JP2007002504A - 土木構造体および該土木構造体の構築に使用される外装構築部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内部の発泡樹脂ブロックへの延焼防止を図った、耐火性に優れた土木構造体を提供すること。
【解決手段】 発泡樹脂ブロック4からなる主構築部材2を積み上げるとともに、発泡樹脂ブロック5の少なくとも1つの表面にセメント硬化物層6を形成してなる外装構築部材3を、前記積み上げた主構築部材2の外側に、かつセメント硬化物層6が外表面となるように配置して構築する土木構造体1において、前記外装構築部材3として、前記セメント硬化物層6の周縁を、前記発泡樹脂ブロック5の周縁よりも内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部7を有するものとし、前記土木構造体1を構築した状態で、前記切欠き部7によって前記外装構築部材3,3間の目地部に形成される凹部14に、不燃性部材15を充填した。
【選択図】 図4
【解決手段】 発泡樹脂ブロック4からなる主構築部材2を積み上げるとともに、発泡樹脂ブロック5の少なくとも1つの表面にセメント硬化物層6を形成してなる外装構築部材3を、前記積み上げた主構築部材2の外側に、かつセメント硬化物層6が外表面となるように配置して構築する土木構造体1において、前記外装構築部材3として、前記セメント硬化物層6の周縁を、前記発泡樹脂ブロック5の周縁よりも内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部7を有するものとし、前記土木構造体1を構築した状態で、前記切欠き部7によって前記外装構築部材3,3間の目地部に形成される凹部14に、不燃性部材15を充填した。
【選択図】 図4
Description
本発明は、土木構造体および該土木構造体の構築に使用される外装構築部材に関するもので、特に、内部の発泡樹脂ブロックへの延焼防止を図った、土木構造体および該土木構造体の構築に使用される外装構築部材に関するものである。
軟弱地盤地帯、交通の激しい場所、或いは狭い環境下といった環境の悪いところでの施工に際し、その労力の削減、施工時間の短縮等のために、発泡樹脂ブロックからなる構築部材(主構築部材)を積み上げるとともに、それらの外表面を構成する発泡樹脂製構築部材として、発泡樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成したもの(外装構築部材)を、該セメント硬化物層が外表面に位置するように配置することによって、外部からの熱に対する耐力および砂利等の異物に対する強度等を高めた土木構造体は知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記特許文献1に示された土木構造体(道路やプラットホーム)の場合、外装構築部材間の目地部には、当然隙間は存在するが、シーリング材等を容易に充填し得るような明確な凹部ではないため、何らシーリング材が施されていないか、或いは施されていても、施工性等を考慮して、柔軟性及び流動性のあるシリコーンゴム等の樹脂系シーリング材が一般的に用いられていた。そのため、該土木構造体の周囲において火災等が発生し、壁面が直火や非常な高温に晒された場合には、目地部に存在する隙間を介して入り込んだ直火によって、内部の発泡樹脂ブロックが延焼したり、直火や熱によって目地部に充填された樹脂系シーリング材が燃焼し、内部の発泡樹脂ブロックに延焼することが懸念されていた。
本発明は、上記した実情に鑑みて成されたものであって、その目的は、内部の発泡樹脂ブロックへの延焼防止を図った、耐火性に優れた土木構造体および該土木構造体の構築に使用される外装構築部材を提供することにある。
上記した目的を達成するため、請求項1の土木構造体では、発泡樹脂ブロックからなる主構築部材を積み上げるとともに、発泡樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成してなる外装構築部材を、前記積み上げた主構築部材の外側に、かつセメント硬化物層が外表面となるように配置して構築する土木構造体において、前記外装構築部材として、前記セメント硬化物層の周縁を、前記発泡樹脂ブロックの周縁よりも内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部を有するものとし、前記土木構造体を構築した状態で、前記切欠き部によって前記外装構築部材間の目地部に形成される凹部に、不燃性部材を充填したことを特徴とする。
