JP4668365B2 - 光学装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光学系の実効的な開口数を切り替える技術、特に最近の光ディスク装置の光ピックアップにおいて実効的な開口数を切り替え、DVDやCD−ROM用といった異なる開口数から構成される光ピックアップを一つの光ピックアップで共用可能とする技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の理解を容易にするため、光学系の開口数について簡単に説明する。
幾何光学的にほぼ無収差で設計された光学系においては点像は無限小のスポットで結像されるが、実際は光の波動性による回折の影響でスポットは有限の広がりを持つ。この時、結像もしくは集光に寄与する光学系の開口数をNAとすると、スポットの広がりの物理的定義はk×λ÷NAで表される。ここでλは光の波長、kは光学系に定まる定数で普通は1から2前後の値をとる。NAは光学系の有効入射瞳直径D(一般的には有効光束の直径)と焦点距離fの比D/fに比例する。この式で表されるスポットの広がりが理論解像限界となり回折限界といわれる。
【0003】
先の式から明らかなように、光学系の理論解像度は開口数に大きく左右される。一般に光ディスクの場合の光ピックアップの集光光学系の開口数はCDやCD−ROM用では0.45程度、DVD(デジタルバーサタイルディスク)用では0.6程度である。また光ディスク基盤の厚さはCD用が1.2mm、DVD用が0.6mmと異なる事もありCDとDVDとでは同一の開口数を持つ集光光学系は共用不可能である。
【0004】
そこでこの問題を解決するため、一台の機器の中に2台の光ピックアップを設置する方法や、光ピックアップの集光レンズにホログラムを刻み二焦点にして同時に二種の開口を得る方法、あるいは液晶シャッタを用いて有効入射瞳径を切り替えて開口を切り替える方法等が用いられている。
【0005】
次に、本発明に近い従来例を図7に示す。これは光ディスクへの適用を前提としたものである。以下図7に従って説明する。
【0006】
直線偏光レーザ光源701から出射しコリメートレンズ702で平面波にされた直線偏光703は、その偏光軸704が紙面に平行であるY軸方向とする。直線偏光703は90度TN(ツイストネマティック)型液晶素子705により偏光軸704の方向が90度回転しX軸方向となる。集光光学系706により直線偏光703が集光される。この時、中央部が丸く切り抜かれた偏光板707が集光光学系706の手前に設置され、その直線偏光透過軸はY軸方向であるとする。この時、偏光板707と組み合わされた90度TN型液晶素子705の光シャッタ機能により、偏光板のくり貫かれた中央部を透過した直線偏光のみが集光に寄与する。CDの再生にはこの状態で使用する。
【0007】
一方、DVDの再生においては90度TN型液晶素子705にZ方向の電界を加え、後に述べるホメオトロピックの状態にする。この状態では液晶素子に旋光性が無くなるため直線偏光703は偏光板を透過する事ができ先の状態と比べ開口数が大きくなる。この状態においても偏光板の持つ光吸収作用により光量が失われる。また偏光板の中央部がくり貫かれているため、偏光板を透過した直線偏光とそうでない直線偏光に偏光板と空気の屈折率差に起因する光の位相差が生じ、回折限界まで集光する事が困難となる。そのため、くり貫かれた中央部に直線偏光透過軸がX軸方向である同じ種類の偏光板を設置すれば位相差の問題は解決するが、更に光量が失われる事になる。
【0008】
集光光学系706で集光された集光スポット708は光ディスク709で反射されほぼ入射と同じ光路をもどり、光分離素子710で分離された光束711が別の集光光学系712で集光され、集光スポット713が光検出素子714で検出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら一台の機器に2つのピックアップを設置する事は機器構成が複雑になり且つスペースの点でも不利になる。また集光レンズにホログラムを刻み二焦点にすると常にどちらか一方の使われない不要な集光スポットを発生しているため、光利用効率が低下する。これはDVD−Rすなわち書き込み書き換え可能なDVDのような大きな光量を必要とする機器においては書き込み速度の低下の問題となる。同様に液晶シャッタを用いる方法においても同じ問題が生じる。
【0010】
