JP4668647B2 - 毛髪脱色組成物及び染毛組成物 - Google Patents
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Description
毛髪をより明るい色調に脱色したり、他の色に染色する場合、予め毛髪内のメラニンや他の色素を十分に脱色することが必要であるが、毛髪脱色力は一般にアルカリ剤量及び酸化剤量に依存する。このため、染毛する場合には、特に十分なアルカリ剤量及び酸化剤量が必要である。
このような問題に対して、従来、脱色助剤として、1,3−プロパンジアミンを用いる方法(例えば、特許文献1参照)、トリアザシクロノナン等を用いる方法(例えば、特許文献2参照)、環状アミン化合物を用いる方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。しかしながら、これらは実使用の配合系において性能的に十分満足し得るものではなかった。
すなわち、本発明は、
〔1〕下記一般式(1)及び/又は下記一般式(2)で表される環状アミン化合物を含む毛髪脱色助剤、
〔3〕アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを混合して用いる組成物であって、(A)前記一般式(1)及び/又は前記一般式(2)で表される環状アミン化合物、及び(B)酸化染料中間体又は直接染料を含み、混合後のpHが7.5〜12である染毛組成物、
を提供する。
炭素数1〜5のアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。これらの中では、脱色力、染色力の観点から、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、各種ヒドロキシプロピル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましい。R1〜R3は、同一でも互いに異なっていてもよい。
炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基等が挙げられる。これらの中では、脱色力、染色力の観点から、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R4〜R8は、同一でも互いに異なっていてもよい。
m及びnは、1又は2を示し、脱色力、染色力の点でm=1、n=1が好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)で表される環状アミン化合物は、それぞれ光学異性体(R体又はS体)であってもラセミ体であってもよい。
1−(2−アミノエチル)−2−(1−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−アミノエチル)−2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピロリジン、1−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシメチルピペリジン、1−(2−アミノプロピル)−2−ヒドロキシメチルピペリジン、1−(2−ジメチルアミノエチル)−2−ヒドロキシメチルピペリジン、1−(2−アミノエチル)−2−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−(2−アミノエチル)−2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ピペリジン等、及びこれらの光学異性体が挙げられる。
さらに、ピロリジン誘導体(7)にアルキルハライド又はヒドロキシアルキルハライド(8)を反応させれば、目的のピロリジン誘導体(1−a)を得ることができる。
また、一般式(1)で表される環状アミン化合物(ピロリジン誘導体)は、下記の反応式で示される方法により製造することもできる。
このピロリジン誘導体(11)にアルキルハライド又はヒドロキシアルキルハライド(12)を反応させれば、目的のピロリジン誘導体(1−b)を得ることができる。
これらのピロリジン誘導体(7)、(11)、(1−a)及び(1−b)は、文献未載の新規化合物である。
また、一般式(2)で表される環状アミン化合物は、下記の反応式で示される方法により製造することもできる。
本発明の毛髪脱色助剤においては、一般式(1)及び一般式(2)で表される環状アミン化合物の中から単独で又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
また、本発明の染毛組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを混合して用いる組成物であって、(A)一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される環状アミン化合物、及び(B)酸化染料中間体又は直接染料を含み、混合後のpHが7.5〜12である。染毛組成物の第1剤にはアルカリ剤に加えて、界面活性剤、酸化染料中間体又は直接染料、水溶性溶剤、キレート剤、酸化防止剤、水等を、第2剤には酸化剤に加えて、キレート剤、pH調整剤等を配合することができる。
また、その含有量は、特に制限はないが、十分な脱色・染毛効果の観点から、第1剤と第2剤とからなる組成物全量に基づき、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.02〜10質量%、更に好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
また、第1剤は、25℃でpHが8〜12、第2剤は、25℃でpHが2〜5が好ましい。第1剤と第2剤を混合した毛髪脱色組成物及び染毛組成物のpHは7.5〜12であるが、脱色・染毛効果と皮膚刺激性の観点から、pH8〜11が好ましい。
pH調整剤としては、前記アルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、塩化アンモニウム、塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
前記酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知の顕色物質及びカップリング物質を用いることができる。
顕色物質としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、2−クロロ-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、オルトアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、N−フェニルパラフェニレンジアミンとこれらの塩等が挙げられる。
