JP4667704B2 - 薄膜堆積方法とその装置および薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、PZT系強誘電体、PLZT系強誘電体、BaSr系高誘電体やCu系高温超伝導体あるいはGaAs系のような化合物半導体など有機金属を原料とした化学気相成長法による薄膜の堆積方法とその装置および薄膜の堆積方法に用いる混合ガス供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PZT〔Pb(Zr,Ti)O3 〕薄膜などのPZT系強誘電体薄膜を形成する手法として、MOCVD(Metal−Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属化学気相成長)法による薄膜堆積方法が用いられるようになってきている。このMOCVD法を用いたPZT強誘電体薄膜の形成方法は、PZT強誘電体薄膜の主たる構成元素である、例えば、Pb、Zr、Tiをそれぞれ含む有機金属原料Pb(C11 H19 O2 )2 、Zr(t−OC4 H9 )4 、Ti(i−OC3 H7 )4をソース原料としてそれぞれ収容した原料気化器にアルゴンガスなどの不活性ガスをキャリアガスとして送り込んで、Pb、Zr、Tiをそれぞれ含む3つの有機金属ガスを生成し、これらの有機金属ガスをガス混合室で混合した後、酸化剤としての酸素ガスを加えて有機金属混合ガスとして適宜の温度に保持された反応室に供給し、この有機金属混合ガスを、反応室に設けられた基板(例えば、Pt/SiO2 /SiやPt/MgOなど)の表面上において成長させる手法である。
【0003】
ところで、上記MOCVD法によって形成されたPZT強誘電体薄膜は、その組成が所定の化学量論組成となっていることが要求されるが、従来の薄膜堆積方法においては、次のようにして組成制御を行っていた。
【0004】
すなわち、まず、前記原料気化器の温度(加熱温度)を各有機金属原料ごとに設定し、それらの温度における有機金属原料の蒸気圧からガス濃度を調べる。そして、化学量論組成になるように有機金属ガスの濃度を決定する。そして、原料気化器の温度を微調整する。その状態で、各有機金属原料に対するキャリアガスの流量を一定にして、3つの有機金属ガスを生成し、これによって、適宜の基板上にPZT強誘電体薄膜を形成してみる。
【0005】
そして、前記PZT強誘電体薄膜の組成を、例えばエネルギー分散型X線分析装置(EDX)などの分析装置を用いて組成分析を行い、その結果に基づいて、不足元素の有機金属原料を収容した原料気化器の温度と各キャリアガスの流量を再調節してPZT強誘電体薄膜を再度形成し、この薄膜の組成を前記と同様の手法で分析し、所定の化学量論組成であるか否かを確認する。このときの組成が所定の化学量論組成ではないときには、上記作業を繰り返す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の薄膜堆積方法においては、薄膜形成を行った後、この薄膜の組成分析を行い、組成が所定の化学量論組成ではないときには、有機金属ガスの発生条件を設定し直すといった、トライアンドエラー方式の作業を繰り返しているため、所定の組成の薄膜を得るのにかなりの時間を要するといった問題がある。そして、薄膜形成を繰り返し行うことにより有機金属原料が消費され、有機金属ガスの蒸発量が変化して、所望の化学量論組成から外れてしまう。つまり、再現性が悪いといった問題もある。
【0007】
なお、上記課題は、PZT強誘電体薄膜の堆積のみならず、PLZT系強誘電体薄膜やCu系高温超伝導体薄膜あるいはGaAs系のような化合物半導体など有機金属を原料とした化学気相成長法による薄膜の堆積方法においても同様に生じているところである。
【0008】
そこで、上述した課題を解決する薄膜堆積方法として、この出願の出願人は、原料気化供給部において複数の有機金属ガスを各別に発生させ、これらの有機金属ガスをガス混合室において混合した後、反応室内に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積方法において、前記ガス混合室内に供給される複数の有機金属ガスの混合状態を、前記ガス混合室または反応室のいずれかに設けられているFTIRガス分析計を用いて測定し、この測定結果に基づいて前記有機金属ガスの流量を個々に調整する薄膜堆積方法を特許出願している〔特願2000−51823号(特開2001−234348号)〕。
【0009】
上記のように、例えば、ガス混合室において複数の有機金属ガスの混合状態を測定する場合においては、各有機金属ガスどうしで反応が進み、中間体や多量体が生成された状態をモニターすることができ、反応室に供給される有機金属混合ガスの状態を測定することができる。つまり、インラインにおいて供給されるガスの状態を把握することができるので、堆積によって形成される薄膜の組成を正確かつ容易に制御することができる。したがって、ガスの濃度(状態)に応じて、原料気化器の温度、キャリアガスの流量やガス混合時の温度を制御することができるので、目的とする組成を有する薄膜を再現性よく得ることができる。
【0010】
また、反応室において複数の有機金属ガスの混合状態を測定する場合においては、上記ガス混合室における測定の場合に奏する効果に加えて、より実際の成膜に近い状態で複数の有機金属ガスの混合状態をモニターすることができるとともに、気相中の生成反応をモニターすることができるといった効果がある。
【0011】
このように、上記特許出願に係る発明によれば、薄膜の形成に用いられる複数の有機金属ガスの混合状態(混合比や濃度)を直接モニターすることができるので、薄膜の組成をより正確かつ短時間で分析することができ、所望の組成の薄膜を再現性よくかつ効率的に形成することができる。
【0012】