また、請求項2の土木構造体では、上記請求項1の発明において、上記不燃性部材の表面側に、更に樹脂系シーリング材を充填したことを特徴とする。
また、請求項3の土木構造体では、上記請求項1又は2に記載の土木構造体において、上記不燃性部材として発泡体からなるものを使用することを特徴とする。
また、請求項4の外装構築部材では、上記請求項1、2又は3に記載の土木構造体の構築に使用される外装構築部材であって、発泡樹脂ブロックの表面に形成するセメント硬化物層の周縁を、前記発泡樹脂ブロックの周縁よりも内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部を有するものとしたことを特徴とする。
また、請求項5の外装構築部材では、上記請求項4の発明において、上下周縁の上記切欠き部の幅を、左右周縁の上記切欠き部の幅よりも広く形成したことを特徴とする。
上記した請求項1の本発明に係る土木構造体によれば、目地部に不燃性部材が充填されているため、周囲において火災等が発生し、壁面が直火や非常な高温に晒された場合においても、該目地部を介して火が内部の発泡樹脂ブロックに達することはなく、発泡樹脂ブロックへの延焼が防止できる。また、目地部には、外装構築部材の切欠き部によって形成された凹部が存在するため、該凹部に不燃性部材を容易に且つ確実に充填できるとともに、上方からの荷重に対するセメント硬化物層と発泡樹脂ブロックとの歪み量の差異を吸収し、セメント硬化物層の破壊を防止することができる。
また、上記した請求項2の本発明に係る土木構造体によれば、不燃性部材の表面側に、更に樹脂系シーリング材が充填されているため、該樹脂系シーリング材によって、不燃性部材の目地部への定着性を向上でき、また、目地部の意匠性を向上させることができる。
また、上記した請求項3の本発明に係る土木構造体によれば、不燃性部材として発泡体からなるものを使用しているため、多少大きめに形成されていたとしても変形させて容易に前記外装構築部材間の目地部に形成される凹部内に充填できる。また、周囲において火災等が発生したときも、不燃性部材が発泡体からなるものでは断熱性に優れるので、その後ろ側に位置する発泡樹脂ブロックの溶融防止にも寄与する。
また、上記した請求項4の本発明に係る外装構築部材によれば、周縁に切欠き部が形成されているため、該外装構築部材を積み上げて構築した土木構造体の目地部には、前記切欠き部によって凹部が形成されるこことなり、該凹部に不燃性部材を充填することによって、内部の発泡樹脂ブロックへの延焼を効果的に防止でき、耐火性に優れた土木構造体を構築することができる。また、外装構築部材間の目地部に形成される凹部は、上方からの荷重に対するセメント硬化物層と発泡樹脂ブロックとの歪み量の差異を吸収するため、セメント硬化物層の破壊を有効に防止することができる。
また、上記した請求項5の本発明に係る外装構築部材によれば、上下周縁の切欠き部の幅が、左右周縁の切欠き部の幅よりも広く形成されているため、該外装構築部材を積み上げて構築した土木構造体の横目地部、縦目地部には、各々前記上下周縁の切欠き部、左右周縁の切欠き部によってほぼ略同一幅の凹部(横目地部の凹部は上方からの荷重によって若干潰れる。)を形成することが可能となり、意匠性の高い壁面を形成できるとともに、該凹部に充填する不燃性部材の幅を均一のものとすることができる。
以下、上記した本発明に係る土木構造体および該土木構造体の構築に使用される外装構築部材の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は本発明に係る土木構造体の一実施の形態である片側垂直壁の拡幅盛土を示した断面図、図2はその外側表面を構成する外装構築部材の一実施の形態を示した斜視図、図3は図2に示した外装構築部材を積み上げた状態を示した部分的な斜視図、図4は図3におけるA−A線に沿う部分の断面図である。
