、年を越さずして枯死するものあり、緑化植物として利用するには、毎年春に新しい苗を植え続けなければ継続的な緑化は不可能であるという致命的な欠点を有している。
こうしたキク類に比較し、自生するイソギクが、なぜ前記したような過酷な環境条件である日本の一部のエリアに自生するように進化したのか、なぜ厳しい条件下でも何万年も生き続けられたのか、特別な生命力を解明する必要があるとの疑問があったため、瘠せて殆ど養分を保持できない傾斜地の浅い砂の中に自生するイソギクは、どこから養分を調達しているのかを解明すべく、イソギクの根を観察した結果、根毛を持たない菌根であることが判明し、イソギク自体が生じる僅かな枯れ葉や、他の植物の枯れ葉、植物死骸のセルロース、リグニンなどを分解する材木腐朽菌と共生する菌根を具備した菌根植物であって、光合成で作るエネルギーの不足分を、材木腐朽菌と共生することによってエネルギー調達し、貧しい瘠せた土地でも活きられるように進化した植物であることを発見し、この特性は緑化する場合、よほどのことがない限り枯死することがないことを意味しており、劣悪な土壌条件下でも緑化が可能になるとの確信するに至り、イソギクと共生している材木腐朽菌を培養増殖して植生基材に添加し、植物組織の植生基材を少しずつ分解するようにして、栽植の段階でイソギクの自生地を再現し、これによってヤセ地に於いても永続可能な循環型緑化が可能になり、殆どの場所、エリアでの緑化が可能であるとの創案に達した。
以上のようにして見出した自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物をもつイソギクは、前述のような、他に類を見ないほど傑出した特性を有しているが、広大な緑化対象エリアへの栽植作業の効率を高め、栽植地域の自然環境下で逸早く順化可能なものとし、さらに、建築物屋上などにも安全且つ簡単に搬入、設置し、その後も永年に亘ってそのまま利用可能な、イソギクの自生地域と同じ土壌環境、および、その土壌環境を利用したイソギクの栽培技術については、これまで全く確立されておらず、緑化対象エリアに栽植した後、数年をかけて順化するまで地道にメンテナンスしながら待たなければならないものであり、こうした状況から着想を得た本願出願人は、逸早く研究、開発に着手し、以下に示すような、イソギク栽培に非常に有効な、この発明の植物用植生基材A、それを利用した植物用植生基盤D、および、それらを利用したイソギク植栽方法の実用化に成功した。
植物用植生基材Aは、その土代替材Bの主要部分が乾燥状態にあり、加水すると膨張する性質をもつ木材チップまたは木質ペレットからなり、大量の水を吸収、保水可能な性質を持ち、さらに、体積の100〜400倍もの水を吸水・保水可能な高分子ポリマーの適量を乾燥状態にて加えたものであって、該土代替材Bに対し、対象植物であるイソギクCの自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、該植物用生基材Aの全体重量に対して10ないし50重量%の割合で岩石粒子を混合し、さらに、ペクチン、腐葉土および、緩効性肥料の適量を含有するものとしてある。
木質ペレットの吸水による膨張は、広葉樹ペレットの場合、乾燥体積の約2.5倍、針葉樹ペレットの場合は約2倍に膨張し、その膨張圧力は極めて強く、木質ペレット体積の約2倍の水を吸水保持するため水の比重と同じ重量となるから、植物用植生基盤D重量の軽量化を図るには、木質ペレットより吸水保水量の少ない木材チップを混合して軽量化を図るのがよく、また、木質素材の植物組織には夫々の細胞を接着する高分子炭素化合物のペクチンがあり、植物組織を高圧条件下で圧縮するとき、高温の圧力熱で植物組織のペクチンが溶融してペレット形状に固化して木質ペレットに整形されており、乾燥して植物用植生基材Aの湿度が約70%未満になったとき、ペクチンは糊状の接着剤の働きを現して基材の固化崩壊を防止するが、木質ペレットの含有するペクチンは微量のため、この機能の有効期間は数ヶ月程度であり、この期間を延長させる目的で植物用植生基材Aの単位重量当たり0.1ないし1%のペクチンを加えるものとする。
該植物組織由来のペクチンは、植物用植生基材Aの硬化を目的とする接着剤として用いたが、その他の水溶性糊、接着剤などを用いることも勿論可能である。
肥料および/または微量要素は、土代替材Bが植物に必要な養分を殆ど含有せず、イソギクも養分の少ない土壌で生育可能な特性を具備しているが、材木腐朽菌および/または他の微生物が活動を開始するまでの僅かな間に、植物用植生基材Aの養分では初期生育不良になってしまう虞があり、この問題を回避するため、養分を含有する腐葉土を混合して初期の養分欠乏の問題を解決することが可能であり、その後、材木腐朽菌および/または他の微生物が土代替材Bを腐朽分解し、その養分をイソギクに供給するようになり、健全な発育を開始するが、気候などの好条件が重なり、イソギクがあまりにも急激に繁茂期を迎えてしまうと、養分欠乏状態を生じてしまう可能性があり、これを回避するために栄養生長期間には、常に肥料が供給されるのが望ましく、こうした自体に事前に対処し、施肥作業を不要としてメンテナンスコストを削減する目的からも、1ないし2年程度の長期間肥料が効く緩効性肥料を少量添加するのがよい。