しかしながら、上記特許出願後における更なる研究により、次のようなことが分かるに至った。すなわち、前記有機金属ガスは、液状の有機金属原料をそれぞれ収容した容器を加熱するとともに、この容器にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、これをバブリングすることにより生成される。
【0013】
そして、前記容器内の有機金属原料が少なくなり、原料交換(原料ボトル交換)直前には、図3(A)において符号aで示すように、有機金属ガスの発生が低下し、原料ボトル交換直後には、図3(A)において符号bで示すように、大きく上昇し、その後、定常の発生状態となる。なお、図中の符号cで示す縦線は原料ボトル交換時点を示している。また、前記バブリングによって発生する有機金属ガスは、不活性ガスの導入量が一定であっても、図3(B)に示すように、その発生量や濃度が変動している。
【0014】
さらに、前記有機金属原料中にときとして不純物が混入し、これに起因して有機金属ガス中に異物が混入してしまうというようなことがある。すなわち、上述のように、原料ボトル交換を行った後、有機金属ガスを連続的に発生させるが、原料ボトル交換直後の初期においては、図4において符号dで示すスペクトルにおける符号pで示すように、920cm-1近傍に小さいピークが見られ、これは前記初期段階に発生する有機金属ガス中に含まれる不純物を示している。そして、前記交換から時間が経過すると、同図において符号eで示すスペクトルのようにピークが消滅し、前記不純物の発生がなくなる。
【0015】
しかしながら、上述した特許出願の薄膜堆積方法においては、薄膜の形成に用いられる複数の有機金属ガスの混合状態(混合比や濃度)を直接モニターするようにしているだけであるので、上述の個々の有機金属ガスの発生量や濃度の変化(変動)や、原料ボトル交換直後などにおいて生ずる不純物など有機金属原料中の異物の混入など、混合される前の有機金属ガス個々の発生状態やそれに対応する有機金属原料個々の状態については確認することができず、成膜プロセスで用いる有機金属ガス供給側の監視が必ずしも十分ではなく、その点において改良する余地が残されていた。
【0016】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、成膜プロセスで用いる有機金属ガスの混合状態のみならず、個々の有機金属原料の状態や有機金属ガスの発生状態など有機金属ガス供給側の監視を確実に行うことができるようにして、所望の組成の薄膜を再現性よくかつ効率的に形成することができる薄膜堆積方法とその装置および薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る薄膜堆積方法は、原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積方法において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたガスラインが、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、この別のガスラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止することを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明に係る薄膜堆積方法は、複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積方法において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたベントラインが、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、また、前記ベントラインの下流側は前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、このベントラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止することを特徴としている。
【0018】
そして、請求項4に記載の発明に係る薄膜堆積装置は、原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたガスラインが、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、この別のガスラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明に係る薄膜堆積装置は、複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたベントラインが、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、また、前記ベントラインの下流側は前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、このベントラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴としている。
【0019】
また、請求項6に記載の発明に係る薄膜堆積装置は、原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたガスラインが、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、この別のガスラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成しているとともに、前記赤外線ガス分析計の測定結果に基づいて前記制御部から装置各部に制御信号を出力するように構成していることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明に係る薄膜堆積装置は、複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたベントラインが、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、また、前記ベントラインの下流側は前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、このベントラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成しているとともに、前記赤外線ガス分析計の測定結果に基づいて前記制御部から装置各部に制御信号を出力するように構成していることを特徴としている。
