本発明のある実施態様では、分解性及び/又は低付着性若しくは非付着性のガムベース、並びにかかるガムベースを用いて分解性及び/又は低付着性若しくは非付着性のチューインガム組成物を製造することに関する。分解性及び/又は低付着性若しくは非付着性は、親水性前駆体成分をチューインガムベースに、チューインガム組成物に、又はチューインガムベース及びチューインガム組成物の双方に添加して、そのチューインガムベース、チューインガム組成物又は双方を、加水分解を促進する条件に曝すことにより達成してもよい。加水分解すると、ガムベースの表面は親水性が高くなり、それによりチューインガムの付着性が低減し、且つ/又はチューインガムの分解性が高められる。また、分解性及び/又は低付着性若しくは非付着性は、過度の付着性を生じさせずにチューインガム中のエラストマーを軟化させる特定の油脂及び/又はオイルを使用することによって達成してもよい。
本発明のある実施態様は、かかる分解性ガムベースを用いて、分解性チューインガムベース、及び分解性チューインガム組成物を製造することに関する。分解性は、チューインガムベース、チューインガム組成物、又はチューインガムベース及びチューインガム組成物の双方に親水性前駆体成分を導入することによって増強される。
本発明の他の実施態様は、少なくとも1つの親水性前駆体成分をガムベースに導入して、加水分解を促進する少なくとも1つの条件にガムベースを曝すことに関する。かかる条件として、例えば、咀嚼、水分への曝露、又は加水分解促進条件への曝露(雨と太陽光との循環気象条件への曝露等)が挙げられる。ある実施態様では、加水分解を促進する条件は、分解性の増大を促進する。
ある実施態様では、本発明は、チューインガム組成物を分解性とすることに関する。分解性は、光増感剤等のフリーラジカル発生剤の導入によって高められる。
本発明のある実施態様は、非付着性の、若しくは低付着性を示す、且つ/又は分解性であるガムベースを製造することに関する。
本発明のある実施態様は、かかるガムベースを用いて、低付着性又は非付着性のガムベース、及び低付着性又は非付着性のチューインガム組成物を製造することに関する。低付着性、又は非付着性は、過度の付着性を生じさせずにチューインガム中のエラストマーを軟化させる特定の油脂及び/又はオイルを使用することによって達成される。本発明の他の実施態様は、チューインガム組成物を生分解性とすることに関する。生物分解性等の分解性は、光増感剤のようなフリーラジカル発生剤の導入によって高められる。
[定義]
本明細書で使用する場合、移行句「comprising(有している)」(「comprises」(有する)等も同様)は、「including(含んでいる)」「containing(含有している)」又は「characterized by(特徴とする)」と同義で、包括的即ちオープンエンド型であり、請求項の前提部又は本文いずれでの使用に関わらず、付加的な、記載していない要素又は方法における工程を除外しない。
本明細書で用いる「風船ガム」及び「チューインガム」という用語は同義的に用いられ、両者とも任意のガム組成物を含むことを意図する。
本明細書で用いる「分解」という用語は、ガムを噛んだものの沈着物が、循環気象条件を含め、雨、太陽、霜等の気象条件を含む環境因子の効果、及び/又は洗浄剤の作用を含めた清掃プロセスの効果の何れかにより、脆化して粒子に破断し始め、且つ/又は接着性が低下する、任意のプロセスを指す。また、本明細書で用いる「分解性」という用語は、沈着したガムベースが、循環気象条件等の気象条件(雨、太陽、霜等)の効果により、並びに/又は清掃プロセス及び/若しくは洗浄剤の作用により、その環境で破断する傾向を指す。
本明細書で用いる「親水性前駆体成分(単数又は複数種)」という語句は、加水分解を促進でき、疎水性も有している任意の成分(単数又は複数種)を指す。親水性前駆体成分は、それが水を誘引して加水分解を促進できる親水性部分(単数又は複数)を含むが、成分の少なくとも大部分が疎水性を有し、これによって成分をガムベースに容易に分散させることができ、全体に疎水性が与えられる。
更に、親水性前駆体成分という用語には、親水性前駆体成分(単数又は複数種)及びその塩類(かかる塩類は処方の前後いずれに形成されてもよい)並びにそれらの任意の組み合わせを含むことが理解されよう。親水性前駆体成分としては、例えば、チューインガム組成物の破断を促進し、且つ/又は表面へのチューインガム組成物の接着を低減すべく、咀嚼の間に加水分解できる任意の成分が挙げられ、処方の前後いずれに形成されるものであっても、かかる成分の塩類も含まれる。このように、親水性前駆体成分は、少なくとも1つの加水分解性単位を有する任意の成分を含み、これには少なくとも1つの加水分解性単位を有する成分の塩類が含まれる。少なくとも1つの加水分解性単位を有する成分の好適な塩類として、例えば、少なくとも1つの加水分解性単位を有する成分のアルカリ金属塩、及び少なくとも1つの加水分解性単位を有する成分のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
親水性前駆体成分の例として、例えば、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、及びそれらの塩類;ポリスチレンと無水マレイン酸との共重合体、及びそれらの塩類;疎水性単量体と酸無水物単量体との共重合体、及びそれらの塩類;並びに、ポリスクシンイミド等のポリイミド、及びそれらの塩類が挙げられる。親水性前駆体成分と、それらの塩類(処方の前後いずれに形成されてもよい)との任意の組合せも、本発明で使用してもよいことは理解されよう。
本明細書で用いる「加水分解性単位」という用語は、加水分解を受けることができる分子の任意の部分を指す。加水分解性単位の例として、例えば、エステル結合及びエーテル結合が挙げられる。
本明細書で用いる「加水分解を促進する条件」という語句は、少なくとも1つの加水分解性単位の加水分解が生じる任意の条件を指す。このような条件は、例えば、水分、口内での咀嚼、及び加水分解促進成分への曝露、及び雨と太陽光の循環気象条件に対する曝露を含む。本明細書で用いる「加水分解促進成分」という用語は、加水分解性単位の加水分解を促進する任意の成分を指す。このような成分は、例えば、約8〜約14のpHを有する任意のアルカリ成分を含む。加水分解促進成分の例として、例えば、塩基性のpHを有する洗浄剤、雨水及び脱イオン水が挙げられる。ある実施態様では、加水分解促進成分は、タルク、例えば炭酸カルシウム及びジカル(dical)等の炭酸塩系充填剤といった、充填剤成分を含む。
本明細書で用いる「ストマッキング」という用語は、口内でのチューインガムベース又はチューインガム組成物又はチューインガム製品の咀嚼をシミュレーションするのに機械を使用することを指す。このように、ストマッキングされているチューインガムベース又は組成物又は製品は、本願に規定する「ストマッキング」に付されている。
本明細書で用いる「非付着及び/又は高分解性誘引成分」という用語は、ガム組成物に混和される成分であって、かかる混和により当該ガム組成物が、その非付着誘引成分が存在しない同じガム組成物に比較して、低付着性及び/又は高分解性を示す成分を指す。「非付着及び/又は高分解性誘引成分」という用語は、非付着誘引成分(単数又は複数種)、高分解性誘引成分(単数又は複数種)、及び非付着誘引剤と高分解性誘引成分との双方として作用する成分(単数又は複数種)を含むことが理解されよう。ある実施態様では、非付着誘引成分は、高分解性誘引成分と同じでもよいし、またある実施態様では異なってもよいことが、更に理解されよう。
望ましくは、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、ガムベースの製造における固体エラストマー成分の軟化を促進すると同時に、チューインガム組成物とそれから得られる製品が、包装、歯、インプラントや義歯のような口腔装具、更には、コンクリート、石、プラスチック、木材、舗道、レンガ、ガラスの表面、及び種々のその他の同様な表面に付着することを防止する又はその性向を低減する等の多くの効果を有する。非付着及び/又は高分解性誘引成分は、咀嚼中に加水分解して、チューインガム組成物の破断を促進でき、且つ/又は表面へのチューインガム組成物の接着を低減できる任意の成分であってもよい。更に、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガム組成物に使用されるエラストマーの最終Tg(本願にて規定)を、加工の際に初期Tg(本願にて規定)から上又は下に、約3度(3℃)以下で変化させる任意の成分であってもよい。非付着及び/又は高分解性誘引成分は、本願に規定する離型剤として役立つ任意の成分であってもよい。更に、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガム組成物の分解を促進する任意の成分であってもよい。特に、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、本願に規定する親水性前駆体成分として役立つ任意の成分であってもよい。更にまた、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、ガムベースエラストマーの中で結晶化する又はドメイン領域を形成する任意の成分であってもよい。また、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、疎水性部分と親水性部分を有する任意の成分であってもよく、ここで、前記疎水性部分は、ガム塊の中で内側に配向することができ、前記親水性部分は、ガム塊の中で外側に配向することができる。非付着及び/又は高分解性誘引成分としては、例えば、チューインガムの加工中と加工後、及びそれより得られるガム製品を噛んだ後の双方において、ガム組成物を非付着性にするのに十分な量でガム組成物に含ませてもよいオイル及び他の油脂が挙げられる。これらの非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガム組成物に従来使用されてきた樹脂やワックスのようなエラストマー溶媒材料の一部又は全部を置き換えて用いてもよい。非付着及び/又は高分解性誘引成分は、ガムベースに添加されると、エラストマーを固体から有用なガムベース材料へ軟化加工可能なエラストマー加工助剤として作用することもできる。
本明細書で用いる「Tg」という用語は、エラストマーを加工する前又は後の任意の時に測定され、チューインガム組成物に用いられるエラストマーのガラス転移温度を指す。より詳しくは、「Tg初期」という用語は、エラストマーを非付着誘引成分の存在下で実質的に均質な塊に加工する前のエラストマーのガラス転移温度を指す。「Tg最終」という用語は、エラストマーをガムベースに有用な軟化した塊に加工した後の、エラストマーのガラス転移温度を指す。
ガラス転移温度(Tg)は、一般に、それを下回ると分子の移動性が非常に低くなる温度であると理解されている。巨視的には、ポリマーは、ガラス転移温度を下回ると硬くて脆く、それを上回ると塑性変形可能となる。Tgは、通常、アモルファス相に適用でき、ガラス、プラスチック、及びゴムに広く適用できる。ポリマーにおいて、Tgは、ポリマーの大部分の協同運動のための活性化エネルギーを超えるようなギブス自由エネルギーでの温度として表されることが多い。これにより、力が加わったときに分子鎖が互いにスライドしていくことが可能となる。
本明細書で用いる「分離性」という語句は、チューインガムベース及び/又はチューインガム製品が表面に対して低接着性を示すことができる特性を意味する。
本明細書で用いる「ポリマーを可塑化するのに限られた性能」という語句は、ある成分をガムベースに混和したとき、前記成分が、ガムベースのTgを約プラスマイナス(±)3℃を超えて変化をさせないことを意味する。
本明細書で用いる「加工」という用語は、バッチシステム、連続システム、又は当該分野で公知の他の任意の製造システムを用いてガム製品を製造するときに生じる任意の工程等の、ガムベース及び/又はガム製品の製造の際に採用される任意の工程を指す。本明細書で用いる加工という用語は、チューインガム製品に包含するのに適するように「エラストマーを素練りする」プロセスを含む。
本明細書で用いる「非従来的ガム成分」という語句は、チューインガム製品には従来含有されていない成分を指し、ゼインやクフェア属の植物からの種油のような成分が挙げられる。
本明細書で用いる「従来的ガム成分」という語句は、エラストマーやエラストマー溶媒のようなガム製品に以前から含有されている成分を指す。
本明細書で用いる「表面」とは、非付着性及び/又は分解性に関して用いられる場合、チューインガムベース、チューインガム組成物、チューインガム製品、又はチューインガム塊が接触する任意の表面を指す。こうした表面には、限定されるものではないが、例えば、以下のもの、即ち、歯の表面や口腔に含められる任意の歯科用又は歯列矯正デバイスの表面のような口腔の表面、顔面上の皮膚のような肌や髪等の人体の任意の表面、並びに舗道、歩道、車道、レンガ、ガラス、木材、プラスチック、石、家具、敷物類、靴やスニーカー等の履物の底、段ボール、紙、及び金属等の表面や、従来のガム成分が付着して除去が難しい多孔質の表面等の人体の外部の任意の表面が挙げられる。
本明細書で用いる「HLB」という用語は、親水性親油性バランスを指す。
本明細書で用いる「ストマッキング」という用語は、ストマッカ(例えば、Seward Ltd.のStomacher(商標)400)として公知の装置を使用して、ガムを機械的に水性抽出する操作を指す。ある実施態様では、ストマッキングは、既知容量の水が入ったポリエチレンバッグにガムサンプルを入れて、所定時間バッグを打ちつけることを含む。
[非付着性及び/若しくは低付着性、並びに/又は分解性]
本発明は、ガムベースの加工を助長するのみならず、最終的なチューインガム組成物とそれから得られる製品との特定の効果及び特性に寄与する特定の成分を混和することにより、従来のチューインガム組成物を上回る多くの効果を提供する。かかる効果の1つは、チューインガムベースの加工途中と噛んだ後の両方において、ガムベースに、ひいてはチューインガム組成物全体に付与される低付着性及び/若しくは非付着性、並びに/又は高分解性である。別の効果は、ガム樹脂のような従来の溶媒添加剤に依存することなく、エラストマーのガムベース成分を加工する能力である。更に別の効果は、ガムベースの中のエラストマー溶媒の一部又は全部を、非付着誘引成分で置き換える能力である。ある実施態様では、エラストマー溶媒の一部のみが置き換えられ、それから得られるチューインガム組成物に付着性を付与することなく、溶媒の軟化能力の効果を得る。
本発明のある実施態様では、種々のチューインガム組成物とそれらから得られる製品に、親水性前駆体成分及び/又は種々の油脂やオイルを含む非付着及び/又は高分解性誘引成分を混和することによって、低付着性若しくは非付着性及び/又は高分解性が与えられる。これらの非付着及び/又は高分解性誘引成分は、従来はチューインガム組成物が加工できるようにガムベースエラストマーを軟化させるために使用されるが、それから得られるチューインガム組成物の付着性の一因となることが知られるエラストマー溶媒や特定のワックス状材料のような従来の成分を、部分的又は完全に置き換えるために用いてもよい。これらの非付着及び/又は高分解性誘引成分の混和は、ガムベースの加工において多くの長所を有するのみならず、最終的なチューインガム組成物とそれから得られる製品の全体的な低付着性及び/又は高分解性に寄与する。
非付着及び/又は高分解性誘引成分は、以下の効果の1つ以上に寄与し得る。(1)固体又は固体状のエラストマーを、均質又は実質的に均質な、軟化した又は可鍛性の塊のような何らかの他の形態に転化するプロセスを促進する、(2)加工し、且つチューインガム製品に使用するために十分な軟化を可能にする、及び(3)最終的なガム製品の付着性を高めることなしに軟化させる。非付着及び/又は高分解性誘引成分は、本発明に使用されると、これらの効果の1つ以上を与えることができるだけでなく、ガムベースの製造の際にエラストマーのTgの変化を調節することができる。ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分をチューインガムベースを製造するために使用すると、ガムベースを製造するために使用するエラストマーのTgが、ガムベースの加工前のエラストマーのTgに比較して、約3度(3℃)以下の上昇又は下降(プラス/マイナス)で変化する。最大で3℃の変化は(即ち、Tg最終)、Tg初期より高いか又は低いかのいずれかの変化をもたらす。例えば、エラストマーのTg初期が60℃であると、非付着及び/又は高分解性誘引成分の添加後のエラストマーのTg最終は、約57℃〜約63℃、例えば、±3℃の場合がある。また、「非付着及び/又は高分解性誘引成分」という用語は、例えば、固体又は固体状エラストマーを、バッチシステム、連続システム、及び当該分野で公知の他の製造システム及び/又はプロセスの際に、噛むために有用な形態に転化させるプロセスを促進する任意の成分を包含する。望ましくは、前記エラストマー加工助剤は、下記に規定するように、ポリマーを可塑化するのに限られた性能を有する。
ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分をガムベースに添加すると、ガムベースエラストマーで軟化でき、固体ゴムから容易に軟質マトリックスに加工されることができ、次いで、チューインガム組成物に混和することができる。
本発明のある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分の添加は、ガムベースのエラストマー成分のみならずチューインガム組成物の軟化を全体としてバランスをとりながら、それらから得られる製品の全体的な付着性を低減させ、分解性を増大させる。
ある実施態様では、ガムベースを形成するために用いられるようなチューインガム組成物のエラストマー成分は、エラストマーのガラス転移温度(Tg℃)をその初期Tgより3℃を超えて高く又は初期Tgより3℃を超えて低く変化させない、即ち、±3℃として、非付着及び/又は高分解性誘引成分の混和によって軟化させる。
他の実施態様において、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガム製品の表面に移動し、チューインガム製品が表面に付着する能力を低減させる分離バリアを形成する能力等の、種々の物理的特性を示すことが見出されている。ある実施態様では、非付着及び/又は分解性誘引成分は、疎水性と親水性を有し、即ち、これらの材料がそれ自身で分子的に配向し、疎水性部分がそれ自身でチューインガムの内側に配向し、親水性部分がそれ自身でチューインガムの表面に配向するといった性向によって分離バリア特性を高めるHLB(親水性親油性バランス)値を有し、それによって、分離特性に寄与し、付着性を低減させる。
非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガム組成物での使用の前にガムベースの中に存在してもよく、更にチューインガム組成物全体に添加してもよい。ある実施態様では、エラストマー溶媒のような付着性に寄与する従来の成分を、本発明の非付着及び/又は高分解性誘引成分に部分的又は完全に置き換えてもよい。また、メチルエステル液体ロジンの(望ましくは少量の)添加は、付着性の一因になることなく、軟化を向上させるので、有益に使用できることが見出されている。メチルエステル液体ロジンは、エラストマー/非付着及び/又は高分解性誘引成分によって形成され得るエマルジョンを破壊しない比較的小さい分子である傾向が見出されている。
本願で規定する好適ないずれの非付着及び/又は高分解性誘引成分も、本発明のチューインガムベースに混和してもよい。
ある実施態様では、ガムベース表面がより大きい親水性を有するように、非付着及び/又は高分解性誘引成分はガムベースに混和される。
ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガムベースの製造の際にエラストマーと接触したとき(例、混合により)、約±3℃のエラストマーのガラス転移温度における最大変化を与える。
