JP4671434B2 - アンモニア阻害抑制型メタン発酵装置 - Google Patents

アンモニア阻害抑制型メタン発酵装置 Download PDF

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Description

本発明はアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置に関し、とくに窒素含有量の高い有機性廃水や有機性廃棄物を処理する場合に発生し得るアンモニア阻害を抑制できるメタン発酵処理装置に関する。
循環型社会の形成に寄与する再資源化技術として、産業廃水等の有機性廃水や生ごみ等の有機性廃棄物を分解してエネルギー(メタンガス)を回収できるメタン発酵処理の普及が進められている(特許文献1及び2参照)。窒素含有量の高い有機性廃水や有機性廃棄物をメタン発酵処理する場合は、その処理時に発生するアンモニアによりメタン発酵微生物の活性が低下する可能性があるため、アンモニアによる処理効率の低下(アンモニア阻害)を抑制する対策が必要となる。メタン発酵処理のアンモニア阻害は、処理液中のアンモニア性窒素濃度(以下、単にアンモニア濃度ということがある)が3,000〜5,000mg/リットル程度以上になると発生するといわれている。
従来、メタン発酵処理のアンモニア阻害を防止する対策として、発酵槽内の処理液のアンモニア濃度を継続的に計測し、アンモニア濃度がメタン発酵を阻害する程度まで上昇したときは処理液を希釈してアンモニア濃度を低下させる方法が採られている。しかし、処理液の希釈によりアンモニア阻害を防止する方法は、希釈により処理液の容量が増加し、それに伴い処理液の加熱エネルギー等の維持管理コスト(ランニングコスト)が増加する問題点がある。
特許文献3は、アンモニア阻害を防止する他の方法として、発酵槽の処理液をpH7.0以上pH8.5以下でメタン発酵処理し、その処理時に発生した分解生成ガス(バイオガス)を回収してアンモニアを除去し、アンモニア除去後の分解生成ガスを発酵槽内の処理液に吹き込んで攪拌することにより、処理液中のアンモニアを分解生成ガスに移行させて処理液のアンモニア濃度の上昇を抑える廃棄物処理方法を開示している。しかし、特許文献3のようにアンモニア除去後の分解生成ガスを発酵槽に吹き込むためには高圧型ブロワが必要であり、高圧型ブロワで発酵槽の処理液にガスを噴出すると、例えばUASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)式の発酵槽ではグラニュールの崩壊・流出等を引き起こし、固定床式の発酵槽では固定床の損傷や早期老朽化・固定床表面に付着したバイオフィルムの剥離等を引き起こすおそれがある。グラニュールの崩壊や固定床の損傷等は発酵槽内における微生物の高濃度保持を破壊し、アンモニア阻害が防止できたとしてもメタン発酵処理の全体の効率を低下させる原因となり得る。
これに対し本発明者らは、発酵槽内における微生物の高濃度保持を破壊することなくアンモニア阻害を効率的に低減できるメタン発酵処理方法及び装置を開発し、特許文献4に開示した。同方法及び装置を、図8を参照して、本発明の理解に必要な程度において説明する。図示例のメタン発酵処理装置は、メタン発酵微生物の固定床2を有する嫌気性発酵槽1と、発酵槽1の下部の抜出口5cと頂部の気相部9の吐出口5bとを連通する外付け循環路5と、循環路5上に設けた循環ポンプ6と、発酵槽1の頂部の気相部9に設けた抜出口10aと戻り口10bとを連通する外付け循環ガス流路10と、ガス流路10上に設けたエアポンプ11及びアンモニア捕集装置12とを有する。
例えば図8の貯留タンク50に生ごみ等の有機性廃棄物を平均100ミクロン程度に細かく粉砕したスラリー状の有機物含有液Eを蓄え、その貯留タンク50の有機物含有液Eを供給ポンプ51及び供給路52により発酵槽1へ投入して所要時間滞留させる。発酵槽1内の有機物含有液Eは、循環ポンプ6により下部から引き抜き、循環路5を介して頂部の気相部9に戻して循環させることにより、攪拌しながら固定床2と接触させる。それと同時に、ガスポンプ11によって発酵槽1の気相部9の分解生成ガスGを循環ガス流路10に引き抜き、アンモニア捕集装置12を介して気相部9へ戻すことにより気相部9のアンモニア分圧を低下させる。
図8のメタン発酵処理装置は、発酵槽1の気相部9のアンモニア分圧を低下することによって有機物含有液E中のアンモニアを気相部9に移行(拡散)させるので、発酵槽1の液相部における微生物の高濃度保持を破壊するおそれが小さく、高濃度の微生物によるアンモニア阻害のないメタン発酵処理を実現できる。また、有機物含有液Eから気相部9へのアンモニア移行が促進されるようにガス流路10から気相部9への吹き込み量(すなわちガスポンプ11の流量)を適当に調節することができ、必要に応じて複数の抜出口10a又は戻り口10bを設けることもできる。ガス流路10の戻り口10bを発酵槽1内の液面Lに臨ませ、捕集装置12でアンモニア除去後のガスGを液面Lへ吹き付けることにより、有機物含有液E(とくに液面L)からのアンモニア除去効率を高めることも期待できる。
特許第2708087号公報 特許第3064272号公報 特開2001−276880号公報 特開2006−297171号公報