【0020】
【0021】
【0022】
上記請求項1,2および4〜7に記載の発明においては、複数の有機金属ガスの個々の濃度を直接モニターし、所定の組成の薄膜を形成する濃度のときのみ、反応室に有機金属ガスを供給することができるので、成膜プロセスにおける原料供給側である原料気化供給部の信頼性が高められる。そして、成膜プロセスに最適な条件をより早く見出すことができるとともに、成膜プロセスの後戻りがなくなり、高品位の成膜を短時間で達成することができる。
【0023】
【0024】
【0025】
そして、請求項3または8に記載してあるように、赤外線ガス分析計として、複数の有機金属ガスが各別に導入されるガス室と、このガス室の一方に設けられた赤外光源および干渉計と、前記ガス室の他方に設けられ、前記ガス室内を通過する赤外光を検出する赤外線検出器と、この赤外線検出器の出力を処理して有機金属ガスの濃度を演算する前記濃度演算部とを備えてなるFTIRガス分析計を用いた場合、測定結果が吸収スペクトルとして得られるので、濃度のみならず不純物の存在の有無をも確実にモニターすることができる。
【0026】
さらに、前記赤外線ガス分析計の測定結果に基づいて装置各部に制御信号を出力するように構成することが望ましい。
【0027】
また、原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインに流路切換え手段を介して並列的なガスラインを接続し、このガスラインに前記有機金属ガスを各別に測定する赤外線ガス分析計を設け、その測定結果に基づいて装置各部に制御信号を出力するようにしてもよい。
【0028】
さらに、請求項9に記載の発明では、原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、基板上に薄膜として堆積させるための反応室に、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で供給する薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置において、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを前記有機金属ガスラインとは別に、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように流すガスラインを有し、この別のガスラインにはそこを流れる有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を設け、この赤外線ガス分析計により別のガスラインを流れる有機金属ガスをモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴としている。
また、請求項10に記載の発明では、複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、基板上に薄膜として堆積させるための反応室に、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で供給する薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置において、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを、反応室をバイパスするように流すベントラインを有し、このベントラインにはそこを流れる有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を設け、この赤外線ガス分析計によりベントラインを流れる有機金属ガスをモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴としている。
【0029】
上記請求項9,10に記載の発明によれば、薄膜の形成に用いる複数の有機金属ガスを所定の流量で発生させることができ、所定の組成の薄膜を再現性よく形成することができる。そして、この場合も、請求項11に記載してあるように、赤外線ガス分析計として、複数の有機金属ガスが各別に導入されるガス室と、このガス室の一方に設けられた赤外光源および干渉計と、前記ガス室の他方に設けられ、前記ガス室内を通過する赤外光を検出する赤外線検出器と、この赤外線検出器の出力を処理して有機金属ガスの濃度を演算する前記濃度演算部とを備えてなるFTIRガス分析計を用いることができ、濃度のみならず不純物の存在の有無をも確実にモニターすることができる。
【0030】
【0031】
【0032】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態を示し、薄膜の堆積方法を実施するための装置(MOCVD装置)の構成の一例を概略的に示すもので、このMOCVD装置は、例えばPZT強誘電体薄膜を形成するための装置である。この図において、1は原料気化供給部で、以下のように構成されている。すなわち、2,3,4は原料気化器で、各原料気化器2〜4は、PZT強誘電体薄膜の主たる構成元素であるPb、Zr、Tiをそれぞれ含む有機金属原料Pb(C11 H19 O2)2 、Zr(t−OC4 H9 )4 、Ti(i−OC3 H7 )4 を各別に収容している。各原料気化器2〜4は、気化が良好に行われる最適の温度になるように加熱・保温され、図示例においては、Pb(C11 H19 O2 )2 を収容した原料気化器2はオーブン28(後述する)内に収容され、Zr(t−OC4 H9 )4 、Ti(i−OC3 H7 )4をそれぞれ収容した原料気化器3,4には加熱・保温部3a,4aが設けられている。