ある実施態様では、本発明のチューインガム組成物は、それから得られるチューインガム製品の表面に移動し、表面バリアを与えるのに十分な量の非付着及び/又は高分解性誘引成分を含む。望ましくは、表面バリアは、噛んだときに生じるガム塊が、非付着及び/又は高分解性誘引成分を含有しないガム組成物に比較して、いろいろな表面に対して低接着性を示すといった分離特性を有する。
ある実施態様では、本発明のチューインガム組成物は、ガムベースが、非付着及び/又は高分解性誘引成分が存在しないガムベースに比較して、低付着性を示すような態様で、ガムベースの中で分子的に配向される非付着及び/又は高分解性誘引成分を含む。具体的には、ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガム製品の中で内側に配向される疎水性部分と外側に配向される親水性部分を含む。
例えば、ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、疎水性部分と親水性部分を有する表面分離剤であってもよい。こうした表面分離剤が使用されると、表面分離剤の疎水性部分は、そのものをチューインガム組成物の中に導く傾向にあり、親水性部分は、表面分離剤がチューインガムの表面に移動したときに、そのものをチューインガム組成物の表面に導く傾向にある。
ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、ガムベースに添加されたとき、エラストマーマトリックスの中で非付着成分の結晶化を表すドメイン領域を形成する。非付着及び/又は高分解性誘引成分は、ガムベース又はチューインガム組成物を冷却すると分離した結晶相が生成するような、室温のエラストマー中で限られた混和性を有してもよい。具体的には、本発明のある実施態様では、かかるドメインは、加工の際にガムベースを冷却したときに生成することができる。有利には、かかるドメインを含むガムベースを混和したチューインガム組成物は、かかるドメインを含まないガムベースと比較して、口の内と外との双方の表面に対し、低付着性を示す。更に、ガムベースが少なくとも1つのドメインと少なくとも1つのエラストマーを含む場合、その少なくとも1つのドメインを特有のTg値によって特徴づけることができ、その少なくとも1つのエラストマーを異なるTg値によって特徴づけることができる。
したがって、付着性エラストマーのマトリックスの連続相を有する従来のガムベースとは異なり、本発明のガムベースは、ガムベースのエラストマーマトリックスから分離して相異なる不連続相を有してもよい。不連続相を含む本発明のガムベースは、不連続相を有しないガムベースに比較して、低付着性を示す。
不連続相は、以下のもの、即ち、非付着誘引成分をその中に導入することによるガムベースの表面上の分離バリアの生成、ドメインの存在、及びガムベース表面がより大きい親水性を有するような非付着誘引成分の配向の1つ以上の結果によるものであってもよい。
更に、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、例えば、組成物とそれから得られる製品の付着性を低下させる、又は非付着性にする任意の好適な油脂若しくはオイル又はこれらの組み合わせを含んでもよい。具体的には、それらは、約3.5〜約13の範囲のHLBを有する油脂やオイルを含んでもよい。有用な油脂とオイルには、例えば、約10℃〜約75℃、望ましくは約20℃〜約73℃、より望ましくは約40℃〜約70℃の広範囲な融点を有するものが挙げられる。
より詳しくは、非付着及び/又は高分解性誘引成分には、限定されるものではないが、以下のものが挙げられ、即ち、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミトレイン酸、及びバクセン酸のような飽和及び不飽和脂肪酸等の、C14〜C24の炭素鎖長を有する飽和及び不飽和脂肪酸等の種々の油脂とオイル、C14〜C24の鎖長を有する飽和及び不飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド、水素化及び非水素化の綿実油、大豆油、菜種油、オリーブ油、ブドウ種油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ヤシ油、ココアバター、ココナッツ油、及びパーム核油等の、C14〜C24の鎖長を有する飽和及び不飽和脂肪酸の主としてトリグリセリドを含む天然油脂、アセチル化モノグリセリドやアセチル化ジグリセリドのようなモノグリセリドやジグリセリドのエステル及びモノステアリン酸グリセロール(GMS)等の脂肪酸のグリセロールエステル、牛脂油、豚油、バター、及び鶏油のような動物性油脂、糖類の脂肪酸エステル、メチルやエチルステアレート等の低級アルキル(C1〜4)ステアレートのようなアルコールのエステル、及び高分子量のアルコールエステル、レシチンやラノリンのようなリン脂質、並びにこれらの混合物や組み合わせである。
C2〜C13の鎖長の脂肪酸とそれらのエステルを上記のC14〜C24脂肪酸エステルと組み合わせて使用することもできるが、中間鎖のトリグリセリド(C6〜C12の炭素鎖長を有するMCT)がエラストマーとより混和性又は適合性である性向のため、それらの存在は、本願に規定するTg最終が維持される及び/又は結晶が分離する及び/又はエラストマーマトリックスの中にドメインが存在若しくは維持されるようにバランスをとらなければならない。
非付着及び/又は高分解性誘引成分とエラストマーの比(非付着:エラストマー)は、約1:1〜約10:1の範囲、望ましくは、約4:1〜約8:1の範囲でもよい。エラストマー溶媒やワックスのような随意成分を非付着及び/又は高分解性誘引成分とともに使用する場合、非付着及び/又は高分解性誘引成分とエラストマー溶媒の比(非付着:溶媒又はワックス)は、約1:0〜約4:1の範囲であってもよい。
望ましくは、ある実施態様は、約60℃〜約70℃の融点を有する少なくとも1つの非付着及び/又は高分解性誘引成分と約20℃〜約40℃の融点を有する少なくとも1つの非付着及び/又は高分解性誘引成分とを有する本発明のガムベースを含む。より具体的には、本発明のガムベースは、約70℃の融点を有する少なくとも1つの油脂と、約40℃の融点を有する少なくとも1つの油脂と、を含んでもよい。
非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガムベースの約10〜約60質量%の量で存在してもよい。ある実施態様では、非付着誘引成分は、チューインガムベースの約20〜約50質量%の量で存在してもよい。他の実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、チューインガムベースの約30〜約40質量%の量で存在してもよい。ある実施態様では、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、例えば、本願に規定する親水性前駆体成分であってもよい。具体的には、非付着及び/又は高分解性誘引成分は、例えば、本願に規定する少なくとも1つの加水分解性単位を含む任意のポリマー、及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)を含んでもよい。
非付着及び/又は高分解性誘引成分が親水性前駆体成分である、ある実施態様では、これを含有するチューインガムベースは、非付着誘引成分として親水性前駆体成分を含まないガムベースに比較して、付着性が低くなる、即ち低付着性を示し、且つ/又は高分解性を示すであろう。
ある実施態様では、本発明のチューインガムベースは、本発明の組成物を有しないチューインガムベースに比較して、いろいろな表面に非付着性又は低付着性を示す。具体的には、製造の際、チューインガムベースは、加工装置に付着しない。しかも、噛んでいる際、チューインガムベースは、歯や歯列矯正若しくは歯科アプライアンス等の口腔内の表面に付着しない。更に、本発明のガム塊は、本発明のガム塊の処方を有しないガム塊に比較して、例えば、アスファルト、レンガ、木材、プラスチック、髪、肌、敷物類、及び靴底等の口腔外のいろいろな表面に対し、非付着性又は低付着性を示す。
本発明のある実施態様では、加工の際及び噛んでガム塊にした後に非付着表面を有するチューインガム組成物と製品とを提供する。
[付加的な分解性]
本発明の他の実施態様において、チューインガム組成物は、その密着を維持する能力を解放し、経時的により小さい不連続片へと粉々に分断するといった、チューインガムの分解を促進する付加的成分を混和することで、より環境的に優しくしてもよい。分解に寄与する成分としては、例えば太陽光のような光に暴露されるとエラストマー成分と反応してそれらの分解を引き起こす、或いはその他に付着性が小さくなるように変質させる光吸収材料が挙げられる。ある実施態様では、光に曝されると、エラストマー成分の分子量は、それら及びそれらを含有するチューインガム組成物の付着性を低くするのに十分な大きさに低下する。ある実施態様では、光に曝されると、エラストマーの付着性を低減させるのみならず、それらを含むチューインガム組成物の付着性を低減させるのに十分なまでエラストマー成分の分子量を増加させる成分を含んでもよい。
種々のチューインガム組成物の実施態様において、エラストマーを分解させることができる任意の物質を含んでもよい。望ましくは、前記物質は親油性であって、ガムベース組成物に混和される。ある実施態様では、ある物質が、光の存在下でのガム製品の分解、即ち、光分解を促進するのに役立つ。光の存在下でエラストマーの分解を促進することができる特に有用な物質は、クロロフィルと、クロロフィリン、フェオフィチン、ピロフェオフィチン、及びフェオホルビドのような誘導体である。クロロフィルとその誘導体は、光を吸収してフリーラジカルを発生させることができる。フリーラジカルの存在は、エラストマー成分と反応して、それらの付着性を小さくすることができる。
一般に、クロロフィルが、ガムベースの約0.01〜約0.3質量%の量で存在してもよい。望ましくは、クロロフィルが、ガムベースの約0.05〜約0.2質量%の量で存在してもよい。より望ましくは、クロロフィルが、ガムベースの約0.07〜約0.12質量%の量で存在してもよい。
分解を促進する他の好適な成分としては、フタロシアニン誘導体、リボフラビン、ヘモグロビン、ミオグロビン、及びヘムのような他の光増感剤が挙げられる。ある実施態様では、エラストマー成分は、酸化によって分解され、エラストマーのより小さい不連続相を形成してもよい。ある実施態様では、エラストマー成分は、フリーラジカルと相互作用して、エラストマーの分子量を増加してもよい。不飽和結合を有するエラストマー等の特定のエラストマー成分をクロロフィルと併せて使用すると、クロロフィルは、フリーラジカルの発生によって生じるより高分子量の反応生成物を生じさせることにより、エラストマー成分の分子量を増加することがある。存在するエラストマーの種類、存在するフリーラジカル誘発剤のような分解剤の量、特定のチューインガム組成物、更には、チューインガムベースが曝される光や環境といった因子により、いろいろな反応の生じる可能性がある。
ある実施態様では、エラストマーを分解することができる少なくとも1つの物質をカプセル化する。カプセル化は、咀嚼前のチューインガムベースの早過ぎる分解を防ぐのに望ましい場合がある。エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質を、PCT公開No.WO2004/064544公報に記載のように、マイクロカプセル又はミクロ粒子としてカプセル化してもよく、この公報は、本願に引用してその全体を援用する。好適なカプセル材料としては、限定されるものではないが、油脂、ポリマー、炭水化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特に好適なカプセル材料はアラビアゴムである。
ある実施態様では、エラストマーを分解させることができる物質は、中央充填の一部としてチューインガム組成物の中に存在する。かかる組成物において、その物質は、カプセル化又は非カプセル化のいずれであってもよい。
ある実施態様では、エラストマーを分解させることができる物質は、チューインガム組成物のコーティングに存在する。例えば、こうしたコーティングは、バリバリ感のみならず香味、甘味、及び感覚的知覚もまた与えるために、無糖の粒ガム上に使用される。かかる組成物において、その物質は、カプセル化又は非カプセル化のいずれであってもよい。
一般に、エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質は、咀嚼の後にチューインガム製品を経時的に実質的に分解させるのに十分な量で存在する。望ましくは、ある実施態様では、エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質は、咀嚼の後にチューインガム製品を約25週間以内で実質的に分解させるのに十分な量で存在する。より望ましくは、エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質は、咀嚼の後にチューインガム製品を約10週間以内で実質的に分解させるのに十分な量で存在する。
望ましくは、エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質は、ガムベースの約0.01〜約0.3質量%の量で存在する。より望ましくは、エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質は、ガムベースの約0.05〜約0.2質量%の量で存在する。最も望ましくは、エラストマーを分解させることができる少なくとも1つの物質は、ガムベースの約0.07〜約0.12質量%の量で存在する。
チューインガム組成物の分解に寄与する他の成分は、疎水性成分(即ち、本明細書で規定する親水性前駆体成分)であって、咀嚼への曝露、及び/又は水分への曝露、及び/又は加水分解を促進する成分への曝露、及び/又は約8〜約14の範囲のアルカリ性pH条件への曝露等といった、加水分解を促進する特定の条件に曝露すると加水分解するか又は加水分解し始めるものを含む。親水性前駆体ポリマーをチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物に混和することによって、咀嚼後にチューインガム組成物の親水性を増強することができる。特に、親水性材料にこのような疎水性前駆体を用いることにより、親水性の発現を遅延させることができる。親水性の発現を遅延させることによって、安定であるが、咀嚼の機械的作用及び水分等の特定の条件に曝露すると加水分解できるようになるガムベース及びチューインガム製品を製造することができる。
望ましくは、ある実施態様では、加水分解を促進する条件に曝して数日以内、より望ましくは数時間以内でガムベースを低付着性若しくは非付着性とし、且つ/又はガムベースの破断を促進するのに十分な量で、親水性前駆体成分をチューインガム組成物に存在させる。ガムベース全体の約0.1質量%〜約10質量%の量で、親水性前駆体成分を本発明のガムベースに混和することが、特に有用である。更に望ましくは、親水性前駆体成分は、約1質量%〜約5質量%の量で本発明のガムベースに存在する。最も望ましくは、親水性前駆体成分は、約5質量%の量で本発明のガムベースに存在する。
任意の親水性前駆体成分を、本発明のチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物及び/又はチューインガム製品で用いてもよい。特に、親水性前駆体成分は、チューインガムベース、チューインガム組成物、又はチューインガムベース及びチューインガム組成物の双方に混和してもよい。更に、親水性前駆体成分は、チューインガムベース及び/又はチューインガム組成物へ、製造中、製造後、又はガム自体の製造の間に添加してもよい。
好適な親水性前駆体成分として、例えば、加水分解性単位を含むポリマー、及び加水分解性単位を含むポリマーの塩類(処方の前後いずれに形成されてもよい)、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。少なくとも1つの加水分解性単位を含むこのようなポリマーの塩類として、例えば、ナトリウム及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにマグネシウム及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられることが理解されよう。
どのような特定理論にも拘束されることは望ましくないが、ある実施態様で、塩は、親水性前駆体成分の酸性型と、チューインガムベースの充填剤成分との反応によって形成してもよいものと仮定され、かかる充填剤成分として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム/ジカル、ジカル、リン酸二カルシウム及び/又はタルク等が挙げられる。このような塩類は、例えば、ナトリウム及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、並びにマグネシウム及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、並びに/又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
好適な親水性前駆体ポリマーとして、以下のもの、即ち、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、及び/又はその塩類(GANTREZ(登録商標)AN−119(約200000の分子量を有する)、GANTREZ(登録商標)AN−903(約800000の分子量を有する)、GANTREZ(登録商標)AN−139(約1000000の分子量を有する)、及びGANTREZ(登録商標)AN−169(約2000000の分子量を有する)(これらは全てInternational Specialty Products(ISP)から入手可能である)並びに/又はそれらの塩類等のGANTREZ(登録商標)AN製品及び/又はその塩類のいずれか等);ポリスチレンと無水マレイン酸との共重合体及び/又はその塩類;ポリスクシンイミド及び/又はその塩類;並びに、それらの組み合わせが挙げられる。他の好適な共重合体として、GANTREZ AN共重合体の遊離酸型及び/又はその塩類(特に、GANTREZ(登録商標)S−96溶液(約700000の分子量を有する)、GANTREZ(登録商標)S−97粉末(約1200000の分子量を有する)、及びGANTREZ(登録商標)S−97溶液(約1500000の分子量を有する)(これらは全て、International Specialty Productsより入手可能)並びに/又はその塩類のいずれか等の、GANTREZ S(登録商標)共重合体及び/又はその塩類)、並びにGANTREZ S(登録商標)共重合体の半エステル及び/又はその塩類(特に、GANTREZ(登録商標)ES−225(約100000〜約150000の分子量を有する)及びGANTREZ(登録商標)ES−425 (約90000〜約150000の分子量を有する)(これらは各々、International Specialty Productsより入手可能)を含む、GANTREZ(登録商標)ES製品及び/又はその塩類のいずれか)、並びに/又はその塩類が挙げられる。他の好適な親水性前駆体成分として、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体及び/又はその塩類(Plasdone(登録商標)S−630(約27000の分子量を有する)(International Specialty Productsより入手可能)及び/又はその塩等)、並びにアルギン酸塩、及び/又はその塩類が挙げられる。親水性前駆体成分としての使用に好適なポリマーは、前記のGANTREZ製品を含め、更に詳細にInternational Specialty Products((著作権)2003 ISP)の「Polymers for Oral Care: Product and Applications Guide」に記載されており、この内容を本願に引用して援用する。前記ポリマーのいずれも、及び/又はその塩類のいずれも、単独又は組み合わせて使用してもよい。
