JP4675983B2 - Dc/dc電力変換装置 - Google Patents
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Description
またこの発明による第2のDC/DC電力変換装置は、所定の1回路以外の各第2の回路毎の故障を検出する故障検出回路と平滑コンデンサの正負端子間を短絡する短絡回路と遮断用スイッチとを備えたため、故障した回路を除いて動作させることが可能になり、DC/DC電力変換装置を構成する一部の回路素子が故障しても、直流/直流の電力変換動作を継続でき信頼性が向上する。
以下、この発明の実施の形態1によるDC/DC電力変換装置について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1によるDC/DC電力変換装置の回路構成を示すものである。このDC/DC電力変換装置は、直流から直流へ電力変換する機能の電力変換回路部分と、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる機能の付加回路部分とを有する。
(構成の説明)
まず、直流から直流へ電力変換する機能の電力変換回路部分の説明を行なう。
図1に示すように、DC/DC電力変換装置の電力変換回路部分は、複数(この場合3個)のセル回路A1X、A1Y、A1Zを並列接続した第1の回路としての回路A1、および複数(この場合3個)の第2の回路としての回路A2〜A4から成る複数段(この場合4段)の回路A1〜A4で構成される。また駆動用電源Vs1、Vs2、Vs3、Vs4と、入出力電圧を平滑化しエネルギ移行のための電圧源としても機能する平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4と、制御回路200と、入出力電圧端子Vcom、VL、VHとを備える。そして、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力したり、電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力する機能を有する。
これにより、セル回路A1X、回路A2およびLC直列体LC12で構成される列回路Xと、セル回路A1Y、回路A3およびLC直列体LC13で構成される列回路Yと、セル回路A1Z、回路A4およびLC直列体LC14で構成される列回路Zとの3つの列回路X、Y、ZがDC/DC電力変換装置内に構成される。
なお、各MOSFETは、ソース、ドレイン間に寄生ダイオードが形成されているパワーMOSFETである。
平滑コンデンサCs1の両端子は、それぞれ電圧端子VLとVcomに接続され、電圧端子Vcomは接地されている。平滑コンデンサCs1のVL側電圧端子は、平滑コンデンサCs2の一方の端子に接続され、平滑コンデンサCs2の他方の端子は平滑コンデンサCs3の一方の端子に、平滑コンデンサCs3の他方の端子は平滑コンデンサCs4の一方の端子に、平滑コンデンサCs4の他方の端子は電圧端子VHに接続されている。
M1LX、M1LY、M1LZのソース端子は電圧端子Vcomに、ドレイン端子はM1HX、M1HY、M1HZのソース端子に、M1HX、M1HY、M1HZのドレイン端子は電圧端子VLに接続されている。M2Lのソース端子は平滑コンデンサCs2の低電圧側の端子に、M2Lのドレイン端子はM2Hのソース端子に、M2Hのドレイン端子は平滑コンデンサCs2の高電圧側の端子に接続されている。M3Lのソース端子は平滑コンデンサCs3の低電圧側の端子に、M3Lのドレイン端子はM3Hのソース端子に、M3Hのドレイン端子は平滑コンデンサCs3の高電圧側の端子に接続されている。M4Lのソース端子は平滑コンデンサCs4の低電圧側の端子に、M4Lのドレイン端子はM4Hのソース端子に、M4Hのドレイン端子は平滑コンデンサCs4の高電圧側の端子に接続されている。
(M1LX、M1HX)、(M1LY、M1HY)、(M1LZ、M1HZ)の各ゲート端子はゲート駆動回路111X、111Y、111Zの出力端子に接続され、ゲート駆動回路111X、111Y、111Zの入力端子には、電圧端子Vcomの電圧を基準としたそれぞれのゲート駆動信号が入力される。
(M2L、M2H)〜(M4L、M4H)の各ゲート端子はゲート駆動回路112〜114の出力端子に接続され、ゲート駆動回路112〜114の入力端子には、M2L〜M4Lのソース端子の電圧を基準としたそれぞれのゲート駆動信号が入力される。なお、ゲート駆動回路111X、111Y、111Z、112〜114は、一般的なブートストラップ方式の駆動回路であり、ハーフブリッジインバータ回路駆動用のドライバICや高電圧側のMOSFETを駆動するためのコンデンサ等で構成されている。
次に、上記のように構成される電力変換回路部分の動作について説明する。
まず、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力する場合について説明する。
第1の回路である回路A1は、電圧端子VL−Vcom間に入力されるエネルギを、回路A1を構成する各セル回路A1X、A1Y、A1Z内のMOSFETのオンオフ動作により高電圧側に送る駆動用インバータ回路として動作する。即ち、各セル回路A1X、A1Y、A1Zが駆動用インバータ回路として用いられる。
列回路Xでは、セル回路A1Xが、電圧端子VL−Vcom間に入力されるエネルギをMOSFET(M1LX、M1HX)のオンオフ動作により高電圧側に送る駆動用インバータ回路として動作し、回路A2が、セル回路A1Xで駆動された電流を整流しエネルギを高電圧側へ移行する整流回路として動作する。列回路Yでは、セル回路A1Yが、電圧端子VL−Vcom間に入力されるエネルギをMOSFET(M1LY、M1HY)のオンオフ動作により高電圧側に送る駆動用インバータ回路として動作し、回路A3が、セル回路A1Yで駆動された電流を整流しエネルギを高電圧側へ移行する整流回路として動作する。列回路Zでは、セル回路A1Zが電圧端子VL−Vcom間に入力されるエネルギをMOSFET(M1LZ、M1HZ)のオンオフ動作により高電圧側に送る駆動用インバータ回路として動作し、回路A4が、セル回路A1Zで駆動された電流を整流しエネルギを高電圧側へ移行する整流回路として動作する。
列回路Xのゲート信号(GHX、GLX)と、駆動用インバータ回路A1Xおよび整流回路A2内の低圧側MOSFET(M1LX、M2L)に流れる電流と高圧側MOSFET(M1HX、M2H)に流れる電流とを図2に示す。駆動用インバータ回路A1X内のMOSFETではドレインからソースに電流が流れ、整流回路A2内のMOSFETではソースからドレインに電流が流れる。MOSFETはゲート信号がハイ電圧でオンする。
図2に示すように、ゲート信号(GLX、GHX)は、LrとCrによるLC直列体LC12、LC13、LC14にて定まる共振周期Tを周期とし、デューティー約50%のオンオフ信号である。なお、列回路Y、Zのゲート信号(GLY、GHY)、(GLZ、GHZ)および各列回路Y、Z内のMOSFETを流れる電流も、図2と同様である。