【0033】
前記原料気化器2〜4には、それぞれ、例えばアルゴンなどのキャリアガスを導入するためのキャリアガス導入ライン5および原料気化器2〜4において有機金属原料が気化されて生成される、Pb、Zr、Tiをそれぞれ含む有機金属ガスを導出する発生ガス導出流路6が接続されている。
【0034】
そして、前記各キャリアガス導入ライン5には、それぞれ、開閉弁7,8、マスフローコントローラ(MFC)9および開閉弁10がこの順で設けられており、開閉弁10の上流側にはアルゴンガスボンベ11が接続されている。この構成により、アルゴンガスボンベ11内のアルゴンが流量制御されて原料気化器2〜4に供給される。
【0035】
また、前記各発生ガス導出ライン6には、それぞれ、開閉弁12,13が設けられ、開閉弁13の下流側の点Aにおいて二つの流路6a,6bに分岐し、各分岐流路6a,6bには開閉弁14a,14bが設けられ、一方の分岐流路6aの下流端は有機金属ガスライン15(後述する)に、他方の分岐流路6bの下流端は別のガスラインであるベントライン16(後述する)に、それぞれ接続されている。
【0036】
15,16は前記原料気化器2〜4においてそれぞれ発生した有機金属ガスが流れる有機金属ガスライン、ベントラインである。これら両ガスライン15,16は互いに並列的な関係にあり、それぞれの上流側に開閉弁17,18が設けられ、これらの開閉弁17,18の上流側は、MFC19を備えた流路20を介してアルゴンガスボンベ11に接続されている。
【0037】
前記有機金属ガスライン15の構成を説明すると、この有機金属ガスライン15には、既に説明したように、原料気化器2〜4にそれぞれ連なる発生ガス導出ライン6の下流側の流路6aが接続されているが、さらに、この有機金属ガスライン15には、上流側に酸素ガスボンベ21を備えた酸素ガス供給ライン22が接続されており、さらに、有機金属ガスライン15の下流側は反応室29(後述する)のガス導入部29aに接続されている。
【0038】
前記酸素ガス供給ライン22は、図示例では、その上流側に開閉弁23およびMFC24を備え、その下流側は、発生ガス導出ライン6の下流側の流路6aが有機金属ガスライン15に接続される3つ接続点よりそれぞれ下流においてこれらの接続点にそれぞれ対応するようにして開閉弁25を介して有機金属ガスライン15に接続されている。
【0039】
そして、上述のように、有機金属ガスライン15には、原料気化器2〜4においてそれぞれ発生した有機金属ガスと酸素ガス供給ライン22によって供給される酸素ガスとが流れ、この有機金属ガスライン15において、前記有機金属ガスおよび酸素ガスが混合され、その状態で反応室29に供給される。
【0040】
また、前記ベントライン16には、既に説明したように、原料気化器2〜4にそれぞれ連なる発生ガス導出ライン6の下流側の流路6bが接続されているが、その下流側は、反応室29のガス導入部29aに接続されるのではなく、反応室29のガス導出部29bに接続される排気流路33の開閉弁35とフィルタ36との間の点に接続されており、反応室29をバイパスするように構成されている。そして、このベントライン16には、その途中に、FTIRガス分析計41(後述する)が設けられている。
【0041】
さらに、26は各キャリアガス導入ライン5の開閉弁8とMFC9との間の点と、発生ガス導出ライン6の開閉弁13と分岐点6Aとの間の点との間を接続するパージガスラインで、このパージガスライン26には開閉弁27が設けられている。また、28はオーブンで、原料気化供給部1に供給されるアルゴンガスや酸素ガスの温度および各原料気化器2〜4において発生した有機金属ガスの温度を、それぞれ所定以上になるようにするためのものである。
【0042】
29は有機金属ガスライン15の下流側に設けられる反応室で、その内部には、PZT強誘電体薄膜を形成するための基板30を載置しこれを所定の温度に加熱するように構成された基板載置台31が設けられている。なお、32はプレヒータである。
【0043】
33は前記反応室29の下流側のガス導出部29bに接続される排気流路で、この排気流路33には、例えば圧力計34、開閉弁35、フィルタ36,37、吸引用のメカニカルブースターポンプ38、吸引用のロータリポンプ39およびアブゾーバ40がこの順で設けられ、アブゾーバ40は適宜のガス回収装置(図示していない)に接続されている。
【0044】
41はベントライン16に設けられる赤外線ガス分析計としてのFTIRガス分析計である。すなわち、ベントライン16の下流側(オーブン28を出た適宜の箇所)に開閉弁42が設けられ、この開閉弁42を挟む上流側の点および下流側の点にを結ぶようにして分岐流路43が設けられ、この分岐流路43に開閉弁44,45を介してFTIRガス分析計41のガス室46が設けられている。このガス室46は、いわゆるフローセルタイプに構成されている。そして、このガス室46の相対向する側壁に赤外線透過性の材料よりなる窓(図示していない)が形成してあり、一方の窓の外側には、赤外光源47および干渉計48が設けられ、赤外光IRをガス室46内に照射するようにしてあるとともに、他方の窓の外側には、ガス室46内を通過した赤外光IRを検出する、例えば半導体検出器などの赤外線検出器49およびこの赤外線検出器49の出力を適宜処理して測定対象成分の濃度を演算する濃度演算部50が設けられている。
【0045】
