JP4669586B2 - 土木構造体および土木構造体用外装構築部材 - Google Patents

土木構造体および土木構造体用外装構築部材 Download PDF

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Description

本発明は、土木構造体および土木構造体用外装構築部材に関するもので、特に、軽量性と耐熱性とを兼ね備えた、土木構造体および土木構造体用外装構築部材に関するものである。
軟弱地盤地帯、交通の激しい場所、或いは狭い環境下といった環境の悪いところでの施工に際し、その労力の削減、施工時間の短縮等のために、発泡樹脂ブロックからなる構築部材(主構築部材)を積み上げるとともに、それらの外表面を構成する発泡樹脂製構築部材として、発泡樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成したもの(外装構築部材)を、該セメント硬化物層が外表面に位置するように配置することによって、外部からの熱に対する耐力および砂利等の異物に対する強度等を高めた土木構造体は知られている(例えば、特許文献1)。
実用新案登録第2607192号公報
しかしながら、上記特許文献1に示された土木構造体(道路やプラットホーム)の場合、付近の火災、野焼き、焚き火等からの熱が発泡樹脂ブロックに悪影響を与えるのを十分に遮断するためには、セメント硬化物層を相当の厚さにしなくてはならず、外装構築部材の重量が嵩み、それだけ運搬労力、構築労力を必要とするばかりでなく、セメント硬化物層の発泡樹脂ブロックからの剥離脱落の虞も生じる。
また、熱による発泡樹脂ブロックの溶融は、特に外装構築部材同士の合わせ面である目地部において生じ易い。これは、積み上げられた外装構築部材の目地部には、どうしても隙間が形成され、この隙間において熱せられた空気の熱対流が起こり、その周囲の発泡樹脂ブロックに常に高温の空気が接するため、この目地部における発泡樹脂ブロックに溶融が生じ易い。この目地部の隙間は、横目地部においては、上からの荷重によってある程度狭いものとなることが期待されるが、縦目地部においては、上からの荷重は掛からず、隙間が生じるのは避け難いことから、特にこの縦目地部における発泡樹脂ブロックの溶融が懸念されていた。
本発明は、上記した実情に鑑みて成されたものであって、その目的は、セメント硬化物層の厚みを厚くすることなく、外熱から発泡樹脂ブロックの溶融を効率的かつ経済的に防ぐことができる、土木構造体および土木構造体用外装構築部材を提供することにある。
上記した目的を達成するため、本発明に係る土木構造体では、発泡ポリスチレン樹脂ブロック(以下、単に発泡樹脂ブロックということがある)からなる主構築部材を積み上げるとともに、発泡樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成してなる外装構築部材を、前記積み上げた主構築部材の外側に、かつセメント硬化物層が外表面となるように配置して構築する土木構造体において、前記外装構築部材の目地部の発泡樹脂ブロック部分に切欠き凹部が形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されていることを特徴とする。
ここで、上記本発明に係る土木構造体において、さらに経済性を向上させる観点等から、上記切欠き凹部が、上記外装構築部材の縦目地部の発泡樹脂ブロック部分に形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されているものとすること、更には、上記切欠き凹部が、上記外装構築部材の縦目地部であって、かつ上記セメント硬化物層側の発泡樹脂ブロック部分に形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されているものとすることは、いずれも好ましい実施の形態である。
また、上記した目的を達成するため、本発明に係る土木構造体用外装構築部材では、発泡樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成してなる土木構造体用外装構築部材において、該土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される目地部を構成する発泡樹脂ブロック部分に切欠き凹部を形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したことを特徴とする。