上述したように、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力するため、電圧端子VH−Vcom間に負荷が接続され、電圧V2は4×V1よりも低い値となっている。定常状態では、平滑コンデンサCs1には電圧V1の電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
低圧側MOSFETへのゲート信号GLXによりセル回路A1Xおよび回路A2の低圧側MOSFETであるM1LX、M2Lがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs1に蓄えられた一部のエネルギが、
Cs1⇒M2L⇒Lr12⇒Cr12⇒M1LX
の経路でコンデンサCr12に移行する。
次いで、高圧側MOSFETへのゲート信号GHXによりセル回路A1Xおよび回路A2の高圧側MOSFETであるM1HX、M2Hがオン状態となると、電圧差があるため、コンデンサCr12に充電されたエネルギが、
Cr12⇒Lr12⇒M2H⇒Cs2⇒M1HX
の経路で平滑コンデンサCs2に移行する。
低圧側MOSFETへのゲート信号GLYによりセル回路A1Yおよび回路A3の低圧側MOSFETであるM1LY、M3Lがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs1、Cs2に蓄えられた一部のエネルギが、
Cs1⇒Cs2⇒M3L⇒Lr13⇒Cr13⇒M1LY
の経路でコンデンサCr13に移行する。
次いで、高圧側MOSFETへのゲート信号GHYによりセル回路A1Yおよび回路A3の高圧側MOSFETであるM1HY、M3Hがオン状態となると、電圧差があるため、コンデンサCr13に充電されたエネルギが、
Cr13⇒Lr13⇒M3H⇒Cs3⇒Cs2⇒M1HY
の経路で平滑コンデンサCs2、Cs3に移行する。
低圧側MOSFETへのゲート信号GLZによりセル回路A1Zおよび回路A4の低圧側MOSFETであるM1LZ、M4Lがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に蓄えられた一部のエネルギが、
Cs1⇒Cs2⇒Cs3⇒M4L⇒Lr14⇒Cr14⇒M1LZ
の経路でコンデンサCr14に移行する。
次いで、高圧側MOSFETへのゲート信号GHZによりセル回路A1Zおよび回路A4の高圧側MOSFETであるM1HZ、M4Hがオン状態となると、電圧差があるため、コンデンサCr14に充電されたエネルギが、
Cr14⇒Lr14⇒M4H⇒Cs4⇒Cs3⇒Cs2⇒M1HZ
の経路で平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4に移行する。
またこの実施の形態では、整流回路A2〜A4にMOSFETを用いたため、後述するダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率が向上できる。
図3に、各列回路X、Y、Z内の高圧側MOSFETを駆動するゲート信号GHX、GHY、GHZを示す。図2で示したように、このゲート信号GHX、GHY、GHZの反転信号が、低圧側MOSFETを駆動するGLX、GLY、GLZである。
図3に示すように、各列回路X、Y、Zを駆動する駆動信号は、周期をTとして一致させると共に、各列回路間で位相をT/3ずつずらして駆動している。これにより、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4の充放電タイミングがずれ、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に流れる電流が1周期内で分散して発生すると共に、充放電電流を列回路間で融通し合うため、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に流れる交流電流(リプル電流)が低減する。
次に、電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力する場合の動作について説明する。
この場合、各列回路X、Y、Z内の回路A2、A3、A4は駆動用インバータ回路として動作し、回路A1は、駆動用インバータ回路で駆動された電流を整流し、エネルギを低電圧側へ移行する整流回路として動作する。即ち、各セル回路A1X、A1Y、A1Zが整流回路として用いられる。
列回路Xでは、回路A2が駆動用インバータ回路として動作し、セル回路A1Xが整流回路として動作する。列回路Yでは、回路A3が駆動用インバータ回路として動作し、セル回路A1Yが整流回路として動作する。列回路Zでは、回路A4が駆動用インバータ回路として動作し、セル回路A1Zが整流回路として動作する。
列回路Xのゲート信号(GHX、GLX)と、駆動用インバータ回路A2および整流回路A1X内の低圧側MOSFET(M2L、M1LX)に流れる電流と高圧側MOSFET(M2H、M1HX)に流れる電流とを図4に示す。駆動用インバータ回路A2内のMOSFETではドレインからソースに電流が流れ、整流回路A1X内のMOSFETではソースからドレインに電流が流れる。MOSFETはゲート信号がハイ電圧でオンする。
図4に示すように、ゲート信号(GLX、GHX)は、LrとCrによるLC直列体LC12、LC13、LC14にて定まる共振周期Tを周期とし、デューティー約50%のオンオフ信号である。なお、列回路Y、Zのゲート信号(GLY、GHY)、(GLZ、GHZ)および各列回路Y、Z内のMOSFETを流れる電流も、図4と同様である。
電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力するため、電圧端子VL−Vcom間に負荷が接続され、電圧V2は4×V1よりも高い値となっている。定常状態では、平滑コンデンサCs1には電圧V1の電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
高圧側MOSFETへのゲート信号GHXによりセル回路A1Xおよび回路A2の高圧側MOSFETであるM1HX、M2Hがオン状態となると、電圧差があるため、コンデンサCs2に蓄えられた一部のエネルギが、
Cs2⇒M2H⇒Lr12⇒Cr12⇒M1HX
の経路でコンデンサCr12に移行する。
次いで、低圧側MOSFETへのゲート信号GLXによりセル回路A1Xおよび回路A2の低圧側MOSFETであるM1LX、M2Lがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCr12に充電されたエネルギが、
Cr12⇒Lr12⇒M2L⇒Cs1⇒M1LX
の経路で平滑コンデンサCs1に移行する。
高圧側MOSFETへのゲート信号GHYによりセル回路A1Yおよび回路A3の高圧側MOSFETであるM1HY、M3Hがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs2、Cs3に蓄えられた一部のエネルギが、
Cs2⇒Cs3⇒M3H⇒Lr13⇒Cr13⇒M1HY
の経路でコンデンサCr13に移行する。
