JP4667672B2 - ガン発振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力線路にNRDガイドを用い発振素子にガンダイオードを用いた、高周波信号を発生するガン発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
NRDガイドは、誘電体ストリップが平行に隔てられた上側導体板と下側導体板で挟まれただけの簡便な構造でありながら、ミリ波帯においても伝送損失が少なく、曲がりや不連続部で不要放射がないという特長を有している。またガンダイオードは5V前後のバイアス電圧を印加するだけで、高出力のミリ波信号を生成できる特長を有しており、この2つを組み合わせたガン発振器が、自動車衝突防止レーダや無線LAN端末などで用いられている。
【0003】
以下、従来のNRDガイドを用いたガン発振器について説明する。
【0004】
図6(a)は従来のガン発振器の全体構造を示す斜視図であり、図6(b)は従来のガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図である。なお、図6は、10GHz帯や20GHz帯といった発振周波数が比較的低く、上側導体板と下側導体板の間隔がガンダイオードの直径よりも大きい場合のガン発振器を示す。
【0005】
図6において1dは従来のガン発振器、2は金属製のガンダイオードマウント、2aはガンダイオード、3aはガンダイオードマウント2の上面に設けた凹部、3bはガンダイオードマウント2の下面に設けた凹部である。凹部3a、3bのガンダイオード2aの軸方向に向かう長さは発振周波数の自由空間における4分の1波長と等しい。4a、4b、4c、4dはガンダイオードマウント2の凸部である。凸部4a、4b、4c、4dのガンダイオード2aの軸方向に向かう長さは発振周波数の自由空間における4分の1波長と等しい。5はガンダイオード2aのカソード端子5である。ガンダイオード2aはガンダイオードマウント2側面に設けたネジ穴にねじ込まれており、ガンダイオード2aのカソード端子5はガンダイオードマウント2と接触している。6は誘電体基板上に作成されたバイアス線路、7はガンダイオード2aのアノード端子である。バイアス線路6の先端部はガンダイオード2aのアノード端子7に接続されている。なお、バイアス線路6には、発振出力のバイアス線路6側への漏洩を防ぐために、導体パターン幅を周期的に変えて構成される低域通過フィルタが形成されている。8は誘電体基板上に作製されたストリップ線路である。ストリップ線路8は、ガンダイオードマウント2に対して垂直に、かつガンダイオード2aの中心軸上に配置されている。9は誘電体ストリップ、10は金属箔が誘電体ストリップの中心に挿入されたモードサプレッサである。モードサプレッサ10はストリップ線路8と誘電体ストリップ9の伝送路変換部における不要モードの発生を防ぐ機能を有する。11は上側導体板、11aは下側導体板、12はガンダイオード2aヘバイアス電圧を印加するための端子、12aはガンダイオード2aを接地するための端子である。上側導体板11、下側導体板11aはガンダイオード2aの放熱器としての機能も有する。
【0006】
以上のように構成された従来のガン発振器の動作について、以下図を用いて説明する。
【0007】
ガンダイオード2aへのバイアス電圧は、端子12からバイアス線路6を介してアノード端子7へ印加される。ガンダイオード2aはバイアス電圧が印加されることによって高周波信号を発生するが、その発振出力はストリップ線路8を介して誘電体ストリップ9へ導かれる。以上のように、ガンダイオード2aからの発振出力は最終的に誘電体ストリップ9から取り出される。なお、ガンダイオードマウント2の工作精度によっては、ガンダイオードマウント2と上側導体板11、あるいは下側導体板11aとの間に隙間が生じる場合も考えられるが、ガンダイオードマウント2に発振周波数の自由空間における4分の1波長の周期で凹凸が施されていることにより、この隙間からの発振出力の漏洩は防がれる。
【0008】
また、従来のNRDガイドを用いたガン発振器として、特許第2989391号公報には「高周波信号発生器」が開示されている。以下、従来の高周波信号発生器について説明する。
【0009】
図7(a)は従来の高周波信号発生器の全体構造を示す図であり、図7(b)は従来の高周波信号発生器のガンダイオード部分の要部断面図である。なお、図7は60GHz帯や77GHz帯といった発振周波数が比較的高く、上側導体板と下側導体板の間隔がガンダイオードの直径より小さい場合の高周波信号発生器を示す。
【0010】