ここで、図1は本発明に係る土木構造体の一実施の形態である片側垂直壁の拡幅盛土を示した断面図、図2はその外側表面を構成する外装構築部材の一実施の形態を示した斜視図、図3は図2に示した外装構築部材を積み上げた状態を示した部分的な斜視図、図4は図3におけるA−A線に沿う部分の断面図である。
図1に示した拡幅盛土1は、主構築部材2を積み上げて内部構造体を形成し、その外側、即ち外側表面を形成する部位に、外装構築部材3を配置することによって構成されている。
上記主構築部材2は、直方体形状に形成された発泡樹脂ブロック4によって構成されている。一方、上記外装構築部材3は、図2に示したように、発泡樹脂ブロック5の1つの表面に、セメント硬化物層6を形成し、該セメント硬化物層6の周縁を、前記発泡樹脂ブロック5の周縁よりも僅かに内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部7を有するものとしている。
上記主構築部材3の発泡樹脂ブロック4と、上記外装構築部材3の発泡樹脂ブロック5とは、同一の樹脂によって形成することができ、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の樹脂を発泡させたもので形成することができるが、安価であり、低密度でも強度が大きいポリスチレン樹脂を発泡させたものが最も好ましい。また、この発泡樹脂ブロック4、5は、通常、密度0.01〜0.05g/cm3の密度を有するものがよい。大きさとしては、特に限定されないが、例えば、縦100〜200cm、横50〜150cm、高さ30〜100cmがよい。発泡樹脂ブロック4、5の発泡体は、耐水性、強度等を考慮して、独立した気泡を有するものであることが好ましい。
また、上記外装構築部材3の表面に設けられるセメント硬化物層6は、コンクリートやモルタル等の様々な水硬性セメントで形成することができる。水硬性セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメントや、水硬性石灰、ローマン・セメント、天然セメント、アルミナセメント、高炉セメント、シリカセメント、膨張セメント、着色セメント等がある。これらの中では、ポルトランドセメントや水硬性石灰、天然セメント、高炉セメント、膨張セメント、着色セメントを用いることが好ましい。
また、上記セメントには、種々の骨材、補強材、軽量化材、水ガラス等を加えることもできる。骨材としては、硅砂、シリカフォーム等の通常の骨材や、膨張粘土、パーライト、膨張スラグ等の人工軽量骨材等がある。また、補強材としては、有機、無機の各種繊維、例えば、スラグ繊維、炭素繊維、ナイロン、ポリエステル繊維等がある。また、軽量化材としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂の、密度0.008〜0.1g/cm3、粒径2〜15mmの発泡樹脂粒子等がある。
特に、セメント硬化物層6に上記発泡樹脂粒子を混入させると、軽量でかつ断熱性にも優れ、また、例えば、拡幅盛土1を構築する際に、表層材としてアスファルトを施工する場合に、該セメント硬化物層6の表面に存在する発泡樹脂粒子が加熱されたアスファルトによって溶融され、その結果、溶融した後の粒子の穴にアスファルトが入り込み、アスファルトとセメント硬化物層6との密着性が優れたものになる。この発泡樹脂粒子の混合割合は、セメント100重量部に対して、0.2〜30重量部が適当である。また、上記セメント硬化物層6の厚さとしては、耐熱性、強度、軽量性等の観点から、10〜30mm程度が適当である。
上記外装構築部材3の周縁に形成された上記切欠き部7は、該外装構築部材3を積み上げた際、その外装構築部材3,3間の目地部に、後に詳述する不燃性部材を充填し易くするための凹部を形成するものであるとともに、特に上下周縁の切欠き部7は、上方からの荷重に対するセメント硬化物層6と発泡樹脂ブロック5との歪み量の差異を吸収し、セメント硬化物層6の破壊を防止する作用をも果たす。
