JP4672286B2 - 燃料ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
木質系ペレットは、水分が少なく高温で燃焼できるため、ダイオキシンの発生を大幅に低減できる利点を有している。木材の成分であるリグニンという物質が圧縮時の熱で溶け出して接着剤の役割を果たすため、固形化が容易であるという利点も有している。
木質系では粉砕粒形が均一になりにくく、木材の種類により発熱量や燃焼時間のバラツキが大きく、燃焼時の熱量が変動して温度制御が容易ではないという問題もあった。
また、粉砕粒形が均一になりにくいため、燃焼後に灰の塊が生じやすく、炉に溜まった灰を除去するための清掃サイクルが短いという問題もあった。
また、材料が木材であるため、資源が有限であり、現状でも多量の安定供給は困難が予測される。
国内におけるコーヒー粕の発生量は、生豆の品質や焙煎度、抽出条件、粕の含有水分量等によって異なるが、生豆の約2倍程度とされており、年間約60万トンが排出されていると予想されている。
一般家庭で出るコーヒー粕の量は少ないが、清涼飲料製造会社では多いところでは年間数千トンものコーヒー粕が排出され、その処理が問題となっている。このような状況に鑑み、コーヒー粕の利用方法が多面的に模索されている。
特開2001−081201号公報には、コーヒー粕等の植物性食物残滓粉末と繋ぎ材としてのコンスターチからなる、射出成形用材料としての混合ペレットが開示されている。
コーヒー粕を炭化させた練炭のような燃料では、着火性が悪く、自動点火方式の暖房装置の燃料には適さない。
という燃料材料として多くの利点を有している。
具体的には、請求項1記載の発明では、焙煎したコーヒー豆を粉状に粉砕してなるコーヒーを熱水抽出した残渣であるコーヒー粕であって、炭化しない状態に水分の除去処理をしたコーヒー粕のみを、100℃〜200℃の範囲内の温度で加熱された型内に充填し、加圧・圧縮して固形化した後、型から押し出してなり、上記加圧力は、運搬時や供給時の振動で型崩れを起さない固形強度を有するように0.5トン〜5トンの範囲内で設定されていることを特徴とする。
上述のように、コーヒー粕は、焙煎・粉砕したコーヒー豆を熱水抽出した残渣であるため水分含量が多く、通常65%程度である。
このため、まず、入手したコーヒー粕の水分除去処理を行う。図1に示すように、例えば、回転ドラム方式のドライヤー60の中にコーヒー粕61を入れて乾燥させる。
乾燥温度としては、コーヒー粕を炭化させずに水分を飛ばす(除去する)程度の温度が望ましい。上述のように、炭化したら着火性が悪くなり、自動点火方式のストーブ等への使用が困難となるからである。
コーヒー粕61の水分除去処理としては、加熱乾燥方式に限らず、化学的に水分を吸着(吸湿)する方式等も採用することができる。
次に、図4に示すように、メス型62の穴62aに対応する位置に凸部としてのシャフト64aを有するオス型64をメス型62に対向させる。オス型64もメス型62と同様の全体形状を有し、シャフト64aも穴62aに対応して複数設けられている。その後、図5に示すように、オス型64を下方に移動させて加圧・圧縮する。穴62a内のコーヒー粕61aは、加熱された状態で圧縮される。この場合、オス型64も加熱するようにしてもよい。
本実施形態における条件は、図2に示すように、メス型62の材質はSS材で、厚さaは20mm、穴62aの直径bは10mm、平型63の材質はSS材で、厚さcは100mmである。図中、平型63の厚さは縮小している。
図4に示すように、オス型64の材質はS45Cで、シャフト64aの高さdは20mmである。
オス型64による加圧力は0.5トン〜5トン程度が望ましい。本実施形態では2トンとした。加圧は、負圧(吸引、真空圧)で圧縮するようにしてもよい。加圧力の大きさ如何によっては、加熱しなくても固形化は実現できる。
オス型64を用いずに他の部材で押し出すようにしてもよい。
上記型寸法に対応する燃料用ペレット65の大きさはあくまでも本実施形態における実験的サイズであり、実際には、コーヒー粕61aの乾燥度、加圧力、着火時間、燃焼温度、灰の残り具合等のデータを考慮して最適なサイズを決定することができる。
