JP4674782B2 - 脱臭処理方法とその脱臭処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は脱臭処理方法と脱臭処理装置に関し、詳しくは、下水、生ゴミ等から発生して悪臭をもたらす臭気成分の脱臭処理方法と脱臭処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水、生ゴミ、し尿、畜産排水処理場などから発生する悪臭ガスは、不快感を与えるなど環境に対して悪影響をもたらすことから、その確実な脱臭処理が求められている。このような悪臭ガスをもたらす成分には、アンモニア、トリメチルアミン等の窒素酸化物、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄酸化物、アセトアルデヒド、プロピオン酸などの酸素化合物、など多様な化学物質が含まれている。
【0003】
従来、これらの悪臭物質は次のような方法で処理されている。すなわち、(1)薬液洗浄法、(2)吸着法、(3)直接燃焼法、(4)触媒燃焼法、(5)化学反応法などの物理・化学的方法、(6)土壌脱臭法、(7)活性汚泥法、(8)固定化微生物法のように微生物を利用する方法などである。
【0004】
悪臭を発生する物質の最適処理方法は、その性状、化学組成、量などによって上記処理方法から適宜選択されるが、悪臭物質が水に可溶で、アンモニアのような窒素化合物、硫化水素のような硫黄化合物を多く含み、かつ濃度が高い場合には、化学薬品を用いて処理する(1)の方法が適しているとされる。例えば、被処理物中にアンモニアが含まれている場合、次亜塩素酸ナトリウムによって酸化し、窒素ガスに変換する方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記薬液洗浄法では被処理液中にNH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 等のクロロアミン類が残留し、アンモニア性窒素を完全かつ確実に除去することはできない。被処理液中のクロロアミン類の分解を促進するため、紫外線や遠赤外線を照射する方法も提案されているが、未だ効果的な方法とはなっていない。殊に、悪臭物質を含む廃液が着色していたり、低沸点揮発性物質を含んでいるような場合には、有効な方法とはいえない。
【0006】
他方、吸着法は吸着剤の再生時に悪臭成分が排出されるという問題があり、又、窒素化合物、硫黄化合物を高濃度に含んでいる廃液を燃焼する場合は、有害ガスが発生してその処理にも多大の設備を必要とする。紫外線や遠赤外線を照射する方法も、クロロアミン類を分解するものの、被処理液が着色されていると、光の透過性が低下するため、確実な脱臭処理方法にはならない。固定化微生物法も、処理速度が遅いことに加えて、微生物の活動を維持するための温度、湿度、栄養源の適度な供給など設備コストと処理コストが高くなる。結局、悪臭を放つ臭気成分を、効果的かつ多大な処理コストをかけることなく経済的に確実に脱臭処理する方法は、未確立といえる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、下水、生ゴミ、し尿、畜産排水物などから発生する悪臭を放つ臭気成分を効果的、かつ経済的に確実に脱臭処理する方法とその装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る脱臭処理方法の特徴構成は、遷移金属触媒とアルカリ物質の存在下において、臭気成分を含む被処理物に次亜塩素酸ナトリウムを加えることにより前記臭気成分を分解することにある。
【0009】
次亜塩素酸ナトリウムは、酸性、中性の条件下では、Cl2 ,HOCl等の活性塩素種を含み、強い塩素臭を発散する。しかし、アルカリ性条件(pH>12)下では、次亜塩素酸ナトリウムはNaOClとして存在し、安定であり、塩素臭を発することはない。従って、次亜塩素酸ナトリウムの取り扱いは、アルカリ性条件下で行うことが都合がよいが、一般に、アルカリ性条件下では化学反応性が低い。例えば、次亜塩素酸ナトリウムはアルデヒドやアミンのような活性水素を有する有機化合物に対しては、これらを塩素化するものの、それを酸化分解する反応性を有しない。脱臭対象成分が、例えばアンモニアの場合、アルカリ性条件下で次亜塩素酸ナトリウムと反応させると、N2 が生成されるが、同時にNH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 等のクロロアミン類も生成され、これらは被処理液中にそのまま残留する。この被処理液が着色していたりする場合には、光照射しても、効果的でないことは前述した通りである。