上記した観点から、図2に示した上下周縁の切欠き部7の幅(=α)は、左右周縁の切欠き部7の幅(=β)よりも広く形成することが好ましく、上下周縁の切欠き部7の幅(=α)としては、5〜10mm、更には6〜8mmが適当であり、左右周縁の切欠き部7の幅(=β)としては、3〜6mm、更には4〜5mmが適当である。また、上下周縁の切欠き部7の幅(=α)と左右周縁の切欠き部7の幅(=β)の差は0.5〜3mmが好ましく、1〜2mmがより好ましい。但し、上下周縁および左右周縁の切欠き部7の幅を、同一の幅に形成することも当然可能である。
上記外装構築部材3を作製するには、発泡成形した直方体形状の発泡樹脂ブロック5にアリ溝8を形成し、或いはアリ溝8をも型成形により形成した発泡樹脂ブロック5を、アリ溝8が形成された側を上に向けて型枠に入れ、その上方から所望の形状となるように未硬化のセメントモルタルを流し込み、養生・硬化させて、周縁に切欠き部7を有するセメント硬化物層6を形成すればよい。また、逆に、型枠中に所定量入れられたセメントモルタル上に、アリ溝8が形成された側を下に向けて発泡樹脂ブロック5を載置し、養生・硬化させて、周縁に切欠き部7を有するセメント硬化物層6を形成してもよい。また、発泡樹脂ブロック5と、該発泡樹脂ブロック5の周縁より一回り小さい周縁のセメント硬化物層6を別々に作製し、それらを、接着剤を用いて一体化してもよい。
また、上記主構築部材2および外装構築部材3を用いて、図1に示した拡幅盛土1を構築するには、土砂を削ったり、土盛りした後、砂や砂利を敷いて、その上から突き固め作業を施して固めた基礎9を形成し、該基礎9上に、上記主構築部材2を積み重ね、その外側表面を形成する部位に、上記外装構築部材3を、表面にセメント硬化物層6が位置するように敷き並べて積み重ねて構造体と成し、その構造体の上面部に、コンクリート等によって床版10を形成し、その上方の路肩側に地覆コンクリート11を作り、路盤12、アスファルト舗装13等の仕上げ工事を施す。
そして、外装構築部材3の切欠き部7によって、積み上げた外装構築部材3、3間の目地部に形成された凹部14に、図4に示したように、不燃性部材15を充填し、その表面側に、更にシーリング材16を充填して、拡幅盛土1を構築する。
本発明の不燃性部材は、建築基準法の防火材料の試験として知られるISO 5660 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験において準不燃規格に合格する素材又はその素材から適宜サイズに切り出されたもの(以下、準不燃性材料という。)であることが好ましく、同発熱性試験において不燃規格に合格する素材又はその素材から適宜サイズに切り出されたもの(以下、不燃性材料という。)であることがより好ましい。因みに、同発熱性試験における準不燃規格に合格するものとは、次の[1]乃至[3]を満足するものであり、同発熱性試験における不燃規格に合格するものとは、次の[4]乃至[6]を満足するものである。
[1]加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であること。
[2]加熱開始後10分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと。
[3]加熱開始後10分間、防火上有害な裏面までに達する亀裂及び穴がないこと。
[4]加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であること。
[5]加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと。
[6]加熱開始後20分間、防火上有害な裏面までに達する亀裂及び穴がないこと。
尚、同発熱性試験における試験体は、99mm×99mm、厚み10mmのサイズのものを使用する。
[1]加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下であること。
[2]加熱開始後10分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと。
[3]加熱開始後10分間、防火上有害な裏面までに達する亀裂及び穴がないこと。
[4]加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m2以下であること。
[5]加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと。