図3に示してあるように、材木腐朽菌は、自生地から採集したイソギクの菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄(10)し、これら菌根を長さ約5mmに裁断して得た菌根切片を、蒸留水1000cc、砂糖20g、寒天17gr、ハイポネックス(登録商標:株式会社ハイポネックスジャパン製)3grを100℃加熱で寒天溶融後、300ccフラスコに50ccずつ分注し、120℃蒸気殺菌に無菌化した無菌培養基に植え付け(11)、培養ボックス内で自生地と同様の温度範囲内である15ないし20℃に管理して5ないし10日間培養(12)し、これで得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取(13)し、同図3中の(11)と同じ要領で製作した新たな無菌培養基によって純粋培養を適宜回数繰り返した(14)上、ここまでの培養で得た材木腐朽菌を新たなフラスコ(培養基)に移植すると共に、同フラスコ(培養基)に木質ペレットを充填し、120℃の蒸気殺菌にて無菌ペレットとし、該無菌化した木質ペレットに純粋培養した材木腐朽菌を接種(15)し、培養ボックス内で15ないし20℃に管理して5ないし10日間培養し、材木腐朽菌が木質ペレットを粉砕状に分解し、分解ペレットとなるのを待ち(16)、該材木腐朽菌が繁殖した適量の分解ペレットを新たな木質ペレットに添加して材木腐朽菌を付着(17)させ、菌根菌木質ペレットを得る(17)ようにして得たものである。
植物用植生基材Aの配合割合の幾つかの例を以下の表1ないし表5夫々に示す。
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図4、図5、図11、図12および図19に示すように、植物用植生基盤Dは、透水性、通気性を有する生分解性素材製の矩形状で、天面の均等間隔を隔てた4角寄りの4箇所の植栽箇所夫々に切開目標E1を表示してなる袋状または箱状の基盤容器Eに対し、前記植物用植生基材Aを充填、封鎖したパッケージ基材Fからなるものとすることができる外、当該、パッケージ基材Fの乾燥状態の外寸・形状よりも大きく、且つ、充分に灌水・膨張した状態にあるパッケージ基材F外寸および形状に一致するか、それよりも僅かに小さな内寸・形状に設定し、有底、無底またはスノコ底の何れか1つとした天面開放の型枠G内に収容可能に組み合わせてなるものとすることができる。
植物用植生基盤Dは、縦30cm、横30cm、高さ10cm、容積9000ccの基盤容器Eに、前記植物用植生基材A(表1)を5802.5cc(乾燥重量4kg)充填、封鎖したものとすることができ、前記表1の植物用植生基材Aの保水量は約3000ccであり、100%吸水すると10kgになって3.3平米当たり36個配列すると、3.3平米当たりの基盤総重量は100%吸水した場合約360kgとなり、灌水Wの頻度は、空中湿度などの条件によって大きく異なるが、約10日から15日雨が降らない条件でも植物が生きられる保水量を確保可能であり、屋上緑化の場合はこれ以上降雨のない場合を想定して潅水設備を設置するのが望ましく、地面緑化の場合は、活着後に基盤容器E外に根を伸長させ、地面に根を張るようになるから殆ど潅水Wの必要はない。
基盤容器Eは、硬質な箱状、袋状、軟質な箱状、袋状のものなどとすることができ、前述の寸法の外、例えば、縦30cm、横30cm、高さ5cm、体積4500ccのものや、縦約50cm、横約28cm、高さ約3cmのものなど、様々な寸法、形状のものとすることが可能なのは勿論である。
(箱型パッケージ基材Fを利用したイソギクCの植栽方法)
図4に示すように、合成樹脂製の容器のように、灌水しても変形、破損し難く、しかも長期的には、自然に分解する生分解性の素材製で、適所に複数の貫通孔(図示せず)などを穿設して通気性や透水性を与えた箱状基盤容器Eに、植物用植生基材Aの所定量を充填してなる箱型パッケージ基材F(植物用植生基盤D)を用い、対象植物であるイソギク苗Cを栽培するには、図5および図6のように、該箱型パッケージ基材F天面の適宜間隔を隔てた複数箇所に、カッターなどを用いて切り目E1に沿って基盤容器Eを切開し、図7のように、各切り目E1にイソギク苗Cを栽植して、図8に示すように、充分に灌水Wすると、同図8中の破線矢印および図9に示すように、箱状基盤容器E内で土代替材Bが吸水・膨張して内圧を高め、イソギク苗Cの根を周囲から確りと保持するものとし、それ以降、灌水管理を続けるだけで、図24に示すように、順化して密集した状態となる。
このような箱型のパッケージ基材Fは、図10に示すように、複数個を整然と配列するよう設置することが可能であり、設置範囲一面をイソギクCで埋め尽くすようにすることも可能であり、灌水によって100%吸水すると1個当たり約7kg、3.3平米当たり約150kgの重量に留めることが可能となる。
(袋状パッケージ基材Fのみの植物用植生基盤Dを利用したイソギクCの植栽方法)