そこで本発明は、レーザー光を出射するレーザー光源とレーザー光を集光する集光光学系からなる光学装置において、光路中に電気的に回折機能を制御可能な回折光学素子を設置し且つ回折機能を集光光学系で集光されるレーザー光束の一部分の領域に作用させる事で、光利用効率が高く電気的に実効的な開口数を切り替え可能な光学装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明における光学装置は、少なくともレーザー光を出射するレーザー光源と該レーザー光を回折する回折光学素子と該回折光学素子を透過した光束を集光する集光光学系とを有する光学装置において、前記回折光学素子は入射レーザー光を透過する部位とθ度回折する部位とから構成され、前記透過する部位は集光光学系により利用される有効光束中の光軸を中心としたほぼ円形領域に作用し、前記θ度回折する部位は前記有効光束中の前記円形領域以外の輪帯領域に作用する平行配向型液晶素子から構成される液晶回折光学素子であり、該液晶回折光学素子の回折機能は電気信号で制御され、前記レーザー光として直線偏光レーザー光を用い、該直線偏光レーザー光の偏光軸方向を前記液晶回折光学素子の液晶分子配向軸の方向とほぼ一致させ、かつ前記円形領域に引き出し電極線のない透明電極パターンを前記円形領域全体に形成し、前記円形領域の外周部に中心を前記円形領域と同じくする同心円状の複数の輪帯を所定のピッチで配置した前記輪帯領域の各輪帯に引き出し電極線を有する透明電極パターンを形成し、前記円形領域に電圧を常に印加しない状態に設定することによって入射直線偏光の部分的な位相変調が生じることを防止するように構成し、前記液晶回折光学素子を構成する平行配向型液晶素子の位相変調量を前記直線偏光レーザー光の波長の整数倍とし、前記液晶回折光学素子のθ度回折する部位が、マルチレベルバイナリー格子であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
次に本発明による第1の実施形態を図1に示す。簡単のため図1はYZ平面である2次元に投影して描いた。実際は光軸109を回転軸とした回転対照となる。また本発明と直接には関係しない検出光学系の部分は省いた。レーザー光源101から出射し、コリメートレンズ102で平行平面波にされたレーザー光103は回折光学素子104を透過後、回折光学素子104の回折機能により回折する。回折光学素子104は入射光を0度回折する部位105と、θ度回折する部位106とから構成される。
【0015】
θ度回折する部位106を透過しθ度回折したレーザー光107は集光光学系108の光軸109を中心としたほぼ円形領域110(斜線表示)以外に入射する。この円形領域110は集光光学系108に本来入射すべき有効光束111の一部分であり、有効光束111による開口より小さくなっている事がわかる。ここでは有効光束111による開口をDVD用に、円形領域110による開口をCD用に設定する。
【0016】
図1に示すようにθ度回折した領域の光束は、光学結像の原理より光軸109からY軸方向に±f×tan(θ)だけずれた点±P1に結像する。ここでfは集光光学系108の焦点距離である。すなわちCD用の開口に設定した円形領域110を透過した光の結像点Pに寄与しない。また回折角θの値が十分大きければθ度回折した領域の光束は集光光学系108にはまったく入射しなくなる事もわかる。これらの状態での実効的な開口はCD用となる。
【0017】
次に回折光学素子104のθ度回折する部位106の回折機能を電気信号により停止させ0度回折する部位にする。この状態では有効光束111は回折光学素子104をそのまま素通りし、集光光学系108により結像点Pに結像される。
よってこの状態では実効的な開口はDVD用となる。
【0018】
前項の説明で明らかなように、電気信号で回折光学素子104の回折機能を制御することで集光光学系108の実効的な開口数を切り替え可能となる。
【0019】
(第2の実施の形態)
次に、図2に本発明における第2の実施形態について説明する。基本的には図1に示した第1の実施形態と同様であるが、電気信号で容易に制御可能な回折光学素子として平行配向型液晶からなる液晶回折光学素子を用いている。最初に本実施形態の理解を容易にするため、平行配向型液晶の動作、回折現象等について簡単に説明する。
【0020】
図3(a)(b)は電気的に制御可能な一般的な平行配向型液晶素子の構造と作用を模式的に表したものである。透明電極がコートされたガラス基盤301に液晶分子302が挟まれている。入射側及び出射側ガラス基盤は配向軸303の方向がY軸方向となっている。液晶分子302はその長軸方向を配向軸方向にそろえる性質と、連続体として振る舞う性質とから図3(a)に示す様に、液晶分子302は平行に並びこれを平行配向もしくはホモジェニアス配向という。
【0021】