【0010】
そこで、本発明者らは、(1) 遷移金属イオン、例えば、Ni(II)イオンが存在すると、アルカリ性条件下であっても、次亜塩素酸ナトリウムはO2 ガスとNaClに容易に分解すること、(2) この分解にあたって、Ni原子上にO原子が結合した酸素活性種が発生すること、更に(3) 触媒量のNi(II)イオンの存在下、アルカリ性条件の下では、例えばアンモニアは確実に消失し、N2 と少量のNO2 - ,NO3 - などの窒素酸化物に変化することを見出し、かかる事実に基づいて本発明を完成させたものである。
【0011】
上記脱臭処理方法によれば、下水、生ゴミ、し尿、畜産排水物などから発生する悪臭を放つ臭気成分を効果的、かつ経済的に確実に脱臭処理する方法を提供することができた。アンモニア以外に具体例としては、トリメチルアミンはCO2 ,H2 O,NO2 - ,NO3 - に、硫化水素はS,SO3 2-,SO4 2-等の硫黄酸化物に、ホルムアルデヒドはCO2 、H2 Oに夫々酸化分解される。
【0012】
本脱臭処理方法により臭気成分を酸化分解した後、被処理液中に残存するニッケル触媒は過酸化ニッケルとなっており、このニッケル化合物はそのまま触媒として繰り返し使用することができて経済的であり、更に使用する薬剤も高価なものではなく、殊更危険性の高いものでもないので、安全設備などに多大な設備コストを要することもなく、取り扱いも容易である。その結果、本発明方法は、効率が高いのみならず処理コストを低くできるものである。しかも、処理過程の途中では強い酸化能を有する酸素活性種が発生するため、臭気成分を含む被処理物に、たとえ着色物質が含まれて着色されていたとしても、それらをも酸化分解して脱色することができ、結局、確実に脱臭することができる。
【0013】
更に、本発明に係る脱臭処理方法として、アルカリ物質の存在下において、臭気成分を含む被処理物に次亜塩素酸ナトリウムを加える第1工程と、次いでアルカリ物質と次亜塩素酸ナトリウムの存在下において、前記被処理物に遷移金属触媒を加えることにより前記臭気成分を分解する第2工程とを有する方法であってもよい。
【0014】
この構成によっても、上記した発明と同様な作用・効果を発揮し得、特に臭気成分を多量に含む大量の被処理物を脱臭処理するのに適している。この場合、前記遷移金属触媒がニッケル(II)化合物又はこれを坦体に坦持したものであることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、高価な貴金属触媒を用いることなく、臭気成分の分解反応を効果的かつ確実に促進できるので都合がよい。ニッケル(II)化合物としては、硫酸ニッケルなどを挙げることができる。
【0016】
前記アルカリ物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムから選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、これらはいずれも高価な薬剤ではなく、かつ取り扱いが容易であるため都合がよい。これらの内、特にアルカリ金属の水酸化物が好ましい。
【0018】
更に、本発明に係る脱臭処理装置の特徴構成は、臭気成分を含む被処理物と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、遷移金属触媒と、アルカリ物質とを投入して反応させる反応槽を備えることにある。
【0019】
この構成によれば、下水、生ゴミ、し尿、畜産排水物などから発生する悪臭を放つ臭気成分を効果的、かつ経済的に確実に脱臭処理可能な装置を提供することができる。
【0020】
更に又、本発明に係る脱臭処理装置として、臭気成分を含む被処理物と、次亜塩素酸ナトリウムと、アルカリ物質とを投入して反応させる第1反応槽と、この第1反応槽から送給される前記被処理液に、更にアルカリ物質と次亜塩素酸ナトリウムの存在下において、遷移金属触媒を投入して反応させる第2処理槽とを有していてもよい。
【0021】
この構成によっても、上記した脱臭処理装置と同様な作用・効果を発揮し得、特に臭気成分を多量に含む大量の被処理物を脱臭処理するのに適していて都合がよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る脱臭処理装置の概略構造を示す。
【0023】