次いで、低圧側MOSFETへのゲート信号GLYによりセル回路A1Yおよび回路A3の低圧側MOSFETであるM1LY、M3Lがオン状態となると、電圧差があるため、コンデンサCr13に充電されたエネルギが、
Cr13⇒Lr13⇒M3H⇒Cs2⇒Cs1⇒M1LY
の経路で平滑コンデンサCs1、Cs2に移行する。
高圧側MOSFETへのゲート信号GHZによりセル回路A1Zおよび回路A4の高圧側MOSFETであるM1HZ、M4Hがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4に蓄えられた一部のエネルギが、
Cs2⇒Cs3⇒Cs4⇒M4H⇒Lr14⇒Cr14⇒M1HZ
の経路でコンデンサCr14に移行する。
次いで、低圧側MOSFETへのゲート信号GLZによりセル回路A1Zおよび回路A4の低圧側MOSFETであるM1LZ、M4Lがオン状態となると、電圧差があるため、コンデンサCr14に充電されたエネルギが、
Cr14⇒Lr14⇒M4L⇒Cs3⇒Cs2⇒Cs1⇒M1LZ
の経路で平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に移行する。
また、整流回路A1内のセル回路A1X、A1Y、A1ZにMOSFETを用いたため、後述するダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率が向上できる。
平滑コンデンサの発熱が抑制され信頼性が向上する。また、電流低減により抵抗分による損失が低減し電力変換効率が向上する。また、平滑コンデンサに必要な容量を低下でき平滑コンデンサのサイズを小さくでき、装置構成の小型化を促進できる。
さらにまた、誘電損失は大きいがサイズが小さいセラミックコンデンサを平滑コンデンサに採用することが可能になり、平滑コンデンサのサイズをさらに小さくできる。
(構成の説明)
次に、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる機能の付加回路部分について説明する。
図1に示すように、DC/DC電力変換装置は、セル回路A1XのMOSFET(M1LX、M1HX)に対して故障検出回路131X、セル回路A1YのMOSFET(M1LY、M1HY)に対して故障検出回路131Y、セル回路A1ZのMOSFET(M1LZ、M1HZ)に対して故障検出回路131Zを備える。また、回路A2のMOSFET(M2L、M2H)に対して故障検出回路132とフォトカプラ142、回路A3のMOSFET(M3L、M3H)に対して故障検出回路133とフォトカプラ143、回路A4のMOSFET(M4L、M4H)に対して故障検出回路134とフォトカプラ144を備える。また、列回路Xに対応して論理回路OR1、列回路Yに対応して論理回路OR2、列回路Zに対応して論理回路OR3を備える。
また、平滑コンデンサの電圧端子間を短絡させる短絡回路として、平滑コンデンサCs2に対応して短絡回路152、平滑コンデンサCs3に対応して短絡回路153、平滑コンデンサCs4に対応して短絡回路154を備える。
故障検出回路131X、131Y、131Zには、電源電圧Vs1と、平滑コンデンサCs1の高電圧側端子(VL)および低電圧側端子(Vcom)とが接続されている。故障検出回路131Xには、セル回路A1XのM1LXとM1HXの接続点となる中間端子(VmX)が接続され、制御回路200から出力されるゲート信号GLXおよびGHXが入力されている。故障検出回路131Yには、セル回路A1YのM1LYとM1HYの接続点となる中間端子(VmY)が接続され、制御回路200から出力されるゲート信号GLYおよびGHYが入力されている。故障検出回路131Zには、セル回路A1ZのM1LZとM1HZの接続点となる中間端子(VmZ)が接続され、制御回路200から出力されるゲート信号GLZおよびGHZが入力されている。また、故障検出回路131X、131Y、131Zからは判定信号ASX、ASY、ASZが出力される。
また故障検出回路134には、電源電圧Vs4と、平滑コンデンサCs4の高電圧側端子(VH)および低電圧側端子(Vh3)と、回路A4のM4LとM4Hの接続点となる中間端子(Vm4)が接続され、フォトカプラ124L、124Hの出力信号であるゲート駆動信号GLZ*およびGHZ*が入力されている。故障検出回路134から出力された信号はフォトカプラ144を介して判定信号AS4として出力される。フォトカプラ144には電源Vs1の正負電圧端子が接続され、判定信号を、平滑コンデンサCs4の低電圧側端子の電圧基準の信号から電圧端子Vcomの電圧基準の信号AS4に変換する。
図5(a)〜図5(c)、図6(a)〜図6(c)に、故障検出回路134〜132、131X〜131Zの回路構成について示す。各故障検出回路134〜132、131X〜131Zは、入出力電圧や信号が異なるが回路構成は同様であるので、図5(a)に示す故障検出回路134の構成のみをここでは説明する。なお、故障検出回路134は、回路A4のMOSFET直列体(M4L、M4H)に対して故障検出を行うものである。
平滑コンデンサCs4の高電圧側端子VHは抵抗により分圧されて、差動増幅回路OP14のプラス端子に接続され、MOSFET直列体の中間端子Vm4は抵抗により分圧されて、OP14のマイナス端子に接続される。差動増幅回路OP14の出力は比較回路CP14のプラス端子に、電源Vs4の電圧から形成される基準電圧はCP14のマイナス端子に接続される。比較回路CP14の出力は論理回路AND14の一方に入力され、ゲート駆動信号GHZ*はAND14の他方に入力される。
図中、各回路を駆動するための電源や差動増幅回路の入出力やフィードバックの抵抗等は省略されている。
短絡回路154は、第1のスイッチ素子としてのMOSFETであるM4Bと抵抗RM4との直列体と、第2のスイッチ素子としてのMOSFETであるM4Aとの並列回路を平滑コンデンサCs4の端子間に接続する。接続の詳細を説明すると、M4Bのソース端子、コンデンサCG4の一方の端子、ゲート駆動回路DR4の電源端子の一方、フォトカプラFC4の電源端子の一方は、平滑コンデンサCs4の低電圧側端子に接続される。M4Aのドレイン端子は直接、M4Bのドレイン端子は抵抗RM4を介して、平滑コンデンサCs4の高電圧側端子に接続される。M4Aのゲート端子は、コンデンサCG4の他方の端子と抵抗RG4の一方の端子と接続され、抵抗RG4の他方の端子とM4Bのゲート端子は、ゲート駆動回路DR4の出力端子に接続される。ゲート駆動回路DR4の入力端子とフォトカプラFC4の出力端子は接続され、フォトカプラFC4の入力端子には短絡用ゲート信号G4が入力される。ゲート駆動回路DR4、フォトカプラFC4には、電源Vs4からの電圧が入力される。
次に、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる付加回路部分の動作について説明する。ここでは、セル回路A1Z、回路A4およびLC直列体LC14で構成される列回路Zを例にして動作について説明する。