ここで、上記本発明に係る土木構造体用外装構築部材において、さらに経済性を向上させる観点等から、上記切欠き凹部を、上記土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される縦目地部を構成する発泡樹脂ブロック部分に形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したものとすること、更には、上記切欠き凹部を、上記土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される縦目地部であって、かつ上記セメント硬化物層側を構成する発泡樹脂ブロック部分に形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したものとすることは、いずれも好ましい実施の形態である。
上記した本発明に係る土木構造体によれば、発泡ポリスチレン樹脂ブロックの溶融が懸念される目地部の発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に切欠き凹部が形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されているため、外熱から発泡ポリスチレン樹脂ブロックの溶融を効果的に防ぐことができ、十分な耐熱性を有する構造体を提供できる。また、一般的に耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体は高価であるところ、発泡ポリスチレン樹脂ブロックの溶融が最も懸念される目地部に耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配置することとしたため、少量の耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体によって効率的に発泡ポリスチレン樹脂ブロックの溶融を防ぐことができ、経済的に十分な耐熱性を有する構造体を提供できる。さらに、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体によって耐熱性を向上させた分、セメント硬化物層を、砂利等の異物に対する強度を確保する範囲で可及的に薄くすることもでき、外装構築部材の重量を低減できるため、施工性の良好な更に軽量な構造体を提供できる。
また、上記した本発明に係る土木構造体用外装構築部材によれば、該土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される目地部を構成する発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に切欠き凹部を形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したため、該外装構築部材を積み上げて構築した土木構造体は、その外装構築部材同士の合わせ面である目地部に耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が存在するものとなり、十分な耐熱性を有する構造体を構築できる。また、一般的に耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体は高価であるところ、発泡ポリスチレン樹脂ブロックの溶融が最も懸念される目地部となる部分に耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したため、少量の耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体によって効率的に発泡ポリスチレン樹脂ブロックの溶融を防ぐことができ、経済的に十分な耐熱性を有する外装構築部材を提供できる。さらに、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体によって耐熱性を向上させた分、セメント硬化物層を、砂利等の異物に対する強度を確保する範囲で可及的に薄くすることもでき、外装構築部材の重量を低減できるため、施工性の良好な更に軽量な外装構築部材を提供できる。
以下、上記した本発明に係る土木構造体および土木構造体用外装構築部材の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は本発明に係る土木構造体の一実施の形態である片側垂直壁の拡幅盛土を示した断面図、図2はその外側表面を構成する本発明に係る土木構造体用外装構築部材の一実施の形態を示した斜視図、図3は図2に示した外装構築部材を積み上げた状態を示した部分的な斜視図、図4は図3におけるA−A線に沿う部分の断面図である。
図1に示した拡幅盛土1は、主構築部材2を積み上げて内部構造体を形成し、その外側、即ち外側表面を形成する部位に、外装構築部材3を配置することによって構成されている。