図1、図11および図12に示すような、植物用植生基盤Dとしての袋状パッケージ基材Fの複数個を、図13および図14に示すように、所望の緑化場所に密に配列設置(1)し、同図14および図15に示すように、軽く灌水Wして基盤容器E越しに浸透させてパッケージ基材F内の基材Aに水を加えて、数分にて約50ないし80%(2)膨張させ、同図15の破線矢印に示すように、その膨張力にて各パッケージ基材Fの隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁Hなどの近接物、および、各パッケージ基材Fの底面をその接地面に夫々、密着・安定化(3)させてから、パッケージ基材Fの植栽箇所に切り目E1を入れ(4)、図16および図17のように、イソギク苗Cを植えて(5)から、充分に灌水Wし、数分後に100%膨張させ、図18に示すように、基材Aのさらなる膨張力によってイソギク苗Cの根元をしっかりと固定化し(6)、以後基盤D(パッケージ基材F)の乾燥を観察し、日中イソギク苗Cの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水Wし、葉が萎凋していない場合は灌水Wしないように管理(7)するようにし、それ以降、灌水管理(7)を続けるだけで、図24に示すように、順化して密集した状態となる。
(袋状パッケージ基材Fに型枠Gを組み合わせた植物用植生基盤Dを利用したイソギクCの植栽方法)
図2および図19に示すように、基盤容器Eの天面の均等間隔を隔てた4箇所に夫々切開目標E1を印刷表示してなる袋状パッケージ基材Fと型枠Gとを組み合わせてなる植物用植生基盤Dの複数個を、図20に示すように、所望の緑化場所に密に配列設置(1)し、図21に示すように、軽く灌水して(2)基盤容器E越しに浸透させてパッケージ基材F内の基材Aに水を加え、数分にて約50ないし80%膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材Fを各型枠G内に密着・一体化(3)させてから、同図21および図22に示すように、各パッケージ基材Fの植栽箇所に切り目E1を入れ、イソギク苗Cを植えてから(5)充分に灌水し、数分後に100%膨張させ、基材Aのさらなる膨張力によってイソギク苗Cの根元を確りと固定化し(6)、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギク苗Cの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理(7)する。
イソギク苗Cを栽植し終えると、図23に示すとおりの状態となり、それ以降、灌水管理(7)を続けるだけで数ヶ月後には、図24に示すように、順化して密生した状態となる。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の植物用植生基材A、それを利用した植物用植生基盤D、および、それらを利用したイソギク植栽方法は、図1および図4ないし図10中に示すように、箱型基盤容器E内に植物用植生基材Aを充填してなる植物用植生基盤Dとしての箱型パッケージ基材Fを用いてイソギク苗Cを栽培することにより、パッケージ基材F単体であっても基盤容器Eが箱型形状を維持するから、灌水Wを受けて内部の植物用植生基材Aが膨張すると、その膨張圧力によって栽植したイソギク苗Cの根を確りと保持するものとなり、しかも、灌水Wしても基盤容器Eの外郭形状が大きく変形しないので、図10に示すように、複数個のブロックを配置するよう緻密に配置して整然と設置することが可能であり、生分解性の基盤容器Eは、長期に亘ってゆっくりと分解、消失することとなる。
図11および図12に示すように、伸縮性を有する袋状のパッケージ基材Fを用いてイソギク苗Cを栽培することにより、図13に示すように、レンガや壁Hなどに囲まれた緑化エリア内に、複数個のパッケージ基材Fを密に配列するよう設置する場合に、箱型のものに比較して、さらに軽量化することができ、しかも柔軟性を有し、廉価にて製造できるから、搬入および設置作業が格段に容易になり、さらに、図14および図15に示すように、設置後直ちに軽く灌水Wすることによって内部の植物用植生基材Aが膨張し、確りと固定して配置場所に強く定着させることが可能となり、しかも図16ないし図18に示すように、イソギク苗Cの栽植直後に充分な灌水Wを行えば、植物用植生基材Aの膨張力によってイソギク苗Cの根を確りと固定可能なものとすることができ、生分解性の基盤容器Eは、長期に亘ってゆっくりと分解、消失することとなる。
図19および図20に示してあるように、植物用植生基材Aであるパッケージ基材Fと型枠Gとを組み合わせた植物用植生基盤Dは、灌水Wすると、図21に示すように、各パッケージ基材Fが個々の型枠G内にて膨張し、強固に固定するものとなるから、箱型のパッケージ基材Fと同様に、設置後にも簡単に設置場所を移動することができ、緑化エリアの他の植物の植え替えに合わせて移動したり、太陽光の当たる場所に移動したり、季節に応じて移動したりするなど、様々な応用が可能であり、しかも栽植したイソギクCが順化してしまえば、図24に示すように、隣接する株の葉同士が互いに重なり合って型枠Gを隠蔽状としてしまうから、美感を損ねることなく、美しい景観を得ることができ、当該基盤容器Eおよび型枠Gを生分解性の素材製のものとした場合には、長期に亘ってゆっくりと分解、消失することとなる。