故障検出回路131Zは、セル回路A1Z内の各MOSFET(M1LZ、M1HZ)のソース端子を基準として、オン動作時のドレイン−ソース間の電圧を検出し、設定した基準電圧を超えたら故障と判断し、ハイ電圧を論理回路OR3へ出力する。また、故障検出回路134は、回路A4内の各MOSFET(M4L、M4H)のソース端子を基準として、オン動作時のドレイン−ソース間電圧を検出し、設定した基準電圧を超えたら故障と判断し、ハイ電圧を論理回路OR3へ出力する。
ゲート信号GLZがロウ電圧でM1LZがオフ動作時には、AND2Z回路を介して信号を出力する構成であるため、故障の検出は行なわない。通常の動作でM1LZがオフ動作のとき、ドレイン−ソース間電圧は、基準電圧値を超えてしまうので、それによる誤動作を防止している。
また、列回路YやXについても、上記列回路Zと同様に、故障を検出することができる。
故障した列回路のMOSFETをオフ状態とした後、制御回路200は、故障した列回路内の第2の回路(A2〜A4)に対応する短絡回路のMOSFETをオン動作させるため、通常ロウ電圧状態の短絡用ゲート信号をハイ電圧にする。例えば、列回路Zが故障すると、回路A4に対応する短絡回路154への短絡用ゲート信号G4がロウ電圧からハイ電圧となり、短絡回路154内のMOSFET(M4B、M4A)がオン動作する。このとき、短絡用ゲート信号G4により、M4Bが始めにオンし、M4Aはゲート端子に抵抗RG4とコンデンサCG4があるため、M4Bに比べて遅れてオンする。始めにM4Bがオンすることにより、平滑コンデンサCs4のエネルギを抵抗RM4を介して、電流を抑制しながら放電し、その後M4Aがオンすることにより、平滑コンデンサCs4の端子間を短絡する。
そして、故障検出回路がm個の列回路のうちk個の列回路について故障を検出すると、該k個の列回路を停止させ、残りの(m−k)個の列回路を駆動する各ゲート信号を、列回路毎に位相を2π/(m−k)ずつずらすように変更することで、故障した列回路を除いて動作させる場合も、平滑コンデンサに流れるリプル電流を効果的に低減できる。
DC/DC電力変換装置を昇圧動作のみで使用する場合、DC/DC電力変換装置内の整流回路として動作する回路A2〜A4内のMOSFETをダイオードに置き換えてもよい。その場合、MOSFETで構成されたものよりも電流導通時の損失が大きくなるが、整流回路を駆動するために設けられたゲート駆動回路112〜114やフォトカプラ122L〜124L、122H〜124H、電源Vs2〜Vs4が不要になり装置構成が簡略となるメリットがある。
また、DC/DC電力変換装置を降圧動作のみで使用する場合、DC/DC電力変換装置内の整流回路として動作するセル回路A1X〜A1ZのMOSFETをダイオードに置き換えてもよい。その場合、MOSFETで構成されたものよりも電流導通時の損失が大きくなるが、整流回路を駆動するために設けられたゲート駆動回路111X〜111Zが不要になり装置構成が簡略となるメリットがある。
また、DC/DC電力変換装置を構成する複数段の回路をA1、A2の2段で構成して列回路Xのみの構成としても良く、その場合、故障検出により平滑コンデンサCs2の正負端子間が短絡され、電圧端子VH−Vcom間の電圧V2は電圧端子VL−Vcom間の電圧V1に等しくなる。
上記実施の形態1によるDC/DC電力変換装置を用いたシステムの例を説明する。図8は、この発明によるDC/DC電力変換装置を用いたハイブリッド自動車の電気駆動システムの概略構成を示す図である。
DC/DC電力変換装置100の低電圧側端子VL−Vcom間にバッテリ300が接続され、高電圧側端子VH−Vcom間にはインバータ400のDC電圧端子(直流側電圧端子)が接続されている。インバータ400のAC電圧端子(交流側電圧端子)にはモータ500が接続され、モータ500は自動車の車輪の軸(図示せず)とエンジン600の回転軸に接続されている。DC/DC電力変換装置100からのARM信号は、インバータに入力されている。
次に、この発明の実施の形態3によるDC/DC電力変換装置について説明する。
図9はこの発明の実施の形態3によるDC/DC電力変換装置の回路構成を示すものである。このDC/DC電力変換装置は、直流から直流へ電力変換する機能の電力変換回路部分と、故障検出回路、短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる機能の付加回路部分とを有する。
(構成の説明)
まず、直流から直流へ電力変換する機能の電力変換回路部分の説明を行なう。
図9に示すように、DC/DC電力変換装置は、第1の回路としての回路A1、および複数(この場合3個)の第2の回路としての回路A2〜A4から成る複数段(この場合4段)の回路A1〜A4で構成される。また駆動用電源Vs1、Vs2、Vs3、Vs4と、入出力電圧を平滑化しエネルギ移行のための電圧源としても機能する平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4と、制御回路200と、入出力電圧端子Vcom、VL、VHとを備える。そして、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力したり、電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力する機能を有する。
回路A1は、低圧側素子、高圧側素子としての2つのMOSFET(M1L、M1H)を直列接続した回路を平滑コンデンサCs1の両端子間に接続して構成される。回路A2〜A4は実施の形態1と同様である。そして、回路A1および回路A2、A3、A4内の2つのMOSFETの接続点を中間端子として、回路A1と回路A2との中間端子間に、LC直列体LC12と遮断用スイッチとしての遮断用MOSFET(M12)の直列体を接続する。同様に、回路A1と回路A3との中間端子間にLC直列体LC13と遮断用スイッチとしての遮断用MOSFET(M13)の直列体を接続し、回路A1とA4との中間端子間にLC直列体LC14と遮断用スイッチとしての遮断用MOSFET(M14)の直列体を接続する。上記実施の形態1と同様に、各LC直列体はインダクタLrとエネルギ移行用のコンデンサCrとの直列体で、各段のインダクタLrとコンデンサCrのインダクタンス値と容量値から定まる共振周期の値は、それぞれ等しくなるように設定されている。
M1Lのソース端子は電圧端子Vcomに、ドレイン端子はM1Hのソース端子に、M1Hのドレイン端子は電圧端子VLに接続されている。LC直列体LC12の一端は、M2LとM2Hの接続点に接続され、他端はM12のドレイン端子に接続されている。LC直列体LC13の一端は、M3LとM3Hの接続点に接続され、他端はM13のドレイン端子に接続されている。LC直列体LC14の一端は、M4LとM4Hの接続点に接続され、他端はM14のドレイン端子に接続されている。そして、M12、M13、M14のソース端子は、M1LとM1Hの接続点に接続されている。
次に、上記のように構成される電力変換回路部分の動作について説明する。
まず、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力する場合について説明する。
第1の回路である回路A1は、電圧端子VL−Vcom間に入力されるエネルギを、回路A1内のMOSFETのオンオフ動作により高電圧側に送る駆動用インバータ回路として動作する。このとき、M12、M13、M14は常時オン状態となっている。回路A2〜A4は、回路A1で駆動された電流を整流し、エネルギを高電圧側へ移行する整流回路として動作する。