図7において、20は従来の高周波信号発生器、21は金属製のガンダイオードマウント、22はガンダイオードである。ガンダイオード22はガンダイオードマウント21側面のネジ穴にねじ込まれており、ガンダイオード22のカソード端子23はガンダイオードマウント21と接触している。24は誘電体基板上に配設され低域通過フィルタの機能をもつバイアス線路である。バイアス線路24の先端部はガンダイオード22のアノード端子25に接続される。26は誘電体基板上に配設されたストリップ線路である。ストリップ線路26はガンダイオードマウント21に対して垂直に配置される。27は誘電体ストリップ、28は金属箔が誘電体ストリップ27の中心に挿入されたモードサプレッサ、29は上側導体板、29aは下側導体板、30はガンダイオード22ヘバイアス電圧を印加するための端子、30aはガンダイオード2aを接地するための端子、32、33は各々上側導体板と下側導体板に設けられ、ガンダイオードマウント21がはめこまれる溝である。なお上側導体板29、下側導体板29aはガンダイオード22の放熱器としての機能も有する。
【0011】
ところで、NRDガイドでは上側導体板29と下側導体板29aの間隔は、不要放射を抑制するため使用周波数の半波長以下に設定されるが、市販のガンダイオードは直径が3mm程度のパッケージに封入されているため、使用周波数帯が高くなると上側導体板29と下側導体板29aの間隔がガンダイオード22の直径よりも狭くなり、ガンダイオード22および、ガンダイオード22を保持するガンダイオードマウント21を、上側導体板29と下側導体板29aの間に挿入できなくなる。例えば、波長が5mmの60GHz帯では上側導体板と下側導体板の間隔は2.5mm以下になるが、60GHz帯で動作する市販のガンダイオード22は直径が3mmであり、そのままで上側導体板29と下側導体板29aの間に挿入することができない。これを解決するために、図7に示す高周波信号発生器では、上側導体板29と下側導体板129に溝32と溝33を設け、ガンダイオードマウント21をはめ込んでいる。
【0012】
以上のように構成された高周波信号発生器の動作について、以下図を用いて説明する。ガンダイオード22へのバイアス電圧は、端子30からバイアス線路24を介してアノード端子25へ印加される。ガンダイオード22はバイアス電圧が印加されることによって高周波信号を発生するが、その発振出力はストリップ線路26を介して誘電体ストリップ27へ導かれる。以上のように、ガンダイオード22からの発振出力は誘電体ストリップ27から取り出される。
【0013】
以上のように、従来、構成の異なるガン発振器を発振周波数により使い分けて使用していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
【0015】
(1)従来のガン発振器は、現状のガンダイオードの発振効率は高々数パーセントであり、発振時にはガンダイオードから大量の熱が発生するが、ガンダイオードマウントと上側導体板および下側導体板の接触面積が少ないために、ガンダイオードから上側導体板と下側導体板への熱伝導が十分にできず、ガンダイオードが自分自身の発する熱により破損するという課題を有していた。
【0016】
(2)従来の高周波信号発生器は、ガンダイオードマウントに設けた凹凸が無いため、工作誤差などによりガンダイオードマウントと上側導体板あるいは下側導体板の間に隙間が生じた場合、又は、ガンダイオードマウントと上側導体板と下側導体板との間の両方に隙間が生じた場合に、その隙間を伝って発振出力がガンダイオードマウント後方へ漏れるという課題を有していた。
【0017】
(3)従来の高周波信号発生器のガンダイオードマウントに、従来のガン発振器のガンダイオードマウントと同様の凹凸を施した場合、ガンダイオードマウント後方への発振出力の漏れを抑えられるように思われるが、単にガンダイオードマウントの上面と下面に発振周波数の自由空間における4分の1波長の周期で凹凸をつけるだけでは、上側導体板と下側導体板に設けた溝へはめ込んだ時に、電磁波が漏れなくなる周波数が発振周波数からずれて、ガンダイオードマウント後方への発振出力の漏れを防ぐことができないという課題を有していた。