上記主構築部材2は、直方体形状に形成された発泡樹脂ブロック4によって構成されている。一方、上記外装構築部材3は、図2に示したように、発泡樹脂ブロック5の1つの表面に、セメント硬化物層6を形成し、該セメント硬化物層6の周縁を、前記発泡樹脂ブロック5の周面よりも僅かに内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部7を有するものとしている。また、上記外装構築部材3の発泡樹脂ブロック5の左右両側面部分であって、かつ上記セメント硬化物層6側の一部には、切欠き凹部8が形成され、該切欠き凹部8に耐熱性発泡体9が配設されている。
上記主構築部材2の発泡樹脂ブロック4と、上記外装構築部材3の発泡樹脂ブロック5
とは、同一の樹脂によって形成することができ、安価であり、低密度でも強度が大きいポリスチレン樹脂を発泡させたものである。また、この発泡樹脂ブロック4 、5 は、通常、密度0.01〜0.05g/cm3の密度を有するものがよい。大きさとしては、特に限定されないが、例えば、図2 に示した長さ(=L) が100〜200cm、幅( = W ) が50〜150cm 、高さ(=H )が30〜100cmのものが、施工性の観点等から好ましい。また、発泡樹脂ブロック4 、5の発泡体は、耐水性、強度等を考慮して、独立した気泡を有するものであることが好ましい。
また、上記外装構築部材3の表面に設けられるセメント硬化物層6は、コンクリートやモルタル等の様々な水硬性セメントで形成することができる。水硬性セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメントや、水硬性石灰、ローマン・セメント、天然セメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカセメント、膨張セメント、着色セメント等がある。これらの中では、ポルトランドセメントや水硬性石灰、天然セメント、高炉セメント、膨張セメント、着色セメントを用いることが好ましい。
また、上記セメントには、種々の骨材、補強材、軽量化材、水ガラス等を加えることもできる。骨材としては、硅砂、シリカフォーム等の通常の骨材や、膨張粘土、パーライト、膨張スラグ等の人工軽量骨材等がある。また、補強材としては、有機、無機の各種繊維、例えば、スラグ繊維、炭素繊維、ナイロン、ポリエステル繊維等がある。また、軽量化材としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂の、密度0.008〜0.1g/cm3、粒径2〜15mmの発泡樹脂粒子等がある。
特に、セメント硬化物層6に上記発泡樹脂粒子を混入させると、軽量でかつ断熱性にも優れ、また、例えば、図1に示した拡幅盛土1を構築する際に、表層材としてアスファルトを施工する場合に、該セメント硬化物層6の表面に存在する発泡樹脂粒子が加熱されたアスファルトによって溶融され、その結果、溶融した後の粒子の穴にアスファルトが入り込み、アスファルトとセメント硬化物層6との密着性が優れたものになる。この発泡樹脂粒子の混合割合は、セメント100重量部に対して、0.2〜30重量部が適当である。また、上記セメント硬化物層6の厚さとしては、耐熱性、強度、軽量性等の観点から、10〜30mmが適当である。
また、上記発泡樹脂ブロック5の切欠き凹部8に配設される耐熱性発泡体9としては、熱硬化性樹脂発泡体又は熱可塑性樹脂発泡体を用いることができる。熱硬化性樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、ケイ素樹脂等を使用することができる。また、熱可塑性樹脂発泡体としては、例えば、ビカット軟化点(測定条件:荷重1kgf、昇温速度120℃/分)が少なくとも120℃、好ましくは少なくとも130℃、より好ましくは少なくとも140℃の熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等)からなる発泡体、熱可塑性樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等)の発泡体中に無機物質が40〜95重量%、好ましくは60〜90重量%含有する発泡体、又は架橋処理された熱可塑性樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等)の発泡体を好適に用いることができる。
上記熱可塑性樹脂発泡体中に含有される無機物質としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛などの炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化物、もしくはこれらの水和物、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、クレーなどが例示されるが、中でも、難燃性能の向上効果の大きい水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましい。