しかし、図8のように発酵槽1の気相部9のアンモニア分圧の低下により液相部のアンモニア濃度を低下させる方法は、大型の発酵槽1におけるアンモニア阻害を十分に防止できない問題点がある。従来から大量の有機性廃棄物を再資源化処理するために大型の発酵槽1を用いてメタン発酵処理を行う場合があるが、有機性廃棄物を効率的・安定的にメタン発酵処理するためには発酵槽1内で有機物含有液Eを均一に攪拌する必要があることから、とくに図8のように有機物含有液Eを循環流によって均一化する場合は、発酵槽1内で均一な流れが形成されるように発酵槽1の径の大きさを制限し高さ(深さ)を大きくすることで大型化に対応している。このため大型発酵槽1では、小型又は中型の発酵槽1に比して有機物含有液Eの全体量に対する液面Lの面積の割合が小さくなっている。
図8に示したアンモニア阻害の低減方法は、液面Lから気相部9へのアンモニアの拡散によって有機物含有液E中のアンモニア濃度を低下させるので、発酵槽1の大型化により有機物含有液Eの全体量に対する液面Lの面積の割合が減少すると、液面Lからのアンモニアの拡散だけでは有機物含有液Eのアンモニアを十分に除去できなくなり、例えば発酵槽1の底部においてアンモニア濃度がメタン発酵を阻害する程度まで上昇するおそれがある。大型の発酵槽1で効率的・安定的なメタン発酵処理を実現するためには、微生物の高濃度保持を維持しつつ、発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑えることが必要である。
そこで本発明の目的は、大型の発酵槽においてもアンモニア阻害を効率的に抑制できるメタン発酵処理装置を提供することにある。
図1の実施例を参照するに、本発明によるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置は、有機物含有液Eを滞留させつつメタン発酵微生物の固定床2に接触させて分解する嫌気性発酵槽1、発酵槽1内の有機物含有液Eを微生物の活性温度に保温する保温装置7、発酵槽1内の有機物含有液Eを発酵槽1の下部から引き抜き発酵槽1の上部に戻して循環させるポンプ6付き循環路5、発酵槽1の頂部の気相部9から分解生成ガスGを引き抜き循環路5上に吹き込むポンプ11付きガス流路10、ガス流路10上に設けたアンモニア捕集装置12、及び発酵槽1の気相部9の分解生成ガスGを外部へ回収するガス回収路18を備え、ガス回収路18により分解生成ガスGを外部へ回収しながらガス流路10によりアンモニア捕集後の分解生成ガスGを有機物含有液E中に吹き込んでアンモニア濃度の上昇を抑制してなるものである。望ましくは、循環路5上のガス送り込み部位に、発酵槽1からの有機物含有液Eとアンモニア捕集装置12からの分解生成ガスGとを混合攪拌して有機物含有液Eから分解生成ガスGへのアンモニアの移行を促進するラインミキサー14を設ける。
アンモニア捕集装置12には、図4に示すように、分解生成ガスGをメタン発酵微生物の活性温度以下に冷却してアンモニア水を凝縮させる冷却器12aを含めることができる。また図3に示すように、発酵槽1の処理済液Fを更に生物学的脱窒処理する硝化槽43及び脱窒槽42を併設した場合は、アンモニア捕集装置12に、分解生成ガスGを硝化槽43の硝化液Nに注入してアンモニアを除去するスクラバを含めることができる。
好ましくは、図2に示すように、発酵槽1内の固定床2の上方に有孔隔壁21を介して隣接する固形状有機性廃棄物Aの格納空間25を設け、ポンプ6付き循環路5により発酵槽1の有孔隔壁21の下方から有機物含有液Eを引き抜き有孔隔壁21の上方に戻して循環させ、固形状有機性廃棄物A中の有機物を有機物含有液Eに移行させて分解する。また図6に示すように、循環路5上のポンプ6の下流側部位に、発酵槽1の下部に連通する下部密閉空間26aと発酵槽1の頂部の気相部9に連通する上部密閉空間26bとその両密閉空間26a、26bの間にそれぞれ有孔隔壁21、22を介して挟まれた固形状有機性廃棄物Aの格納空間25とを有する有機物格納槽20を設け、ポンプ6付き循環路5により発酵槽1の有機物含有液Eを格納槽20の下部密閉空間26aへ圧入し且つ格納槽20の上部密閉空間26bから発酵槽1に戻して循環させることにより、固形状有機性廃棄物A中の有機物を有機物含有液Eに移行させて分解することもできる。
更に好ましくは、図4又は図5に示すように、発酵槽1の頂部の気相部9に連通する固形状有機性廃棄物Aの格納空間25とその格納空間25の下方に有孔隔壁21を介して隣接し且つ開閉弁33付き排液路32を介して発酵槽1に連通する密閉空間26とを有する有機物格納槽20を併設し、格納槽20の密閉空間26に一端が接続され且つ他端が発酵槽1の循環路5のポンプ6の下流側部位に切替弁31a、31bを介して接続された導入路30と、格納槽20の格納空間25における有機物含有液Eの冠水を検出する検出器27と、切替弁31a、31bを定期的に導入路30側に切り替えて発酵槽1の有機物含有液Eを循環路5のポンプ6により格納槽20内へ圧入し且つ検出器27の検出信号に応じて切替弁31a、31bを循環路5側に切り替えると共に排液路32の開閉弁33を開放して格納槽20内の有機物含有液Eを発酵槽1へ戻す制御装置35とを設け、固形状有機性廃棄物A中の有機物を定期的に圧入する有機物含有液Eに移行させて分解する。このように発酵槽1と独立した有機物格納槽20を用いる場合は、図4に破線で示すように、ガス流路10を、発酵槽1の頂部の気相部9に代えて有機物格納槽20の頂部の気相部に接続してもよい。