このように構成されたFTIRガス分析計41においては、開閉弁42を閉じ、開閉弁44,45を開いた状態では、ベントライン16を排気流路33方向に流れる有機金属ガスはガス室46を通過して排気流路33方向に流れる。そして、このとき、ガス室46に対して、赤外光IRを干渉計48を介して照射すると、そのときの赤外線検出器49の検出出力が濃度演算部50に入力される。そして、この濃度演算部50において前記出力を加算平均し、その加算平均出力を用いてインターフェログラムをフーリエ変換し、さらに、このフーリエ変換された出力に基づいて測定対象成分に関するスペクトル演算を行うことにより、前記有機金属ガスに含まれる特定の成分についての吸収スペクトルに基づいてその成分の濃度などを測定することができる。
【0046】
なお、図示は省略しているが、上記MOCVD装置には、装置全体の各部を制御するパソコンなどの制御部が設けられており、この制御部には、濃度演算部50の演算結果や圧力センサ34の出力などが入力され、この制御部からは、前記入力等に基づいて、原料気化器2〜4、オーブン28などの温度制御部(図示していない)に対して温度制御信号を送出したり、反応室29における温度や圧力を調整するための信号や、開閉弁やMFCに各別に制御信号を送出する機能を備えている。そして、前記制御信号としては、MFCによるキャリアガスの流量信号、反応室29での堆積時間の制御信号、異常が生じているときに成膜を止めさせるアラーム信号や、反応室29へのガス供給停止指令信号などがある。
【0047】
上述のように構成されたMOCVD装置において、PZT強誘電体薄膜を基板24上に形成するには、例えば、以下に示すように条件設定を行った。すなわち、有機金属原料Pb(C11 H19 O2 )2 、Zr(t−OC4 H9 )4 、Ti(i−OC3 H7 )4 をそれぞれ収容した原料気化器2〜4の温度は、それぞれ、130℃、30℃、35℃とした。そして、各原料気化器2〜4に供給されるキャリアガスの流量は、それぞれ、100mL/分、50mL/分、50mL/分とした。また、反応室29内の圧力は、667Paとし、基板30の温度は600℃とした。
【0048】
そして、吸引用のメカニカルブースターポンプ38およびロータリポンプ39を動作させる。そして、3つの原料気化器2〜4内においては、Pb(C11 H19 O2 )2 、Zr(t−OC4 H9 )4 、Ti(i−OC3 H7 )4 といった有機金属原料が、それぞれ所定温度に加熱されることにより気化し、Pb、Zr、Tiをそれぞれ含む有機金属ガスが発生する。
【0049】
前記状態で、各原料気化器2〜4に接続されているキャリアガス導入ライン5における開閉弁7,8,10を開き、開閉弁27を閉じるとともに、MFC9を制御してそのバルブを開く一方、各原料気化器2〜4に接続されている発生ガス導出ライン6における開閉弁12,13を開き、さらに、酸素ガス供給ライン22の開閉弁23,25を開くとともに、MFC24を制御してそのバルブを開く。これにより、アルゴンガスボンベ11からアルゴンガスがキャリアガスとして原料気化器2〜4に供給され、原料気化器2〜4内の有機金属ガスが前記キャリアガスによって発生ガス導出ライン6に導出される。このとき、発生ガス導出ライン6の下流側の流路6aにおける開閉弁14aのみが開いていると、前記発生ガス流路6に導出された有機金属ガスは、前記流路6aを経て有機金属ガスライン15に流入する。そして、この有機金属ガスライン15に流入した有機金属ガスは、互いに交じり合って有機金属混合ガスとなり、このガスは有機金属ガスライン15内を下流側に流れる。
【0050】
一方、酸素ガス供給ライン22には、酸素ガスボンベ21からの酸素ガスが流れており、この酸素ガスは有機金属ガスライン15に複数の点(この実施の形態では3か所)で供給され、有機金属ガスライン15内を流れる有機金属混合ガスに酸素が3回にわたって添加されるので、有機金属混合ガスが酸素ガスと確実に混じり合い、その状態で反応室29に入る。そして、反応室29においては、基板30が予め適宜の温度になるように加熱されており、前記有機金属混合ガスは酸素ガスの存在下において基板30上に堆積され、PZT薄膜が形成される。ここまでの作動は、従来のこの種のMOCVD装置における作動と変わるところがない。
【0051】
この実施の形態のMOCVD装置においては、有機金属ガスライン15とは別に、原料気化供給部1において発生した複数の有機金属ガスを導出するベントライン16を設け、このベントライン16にFTIRガス分析計41を設け、このFTIRガス分析計41を用いて複数の有機金属ガスを各別または混合した状態で測定できるようにしている。
【0052】
すなわち、前記原料気化器2〜4からの有機金属ガスがそれぞれ発生ガス導出ライン6に導出されている状態において、各発生ガス導出ライン6の下流側に設けられた開閉弁14bのみを開状態にすると、前記有機金属ガスは、流路6bを経てベントライン16に流入する。この場合、ベントライン16には原料気化器2〜4からの有機金属ガスが流れるので、上記有機金属ガスライン15における場合と同様に、前記各有機金属ガスは互いに混じり合った有機金属混合ガスとなってベントライン16を下流側に流れていく。
【0053】
そして、ベントライン16の下流側の開閉弁42を閉じ、開閉弁44,45を開状態にすると、前記有機金属混合ガスは、FTIRガス分析計41のガス室46の一方の入口から入って他方の出口から出て行き、開閉弁42の下流側のベントライン16を下流側に流れていく。このとき、ガス室46に対して赤外光IRを干渉計48を介して照射しておくと、上記第0041段落で説明したように、FTIRガス分析計41によって、前記有機金属混合ガスの濃度やその混合状態をモニターすることができる。
【0054】
この実施の形態のMOCVD装置では、上記有機金属混合ガスの濃度やその混合状態のモニターに加えて、有機金属ガスを個別にモニターできるようにした点に特徴がある。以下、これについて説明する。
【0055】