また、上記耐熱性発泡体9の耐熱性は、100℃以上であること(100℃以上の耐熱性を有すること)が好ましく、断熱性能は、熱伝導率が0.1W/(m・K)以下であることが好ましく、0.07W/(m・K)以下であることが好ましく、0.06W/(m・K)以下であることがより好ましい。その熱伝導率は小さいほど好ましいが、一般的には0.001W/(m・K)を下回るものを製造することは困難であり、小さいものほど高価になるので、通常は0.01W/(m・K)以上のものが、好ましくは0.02W/(m・K)以上のものが使用される。熱伝導率が小さいほど厚みを薄くコンパクトにできるので好ましい。
なお、「100℃以上の耐熱性」とは、100mm×100mm×10mmの試験片を、25℃、50%RH下で24時間放置後、その寸法を計測し、続いて、100℃に設定された熱風循環式オーブン(タバイエスペック社製)中に入れて5時間加熱後、取り出して25℃、50%RH下で24時間放置後、その寸法を再び計測した場合において、加熱後の寸法が加熱前の寸法の±2%以内の変動である場合をいう。また、上記断熱性能の数値は、JIS A 9511(1994年)の4.7の記載に従って、英弘精機株式会社の熱伝導率測定装置「オートラムダ HC−73型」を使用し、平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃(高熱板35℃設定、低熱板5℃設定))に基づいて測定した場合の数値である。
本発明においては、上記耐熱性発泡体9は、建築基準法の防火材料の試験として知られるISO 5660 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験において準不燃規格に合格する素材又はその素材から適宜サイズに切り出されたものであることが好ましい。因みに、同発熱性試験における準不燃規格に合格するものとは、次の[1]乃至[3]を満足するものである。
[1]加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であること。
[2]加熱開始後10分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと。
[3]加熱開始後10分間、防火上有害な裏面までに達する亀裂及び穴がないこと。
尚、同発熱性試験における試験体は、耐熱性発泡体からなる99mm×99mm、厚み10mmのサイズのものを使用する。
上記のような準不燃材料としては、イソシアネート系ポリウレタン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂5〜30重量%と無機物質95〜70重量%(好ましくは塩化ビニル樹脂10〜25重量%と無機物質90〜75重量%)からなる発泡体が例示される。
上記発泡樹脂ブロック5の左右両側面部分であって、かつ上記セメント硬化物層6側の一部に配置される耐熱性発泡体9の高さ(=h)は、上記発泡樹脂ブロック5の高さ(=H)と同一とし、幅(=w)は、発泡樹脂ブロック5の長さ(=L)にも左右されるが、3〜50cmが適当であり、最長で発泡樹脂ブロック5の長さ(=L)となる。また、配置される耐熱性発泡体9の厚さ(=t)は、該耐熱性発泡体9の断熱性能によっても異なるが、10mm以上であることが好ましく、更には20〜100mmが好ましい。
上記外装構築部材3を作製するには、発泡成形した直方体形状の発泡樹脂ブロック5に上記切欠き凹部8およびアリ溝10を形成し、或いは上記切欠き凹部8およびアリ溝10をも型成形により形成した発泡樹脂ブロック5の前記切欠き凹部8に、接着剤を介して耐熱性発泡体9を貼着し、その後、アリ溝10が形成された側を上に向けて型枠に入れ、上方から所望の形状となるように未硬化のセメントモルタルを流し込み、養生・硬化させてセメント硬化物層6を形成すればよい。また、逆に、型枠中に所定量入れられたセメントモルタル上に、予め耐熱性発泡体9を切欠き凹部8に貼着した発泡樹脂ブロック5を、アリ溝10が形成された側を下に向けて載置し、養生・硬化させてセメント硬化物層6を形成してもよい。また、発泡樹脂ブロック5とセメント硬化物層6を別々に作製し、それらを、接着剤を用いて一体化してもよい。
また、上記主構築部材2および外装構築部材3を用いて、図1に示した拡幅盛土1を構築するには、土砂を削ったり、土盛りした後、砂や砂利を敷いて、その上から突き固め作業を施して固めた基礎11を形成し、該基礎11上に、上記主構築部材2を積み重ね、その外側表面を形成する部位に、上記外装構築部材3を、表面にセメント硬化物層6が位置するように敷き並べて積み重ねて構造体と成し、その構造体の上面部に、コンクリート等によって床版12を形成し、その上方の路肩側に地覆コンクリート13を作り、路盤14、アスファルト舗装15等の仕上げ工事を施す。
そして、外装構築部材3の上記切欠き部7によって、外装構築部材3、3間の目地部表面に形成される凹部16に、図4に示したように、バックアップ材17を充填し、更にその表面側に、シーリング材18を充填して、拡幅盛土1を構築する。