親水性前駆体ポリマーの有用な塩類は、例えば、親水性前駆体ポリマーの任意のアルカリ金属塩、及び/若しくは親水性前駆体ポリマーの任意のアルカリ土類金属塩、並びに/又はそれらの組み合わせを含む。親水性前駆体ポリマーの特に有用なアルカリ金属塩類として、例えば、親水性前駆体ポリマーのナトリウム及びカリウム塩類、並びに/又はそれらの組み合わせが挙げられる。親水性前駆体ポリマーの特に有用なアルカリ土類金属塩として例えば、親水性前駆体ポリマーのマグネシウム及びカルシウム塩、並びに/又はそれらの組み合わせが挙げられる。特に有用な親水性前駆体ポリマーは、GANTREZ(登録商標)MSであり、これはGANTREZ(登録商標)S−97のナトリウム及びカルシウムの混合塩であって、双方ともInternational Specialty Productsより入手可能である。特に有用なGANTREZ(登録商標)MSポリマーは、GANTREZ(登録商標)MS 995(約1000000の分子量を有する)である。そして、それも、International Specialty Productsより入手可能である。
親水性前駆体成分は、好適な任意の分子量を有してよい。好適な分子量は、約900000〜約5000000、より望ましくは約200000〜約5000000の範囲である。
特に、親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)AN−119である場合、分子量は約200000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)AN−903である場合、分子量は約800000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)AN−139である場合、分子量は約1000000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)AN−169である場合、分子量は約2000000である。
更に、親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)S−96である場合、分子量は約700000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)S−97粉体である場合、分子量は約1200000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)S−97溶液である場合、分子量は約1500000である。
更に、親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)ES−225である場合、分子量は概ね、約100000〜約150000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)ES−425である場合、分子量は概ね、約90000〜約150000である。親水性前駆体成分がGANTREZ(登録商標)MSである場合、分子量は約1000000である。
更に、親水性前駆体成分がPLASDONE(登録商標)S−630である場合、分子量は約27000である。
[加水分解を促進する条件への曝露の効果]
ある実施態様では、チューインガム組成物に親水性前駆体成分を混和し、次いで加水分解を促進する条件に曝すと、その結果、親水性前駆体成分を含まないガムベースよりも迅速に分解するチューインガム組成物が得られることになる。特に、加水分解を促進する条件への曝露は、チューインガムを噛んだもの(例えば、チューインガムを噛んで表面に置かれたもの)の粒子への破断を増強し、且つ/又はチューインガムを噛んだものの接着性低下を引き起こす。
加水分解を促進する条件としては、循環気象条件(特に、雨、太陽、霜、熱等、又はそれらの組み合わせへの曝露)等の環境因子が挙げられる。加水分解を促進する他の条件として、洗浄剤等のアルカリ成分の作用等の、清掃プロセスへの曝露が挙げられる。加水分解を促進する更に他の条件として、素練りに際しての機械的撹拌の効果が挙げられる。以上の条件のいずれも、単独又は共に作用して加水分解を促進してもよく、これによりチューインガムの分解性が促進されることが理解されよう。更に、歩行者及び車両交通の機械的且つ摩擦による効果が、前記条件のいずれかと共に作用して、チューインガムの分解性を促進してもよい。
[約8〜約14のpHを有するアルカリ成分への曝露の効果]
ある実施態様では、チューインガムベース及び/又はチューインガム組成物に親水性前駆体成分を混和し、次いで清掃プロセスに曝す(清掃用洗浄剤等のアルカリ成分への曝露を含む)と、その結果、親水性前駆体成分を含まないチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物よりも迅速に分解するチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物が得られることになる。特に、チューインガムベース及び/又はチューインガム組成物に親水性前駆体成分を混和し、次いで約8〜約14までのpHを有するアルカリ成分(清掃用洗浄剤等)に曝すと、その結果、親水性前駆体成分を含まないチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物よりも迅速に分解するチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物が得られることになる。
[雨水及び/又は太陽光への曝露の効果]
ある実施態様では、チューインガムベース及び/又はチューインガム組成物に親水性前駆体成分を混和し、次いで雨水及び/又は太陽光に曝す(例えば、雨水及び/又は太陽光の循環条件への曝露)と、その結果、親水性前駆体成分を含まないチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物よりも迅速に分解するチューインガムベース及び/又は組成物が得られることになる。更に、ある実施態様では、親水性前駆体成分(GANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩等)を含有する本発明のチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物の降雨への曝露で、チューインガムベース及び/又チューインガム組成物が、ブラッシングによって表面から除去され得る粉末にまで破断することが望ましい。
[脱イオン水への曝露の効果]
ある実施態様では、チューインガムベース及び/又は組成物に親水性前駆体成分を混和し、次いで脱イオン水に曝すと、その結果、親水性前駆体成分を含まないチューインガムベース及び/又はチューインガム組成物よりも迅速に分解するチューインガムベース及び/又は組成物が得られることになる。
[充填剤成分の効果]
ある実施態様では、親水性前駆体成分を含有するガムベースは、加水分解を促進する条件に曝すと、充填剤成分が存在しないときよりも充填剤成分が存在するときに、より迅速に分解することになる。特に、ある実施態様では、例えば、タルク、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムと、親水性前駆体成分とを含有するガムベースは、加水分解を促進する条件に曝されると、充填剤成分としてタルクを含有しない同様のガムベースよりも迅速に分解することになる。更に、親水性前駆体成分と併せて充填剤成分としてタルクを含有するガムベースは、ある実施態様で加水分解を促進する条件に曝すと、意外にも親水性前駆体成分と併せて充填剤成分として炭酸塩を含有するガムベースよりも迅速に分解することになるのが発見されている。どのような特定理論にも拘束されることは望ましくないが、加水分解の増強は、炭酸塩充填剤によって触媒されると理論付けられ、その結果、GANTREZ(登録商標)共重合体の抽出の増大が引き起こされる。
充填剤は、ガムベース中、チューインガム組成物部分中、又はガムベースとチューインガム部分の双方の中にあってもよい。どのような特定理論にも拘束されることは望ましくないが、充填剤が、ガムベース内で親水性前駆体成分の浸透を促進するマトリックスを作り出し、このため、加水分解を促進する条件に曝すとガムベースの加水分解と、それに伴う分解が促進されると理論付けられる。
[親水性前駆体成分の添加の順序の効果]
ある実施態様では、ポリオール類及び香味剤等の他の成分を添加する前に親水性前駆体成分をチューインガムベースに混和することで、ポリオール類及び香味剤を添加した後に親水性前駆体成分を添加するチューインガム組成物と比較して、高分解性を示すチューインガム組成物が得られることになる。更に、ある実施態様では、ポリオール類及び香味剤等の他の成分を添加する前に親水性前駆体成分をチューインガムベースに混和すると、より少量の親水性前駆体成分を用いるだけで分解性を高めることができるようになる。
どのような特定理論にも拘束されることは望ましくないが、ポリオール類の添加の前にGANTREZ(登録商標)共重合体(酸無水物及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよいもの)を含む)をガムベースに混和することで、ストマッキングの間のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩の保持が向上し、そのため、より低濃度のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩を用いて、より高レベルの破砕を達成できると仮定される。特に、どのような特定理論にも拘束されることは望ましくないが、ポリオール類の添加の前にGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)を加えることで、ポリオール類の水酸基と無水物との望ましくない部分的反応(その結果、GANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩の親水性の増加と、これに伴いガムからの尚早な抽出の増強と、が起こる)の可能性が低くなると仮定される。よって、GANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)の、疎水性ガムベースへの混和が、初期の保護効果をもたらし得ると仮定される。
[pHの効果]
一般に、親水性前駆体成分を含有するチューインガム組成物の破砕速度は、pHの増加の伴って増大する。具体的には、pHを増加させることによって、特に7.0を上回ると、チューインガム組成物が加水分解して破砕するのに必要な時間(即ち、遅延時間)を短縮できる。
[親水性前駆体成分の濃度の効果]
一般に、親水性前駆体成分を含有するチューインガム組成物の破砕速度は、親水性前駆体成分の量の増加に伴って増大する。
[破砕速度]
ある実施態様では、本発明にかかる親水性前駆体成分を含有するチューインガムベースは、およそ2時間後に破砕し始め、48時間以内に完全に破砕することになる。特に、ある実施態様では、本発明にかかる、10%のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)、特に、GANTREZ AN(登録商標)及び/又はその塩を含有し、約12のpHを有するアルカリ成分に曝されるチューインガム組成物は、約12のpHを有するアルカリ成分に曝した後、およそ2時間後に破砕の徴候(具体的には、表面にわずかな白化及び粗面化)を示し始め、48時間以内に完全に破砕することになる。
ある実施態様では、7.5質量%のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)を含有するチューインガム組成物は、約8.0のpHを有するアルカリ成分に曝して約3日後に表面破砕の徴候を示し始め、約8.0のpHを有するアルカリ成分に曝して約1週間後には、実質的又は完全に分解することになる。
更に他の実施態様では、5質量%のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)を含有するチューインガム組成物、特に5質量%のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩を含有するタルク系のチューインガム組成物で、10分間ストマッキングされているものは、アルカリ成分(特に、家庭用の表面清掃製品の50%水溶液)に曝した後4時間以内に急速な破砕を示すことになる。
また他の実施態様では、5質量%のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩(処方の前後いずれに形成されてもよい)を含有するチューインガム組成物、特に5質量%のGANTREZ(登録商標)共重合体及び/又はその塩を含有するタルク系のチューインガム組成物で、10分間ストマッキングされているものは、雨水に曝して139時間後に急速な破砕を示すことになる。
ある実施態様では、エラストマー溶媒を含有するチューインガムベース及び/又は組成物に親水性前駆体ポリマーが使用され、他の実施態様では、エラストマー溶媒を含有しないチューインガムベース及び/又は組成物に親水性前駆体ポリマーが使用され、特にエラストマー溶媒は、本発明の組成物中に存在してもしなくてもよい。
ある実施態様では、チューインガムベースに親水性前駆体ポリマーを混和し、次いでチューインガムベースを、加水分解を促進する条件に曝すことで、そのチューインガムベースを含有するチューインガム組成物の付着性が低下する。
[親水性前駆体成分の使用の効果]
加水分解を促進する条件に曝す際にチューインガム組成物の破砕を促進することに加えて、親水性前駆体成分の使用は官能面から有益であり、特に、親水性前駆体成分を用いることにより、ガムの親水性の発現を遅延させることが可能となり、それによってガムが咀嚼の間に感知されるテクスチャを有することができるようになる。
[他の特徴]
ガムベースに使用するエラストマー(ゴム)は、所望のガムベースの種類、所望のガム組成物の整合性及びチューインガムの最終製品を調製するためにガム組成物に使用する他の成分等の種々の要因によって極めて多様である。エラストマーは、当技術分野で公知の任意の水不溶性のポリマーであってもよく、チューインガム及び風船ガムに利用されるガムポリマーを含む。ガムベースの適切なポリマーの例として、天然及び合成のエラストマーが挙げられる。例えば、エラストマー部分組成物において適切なポリマーとしては、限定されるものではないが、チクル、天然ゴム、クラウンガム、ニスペロ、ロシジンハ、ジェルトン、ペリロ、ニガーグッタ、トゥーヌ、バラタ、グッタペルカ、レチ−カプシ、ソルバ、グッタ−カイ等、及びそれらの組み合わせのような(植物由来の)天然物質が挙げられる。合成エラストマーの例としては、限定されるものではないが、スチレン‐ブタジエンコポリマー(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン‐イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。エラストマーの具体例としては、ポリイソブチレン、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
この他の有用なポリマーとしては、ポリブチルメタクリレート−アクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル‐ビニルアルコールコポリマー、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋した酢酸フタル酸セルロース、架橋したヒドロキシメチルセルロースポリマー、ゼイン、架橋したポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート‐アクリル酸コポリマー、乳酸のコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、可塑化されたエチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
一般に、ガムベースに使用されるエラストマーは、少なくとも約200000の平均分子量を有してもよい。望ましくは、ガムベースに使用されるエラストマーは、約200000〜約2000000の平均分子量を有する。
ある実施態様では、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ブタジエン‐スチレンゴム、及びこれらの組み合わせから選択された過半量の材料と咀嚼加工助剤とを含有するエラストマー組成物を含むことが特に有用であり、エラストマー組成物は、少なくとも約200000の平均分子量を有し、非付着及び/又は分解性誘引成分の添加は、エラストマーのガラス転移温度を3度の範囲、即ち、±3℃の範囲内に維持する。「過半」という用語は、組成物が、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ブタジエン−スチレンゴム、及びこれらの組み合わせから選択される材料を約50%〜約98%含むことを意味する。
ガムベースに使用するエラストマーの量は、使用するガムベースの種類、所望のガム組成物の整合性及びチューインガムの最終製品を調製するために、ガム組成物に使用する他の成分等の種々の要因によって変えてもよい。一般に、エラストマーは、ガムベース中に、ガムベースの約1〜30質量%の量で存在してもよい。望ましくは、エラストマーは、ガムベースの約2〜15質量%の量で存在する。より望ましくは、エラストマーは、ガムベース中に、ガムベースの約3〜10質量%の量で存在する。
ある実施態様では、エラストマーは、ガムベース中に、ガムベースの約10〜60質量%、望ましくは約35〜40質量%の量で存在するであろう。
ある実施態様では、チューインガムベースは、組織改質剤を含んでもよい。一般に、組織改質剤は、少なくとも約2000の分子量を有する。
ある実施態様では、組織改質剤は、ビニルポリマーを含む。好適な組織改質剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルラウレートアセテート、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
望ましくは、組織改質剤は、ガムベースの約15〜70質量%の量で存在する。より望ましくは、組織改質剤は、ガムベースの約20〜60質量%の量で存在する。最も望ましくは、組織改質剤は、ガムベースの約30〜45質量%の量で存在する。
上記の成分のほかに、ガムベースには、エラストマー溶媒、乳化剤、可塑剤、充填剤及びそれらの混合物から選択される成分等の種々の他の成分を含むことができる。上記のように、製造プロセスの際にゴムを素練りするのに、エラストマー溶媒を使用する必要はない。限られた量で存在してもよいが、ガムベースの約5質量%を上回る量で使用すると、本発明の非付着性が減少し得る。本発明の特定の実施態様において、エラストマー溶媒を、歯、義歯、口腔インプラント、及び他の口腔装具に対して十分な非付着性を与えるため、ガムベースの約4〜5質量%の量で使用してもよい。
ある実施態様では、ガムベースは、エラストマー成分の軟化を助長するため、従来の量より少量のエラストマー溶媒もまた含むことができる。ある実施態様では特に、こうした溶媒は、必要ではないが、非付着及び/又は分解性誘引成分とともに限られた量で使用してもよい。従来の量より少量とは、例えば、ガムベースの約0〜約5.0質量%、好ましくは約0.1〜約3.0質量%の量で、エラストマー溶媒をガムベース中に使用することを意味する。ある実施態様では、ガムベースは、最高で約5.0質量%のエラストマー溶媒を含む。他の実施態様において、ガムベースは、添加されるエラストマー溶媒を含まない。ある実施態様では、ガムベースは、添加されるワックスもまた含まない。
他の実施態様で、エラストマー溶媒の従来の量をガムベースに混和し、エラストマー成分の軟化を助長する。