前記表1に示した、植物用植生基材Aを縦30cm、横30cm、高さ10cm、容積9000ccの基盤容器Eに、5802.5cc(乾燥重量4kg)充填、封鎖してなる植物用植生基盤Dを利用すると、2ないし数年後の植物用植生基盤Dは、添加した材木腐朽菌によって含有する木質ペレット、木質チップ、腐葉土が分解され土に還り、体積が減少して、植物用植生基盤Dの厚さが、当初の厚さ10cmから半減し約5cmになり、イソギクの自生地における砂質土の厚さは約3〜5cm程度であることから、植物用植生基盤Dの腐朽後の5cmの厚さで充分生育永続可能なものである。
イソギクを利用した緑化は、前述した緑化が必要な全ての場所、エリアでの緑化が可能になり、特に、過酷な環境条件のピル屋上の遮熱による節電、津波などで海水が浸潰した塩害エリアの緑化海岸周辺の緑化に最適であり、日本原産のキク科植物の固有種のために、緑化による日本の植物生態系に悪影響を与える心配がなく、夏には涼しげな銀緑色の葉、秋には温かい黄色の花で、緑化しながら日本本来の美しい風景、景観を創ることができ、病害虫の発生がないために消毒の必要がなく、イソギクの群生は他の雑草、帰化櫨物の雑草をも発生させず、栽植2年目以降は殆ど除草、除草剤の散布は必要なく、他の緑化植物に比較すると大きなメンテナンスコスト削減になり、セイタカアワダチソウ、プタクサのように、人間に花粉症のようなアレルギーを殆ど起こさず、セダムのようにCAM型植物ではないことから、ピル屋上の遮光、遮熱、蒸散作用による気温低下、気温上昇抑制効果によって節電可能とし、乾燥に強く耐える特性を具備していて灌水が少なくて済み、節水でき、また落葉しないので強風でも枯れ葉が飛散せず、枯れ葉による周囲に悪影響を及ぼさない上、土質、PH、養分の多少を選ばないからメンテナンスが容易で、栽植工事も簡単で工事費用を大幅に下げることが可能であり、植物用植生基材A土代替材Bに国産の広葉樹、針葉樹、モミガラなどを用いた場合は、材木腐朽菌の分解で土に還り、産業廃棄物を発生させない循環型の理想的な緑化が可能であって、イソギクの強い生命力と環境への適応性は、世界中の都市緑化、その他の緑化に使用可能であり、地球温暖化で砂漠化が進行しているエリアの緑化にも使用可能であり、さらに、この発明のイソギク植栽方法を完成済みとしたことによって広大な面積の緑化を格段に効率的且つ迅速に行うことができる。
(結 び)
叙述の如く、この発明の植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも栽植後の栽培も容易で、従前からの緑化植物の植栽技術に比較して遙かに効率的に栽培・緑化することができ、しかも対象植物を、瘠せた土壌でも強い生命力を発揮する日本原産のイソギクとした場合には、国内外を問わず、過酷な気候条件下であっても広範囲のエリアを効率的且つ確実に緑化可能とすることができ、日本的な美感に秀れ、繁殖から維持・管理のあらゆる段階で繁殖、栽植、維持、管理作業の効率化と低コスト化とを達成することができ、遥かに経済的なものとすることができる上、従前までの緑化植物では、栽植後の活着が不確実で早期に枯死することが多く、維持・管理に多大な経費と労力とを要してきた園芸業界はもとより、緑地帯の設置や維持に多大の経費を費やさざるを得なかった敷地や建築物の管理者や、一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
(イソギク植栽方法)
1 複数のパッケージ基材を配列設置する
(木材腐朽菌の培養方法)
10 同 イソギクの菌根を洗浄する
11 同 菌根切片を植え付ける
12 同 適温管理にて培養する
13 同 木材腐朽菌を採取する
14 同 純粋培養を繰り返す
15 同 木材腐朽菌を木質ペレットに接種させる
16 同 木材腐朽菌による分解ペレット得る
17 同 菌根菌木質ペレットを得る
2 パッケージ基材に軽く灌水する
3 吸水による膨張力にてパッケージ基材同士を固定する
4 パッケージ基材に切り目を入れる
5 切り目にイソギクを栽植する
6 充分に灌水してイソギクの根元を固定する
7 必要に応じて灌水する
A 植物用植生基材
B 土代替材
C イソギク(対象植物)
D 植物用植生基盤D
E 基盤容器
E1 同 切開目標(切り目)
F パッケージ基材
G 型枠
H レンガや壁
W 灌水

Claims (13)

  1. 加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、対象植物の自生地から採集した対象植物の菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとしたことを特徴とする植物用植生基材。