また、本実施形態では、燃料用ペレット65を円柱状に形成しているので、製造が容易であるとともに、運搬時(流通時)又は後述する炉への搬送過程における形崩れを少なくすることができる。型崩れ防止の観点から、加圧力は非常に重要であり、加圧力が弱い場合には、円柱形状であっても型崩れしやすくなる。
したがって、上記加圧力は、運搬時や炉への供給時における振動や加圧に耐えられ、型崩れを起こさない固形強度を有するように決定される。
木質系ペレットでは一ヶ月に数回の炉の掃除を行うのが好ましいが、本実施形態における燃料用ペレット65を用いた場合、一ヶ月使用しても炉が殆ど汚れず、掃除の必要がなかった。
灰が炉に溜まりにくい理由は、図8に模式的示すように、コーヒー粕61aはコーヒーミルで均一な粒形に粉砕されているため、加圧圧縮されていても燃焼時には各粒子がバラケやすくて各々が完全燃焼しやすく、且つ、炉上の上昇気流で浮遊して排気されやすいためと考えられる。
これに対して木質系ペレットでは、図9に模式的に示すように、粉砕粒の大きさが均一でないために、燃焼時に凝集塊66が出来やすく、燃焼後の質量が大きくて炉に溜まりやすいと考えられる。
なお、コーヒー粕61aの粒は、実際には木質系ペレットの粉砕粒に比べてかなり小さいが、図8では誇張表示している。
植物性原料としては、「おがくず」や「籾殻」などを採用することができ、さらに、「ぬか」や海草なども採用することができる。特に、「おがくず」の場合には木材に含まれるリグニンという物質が熱で溶け出して接着機能が得られるため、固形化を促進することができる。
植物性原料を混ぜて固形化を促進した場合、コーヒー粕のみを用いた場合に比べて加圧力や加熱温度を下げることができるために、製造設備のコストを低減できるというメリットもある。
また、コーヒー粕を主成分とし、植物性原料以外の原料を混ぜたものを用いて同様にペレット化してもよい(第3の実施形態)。
まず、図10に基づいて、暖房装置としてのペレットストーブ1の全体構成の概要を説明する。ペレットストーブ1は、床面Fに載置されるベース2と、該ベース2上に固定されたストーブ本体3と、同じくベース2上に固定され、ストーブ本体3に燃料用ペレット65を供給する燃料供給装置4を有している。
ベース2は、ストーブ本体3を固定するための固定面2aと、該固定面2aよりも低く、燃料供給装置4を固定するための固定面2bを有する段差状に形成されており、内部には配管用の空間部を有している。符号2cは脚部を示す。
図示しないが、燃焼筐体6の周囲(上・下面及び燃料供給装置4側の側面を除く)は、燃焼筐体6に子供等が直接接触して火傷等をしないように、所定の間隔をおいて防護ネットで覆われている。防護ネットの材料としては強度が有り且つ熱伝導性の低い材料が好ましい。
燃焼筐体6は鉄板で形成されているが、ステンレスなどの金属やセラミックなどの耐熱性且つ伝熱性を有する材料で形成してもよい(他の鉄板部材において同じ)。燃焼筐体6の放射熱を高めるために、特に、表面積の大きいしま鋼板で形成している。
フランジ9aの上部には円筒部9cが形成されており、該円筒部9cの側面からセラミック棒ヒータ10が挿入されている。
燃焼炉9の底部には燃焼用空気を取り込むための通気孔9b(図11参照)が多数形成されている。燃焼炉9の椀形状により、燃料供給装置4から落下・供給された燃料用ペレット65は燃焼炉9の中央部に集まり、燃焼用空気供給パイプ13により下側から供給される燃焼補助空気が燃焼炉9の底部中央で多くなることと相まって、燃焼は燃焼炉9の中央部で最も強くなる。通気孔9bはペレットストーブ1を停止したときや点火の時などに燃焼炉9内の灰を下方に落下させる機能も有している。
燃焼炉保持ケース12は、灰取り出し用トレイ14の側面14aとガイド板51とによりガイドされて出し入れができるようになっている。
燃焼筐体6の前側板30(図11参照)には、燃焼炉9の点火状態等を目視するためのガラス製の覗き窓16が設けられている。図示しないが、覗き窓16は、灰やすすで汚れた場合には拭き取ることができるように、ヒンジにより開閉可能になっている。
モータ21は、供給装置本体17の内面に固定されたブラケット52に支持されている。
供給装置本体17の上面には、上方開口部を開閉する蓋22がヒンジ23を介して開閉自在に設けられている。燃料供給装置4は、ホッパ18内の燃料用ペレット65が燃焼筐体6の放射熱により発火しないように、所定の間隔W離されて設置されている。上記断熱壁15と間隔Wとによりホッパ18に対する燃焼筐体6による過熱が良好に防止される。