図1に示す脱臭処理装置は、臭気成分を含む被処理物を貯留可能な貯槽1と、この貯槽1に接続された反応槽2とを備えると共に、反応槽2に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とアルカリ物質を保持する薬剤貯槽3からこれら薬剤を投入可能になっている。遷移金属触媒は別に投入するのが好ましい。また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と遷移金属触媒とアルカリ物質とを個別に所定量だけ、反応状態をモニターしながら反応槽2へ投入するように構成する。反応槽2には、分解反応を均一に促進させるため、攪拌翼とこれを駆動するモータなどから構成される攪拌手段4が設けられていることが好ましい。そして、反応槽2での反応に伴い発生したガスの排出を円滑に行う排気手段5が、反応槽の上部に設けられていると共に、底部には処理済の液を排出する排出口6が設けられて構成されている。この排出口6の下流側に、排出量を適宜調整するバルブ等を設けることができ、又、排気手段5の下流側に排気ブロアを設けてもよい。
【0024】
本実施形態に係る脱臭処理方法は、触媒量のニッケル(II)イオンの存在下、次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤として用い、アンモニアなどの臭気成分を酸素酸化し、脱臭する。脱臭処理は、アルカリ水溶液(pH>12)中、室温で行い、通常、有機溶剤は使用しない。触媒としては、硫酸ニッケル(NiSO4 )、塩化ニッケル(NiCl2 )のようなニッケル(II)イオン化合物を用い、次亜塩素酸ナトリウムに対して1/10〜1/100当量加える。アルカリ物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。次亜塩素酸ナトリウムは、臭気物質の種類、量などにより異なるが、例えば、含まれる臭気成分としてアンモニアが主である場合、[NaOCl]/[NH3 ]=1.5〜2.0程度となるように加えることが好ましい。
【0025】
次に、次亜塩素酸ナトリウムによる酸化分解過程を、アンモニアを例にとり説明する。
【0026】
(1)ニッケル(II)イオン触媒が存在しない場合
2NH3 +3NaOCl→N2 +3NaCl+3H2 O
NH3 +NaOCl →NH2 Cl+NaOH
NH2 Cl+NaOCl→NHCl2 +NaOH
NHCl2 +NaOCl→NCl3 +NaOH
(2)ニッケル(II)イオン触媒が存在する場合
上記(1)の反応以外に下記反応が生じる。
このように、ニッケル(II)イオン触媒が存在すると、被処理液中のクロロアミン類はN2 ,NO2 - ,NO3 - に分解される。しかも、この反応効率は極めて高く、被処理液中のクロロアミン類はほとんど分解され、NaOCl,NH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 等の活性塩素化合物は残存しなくなり、アンモニアは効率よく脱臭されることになる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、もとより本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
まず、試験方法について説明する。
【0029】
(1)気体発生量
100cm3 ガスビューレットに発生する気体を捕集し、気体発生速度と発生量を測定した。
【0030】
(2)気体の成分分析
島津製作所製のガスクロマトグラフ(GC−14B。検出器;TCD。カラム;モレキュラーシーブス5A、2.5m×3mm。キャリアーガス;He)を使用し、発生気体に含まれる成分を分析した。
【0031】
(3)アンモニア性窒素
インドフェノール法(JIS K0102)によってアンモニア性窒素化合物を定量測定した。このアンモニア性窒素化合物には、NH3 ,NH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 等が含まれる。
【0032】
(4)窒素酸化物
Gries法(JIS K010)によって、NO2 - /HNO2 ,NO3 - /HNO3 の検出を行った。
【0033】
(実施例1)
温度計、平衡形滴下ロート、コック付きの気体排出口を付した200cm3 三口フラスコに、0.0824mol/dm3 のアンモニア水40cm3 (NH3 として3.30mmol)、2mol/dm3 NaOH水溶液5.0cm3 (NaOHとして10.0mmol)、水10.0cm3 、触媒としてNiSO4 ・6H2 OをNaOCl対して1/10〜1/50モル当量加える。平衡形滴下ロートに、1.34mol/dm3 NaOCl水溶液を一定量入れると共に、気体排出口をガスビューレットに連結し、反応系を密閉系とした。マグネチック・スターラーでアンモニア水を攪拌しつつNaOCl水溶液を滴下し、同時にコックを調節して発生する気体をガスビューレットに導く。NaOClを滴下後、直ちにNiSO4 は黒色微粒子状物質(ニッケル過酸化物)に変化する。適当な時間間隔毎に発生する気体量を測定すると共に、気体発生の停止した時点を反応の終点とした。多くの場合、NaOClの滴加後、2時間以内に気体の発生は停止する。更に30分放置後、発生気体量を測定し、黒色微粒子状物質をろ別した後、ろ液の一部を採取し、ろ液に残留するアンモニア性窒素化合物(NH3 ,NH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 の総量)を、インドフェノール法により測定した。
