JP5607665B2 - 植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法 - Google Patents
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Description
工業団地、宅地、道路周辺、公園、鉄道周辺、空港、港湾、海岸、学校、公共施設、スポーツ施設、商業施設、病院などで様々な意図の下に整備される敷地内の緑地帯や、各種建築物の屋上などの緑地化は、景観を向上するのは勿論のこと、こうした緑地帯の拡大は、昨今の炭素社会における温室効果ガス排出による地球温暖化や、都市におけるヒートアイランド化を抑止、改善するのにも非常に有効であるとされているものの、地球全体を俯瞰した場合に、温暖化によって砂漠化が進行する地域や、原発事故によって太陽光発電および風力発電などの再生可能エネルギーヘの転換が予想される発電施設エリア、将来予想される原発廃炉後の施設エリア、および放射能汚染避難地区などといった場所の緑化に際しては、従前までの芝生類やセダム類、苔類などのような緑化植物では、繁殖や活着に長期間を要したり、過酷な環境に対応できず枯れてしまったり、灌水や施肥、除草などに多大な手間を要したりするなどして、繁殖、栽植および維持管理に多大な経費を要するものとなってしまうことから、これら過酷で緊急性の高い条件下での地域には、従前までよりも簡単、迅速且つ整然、確実に栽植可能であり、繁殖・維持管理を効率的に行える秀れた緑化技術へのニーズが高まるのは必至であると予想される。
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)ないし(18)に提案されているものに代表されるように、園芸用土の代わりに、剪定枝、葉、木材チップなどの植物繊維や各種セルロース繊維を含む土代替材をそのままか、または、そうした土代替材を布製やネット製の適宜透水性の袋に充填するかの何れかとしてなる植生基材を緑化対象エリアに設置して植生基盤を形成し、目的とする緑化植物を栽植するようにし、用土の軽量化を図り、輸送経費の削減や、森林資源の再生利用による森林保護、屋上緑化施設の軽量化、ヒートアイランド対策などを可能とする外、各種植物繊維や各種セルロース繊維などが、次第に分解して栽植後の緑化植物に栄養成分を供給可能なものとし、施肥作業の頻度を削減して緑化エリア維持の労働負担や経済的負担を軽減可能とするものや、同特許文献1(19)および(20)に見られるような、栽培目的とする対象植物の苗に、その植物に共生可能な菌根菌を感染させ、栽植後の順化を促進する技術などが散見される。
上述したとおり、従前までに提案のある用土類や土代替材類を袋詰めし、そのまま緑化対象エリアに設置して利用する植生基材技術は、輸送や設置工数を削減し、周辺への塵埃の飛散や、土壌および肥料成分の流失を防止できるなど、様々な利点を得ることができるとはいうものの、袋詰めした用土類や土代替材類は、従来品と基本的に同様の成分のため、栽植した対象植物が順化するまでに2ないし3年の長期間を要してしまうという課題を抱え、また、緑化植物の苗に菌根菌を接種する技術は、菌根菌を持たない苗を栽植する場合に比較して格段に緑化植物の耐久性を高め、施肥の頻度を少なくすることが可能になるものの、緑化エリアに苗を栽植してから土壌中に菌根菌を増殖させて順化するまでに相当の期間を要し、苗が生長する頃には冬を迎え、繁殖を開始するのは翌年以降になってしまうという欠点が残るものであり、このように順化するまでの期間が長いために、多くの緑化植物が、栽植地域の厳しい自然環境に耐えられずに枯死してしまうというのが現状であり、しかも、これまで国内で使用されてきた海外品種を含む種々の緑化植物類は、南北に長い日本の国土における多様で過酷な自然環境や劣悪な土壌条件、および、様々な緑化目的の全てに適合できるものはなく、各地方の緑地帯毎夫々に、必ずしも最適でない植物を選択、使用してきた例があまりにも多かったし、他方、こうした厳しい条件を克服可能とする強い生命力を有している外国原産の帰化植物、外来植物を使用した事例も数多く見受けられるが、これら外来植物類は、その強い生命力で日本の植物生態系を脅かし、美しい日本の景観を損なうまでになってきている。
そこで、この発明では、日本原産で国内固有の景観を維持でき、強い生命力をもつ緑化植物を逸早く調査、発見すると共に、当該緑化植物を効率的に短期間の中に栽植、順化可能とし、その後は永年に亘って健全且つ経済適に維持・管理することができる新たな緑化技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその研究、開発に着手し、永年に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な植物用植生基材、それを利用した新規な植物用植生基盤、および、それらを利用した新規なイソギク植栽方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の植物用植生基材は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、対象植物の自生地から採集した対象植物の菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとした構成を要旨とする植物用植生基材である。