この平行配向型液晶素子に直線偏光304が入射すると、その偏光軸が配向軸303と同方向のときは、液晶分子302の誘電異方性のため直線偏光304は直線偏光を保ったまま液晶分子302の長軸方向に沿って伝搬する。このさい液晶分子302の長軸方向の屈折率をn1、液晶層厚をdとすると液晶層内を進む直線偏光304の光路長はn1×dとなる。
【0022】
次にガラス基盤301にコートされた透明電極を介して液晶分子にZ軸方向の電界を加えると、図3(b)に示す様に液晶分子302の長軸が電界の方向であるZ軸方向に並んで静止する。この状態をホメオトロピックという。このときは液晶層内を進む直線偏光304はやはり直線偏光を保持したまま伝搬する。このとき液晶分子302の短軸方向の屈折率をn2とすると液晶層内を進む直線偏光304の光路長はn2×dとなる事がわかる。すなわち電圧を加える前後で直線偏光304に対する屈折率をn1からn2に、よって光路長を(n1-n2)×dだけ変えたことになる。また加える電圧を制御することでこれらの中間状態をつくる事も可能である。また理想的に近いホモジェニアス状態にするには液晶層に液晶が電界で動き始める直前の微小な電圧を加えておくと良いことも知られている。
【0023】
図4は一般的なバイナリー型のおよそ透明な位相型回折格子による光の回折現象を表したもので、簡単なため平面に投影した断面図で描いてある。ピッチPで繰り返しn1とn2の異なる屈折率を持った厚さdの位相型回折格子401にレーザー光402が入射すると、回折効果により出射レーザー光が回折を起こす。ここでは簡単のためレーザー光402は位相型回折格子401に対して垂直に入射するとする。このとき普通はそのまま素通りする光である0次光403と、それぞれθ方向及び−θ方向に回折する1次光404及び−1次光405が発生する(より回折角の大きい高次の回折光も発生するが、割合が小さいため無視した)。このとき回折角θはSin(θ)=λ/Pで決定される。ここでλはレーザー光402の波長である。
【0024】
このときレーザー光402に対するn1とn2の領域の面積がほぼ等しく、光路長差(n1−n2)×dがλ/2+nλ(n:0,1,2・・・・)であるときこれをロンキー格子といい0次光403は消滅する事が知られている。また光路長差(n1−n2)×dがmλ(m:1,2,3・・・・)でかつピッチPで繰り返して屈折率をn1からn2まで連続的に滑らかに変化させたとき、これをブレーズド格子といい1次光404のみが発生する事が知られている。また実際はn1からn2まで16ステップ以上で段階的に変化させればほぼ理想的なブレーズド格子になる事も知られ、これをマルチレベルバイナリー格子という。また一般に位相型回折格子は不透明な部分のある振幅型回折格子より光利用効率が高く有利である。
【0025】
図5(a)(b)は電気的に制御可能な液晶回折光学素子501の断面構造を描いたものである。液晶分子502はその長軸方向がY軸方向に一致して平行配向され、長軸方向の屈折率をn1、短軸方向の屈折率をn2とする。また片側のガラス基盤にはストライプ状の透明電極503がピッチPで形成されている。またもう片方のガラス基盤には透明電極がほぼ全面にコートされている。このときこの液晶回折光学素子501にY軸方向の直線偏光レーザー光504が入射する。
【0026】
このとき図5(a)に示すように液晶回折光学素子501に電圧が加えられていないときは直線偏光504に対して屈折率が一様にn1となる。従って回折は起こらず直線偏光504は素通りして出射光508になる。厳密には透明電極503によりわずかな回折を生じてしまうが、透明電極503の屈折率と液晶分子502の長軸方向の屈折率とが同じになるようにすれば透明電極503による回折は生じない。
【0027】
次に図5(b)に示すように、透明電極503に電源から十分な電圧を加えるとその部分の液晶分子502はZ軸方向の電界によりホメオトロピック状態となる。その結果、直線偏光504に対しピッチPで屈折率がn1とn2を繰り返す構造となる。従って図4とまったく同等なバイナリー型の位相型回折格子として機能し、0次光505、1次光506、及び−1次光507が発生する。この際、前述したロンキー格子の条件を満たせば0次光505は発生しない。また同様に前述したマルチレベルバイナリー格子の条件を満たせば1次光506しか発生しない。しかしマルチレベル化のためには透明電極503をより細かなピッチで刻み、かつ段階的に電圧を変化させて加える必要がある。
【0028】
ここから図2を用いて本発明による第2の実施形態を説明する。簡単のため図2はYZ平面である2次元に投影して描いた。実際は光軸209を回転軸とした回転対照となる。基本的には図1に示した実施形態と同じであるが、電気的に制御可能な回折光学素子として液晶回折光学素子205が用いられ、その基本的な構造及び動作は図3及び図5と同じである。直線偏光であるレーザー光203の偏光軸の方向と液晶回折光学素子205の液晶配向軸の方向はほぼ一致し共にY軸方向である。