【0034】
ろ液の残部については、Gries法により、ろ液に残留するNO2 - ,NO3 - の存在を調べた。発生する気体成分を分析する場合には、予め反応容器内の気体をHeに置換した後反応を行い、発生する気体をガス採取袋に捕集すると共に、捕集した気体の一部をとり、ガスクロマトグラフ分析を行った。その結果を表1に示す。尚、気体発生時の反応温度は24〜25℃、反応時間は1〜2時間であり、pH>12であった。測定値は、複数回の平均値を採用した。又、表1中、気体発生量の理論値は、使用したアンモニアが全量、下記式に従い窒素に変換すると共に、
2NH3 +3NaOCl→N2 +3NaCl+3H2 O
その後過剰の次亜塩素酸ナトリウムが下記式に従い、全量酸素に変換したと仮定したときに発生する気体(N2 +O2 )の総量とした。
【0035】
被処理液についての分析結果についても、表1に示す。表1において、活性塩素化合物であるNaOCl,NH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 の存否を、KI(ヨウ化カリウム)反応により調べ、+は検出したこと、−は検出しなかったことを示す。
【0036】
【表1】
(比較例1)
実施例1と略同様な被処理物を用いて脱臭処理を行ったが、ニッケル触媒を使用しなかった。その結果を表2に示す。気体発生時の反応温度は24〜25℃、反応時間は1〜2時間であり、pH>12であった。測定値は、複数回の平均値を採用した。表2において、N2 発生量の理論値は、使用したアンモニアが次亜塩素酸ナトリウムの滴下により全量窒素に変換したと仮定したとき発生する窒素の量を表す。従って、[NaOCl]/[NH3 ]≧1.5のときの窒素の理論発生量は、3.30/2=1.65mmol(37.0cm3 )となる。又、表2中、残留窒素化合物量は、実施例1の場合と同様に、インドフェノール法により測定した。その理論値は、気体として発生した窒素を除く、被処理液中に残留する窒素化合物の総量の計算値である。
【0037】
【表2】
以上、実施例1と比較例1とを比較して明らかなように、前者の場合、被処理液中のアンモニアは次亜塩素酸ナトリウムにより、確実に窒素あるいはNO2 ,NO3 - 等の窒素酸化物イオンに酸化分解されるのに対して、後者の場合、活性塩素化合物が残留液に存在する。
【0038】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態の脱臭処理装置は、反応槽が1箇のみを設けた装置例を示したが、もとよりこのような反応槽を多数並設してもよいし、図2に示すように、工程ごとに処理を分割して行うようにしてもよい。このようにすると、大量処理する場合に特に都合がよい。
【0039】
すなわち、図2に示す脱臭処理装置は、臭気成分を含む被処理物を貯留する貯槽1と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とアルカリ物質を保持する薬剤貯槽3と、貯槽1に接続され薬剤貯槽3から次亜塩素酸ナトリウム水溶液とアルカリ物質を投入して反応させる第1反応槽12とを備える共に、この第1反応槽12から送給手段7を通して送給される前記被処理液に、遷移金属触媒を投入して反応させる第2反応槽22とを有して構成されている。第2反応槽22には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とアルカリ物質を保持する別の薬剤貯槽3が接続されていて、適宜これら薬剤を追加投入する。遷移金属触媒は薬剤貯槽3と別に投入することが好ましい。そして、第1反応槽12で被処理物中の臭気成分をある程度酸化分解し、次いで第2反応槽22において遷移金属触媒下で、確実に脱臭するのである。尚、図1に示したと同様に、第1反応槽12、第2反応槽22には夫々攪拌装置4、排気手段5、排出口6などが設けられている。
【0040】