上記した植物用植生基材に関連し、この発明には、それを利用した植物用植生基盤も包含している。
即ち、この発明の基本をなす前記植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした、この発明の基本をなす前記植物用植生基材を利用した植物用植生基盤である。
上記したこの発明の基本をなす植物用植生基材、およびそれを利用した植物用植生基盤に関連し、さらに、この発明には、それらを利用してなるイソギク植栽方法も包含している。
即ち、前記植物用植生基盤の複数個を所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材の隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁などの近接物、および、各パッケージ基の底面をその接地面に夫々、密着・安定化させてから、パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、前記植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法である。
この発明の根幹をなす、植物用植生基材は、この発明に包含する植物用植生基盤の製造、さらに、その植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法の実現化に欠くことのできないものであり、土代替材に対して対象植物の自生地と同じ材木腐朽菌および/または他の微生物を添加してなるものとしなければならず、さらに、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとすべきである。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以下では、この発明のイソギク栽培方法の一例について示すこととするが、先ず、対象植物にイソギクCを選定した経緯について示すこととする。
現在まで、国内では、高中木類や低木類の針葉樹、常緑樹、落葉樹、暖地型や寒冷地型の芝生、セダム類、コケ類、宿根草や球根などの多年草草花、春咲き、夏咲き、または春ないし秋咲きの一年草草花、グラス類、ハーブ類、野菜類、家庭果樹類など、様々な緑化植物が採用されてきているが、何れの植物を選択した場合にあっても、過去に緑化された場所やエリアで、除草などのメンテナンスが行われていないところでは、雑草の独壇場の荒れた状態になり、全国至る場所で強い生命力と繁殖力とを持っている帰化植物が、日本原産の植物を駆逐、繁茂して日本の景観を著しく阻害し、日本固有の生態系を破壊し、多大な影響を与えており、従前から緑化に用いられてきた植物は、緑化に必要な国内全エリアに適合する特性を具備せず、しかも帰化植物に勝てる強い生命力を具備していないというのが現状であり、日本の緑化を考えると、生物の生態系、環境、景観に影響を及ぼさない日本原産の植物の中から選択するのは当然至極なことであるものの、しかし、緑化という狭隘認識から、外国原産の帰化植物、外来植物、さらに新に世界中から緑化植物の検索導入を図ることは、緑化はできたとしても、植物生態系という視点から考察すると問題が多く、日本列島は沖縄を含めて島国であって南北に細長く、亜熱帯から3000mの高山まで、裏日本、表日本の変化の中に、主要な植物だけでも3000種を越える植物が自生しており、モンスーン気候が育んだ緑の島、瑞穂の国と呼称されてきた国土であり、この国の緑化を考えると、外国に自生する植物を安易に導入するのは、前述したきた如く大きな問題がある。
( )内は緑化する場合の利点である。
1.日本原産の固有種であること。
(日本の植物生態系に影響を与えない。)
2.乾燥旱魃に耐えること。
(旱魃、屋上でも耐えられる。)
3.強光に耐えられること。
(更地、海岸、屋上でも耐えられる。)
4.強い紫外線に耐えられること。
(更地、海岸、屋上でも耐えられる。)
5.高温に耐えられること。
(道路、ビル、海岸、屋上、新造成地でも耐えられる。)
6.長雨、多湿に根腐れしないで生きられること。
(梅雨、豪雨でも耐えられる。)
7.強風、台風に耐えられること。
(茎、葉が痛まない。)
8.土質を選ばないで生育すること。
(造成地でも生きられる。)