かかるエラストマー溶媒としては、当技術分野において公知のエラストマー溶媒、例えば、α‐ピネン又はβ−ピネンのポリマー、メチル、グリセロール及びロジン及び修飾ロジンのペンタエリスリトールエステル等のテルピネン樹脂、並びに水素添加ロジン、二量体化ロジン及び重合ロジン等のゴム、及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる好適なエラストマー溶媒の例としては、部分的に水素化されたウッドロジン及びガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分的に二量体化されたウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、重合されたウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、タル油ロジンのグリセロールエステル、ウッドロジン及びガムロジンのグリセロールエステル、部分的に水素化されたウッドロジン及びガムロジン、木及びロジンの部分的な水素化メチルエステル等、並びにそれらの混合物が挙げられる。
望ましくは、ガムベースにエラストマー溶媒を混和しても、ガムベースの非付着誘引成分を妨害せず、且つ/又はガムベースが分解する能力を妨害しない。特に、非付着性又は低付着性が望まれるある実施態様では、エラストマー溶媒は、付着性に寄与することなくガムベースを軟化することが望ましい。更に、非付着性又は低付着性が望まれるある実施態様で、ガムベースのTgは、望ましくは、エラストマー溶媒をガムベースに混和したとき、±3℃を上回る変化をしない。
ある実施態様では、親水性前駆体成分を本発明のガムベースに混和する際に、エラストマー溶媒は存在してもしなくてもよい。特に、親水性前駆体成分が用いられるある実施態様では、エラストマー溶媒は、従来の量より少量、即ちガムベースの約0〜約5質量%、好ましくは約0.1〜約3質量%存在する。親水性前駆体成分が用いられる他の実施態様では、エラストマー溶媒は、従来の量、即ちガムベースの約5質量%を上回る量で存在する。例えば、エラストマー溶媒は、ガムベースの約2.0%〜約15%、より好ましくは約5質量%〜約15質量%の量で、更に一層好ましくは、ガムベースの約7質量%からガムベースの約11質量%の量で存在してもよい。
ある実施態様では、使用されるエラストマー溶媒は、疎水性部分がガムベース内で内側に配向し、親水性部分がエラストマーから得られたガムベース内で外側に配向するように、少なくとも1つの親水性部分と少なくとも1つの疎水性部分を有してもよい。少なくとも1つの親水性部分と少なくとも1つの疎水性部分を有する適切なエラストマー溶媒としては、例えば、メチルエステル液体ロジンが挙げられる。ある実施態様では、比較的少量のメチルエステル液体ロジンを混和することが特に有用である。メチルエステル液体ロジンは、他の樹脂に比較して、非付着及び/又は分解性誘引成分を干渉することが少ないが、それにもかかわらず、非付着誘引成分と併せて使用した場合には、高付着性に寄与することなく、ガムベースの軟化を増大させる。
望ましくは、ある実施態様で、メチルエステル液体ロジンは、ガムベースの約0.5質量%〜約5.0質量%の量でガムベースに混和される。より望ましくは、メチルエステル液体ロジンは、ガムベースの約1.0質量%〜約3.0質量%の量でガムベースに混和される。
また、ガムベースは、単一の安定システムにガムベースの非混合成分を分散させるのに役立つ乳化剤を含んでよい。本発明において有用な乳化剤としては、モノステアリン酸グリセリン、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、プロピレングリコールモノステアリン酸等、及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施態様では、乳化剤を、ガムベースに対して約0〜約50質量%、より具体的には約2〜約7質量%の量で使用してもよい。他の実施態様では、乳化剤を、ガムベースに対して約2〜約15質量%、より具体的には約7〜約11質量%の量で使用してもよい。
ガムベースはまた、種々の望ましいテクスチャ及び整合性特性を与えるために、可塑剤又は軟化剤を含んでよい。可塑剤及び軟化剤は、成分の分子量が低いため、ガムベースの実質的な構造を透過できることから、可塑性を与えながら粘性を低くする。有用な可塑剤及び軟化剤としては、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセリルトリアセテート、グリセリルレシチン、モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコールモノステアリン酸、アセチル化モノグリセリド、グリセリン、ロウ等、及びそれらの混合物が挙げられる。他の軟化剤として、イナゴマメ、トラガカント、ローカストビーン、及びカルボキシメチルセルロールが挙げられる。ある実施態様では、一般に、上記の可塑剤と軟化剤を、ガムベースの約20質量%以下の量で、より詳しくは、ガムベースの質量の約2%〜約12%の量でガムベースに使用する。他の実施態様では、一般に、上記の可塑剤と軟化剤を、ガムベースの約20質量%以下の量で、より詳しくは、ガムベースの質量の約9%〜約17%の量でガムベースに使用する。
可塑剤は、大豆油及び綿実油等の水素化植物油も含み、これらは、単独で又は組み合わせて使用してもよい。これらの可塑剤は、ガムベースに良好なテクスチャ及び軟らかい噛み応えを与える。可塑剤及び軟化剤は、一般に、ガムベースの約5〜約14質量%で、より具体的には約5〜約13.5質量%の量で使用する。
好適なロウとしては、例えば、天然及び合成ロウ、水素化植物油、石油ロウ、例えばポリウレタンロウ、ポリエチレンロウ、パラフィンロウ、微晶質ロウ、脂肪ロウ、モノステアリン酸ソルビタン、牛脂、プロピレングリコール、それらの混合物等が挙げられる。ロウの量は、ガムベース中に、ガムベースに対して約1質量%〜約15質量%であってよい。ある実施態様では、使用する場合、好適なロウの量は、ガムベースに対して、約2質量%〜約10質量%、より好ましくは約3質量%〜約8質量%である。他の実施態様でロウを用いる場合、ロウの量は、ガムベースに対して、約6質量%〜約10質量%、より好ましくは約7質量%〜約9.5質量%であってもよい。
ある実施態様では、ガムベースの量は、最高でロウの約8質量%である。他の実施態様では、ガムベースは、添加のロウを含まない。
ある実施態様でロウが存在する場合、使用するロウは、約60℃未満、より好ましくは45℃〜55℃までの融点を有してもよい。低融点を有するロウとは、例えば、パラフィンロウでもよい。
低融点ロウに加えて、ある実施態様では、より高融点を有するロウを、ガムベースの約5質量%までの量でガムベース中で用いてもよい。このような高融点ロウとして、例えば、ミツロウ、モクロウ、カンデリラロウ、カルナバロウ、ほとんどの石油ロウ等、及びこれらの混合物が挙げられる。
無水グリセリンを、柔軟剤(例えば市販の米国薬局方(USP)等級)として使用してもよい。グリセリンは、甘く暖かい味を備えたシロップ状の液体であって、ショ糖の約60%の甘味を有する。グリセリンは吸湿性を有するため、無水グリセリンは、チューインガム組成物の調製中、無水状態の下で維持される場合がある。
ある実施態様では、本発明のガムベースは、水溶性且つ/又は鉱物性の増量剤、特に本発明のガムベースは、有効量の増量剤(例えば充填剤及びテクスチャ剤としての役割を果たすことができるミネラル補助剤)を含んでもよい。有用なミネラル補助剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、でんぷん、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム等、アトマイト(atomite)等、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの充填剤又はアジュバントは、種々の量でガムベース組成物に使用してもよい。充填剤の量は、ガムベース及び/又はチューインガム組成物の約0質量%〜約60質量%、より具体的にはガムベース及び/又はチューインガム組成物の約0質量%〜約50質量%、更に具体的には約0質量%〜約40質量%であってもよい。ある実施態様では、充填剤は、ガムベース及び/又はチューインガム組成物の約0質量%〜約30質量%の量で存在してもよい。更に、ある実施態様では、充填剤の量は、ガムベース及び/又はチューインガム組成物の約0質量%〜約15質量%、より具体的にはガムベース及び/又はチューインガム組成物の約3質量%〜約11質量%である。他の実施態様では、使用する場合、充填剤の量は、ガムベースの約15〜約40質量%、望ましくは、約20〜30質量%の量で存在してもよい。
ある実施態様では、ガムベースは、ガムベースと前記ガムベースから得られるガム製品の付着性を低減させる少なくとも1つの親水性で水吸収性のポリマーを更に含んでもよい。好適な親水性で水吸収性のポリマーとしては、以下のもの、即ち、天然・改質デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等の化学的に改質されたセルロース、キサンタンガム、カラギーナンガム、グアーガム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、カードラン、アラビノキシラン、アガラ、及びアルギン酸塩等のガム、ペクチン、及びゼラチンが挙げられる。
一般に、少なくとも1つの親水性で水吸収性のポリマーを、ガムベースの質量の約0.1%〜約10%の量で含む。望ましくは、少なくとも1つの親水性で水吸収性のポリマーは、ガムベースの約2質量%〜約8質量%の量で存在する。より望ましくは、少なくとも1つの親水性で水吸収性のポリマーは、ガムベースの約3質量%〜約6質量%の量で存在する。
ある実施態様では、少なくとも1つの酸化防止剤がチューインガムベースの中に存在してもよい。望ましくは、酸化防止剤は水溶性である。好適な酸化防止剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンC、ビタミンE、及びこれらの混合物が挙げられる。
酸化防止剤をガムベースに含める場合、酸化防止剤の含有量は、一般に、ガムベースの約0.01質量%〜約0.3質量%の量である。望ましくは、酸化防止剤を、ガムベースの約0.05質量%〜約0.1質量%の量で、ガムベースに含む。エラストマーを分解させることができる物質と共に、実施態様で混和する場合、光増感剤によって生じ得るフリーラジカルとの干渉を防ぐため、酸化防止剤を少ない量に保つことが望ましい。
ある実施態様では、チューインガム組成物は、少なくとも1つのエラストマーと、エラストマーを分解させる又はエラストマーの分子量を高める等によってエラストマーの分子量を経時的に変化させることができる少なくとも1つの物質とを含む。
ある実施態様では、上記に説明したチューインガムベースを、約5質量%〜約95質量%の量でチューインガム組成物に混和してもよい。より望ましくは、チューインガムベースは、全体のチューインガム組成物の約28質量%〜約42質量%の量で存在してもよく、より一層詳しくは、その範囲は、全体のチューインガム組成物の約28質量%〜約30質量%でもよい。中央充填のチューインガム組成物の場合、この質量割合は、中央充填領域よりもむしろガム領域を基準にしてもよい。
本発明のチューインガム組成物は、糖類等のバルク甘味料、無糖のバルク甘味料等、又はこれらの混合物を含んでもよい。ある実施態様では、バルク甘味料は、一般に、チューインガム組成物の約5〜約99質量%の量で存在してもよい。
好適な糖甘味料としては、通常、限定しないが、サッカロース(砂糖)、デキストロース、マルトース、デキストリン、キシロース、リボース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、転化糖、フラクトオリゴ糖シロップ、部分的に水素化したデンプン、コーンシロップ固体、イソマルチュロース、並びにそれらの混合物等の単糖類、二糖類及び多糖類が挙げられる。
好適な無糖のバルク甘味料としては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、水素化したイソマルチュロース、(ISOMALT)、ラクチトール、エリスリトール、水素化デンプンの加水分解物、ステビア、及びそれらの混合物等の糖アルコール類(又はポリオール類)が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な水素化デンプン加水分解物としては、米国特許第25959号、第3356811号、第4279931号に開示されたもの、及び種々の水素化グルコースシロップ及び/又はソルビトール、水素化二糖、三糖以上の水素化多糖、若しくはそれらの混合物を含有する粉体が挙げられる。水素化デンプン加水分解物は、主に、コーンシロップの制御された接触水素化によって調製される。得られる水素化デンプン加水分解物は、モノマー、ダイマー、及びポリマー多糖の混合物である。これらの糖類の比が異なることによって、異なる性質の異なる水素化デンプン加水分解物が得られる。フランスのRoquette Freres製造の市販品LYCASIN(登録商標)、及びNew Castle, DelawareのSPI Polyols, Inc.製造の市販品HYSTAR(登録商標)等の、水素化デンプン加水分解物の混合物も有用である。
使用される甘味剤を、水溶性甘味料、水溶性人工甘味料、天然素材の水溶性甘味料から誘導された水溶性甘味料、ジペプチドを基礎にした甘味料、タンパク質を基礎にした甘味料、及びこれらの混合物等の広範囲の材料から選択してもよい。「甘味料」又は「甘味剤」の用語は、バルクの甘味料のみならず強力な甘味料もまた包含してもよい。特定の甘味料に限定することなく、代表的な分類及び例を以下に挙げる:
(a)ジヒドロカルコン、モネリン、ステビア、ステビオシド、レバウジオシドA、グリチルリジン、ジヒドロフラベノール等の水可溶性甘味剤、及びソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール類、並びにL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミドで、米国特許第4619834号に開示のもの等(この開示は本願に引用して援用する)、並びにこれらの混合物;
(b)可溶性サッカリン塩等の水可溶性人工甘味料、即ち、ナトリウム又はカルシウムサッカリン塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウム又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)等、サッカリンの遊離酸型、及びこれらの混合物;
(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、及び米国特許第3492131号に記載の物質等のL−アスパラギン酸由来甘味料、L−アルファアスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、N−[N−(3,3−ジメチルブチル)−L−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル(ネオテーム)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン;L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、及びこれらの混合物等のジペプチド系甘味料;
(d)普通の砂糖(サッカロース)の塩素化誘導体等の水可溶性甘味料を生じる天然由来の水可溶性甘味料、例えば、スクラロースの品名で知られている、例えばクロロデオキシサッカロース又はクロロデオキシガラクトサッカロースの誘導体等といったクロロデオキシ糖誘導体;クロロデオキシサッカロース及びクロロデオキシガラクトサッカロース誘導体の例として、限定しないが、以下のものが挙げられる:1−クロロ−1’−デオキシサッカロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−アルファ−D−フラクトフラノシド、又は4−クロロ−4−デオキシガラクトサッカロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトサッカロース;1’,6’−ジクロロ−1’,6’−ジデオキシサッカロース;4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトサッカロース、4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトサッカロース;6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシサッカロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−フラクトフラノシド、又は4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−サッカロース;及び4,6,1’,6’−テトラデオキシ−サッカロース、及びこれらの混合物;
(e)タウマッコスダニエリ(タウマチンI及びII)等の蛋白質系甘味料、及び
(f)天然甘味料モナチン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸)及びその誘導体;並びに
(g)甘味料Lo han guo(羅漢果「Lo han kuo」と称されることもある)。
高甘味度甘味剤は、当該技術分野でよく知られた多くの異なる物理的形態で用いることで、甘味の初期噴出及び/又は甘味の持続的な認識を与えることができる。限定されるものではないが、こうした物理的形態としては、噴霧乾燥、粉末化、ビーズ形態、カプセル化形態、及びこれらの混合物のような自由な形態が挙げられる。
一般に、甘味料は、十分な量で存在することで所望の甘味レベルを提供し、この量は、選択する甘味料又は甘味料の組み合わせによって変えることができる。各種甘味料の量の正確な範囲は、当業者が選択できる。一般に、甘味料の量は、チューインガム組成物に対して、約0.001質量%〜約3.0質量%、より具体的には約0.01質量%〜約2.0質量%である。
チューインガム組成物は、香味料(即ち、香味剤又は着香料)を含んでもよい。使用してよい香味料としては、当業者にとって公知の香味料(例えば天然香味料及び人工香味料)を含む。これらの香味料を、合成香油及び着香芳香剤及び/又は油分、植物、葉、花、フルーツ等に由来する含油樹脂及び抽出物並びにこれらの組み合わせから選択することができる。非限定的な代表的な香味料油としては、スペアミント油、ケイ皮油、ウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)、ハッカ油、和種ハッカ油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス、セージ油、メース、苦扁桃油及びカッシア油が挙げられる。また、有用な香味料としては、柑橘類油(レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチを含む)及び果物エッセンス(リンゴ、西洋ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、プラム、パイナップル、スイカ、アンズ、バナナ、メロン、ウメ、サクランボ、キイチゴ、ブラックベリー、熱帯果実、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイアを含む)等の人工、天然及び合成の果物香味料(バニラ等)が挙げられる。他の香味料としては、牛乳香味料、バター香味料、チーズ香味料、クリーム香味料及びヨーグルト香味料、バニラ香味料、茶葉又はコーヒー香味料(例えば緑茶香味料、ウーロン茶香味料、茶葉香味料、カカオ香味料、チョコレート香味料及びコーヒー香味料)、ミント香味料(例えばペパーミント香味料、スペアミント香味料及び和種ハッカ香味料)、香辛香味料(例えばアギ香味料、アジョワン香味料、アニス香味料、アンゼリカ香味料、ウイキョウ香味料、オールスパイス香味料、シナモン香味料、カミツレ香味料、マスタード香味料、カルダモン香味料、キャラウェー香味料、クミン香味料、クローブ香味料、コショウ香味料、コリアンダ香味料、サッサフラス香味料、風味香味料、サンショウ香味料、シソ香味料、ビャクシン液果香味料、ジンジャー香味料、スターアニス香味料、セイヨウワサビ香味料、タイム香味料、タラゴン香味料、イノンド香味料、トウガラシ香味料、ナツメグ香味料、バジル香味料、マヨラナ香味料、ローズマリ香味料、ローリエ香味料及びワサビ(日本のセイヨウワサビ)香味料)、アルコール香味料(例えばワイン香味料、ウイスキー香味料、ブランデー香味料、ラム香味料、ジン香味料及びリキュール香味料)、花の香味料及び野菜香味料(例えばタマネギ香味料、ニンニク香味料、キャベツ香味料、ニンジン香味料、セロリ香味料、キノコ香味料及びトマト香味料)が挙げられる。これらの香味料は、液状又は固体形状で用いてもよく、また単独又は混合して用いてもよい。通常使用される香味料は、ペパーミント、メントール、スペアミント等のミント類、人工バニラ、シナモン誘導体及び様々なフルーツ香味料を含み、単独又は混合して用いられる。