上述したように、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力するため、電圧端子VH−Vcom間に負荷が接続され、電圧V2は4×V1よりも低い値となっている。定常状態では、平滑コンデンサCs1には電圧V1の電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
動作中における回路内部のエネルギの流れは、上記実施の形態1のM1LX〜M1LZをM1Lに、M1HX〜M1HZをM1Hに置き換えたものと同じである。
またこの実施の形態では、整流回路A2〜A4にMOSFETを用いたため、後述するダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率が向上できる。
次に、電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力する場合の動作について説明する。
この場合、回路A2、A3、A4は駆動用インバータ回路として動作し、回路A1は、駆動用インバータ回路で駆動された電流を整流し、エネルギを低電圧側へ移行する整流回路として動作する。このとき、M12、M13、M14は常時オン状態となっている。
制御回路200からゲート信号(GL、GH)が出力され、これらのゲート信号により各回路A1〜A4内のMOSFETが駆動される。各MOSFETに流れる電流の方向や形状は、図4に示した上記実施の形態1のものと同様であるが、MOSFET(M1L、M1H)に流れる電流の大きさは、(M2L、M2H)〜(M4L、M4H)に流れる電流の3倍の大きさとなる。ゲート信号(GL、GH)は、同様にLrとCrによるLC直列体LC12、LC13、LC14にて定まる共振周期Tを周期とし、デューティー約50%のオンオフ信号である。
電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力するため、電圧端子VL−Vcom間に負荷が接続され、電圧V2は4×V1よりも高い値となっている。定常状態では、平滑コンデンサCs1には電圧V1の電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
動作中における回路内部のエネルギの流れは、上記実施の形態1のM1LX〜M1LZをM1Lに、M1HX〜M1HZをM1Hに置き換えたものと同じである。
また、整流回路A1内にMOSFETを用いたため、後述するダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率が向上できる。
(構成の説明)
次に、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる機能の付加回路部分について説明する。
図9に示すように、DC/DC電力変換装置は、回路A2のMOSFET(M2L、M2H)に対して故障検出回路132Aとフォトカプラ142、回路A3のMOSFET(M3L、M3H)に対して故障検出回路133Aとフォトカプラ143、回路A4のMOSFET(M4L、M4H)に対して故障検出回路134Aとフォトカプラ144を備える。
また、平滑コンデンサの電圧端子間を短絡させる短絡回路として、平滑コンデンサCs2に対応して短絡回路152、平滑コンデンサCs3に対応して短絡回路153、平滑コンデンサCs4に対応して短絡回路154を備える。
故障検出回路132A〜134A、フォトカプラ142〜144と、制御回路200や電力変換回路部分との接続は、上記実施の形態1において、故障検出回路132、133、134を132A、133A、134Aに置き換えたものと同様である。故障検出回路132A〜134Aからフォトカプラ142〜144を介して出力される判定信号AS2、AS3、AS4は、この実施の形態では、各回路A2、A3、A4の故障検出信号として制御回路200に直接入力される。
短絡回路152〜154と、制御回路200や電力変換回路部分との接続は、上記実施の形態1と同様である。
図10(a)〜図10(c)に故障検出回路134A〜132Aの回路構成について示す。各故障検出回路132A〜134Aは、入出力電圧や信号が異なるが回路構成は同様であるので、図10(a)に示す故障検出回路134Aの構成のみをここでは説明する。なお、故障検出回路134Aは、回路A4のMOSFET直列体(M4L、M4H)に対して故障検出を行うものである。
平滑コンデンサCs4の高電圧側端子VHは抵抗により分圧されて、差動増幅回路OP14のプラス端子と差動増幅回路OP24のマイナス端子に接続され、MOSFET直列体の中間端子Vm4は抵抗により分圧されて、OP14のマイナス端子とOP24のプラス端子と差動増幅回路OP34のマイナス端子に接続される。平滑コンデンサCs3の高圧側電圧の電圧Vh3は、OP34のプラス端子に接続されている。
また、MOSFET直列体の中間端子Vm4は抵抗により分圧されて、比較回路CP24のプラス端子にも接続され、上記基準電圧はCP24のマイナス端子に接続される。比較回路CP24の出力は論理回路AND24の一方に入力され、フォトカプラ124Lを介したゲート信号GLZ*はAND24の他方に入力される。論理回路AND14、AND24の出力は論理回路OR14に入力され、OR14の出力は論理回路OR34に入力される。
また、差動増幅回路OP34の出力は比較回路CP44のプラス端子に、上記基準電圧はCP44のマイナス端子に接続される。比較回路CP44の出力は論理回路AND44の一方に入力され、フォトカプラ124Lを介したゲート信号GLZ*はAND44の他方に入力される。論理回路AND34、AND44の出力は論理回路OR24に入力され、OR24の出力の出力論理回路OR34に入力される。
論理回路OR34の出力は、フォトカプラ144を介して判定信号(故障検出信号)AS4として制御回路200に入力される。
ここでも、図中、各回路を駆動するための電源や差動増幅回路の入出力やフィードバックの抵抗等は省略されている。
次に、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる付加回路部分の動作について説明する。ここでは、回路A4を例にして動作について説明する。
故障検出回路134Aは、回路A4内の各MOSFET(M4L、M4H)のドレインからソースに流れる電流に対する過電流を、差動増幅回路OP14、比較回路CP14、CP24、論理回路AND14、AND24、OR14にて検出し、各MOSFET(M4L、M4H)のソースからドレインに流れる電流に対する過電流を、差動増幅回路OP24、OP34、比較回路CP34、CP44、論理回路AND34、AND44、OR24にて検出する。
また、コンデンサCr14の短絡故障では、昇圧動作時にM4Lのソースからドレインへの電流が増加する。そのとき、M4Lのドレインを基準としたソースの電圧は大きくなり、その電圧が設定されている基準電圧よりも大きくなると、比較回路CP44の出力はハイ電圧となり、上記と同様に故障検出信号となる判定信号AS4が制御回路200に入力されて故障が検出できる。