本発明によるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置は、メタン発酵微生物の固定床2を有する嫌気性発酵槽1に有機物含有液Eを滞留させると共に微生物の活性温度に保温し、発酵槽1内の有機物含有液Eをポンプ6付き循環路5で下部から引き抜き上部へ戻して循環させながらメタン発酵微生物により分解し、発酵槽1の気相部9分解生成ガスGをガス回収路18により外部へ回収しながらポンプ11付きガス流路10に引き抜き、そのガス流路10上に設けたアンモニア捕集装置12でアンモニア捕集後のガスGをポンプ11によって循環路5上に吹き込んで有機物含有液E中のアンモニア濃度の上昇を抑制するので、次の顕著な効果を奏する。
(イ)循環路5の有機物含有液E中にアンモニア捕集後の分解生成ガスGを吹き込むので、液面Lからアンモニアを拡散させる方法に比し有機物含有液EとガスGとの接触面積を増大させ、有機物含有液E中のアンモニアを迅速且つ効率的にガスGに移行させて除去することができる。
(ロ)有機物含有液Eのアンモニアが移行した分解生成ガスGは循環路5から発酵槽1に戻されたのち有機物含有液Eと気液分離されるので、循環路5から発酵槽1に戻す有機物含有液Eのアンモニア濃度を十分に低下させ、ひいては発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑制できる。
(ハ)有機物含有液Eの全体量に対する液面Lの面積の割合が小さい大型の発酵槽1においても、発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑制し、アンモニア阻害の発生を有効に防止できる。
(ニ)循環路5上のガス送り込み部位に有機物含有液Eと分解生成ガスGとを混合攪拌するラインミキサー14を設けて両者の接触面積を更に増大することにより、アンモニア阻害の発生を一層確実に防止できる。
(ホ)発酵槽1の外付け循環路5に分解生成ガスGを吹き込むので、発酵槽1内の固定床2の微生物に対する影響が小さく、発酵槽1内における微生物の高濃度保持を維持しつつアンモニア阻害のない効率的なメタン発酵処理を実現できる。
(ヘ)有機物含有液E中のアンモニアを効率的に除去することで、窒素濃度が高い有機物をメタン発酵処理することが可能となり、アンモニア阻害が発生しやすい無希釈の固形状又は半固形状の有機性廃棄物Aを処理する乾式メタン発酵にも適用できる。
(ト)既存のメタン発酵槽に対してもアンモニア捕集装置12付きガス流路10の増設によって適用可能であり、アンモニア阻害の低減によるメタン発酵処理の効率向上を図ることができる。
図1は、有機性廃棄物をほぼ等量の水と共にスラリー状に粉砕した有機物含有液Eをメタン発酵処理する本発明の処理装置の実施例を示す。図示例の処理装置は、図8の処理装置と同様に、内部にメタン発酵微生物の固定床2を有する嫌気性発酵槽1と、その発酵槽1内の有機物含有液Eを発酵槽1の下部から引き抜き発酵槽1の上部に戻して循環させる 循環ポンプ6付き循環路5と、発酵槽1の頂部の気相部9から分解生成ガスG(以下、バイオガスGということがある)を引き抜くエアポンプ11付きガス流路10とを有し、そのガス流路10上にアンモニア捕集装置12を設けている。ただし図示例の処理装置は、図8のように発酵槽1の気相部9とアンモニア捕集装置12との間でバイオガスGを循環させるのではなく、ポンプ11付きガス流路10によりアンモニア捕集装置12からのアンモニア除去後のバイオガスGを循環路5上に吹き込んでいる。
発酵槽1の固定床2には、高分子量の有機物を低分子量に分解する加水分解菌、低分子量の有機物を酢酸等の有機酸に分解する酸発酵菌、有機酸をメタンと二酸化炭素とに分解するメタン生成菌等を含むメタン発酵微生物を付着させる。固定床2の一例は、メタン発酵微生物が高濃度に付着可能な適当な微生物担体3、例えばガラス繊維製又は炭素繊維製の織布又は不織布が中空筒状に成形された微生物担体3を規則的に並べたものである。発酵槽1内には、固定床2が浸漬するように、頂部の開閉弁8a付き取入口8から有機物含有液Eを連続的に供給する。図示例の発酵槽1は、その底部の有機物含有液Eを外側の液面対応高さの溢流口17から溢流させる溢流路16を有し、溢流口17の高さによって発酵槽1内の有機物含有液Eの液面高さを定める構造となっており、固定床2が浸漬する高さに溢流口17が設けられている。
また発酵槽1には、発酵槽1内の有機物含有液Eをメタン発酵微生物の活性温度に保温する保温装置7を設ける。図示例では、保温装置7を循環路5上に設けた熱交換器とし、熱交換器7に例えば蒸気その他の高温流体Hを送り、その高温流体Hとの熱交換により発酵槽1内の有機物含有液Eをメタン発酵に最適な発酵温度に保温している。例えばメタン生成菌として高温菌を用いる場合は、保温装置7により有機物含有液Eを50〜60℃、好ましくは54〜56℃に保温する。ただし、保温装置7は図示例に限定されず、例えば保温装置7を発酵槽1の周壁に取り付けたジャケット型の熱交換器とし、ジャケット型の熱交換器により発酵槽1内の有機物含有液Eをメタン発酵微生物の活性温度に保温してもよい。