他の有用な香味料としては、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセテート、ギ酸オイゲニル、p−メチルアミゾール等を含むアルデヒド及びエステルが挙げられる。一般的に「Chemicals Used in Food Processing,publication1274」(63〜258頁、National Academy of Sciences)に記載されるような任意の香味料又は食品添加物を使用することができる。この出版物は、本願に引用して援用する。
アルデヒド香味料の更なる例としては、限定されるものではないが、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、アニスアルデヒド(甘草、アニス)、ケイ皮アルデヒド(シナモン)、シトラール(即ち、アルファ−シトラール(レモン、ライム))、ネラール(即ち、β−シトラール(レモン、ライム))、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ(即ち、ピペロナール(バニラ、クリーム))、バニリン(バニラ、クリーム)、アルファ−アミルシンナムアルデヒド(スパイシーな果実風味)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(多くの種類に修飾)、デカナール(柑橘類果実)、アルデヒドC−8(柑橘類果実)、アルデヒドC−9(柑橘類果実)、アルデヒドC−12(柑橘類果実)、2−エチルブチルアルデヒド(液果類)、ヘキセナール(即ち、トランス−2(液果類))、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、ベラトルムアルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール(即ち、メロナール(メロン))、2,6−ジメチルオクタナール(熟していない緑色の果物)及び2−ドデセナール(柑橘類、マンダリン)、サクランボ、ブドウ、イチゴのショートケーキ及びそれらの混合物が挙げられる。
ある実施態様において、香味料は、液体形態及び/又は乾燥形態のいずれにおいても使用することができる。後者では、油を噴霧乾燥(スプレードライ)する等の好適な乾燥手段を用いてもよい。或いは、香味料を、水溶性材料(例えばセルロース、デンプン、糖、マルトデキストリン、アラビアゴム等)に吸収又は封入してもよい。かかる乾燥形態を調製するための実際の技術はよく知られている。
ある実施態様では、香味剤を、当該技術でよく知られる多くの明確な物理的形態で使用して、香味の初期的突発及び/又は香味の長期的感覚を提供してもよい。限定されるものではないが、こうした物理的形態としては、噴霧乾燥、粉末化、ビーズ形態、カプセル化形態、及びこれらの混合物のような自由な形態が挙げられる。
本願において使用される香味剤の量は、個々の香味や望まれる香味の強さのような因子に対する優先事項であってもよい。即ち、香味料の量は、最終的製品に望まれる結果を得る目的で変化してもよく、こうした変化は、当業者の能力の範囲内であり、過度の実験は必要としない。一般に、香味剤は、チューインガム製品の質量の約0.02〜約5.0質量%、より具体的には約0.1〜約4.0質量%、より一層具体的には約0.8〜約3.0質量%の量で存在する。
着色剤、酸化防止剤、防腐剤等のようないろいろな他の伝統的成分もまた、チューインガム製品の中に有効量で含んでもよい。着色剤を、所望の色を生成する有効量で使用してもよい。着色剤には顔料が挙げられ、組成物の約6質量%以下の量で混和してもよい。例えば、二酸化チタンを、組成物の質量で約2%以下、好ましくは約1%未満の量で混和してもよい。また、着色剤には、食品、薬品、及び化粧品の用途に好適な自然食の色味や染料が挙げられる。これらの着色剤はF.D.&C.染料・レーキとして知られる。上記の使用に受け入れられる材料は、好ましくは水溶性である。例えば限定されない例としては、F.D.&C.ブルーNo.2として知られる5,5‐インジゴ錫ジスルホン酸であるインジゴイド染料が挙げられる。同様に、F.D.&C.グリーンNo.1として知られる染料は、トリフェニルメタン染料を含み、4‐[4‐(N‐エチル‐p‐スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]‐[1‐(N‐エチル‐N‐p‐スルホニウムベンジル)‐デルタ‐2,5‐シクロヘキサジエンイミン]のモノナトリウム塩である。全てのF.D.&C.着色剤とそれらの対応する化学構造の十分な詳述は「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、5巻、857〜884頁」に示されており、この文献を、本願で引用して援用する。
生理的冷却剤、加温剤、及び刺痛剤等の知覚物質、喉無痛化剤、薬味、ハーブや薬草の抽出物、歯漂白剤、息清涼剤、ビタミンやミネラル、生理活性物質、カフェイン、ニコチン、薬物その他の活性物質のような付加的な添加剤もまた、チューインガム製品の任意の又は全ての部分又は領域に含んでもよい。かかる成分を、それらの意図する効果を達成するのに十分な量で使用してもよい。
冷却剤に関しては、様々なよく知られる冷却剤を使用してもよい。例えば、とりわけ有用な冷感剤としては、メントール、キシリトール、エリスリトール、デキストロース、ソルビトール、メンタン、メントン、ケタール、メントンケタール、メントングリセロールケタール、置換p−メンタン、非環状カルボキサミド、モノメンチルグルタレート、置換シクロヘキサミド、置換シクロヘキサンカルボキサミド、置換ウレア及びスルホンアミド、置換メンタノール、p−メンタンのヒドロキシメチル及びヒドロキシメチル誘導体、2−メルカプト−シクロ−デカノン、2−イソプロパニル−5−メチルシクロヘキサノール、炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸、シクロヘキサンアミド、酢酸メンチル、乳酸メンチル、サリチル酸メンチル、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、コハク酸メンチル、イソプレゴール、3,1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、グルタル酸エステル、3−(1−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−2,3−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−2−メタノール、コハク酸メチル及びそのアルカリ金属塩類、トリメチルシクロヘキサノール、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、和種はっか油、ペパーミント油、3−(1−メントキシ)エタン−1−オール、3−(1−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(1−メントキシ)ブタン−1−オール、1−メンチル酢酸N−エチルアミド、1−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、1−メンチル−3−ヒドロキシブチレート、N,2,3−トリメチル−2−(1−メチルエチル)−ブタンアミド、n−エチル−t−2−c−6ノナジエンアミド、N,N−ジメチルメンチルスクシンアミド、置換p−メンタン、置換p−メンタン−カルボキサミド、2−イソプロパニル−5−メチルシクロヘキサノール(久光製薬社製、本明細書にて「イソプレゴール」と後述)メントングリセロールケタール類(FEMA3807、商品名FRESCOLAT(登録商標)MGAタイプ)、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール(タカサゴ社製、FEMA3784)、乳酸メンチル、(Haarman & Reimer製、FEMA3748、商品名FRESCOLAT(登録商標)MLタイプ)、WS−30、WS−14、ユーカリエキス(p−メンタ−3,8ジオール)、メントール(天然又は合成誘導体)、メントールPGカーボネート、メントールEGカーボネート、メントールグリセリルエーテル、N−tertブチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、P−メンタン−3−カルボン酸グリセロールエステル、メチル−2−イソプリル−ビシクロ(2.2.1)、ヘプタン−2−カルボキサミド、並びにメントールメチルエーテル及びメンチルピロリドンカルボキシレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの清涼剤や他の好適な清涼剤は、以下の米国特許に更に記載されており、それらすべての全体を、本願に引用して援用する:Rowsellらの米国特許第4230688号及び第4032661号、Amanoらの米国特許第4459425号、Watsonらの米国特許第4136163号、Grubらの米国特許第5266592号、並びにWolfらの米国特許第6627233号。冷感剤の量は、一般的に0.01%〜10.0%である。
温感剤を個々の使用者に温感信号をもたらすことが知られている多種多様な化合物から選択してよい。これらの化合物は、特に口腔内で温かみを認知する感覚を与え、香味料、甘味料、及びその他の感覚刺激性成分の認知を増強する場合が多い。有用な温感剤としては、口腔内の受容体に結合しうる少なくとも1種のアリルビニル成分を有するものが挙げられる。好適な温感剤の例として、限定しないが:Takasago Perfumary Company Limited、東京、日本により供給されるバニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000)や、バニリルアルコールn−プロピルエーテル;バニリルアルコールイソプロピルエーテル;バニリルアルコールイソブチルエーテル;バニリルアルコールn−アミノエーテル;バニリルアルコールイソアミルエーテル;バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル;バニリルアルコールメチルエーテル;バニリルアルコールエチルエーテル;ジンゲロール;ショウガオール;パラドール;ジンゲロン;カプサイシン;ジヒドロカプサイシン;ノルジヒドロカプサイシン;ホモカプサイシン;ホモジヒドロカプサイシン;エタノール;イソプロピルアルコール;イソ−アミルアルコール;ベンジルアルコール;グリセリン;クロロホルム;オイゲノール;シナモン油;ケイ皮アルデヒド;そのリン酸塩誘導体;及びそれらの組み合わせが挙げられる。
刺激剤は、使用者に刺激を与える、刺痛を与える又は麻痺する知覚をもたらす場合がある。刺激剤としては、限定しないが:有効成分がスピラントールであるジャンブーオレオレジン又はパラクレス(Spilanthes sp.);サンショール−I、サンショール−II及びサンショーアミドとして知られる成分を含有するサンショウエキス(Zanthoxylum peperitum);カビシン及びピペリンの有効成分を含有する黒コショウエキス(piper nigrum);エキナセアエキス;キタサンショウ(Northern Prickly Ash)エキス;及び赤コショウオレオレジンが挙げられる。ある実施態様では、ジャンブー又はサンショール等の物質から抽出したアルキルアミドを含んでもよい。更に、ある実施態様において、感覚は発泡によって引き出される。かかる発泡性は、塩基性物質を酸性物質と合わせることによって生み出され、これらの一方又両方が封入されていてよい。ある実施態様において、塩基性物質は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びそれらの混合物を含んでよい。ある実施態様において、酸性物質は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酪酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グリコン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸及びそれらの組合せを含んでよい。「刺激」型感覚剤の例は、米国特許第6780443号に見出すことができ、その内容全体を、あらゆる目的で本願に引用して援用する。刺激剤は、Nakatsuらの米国特許第6780443号、McLaughlinらの米国特許第5407665号、Johnsonらの米国特許第6159509号、及びNakatsuらの米国特許第5545424号に記載されており、これらの各々はその全体を、本願に引用して援用する。
加温又は冷却効果の感覚は、Johnsonらの米国特許公開公報2003/0072842A1に記載のような疎水性甘味料の使用によって長引かせてもよく、この公報は、本願に引用してその全体を援用する。例えば、こうした疎水性甘味料には、その中で引用している式1〜4のものが挙げられる。米国特許第6159509号に記載のようなペリラルチンもまた添加されてもよく、この特許も、本願に引用してその全体を援用する。
上記の香味剤や冷却剤のほかに、息をさわやかにする物質は、臭気をコントロールする特性を有するいろいろな組成物を含んでもよい。こうした息をさわやかにする物質としては、限定されるものではないが、シクロデキストリンやマグノリアバークエキストラクトが挙げられる。息をさわやかにする物質を、息をさわやかにする効果を長期間与えるために、更にカプセル化してもよい。悪臭をコントロールする組成物の例は、Staplerらの米国特許第5300305号、及び米国特許公開公報2003/0215417、同2004/0081713に記載されており、これらは本願に引用してその全体を援用する。
本発明のチューインガム組成物のある実施態様では、いろいろな口腔ケア製品もまた挙げられる。かかる口腔ケア製品は、歯面漂白剤、汚れ除去剤、歯石防止剤、及び歯垢防止剤を含んでもよい。使用可能な口腔ケア物質としては、限定されるものではないが、界面活性剤、息をさわやかにする物質、抗真菌剤、抗細菌剤、口臭抑制剤、フッ素化合物、第4アンモニウム化合物、ミネラル補給物質、及びこれらの組み合わせのような、当業者に公知の活性物質が挙げられる。これらの例としては、限定されるものではないが、タンパク質分解酵素等の加水分解性物質、水和シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、及びアルミナ等の研磨剤、表面活性物質、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、スルフェート化オレイン酸ブチル、オレイン酸ナトリウム、フマル酸塩、グリセロール、ヒドロキシル化レシチン、及びラウリル硫酸ナトリウムのようなアニオン界面活性剤、及びポリリン酸塩のようなキレート化剤等のその他の活性汚れ除去成分が挙げられ、これらは典型的に、歯石除去成分として歯磨き剤に使用される。また、ピロリン酸四ナトリウムとトリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、キシリトール、ヘキサメタホスフェート、及び研磨剤シリカが挙げられる。更なる例には、本願に引用してその全体を援用する以下の米国特許が挙げられる。即ち、Reynoldsの米国特許第5227154号、Greenbergの同第5378131号、及びHolmeらの同第6685916号である。ミネラル補給物質、抗菌剤、及び歯面漂白剤のような適切な口腔ケア物質は、本願に引用してその全体を援用する本出願人による係属中の「米国特許出願No.10/901511、2004年7月29日出願、発明の名称“Tooth−Whitening Compositions and Delivery Systems Therefor”」に記載されており、これらの混合物でもよい。
また、薬物、薬草、及び栄養補給剤等のいろいろな薬剤をチューインガム組成物に含んでもよい。有用な薬物の例としては、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗高コレステロール血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止瀉薬調剤、解毒薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗炎症薬、抗脂質薬、抗躁薬、制吐薬、抗卒中薬、抗甲状腺薬製剤、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、挫創薬、アルカロイド、アミノ酸調剤、鎮咳薬、抗尿酸血症薬、抗ウイルス薬、アナボリック調剤、全身及び非全身抗感染薬、抗移植的新組織形成薬、抗パーキンソン病薬、抗リウマチ薬、食欲刺激剤、生物学的応答修飾剤、血液修飾薬、骨代謝調節剤、心血管薬、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害薬、避妊薬、鬱血除去薬、栄養補助食品、ドーパミンレセプター作用薬、子宮内膜症管理薬、酵素、シルデナフィルクエン酸塩等の勃起機能障害治療薬(現在、Viagra(登録商標)として流通)、不妊治療薬、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症及び低カルシウム血症管理薬、免疫変調薬、免疫抑制薬、片頭痛薬調剤、動揺病治療薬、筋肉弛緩薬、肥満管理薬、骨粗鬆症薬調剤、子宮収縮薬、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬、プロスタグランジン、精神治療薬、呼吸器作用薬、鎮静薬、ブロモクリプチン又はニコチン等の禁煙補助薬、交感神経遮断薬、振戦薬調剤、尿管作用薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸薬、イオン交換樹脂、抗発熱薬、食欲抑制薬、去痰薬、抗不安薬、抗潰瘍薬、抗炎症性物質、冠動脈拡張薬、脳拡張薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、刺激薬、抗高血圧薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗生物質、精神安定薬、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗凝固薬、抗血栓薬、睡眠薬、鎮吐薬、抗嘔吐薬、抗痙攣薬、神経筋肉作用薬、高糖血症及び低糖血症薬、甲状腺及び抗甲状腺薬調剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、肥満抑制薬、赤血球生成薬、抗喘息薬、鎮咳剤、粘液溶解薬、DNA及び遺伝的修飾薬、及びそれらの組合せが挙げられる。
本発明のチューインガム組成物における使用が考えられる有効成分の例としては、制酸剤、H2アンタゴニスト及び鎮痛剤が挙げられる。例えば、制酸剤は、成分として炭酸カルシウムを単独で、或いは、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムとの組み合わせを用いて調製することができる。更に、制酸剤は、H2アンタゴニストと組み合わせて使用することができる。