9.ヤセ地でも生育、繁殖すること。
(少肥料でどんな場所でも永年緑化を持続できる。)
(植生基盤を軽量化できる、劣悪造成地でも生きられる。)
11.酸性土壌、アルカリ土壌でも生育繁殖すること。
(石灰岩、蛇紋岩などの土壌地帯でも生きられる。)
12.塩害土壌でも生育繁殖する事、潮風に強いこと。
(海岸地帯、砂漠、津波被害地区でも生きられる。)
13.草丈が低いこと。
(メンテナンスで茎葉の廃棄物が少ない。)
14.茎、葉がマット状に地面を覆うこと。
(地面、屋上の遮熱効果がある。)
15.多年草であること。
(一度植えれば永年緑化できる。)
16.低温、積雪に耐え越冬すること。
(本州の殆どエリアを緑化できる。)
17.枯れ葉が落葉、飛散しないこと。
(周囲に迷惑を与えない。)
18.長日条件で栄養生長し、短日条件で生殖生長する短日植物であること。
(春から夏に葉を繁茂させ、秋から晩秋に開花すること。夏に最も元気が良く緑化できる。)
19.病虫害が殆ど発生しないこと、消毒の必要がないこと。
(無農薬緑化ができる。)
(雨を直接地面に当てない。)
21.茎葉が密生して砂塵の飛散を防止すること。
(砂塵、飛び砂を防止できる。)
22.CAM型植物でないこと。
(蒸散作用でヒートアイランド抑制できる。)
23.雑草の発生繁茂をさせないこと。
(緑化の最大の悩みを解消できる。)
24.苗生産、緑化工事が簡単なこと。
(広大な面積を安価に緑化できる。)
25.人間にアレギー、トゲ、その他で害を起こさないこと。
(公園など人の集まる所でも緑化できる。)
26.美しい日本の景観を創ること。
(日本本来の春、夏、秋を作ることができる。)
イソギクを検定した結果を示すと以下のとおりである。
イソギクは、下記のように、緑化植物として具備しなければならない必須特性、前記条件26項目の中、特性として18項目をクリアし、必須条件9項目をクリアし、全ての項目を完全にクリアした希有な植物であることが判明する。
1.日本原産の固有種である。 ○○
2.乾燥旱魃に耐える。 ○○
3.強光に耐えられる。 ○○
4.強い紫外線に耐えられる。 ○○
5.高温に耐えられる。 ○○
6.長雨、多湿に絶えられる。 ○○
7.強風、台風に耐えられる。 ○○
8.土質を選ばないで生育する。 ○○
9.ヤセ地でも生育、繁殖する。 ○○
10.浅い土壌でも生育繁殖する。 ○○
11.酸性土壌、アルカリ土壌でも生育繁殖する。 ○○
12.塩害土壌でも生育繁殖する事、潮風に強い。 ○○
14.茎、葉がマット状に地面を覆う。 ○○
15.多年草である。 ○○
16.低温、積雪に耐え、本州の平地で越冬する。 ○
17.枯れ葉が落葉、飛散しない。 ○○
18.長日条件で栄養生長し、短日条件で生殖生長する短日植物であり、春から夏に葉を繁茂させ、秋から晩秋に開花する。 ○○
19.病虫害が殆ど発生せず、消毒の必要がない。 ○○
20.茎葉が密生して土壌の流亡を防止する。 ○○
21.茎葉が密生して砂塵の飛散を防止する。 ○○
22.CAM型植物でない。 ○○
23.帰化植物、雑草の発生繁茂をさせない。 ○○
24.苗生産、緑化工事が簡単である。 ○○
25.人間にトゲ、アレルギーなどで害を起こさない。○○
26.美しい日本の景観を創る。 ○○
この傑出した希有な特性は、日本国内の緑化だけでなく、砂漠の緑化、外国の都市緑化、その他の緑化にも役立つものであり、なぜなら、キク科植物は世界中のエリアで生きられる強い生命力を持っているものが多く、日本で雑草としてはびこっている植物の多くは、キク科植物である。
さらに、本願出願人は、イソギクが菌根植物であり、菌根の利用が循環型緑化の確立に極めて有効であるということを発見した。
Nakai)は、本州関東(千葉)および東海地方(静岡)、伊豆諸島の一部の海岸の崖、傾斜地の瘠せた土壌に自生するキク科の多年草。草丈30cm前後、上部まで密に葉を付けマット状になり、葉は厚く葉の裏には白い短毛を持ち、乾燥、高温、強光、紫外線、強い潮風に耐え、根は根毛を持たず、根は枯れ葉を分解する材木腐朽菌と共生する菌根であり、吸水力が強く、浅い砂の中に張り、茎は硬く密生し他の植物が発生繁茂できず、繁殖は冬至芽で行い、太平洋に面した海岸の崖、傾斜地は極めて浅く薄く、養分が殆ど無い瘠せた貧しい土壌であり、雨水は保存されることなく乾燥し、台風が襲えば塩を含んだ潮風と海水が葉を濡らし、ここで生きるには高山のハイマツのように草丈を低くして強風を凌ぐしかなく、以上のように、イソギクの自生地は、植物が生存するには最も酷しい条件が揃った場所であり、このような過酷な環境条件で生きられるということは、緑化植物として希有な特性を持った植物ということができ、さらにイソギクはキク科植物で美しい花がマス状に咲き乱れることも着目した理由でもあって、緑化しながら美しい日本の秋を創ることができるからであり、緑化の対象になる土地、屋上は、多くの場合植物にとってイソギクの自生地と同じく、植物が生きるには極めて過酷な場所であり、こういう場所に植える植物は、酷しい条件下で生き続けてきた植物を用いるのが基本であり理想であり、イソギクはこの理想に合致した唯一の植物であると言える。