発酵槽1の頂部に供給された有機物含有液Eは、ポンプ6付き循環路5によって形成される下向流で攪拌されながら発酵槽1の下部に向けて移行する。望ましくは、図示例のように循環路5の戻り口に分散器5aを設け、循環路5の有機物含有液Eを分散器5aにより発酵槽1の液面Lに均一に散布し、発酵槽5内に緩やかで均一な下向流を形成する(図2の分散器5aも参照)。発酵槽5内に均一な下向流を形成することで、発酵槽1内で発生したバイオガスGの気泡の上昇流と有機物含有液Eの下向流との交差による効果的な攪拌が期待でき、有機物含有液E中に溶解又は懸濁したアンモニアの除去効率を高める効果も期待できる。有機物含有液Eは、発酵槽1内を移行する間に固定床2と接触して徐々に分解され、メタン及び二酸化炭素を含むバイオガスGが生成される。バイオガスGは、気泡となって発酵槽1内の頂部の気相部9に移行し、ガス回収路18から処理系外へ回収される。必要に応じてガス回収路18に脱硫器19(図8参照)等を設けることができる。
発酵槽1の下部に移行した有機物含有液Eは、ポンプ6付き循環路5に引き抜かれて発酵槽1の上部に戻され、発酵槽1に所要時間滞留しながら更に分解される。このように発酵槽1に滞留させながら分解すると、有機物含有液Eの窒素濃度の高い場合に、有機物含有液Eのアンモニア濃度が上昇する可能性がある。図示例の処理装置は、ガス流路10により発酵槽1の気相部9から引き抜いたバイオガスGをアンモニア捕集装置12へ送り、捕集装置12でアンモニア除去後のバイオガスGをエアポンプ11により循環路5上へ吹き込むことで有機物含有液Eのアンモニア濃度の上昇を抑制している。アンモニア捕集装置12は、従来技術に属する適当な湿式又は乾式の捕集装置を利用することが可能であるが、例えば水や酸溶液(例えば希硫酸溶液)等の洗浄液を利用してバイオガスG中のアンモニアを捕集するスクラバ(洗浄集塵器)を用いることができる。また、図示例では循環ポンプ6への気泡の進入を防ぐためにポンプ6の下流側にバイオガスGを送り込んでいるが、気泡の進入が問題とならなければ循環路5上の任意部位にバイオガスGを送り込むことができ、発酵槽1によってガス送り込み部位を適宜に選択できる。
図示例では、循環路5上の有機物含有液E中に、ガス流路10のアンモニア捕集装置12でアンモニア分圧を低下させたバイオガスGがエアポンプ11により気泡として吹き込まれる。バイオガスGを小さな気泡として吹き込むことで有機物含有液Eとの接触面積が増大し、アンモニア分圧の低下したバイオガスG中に有機物含有液Eのアンモニアを効率的に移行させることができる。また、循環路5に吹き込んだバイオガスGは発酵槽1に戻ったのち有機物含有液Eから分離されるので、循環路5において有機物含有液E中のアンモニアをバイオガスG中に移行させることにより、循環路5から発酵槽1に戻る有機物含有液E(図示例では、分散器5aにより液面Lに散布される有機物含有液E)のアンモニア濃度を十分に低下させ、その結果として発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑制することができる。更に有機物含有液EからバイオガスGへのアンモニアの移行が促進されるように、循環路5上の有機物含有液Eの流量(循環ポンプ6の流量)に応じてバイオガスGの吹き込み量(エアポンプ11の流量)を適切に選択し、必要に応じて循環路5上に複数のバイオガスGの吹き込み口を設けてもよい。
好ましくは、図示例のように、循環路5上のガス送り込み部位に、発酵槽1からの有機物含有液Eとアンモニア捕集装置12からのバイオガスGとを混合攪拌するラインミキサー14を設ける。図示例のラインミキサー14は、循環路5の流れ方向の回転軸の周りに回転自在な攪拌羽根15を有し、有機物含有液EとバイオガスGとを均一に混合すると共に、ガスGの気泡を微細化して有機物含有液E中への溶解効率を高めることにより有機物含有液EとガスGとの接触面積を大きくする。バイオガスGとの接触面積が増大することで有機物含有液EからガスGへのアンモニアの移行を促進し、循環路5から発酵槽1に戻る有機物含有液Eのアンモニア濃度を更に低く抑えることができる。
発酵槽1内に所要時間滞留して粒径及び粒子密度が小さくなった有機物含有液E中の有機物は、発酵槽1の底部から溢流路16に進入して溢流口17から処理済液Fと共に排出される。一般に発酵の進んでいない比較的粒径の大きな有機物は流れに乗って移動しやすく、発酵槽1の底部において循環路5に引き抜かれて更に循環するので、発酵の進んだ比較的粒径の小さい有機物のみが発酵槽1の底部から溢流路16に送られて排出されることとなる。溢流口17から排出された処理済液Fは、必要に応じて排水処理装置40(図3参照)により二次処理されたのち下水道や河川等の環境中に放流される。発酵槽1内における有機物含有液Eの滞留時間は、取入口8からの有機物含有液Eの供給流量によって調節することができる。
図1のメタン発酵処理装置によれば、発酵槽1内の固定床2の微生物の高濃度保持を破壊するおそれがなく、しかも循環路5においてアンモニア濃度を十分に低下させた有機物含有液Eを発酵槽1に戻して循環することで発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑制できるので、大型の発酵槽1においても高濃度微生物によるアンモニア阻害のない効率的なメタン発酵処理を実現することができる。また、発酵槽1内の全体のアンモニア濃度の上昇を効果的に抑えることができることから、図1のように有機性廃棄物をある程度希釈して粉砕したスラリー状の有機物含有液Eを処理する湿式メタン発酵だけでなく、アンモニア阻害が発生しやすいとされている無希釈の固形状又は半固形状の有機性廃棄物をそのまま処理する乾式メタン発酵にも適用することが期待できる。