  2. 加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、イソギクの自生地から採集したイソギクの菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとしたことを特徴とする植物用植生基材。
  3. 土代替材の一部または全体が、加水すると膨張する植物組織、および/または、該植物組織の加工物を主要要素としてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
  4. 土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する乾燥木質チップおよび/または木質ペレットからなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
  5. 土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する高分子ポリマーからなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
  6. 土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する乾燥木質チップおよび/または木質ペレットと高分子ポリマーとを適宜割合で混合してなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
  7. 岩石粒子が、基材全体重量に対して10ないし50重量%の割合で混合してなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の植物用植生基材。
  8. 緩効性肥料を適量添加してなるものとした、請求項1ないし7何れか一項記載の植物用植生基材。
  9. 請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性を有する袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材を利用した植物用植生基盤。
  10. 請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製であって、天面の所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなる袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材を利用した植物用植生基盤。
  11. 請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材か、または、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製であって、天面の所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなる袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材かの何れか一方を、乾燥状態にある場合のパッケージ基材の外寸・形状よりも大きく、且つ、充分に灌水・膨張した状態にあるパッケージ基材外寸および形状に一致するか、それよりも僅かに小さな内寸・形状に設定し、有底、無底またはスノコ底の何れか1つとした天面開放の型枠内に収容可能に組み合わせてなるものとした、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材を利用した植物用植生基盤。
  12. 請求項9または10何れか一項記載の植物用植生基盤の複数個を所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材の隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁などの近接物、および、各パッケージ基の底面をその接地面に夫々、密着・安定化させてから、パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、請求項9または10何れか一項記載の植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法。
  13. 請求項11記載の植物用植生基盤の複数個を、所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材を各型枠内に密着・一体化させてから、各パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、請求項11記載の植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法。
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