鎮痛剤としては、アヘン剤及びアヘン剤誘導体、例えばOxycontin、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン及びカフェインを任意に含むことができるそれらの組み合わせが挙げられる。
実施態様において用いられる他の薬剤有効成分としては、抗下痢薬(例えばImmodium AD、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、充血除去薬、ビタミン及び口中清涼剤)が挙げられる。また、本明細書において使用が考えられるものは、抗不安剤(例えばXanax)、抗精神病剤(例えばClozaril)及びHaldol)、非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID)(例えばイブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、Voltaren及びLodine)、抗ヒスタミン剤(例えばClaritin、Hismanal、Relafen及びTavist)、抗嘔吐剤(例えばKytril及びCesamet)、気管支拡張剤(例えばBentolin及びProventil)、抗うつ剤(例えばProzac、Zoloft及びPaxil)、抗片頭痛薬(例えばImigra)、ACE抑制剤(例えばVasotec、Capoten及びZestril)、アルツハイマー治療剤(例えばNicergoline)及びCaHアンタゴニスト(例えばProcardia、Adalat及びCalan)である。
更に、チューインガムのある実施態様では、H2アンタゴニストを含むことができる。好適なH2アンタゴニストの例としては、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジエン、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン及びアセロクサチジンが挙げられる。
有効な制酸成分としては、限定されるものではないが、水酸化アルミニウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム、炭酸水素塩、アルミン酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、ビスマスサブシリシレート(bismuth subsilysilate)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸又は塩)、アミノ酢酸、水和硫酸アルミン酸マグネシウム、マグアルドレート、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムグリシネート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、乳固形分、リン酸アルミニウム一又は二カルシウム、リン酸三カルシウム、炭酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、酒石酸及びそれらの塩が挙げられる。
種々の栄養補給剤を、ガム組成物に含んでもよい。任意のビタミン又はミネラルを含んでもよい。例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB6、ビタミンB12、チアミン、リボフラビン、ビオチン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、鉄、銅、ヨード、亜鉛、セレン、マンガン、コリン、クロム、モリブデン、フッ素、コバルト、及びそれらの組み合わせを使用することができる。
栄養補給剤の例は、米国特許出願公開第2003/0157213号明細書、同2003/0206993号明細書及び同2003/0099741号明細書に記載されており、この内容全体を本願に引用して援用する。
種々のハーブを、例えば種々の薬効成分又は栄養補助成分を有する有効成分として含んでもよい。ハーブは通常、芳香植物又は芳香植物の部分であり、医薬或いは香味料として使用することができる。好適なハーブは、単独又は様々に混合して使用することができる。広く使用されるハーブとしては、エキナシア、ヒドラスチス、キンセンカ、アロエ、アカネグサ、グレープフルーツ種子抽出物、ブラックコホッシュ、クランベリー、イチョウの葉、セイヨウオトギリソウ、マツヨイグサ油、ヨヒンビ樹皮、緑茶、マカ、コケモモ、ルテイン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
また、酸味料をチューインガム組成物に配合してもよい。好適な酸味料としては、例えば、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
チューインガム組成物に使用される上記の添加剤のみならず、チューインガム組成物のチューインガムベース、又はチューインガム製品が備えてもよいコーティングに、増粘剤のような当業者に知られる他の従来の添加剤のいずれをも混和してよい。
本発明のチューインガム組成物は、いろいろな形状とサイズに形成されてもよく、限定されるものではないが、スティック、厚板、大きい塊、玉、まくら、タブレット、ペレット、中央充填、圧縮タブレット、堆積、圧縮チューインガム、又は他の適切な型のみならず、コーティングされた及びコーティングされていない形態等の種々の製品形態を取ることができる。
チューインガム組成物がコーティングされた製品に形成される場合、前記コーティングは、当該技術で公知の任意の方法によって施されてもよい。コーティング組成物は、全体の中央充填ガム片の約2〜約60質量%、より詳しくは、約25〜約35質量%、又は全体のチューインガム片の約25〜約45質量%、より一層詳しくは、ガム片の約30質量%の量で存在してもよい。
このようなコーティングされたチューインガムは、通常ペレットガムと呼ばれる。外側コーティングは、硬質又は歯ごたえがあってもよい。当業者に公知の、任意の好適なコーティング剤を使用してもよい。典型的に、外側コーティングは、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、イソマルト、及び他の結晶性ポリオールを含んでもよく、サッカロースもまた使用してもよい。更に、前記コーティングは、チューインガム組成物がコーティングそのものを通して見ることができないように、いくつかの不透明な層を含んでもよく、このコーティングは、場合により、美観、組織、及び保護の目的で、更に1つ又は複数の透明な層で被覆することができる。外側コーティングは、少量の水とアラビアゴムもまた含んでもよい。このコーティングは、更にワックスで被覆することができる。このコーティングは、各塗布の間に乾燥させながらコーティング溶液を継続して適用することによる従来の方法で施してもよい。コーティングが乾燥すると、通常は不透明になり、通常は白色であるが、他の着色剤を添加してもよい。ポリオールのコーティングをワックスとともに更に被覆することができる。このコーティングは、着色したフレーク又は斑点を更に含むことができる。組成物がコーティングを含む場合、1つ以上の口腔ケア活性物質をコーティングの全体に分散させることができる。このことは、1つ以上の口腔ケア活性物質が、別な活性物質を有する単一相組成物中で非適合性である場合に、特に好ましい。香料を更に添加し、ユニークな製品特性を生じさせてもよい。
所望の特性を得るため、その他の材料をコーティングに添加してもよい。これらの材料としては、限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース、ゼラチン、キサンタンガム、及びアラビアゴムが挙げられる。
中央充填のチューインガム製品の場合、前記コーティングは、ガム片の熱安定性を高め、液体充填物の漏れを防ぐのを支援するように処方してもよい。ある実施態様では、前記コーティングは、ゼラチン組成物を含んでもよい。ゼラチン組成物は、40質量%の溶液として添加してもよく、コーティング組成物の約5〜約10質量%、より具体的には約7%〜約8%で、コーティング組成物中に存在してもよい。ゼラチンのゲル強度は、約130ブルームから約250ブルームまでであってもよい。
所望の特性を得るため、その他の材料をコーティングに添加してもよい。これらの材料としては、限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース、ゼラチン、プルラン、アルギン酸塩、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、アラビアゴム、及びポリ酢酸ビニル(PVA)が挙げられる。
コーティング組成物は、随意の硬質コーティングの前に個々のガム片に添加されるプレコーティングもまた含んでもよい。前記プレコーティングは、ポリ酢酸ビニル(PVA)の適用を含んでもよい。これは、エチルアルコールのような溶媒中のPVAの溶液として施してもよい。外側の硬質コーティングが望まれる場合、PVAの適用は、全コーティングの約3〜4質量%、又はガム片の全質量(液体充填物、ガム領域、及び硬質コーティングを含む)の約1%であってもよい。
ある実施態様は、ガムベースのエラストマーを加工方法にまで及ぶ。具体的には、ある実施態様は、示差走査熱量測定(DSC)によって、ガムベースのTgを実質的に変化させることなく、ガムベースに使用するエラストマーを加工する方法にまで及ぶ。かかる方法は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの油脂とを混合する工程を含む。
示差走査熱量測定(DSC)は、サンプルと参照物質の温度を高めるのに必要な熱量の差が温度の関数として測定される熱分析技術である。この技術の基礎をなす基本原理は、サンプルが相転移のような物理的変化を受けるとき、双方を同じ温度に維持するためには、基準物質よりも多い(又は少ない)熱を流す必要があるということである。より多い又は少ない熱をサンプルに流さなければならないかどうかは、そのプロセスが発熱又は吸熱かどうかによって決まる。例えば、固体サンプルが溶けて液体になるとき、基準物質と同じ速度でその温度を高めるには、サンプルにより多くの熱を流す必要がある。このことは、固体から液体に吸熱の相転移を経るときのサンプルによる熱の吸収によるものである。同様に、サンプルが発熱プロセス(結晶化のような)を経るとき、サンプルの温度を高めるには、より少ない熱を必要とする。サンプルと基準物質の間の熱流量における差異を観察することにより、示差走査熱量計は、こうした変化の際に吸収又は放出されるエネルギーの量を測定することができる。DSCは、ガラス転移のようなより微妙な相変化を観察するために用いられる。
他の態様は、チューインガムベースに使用するのに適切な固体エラストマー組成物を提供し、前記固体エラストマー組成物に、約3.5〜約13の範囲のHLBを有する少なくとも1つの油脂を含む非付着及び/又は分解性誘引成分を混合することを含む固体エラストマーの加工方法に及ぶ。かかる方法では、非付着及び/又は分解性誘引成分が、固体エラストマー成分の均質な塊にまで素練りできるのに十分な量で存在する。
ある実施態様では、上記のエラストマーの加工方法は、非常に少量のエラストマー溶媒の存在下で行う。かかる態様において、エラストマー溶媒は、上記のようにエラストマーを素練りすることによって得られるガムベースを最高で約5.0%含む。
他の実施態様では、上記のエラストマーの加工方法は、添加されるエラストマー溶媒が存在しない中で行う。
ある実施態様では、チューインガムベースの製造方法に及ぶ。ある実施態様では、チューインガムベースの製造方法は、少なくとも1つのエラストマーを提供し、少なくとも1つの非付着及び/又は分解性誘引成分をエラストマーと混合してチューインガムベースを形成することを含み、前記少なくとも1つの非付着及び/又は分解性誘引成分は、チューインガムベースを付着性にすることなく、前記エラストマーを軟化させる。かかる実施態様において、チューインガムベースは、非付着及び/又は分解性誘引成分が存在しないものと比較して、非付着及び/又は分解性誘引成分の存在下で低減された付着性を有する。
更なる実施態様において、チューインガムベースの製造方法は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの油脂又はオイルを混合することにより、DSCによる測定でガムベースのTgを実質的に変化させることなく、ガムベースに使用されるエラストマーを加工することを含む。
また、更なる実施態様において、チューインガムベースの製造方法は、チューインガムベースに使用されるのに適切な固体エラストマー組成物を提供し、前記固体エラストマー組成物を、約3.5〜約13のHLB範囲を有する少なくとも1つの油脂又はオイルを含む非付着及び/又は分解性誘引成分と混合することを含む。かかる方法において、非付着及び/又は分解性誘引成分は、固体エラストマー組成物の軟化した加工できる塊への加工を可能にするのに十分な量で存在する。
ある実施態様では、上記のチューインガムベースの製造方法は、従来よりも少ない量のエラストマー溶媒の存在下で行ってもよい。ある実施態様では、エラストマー溶媒は、最高で約5.0%のガムベースを含む。望ましくは、得られるチューインガムベースを付着性にすることなく、エラストマー溶媒にエラストマーと非付着及び/又は分解性誘引成分を混合し、エラストマーを軟化させることができる。
他の実施態様において、チューインガムベースを製造する上記の方法は、添加されるエラストマー溶媒が存在しない中で行う。
ガムベース成分を混合する仕方は決定的に重要ではなく、かかる混合は、当業者に公知の標準的な装置を用いて行う。典型的な方法において、少なくとも1つのエラストマーに、少なくとも1つの咀嚼加工助剤が混合され、これは本発明の目的のために、1つ以上の非付着及び/又は分解性誘引成分を含み、1〜30分間の時間にわたって混合する。次いで、ガムベース混合物を再び1〜30分間にわたって混ぜ合わせながら、組織改質剤及び/又は軟化剤等の残りの成分を、まとめて又は漸増的のいずれかで添加する。
製品は、当業者に公知の標準技術及び設備を使用して調製してもよく、その方法は、一般に、ガムベースを融解させ、混合しながら所望の成分を混和して、バッチを個々のチューインガム片に形成することを含む。本願に記載の実施態様にかかる有用な装置は、チューインガム製造技術分野で周知の混合及び加熱装置を含み、従って、具体的な装置の選択は当業者にとって明らかであろう。ある実施態様で有用な、一般的なチューインガムの調製方法については、Hopkinsらの米国特許第4271197号、Cherukuriらの同第4352822号、及びCherukuriらの同第4497832号を参照されたい。これらは各々、その内容全体を本願に引用して援用する。
例えば、中央充填チューインガムの実施態様は、中央充填領域(液体又は粉体若しくは他の固体でもよい)と、ガム領域とを含んでもよい。ある実施態様は、外側ゴムコーティング又はシェルを含んでもよく、これは概して、ガム片を最初に噛む際にバリバリ感をもたらす。外側コーティング又はシェルは、ガム領域を少なくとも部分的に包んでもよい。中央充填チューインガム、及びその調製方法は、本願譲受人の係属中の、2004年8月24日出願の米国特許公開第10/925822号、及び本願譲受人の係属中の、2005年8月24日出願の米国特許公開第11/210954号(双方とも「液体充填チューインガム組成物」の名称)に、更に充分に記載されており、両者の内容は本願に引用して援用する。
他のあるチューインガムの実施態様は、例えば、押圧錠剤ガム等の圧縮ゴム形態としてもよい。このような実施態様は、粒状チューインガムベースを含んでよく、これは圧縮性ガムベース組成物及び打錠用粉体を含んでもよい。圧縮チューインガムは、本願譲受人の係属中の、2005年11月8日出願の米国特許公開第60/734680号(「可圧ガムシステム」の名称)に、更に充分に記載されており、その内容は本願に引用して援用する。
本発明の特徴と効果は、例証の目的で提供され、本発明を制限するものと何ら解釈するべきでない以下の実施例によって、一層十分に示される。
[実施例1]
表1
本発明のガムベース組成物A〜F
表2
本発明のガムベース組成物G〜I
ガムベースを上記の表1〜2に示したようにして調製する。具体的には、本発明のガムベース組成物A〜Iを次のようにして調製する。
マスターバッチ(素練りしたエラストマー)を以下の方法で調製した。
エラストマー(1250グラム)を128℃に加熱した3000mLのケットルに入れ、15分間混合した。約70℃の融点を有する水素化綿実油(1250グラム)を90分間かけて添加した。グリセロール一水和物(500グラム)を15分間かけて添加した。このバッチを更に20分間混合し、十分に均質化させた。
(ガムベース)次いで、マスターバッチからガムベースを調製した。ポリ酢酸ビニル(1200グラム)を128℃に加熱した3000mLのケットルに添加し、15分間混合した。上記のようにして調製したマスターバッチ(720グラム)を添加し、10分間混合した。約40℃の融点を有する水素化綿実油(283グラム)を添加し、10分間混合した。トリアセチン(197グラム)を添加し、10分間混合した。タルク(600グラム)を添加し、20分間混合し、均質な混合物を得た。
[実施例2]
本発明のガムベース組成物A〜Iを用いた本発明のチューインガム組成物を30分間にわたって噛み、その噛んだものを、直径1.25cmのPVCパイプからなるサンプルホルダーの内側のコンクリートレンガの上に置いた。図1Aと1Bは、どのようにしてガムのサンプルをレンガに適用して、本願に記載のような接着テストに供したかを例示する写真である。噛んだものを圧縮してコンクリートに押し付けた。その押し付けた噛んだものを付けたレンガを、室温で72時間状態を整えた。Instron Corporation(Norwood、MA)の万能材料試験機を用い、コンクリート表面から噛んだものを取り除くのに必要な力を測定した。サンプルが、コンクリート表面から完全に取り除かれたときの読み取り値を接着の実測定値とした。テストした市販のサンプルについては、テストの間にそれらが分断したため(凝集破壊)、信頼性のある接着の読み取り値を得ることができなかった。それらのサンプルの接着読み取り値は、凝集破壊について得られた読み取り値よりも高いものと推定された。室温でのより高い接着読み取り値は、ガムの付着性がより強いことを示す。
本発明のチューインガムベースは、高融点の油脂(即ち、約70℃の融解温度を有する水素化綿実油)と低融点の油脂(即ち、約40℃の融点を有する水素化綿実油)を含む。
更に、2つの市販のチューインガム製品(一方は商標Freedent PeppermintとしてWilliam Wrigley Jr. Companyから販売、他方は商標OrbitとしてWilliam Wrigley Jr. Companyから販売)もまた、1A”のPVCパイプに挿入し、本発明のチューインガムベースA〜Iについて用いたのと同じ方法でレンガの上に適用した。Freedentの製品は「殆どのセメント充填に付着しない(商標)」製品として販売されている。
各々のサンプルの最大破断力を、インストロン試験機を用いて測定した。試験は、室温にて1インチ/分間の速度で行った。結果を下記の表3に示す。
表3
各ガムサンプルの、噛んだガムをレンガから取り除くための最大破断力
*ガムサンプルは、表面から取り除くことができる前に分断した。
このことは、凝集破壊を示し、更に高い接着値を示す。