上記バックアップ材17としては、発泡樹脂ブロック5よりも耐熱性があり、かつ断熱性を有する耐熱性発泡体を用いることができ、例えば、上記した発泡樹脂ブロック5の切欠き凹部8に配設した耐熱性発泡体9として例示した耐熱性断熱材を好適に使用することができる。
また、上記シーリング材18としては、シリコーンゴム、アスファルトエラスタイト、アスファルト含浸不織布、弾性モルタル等が挙げられる。
以上、本発明に係る土木構造体および土木構造体用外装構築部材の一実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形および変更が可能であることは当然である。
例えば、上記実施の形態では、本発明の土木構造体として片側垂直壁の拡幅盛土1に適用した例を示したが、その他、鉄道のプラットホーム、歩道橋の昇降スロープ、車道接続歩道部の拡幅、橋の歩道部へのアプローチ道路等の各種土木構造体に、本発明に係る土木構造体および土木構造体用外装構築部材は適用できる。
また、上記実施の形態では、外装構築部材3として、セメント硬化物層6を発泡樹脂ブロック5の1つの表面(前面)にのみ配置したものにつき説明したが、必要に応じて、例えば、プラットホームの角部に配置される外装構築部材の場合には、発泡樹脂ブロックの前面および側面に、セメント硬化物層が配設される。
さらに、上記実施の形態では、耐熱性発泡体8を、発泡樹脂ブロック5の左右両側面部分であって、かつセメント硬化物層6側の一部に配設したものにつき説明したが、耐熱性発泡体を、発泡樹脂ブロックの側面のみならず、上下面にも配設し、構築した構造体の縦目地部および横目地部に、耐熱性発泡体が存在するようにしてもよく、また、セメント硬化物層側の一部のみではなく、発泡樹脂ブロックの側面等の全域に耐熱性発泡体を配設したものとしてもよい。
但し、構造体の横目地部においては、上からの荷重によって隙間が狭いものとなり、発泡樹脂ブロックの溶融が生じ難いことを考慮すると、一般的に耐熱性発泡体は高価であることから、発泡樹脂ブロックの溶融が最も懸念される縦目地部のみに耐熱性発泡体を設けることが経済性等の観点から好ましく、上記した実施の形態の如く、発泡樹脂ブロック5の左右両側面部分のみに、耐熱性発泡体を配設することは好ましい。
また、同様の観点から、目地部の入口付近のみに耐熱性発泡体を設けることが好ましく、上記した実施の形態の如く、発泡樹脂ブロック5の左右両側面部分であって、かつセメント硬化物層6側の一部のみに、耐熱性発泡体を配設することは特に好ましい。
−実施例1−
発泡ポリスチレンブロック(株式会社ジェイエスピー製:スチロダイア土木ブロックD20、寸法:2m×1m×0.5m)の両側面の一部を切り欠き(図3のtが30mm、wが100mm、hが500mm)、その切り欠き部に、接着剤〔樹脂モルタル(セメント:アクリル系エマルジョン:水=100:50:30重量部)〕を塗布して厚さ25mmの板状の耐熱性発泡体(株式会社ジェイエスピー製、商品名「ミラフネン」を30mm×100mm×500mmのサイズに切り出したもの)を貼り付け、乾燥後、その表面に接着剤〔樹脂モルタル(セメント:アクリル系エマルジョン:水=100:50:30重量部)〕を塗布し、次いで軽量モルタルを塗布し、乾燥させて厚さ20mmのセメント硬化物層を形成して、図2に示すような外装構築部材を作製した。尚、上記商品名「ミラフネン」は、塩化ビニル樹脂約20重量%と、炭酸カルシウムとタルクとの無機粉体約80重量%からなる見かけ密度83kg/m3の発泡体であり、その熱伝導率は0.04W/(m・K)であり、耐熱性試験に基づく加熱後の寸法が加熱前の寸法の−0.5%の変動率を示すと共に、上記コーンカロリーメーターによる発熱性試験にて準不燃規格に合格するものである。
作製した外装構築部材を、図3に示したように、それらのセメント硬化物層が壁面を構築するように積み上げ、目地部に厚さ10mmとなるようにバックアップ材(可燃性のポリエチレン発泡体製。100℃以上の耐熱性を有するものではない。)を充填し、さらにその外側にシーリング材(建築用シリコーン系シーリング材)を充填し、本発明の構造をもった図1の構造体を構築した。
−比較例1−
上記実施例1において、発泡ポリスチレンブロック(株式会社ジェイエスピー製:スチロダイア土木ブロックD20、寸法:2m×1m×0.5m)の両側面の一部を切り欠くことなく、即ち、耐熱性発泡体を使用することなく、上記実施例1と同一の厚さ20mmの軽量モルタル板を発泡ポリスチレンブロックに接着剤(樹脂モルタル)によって張り付け、外装構築部材を作製し、該外装構築部材を用いて、それらの軽量モルタル板が壁面を構築するように積み上げ、目地部に上記実施例1と同一のバックアップ材とシーリング材を充填し、従来の構造をもった構造体(図1、図3において耐熱性発泡体9の部分が通常の発泡ポリスチレンブロックで構成された構造体)を構築した。