すなわち、原料気化器2〜4からの有機金属ガスがそれぞれ発生ガス導出ライン6に導出されている状態において、例えば、原料気化器2に接続された発生ガス導出ライン6における開閉弁14bのみを所定時間開状態にすると、原料気化器2において発生したPbを含む有機金属ガスのみがベントライン16を流れ、この有機金属ガスがFTIRガス分析計41に供給されて、その濃度が測定される。つまり、原料気化器2〜4に接続されている発生ガス導出ライン6の開閉弁14bを択一的に選択して所定時間開くことにより、原料気化器2〜4において発生した有機金属ガスを択一的に測定することができる。そして、前記開閉弁14bのうちの2つを選択して所定時間開くことにより、原料気化器2〜4において発生した有機金属ガスのうちの2種の有機金属ガスを混合した状態で測定することができる。
【0056】
上述のように、この実施の形態のMOCVD装置においては、ベントライン16にFTIRガス分析計41を設けているので、原料気化器2〜4からの有機金属ガスがそれぞれ発生ガス導出ライン6に導出されている状態において、各発生ガス導出ライン6の下流側にそれぞれ設けられている開閉弁14a,14bのうち、開閉弁14bを開状態とすることによりベントライン16に前記各有機金属ガスを流入させてFTIRガス分析計41により有機金属ガスの濃度の測定結果をモニターし、所定の濃度のとき、開閉弁14bを閉じ、開閉弁14aを開状態とすることにより、前記有機金属ガスライン15から反応室29に有機金属ガスを供給して基板30上にPZT強誘電体薄膜を形成することができる。
【0057】
この場合、各発生ガス導出ライン6の下流側にそれぞれ設けられている開閉弁14aを全て開状態とし、原料気化器2〜4のうちの一つ、例えば原料気化器2に接続された発生ガス導出ライン6の開閉弁14bのみを開状態とし、他の原料気化器3,4に接続された発生ガス導出ライン6の開閉弁14bを閉状態とした場合には、薄膜形成のためのガス供給と原料気化器2において発生するPbを含む有機金属ガスの測定のためのガス供給を行うことができる。そして、前記複数(この場合3つ)の開閉弁14bのうち開状態にする一つの開閉弁14bを任意に設定することができ、さらに、3つのうちの二つの開閉弁14bの開状態の組み合わせも任意に設定することができるので、薄膜形成のためのガス供給と単一または複数の有機金属ガスの測定を同時に平行して行うことができる。
【0058】
さらに、薄膜形成に先立って、原料気化供給部1の各原料気化器2〜4において所定の濃度の有機金属ガスが発生しているかを確認することができる。すなわち、原料気化器2〜4からの有機金属ガスがそれぞれ発生ガス導出ライン6に導出されている状態において、発生ガス導出ライン6の下流側の開閉弁14aの全てを閉じ、開閉弁14bを適宜開状態にして有機金属ガスをベントライン16に流すことにより、前記有機金属ガスの一種または二種または全部(この実施の形態では三種)をFTIRガス分析計41に供給することができ、有機金属ガスを単一の状態、二種の混合状態、三種の混合状態でそれぞれ測定することができる。
【0059】
上述のように、この実施の形態のMOCVD装置によれば、薄膜形成に用いられる複数の有機金属ガスを、原料気化供給部1の各原料気化器2〜4において発生させる場合、前記複数の有機金属ガスの発生状態を個別に監視することができる。したがって、上記MOCVD装置によれば、原料気化器2〜4内における有機金属原料の供給条件を、常時または必要なときに任意に監視することができる。そして、例えば発生した有機金属ガスにおける濃度の異常や有機金属ガス中に不純物が混入していることが検出されたときには、アラームを発生するとともに、薄膜形成のための工程を停止させることができる。また、原料気化器2〜4の有機金属原料の残量が所定量以下になることが自動的に判断されるので、ボトル交換のための指令を発するようにすることができる。さらに、前記ボトル交換時の交換直後における濃度や不純物の混入など有機金属ガスの初期的な変動を監視し、その安定を客観的に判断することができ、成膜条件の安定性のための指針を与えることができる。
【0060】
なお、上記MOCVD装置においては、原料気化供給部1にパージガスライン26を設けているので、開閉弁8,13を閉じる一方、開閉弁27、14a,14bを開くことにより、アルゴンガスボンベ11内のアルゴンガスを有機金属ガスライン15やベントライン16に直接供給し、これらのガスライン15,16やこれらの下流側にそれぞれ設けられる反応室29やFTIRガス分析計41のガス室46をパージすることができる。一つの薄膜形成やガス測定の終了後、前記開閉弁14,14bを適宜開状態にすることにより、前記ガスライン15,16、反応室29、ガス室46内をクリーンな状態にすることができる。また、前記ガス室46にアルゴンガスを供給する際、赤外光IRをガス室46に照射し、そのときの赤外光IRを赤外線検出器49で検出し、その出力を濃度演算部50において信号処理することにより、バックグラウンド値を得ることができる。
【0061】
上述の実施の形態における薄膜堆積装置では、原料気化供給部1において発生した有機金属ガスが流れる有機金属ガスライン15とは別に、ベントライン16を有機金属ガスライン15と並列的に設け、このベントライン16にFTIRガス分析計41を設けていたが、前記ベントライン16を省略することもできる。以下、これを第2の実施の形態として示す図2を参照しながら説明する。
【0062】
図2に示すように、原料気化供給部1の各原料気化器2〜4に接続される発生ガス導出ライン6の下流側は分岐されてなく、開閉弁14を介して有機金属ガスライン15に接続され、ベントライン16は設けられてない。そして、有機金属ガスライン15の下流側かつ反応室29の上流側であって、オーブン28を出た有機金属ガスライン15に、適宜の間隔を隔てて、例えば三方電磁弁よりなる流路切換え手段51,52が介装され、これら二つの三方電磁弁51,52に連なる流路53を別のガスラインとしてここにFTIRガス分析計41のガス室46が連通接続されている。他の構成は、図1における構成と同じである。
【0063】