[6]加熱開始後20分間、防火上有害な裏面までに達する亀裂及び穴がないこと。
尚、同発熱性試験における試験体は、99mm×99mm、厚み10mmのサイズのものを使用する。
上記不燃性材料としては、セラミックスファイバー、ロックウール、グラスウール、コンクリート、れんが、瓦、陶磁器質タイル、石綿スレート、繊維強化セメント板、厚さ3mm以上のガラス繊維混入セメント板、厚さ5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板、鉄鋼、アルミニウム、金属、ガラス、モルタル、しっくい、石、石膏等が挙げられる。
また、上記準不燃性材料としては、イソシアネート系ポリウレタン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂5〜30重量%と無機物質95〜70重量%(好ましくは塩化ビニル樹脂10〜25重量%と無機物質90〜75重量%)からなる発泡体が例示される。
本件発明においては、不燃性部材として、上記で例示した発泡体からなるもの(以下、不燃性発泡体という。)を使用した場合は、多少大きめに形成されていたとしても変形させて容易に前記外装構築部材間の目地部に形成される凹部内に充填できる。また、周囲において火災等が発生したときも、不燃性発泡体からなるものでは断熱性に優れるので、その後ろ側に位置する発泡樹脂ブロックの溶融防止にも寄与する。
また、上記準不燃性材料としては、イソシアネート系ポリウレタン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、塩化ビニル樹脂5〜30重量%と無機物質95〜70重量%(好ましくは塩化ビニル樹脂10〜25重量%と無機物質90〜75重量%)からなる発泡体が例示される。
本件発明においては、不燃性部材として、上記で例示した発泡体からなるもの(以下、不燃性発泡体という。)を使用した場合は、多少大きめに形成されていたとしても変形させて容易に前記外装構築部材間の目地部に形成される凹部内に充填できる。また、周囲において火災等が発生したときも、不燃性発泡体からなるものでは断熱性に優れるので、その後ろ側に位置する発泡樹脂ブロックの溶融防止にも寄与する。
また、上記不燃性部材15の断熱性能は、熱伝導率が0.1W/(m・K)以下であることが好ましく、0.07W/(m・K)以下であることが好ましく、0.06W/(m・K)以下であることがより好ましい。その熱伝導率は小さいほど好ましいが、一般的には0.001W/(m・K)を下回るものを製造することは困難であり、小さいものほど高価になるので、通常は0.01W/(m・K)以上のものが、好ましくは0.02W/(m・K)以上のものが使用される。熱伝導率が小さいほど厚みを薄くコンパクトにできるので好ましい。また、上記断熱性能の数値は、JIS A 9511(1994年)の4.7の記載に従って、英弘精機株式会社の熱伝導率測定装置「オートラムダ HC−73型」を使用し、平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃(高熱板35℃設定、低熱板5℃設定))に基づいて測定した場合の数値である。
上記不燃性部材15の厚さは、充填する凹部14の深さに左右され、また該不燃性部材15の断熱性能によっても異なるが、3mm以上であることが好ましく、更には7〜20mmが好ましい。不燃性部材15の幅は、充填する凹部15の幅と同一とするが、不燃性発泡体の場合は、その幅は、充填する凹部15の幅よりもやや大きめとしてもよい。
また、上記シーリング材16としては、シリコーンゴム、アスファルトエラスタイト、アスファルト含浸不織布、弾性モルタル等が挙げられるが、これらの中でも、経済性、耐久性、施工性等の観点から、シリコーンゴム等の樹脂系シーリング材が好ましい。
以上、本発明に係る土木構造体および該土木構造体の構築し使用する外装構築部材の一実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形および変更が可能であることは当然である。
例えば、上記実施の形態では、本発明の土木構造体として片側垂直壁の拡幅盛土1に適用した例を示したが、その他、鉄道のプラットホーム、歩道橋の昇降スロープ、車道接続歩道部の拡幅、橋の歩道部へのアプローチ道路等の各種土木構造体にも、本発明に係る土木構造体および該土木構造体の構築し使用する外装構築部材は適用できる。