そして、制御回路200からの遮断用ゲート信号G12〜G14により、M12〜M14のうち故障した回路A2〜A4の中間端子に接続される遮断用MOSFETをオフ状態とする。その後、故障した回路A2〜A4に対応する短絡回路152〜154内のMOSFETをオン動作させるため、通常ロウ電圧状態の短絡用ゲート信号G2〜G4をハイ電圧にする。
例えば、回路A4が故障したとすると、上記実施の形態1と同様に、短絡用ゲート信号G4がロウ電圧からハイ電圧となり、短絡回路154内のMOSFET(M4B、M4A)がオン動作する。このとき、短絡用ゲート信号G4により、M4Bが始めにオンし、M4Aはゲート端子に抵抗RG4とコンデンサCG4があるため、M4Bに比べて遅れてオンする。始めにM4Bがオンすることにより、平滑コンデンサCs4のエネルギを抵抗RM4を介して、電流を抑制しながら放電し、その後M4Aがオンすることにより、平滑コンデンサCs4の端子間を短絡する。
DC/DC電力変換装置を昇圧動作のみで使用する場合、DC/DC電力変換装置内の整流回路として動作する第2の回路A2〜A4内のMOSFETをダイオードに置き換えてもよい。その場合、MOSFETで構成されたものよりも電流導通時の損失が大きくなるが、整流回路を駆動するために設けられたゲート駆動回路112〜114やフォトカプラ122L〜124L、122H〜124H、電源Vs2〜Vs4が不要になり装置構成が簡略となるメリットがある。
また、DC/DC電力変換装置を降圧動作のみで使用する場合、DC/DC電力変換装置内の整流回路として動作する第1の回路A1のMOSFETをダイオードに置き換えてもよい。その場合、MOSFETで構成されたものよりも電流導通時の損失が大きくなるが、整流回路を駆動するために設けられたゲート駆動回路111が不要になり装置構成が簡略となるメリットがある。
また、この実施の形態では、V1とV2の電圧比が4の場合について示したが、これに限るものではなく、回路A1〜A4の直列数を増減することにより様々な電圧比の電力変換が可能となる。
次に、この発明の実施の形態4によるDC/DC電力変換装置について説明する。
図11はこの発明の実施の形態4によるDC/DC電力変換装置の回路構成を示すものである。このDC/DC電力変換装置は、直流から直流へ電力変換する機能の電力変換回路部分と、故障検出回路、短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる機能の付加回路部分とを有する。
(構成の説明)
まず、直流から直流へ電力変換する機能の電力変換回路部分の説明を行なう。
図11に示すように、DC/DC電力変換装置は、上記実施の形態3と同様に、第1の回路としての回路A1と、複数(この場合3個)の第2の回路としての回路A2〜A4から成る複数段(この場合4段)の回路A1〜A4で構成される。また駆動用電源Vs1、Vs2、Vs3、Vs4と、入出力電圧を平滑化しエネルギ移行のための電圧源としても機能する平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4と、制御回路200と、入出力電圧端子Vcom、VL、VHとを備える。そして、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力したり、電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力する機能を有する。
回路A1および回路A2、A3、A4内の2つのMOSFETの接続点を中間端子として、回路A1と回路A2との中間端子間にLC直列体LC12を、回路A2と回路A3との中間端子間にLC直列体LC23を、回路A3と回路A4との中間端子間にLC直列体LC34を配置する。そして、LC12とLC23との接続点と回路A2の中間端子間を遮断用スイッチ回路S12を介して接続し、LC23とLC34との接続点と回路A3の中間端子間を遮断用スイッチ回路S23を介して接続し、LC34の他方の端子、即ちLC23との接続とは逆側の端子と回路A4の中間端子間を遮断用スイッチ回路S34を介して接続する。
遮断用スイッチ回路S12、S23、S34は、制御回路200から出力される遮断用ゲート信号G12、G23、G34により、そのオンオフ動作が制御される。
図12(a)〜図12(c)に遮断用スイッチ回路S34、S23、S12の回路構成について示す。各遮断用スイッチ回路S12、S23、S34は回路構成は同様であるので、図12(a)に示す遮断用スイッチ回路S34の構成のみをここでは説明する。
遮断用スイッチ回路S34は、2つのMOSFET(M34R、M34L)と、ゲート駆動回路114Aと、フォトカプラ124Aと、MOSFETやゲート駆動回路やフォトカプラを駆動するための駆動電源Vs34から構成される。M34RのソースとM34Lのソースは接続され、M34RとM34Lのドレインは外部(この場合回路A4の中間端子とLC直列体LC34の端子)と接続される。M34RとM34Lのゲートにはゲート駆動回路114Aの出力が接続され、ゲート駆動回路114Aの入力にはフォトカプラ124Aの出力が接続され、フォトカプラ124Aの入力には遮断用ゲート信号G34が入力される。
次に、上記のように構成される電力変換回路部分の動作について説明する。
まず、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力する場合について説明する。
第1の回路である回路A1は、電圧端子VL−Vcom間に入力されるエネルギを、回路A1内のMOSFETのオンオフ動作により高電圧側に送る駆動用インバータ回路として動作する。回路A2〜A4は、回路A1で駆動された電流を整流し、エネルギを高電圧側へ移行する整流回路として動作する。このとき、遮断用スイッチ回路S12、S23、S34は常時オン状態となっている。
上述したように、電圧端子VL−Vcom間に入力された電圧V1を、約4倍に昇圧された電圧V2にして電圧端子VH−Vcom間に出力するため、電圧端子VH−Vcom間に負荷が接続され、電圧V2は4×V1よりも低い値となっている。定常状態では、平滑コンデンサCs1には電圧V1の電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
低圧側MOSFETへのゲート信号GLにより各回路A1〜A4の低圧側MOSFETであるM1L、M2L、M3L、M4Lがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に蓄えられた一部のエネルギが、以下に示す経路でコンデンサCr12、Cr23、Cr34に移行する。
Cs1⇒M2L⇒Lr12⇒Cr12⇒M1L
Cs1⇒Cs2⇒M3L⇒Lr23⇒Cr23⇒Lr12⇒Cr12⇒M1L
Cs1⇒Cs2⇒Cs3⇒M4L⇒Lr34⇒Cr34⇒Lr23⇒Cr23⇒Lr12⇒Cr12⇒M1L
M1H⇒Cr12⇒Lr12⇒M2H⇒Cs2
M1H⇒Cr12⇒Lr12⇒Cr23⇒Lr23⇒M3H⇒Cs3⇒Cs2