顕色物質とカップリング物質は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量は、それぞれ第1剤と第2剤からなる全組成物全量に基づき、好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.1〜4質量%である。
酸性染料としては、例えば青色1号(C.I.42090)、紫色401号(C.I.60730)、黒色401号(C.I.20470)、だいだい色205号(C.I.15510)、赤色227号(C.I.17200)、赤色106号(C.I.45100)、黄色203号(C.I.47005)、アシッドオレンジ3(C.I.10385)等が挙げられる。
このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、浸透促進剤、カチオン界面活性剤、天然又は合成の高分子、高級アルコール類、エーテル類、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、蛋白誘導体、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
本発明の毛髪脱色組成物及び染毛組成物は、第1剤と第2剤を混合して、毛髪に塗布する際に液だれしにくいような粘度とすることが好ましい。具体的には、25℃でB型回転粘度計を用いて測定した粘度(使用ローターNo.3、12rpm、1分間回転後の値)が、好ましくは2,000〜100,000mPa・s、より好ましくは4,000〜50,000mPa・sである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表されるピロリドン誘導体を提供する。このピロリドン誘導体は、文献未載の新規化合物である。
(S)−1−エチル−2−(2’−(S)−ピロリジルメチルアミノメチル)ピロリジン〔化合物(1−1)〕の製造
300mL四つ口フラスコにN−カルボベンゾキシ−L−プロリン9.97g(40.0mmol)、トルエン120mL、トリエチルアミン5.01g(49.5mmol、1.24eq)を仕込み、攪拌し氷冷(−5℃)した。ここに、クロロ炭酸イソブチルエステル5.46g(40.0mmol、1.0eq)を約2分で滴下した。この間系内の温度を3℃以下に保った。滴下後、1時間氷浴下(−5℃)反応させた。1時間後、(S)−2−アミノメチル−1−エチルピロリジン5.13g(40.0mmol、1.0eq)、トリエチルアミン4.45g(44mmol、1.1eq)をクロロホルム80mLで溶解させた溶液(予め氷冷)を添加し、添加後室温に戻し17.5時間反応させた。17.5時間後、濾過して不溶物を除去し、濾液をイオン交換水(200mL×2回)、3質量%炭酸ナトリウム水溶液(250mL×2回)、イオン交換水(200mL×2回)で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後濃縮して粗N−カルボベンゾキシアミド体17.14gを淡黄色固体として得た。これをエタノール/n−ヘキサンから再結晶してN−カルボベンゾキシアミド体を無色固体として得た(収量12.82g:第1晶6.93g、第2晶5.89g)。
500mLオートクレーブにメタノール300mLに溶かしたN−カルボベンゾキシアミド体12.80g(35.6mmol)を仕込み、5質量%Pd/C(含水率52質量%)1.00gを加えて系内を水素置換し、水素圧0.2MPa、室温で約5時間反応させた。5時間後、常圧に戻してメンブランフィルターでろ過して触媒を除去後、濃縮してN−Hアミド体を黄色油として得た(収量7.91g)。
200mL四つ口フラスコにLiAlH43.25g(85.6mmol、5.1eq)を仕込み、系内を窒素置換した。ここに無水テトラヒドロフラン(THF)45mLを加えて氷冷した後、無水THF20mLに溶かしたN−Hアミド体3.80g(16.9mmol)を約30分で滴下した。滴下終了後、一旦室温に戻し、加熱してTHF還流下約18時間反応させた。18時間後、氷冷してイオン交換水を少しずつ加えて反応を停止した。この時増粘したためTHFを加えた。反応停止後、濾過して不溶物を除去し濾液を濃縮後、乾燥させて粗(S)−1−エチル−2−(2’−(S)−ピロリジルメチルアミノメチル)ピロリジン3.45gを淡黄色液体として得た。これをアルミナカラムクロマトグラフィー(100g、展開:CHCl3→CHCl3:MeOH(容量比)=100:1−10:1)により精製し、薄黄色透明液体として得た(収量2.04g)。
以下に得られた(S)−1−エチル−2−(2’−(S)−ピロリジルメチルアミノメチル)ピロリジンの1H−NMRと13C−NMRのスペクトルデータを示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ(ppm)
3.3-3.1(2H), 3.0-2.8(3H), 2.75(1H), 2.6-2.4(2H+1H), 2.3-2.0(2H+2H, br), 2.0-1.8(2H), 1.8-1.6(5H), 1.4-1.3(1H), 1.1(3H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)
64.3, 58.3, 55.6, 53.9, 53.8, 48.9, 46.4, 29.6, 29.3, 25.6, 22.6, 13.8.
常法に従い、表1に示す酸化型毛髪脱色剤を調製した。
常法に従い、表2及び表3に示す酸化型染毛剤を調製した。
なお、実施例で用いた化合物(2−4)は、1−(2−ジメチルアミノエチル)−2−ヒドロキシメチルピロリジンである。
Claims (4)
- 前記一般式(1)で表される環状アミン化合物が、1−メチル−2−(2’−ピロリジルメチルアミノメチル)ピロリジン又は1−エチル−2−(2’−ピロリジルメチルアミノメチル)ピロリジンであり、前記一般式(2)で表される環状アミン化合物が、1−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、1−(2−アミノプロピル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン、1−(2−ジメチルアミノエチル)−2−ヒドロキシメチルピロリジン及び1−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシメチルピペリジンから選ばれる1種以上の化合物である請求項1に記載の毛髪脱色助剤。
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