この第2の実施の形態における薄膜堆積装置においては、薄膜形成を行う場合には、三方電磁弁51,52を介して原料気化供給部1と反応室29とが連通接続されるようにして、原料気化供給部1において発生した有機金属ガスを反応室29に供給するようにし、前記有機金属ガスを個々または適宜混合した状態で測定する場合には、三方電磁弁51,52を切換え制御して、三方電磁弁51,52を介して原料気化供給部1とFTIRガス分析計41のガス室46とが連通接続されるようにして、原料気化供給部1において発生した有機金属ガスをFTIRガス分析計41に供給するのである。
【0064】
この実施の形態においては、薄膜形成と有機金属ガスの測定は、第1の実施の形態と同様に、有機ガスの測定によるモニターが先行されて、所定の濃度のとき、所定の薄膜形成を行うことができる。そして、この実施の形態においては、ベントライン16を設けてなく、それに付随して構成部材も少なくなるので、装置全体の構成が簡略化されるといった利点がある。
【0065】
上述したいずれの実施の形態においても、FTIRガス分析計41を用いて、個々の有機金属ガスにおける濃度測定や不純物の混入などの検出を行うようにしていたが、このFTIRガス分析計41に代えて、非分散型赤外線ガス分析計(NDIR)を用いるようにしてもよい。すなわち、サンプルガス(この発明においては、有機金属ガス)が流通的に供給されるガス室の一方の窓側に赤外光源を設け、他方の窓側に測定用および比較用の半導体検出器を並設してなる赤外線ガス分析計を用いるのである。このような構成よりなる赤外線ガス分析計においても個々の有機金属ガスの濃度測定を精度よく行うことができる。
【0066】
この発明は、上記PZT強誘電体薄膜の形成に限られるものではなく、例えば、PLZT系強誘電体、BaSr系高誘電体やCu系高温超伝導体あるいはGaAs系のような化合物半導体など有機金属を原料とした化学気相成長法による薄膜の形成など、各種の薄膜堆積に利用することができる。
【0067】
【発明の効果】
この発明によれば、従来の手法とは異なり、薄膜の形成に用いられる有機金属ガスをモニターして、所定の組成の薄膜を形成する濃度のときのみ、所定の薄膜堆積を行うことができる。その結果、成膜プロセスにおける原料供給側の信頼性が高められる。そして、必要に応じて、複数の有機金属ガスを適宜組み合わせた状態でもモニターすることができるので、成膜プロセスの最適な条件出しのための時間を短縮することができる。また、成膜プロセスの後戻りが無くなる。したがって、この発明によれば、薄膜の組成をより正確かつ短時間で分析することができ、所望の組成の薄膜を再現性よくかつ効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の薄膜堆積装置の構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】 この発明の薄膜堆積装置の他の構成例を概略的に示す図である。
【図3】 従来技術の欠点を説明するための図である。
【図4】 従来技術の他の欠点を説明するための図である。
【符号の説明】
1…原料気化供給部、15…有機金属ガスライン、16…ベントライン(別のガスライン)、29…反応室、30…基板、41…FTIRガス分析計、46…ガス室、47…赤外光源、48…干渉計、49…赤外線検出器、50…濃度演算部、51,52…流路切換え手段、IR…赤外光。
Claims (11)
- 原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積方法において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたガスラインが、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、この別のガスラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止することを特徴とする薄膜堆積方法。
- 複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積方法において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたベントラインが、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、また、前記ベントラインの下流側は前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、このベントラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止することを特徴とする薄膜堆積方法。
- 前記赤外線ガス分析計が、複数の有機金属ガスが各別に導入されるガス室と、このガス室の一方に設けられた赤外光源および干渉計と、前記ガス室の他方に設けられ、前記ガス室内を通過する赤外光を検出する赤外線検出器と、この赤外線検出器の出力を処理して有機金属ガスの濃度を演算する前記濃度演算部とを備えてなるFTIRガス分析計である請求項1または2に記載の薄膜堆積方法。
- 原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたガスラインが、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、この別のガスラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴とする薄膜堆積装置。
- 複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたベントラインが、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、また、前記ベントラインの下流側は前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、このベントラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴とする薄膜堆積装置。