また、上記実施の形態では、外装構築部材3として、セメント硬化物層6を発泡樹脂ブロック5の1つの表面(前面)にのみ配置したものにつき説明したが、必要に応じて、例えば、プラットホームの角部に配置される外装構築部材等の場合には、発泡樹脂ブロックの前面および側面に、セメント硬化物層が配設される。
さらに、上記実施の形態では、外装構築部材3、3間の目地部に形成された凹部14に、不燃性部材15を充填し、更にその表面側にシーリング材16を充填した構造体につき説明したが、シーリング材16の充填は、必ずしも必要ではない。
但し、一般的に不燃性部材は定着性、防水性および意匠性に劣るため、不燃性部材の表面側に、更に柔軟性及び流動性に優れた樹脂系シーリング材を充填することは好ましい。
但し、一般的に不燃性部材は定着性、防水性および意匠性に劣るため、不燃性部材の表面側に、更に柔軟性及び流動性に優れた樹脂系シーリング材を充填することは好ましい。
−実施例1−
発泡ポリスチレンブロック(株式会社ジェイエスピー製:スチロダイア土木ブロックD20、寸法:2m×1m×0.5m)の一側面(1m×0.5m)に、アリ溝加工(開口部の幅80mm、深さ40mm、底部の幅150mm)し、その面全面に接着剤〔樹脂モルタル(セメント:アクリル系エマルジョン:水=100:50:30重量部)〕を塗布し、次いで軽量モルタルを塗布し、乾燥させて厚さ20mmのセメント硬化物層を形成して、図2に示す外装構築部材を作製した(図2のαに相当する寸法は7mm、βに相当する寸法は5mmとした)。
発泡ポリスチレンブロック(株式会社ジェイエスピー製:スチロダイア土木ブロックD20、寸法:2m×1m×0.5m)の一側面(1m×0.5m)に、アリ溝加工(開口部の幅80mm、深さ40mm、底部の幅150mm)し、その面全面に接着剤〔樹脂モルタル(セメント:アクリル系エマルジョン:水=100:50:30重量部)〕を塗布し、次いで軽量モルタルを塗布し、乾燥させて厚さ20mmのセメント硬化物層を形成して、図2に示す外装構築部材を作製した(図2のαに相当する寸法は7mm、βに相当する寸法は5mmとした)。
作製した外装構築部材を、図1と図3に示したように、それらのセメント硬化物層が壁面を構築するように積み上げ、目地部に厚さ10mmとなるようにバックアップ材(株式会社ジェイエスピー製不燃性発泡体、商品名「ミラフネン」)を目地のサイズに合わせて裁断したもの)を充填し、さらにその外側にシーリング材(建築用シリコーン系シーリング材)を充填し、本発明の構造をもった図1の土木構造体を構築した。尚、上記商品名「ミラフネン」は、塩化ビニル樹脂約20重量%と、炭酸カルシウムとタルクとの無機粉体約80重量%からなる見かけ密度83kg/m3の不燃性発泡体であり、その熱伝導率は0.04W/(m・K)である。
−比較例1−
上記実施例1において、バックアップ材としてポリエチレン発泡体製のものを使用した以外は、実施例1と同様にして土木構造体(図1、図3において不燃性発泡体の部分が可燃性のポリエチレン発泡体に置き換わったもの)を構築した。
上記実施例1において、バックアップ材としてポリエチレン発泡体製のものを使用した以外は、実施例1と同様にして土木構造体(図1、図3において不燃性発泡体の部分が可燃性のポリエチレン発泡体に置き換わったもの)を構築した。
上記両構造体の外装構築部材から50cm離れたところで大きな焚き火を30分間実施した。
比較例1の土木構造体においては、焚き火開始から5分後にシーリング材が発火し、その奥のポリエチレン発泡体に火がつき、更にはその奥の発泡ポリスチレンブロックが大きく溶融した。従って、比較例1の土木構造体では、土木構造体の周囲において火災等が発生し、壁面が直火や非常な高温に晒された場合には、目地部に存在する隙間を介して入り込んだ直火によって、内部の発泡樹脂ブロックが延焼したり、直火や熱によって目地部に充填された樹脂系シーリング材が燃焼し、内部の発泡樹脂ブロックに延焼することが懸念される。