セイタカアワダテソウ(キク科)Solidago・altssima L.
北アメリカ原産 明治40年頃渡来 帰化植物
アレチノギク(キク科)Erigeron cinifolius
Wild.
南アメリカ原産 明示中頃渡来 帰化植物
オオアレチノギク(キク科)Erigeron.sumatrensis Retz.
南部アジア原産 大正年間1920年頃渡来 帰化植物
ハルジオン(キク科)Erigeron pholadelphicus
L.
北アメリカ原産 大正中期に渡来 帰化植物
ヒメムカシヨモギ(キク科)Erigeron Canadensis L.
北アメリカ原産 明治に渡来 帰化植物
ブタクサ(キク科)Ambrosia elatior
L.
北アメリカ原産 明示初年に渡来 帰化植物
一般に、園芸や農業業界において観賞用や食用として栽培および販売されているキク類は、連作障害やイヤ地の問題を克服するため、挿し木やクローンなどによって毎年新しい苗を作り、新しい土地、用土で栽培するものであり、灌水は勿論のこと施肥、除草などの様々なメンテナンスを必要とし、年を越さずして枯死するものあり、緑化植物として利用するには、毎年春に新しい苗を植え続けなければ継続的な緑化は不可能であるという致命的な欠点を有している。
該植物組織由来のペクチンは、植物用植生基材Aの硬化を目的とする接着剤として用いたが、その他の水溶性糊、接着剤などを用いることも勿論可能である。
図4に示すように、合成樹脂製の容器のように、灌水しても変形、破損し難く、しかも長期的には、自然に分解する生分解性の素材製で、適所に複数の貫通孔(図示せず)などを穿設して通気性や透水性を与えた箱状基盤容器Eに、植物用植生基材Aの所定量を充填してなる箱型パッケージ基材F(植物用植生基盤D)を用い、対象植物であるイソギク苗Cを栽培するには、図5および図6のように、該箱型パッケージ基材F天面の適宜間隔を隔てた複数箇所に、カッターなどを用いて切り目E1に沿って基盤容器Eを切開し、図7のように、各切り目E1にイソギク苗Cを栽植して、図8に示すように、充分に灌水Wすると、同図8中の破線矢印および図9に示すように、箱状基盤容器E内で土代替材Bが吸水・膨張して内圧を高め、イソギク苗Cの根を周囲から確りと保持するものとし、それ以降、灌水管理を続けるだけで、図24に示すように、順化して密集した状態となる。
このような箱型のパッケージ基材Fは、図10に示すように、複数個を整然と配列するよう設置することが可能であり、設置範囲一面をイソギクCで埋め尽くすようにすることも可能であり、灌水によって100%吸水すると1個当たり約7kg、3.3平米当たり約150kgの重量に留めることが可能となる。
図1、図11および図12に示すような、植物用植生基盤Dとしての袋状パッケージ基材Fの複数個を、図13および図14に示すように、所望の緑化場所に密に配列設置(1)し、同図14および図15に示すように、軽く灌水Wして基盤容器E越しに浸透させてパッケージ基材F内の基材Aに水を加えて、数分にて約50ないし80%(2)膨張させ、同図15の破線矢印に示すように、その膨張力にて各パッケージ基材Fの隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁Hなどの近接物、および、各パッケージ基材Fの底面をその接地面に夫々、密着・安定化(3)させてから、パッケージ基材Fの植栽箇所に切り目E1を入れ(4)、図16および図17のように、イソギク苗Cを植えて(5)から、充分に灌水Wし、数分後に100%膨張させ、図18に示すように、基材Aのさらなる膨張力によってイソギク苗Cの根元をしっかりと固定化し(6)、以後基盤D(パッケージ基材F)の乾燥を観察し、日中イソギク苗Cの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水Wし、葉が萎凋していない場合は灌水Wしないように管理(7)するようにし、それ以降、灌水管理(7)を続けるだけで、図24に示すように、順化して密集した状態となる。