- 原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたガスラインが、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、この別のガスラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成しているとともに、前記赤外線ガス分析計の測定結果に基づいて前記制御部から装置各部に制御信号を出力するように構成していることを特徴とする薄膜堆積装置。
- 複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で反応室に供給し、この反応室内に設けられている基板上に薄膜を堆積させるようにした薄膜堆積装置において、前記有機金属ガスラインとは別に、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を途中に設けたベントラインが、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、また、前記ベントラインの下流側は前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように設けられ、このベントラインを流れる有機金属ガスの濃度を前記赤外線ガス分析計によりモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成しているとともに、前記赤外線ガス分析計の測定結果に基づいて前記制御部から装置各部に制御信号を出力するように構成していることを特徴とする薄膜堆積装置。
- 前記赤外線ガス分析計が複数の有機金属ガスが各別に導入されるガス室と、このガス室の一方に設けられた赤外光源および干渉計と、前記ガス室の他方に設けられ、前記ガス室内を通過する赤外光を検出する赤外線検出器と、この赤外線検出器の出力を処理して有機金属ガスの濃度を演算する前記濃度演算部とを備えてなるFTIRガス分析計である請求項4〜7の何れか一項に記載の薄膜堆積装置。
- 原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、基板上に薄膜として堆積させるための反応室に、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で供給する薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置において、前記原料気化供給部において発生した有機金属ガスを前記有機金属ガスラインとは別に、流路切換え手段を介して前記有機金属ガスラインと並列的な関係で、かつ、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて反応室をバイパスするように流すガスラインを有し、この別のガスラインにはそこを流れる有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を設け、この赤外線ガス分析計により別のガスラインを流れる有機金属ガスをモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記流路切換え手段を切換え制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスを別のガスラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴とする薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置。
- 複数の原料気化供給部において各別に発生した複数の有機金属ガスを、基板上に薄膜として堆積させるための反応室に、前記原料気化供給部に接続された有機金属ガスラインから混合した状態で供給する薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置において、各原料気化供給部の下流側に設けられた分岐点から分岐し一方に前記有機金属ガスラインが接続される二つの分岐流路の他方に接続され、その下流側が前記反応室のガス導出部に接続される排気流路に接続されて、前記複数の原料気化供給部において発生した有機金属ガスを、反応室をバイパスするように流すベントラインを有し、このベントラインにはそこを流れる有機金属ガスを混合状態でも各別の状態でも導入できるガス室及び当該ガス室に各別に導入された有機金属ガスの濃度を演算する濃度演算部を有する赤外線ガス分析計を設け、この赤外線ガス分析計によりベントラインを流れる有機金属ガスをモニターして、前記濃度演算部による濃度の演算結果の入力に基づいて制御部から送出される制御信号により、前記二つの分岐流路に設けられた弁を制御して、所定の組成の薄膜を形成する濃度のとき、前記有機金属ガスを有機金属ガスラインから反応室に供給して前記基板上に薄膜を堆積させ、かつ、前記濃度以外のとき、前記有機金属ガスをベントラインを通過させて前記排気流路方向に流して反応室への供給を停止するように構成していることを特徴とする薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置。
- 前記赤外線ガス分析計が複数の有機金属ガスが各別に導入されるガス室と、このガス室の一方に設けられた赤外光源および干渉計と、前記ガス室の他方に設けられ、前記ガス室内を通過する赤外光を検出する赤外線検出器と、この赤外線検出器の出力を処理して有機金属ガスの濃度を演算する前記濃度演算部とを備えてなるFTIRガス分析計である請求項9または10に記載の薄膜堆積方法に用いる混合ガス供給装置。
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