M1H⇒Cr12⇒Lr12⇒Cr23⇒Lr23⇒Cr34⇒Lr34⇒M4H⇒Cs4⇒Cs3⇒Cs2
またこの実施の形態では、整流回路A2〜A4にMOSFETを用いたため、後述するダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率が向上できる。
次に、電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力する場合の動作について説明する。
この場合、回路A4は駆動用インバータ回路として動作し、回路A1は、駆動用インバータ回路で駆動された電流を整流し、エネルギを低電圧側へ移行する整流回路として動作し、回路A2、A3は、駆動用インバータ回路と整流回路との双方の役割を担う。このとき、遮断用スイッチ回路S12、S23、S34は常時オン状態となっている。
電圧端子VH−Vcom間に入力された電圧V2を、約1/4倍に降圧された電圧V1にして電圧端子VL−Vcom間に出力するため、電圧端子VL−Vcom間に負荷が接続され、電圧V2は4×V1よりも高い値となっている。定常状態では、平滑コンデンサCs1には電圧V1の電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
高圧側MOSFETへのゲート信号GHにより各回路A2〜A4、A1の高圧側MOSFETであるM2H、M3H、M4H、M1Hがオン状態となると、電圧差があるため、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4に蓄えられた一部のエネルギが、以下に示す経路でコンデンサCr12、Cr23、Cr34に移行する。
Cs2⇒Cs3⇒Cs4⇒M4H⇒Lr34⇒Cr34⇒Lr23⇒Cr23⇒Lr12⇒Cr12⇒M1H
Cs2⇒Cs3⇒M3H⇒Lr23⇒Cr23⇒Lr12⇒Cr12⇒M1H
Cs2⇒M2H⇒Lr12⇒Cr12⇒M1H
Cr12⇒Lr12⇒Cr23⇒Lr23⇒Cr34⇒Lr34⇒M4L⇒Cs3⇒Cs2⇒Cs1⇒M1L
Cr12⇒Lr12⇒Cr23⇒Lr23⇒M3L⇒Cs2⇒Cs1⇒M1L
Cr12⇒Lr12⇒M2L⇒Cs1⇒M1L
この実施の形態でも、整流回路に用いる回路A1にMOSFETを用いたため、ダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率が向上できる。
なお、この実施の形態4においても、上記実施の形態1とは異なり、昇圧や降圧動作時、複数の回路間で位相をずらして動作させるものではなく、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に流れるリプル電流を低減するものではない。
(構成の説明)
次に、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる機能の付加回路部分について説明する。
故障検出回路132A、133A、134Aの構成および接続は、上記実施の形態3と同様(図10参照)である。また、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4の電圧端子間を短絡させる短絡回路152、153、154の構成および接続も、上記実施の形態1、3と同様(図7参照)である。
次に、故障検出回路および短絡回路を備えて異常時に動作を継続させる付加回路部分の動作について説明する。
故障検出回路132A〜134Aの動作は上記実施の形態3と同様である。故障検出回路132A〜134Aにより故障が検出されると、各回路A2〜A4に対応した故障検出信号(判定信号)AS2〜AS4がハイ電圧となる。この故障検出信号は制御回路200に入力され、制御回路200は、どの回路A2〜A4に故障が発生したかを認識する。
そして、制御回路200からの遮断用ゲート信号G12、G23、G34により、故障した回路A2〜A4の中間端子に接続される遮断用スイッチ回路S12、S23、S34をオフ状態とする。その後、故障した回路A2〜A4に対応する短絡回路152〜154内のMOSFETをオン動作させるため、通常ロウ電圧状態の短絡用ゲート信号G2〜G4をハイ電圧にする。短絡回路152〜154の動作は、上記実施の形態1、3と同様である。
この実施の形態では、各MOSFETの各端子間電圧を検出することにより、各MOSFETに流れる電流を検出したが、電流センサを配置して、各MOSFETに流れる電流やLC直列体に流れる電流を検出し故障を判別しても良い。
DC/DC電力変換装置を昇圧動作のみで使用する場合、DC/DC電力変換装置内の整流回路として動作する第2の回路A2〜A4内のMOSFETをダイオードに置き換えてもよい。その場合、MOSFETで構成されたものよりも電流導通時の損失が大きくなるが、整流回路を駆動するために設けられたゲート駆動回路112〜114やフォトカプラ122L〜124L、122H〜124H、電源Vs2〜Vs4が不要になり装置構成が簡略となるメリットがある。
また、DC/DC電力変換装置を降圧動作のみで使用する場合、DC/DC電力変換装置内の整流回路として動作する第1の回路A1のMOSFETをダイオードに置き換えてもよい。その場合、MOSFETで構成されたものよりも電流導通時の損失が大きくなるが、整流回路を駆動するために設けられたゲート駆動回路111が不要になり装置構成が簡略となるメリットがある。
また、この実施の形態では、V1とV2の電圧比が4の場合について示したが、これに限るものではなく、回路A1〜A4の直列数を増減することにより様々な電圧比の電力変換が可能となる。
また、上記実施の形態3、4において、遮断用スイッチM12〜M14、S12、S23、S34にはMOSFETを用いたが、IGBT等、他の半導体スイッチング素子でも良く、また機械式スイッチを用いても良い。
A2〜A4 第2の回路(整流回路/駆動用インバータ回路)、
A1X,A1Y,A1Z セル回路、
Cr12,Cr13,Cr14,Cr23,Cr34 エネルギ移行用のコンデンサ、
Cs1〜Cs4 平滑コンデンサ、G2〜G4 短絡用ゲート信号、
G12〜G14,G12,G23,G34 遮断用ゲート信号、GL,GH ゲート信号、
GLX,GHX 列回路X用ゲート信号、GLY,GHY 列回路Y用ゲート信号、
GLZ,GHZ 列回路Z用ゲート信号、T 駆動周期(共振周期)、
Lr12,Lr13,Lr14,Lr23,Lr34 インダクタ、
LC12,LC13,LC14,LC23,LC34 LC直列体、
M2L〜M4L,M1LX,M1LY,M1LZ 低圧側MOSFET、
M2H〜M4H,M1HX,M1HY,M1HZ 高圧側MOSFET、
M12〜M14 遮断用スイッチとしてのMOSFET、
M2B〜M4B 第1のスイッチ素子(MOSFET)、
M2A〜M4A 第2のスイッチ素子(MOSFET)、RM2〜RM4 抵抗、
S12,S23,S34 遮断用スイッチ回路、T 駆動周期(共振周期)、
X,Y,Z 列回路、VL,VH,Vcom 電圧端子、100 DC/DC電力変換装置、
131X〜131Z,132〜134,132A〜134A 故障検出回路、152〜154 短絡回路、
200 制御回路。
Claims (18)