図2および図19に示すように、基盤容器Eの天面の均等間隔を隔てた4箇所に夫々切開目標E1を印刷表示してなる袋状パッケージ基材Fと型枠Gとを組み合わせてなる植物用植生基盤Dの複数個を、図20に示すように、所望の緑化場所に密に配列設置(1)し、図21に示すように、軽く灌水して(2)基盤容器E越しに浸透させてパッケージ基材F内の基材Aに水を加え、数分にて約50ないし80%膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材Fを各型枠G内に密着・一体化(3)させてから、同図21および図22に示すように、各パッケージ基材Fの植栽箇所に切り目E1を入れ、イソギク苗Cを植えてから(5)充分に灌水し、数分後に100%膨張させ、基材Aのさらなる膨張力によってイソギク苗Cの根元を確りと固定化し(6)、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギク苗Cの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理(7)する。
イソギク苗Cを栽植し終えると、図23に示すとおりの状態となり、それ以降、灌水管理(7)を続けるだけで数ヶ月後には、図24に示すように、順化して密生した状態となる。
以上のとおりの構成からなるこの発明の植物用植生基材A、それを利用した植物用植生基盤D、および、それらを利用したイソギク植栽方法は、図1および図4ないし図10中に示すように、箱型基盤容器E内に植物用植生基材Aを充填してなる植物用植生基盤Dとしての箱型パッケージ基材Fを用いてイソギク苗Cを栽培することにより、パッケージ基材F単体であっても基盤容器Eが箱型形状を維持するから、灌水Wを受けて内部の植物用植生基材Aが膨張すると、その膨張圧力によって栽植したイソギク苗Cの根を確りと保持するものとなり、しかも、灌水Wしても基盤容器Eの外郭形状が大きく変形しないので、図10に示すように、複数個のブロックを配置するよう緻密に配置して整然と設置することが可能であり、生分解性の基盤容器Eは、長期に亘ってゆっくりと分解、消失することとなる。
叙述の如く、この発明の植物用植生基材、それを利用した植物用植生基盤、および、それらを利用したイソギク植栽方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも栽植後の栽培も容易で、従前からの緑化植物の植栽技術に比較して遙かに効率的に栽培・緑化することができ、しかも対象植物を、瘠せた土壌でも強い生命力を発揮する日本原産のイソギクとした場合には、国内外を問わず、過酷な気候条件下であっても広範囲のエリアを効率的且つ確実に緑化可能とすることができ、日本的な美感に秀れ、繁殖から維持・管理のあらゆる段階で繁殖、栽植、維持、管理作業の効率化と低コスト化とを達成することができ、遥かに経済的なものとすることができる上、従前までの緑化植物では、栽植後の活着が不確実で早期に枯死することが多く、維持・管理に多大な経費と労力とを要してきた園芸業界はもとより、緑地帯の設置や維持に多大の経費を費やさざるを得なかった敷地や建築物の管理者や、一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 複数のパッケージ基材を配列設置する
(木材腐朽菌の培養方法)
10 同 イソギクの菌根を洗浄する
11 同 菌根切片を植え付ける
12 同 適温管理にて培養する
13 同 木材腐朽菌を採取する
14 同 純粋培養を繰り返す
15 同 木材腐朽菌を木質ペレットに接種させる
16 同 木材腐朽菌による分解ペレット得る
17 同 菌根菌木質ペレットを得る
2 パッケージ基材に軽く灌水する
3 吸水による膨張力にてパッケージ基材同士を固定する
4 パッケージ基材に切り目を入れる
5 切り目にイソギクを栽植する
6 充分に灌水してイソギクの根元を固定する
7 必要に応じて灌水する
A 植物用植生基材
B 土代替材
C イソギク(対象植物)
D 植物用植生基盤D
E 基盤容器
E1 同 切開目標(切り目)
F パッケージ基材
G 型枠
H レンガや壁
W 灌水
Claims (13)
- 加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、対象植物の自生地から採集した対象植物の菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとしたことを特徴とする植物用植生基材。
- 加水すると膨張するか、または、加水しても膨張しないかの何れか一方の性質を有する土代替材に対し、イソギクの自生地から採集したイソギクの菌根を浄水洗浄後、蒸溜水洗浄してから、適宜長さに裁断して得た菌根切片を無菌培養基に植え付け、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、得た多種の微生物コロニーの中から材木腐朽菌を採取し、新たな無菌培養基にて純粋培養を適宜回数繰り返した上、当該材木腐朽菌の適量を適量の植物繊維に接種繁殖し、自生地と同様の温度範囲内に管理して所定期間培養し、材木腐朽菌の繁殖に伴い粉砕状となった分解植物繊維を、適量の新たな植物繊維に添加して菌根菌植物繊維を得るようにして得た材木腐朽菌および/または他の微生物を添加すると共に、岩石粒子および/または他の素材粒子、ペクチン、および、肥料および/または微量要素、の少なくとも一つを含有してなるものとしたことを特徴とする植物用植生基材。