ホッパ18内の燃料用ペレット65は多少暖まる方が燃焼炉9での着火がスムーズになるが、発火するような過熱を避け、安全性を確保しなければならない。間隔Wに断熱材を別途設けてもよい。
燃料搬送路19の先端部から水平及び垂直方向に距離をおいて燃焼炉9に燃料用ペレット65を落下させる方式であるので、燃料搬送路19内にある供給前の燃料用ペレット65への引火を防止することができる。落下方式の場合、燃料搬送路19の先端部における搬送部材20に対する燃料用ペレット65の抵抗が小さくなるので、駆動源(モータ21)を小型にでき、且つ省電力化を図れる利点がある。
この特性により、圧力に対して脆性を有する燃料用ペレット65をできるだけ粉砕することなく搬送することができる。
すなわち、コイル間で燃料用ペレット65が圧縮されようとしても搬送部材20の上記自由度により加圧状態がすぐに解消され、燃料用ペレット65は破壊に至るほどの圧力は受けない。また、搬送部材20の断面は円形状であるので、摩擦によって燃料用ペレット65を削る作用は生じない。
図12に示すように、燃料搬送路19は搬送部材20の外径に対して余裕を持つ内径を有しており、燃料用ペレット65は燃料搬送路19内を満杯状態ではなく上部に隙間を有する状態の量を維持されて搬送される。
空気導入パイプ27は空気流れの抵抗を少なくするために、直角ではなく緩い角度で配設されている。また、空気導入パイプ27は断熱壁15と燃焼筐体6の側面との間に配設されている(図10参照)。
空気吐出部29は、燃焼筐体6の前側板30から突出し、これにより空気吹き出し口31が形成されている。空気吹き出し口31の設定位置及び個数は、燃焼筐体6の4側面において任意に設定できる。
ファン24によって吸引した室内の空気を強制的に被加熱体28に導入する構成としたが、空気導入パイプ27又は空気吐出部29に独自の送風源又は吸引源を設ける構成としても同様の空気流を得ることができる。
ケーシング33は1〜2mm程度の厚みの鉄板で箱状に形成されており、通気パイプ34は所定の位置に形成された穴に鉄製のパイプ材を挿入し、溶接等の手段により気密状態で固定することにより形成されている。通気パイプ34は円筒形に限られないが、円筒形の方が製造が容易である。
空気吐出部29は前側板30との間に長さを有しているが、前側板30に直接接続する構成としてもよい。この場合空気吹き出し口31自体が空気吐出部29となる。
空気吹き出し口31に、上下又は左右方向に風向を変える風向調節羽根を設けてもよい。
図10に示すように、被加熱体28と燃焼炉9との間隔Hは、燃焼熱による被加熱体28に対する加熱効率が良く、且つ、被加熱体28が存在することによる燃焼筐体6内の燃焼率の低下を来たさない観点から実験的に求められる値である。
通気パイプ34を通過した燃焼ガス及び被加熱体28の外を通った燃焼ガスは、燃焼筐体6の上部側面に設けられた排気パイプ35により、室内の空気とは遮断された状態で屋外に排出される。排気パイプ35はそれ自体が屋外に排気するための煙突の機能を有してもよく、既に設置されている煙突に接続するためのダクトのみの機能であってもよい。
排気パイプ35は燃焼筐体6の上面に設けてもよいが、水平方向(横方向)に導くことで燃焼筐体6内の熱の滞留を長引かせることができ、熱の利用効率を高めることができる。
燃焼炉保持ケース12を手前に引き出すと、セラミック棒ヒータ10はそのまま燃焼筐体6の内部に残る。灰取り出し用トレイ14を取り出す場合には、燃焼炉保持ケース12を引き出した後、その空間から手を差し伸べて矢印R方向(右方向)にずらしてから手前に引き出す。
灰処理をした後、燃焼炉保持ケース12を燃焼筐体6に装着する場合、燃焼炉保持ケース12はガイド板51と灰取り出し用トレイ14の側面14aとによりガイドされ、穴9dとセラミック棒ヒータ10の位置が合致してセラミック棒ヒータ10が穴9dに挿入される。
穴9dとセラミック棒ヒータ10の位置がずれないように、燃焼炉9は燃焼炉保持ケース12に対して所定の位置でのみセットできるようになっている。