【0029】
直線偏光レーザー光源201から出射し、コリメートレンズ202で平行平面波にされたレーザー光203は液晶回折光学素子204を透過し回折を生じる。液晶回折光学素子204は入射光を0度回折する部位205と、電源から電圧を加える事で回折素子として機能し入射光をθ度回折する部位206とで構成される。
【0030】
θ度回折する部位206を透過しθ度回折したレーザー光207は集光光学系208の光軸209を中心としたほぼ円形領域210(斜線表示)以外に入射する。この円形領域210は集光光学系208に本来入射すべき有効光束211の一部分であり、有効光束211によりつくられる開口より小さくなっている事がわかる。ここでは有効光束211による開口をDVD用に、円形領域210による開口をCD用に設定する。
【0031】
図2に示すようにθ度回折した領域の光束は、光学結像の原理より光軸209からY軸方向に±f×tan(θ)だけずれた点±P1に結像する。ここでfは集光光学系208の焦点距離である。すなわちCD用の開口に設定した円形領域210を透過した光の結像点Pに寄与しない。更にレンズ外周部に角度θで斜めに入射する光であるから収差が大きく焦点を結ばない可能性も考えられる。また回折角θの値が十分大きければθ度回折した領域の光束は集光光学系208にはまったく入射しなくなる事もわかる。これらの状態での実効的な開口はCD用となる。
【0032】
次に電圧印加を停止し液晶回折光学素子204のθ度回折する部位206の回折機能を停止させ0度回折する部位にする。この状態では有効光束211は液晶回折光学素子204をそのまま素通りし、集光光学系208により結像点Pに結像される。よってこの状態では実効的な開口はDVD用となる。
【0033】
図6に液晶回折光学素子204の電極形状を示す。中央に直径rの円形領域601があり、その外周部に中心を円形領域601と同じくする同心円状の複数の輪帯がピッチPで配置された輪帯領域602がある。輪帯領域602には引き出し電極線603が配置され電極部604に接続される。電極部604から輪帯領域602に適当な電圧を印加すれば輪帯領域602は回折光学素子として機能する。円形領域601は0度回折させる領域すなわち素通しの領域である。
【0034】
図2において0度回折する部位205は電極や液晶層がなくても、また単にくり貫かれた素通しの領域でも入射光は回折しないため基本的な効果は同じである。しかしこの場合は液晶層がある領域と比べ光路長が変わってしまうためDVD用に使用する際は入射直線偏光の部分的な位相変調が生じる。よって集光光学系210あるいはその他の光学系を用いて補正しなければならない可能性が生じる。
【0035】
ここで具体的な回折角θや回折した光の焦点位置の光軸209からのY軸方向のずれ(図2でPから±P1の距離)の効果について試算する。一般的な液晶素子の製造においては電極のピッチは20ミクロン程度で、また光ピックアップ用の集光レンズの焦点距離は4mm程度、光源である半導体レーザーの波長は0.65ミクロン程度であるから回折角θは、前述した式(Sin(θ)=λ/P)より決められθの値は1.86度、従って前述した式(±f×tan(θ))よりずれ量は約130ミクロンとなる。光ディスク装置の場合、集光スポット直径は1ミクロン以下であるため十分なずれ量である。
【0036】
図2で液晶回折光学素子204のθ度回折する部位206は21項で述べたロンキー格子の条件を満たせば0次光は発生せず、前述したマルチレベルバイナリー格子の条件を満たせば1次光しか発生しない。ロンキー格子として用いた場合はそれぞれ±θ方向に回折する±1次光が発生する。この場合は、図2や前述のずれ量の式(±f×tan(θ))からも明らかなようにP1点には1次光と光軸209に対して対称な部分から−θ方向に回折した−1次光がほぼ重なる。同様に−P1点においては1次光と光軸209に対して対称な部分から−θ方向に回折した−1次光がほぼ重なる。1次光と−1次光は相対位相差は半波長のため両者が重なり干渉し合うと消滅してしまう事が考えられ都合がよい。
【0037】
また液晶回折光学素子204は偏光板等を必要としない位相型回折格子として用いているため原理的には光量ロスは生じない。実際の測定においては光量ロスは15%程度であったが、液晶ガラス基盤に無反射コートを施せば10%以下にする事は可能である。
【0038】
【発明の効果】