これに対し、実施例1の土木構造体においては、焚き火開始から5分後にシーリング材が発火したが、すぐに消火し、その奥へ燃え広がることはなかった。従って、本発明の土木構造体では、土木構造体の周囲において火災等が発生し、壁面が直火や非常な高温に晒された場合でも、内部の発泡樹脂ブロックが延焼する危険性が低いものと認められる。
比較例1の土木構造体においては、焚き火開始から5分後にシーリング材が発火し、その奥のポリエチレン発泡体に火がつき、更にはその奥の発泡ポリスチレンブロックが大きく溶融した。従って、比較例1の土木構造体では、土木構造体の周囲において火災等が発生し、壁面が直火や非常な高温に晒された場合には、目地部に存在する隙間を介して入り込んだ直火によって、内部の発泡樹脂ブロックが延焼したり、直火や熱によって目地部に充填された樹脂系シーリング材が燃焼し、内部の発泡樹脂ブロックに延焼することが懸念される。
これに対し、実施例1の土木構造体においては、焚き火開始から5分後にシーリング材が発火したが、すぐに消火し、その奥へ燃え広がることはなかった。従って、本発明の土木構造体では、土木構造体の周囲において火災等が発生し、壁面が直火や非常な高温に晒された場合でも、内部の発泡樹脂ブロックが延焼する危険性が低いものと認められる。
1 拡幅盛土
2 主構築部材
3 外装構築部材
4、5 発泡樹脂ブロック
6 セメント硬化物層
7 切欠き部
8 アリ溝
9 基礎
10 床版
11 地覆コンクリート
12 路盤
13 アスファルト舗装
14 凹部
15 不燃性部材
16 シーリング材
2 主構築部材
3 外装構築部材
4、5 発泡樹脂ブロック
6 セメント硬化物層
7 切欠き部
8 アリ溝
9 基礎
10 床版
11 地覆コンクリート
12 路盤
13 アスファルト舗装
14 凹部
15 不燃性部材
16 シーリング材
Claims (5)
- 発泡樹脂ブロックからなる主構築部材を積み上げるとともに、発泡樹脂ブロックの少なくとも1つの表面にセメント硬化物層を形成してなる外装構築部材を、前記積み上げた主構築部材の外側に、かつセメント硬化物層が外表面となるように配置して構築する土木構造体において、前記外装構築部材として、前記セメント硬化物層の周縁を、前記発泡樹脂ブロックの周縁よりも内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部を有するものとし、前記土木構造体を構築した状態で、前記切欠き部によって前記外装構築部材間の目地部に形成される凹部に、不燃性部材を充填したことを特徴とする、土木構造体。
- 上記不燃性部材の表面側に、更に樹脂系シーリング材を充填したことを特徴とする、請求項1に記載の土木構造体。
- 上記不燃性部材が発泡体からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の土木構造体。
- 請求項1、2又は3に記載の土木構造体の構築に使用される外装構築部材であって、発泡樹脂ブロックの表面に形成するセメント硬化物層の周縁を、前記発泡樹脂ブロックの周縁よりも内方に位置させて形成し、周縁に切欠き部を有するものとしたことを特徴とする、外装構築部材。
- 上下周縁の上記切欠き部の幅を、左右周縁の上記切欠き部の幅よりも広く形成したことを特徴とする、請求項4に記載の外装構築部材。
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JP2015209668A (ja) * | 2014-04-25 | 2015-11-24 | 三菱樹脂インフラテック株式会社 | 軽量盛土構造体と設置方法及び目地カバー材 |
JP2019073937A (ja) * | 2017-10-18 | 2019-05-16 | 株式会社ジェイエスピー | 橋梁補強構造体の施工方法 |
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JPH0557007U (ja) * | 1992-01-16 | 1993-07-30 | 三菱油化バーディッシェ株式会社 | 土木・建築用構造体 |
-
2005
- 2005-06-23 JP JP2005182950A patent/JP2007002504A/ja active Pending
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