- 半導体スイッチング素子から成る高圧側素子および低圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る駆動用インバータ回路と、半導体スイッチング素子あるいはダイオード素子から成る高圧側素子および低圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る整流回路とによる複数の回路を直列接続して備え、
上記複数の回路の内、所定の1回路を第1の回路、他の各回路を第2の回路として、上記第1の回路を、上記高圧側素子および低圧側素子を直列接続したセル回路をm個並列接続して上記平滑コンデンサの正負端子間に接続して構成すると共に、これら各回路の上記高圧側素子と上記低圧側素子との接続点を中間端子として、上記各セル回路と上記各第2の回路との間となる上記中間端子間にエネルギ移行用コンデンサを備えて、上記セル回路、上記第2の回路および上記エネルギ移行用コンデンサをそれぞれ有するm個の列回路を構成し、
上記各列回路毎の故障を検出する故障検出回路と、
上記各第2の回路の上記平滑コンデンサの正負端子間を短絡する短絡回路とを備えたことを特徴とするDC/DC電力変換装置。 - 該装置の動作中に上記故障検出回路にて上記列回路の故障を検出すると、該故障検出された列回路を停止すると共に、該列回路内の第2の回路の上記平滑コンデンサの正負端子間を、上記短絡回路により短絡することを特徴とする請求項1に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記各列回路を駆動するゲート信号は、駆動周期を一致させると共に列回路毎に位相をずらすことを特徴とする請求項1または2に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記m個の列回路を駆動する各ゲート信号の位相は、それぞれ2π/mずつ異なることを特徴とする請求項3に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記m個の列回路を駆動する各ゲート信号は、駆動周期を一致させると共に列回路毎に位相が2π/mずつ異なるものであり、上記故障検出回路が上記m個の列回路のうちk個の列回路について故障を検出すると、該k個の列回路を停止させ、残りの(m−k)個の列回路を駆動する各ゲート信号を、列回路毎に位相を2π/(m−k)ずつずらすように変更することを特徴とする請求項2に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記故障検出により停止した列回路の数に応じて、最大出力電力量を低下させることを特徴とする請求項2または5に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記故障検出回路は、上記各列回路内の上記セル回路、上記第2の回路を構成する上記高圧側素子および上記低圧側素子の各端子間電圧を検出することで、該各列回路の故障検出を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 半導体スイッチング素子から成る高圧側素子および低圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る駆動用インバータ回路と、半導体スイッチング素子あるいはダイオード素子から成る高圧側素子および低圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る整流回路とによる複数の回路を直列に接続すると共に、上記各回路内の上記高圧側素子と上記低圧側素子との接続点を中間端子として、上記回路間となる上記中間端子間にエネルギ移行用コンデンサと遮断用スイッチとを配し、
上記複数の回路の内、所定の1回路を第1の回路、他の各回路を第2の回路として、
上記各第2の回路毎の故障を検出する故障検出回路と、
上記各第2の回路の上記平滑コンデンサの正負端子間を短絡する短絡回路とを備えたことを特徴とするDC/DC電力変換装置。 - 該装置の動作中に上記故障検出回路にて上記第2の回路の故障を検出すると、該第2の回路の中間端子に接続される上記遮断用スイッチをオフし、該第2の回路の上記平滑コンデンサの正負端子間を、上記短絡回路により短絡することを特徴とする請求項8に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記故障検出された上記第2の回路の数に応じて、最大出力電力量を低下させることを特徴とする請求項9に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記エネルギ移行用コンデンサと上記遮断用スイッチとを直列接続して、上記各第2の回路と上記第1の回路との間となる上記中間端子間にそれぞれ接続したことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記各エネルギ移行用コンデンサは、直列接続された上記複数の回路の内、隣接する各回路の上記中間端子間にそれぞれ接続され、該各エネルギ移行用コンデンサを互いに接続する接続線と上記各第2の回路の中間端子との間に上記各遮断用スイッチを接続したことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記故障検出回路は、上記各第2の回路を構成する上記高圧側素子および上記低圧側素子の各端子間電圧を検出することで、該各第2の回路の故障検出を行うことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記第1の回路の上記平滑コンデンサの正負端子に入出力用の電圧端子を接続することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記平滑コンデンサの正負端子間を短絡する短絡回路は、第1のスイッチ素子および抵抗の直列体と第2のスイッチ素子との並列回路を該平滑コンデンサの正負端子間に接続して構成し、上記第1のスイッチ素子をオンして上記平滑コンデンサを上記抵抗を介して放電させた後、上記第2のスイッチ素子をオンして上記平滑コンデンサの正負端子間を短絡することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記エネルギ移行用コンデンサと直列にインダクタを配置したことを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記エネルギ移行用コンデンサと上記インダクタとから成り上記回路間に配される複数の直列体は、コンデンサ容量とインダクタンスとで決まる共振周期がそれぞれ等しいことを特徴とする請求項16に記載のDC/DC電力変換装置。
- 上記各半導体スイッチング素子は、ソース・ドレイン間に寄生ダイオードを有するパワーMOSFET、あるいはダイオードを逆並列に接続した半導体スイッチング素子であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のDC/DC電力変換装置。
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