【0018】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ガンダイオードが発生する熱を上側導体板および下側導体板へ伝えやすくし熱によるガンダイオードの破損を防ぐことができ、また、上側導体板と下側導体板にガンダイオードマウントをはめ込む溝を設けた場合、発振出力のガンダイオードマウント後方への漏れを防ぐことができるガン発振器を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、本発明のガン発振器は、平行に隔てられた2つの導体板と、導体板の間に誘電体ストリップを保持する出力線路としての非放射性誘電体線路(以下NRDガイドとよぶ)と、発振素子としてのガンダイオードと、ガンダイオードを側面に保持するガンダイオードマウントと、を備え、ガンダイオードマウントと導体板の接触部分のガンダイオード軸方向の長さが発振周波数の自由空間における4分の1波長の奇数倍となる少なくとも2つ以上の凸部と、凸部に挟まれガンダイオード軸方向と平行な面におけるガンダイオード軸方向の長さが発振周波数の自由空間における4分の1波長の奇数倍となる凹部が、導体板のガンダイオードマウントとの接触面に形成された構成を有する。
【0020】
この構成により、ガンダイオードが発生する熱を上側導体板および下側導体板へ伝えやすくし熱によるガンダイオードの破損を防ぐことができ、また、上側導体板と下側導体板にガンダイオードマウントをはめ込む溝を設けた場合、発振出力のガンダイオードマウント後方への漏れを防ぐことができるガン発振器を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載のガン発振器は、平行に隔てられた2つの導体板と、導体板の間に誘電体ストリップを保持する出力線路としての非放射性誘電体線路(以下NRDガイドとよぶ)と、発振素子としてのガンダイオードと、ガンダイオードを側面に保持するガンダイオードマウントと、を備え、ガンダイオードマウントと導体板の接触部分のガンダイオード軸方向の長さが発振周波数の自由空間における4分の1波長の奇数倍となる少なくとも2つ以上の凸部と、凸部に挟まれガンダイオード軸方向と平行な面におけるガンダイオード軸方向の長さが発振周波数の自由空間における4分の1波長の奇数倍となる凹部が、導体板のガンダイオードマウントとの接触面に形成された構成を有する。
【0022】
この構成により、以下のような作用を有する。
【0023】
(1)ガンダイオードマウントと上側の導体板に設けた溝との接触部分の長さ、およびガンダイオードマウントと下側の導体板に設けた溝との接触部分の長さが、発振周波数における4分の1波長の奇数倍になるため、ガンダイオード側のガンダイオードマウントと導体板の接触部端点において、ガンダイオードマウントと導体板が高周波的にほぼ短絡された状態となり、発振出力のガンダイオードマウント後方への漏れを防ぐことができる。
【0024】
(2)ガンダイオードマウントと導体板との接触部分のガンダイオード軸方向の長さを長くし面積を広くすることができるので、発振動作時にガンダイオードから発生する熱が、放熱器を兼ねる導体板へ伝わりやすくなり、熱によるガンダイオードの破損を防ぐことができる。
【0025】
(3)ガンダイオードマウントの上面に設けた凸部と上側の導体板の接触部の長さと、ガンダイオードマウントの下面に設けた凸部と下側の導体板の接触部の長さを発振周波数の自由空間における4分の3波長、4分の5波長のように長くすると、ガンダイオードマウントと導体板との接触部分の長さが増えガンダイオードから導体板への熱を伝えやすくすることができる。
【0026】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガン発振器であって、導体板が、各々ガンダイオードマウントが嵌合する溝を備えた構成を有する。
【0027】
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
【0028】
(4)導体板とガンダイオードマウントとの接触面積を大きくできるので、ガンダイオードが発生する熱を導体板へ伝えやすくし熱によるガンダイオードの破損を防ぐことができる。
【0034】
(5)ガンダイオードマウントに凹部を設ける場合に比べて凹部の深さを深くできるため、ガンダイオードマウントと導体板の接触部分とのインピーダンスの差を大きくすることができ、ガンダイオードマウント後方への発振出力の漏れを一層低減することができる。
【0038】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載のガン発振器であって、導体板が、ガンダイオードマウント上面が接触する上側導体板とガンダイオードマウント下面が接触する下側導体板からなり、凸部及び凹部が、ガンダイオードマウントの上側導体板及び下側導体板との接触面、及び、上側導体板及び下側導体板のガンダイオードマウントとの接触面に形成され、ガンダイオードマウント上面に形成された凹部と上側導体板に形成された凹部のガンダイオード軸方向と平行な面におけるガンダイオードの軸方向の長さと位置が等しく、ガンダイオードマウント下面に形成された凹部と、下側導体板に形成された凹部のガンダイオード軸方向と平行な面におけるガンダイオードの軸方向の長さと位置が等しく、上側導体板に形成された凹部の深さとガンダイオードマウント上面に形成された凹部の深さを合わせた長さ及び下側導体板に形成された凹部の深さとガンダイオードマウント下面に形成された凹部の深さを合わせた長さが0.5mm以上である構成を有する。