図2は、固形状又は半固形状の有機性廃棄物A(以下、これらを纏めて「固形状有機性廃棄物」ということがある)を処理する本発明のメタン発酵処理装置の一例を示す。図示例の発酵槽1には、固定床2の上方に有孔隔壁21を介して隣接する固形状有機性廃棄物Aの格納空間25が設けられている。有孔隔壁21の一例は、発酵槽1の内周断面形状と同じ外縁形状であって全面又は一部に適当径の小孔が穿たれた多孔板である。発酵槽1の内周面の所定部位に多孔板21の外縁を密着させて嵌め込むことにより、発酵槽1の内側を固定床2が設けられた下方空間と上方の格納空間25とに仕切ることができる。格納空間25には、取入口8から適当な大きさに粗粉砕した固形状有機性廃棄物Aを投入する。また、図示例の発酵槽1内には有機性廃棄物Aが冠水する高さの有機物含有液E(例えばメタン発酵微生物を含む有機排水等)が投入されている。ただし、発酵槽1内の有機物含有液Eの液面Lは必ずしも有機性廃棄物Aが冠水する高さでなくてもよく、発酵槽1に投入する有機性廃棄物Aの種類・粒径等の条件によって適宜選択できる。例えば有機性廃棄物Aが易分解性である場合は、同図に点線で示すように、有機物含有液Eの液面Lを有孔隔壁21とほぼ同じ高さとすることができる。
図2の処理装置では、ポンプ6付き循環路5によって発酵槽1の有孔隔壁21の下方から有機物含有液Eを引き抜き、発酵槽1の有孔隔壁21の上方の格納空間25に戻して循環させることにより、格納空間25の固形状有機性廃棄物Aを有機物含有液E中の微生物との接触によって徐々に分解して、粒径の小さい有機物に可溶化して有機物含有液Eと共に有孔隔壁21の下方に移行させる。また、この有機物含有液Eの循環と同時に、ポンプ11付きガス流路10により発酵槽1の格納空間25の気相部9からバイオガスGを引き抜いてアンモニア捕集装置12へ送り、捕集装置12でアンモニア除去後のバイオガスGを循環路5上へ吹き込む。
図2の実施例においても、図1の場合と同様に、アンモニア捕集装置12でアンモニアを除去したバイオガスGを小さな気泡として循環路5上の有機物含有液Eに吹き込むことで、有機物含有液EのアンモニアをバイオガスG中に効率的に移行させ、循環路5から発酵槽1の格納空間25に戻る有機物含有液Eのアンモニア濃度を十分に低下させることができる。その結果として、発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑制し、従来アンモニア阻害が発生しやすいとされている固形状有機性廃棄物Aを無希釈でメタン発酵する際のアンモニア阻害を防止することができる(後述の実験例1参照)。
なお、図2の処理装置は、固形有機性廃棄物A中に混入することのある固形異物Bを排出するための排出口24を有している。有機性廃棄物A中の可溶化しない異物Bは有孔隔壁21の下方に移行せず有孔隔壁21上に滞留するため、有孔隔壁21上に溜まった異物Bを排出口24から適宜取り出して回収する。従って、図示例の格納空間25に投入する有機性廃棄物Aは、前処理段階で粗粉砕すれば十分であり、異物Bが混入していても有孔隔壁21上に滞留して固定床2への侵入や付着等が防止され、メタン発酵を阻害しないので、必ずしも前処理段階で異物Bを分別する必要もない。従って、図1のような湿式メタン発酵法に比し、固形状有機性廃棄物Aの前処理を極めて簡単化・低コスト化できる利点を有している。
図5は、固形状又は半固形状の有機性廃棄物Aをメタン発酵処理する本発明の他の処理装置の実施例を示す。図示例の処理装置は、嫌気性発酵槽1と独立した有機物格納槽20を有し、その有機物格納槽20内に、発酵槽1の気相部9にガス連絡路29を介して連通する固形状有機性廃棄物Aの格納空間25と、その格納空間25の下方に有孔隔壁21を介して隣接すると共に開閉弁33付き排液路32を介して発酵槽1に連通する密閉空間26とを設けている。有孔隔壁21は図2の実施例と同様のものである。また図示例の処理装置は、発酵槽1の循環路5と有機物格納槽20の密閉空間26とを接続する導入路30を有する。導入路30は、その一端が切替弁31a、31bを介して発酵槽1の循環路5のポンプ6の下流側部位に接続され、その他端が有機物格納槽20の密閉空間26に接続されている。更に図示例の処理装置は、有機物格納槽20の格納空間25の冠水を検出する冠水検出器27と、切替弁31a、31bの切り替えを制御する制御装置35とを有する。図示例の有機物格納槽20の格納空間25には、図2の場合と同様に、取入口8から適当な大きさに粗粉砕した固形状有機性廃棄物Aを投入する。発酵槽1には、例えばメタン発酵微生物を含む有機排水等の有機物含有液Eを蓄える。
図5の制御装置35は、切替弁31a、31bを定期的に導入路30側に切り替えて発酵槽1の有機物含有液Eを循環路5のポンプ6により有機物格納槽20の密閉空間26から格納空間25内へ圧入し、有機物格納槽20の格納空間25の固形状有機性廃棄物Aを有機物含有液Eで冠水させる。ポンプ6の駆動時間間隔は有機性廃棄物Aの量や種類に応じて適宜設定できるが、たとえば1日に1〜4回程度とすることができる。冠水検出器27の検出信号により有機物含有液Eによる有機性廃棄物Aの冠水が検出されると、必要に応じて冠水を一定時間保持したのち、制御装置35は切替弁31a、31bを循環路5側に切り替えると共に排液路32の開閉弁33を開放して格納槽20内に圧入した有機物含有液Eを密閉空間26経由で発酵槽1へ戻す。格納空間25の固形状有機性廃棄物Aは、冠水時に有機物含有液E中の微生物との接触によって徐々に分解されて可溶化し、排液時に有機物含有液Eと共に発酵槽1に戻されてメタン発酵に供される。