上記両構造体の外装構築部材から50cmはなれたところで大きな焚き火を30分間実施した。その際の外装構築部材壁表面の温度は高いところで300〜400℃に達した。焚き火消火後、外装構築部材壁面の温度が30℃程度になってから、それぞれ、構造体を解体し、外装構築部材壁面裏側の発泡ポリスチレンブロックの状態を観察した。その結果、比較例1のものでは、発泡ポリスチレンブロックが縦目地部分に対応する箇所より大きく溶融して、外装構築部材壁面裏側と発泡ポリスチレンブロックとの間に大きな空間部ができている箇所が目立ち、発泡ポリスチレンブロックから外装構築部材の脱落の危険性が大きいものであった。これに対し、実施例1のものでは、縦目地部直下に耐熱性発泡体を存在させたことにより、縦目地部直下の耐熱性断熱材はほとんど変化がみられず、発泡ポリスチレンブロックの一部にはわずかな溶融部分が見られたものの、目地部近くの発泡ポリスチレンブロックには大きな溶融は見られず、いずれにしても発泡ポリスチレンブロックから外装構築部材の脱落が心配されるほどの重大な欠陥は見られなかった。
本発明に係る土木構造体の一実施の形態である片側垂直壁の拡幅盛土を示した断面図である。 図1に示した構造体において、その外側表面を構成する本発明に係る土木構造体用外装構築部材の一実施の形態を示した斜視図である。 図2に示した外装構築部材を積み上げた状態を示した部分的な斜視図である。 図3におけるA−A線に沿う部分の断面図である。
符号の説明
1 拡幅盛土
2 主構築部材
3 外装構築部材
4、5 発泡樹脂ブロック
6 セメント硬化物層
7 切欠き部
8 切欠き凹部
9 耐熱性発泡体
10 アリ溝
11 基礎
12 床版
13 地覆コンクリート
14 路盤
15 アスファルト舗装
16 凹部
17 バックアップ材
18 シーリング材

Claims (6)

  1. 発泡ポリスチレン樹脂ブロックからなる主構築部材を積み上げるとともに、発泡ポリスチレン樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成してなる外装構築部材を、前記積み上げた主構築部材の外側に、かつセメント硬化物層が外表面となるように配置して構築する土木構造体において、前記外装構築部材の目地部の発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に切欠き凹部が形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されていることを特徴とする、土木構造体。
  2. 上記切欠き凹部が、上記外装構築部材の縦目地部の発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の土木構造体。
  3. 上記切欠き凹部が、上記外装構築部材の縦目地部であって、かつ上記セメント硬化物層側の発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に形成され、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体が配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の土木構造体。
  4. 発泡ポリスチレン樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成してなる土木構造体用外装構築部材において、該土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される目地部を構成する発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に切欠き凹部を形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したことを特徴とする、土木構造体用外装構築部材。
  5. 上記切欠き凹部を、上記土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される縦目地部を構成する発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したことを特徴とする、請求項4に記載の土木構造体用外装構築部材。
  6. 上記切欠き凹部を、上記土木構造体用外装構築部材を複数用いて土木構造体を構築した際に、隣り合う該土木構造体用外装構築部材間に形成される縦目地部であって、かつ上記セメント硬化物層側を構成する発泡ポリスチレン樹脂ブロック部分に形成し、該切欠き凹部に、耐熱性を有しかつ準不燃材料からなる発泡体を配設したことを特徴とする、請求項4に記載の土木構造体用外装構築部材。
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