【0039】
この構成により、請求項1の作用に加え以下のような作用を有する。
【0040】
(1)ガンダイオードマウント及び上側導体板、下側導体板に凹部が形成されているため、凹部内部の空間の断面積が広がり、ガンダイオードマウントと上側導体板及び下側導体板の接触部分と凹部のインピーダンス差を大きくすることができ、発振出力のガンダイオードマウント後方への漏れをより一層低減することができる。
【0041】
なお、上側導体板に設けた凹部の深さとガンダイオードマウント上面に設けた凹部の深さを合わせた長さが0.5mm以上で、下側導体板に設けた凹部の深さとガンダイオードマウント下面に設けた凹部の深さを合わせた長さが0.5mm以上であれば、発振出力がほとんど漏れないようにすることができるが、その長さは長ければ長いほど漏洩電力を少なくする効果は高い。
【0042】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のガン発振器であって、上側導体板に形成された凹部の深さと、下側導体板に形成された凹部の深さが等しい構成を有する。
【0043】
この構成により、請求項1又は2の作用に加え以下のような作用を有する。
【0044】
(1)上側導体板と下側導体板にフライス盤などの金属加工機を用いて凹部の加工をする際に、削り取る深さを変更しなくてすむため、上側導体板と下側導体板の生産効率を上げることができる。すなわち、ガンダイオードマウント後方への発振出力の漏洩が少ないガン発振器を効率よく生産できるようになる。
【0047】
以下、本発明の一実態の形態について説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図1(a)は実施の形態1におけるガン発振器の全体構造の斜視図であり、図1(b)は実施の形態1におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図であり、図1(c)は図1(b)の等価回路を示す説明図であり、図2(a)は凹部の深さに対する漏洩電力のシミュレーション結果を示すグラフであり、図2(b)は実施の形態2におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図であり、図2(c)は図2(b)の等価回路を示す説明図である。なお、図2(a)はガンダイオードマウントと上側導体板の間に隙間が生じた場合の、凹部の深さに対する漏洩電力のシミュレーション結果を示すものである。なお、本実施の形態1は、ガン発振器の上側導体板と下側導体板に設けた溝の深さを等しくし、ガンダイオードマウントの上面と下面に上下対称な凹部と凸部を設けたものである。
【0049】
図中、2はガンダイオードマウント、2aはガンダイオード、5はカソード端子、6はバイアス線路、7はアノード端子、8はストリップ線路、9は誘電体ストリップ、10はモードサプレッサ、11は上側導体板、11aは下側導体板、12は端子、12aは端子であり、これらは図6において説明したものと同様であるので同一の符号を付けて説明を省略する。1は本実施の形態1におけるガン発振器、31はガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部端点、32は上側導体板11に設けた溝、33は下側導体板11aに設けた溝、34aはガンダイオードマウント2の上面に設けられた上面側凹部、34bはガンダイオードマウント2の下面に設けられた、長さが発振周波数の4分の1波長の下面側凹部、35a、35bはガンダイオードマウント2の上面に設けられた上面側凸部、35c、35dはガンダイオードマウント2の下面に設けられた下面側凸部である。なお、図1(b)および図1(c)中に矢印とともに示されたA、D、E、およびA´、B´、C´、D´、E´はそれぞれの部分の長さを示している。A、A´、E、およびE´は長さが等しく、AとBを合わせた長さ、A´とB´を合わせた長さ、DとEを合わせた長さ、およびD´とE´を合わせた長さは、発振周波数の自由空間における4分の3波長であり、C、C´は発振周波数の自由空間における4分の1波長である。なお図1(b)において、ストリップ線路8は記載を省略している。
【0050】
図1に示すガン発振器1は、カソード端子5がガンダイオードマウント2を介して接続された端子12aを接地し、端子12からバイアス線路6を介してアノード端子7にバイアス電圧が印加すると高周波信号を発生し、ストリップ線路8を介して誘電体ストリップ9から出力される。