更にまた、各サンプルに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの残留物の写真を図2〜13に示す。具体的には、図2は、本発明のガムサンプルAに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図3は、本発明のガムサンプルBに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図4は、本発明のガムサンプルCに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図5は、本発明のガムサンプルDに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図6は、本発明のガムサンプルEに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図7は、本発明のガムサンプルFに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図8は、本発明のガムサンプルGに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図9は、本発明のガムサンプルHに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図10は、本発明のガムサンプルIに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図11は、本発明のガムサンプルJに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図12は、Freedentガムサンプルに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。図13は、Orbitガムサンプルに対して加えた力を除いた後にレンガ上に残る噛んだものの写真である。
上記の表3と添付の図2〜11の写真から明らかなように、本発明のチューインガムベース組成物から得られたチューインガムはいずれも、レンガから完全に又は実質的に取り除くことができた。Freedent PeppermintとOrbitのサンプルは、凝集的に破断し、図12と13に見られるように、レンガ表面から取り除くことができなかった。
[実施例3]
表4
本発明のガムベース組成物M〜S
上記の表4に示すように、ガムベース組成物を調製した。具体的には、本発明のガムベースM〜Sは、表1と2に記載した組成物について述べたと同様の方法で調製する。
[実施例4]
表5
本発明のガムベース組成物T
更なる本発明のガムベースを上記の表5に示す。ガムベースの非付着性は、チューインガムベース組成物に使用される従来の軟化成分であるポリエチレンワックスAC6をその中に混和することでは影響を受けなかった。
[実施例5]
下記の表6は、本発明のガムベース組成物のいずれにも有用な、砂糖入りチューインガム組成物の例を提供する。
表6
砂糖入りの低付着性のチューインガム組成物S
任意の本発明のチューインガムベースを用い、表7に記載された方法でガム製品を調製することができる。
[実施例6]
表7は、本発明のガムベース組成物のいずれにも有用な、無糖チューインガム組成物の例を提供する。
表7
無糖の低付着性のチューインガム組成物
[実施例7]
ブチルゴム(BR)及びスチレンゴム(SBR)のガムベースサンプルのガラス転移を、変調示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。更に、下記の表8に示す成分を有するガムベースサンプルAA〜DDのガラス転移(Tg)を、DSCを用いて測定した。具体的には、サンプルはいずれも、窒素パージをしながら、3℃/分間で−100℃から200℃まで加熱した。ガラス転移を測定するために使用した機器はTA Instrument 2920 MDSCである。更に、各サンプルについての融解吸熱を、変調示差熱量測定を用いて測定した。
表8
本発明及び比較のガムベース組成物
' 木材ロジン(RS−5)の樹脂グリセロールエステル
2 融点が70℃の水素化綿実油
比較例のマスターバッチガムベース組成物AAを、ブチルゴムを樹脂で素練りすることによって調製し、一方、本発明のマスターバッチガムベース組成物BBを、ブチルゴムを油脂で素練りすることによって調製した。更に、比較例のマスターバッチガムベース組成物CCを、スチレンブタジエンゴムを樹脂で素練りすることによって調製し、一方、本発明のマスターバッチガムベース組成物DDを、スチレンブタジエンを油脂で素練りすることによって調製した。マスターバッチ方法をガムベースの製造のために用いたが、ワンステップ、連続ケトル方法、又は連続押出方法のような他の方法を用いてもよい。
各サンプルのガラス転移を下記の表9に示す。更に、各サンプルの融解吸熱を下記の表10に示す。
表9から明らかなように、油脂で素練りしたブチルゴムを含む本発明のマスターバッチ組成物BBガムベースのTgは、ブチルゴムのみを含むサンプルのTgと同じであった。また、上記の表9から更に明らかなように、油脂で素練りしたスチレンブタジエンゴムを含む本発明のガムベースマスターバッチDDのTgは、SBRゴムのみのTgよりもわずか1℃異なる(高い)のみであった。したがって、本発明のマスターバッチガムベース組成物BBとDDのTgとは、エラストマーのみと比較して、脂肪で素練りしたときに変化しない又は実質的に変化しなかった。これに対し、上記の表9における比較例AAとCC組成物から更に明らかなように、樹脂、即ち、ゴム素練りのために以前から使用される溶媒可塑剤での素練りは、ブチルゴムのTgを少なくとも5℃高め、スチレンブタジエンスチレンゴムのTgを少なくとも25℃高めた。
更にまた、本発明のマスターバッチガムベースのサンプルBBとDDの各々は、それらの各サンプルが62℃で融解吸熱を示したように、別な相の中に結晶性油脂を含んでいた。したがって、本発明のマスターバッチガムベースBBとDDは、本発明に基づき、結晶性油脂のドメインを含む。
[実施例8]
表11
本発明のガムベース組成物
(路上テスト)
上記の組成物を用いてガムベースを調製し、表7のチューインガム組成物に混和し、チューインガム製品を製造した。得られたチューインガムを30分間にわたって噛み、その噛んだものをアスファルトの駐車場の上に置いた。その噛んだものを、約10秒間にわたって加重物によりアスファルトに更に押し付けた。同時に、市販のガム(WrigleyからのFreedentとOrbit、及びCadbury AdamsからのMintaburst)を、本発明の処方の隣に同じ方法でアスファルトの上に置き、押し付けた。24時間後、本発明の噛んだものの50%以上が、歩行者と自動車の往来によって取り除かれた。残存する本発明の噛んだものは、スパチュラでそれらをこすることにより、残留物なしに容易に完全に取り除くことができた。市販のガムを噛んだものを取り除く試みは、実質的により多くの努力を必要とし、噛んだものの部分的な除去のみに帰結し、即ち、残留物が、ガム製品の原質量の約10〜30%を構成し、噛んだものの最初の面積を被覆していた。
[実施例9]
この実施例は、明確なドメインを含む本発明の実施態様を例証する。下記の表12に示す処方を有するマスターバッチガムベース(即ち、素練りされたエラストマー)のサンプルEE〜KKを、本願に記載の方法にしたがって調製した。ガムベースマスターバッチガムのサンプルGG〜KKは、12を上回る炭素原子数を有する油脂又はオイルである少なくとも1つの非付着誘引成分を含む実施態様の例である。サンプルはいずれも、偏光を用いて顕微鏡撮影に供し、結晶又はドメインの形成は明確に存在した。各サンプルEE〜KKの顕微鏡撮影を、図14〜20に示す。
表12
ガムベース組成物
1 12以下の炭素原子数を有するトリグリセリド
2 水素化綿実油(融点70℃)
3 パーム核油
バックグラウンドのために、偏光が液体又は他の均一相を通過する場合、液体又は他の均一相の写真は、複屈折がないので暗く見える。しかし、偏光が、分離相に結晶又は他の構造を含む不連続相を通過する場合、不連続相の写真は、分離相における結晶又は他の構造の複屈折の結果、即ち、偏光によって照射される分離相における結晶又は他の構造の結果として、明るい像として現れる。
図14と15から明らかなように、本発明の非付着誘引成分(即ち、ガムベースEEとFF)を含まないマスターバッチガムベース組成物は暗く、不連続相が存在しないことを示唆する。気泡の存在により少数の大きく明るいスポットが存在することに留意すべきである。これらは分離ドメインの存在によるものではなく、泡からの光の屈折によるものである。しかしながら、図16〜20から明らかなように、少なくとも1つの非付着誘引成分を含むガムベースマスターバッチ組成物(即ち、本発明のガムベースマスターバッチGG〜KK)の写真はいずれも、全体的により明るい像を示し(色の明るさ)、不連続相の存在を示唆し、ドメインを形成する非付着誘引成分(即ち、12を上回る炭素原子数を有する油脂又はオイル)の結晶化を証明している。
[実施例10]
少量の従来のエラストマー溶媒を混和する本発明のガムベース組成物下記の本発明のガムベース組成物を調製した。これらの組成物は、非付着誘引成分と従来のエラストマー溶媒(5%)の組み合わせを含む。これらのガムベース組成物を、表7のチューインガム組成物に混和した。それらから得られたチューインガムは、少量のエラストマー溶媒が存在しても、低付着性と非付着性とを維持した。
表13
本発明のガムベース組成物
[実施例11]
光増感剤が存在する又はしない中で太陽光に曝した場合にチューインガムに生じる分子的変化を測定するため、検討を行った。ポリマー(エラストマー)の分子構造は、それらの物理的特性に関係する。接着は、ポリマーの分子量に強く影響を受ける。例えば、チューインガム組成物では、ポリイソブチレン(PIB)がよく使用される。全ての他の条件が同じ場合、ポリマーの分子量が、ポリマーの接着力を広範囲にわたって決定する。低分子量のPIBは、その付着性のため、殆どの表面に接着し、材料のハンドリングの問題を引き起こす。他方で、高分子量のPIBは、接着性ではないことが見出されており、非常に弱い低温フローの傾向を示す。ポリマーの接着性を、隣接表面と弱い結合を形成する能力によって規定してもよい。これらの弱い結合を形成するため、ポリマーは、隣接表面と密接に接近する。このことは、大きい分子よりも小さい分子によってより迅速に、且つより容易に達成することができる。同じ化学組成のポリマーは、一般に、比較的小さい分子量を有する場合に、より接着し得ることが見出されている。
光は、エラストマーポリマーに、架橋、分解、及び酸化のような変化を引き起こすことができる。このプロセスは、環境に曝された場合に、材料に生じる。しかし、光誘起反応が生じる速度は、ポリマーの物理的特性に顕著な影響を及ぼすには遅い。クロロフィルのような光増感剤を、エラストマーを含有する組成物に添加すると、光誘起反応を著しく加速することが見出されている。
3つの異なる種類のエラストマー、即ち、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(BR)、及びスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いてガムベース組成物を製造した。各種類のガムベース組成物(PIB、BR、及びSBR)を2つのサンプルに分割し、最初のサンプルに0.1%のクロロフィルを光増感剤として添加した。他方は、対照サンプルとして残した。これらの本発明のガムベース組成物を下記の表14に示す。
表14
本発明のガムベース組成物
次いで、下記の表15に示すように、各ガムベースをチューインガム組成物に混和した。
表15
本発明のチューインガム組成物
(結果)
クロロフィルを含まないBRとPIBのサンプルは、クロロフィルを含まないSBRのサンプルよりも容易に取り除かれ、残留物が少なかった。クロロフィルの添加は、PIB含有サンプルの除去を妨げたが、BRとSBRのサンプルの除去を改善した。
次いで、サンプルについてポリマーに対する分子量変化試験した。結果を下記の表16〜17に示す。また、図21〜23は、BR、PIB、及びSBR含有サンプルについてのレンガ表面上での接着テストの結果を示す。テストは、先に記載したようにして行った。
図21にPIBを用いて製造したチューインガムのサンプルの噛んだものを示す。図の左側はクロロフィルを含むガムを示す。図の右側はクロロフィルを含んでいない(対照)。明らかに、両側は、わずかな残留物があるだけで、レンガから実質的に取り除かれたことを示した。
図22にBRガムを用いて製造したチューインガムのサンプルの噛んだものを示す。この図の左側はクロロフィルを含み、図の右側はクロロフィルを含んでいない対照である。明らかに、両側は、わずかな残留物があるだけで、レンガから実質的に取り除かれたことを示した。
図23にSBRを用いて製造したチューインガムのサンプルの噛んだものを示す。左側はクロロフィルを含み、右側はクロロフィルを含んでいない対照である。明らかに、クロロフィルを含む左側は、クロロフィルを含まない右側よりも残留物が実質的に少なかった。
PIBを含むサンプルは、クロロフィルを添加すると、PVAcの分子量と分子数との双方に僅かな増加を示した。PVAcと同様な溶解性を有する別の化合物が検出された。クロロフィルを含有するPIBサンプルは、太陽光に曝されると、平均分子量と分子量数とが減少した。
表16
PIBチューインガムの分子量
クロロフィルを添加した場合、太陽光に曝されると、BRサンプルは、PVAcの平均分子量と分子量数とが減少した。クロロフィルは、BR画分には逆効果を与え、即ち、平均分子量と分子数の双方が増加した。平均分子量の増加は、分子数の増加よりも顕著であった。
表17
BRチューインガムの分子量
太陽光に曝されると、SBRサンプルは、BRサンプルと同様な傾向を示した。クロロフィルを添加したとき、PVAcの平均分子量は減少を示した。クロロフィルを添加したとき、PVAの分子数はより高かった。SBRの分子量平均と分子数の双方が増加した。
表18
SBRチューインガムの分子量
クロロフィルによって発生したフリーラジカルは、それらが存在する系により、異なる様式で作用し得る。それらは、遭遇する化合物の構造により、架橋、分解、及び酸化のようなポリマーに様々な反応を起こし得る。酸化のレベルは、本検討においては測定せず、分子量の変化によって証明される架橋と分解のみを測定した。ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)の変化では、ガム付着性に著しい影響を与えるものと予期しなかった。しかしながら、ゴムの分子量の変化は、サンプルの付着性に著しい影響を与えることを立証した。
太陽光に曝されると、PIB含有サンプルは、クロロフィルを添加した場合に、PVAcの分子量と分子数との双方が僅かに増加し、PVAcそのもの又はPIBとともに架橋したことを示唆した。PVAcと同様な溶解性を示す化合物は、この反応生成物であり得る。PIBは、平均分子量と分子量数とが減少した。このことは、分解の反応と一致する。1つの高分子量のポリマー分子は、分解すると、かなり小さい分子量のいくつかの分子を生じる。低分子量のPIBは、非常に強い付着性を示した。PIBの分子量の減少は、PIBサンプルの付着性を増強した。
BRサンプルの平均分子量の増加と比較して、分子量数のより高い増加は、架橋の結果として生じた低分子量ポリマー画分のより少ない量によって説明することができた。低分子量のゴムは、高い移動性を有するので、付着性により大きな影響を与えた。より低い分子量画分の減少とゴムの平均分子量の増加は、観察されたガム付着性の低下を説明するものである。
太陽光に曝されると、SBRサンプルは、分子量数と平均分子量の双方が大きく増加した。このことは、クロロフィルを添加した場合に、物理的に観察される付着性が最も大きく減少することを説明するものである。
上記の結果から分かるように、クロロフィルの添加は、太陽光に曝された後に、不飽和ゴム(BRとSBR)を含有する組成物の接着性を低下させた。この観察は、これらのゴムの分子量と分子数との双方の増加によって確認された。
[実施例12]
この実施例は、高いpH(例えば、pH12.0)の条件に曝されるガムベースに、少なくとも1つの加水分解性単位を含有するポリマー(特に、GANTREZ(登録商標)共重合体)を混和すると、このようなポリマーを含有しないガムベースと比較して、どの程度ガムベースの破断が促進されるかを例証する。
4つのガムベース#1〜#4の3キログラムのバッチを、下記の表19〜22に従ってそれぞれ調製した。
表19
ガムベース#1
表20
ガムベース#2
表21
ガムベース#3
表22
ガムベース#4
ガムベース#1〜#4の各々の270gのバッチ2つを、その後2kgのZ−ブレードミキサで80℃にてそれぞれ軟化させた。次いで、GANTREZ(登録商標)AN169共重合体を、ガムベース#1〜#4の各々の270gのサンプルの1つに、ガムベース#1〜#4の各々の5w/w%の量で添加して、本発明のガムベースaa〜ddを製造した。GANTREZ(登録商標)AN169共重合体を添加しなかったバッチは、本明細書で対照ガムベースa〜dと称する。
GANTREZ(登録商標)AN169共重合体を添加すべきサンプルでは、軟化したガムベースにGANTREZ(登録商標)共重合体を添加する前に、13.5gのGANTREZ(登録商標)AP共重合体を499gのソルビトール粉体と乾燥混合した。GANTREZ(登録商標)AN169共重合体は、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体であって、約200000〜約2000000の分子量範囲を有する。別に、170gのマルチトールシロップ(Lycasin 80/55)、30gのマンニトール60、20gのグリセロール、2gのアスパルテーム、及び1gのアセスルファム−Kを共に混合し、ソルビトール/ガムベース混合物に添加して、80℃で1時間、Z−ブレードミキサで混合した。最後に、8mlのTrebor Extra Strongミント香味料油を添加し、更に2分間混合した。
完成したガムベースの各バッチは、次いでZ−ブレードミキサから取り出して冷却し、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有する4つの完成ガム製品(即ち、本発明のガム製品aa〜dd)、及びGANTREZ(登録商標)共重合体を含有しない4つの完成ガム製品(即ち、a〜d)を得た。完成したガム製品は全て、密封したプラスチックバッグに保存した。
完成した8つのガムの各々の一部を、厚さ5mmのスラブに、Rondoローラを使用して圧延した。直径15mmの11号コルクボーラを使用して、スラブから個々の片をくり抜いた。各片の重量は、約1.5gであった。スラブ及び個々の片は、20℃のインキュベーターに保存した。
完成したガム製品a〜d及びaa〜ddの各々の個々の片を、Erweka DRT−Iチューインガム機の中の2枚のナイロンネットの間に入れた。顎間のギャップは、2.5mmに設定した。その後、口のpHを模するようにpH8.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液20ml中で30分間、1分当たり40ストロークにて機械的に片を咀嚼させて、噛んだものを形成させた。30分間の終了時に、緩衝液をシリンジで除去し、更に使用するまで20℃で保存した。
その後更に、pH12.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液20mlをErwekaチューイング機に導入して、噛んだものを1分当たり40ストロークで更に30分間咀嚼させた。次いで、この緩衝液をシリンジで除去して、−20℃で保存した。
Erwekaチューイング機からの冷凍上清を完全に解凍して、それらの濁度をHach Analytical Nephelometerで測定した。それらが10又は100の比濁分析濁度単位(ntu)標準値と比較できるように、サンプルを希釈した。
上記の実験は、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有するガム製品(即ち、ガム製品aa〜dd)の各々、及びGANTREZ(登録商標)共重合体を含有しないガムベース製品(即ち、ガム製品a〜d)の各々につき、3回実施した。3回の試験の各々からの濁度データを、以下の表23に示し、図24に示す棒グラフに要約する。濁度は、様々なpHでの加水分解副産物の相対量を示す目的で測定した。高濁度は、加水分解によってチューインガムがより高度に破断したことを示す。
表23
濁度データ