図5の実施例においても、図1及び図2の場合と同様に、発酵槽1において有機物含有液Eをメタン発酵処理する際に、ポンプ11付きガス流路10により発酵槽1の気相部9からバイオガスGを引き抜き、アンモニア捕集装置12でアンモニア除去後のバイオガスGを循環路5上へ吹き込むことにより、発酵槽1内の有機物含有液Eのアンモニア濃度の上昇を抑制することができる。なお、図示例では有機物格納槽20の格納空間25と発酵槽1の気相部9とはガス連絡路29により連通しているので、ガス流路10により有機物格納槽20のバイオガスGも同時に引き抜くことができ、ガス流路10を発酵槽1の頂部に代えて有機物格納槽20の頂部(格納空間25)の気相部に接続してバイオガスGを引き抜いてもよい(図4の破線参照)。また、図5の実施例では有機物格納槽20の密閉空間26を発酵槽1の頂部より上方に設け、有機物格納槽20内に圧入した有機物含有液Eを重力によって排液路32経由で発酵槽1に戻しているが、有機物格納槽20と発酵槽1とが同じレベルに設置されている場合は、図4に示すように、排液路32上に排液ポンプ34を設け、制御装置35により排液路32の開閉弁33を開放すると共に排液ポンプ34を駆動して有機物格納槽20内の有機物含有液Eを発酵槽1に戻してもよい。この場合は、有機物格納槽20の密閉空間26に水位を検出する水位検出器28を設け、水位検出器28の検出信号に応じて制御装置35が排液路32の開閉弁33を閉鎖することや排液ポンプ34を停止することができる。
[実験例1]
本発明による発酵槽1のアンモニア濃度の低減効果を確認するため、有効容積5リットルの発酵槽1及び有機物格納槽20を用いて図5に示す処理装置を試作し、メタン発酵処理時の有機物含有液Eのアンモニア濃度を計測する実験を行った。本実験では、発酵槽1内の固定床2にメタン発酵微生物として高温菌群を保持させると共に発酵槽1内に有機物含有液Eを蓄え、その有機物含有液Eを保温装置7で55℃に保温しつつ循環路5及び循環ポンプ6経由で循環させた。また、有機物格納槽20の格納空間25に固形状有機性廃棄物Aとして弁当と野菜くずとを混合粉砕処理した含水率70%の生ごみ(T-CODcr=350,000mg/リットル、ケルダール窒素濃度=10,000mg/リットル)を130g/日の割合で供給し、制御装置35により4回/日の頻度で発酵槽1の有機物含有液Eを有機物格納槽20に圧入し、固形状有機性廃棄物A中の有機物を有機物含有液Eに移行させた。更に、発酵槽1の気相部9のバイオガスGをエアポンプ11により発酵槽1の単位容積(m3)当たり10m3/dayの流量でガス流路10に引き抜いてアンモニア捕集装置12へ送り、アンモニア捕集後のバイオガスGを循環路5上に設けたラインミキサー14に吹き込みながら、発酵槽1内の有機物含有液Eのアンモニア濃度を50日間にわたり継続的に計測した。アンモニア捕集装置12として0.1Nの硫酸溶液利用のスクラバを使用した。
固形状有機性廃棄物Aのケルダール窒素濃度が10,000mg/リットルであり、ケルダール窒素の約70%がアンモニア性窒素に変換されると仮定すると、アンモニア除去を行わなければ、発酵槽1内の有機物含有液Eのアンモニア濃度は約7,000mg/リットルになると予想された。図7(A)のグラフは、図5の実験装置における発酵槽1内のアンモニア濃度の計測結果を示す。また同図(B)は、アンモニア捕集後のバイオガスGを循環路5上に吹き込むのではなく、図8のように発酵槽1の気相部9とアンモニア捕集装置12との間でバイオガスGを循環させてアンモニア分圧の低下させた対照実験における発酵槽1内のアンモニア濃度の計測結果を示す。
図7(B)のグラフから、発酵槽1の気相部9のアンモニア分圧の低下させる方法によっても、発酵槽1内のアンモニア濃度をアンモニア阻害が発生しうる3,000mg/リットル以下に抑えることができることが分かる。しかし、図7(A)のグラフから分かるように、アンモニア捕集後のバイオガスGを循環路5上に吹き込むことにより、発酵槽1内のアンモニア濃度を2,000mg/リットル以下に低下させ、有機物含有液E中のアンモニアを一層効率的に除去することができる。この実験結果から、本発明のメタン発酵処理装置によれば、有機物含有液Eの全体量に対する液面Lの面積の割合が小さい大型の発酵槽1においてもアンモニア濃度の上昇を低く抑え、アンモニア阻害のない効率的なメタン発酵が可能であることを確認することができた。
こうして本発明の目的である「大型の発酵槽においてもアンモニア阻害を効率的に抑制できるメタン発酵処理装置」を達成することができる。
図4は、冷却器12aを含むアンモニア捕集装置12を用いた本発明の処理装置の実施例を示す。上述したように本発明の処理装置では、硫酸スクラバその他の従来技術に属する適当なアンモニア捕集装置12を利用できるが、硫酸スクラバ等を用いた場合は、薬品を頻繁に補充・交換する必要が生じる。図示例のアンモニア捕集装置12は、発酵槽1の気相部9から抜き出したバイオガスGを例えば冷却水その他の冷却流体Cにより冷却してアンモニア水を凝縮させる冷却器12aと、凝縮したアンモニア水を分離する気液分離器12b(トラップなど)とを有する。