- 土代替材の一部または全体が、加水すると膨張する植物組織、および/または、該植物組織の加工物を主要要素としてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
- 土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する乾燥木質チップおよび/または木質ペレットからなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
- 土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する高分子ポリマーからなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
- 土代替材の一部または全体が、加水によって膨張する乾燥木質チップおよび/または木質ペレットと高分子ポリマーとを適宜割合で混合してなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の植物用植生基材。
- 岩石粒子が、基材全体重量に対して10ないし50重量%の割合で混合してなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載の植物用植生基材。
- 緩効性肥料を適量添加してなるものとした、請求項1ないし7何れか一項記載の植物用植生基材。
- 請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性を有する袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材を利用した植物用植生基盤。
- 請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製であって、天面の所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなる袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材とした、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材を利用した植物用植生基盤。
- 請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製の袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材か、または、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材の所定量を、透水性、通気性、伸縮性を有する生分解性素材製であって、天面の所定間隔を隔てた複数の植栽箇所夫々に切開目標を表示してなる袋状または箱状の基盤容器に充填してなるパッケージ基材かの何れか一方を、乾燥状態にある場合のパッケージ基材の外寸・形状よりも大きく、且つ、充分に灌水・膨張した状態にあるパッケージ基材外寸および形状に一致するか、それよりも僅かに小さな内寸・形状に設定し、有底、無底またはスノコ底の何れか1つとした天面開放の型枠内に収容可能に組み合わせてなるものとした、請求項1ないし8何れか一項記載の植物用植生基材を利用した植物用植生基盤。
- 請求項9または10何れか一項記載の植物用植生基盤の複数個を所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材の隣接するもの同士の接触面、隣接するレンガや壁などの近接物、および、各パッケージ基の底面をその接地面に夫々、密着・安定化させてから、パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、請求項9または10何れか一項記載の植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法。
- 請求項11記載の植物用植生基盤の複数個を、所望の緑化場所に密に配列設置し、軽く灌水して基材に水を加えて膨張させ、その膨張力にて各パッケージ基材を各型枠内に密着・一体化させてから、各パッケージ基材の植栽箇所に切り目を入れイソギクを植えた後、充分に灌水し、さらなる基材の膨張力によってイソギクの根元を確り固定化し、以後、基盤の乾燥を観察し、日中イソギクの葉が少し萎凋している場合には夕方充分灌水し、葉が萎凋していない場合は灌水しないように管理するようにした、請求項11記載の植物用植生基盤を利用したイソギク植栽方法。
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