傾斜板54の先端部は燃焼炉保持ケース12の上面に入り込む長さを有し、灰が燃焼炉保持ケース12の上面に確実に落とされるようになっている。
ケーシング33の大きさは、上下面が1辺d(約40cm)の略正方形で、高さが約15cmである。各通気道34の径d1は約8mmである。
操作パネル38には、点火スイッチ(開始スイッチ)39や停止スイッチ40、強弱切り替えスイッチ等が設けられている。
操作パネル38や制御手段36等の電気系統(運転中表示ランプ等を含む)は熱による影響を回避するために燃料供給装置4側に設けられている。
点火スイッチ39が押されると、制御手段36はモータ21、ファン24を動作させるとともに、セラミック棒ヒータ10に通電する。モータ21の回転により搬送部材20が回転し、燃料用ペレット65が燃焼炉9に供給される。同時にファン24の回転によって燃焼用空気供給パイプ13から空気が供給され、セラミック棒ヒータ10の点灯により点火可能な状態となる。
燃料用ペレット65の燃焼が始まった後、ファン24はオン状態を維持され、燃焼用空気は常時供給される。モータ21はオン・オフ制御され、オン時間のみ燃料用ペレット65が燃焼炉9に供給される。この制御はタイマー37を介して行われる。上記オン・オフ時間は燃料の過不足供給を来たさないようにするために、実験的に求められる値である。
上記オン時間は火力の強弱(燃料供給量の大小)と関係し、図示しない切り替えスイッチやボリュームスイッチで火力の強弱を調整できるようになっている。
その後、燃焼筐体6の加熱も進行し、その放射熱によっても室内が暖められる。すなわち、ペレットストーブ1では、点火してすぐに空気吹き出し口31からの暖かい空気の吐出により室内が暖められるとともに、この温風による暖房が継続する上、燃焼筐体6の放射熱による暖房機能が徐々に得られる。
ここではマイクロコンピュータによる制御としたが、単にタイマーを使った簡単なシーケンス制御としてもよい。
図10において燃焼筐体6の右側に生じた灰は傾斜板50により燃焼炉保持ケース12の上面に集められ、燃焼筐体6の奥側に生じた灰は傾斜板54により集められる。燃焼筐体6の手前側で生じた灰は燃焼炉保持ケース12の上面に直接落ち、燃焼筐体6の左側で生じた灰は灰取り出し用トレイ14に収容される。
従って、燃焼炉保持ケース12と灰取り出し用トレイ14を取り出すことにより燃焼筐体6内で発生した灰を効率的に除去することができる。
また、燃焼炉保持ケース12の引き出しにより燃焼炉9を同時に引き出すことができ、且つ、燃焼炉9は燃焼炉保持ケース12に載せてあるだけであるので、燃焼炉9自体の取り出し・清掃も容易となる。
ここでは、燃焼筐体6内に被加熱体28を有する構成のペレットストーブの例を示したが、従来の他のペレットストーブにおいても同様に燃料用ペレット65を使用することができる。
62 メス型
62a 穴
64 オス型
Claims (4)
- 焙煎したコーヒー豆を粉状に粉砕してなるコーヒーを熱水抽出した残渣であるコーヒー粕であって、炭化しない状態に水分の除去処理をしたコーヒー粕のみを、100℃〜200℃の範囲内の温度で加熱された型内に充填し、加圧・圧縮して固形化した後、型から押し出してなり、上記加圧力は、運搬時や供給時の振動で型崩れを起さない固形強度を有するように0.5トン〜5トンの範囲内で設定されていることを特徴とする燃料用ペレットの製造方法。
- 焙煎したコーヒー豆を粉状に粉砕してなるコーヒーを熱水抽出した残渣であるコーヒー粕であって、炭化しない状態に水分の除去処理をしたコーヒー粕を主成分として植物性原料を混ぜたもののみを、100℃〜200℃の範囲内の温度で加熱された型内に充填し、加圧・圧縮して固形化した後、型から押し出してなり、上記加圧力は、運搬時や供給時の振動で型崩れを起さない固形強度を有するように0.5トン〜5トンの範囲内で設定されていることを特徴とする燃料用ペレットの製造方法。
- 請求項2に記載の燃料用ペレットの製造方法において、
上記植物性原料がおがくず又は籾殻であることを特徴とする燃料用ペレットの製造方法。 - 請求項1乃至3のうちの何れか1つに記載の燃料用ペレットの製造方法において、
上記固形化の形状が円柱状であることを特徴とする燃料用ペレットの製造方法。
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