表23及び図24から明らかなように、pH8.0で抽出した、5%のGANTREZ(登録商標)共重合体をガムベースに含有するチューインガム片(即ち、ガム製品aa〜dd)はすべて、pH8.0で抽出した、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有しないもの(即ち、ガム製品a〜d)よりも、平均して高い濁度値を示した。特に、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有しないガム製品からの片は全て、pH8.0で非常に低い濁度値を有していた。従って、pH8.0では、チューインガムを噛んだもの自体はごくわずかしか破断しないと考えてもよい。多少とも、観察された非常に低い濁度は、砂糖代用品(ポリオール)及び甘味料の可溶化に起因するようである。
ガム製品B及びCについてはpH12.0でわずかに高い濁度が観察されたものの、ガム製品A及びDは、pH8.0でのそれらサンプルの濁度と比較して、pH12.0で濁度がおよそ1ケタ増加することが示された。
表23及び図24から更に明らかなように、pH12.0で抽出した、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有するガム製品(即ち、ガム製品aa〜dd)の全ての濁度測定値は、pH12.0で抽出した、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有しないガム製品(即ち、ガム製品a〜d)の全ての濁度測定値より大きかった。更に、pH12.0で抽出した、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有するガム製品(即ち、ガム製品aa〜dd)に対する濁度測定値は、pH8.0で抽出した、GANTREZ(登録商標)なしの、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有しないチューインガム製品(即ち、ガム製品a〜d)に対する濁度測定値より約100倍大きい。このデータは、特にガムベースが高pH(pH12.0等)の条件に曝される場合、GANTREZ(登録商標)共重合体をガムベースに混和すると、顕著な程度にチューインガムを噛んだものが破断することを明示する。
[実施例13]
この実施例は、少なくとも1つの加水分解性単位を含む特定のポリマー(特に、GANTREZ(登録商標)共重合体及びポリスクシンイミド)の、ガムベースとの適合性を例証する。本明細書で用いる「適合性」という用語は、均一又は実質的に均一な混合物にまで、ガムベースと混合されるポリマーの能力を指す。
250gの炭酸塩系ガムベースを90℃で軟化させ、次いでWinkworth実験室用ミキサを使用して、5分間混合した。親水性前駆体ポリマー(特に、GANTREZ(商標)139共重合体)を、次いでガムベースの約5質量%の量で混合物に添加した。サンプルは、その後5分間隔で取り出し、シリコーントレイに流延して冷ました。
別の選択肢となる親水性前駆体ポリマー(特に、ポリスクシンイミド)を約10%含有する炭酸塩ガムベースを、次いで同様に調製した。サンプルを5分間隔で取り出し、シリコーントレイに流延して、冷ました。
GANTREZ(商標)139共重合体を含有する炭酸塩系ガムベースサンプルは、わずか5分の混合後に完全に均一になり、炭酸塩系ガムベースとのGANTREZ(商標)139共重合体の適合性が示唆された。(ポリ)スクシンイミドでも炭酸塩系ガムベースとある程度の適合性があるらしく、30分の混合後にわずかに部分的な相分離を示した。
[実施例14]
この実施例は、少なくとも1つの加水分解性単位を含むポリマー(特に、GANTREZ(登録商標)共重合体)の、ポリオールを含有する炭酸塩系ガムベースとの適合性を例証する。更に、この実施例は、加水分解性単位を含むポリマー(特にGANTREZ AN(商標)共重合体)の混和が、塩基性pHを有する薬剤に曝した際のガムベースの破砕速度をどの程度上昇させるかを例証する。
以下の表24に示す処方を有する擬似ガムベースの200gのバッチを調製した。
表24
チューインガム処方
表24に示すチューインガム処方を、90℃で30分間混合した。その後、GANTREZ AN(商標)139共重合体をガムベースに添加し、Winkworth実験室用ミキサで90℃にて120分間混合して本発明のガムベースee〜hhを形成した。このように、本発明のガムベースee〜hhは、GANTREZ(登録商標)共重合体を添加する前に、先ずポリオール(特に、ソルビトール)を炭酸塩系ガムベース及び他の成分(即ち、マンニトール及びアスパルテーム)と混合することによって調製した。
擬似ガムベース処方のサンプルは、その後シリコーントレイ上に流延して、冷ました。同様に、本発明のガムベースee〜hhの各々のサンプルを、シリコーントレイ上に流延して、冷ました。GANTREZ AN(商標)139共重合体添加物を含有するサンプル(即ち、本発明のガムベースサンプルee〜hh)は全て、GANTREZ AN(商標)139添加物の相分離を伴わず、完全に均一であった。
擬似ガムベースサンプルを、8.0のpHを有する緩衝溶液に入れた。一方で、本発明の4つのサンプルを、以下の表25に示すようなpHを有する緩衝溶液に入れた。
表25
本発明のサンプルee〜hhに対するpH条件
GANTREZ AN(商標)共重合体を含有する本発明のサンプルee〜hhは全て、擬似ガムベースとは対照的に、30分以内に完全に又は実質的に破砕した。更に、中間のpH値で、同等に急速な砕解が示された。
[実施例15]
この実施例は、本発明にかかるチューインガム組成物を示す。
チューインガムベース組成物サンプル(i〜l)の4つの250gバッチを、表26に示すように調製した。ガムベースサンプルは、Winkworth実験室用ミキサで65〜75℃にて20分間混合した。サンプルは、炭酸塩系のガムと、タルク系のガムとの間に清掃工程を設けて、表26に示す順序で調製した。各サンプルをアルミニウムホイル上に流延し、4℃で冷まして、その後約5mmの厚さのスラブに圧延した。サンプルは次いで、15mmのコルクボーラを使用して打ち抜いた。
表26
チューインガム組成物i〜l
ガムベースの各々に、次いでGANTREZ AN(商標)139共重合体を添加して、表27に示すように本発明のチューインガム組成物ii〜llを形成した。
表27
本発明のチューインガム組成物ii〜ll
こうして調製した本発明のサンプルii〜llを、75mlの脱イオン水を含む、ポリエチレンバッグの6つのプラグのバッチに入れて、Seward LtdのStomacher 400 Circulator実験室用ストマッキング機にて、低速設定で10、30及び60分間、機械的圧縮に付した。バッグはその後30分で、破裂を避けるために新しいバッグ内に入れた。10、30及び60分の各時点で、本発明のサンプルii〜llの各々を取り出して分け、脱イオン水、雨水、又は家庭用清掃製品の50%溶液を含むバイアルに入れた。
10、30又は60分間ストマッキングした本発明のサンプルの各々を、雨水中で0時間後、脱イオン水中で0時間後、家庭用清掃液の50%水溶液中で0時間後に観察した。これらの試料を、本発明の組成物の相対的比較用の基線として用いた。
[実施例16]
この実施例は、本発明のチューインガム組成物に対する機械的撹拌の効果を例証する。更に、この実施例は、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有する本発明のチューインガム組成物を、塩基性pHを有する薬剤に曝した際(特に、家庭用清掃液に入れた際)に、経時的にどのように破砕するかを例証する。
実施例15に記載のとおりに調製した本発明のサンプルii〜llの各々を、初めに10、30及び60分間ストマッキングした後11日間、家庭用清浄液中に保持した。
10、30及び60分間ストマッキングしたタルク系ガムサンプルは、家庭用清浄液の50%水溶液への4時間以内の浸漬で明白な砕解を示す5%のGANTREZ AN(商標)共重合体サンプルで、最も速い破砕速度を示した。更に、初期のストマッキング時間の増加に伴って、破砕の量は減少することが観察された。
10分間ストマッキングした、1%GANTREZ AN(商標)139共重合体を含有するタルク系チューインガムサンプル(即ち、本発明のサンプルkk)は、家庭用清浄液中で50時間程度で破砕し始めた。しかし、30及び60分間ストマッキングした、1%GANTREZ AN(商標)139共重合体を含有するタルク系チューインガムサンプル(即ち、本発明のサンプルkk)については、破砕の開始が約10日後まで明らかにならなかった。このように、機械的撹拌を小さくすることと、破砕が初期に開始することには、相関があると考えられる。
[実施例17]
この実施例は、破砕に対するガムベースタイプの効果と、GANTREZ(登録商標)共重合体の量の効果を例証する。また、この実施例は更に、本発明のガムベースに対する機械的撹拌の効果を例証する。加えて、この実施例は、ガムベースの処理の性質が、どのように破砕に影響するかを例証する。特に、この実施例は、塩基性pHを有する薬剤に曝すことで、本発明のガムベースの破砕速度をどの程度上昇させるかを例証する。
実施例15に記載のとおりに調製した本発明のサンプルii〜llの各々を、初めに10、30及び60分間ストマッキングした後11日間、雨水中に保持し、そして、初めに10、30及び60分間ストマッキングした後11日間、脱イオン水中に保持した。
本発明のサンプルii〜llを、初めに10分間ストマッキングした後、雨水中で19時間、74時間、139時間、170時間、10日、及び11日後に観察した。本発明のサンプルii〜llを、脱イオン水中で0時間、19時間、74時間、139時間、170時間、及び10日後に観察した。更に、実施例15に記載のとおりに調製した本発明のサンプルii〜llを、10日間雨水又は脱イオン水に入れた後、観察した。
破砕に対するガムベースタイプ及びGANTREZの量の効果雨水中で、炭酸塩系ガムベースは、タルク系のチューインガム組成物よりも破砕が少なかった。10分間ストマッキングした、5%のGANTREZ AN(商標)139共重合体を含有するタルク系のチューインガム組成物(即ち、本発明のサンプルll)の破砕の開始は、雨水中で139時間後に明らかになったが、5%のGANTREZ AN(商標)139共重合体を含有する炭酸塩系ガムベースサンプル(即ち、発明のサンプルjj)等の他のサンプルは、雨水中で11日後でも破砕しなかった。
同様に、炭酸塩系ガムベースは、5%のGANTREZ AN(商標)139共重合体を含有するタルク系のチューインガム組成物(即ち、本発明のサンプルll)よりも、脱イオン水中で破砕が少なかった。10分間ストマッキングした、5%のGANTREZ AN(商標)139を含有するタルク系のチューインガム組成物(即ち、本発明のサンプルll)の破砕の開始は、脱イオン水中で170時間後に明らかになったが、5%のGANTREZ AN(商標)139共重合体を含有する炭酸塩系のチューインガム組成物サンプル(即ち、発明のサンプルjj)等の他のサンプルは、脱イオン水中で10日後でも破砕しなかった。
(破砕に対する機械的撹拌の効果)
10分より長時間ストマッキングすると、破砕量が低減することが観察された。従って、チューインガムに曝される機械的撹拌の量は、破砕速度に影響を及ぼす。
(破砕に対するチューインガムの処理の性質の効果)
更に、実施例16及び17に記載の実験からの結果の比較に基づき、チューインガムの処理の性質も破砕速度に影響を及ぼすことは明らかである。特に、10分間ストマッキングして、雨水に11日間曝した本発明のサンプルii〜kkでは、ストマッキングして、家庭用清浄液(50%のMr.Muscle、pH約12)に11日間曝した本発明のサンプルii〜kkと比較して、破砕の程度は低かった。同様に、ストマッキングして、脱イオン水に11日間曝した本発明のサンプルii〜kkでは、10分間ストマッキングして、家庭用清浄液(50%のMr.Muscle、pH約12)に11日間曝した本発明のサンプルii〜kkと比較して、破砕の程度は低いことが観察された。特に、本発明のガムサンプルの破砕の見かけの速度は、家庭用清浄液(50%のMr.Muscle、pH約12)中よりも雨水及び脱イオン水中で低かった。どのような特定理論にも拘束されることは望ましくないが、家庭用清浄液の高いpHと、家庭用表層清浄液に存在する界面活性剤の湿潤作用が、破砕の速度を加速したと推測される。
[実施例18]
この実施例は、本発明にかかる疎水性成分(即ち、親水性前駆体成分)をSBSブロック共重合体に成功裡に混和して、表面で親水性が増大した膜を作り出すことができることを例証する。具体的には、GANTREZ(登録商標)共重合体169(即ち、ポリメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体)を、SBSのトルエン溶液に粉末状のGANTREZ(登録商標)共重合体を分散させ、次いで空気乾燥することにより膜を成型することによって、肉眼的に相分離することなく、約10質量%までの濃度でSBSブロック共重合体に成功裡に混和した。膜を水に一晩浸漬させた後、最初は透明な膜が白色且つ不透明になり、酸無水物が遊離酸に加水分解して、疎水性ポリマーから相分離したことが示唆された。更に、ポリマー膜の表面は浸漬後に極めて滑りやすくなり、膜の表面の親水性が強化したことが示唆された。
[実施例19]
この実施例は、本発明のガムベース組成物を示す。
表28
本発明のガムベース組成物
次いで、下記の表29に示すように、各ガムベースをチューインガム組成物に混和した。
表29
本発明のチューインガム組成物
本発明のチューインガム組成物mmm〜pppは、親水性前駆体成分(特に、GANTREZ(登録商標)共重合体)を含有すること以外は同じ処方を有するチューインガム組成物と比較して、加水分解を促進する条件に曝すと分解性が増強することが示されるであろうと考えられる。
[実施例20]
表30
本発明のガムベース組成物
本発明のガムベース組成物qqは、90℃設定の実験室用ガムベースミキサにて、表30に示す量で35グラムのPHA−I及び20グラムの炭酸カルシウム粉末を添加することによって調製してもよい。その後、20グラムの炭酸カルシウム粉末を混合物にゆっくり添加する。20分間混合した後、完全に水素化した綿実油2.5グラム、及び部分的に水素化した大豆油2グラムを添加して、均一の混合物を形成させる。次いで、GANTREZ(登録商標)共重合体を、約1質量%から約5質量%までの量で混合物に添加する。
PHA−Iの代わりにPHA−IIを用いたこと以外は本発明のガムベース組成物qqと同様にして、本発明のガムベース組成物rrを調製してもよい。
炭酸カルシウムの代わりにカラスムギ繊維を用いたこと以外は本発明のガムベース組成物qqと同様にして、本発明のガムベース組成物ssを調製してもよい。
炭酸カルシウムの代わりにタルクを用いたこと以外は本発明のガムベース組成物qqと同様にして、本発明のガムベース組成物ttを調製してもよい。
次いで、以下の表31に示すように、各ガムベースをチューインガム組成物に混和した。
表31
本発明のチューインガム組成物qqq〜ttt
本発明のチューインガムベース組成物qqqは、25グラムの本発明のチューインガムベースqq、77グラムの砂糖、及び25.5グラムのコーンを、50℃設定の実験室用ガムミキサにて20分間混合することによって調製してもよい。その後、0.6gの96%グリセロール及び0.8グラムのペパーミント香味料を添加し、得られる混合物を更に5分間混合して本発明のチューインガム組成物qqqを形成する。
本発明のチューインガムベース組成物rrrは、25グラムの本発明のチューインガムベースrr、77グラムの砂糖、及び25.5グラムのコーンを、50℃設定の実験室用ガムミキサにて20分間混合することによって調製してもよい。その後、0.6gの96%グリセロール及び0.8グラムのペパーミント香味料を添加し、得られる混合物を更に5分間混合して本発明のチューインガム組成物rrrを形成する。
本発明のチューインガムベース組成物sssは、25グラムの本発明のチューインガムベースss、77グラムの砂糖、及び25.5グラムのコーンを、50℃設定の実験室用ガムミキサにて20分間混合することによって調製してもよい。その後、0.6gの96%グリセロール及び0.8グラムのペパーミント香味料を添加し、得られる混合物を更に5分間混合して本発明のチューインガム組成物sssを形成する。
本発明のチューインガムベース組成物tttは、25グラムの本発明のチューインガムベースtt、77グラムの砂糖、及び25.5グラムのコーンを、50℃設定の実験室用ガムミキサにて20分間混合することによって調製してもよい。その後、0.6gの96%グリセロール及び0.8グラムのペパーミント香味料を添加し、得られる混合物を更に5分間混合して本発明のチューインガム組成物tttを形成する。
表32
本発明のガムベース組成物uuu
本発明のチューインガムベース組成物uuuは、20グラムのPHA−2、5グラムの炭酸カルシウム粉末、59.4グラムの粉糖、及び20グラムのコーンシロップを、50℃設定の実験室用ガムミキサにて20分間混合することによって調製してもよい。その後、0.6gのペパーミント油を添加し、得られる混合物を5分間混合して本発明のチューインガム組成物uuuを製造する。
[実施例21]
この実施例は、GANTREZ AN(商標)共重合体を含有するガムサンプルが降雨に曝されると破砕することを例証する。
1質量%、2.5質量%、5質量%、7.5質量%、及び10質量%のGANTREZ AN(商標)共重合体を含有する炭酸塩系ガムベースサンプルを、トルエン溶液から流延した。ガムベースサンプルを次いで舗道に置き、一時的な降雨に曝す。
1カ月にわたって一時的な降雨に曝すことが、そのサンプルをブラッシングによって除去できる粉末にまで破砕するのに効果的であることが観察された。
[実施例22]
この実施例は、チューインガムを噛んだものを環境因子(即ち、気象条件)に曝露する効果を例証する。具体的には、咀嚼塊のうち4つはGANTREZ(登録商標)共重合体を含有させ、咀嚼塊のうち4つはGANTREZ(登録商標)共重合体を含有させなかったことを除いては同じようにして、8つのチューインガムを噛んだものを調製した。それらのチューインガムを噛んだものが気象条件に56日間曝されるように、それらをスラブ上に載置して屋外に置いた。
図25は、56日後の、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有しないチューインガムを噛んだものの写真であり、図26は、56日後の、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有するチューインガムを噛んだものの写真である。図26から明らかなように、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有するチューインガムを噛んだものは、56日後にスラブから剥がれて割れ始めたが、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有していないチューインガムを噛んだものは、図25の写真に示すように、56日後に表面からの剥離を全く示さなかった。
[実施例23]
この実施例は、GANTREZ(登録商標)共重合体を含有する炭酸塩系ガムベースが、循環気象条件(即ち、降雨と太陽光との循環条件)に曝されると、経時的にどの程度破砕するかについて例証する。具体的には、10%のGANTREZ AN(商標)共重合体を含有する炭酸塩系ガムベースを、GANTREZ AN(商標)共重合体を含有させなかった以外は同様に作製した炭酸塩系ガムベースと共に敷石材片の上に置いた。次いで、この敷石材片を、5週間、一般的な気象条件に曝した(降雨の後、晴天の条件に曝すことを含む)。
図27〜31は、それぞれ、(a)0時、(b)1週、(c)3週、(d)2日間の豪雨の後3週、及び(d)5週での、炭酸塩系ガムベースの写真である。図32は、GANTREZ AN(商標)共重合体を含有しない対照炭酸塩ガムベースの写真である。図31から明らかなように、GANTREZ AN(商標)共重合体を含有する炭酸塩系ガムベースサンプルの表面形態の有意な変化が、5週後に明らかになった。更に、表面を軽くブラッシングすると、白色粉状物が除去され、サンプルの破砕が明示された。これに対して、図32に示すように、GANTREZ AN(商標)を含有しない対照サンプルに関しては、破砕が認められなかった。