具体的には、例えば、アンモニアを臭気成分として含む被処理物を第1反応槽12にてアルカリ性条件(例えば、pH>12)下で酸化分解すると、アンモニアに対して10%程度のクロロアミン類が残った状態になる。更に、これを第2反応槽22に送給し、ここで残存しているクロロアミン類をN2 と少量のNO2 - 、NO3 - に分解する。その結果、被処理液中にはNaOCl,NH2 Cl,NHCl2 ,NCl3 等の活性塩素化物はほとんど残存しなくなる。
【0041】
実施例1と略同様な被処理液に対して、図2に示した脱臭処理装置を用いて処理した結果を、表3に示す
【表3】
この方法によっても、被処理液中のアンモニアは次亜塩素酸ナトリウムにより、確実に窒素あるいはNO2 - ,NO3 - 等の窒素酸化物イオンに酸化分解され、脱臭されることが分かる。しかも、この方法の場合、[NaOCl]/[NH3 ]=1.6〜2.0程度となるような次亜塩素酸ナトリウムの添加で十分処理可能である。もとより、実施例1の場合と同様に、ニッケル化合物(ニッケル過酸化物)は繰り返し触媒として使用可能であるが、実施例1の場合と比べて、処理を2工程に分けて行っているので、大量の被処理液を効率良く連続的に処理可能であり、操作、装置の保守などが行い易いという利点を有する。
【0042】
尚、上記第1反応槽と第2反応槽での2段の工程を、1の反応槽内で順次行うようにしてもよい。
【0043】
(2)上記実施形態では、遷移金属触媒を遷移金属化合物(金属塩)として反応槽に直接添加した例を示したが、遷移金属化合物を、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライト、珪藻土、チタニア、ジルコニア、テニオライト、ヘクトライト、活性炭のような坦体に坦持させて添加してもよく、更には、坦持したものに限られず、混合物としてもよい。
【0044】
(3)上記実施形態では、臭気成分としてアンモニア含む被処理液を例に挙げて説明したが、本発明の適用はアンモニアに限定されるものではなく、トリメチルアミン等の低級アミン類、硫化水素、メチルメルカプタン等の硫化物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、などを含む被処理液に対しても、本発明方法および装置を適用して脱臭処理できる。
【0045】
この場合、トリメチルアミンに対してはCO2 ,H2 O,NO2 - ,NO3 - 等に、硫化水素に対してはS,H2 O,SO3 2-,SO4 2-等に、ホルムアルデヒドはCO2 ,H2 Oに夫々酸化分解できる。もとより、これらの臭気成分を含む被処理液の脱臭処理を、図2に示した装置を使用して2工程に分けて行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱臭処理装置の一実施形態を表す概略構成図
【図2】別実施形態に係る脱臭処理装置を表す概略構成図
【符号の説明】
2 反応槽
12 第1反応槽
22 第2反応槽
Claims (6)
- ニッケル(II)化合物又はこれを坦体に坦持したものとアルカリ物質との存在下において、臭気成分を含む被処理物に次亜塩素酸ナトリウムを加えることにより、pH>12の条件下で前記臭気成分を分解する脱臭処理方法。
- アルカリ物質の存在下において、臭気成分を含む被処理物に次亜塩素酸ナトリウムを加える第1工程と、次いでアルカリ物質と次亜塩素酸ナトリウムの存在下において、前記被処理物にニッケル(II)化合物又はこれを坦体に坦持したものを加えることにより、pH>12の条件下で前記臭気成分を分解する第2工程とを有する脱臭処理方法。
- 前記臭気成分がアンモニア含有物質である請求項1又は2の脱臭処理方法。
- 前記アルカリ物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムから選ばれた1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1の脱臭処理方法。
- 臭気成分を含む被処理物と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と、ニッケル(II)化合物又はこれを坦体に坦持したものと、アルカリ物質とを投入して、pH>12の条件下で反応させる反応槽を備える脱臭処理装置。
- 臭気成分を含む被処理物と、アルカリ物質と、次亜塩素酸ナトリウムとを投入して反応させる第1反応槽と、この第1反応槽から送給される前記被処理液に、更に次亜塩素酸ナトリウムの存在下、ニッケル(II)化合物又はこれを坦体に坦持したものを投入して、pH>12の条件下で反応させる第2反応槽とを有する脱臭処理装置。
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