今までの説明から明らかなように本発明における液晶回折光学素子を用いた光学装置は簡単な構成で且つあまり光量をロスすることなく開口数を電気的に簡単に切り替える事ができる。この事はDVD−R、すなわち書き込みあるいは書き換え可能なデジタルバーサタイルディスクの光学系において、CDの再生を兼ね備えた光ピックアップに有効である。なぜなら光源としての半導体レーザの光出力アップは困難な問題であるからである。更に回折により光を除去するため、散乱等を用いる方法と比べて除去した光がランダムに拡散することがないので散乱ノイズすなわち迷光ノイズとなりにくい。また、レーザー光の波長が変わっても電気信号により液晶素子の位相変調量を制御することで容易に対応可能である。
【0039】
また本発明における液晶素子は現在の複雑なマトリクス画素構造を持ったパソコン用等の液晶表示パネルと比べ、サイズも小さく構造も非常に簡単なため製造も容易である。また本実施例においては電気制御可能な回折光学素子として液晶素子を使用したがビスマスシリコンオキサイド(BSO)やニオブ酸リチウムなどの固体結晶、あるいはPLZTなどの電気光学セラミクスを用いてもよい。しかしこれらの物質は有効動作電圧が数百から数千ボルトもあるため有効動作電圧が数ボルトである液晶と比べて駆動が困難である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光学装置の構成例である。
【図2】本発明の第2の実施形態における光学装置の構成例である。
【図3】本発明の第2の実施形態において、電気的に制御可能な平行配向型液晶素子の作用を表した図である。
【図4】一般的なバイナリー型の位相型回折格子による光の回折現象を表した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態において、電気的に制御可能な液晶回折光学素子の基本的な断面構造を表した図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における液晶回折光学素子の透明電極形状を表した図である。
【図7】従来技術における光学装置の構成例を表した図である。
【符号の説明】
101、レーザー光源
201、701、直線偏光レーザー光源
102、202、702、コリーメートレンズ
103、203、402、レーザー光
703、直線偏光
104、回折光学素子
204、501、液晶回折光学素子
704、偏光軸
705、90度TN型液晶素子
105、205、0度回折する部位
106、206、θ度回折する部位
107、207、θ度回折したレーザー光
108、208、706、712、集光光学系
707、偏光板
109、209、光軸
110、210、601、円形領域
111、211、有効光束
708、713、集光スポット
709、光ディスク
710、光分離素子
711、分離された光束
714、光検出素子
301、ガラス基盤
302、502、液晶分子
303、配向軸
304、直線偏光
401、位相型回折格子
403、505、0次光
404、506、1次光
405、507、-1次光
503、透明電極
504、直線偏光レーザー光
508、出射光
602、輪帯領域
603、引き出し電極線
604、電極部
Claims (1)
- 少なくともレーザー光を出射するレーザー光源と該レーザー光を回折する回折光学素子と該回折光学素子を透過した光束を集光する集光光学系とを有する光学装置において、前記回折光学素子は入射レーザー光を透過する部位とθ度回折する部位とから構成され、前記透過する部位は集光光学系により利用される有効光束中の光軸を中心としたほぼ円形領域に作用し、前記θ度回折する部位は前記有効光束中の前記円形領域以外の輪帯領域に作用する平行配向型液晶素子から構成される液晶回折光学素子であり、該液晶回折光学素子の回折機能は電気信号で制御され、前記レーザー光として直線偏光レーザー光を用い、該直線偏光レーザー光の偏光軸方向を前記液晶回折光学素子の液晶分子配向軸の方向とほぼ一致させ、かつ前記円形領域に引き出し電極線のない透明電極パターンを前記円形領域全体に形成し、前記円形領域の外周部に中心を前記円形領域と同じくする同心円状の複数の輪帯を所定のピッチで配置した前記輪帯領域の各輪帯に引き出し電極線を有する透明電極パターンを形成し、前記円形領域に電圧を常に印加しない状態に設定することによって入射直線偏光の部分的な位相変調が生じることを防止するように構成し、前記液晶回折光学素子を構成する平行配向型液晶素子の位相変調量を前記直線偏光レーザー光の波長の整数倍とし、前記液晶回折光学素子のθ度回折する部位が、マルチレベルバイナリー格子であることを特徴とする光学装置。
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