図示例の発酵槽1の内部は保温装置7によりメタン発酵微生物に適した高温(例えば50〜60℃)に保温されており、その気相部9のバイオガスGも高温となっている。図示例では、気相部9から抜き出したバイオガスGを冷却器12aにおいてメタン発酵微生物の活性温度以下、好ましくは25℃程度の室温以下、更に好ましくは5℃程度に冷却することにより、バイオガスG中に含まれる水蒸気を液化して水とし、バイオガスG中のアンモニアを水に溶かして除去している。その凝縮したアンモニア水を気液分離器12bで分離したうえでバイオガスGを循環路5に吹き込むことで、循環路5の有機物含有液Eのアンモニア濃度を低下させ、発酵槽1内の有機物含有液E全体のアンモニア濃度の上昇を抑えることができる。このようにアンモニア捕集装置12としてアンモニア水を凝縮させる冷却器12aを用いることにより、硫酸スクラバ等のように薬品の補充・交換といった手間やコストが不要となり、メタン発酵処理のランニングコストを削減することができる。なお、冷却器12aをアンモニア捕集装置12として用いる場合は、液化した水を補充するため、発酵槽1に適宜水分(例えば図3の排水処理装置40からの二次処理水)を補給することが望ましい。
図3は、発酵槽1の処理済液Fを更に生物学的脱窒処理する硝化槽43及び脱窒槽42を併設した場合に、その硝化槽43の硝化液Nを用いてバイオガスG中のアンモニアを除去する本発明の処理装置の実施例を示す。一般に発酵槽1から排出される処理済液Fは、そのまま下水道等に放流できない場合は、排水処理装置40を用いて処理済液F中の残留有機物を更に浄化したうえで環境中に放流する必要がある。図示例の排水処理装置40は、処理済液F中の固形分を除去する最初沈殿池41とその上澄み液を流入させる脱窒槽42及び硝化槽43と最終沈殿池44とを有し、最終沈殿池44から脱窒槽42に硝化液Nを循環させて戻すことにより、処理済液F中のBOD及び窒素を浄化するものである。図示例では、硝化槽43の硝化液Nを貯留し、その硝化液Nに発酵槽1の気相部9から抜き出したバイオガスGを吹き込んでアンモニアを捕集するスクラバ(硝酸スクラバ)をアンモニア捕集装置12としている。このように排水処理装置40において発生する硝化液Nを用いてバイオガスG中のアンモニアを捕集することにより、薬品に要するランニングコストを削減できる効果が得られる。
図6は、図2及び図4の場合と同様に固形状又は半固形状の有機性廃棄物Aをメタン発酵処理する本発明の更に他の実施例を示す。図示例の処理装置は、循環路5上のポンプ6の下流側部位に発酵槽1と独立した有機物格納槽20を設けている。有機物格納槽20内には、発酵槽1の下部に連通する下部密閉空間26aと、発酵槽1の頂部の気相部9に連通する上部密閉空間26bと、その両密閉空間26a、26bの間にそれぞれ有孔隔壁21、22を介して挟まれた固形状有機性廃棄物Aの格納空間25とが設けられている。有孔隔壁21は図4の実施例と同様のものである。有機物格納槽20の上部密閉空間26bには有孔隔壁22を貫通して格納槽20の外部と格納空間25とを連通する取入弁23a付き取入口23が設けられており、図4の場合と同様に、その取入口23から格納空間25に有孔隔壁22を介して適当な大きさに粗粉砕した固形状有機性廃棄物Aを投入する。また発酵槽1には、例えばメタン発酵微生物を含む有機排水等の有機物含有液Eを蓄える。
図6の実施例では、ポンプ6付きの上流側循環路5nにより発酵槽1の有機物含有液Eを格納槽20の下部密閉空間26aへ圧入し、有孔隔壁21を介して有機物含有液Eを格納空間25内に進入させて固形状有機性廃棄物Aを攪拌し、更に有孔隔壁22を介して上部密閉空間26bに進入した有機物含有液Eを下流側循環路5mにより発酵槽1に戻して循環させる。このような有機物含有液Eの循環により、格納空間25の固形状有機性廃棄物Aは微生物との接触によって徐々に分解されて可溶化し、下流側循環路5mを介して有機物含有液Eと共に発酵槽1に戻されてメタン発酵に供される。更に、上述したように発酵槽1において有機物含有液Eをメタン発酵処理する際に、ポンプ11付きガス流路10により発酵槽1の気相部9(又は有機物格納槽20の上部密閉空間26bの気相部)からバイオガスGを引き抜き、アンモニア捕集装置12でアンモニア除去後のバイオガスGを循環路5上へ吹き込むことにより、発酵槽1及び有機物格納槽20における有機物含有液Eのアンモニア濃度の上昇を抑制することができる。
本発明の一実施例の説明図である。 固形状有機性廃棄物を分解する本発明の実施例の説明図である。 硝化槽の硝化液を用いたアンモニア捕集装置の実施例の説明図である。 冷却器を用いたアンモニア捕集装置の実施例の説明図である。 固形状有機性廃棄物を分解する本発明の他の実施例の説明図である。 固形状有機性廃棄物を分解する本発明の更に他の実施例の説明図である。 本発明によるアンモニア阻害抑制効果の確認実験結果の説明図である。 従来のアンモニア阻害低減型のメタン発酵装置の説明図である。
符号の説明
1…嫌気性発酵槽 2…固定床
3…微生物担体 5…循環路
5a…分散器 5b…吐出口
5c…抜出口 5m…下流側循環路
5n…上流側循環路 6…循環ポンプ
7…保温装置(熱交換器) 8…取入口
8a…開閉弁 9…気相部
10…ガス流路 10a…抜出口
10b…戻り口
11…エアポンプ 12…アンモニア捕集装置
12a…冷却器 12b…気液分離器
14…ラインミキサー 15…攪拌羽根
16…溢流路 17…溢流口
18…ガス回収路 19…脱硫器
20…有機物格納槽 21、22…有孔隔壁(多孔板)
23…取入口 23a…取入弁
24…排出口 25…格納空間
26…密閉空間 26a…下部密閉空間
26b…上部密閉空間 27…冠水検出器
28…水位検出器 29…ガス連絡路
30…導入路 31、31a、31b…切替弁
32…排液路 33…開閉弁
34…排液ポンプ 35…制御装置
40…排水処理装置 41…最初沈殿池
42…脱窒槽 43…硝化槽
44…最終沈殿池 50…貯留タンク
51…供給ポンプ 52…供給路
A…固形状有機性廃棄物(固形状又は半固形状の有機性廃棄物)
B…異物 E…有機物含有液
F…処理済液 H…高温流体(蒸気等)
C…冷却流体(冷却水等) G…分解生成ガス(バイオガス)
N…硝化液 L…液面

Claims (8)

  1. 有機物含有液を滞留させつつメタン発酵微生物の固定床に接触させて分解する嫌気性発酵槽、前記発酵槽内の有機物含有液を微生物の活性温度に保温する保温装置、前記発酵槽内の有機物含有液を発酵槽の下部から引き抜き発酵槽の上部に戻して循環させるポンプ付き循環路、前記発酵槽の頂部の気相部から分解生成ガスを引き抜き前記循環路上に吹き込むポンプ付きガス流路、前記ガス流路上に設けたアンモニア捕集装置、及び前記発酵槽の気相部の分解生成ガスを外部へ回収するガス回収路を備え、前記ガス回収路により分解生成ガスを外部へ回収しながら前記ガス流路によりアンモニア捕集後の分解生成ガスを有機物含有液中に吹き込んでアンモニア濃度の上昇を抑制してなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  2. 請求項1の処理装置において、前記循環路上のガス吹き込み部位に、前記発酵槽からの有機物含有液と前記アンモニア捕集装置からの分解生成ガスとを混合攪拌して有機物含有液から分解生成ガスへのアンモニアの移行を促進するラインミキサーを設けてなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  3. 請求項1又は2の処理装置において、前記アンモニア捕集装置に、前記分解生成ガスを前記微生物の活性温度以下に冷却してアンモニア水を凝縮させる冷却器を含めてなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  4. 請求項1から3の何れかの処理装置において、前記発酵槽の処理済液を更に生物学的脱窒処理する硝化槽及び脱窒槽を設け、前記アンモニア捕集装置に、前記分解生成ガスを硝化槽の硝化液に注入してアンモニアを除去するスクラバを含めてなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  5. 請求項1から4の何れかの処理装置において、前記発酵槽内の固定床上方に有孔隔壁を介して隣接する固形状有機性廃棄物の格納空間を設け、前記ポンプ付き循環路により前記発酵槽の有孔隔壁下方から有機物含有液を引き抜き有孔隔壁上方に戻して循環させ、前記有機性廃棄物中の有機物を有機物含有液に移行させて分解してなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  6. 請求項1から4の何れかの処理装置において、前記循環路上のポンプ下流側部位に、前記発酵槽の下部に連通する下部密閉空間と前記発酵槽の頂部の気相部に連通する上部密閉空間とその両密閉空間の間にそれぞれ有孔隔壁を介して挟まれた固形状有機性廃棄物の格納空間とを有する有機物格納槽を設け、前記ポンプ付き循環路により前記発酵槽の有機物含有液を前記格納槽の下部密閉空間へ圧入し且つ前記格納槽の上部密閉空間から前記発酵槽に戻して循環させ、前記有機性廃棄物中の有機物を有機物含有液に移行させて分解してなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  7. 請求項1から4の何れかの処理装置において、前記発酵槽の頂部の気相部に連通する固形状有機性廃棄物の格納空間とその格納空間の下方に有孔隔壁を介して隣接し且つ開閉弁付き排液路を介して前記発酵槽に連通する密閉空間とを有する有機物格納槽を併設し、前記格納槽の密閉空間に一端が接続され且つ他端が前記発酵槽の循環路のポンプ下流側部位に切替弁を介して接続された導入路と、前記格納槽の格納空間における有機物含有液の冠水を検出する検出器と、前記切替弁を定期的に導入路側に切り替えて前記発酵槽の有機物含有液を循環路ポンプにより前記格納槽内へ圧入し且つ前記検出器の検出信号に応じて前記切替弁を循環路側に切り替えると共に前記排液路の開閉弁を開放して前記格納槽内の有機物含有液を前記発酵槽へ戻す制御装置とを設け、前記有機性廃棄物中の有機物を定期的に圧入する有機物含有液に移行させて分解してなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
  8. 請求項6又は7の処理装置において、前記ガス流路を、前記発酵槽の頂部の気相部に代えて前記有機物格納槽の頂部の気相部に接続してなるアンモニア阻害抑制型メタン発酵処理装置。
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