【0051】
従来のガン発振器では、ガンダイオードマウント2や、上側導体板11に設けた溝32、あるいは下側導体板11aに設けた溝33の工作精度によっては、ガンダイオードマウント2と上側導体板11に設けた溝32、あるいはガンダイオードマウント2と下側導体板11aに設けた溝33の間に隙間が生じ、この隙間から発振出力が漏れてしまう場合があったが、図1(b)に示すガンダイオードマウント2の構造では、ガンダイオードマウント2と上側導体板11の間に隙間が生じた場合でも、あるいはガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また両方に隙間が生じた場合でも、それぞれの隙間について図1(c)の等価回路が成り立ち、ガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部端点31からガンダイオードマウント2側をみたインピーダンスZMは非常に小さく、接触部端点31は高周波的にほぼ短絡されているとみなせるようになる。そのため、十分な工作精度が得られずガンダイオードマウント2と上側導体板11あるいは下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント2後方に漏れなくすることができる。なお、図1(c)においてZOは上側導体板11と下側導体板11aで構成される伝送路のインピーダンスであり、比較的大きな値を有する。
【0052】
また図1に示すようにガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部の長さを4分の3波長とすることにより、ガンダイオード2aから発生する熱を効率的に上側導体板11と下側導体板11aに伝えることができ、熱によるガンダイオード2aの破損を防ぐことができる。なお、それでもガンダイオード2aが発生する熱が上側導体板11、下側導体板11aに十分に伝わらないようであれば、4分の5波長あるいは4分の7波長と長くしてもよい。
【0053】
なお、上面側凹部34a、下面側凹部34bの深さについては、図2(a)に示すガンダイオードマウントと上側導体板の間に0.05mmの隙間ができた場合の、凹部の深さに対する漏洩電力のシミュレーション結果から分かるように、漏洩電力がほとんど無くなる0.5mm以上にするのが好ましい。なお、図2(a)は60GHzでのシミュレーション結果であり、ここで用いたシミュレーションモデルは図2(b)に示すように、上面に凹部を設けたガンダイオードマウントを厚みがゼロの上側導体板と下側導体板で挟んだ構造となっており、上側導体板と下側導体板の間隔は60GHz帯のNRDガイドで一般に用いられる2.25mmとし、ガンダイオードマウントの凸部の長さは4分の3波長である3.75mmとし、凹部の長さは4分の1波長である1.25mmとしている。シミュレーションモデルの境界条件は、図2(c)に示す通りであり、5mmの幅で取り出したガンダイオードマウントの両側面は、ガンダイオードマウントと上側導体板の隙間を伝わる電磁波がTEM(transverse electromagnetic)波になると考え磁気壁としている。また、ガンダイオードマウントと上側導体板の隙間を漏れ出た電磁波は、上側導体板と下側導体板の間を伝わり再び戻ってくることはないため、ガンダイオードマウントから5mm離れた位置に吸収境界条件を設定している。図2(a)の結果は、このようなシミュレーションモデルの形状および境界条件のもと、入力端子面からの入射電力と反射電力の比をシミュレーションで求め、その値から漏洩電力を算出している。なお、シミュレータにはHEWLETT PACKARD社の電磁界シミュレーションソフトであるHFSS Ver5.4を用いている。
【0054】
なお、図2にはガンダイオードマウントと上側導体板の間に隙間ができた場合の電力漏洩についてのシミュレーション結果を示しているが、この結果はガンダイオードマウントと下側導体板の間に隙間ができた場合についても当てはまり、また両方に隙間ができた場合でも凹部の深さが0.5mm以上であれば、漏洩電力を十分に少なくすることができる。
【0055】
なお、図2に示すシミュレーションモデルでは、上側導体板と下側導体板に溝は設けていないが、ガンダイオードマウントに設けた凹部の深さが漏洩電力を少なくする効果は、上側導体板と下側導体板に溝を設けガンダイオードマウントを嵌合させた場合も変わらないため、図1に示すガンダイオードマウント2の凹部の深さは、図2(a)のシミュレーション結果に基づいて決定してよい。
【0056】
また、図2(a)は60GHzでのシミュレーション結果ではあるが、ガンダイオードマウントと上側導体板、あるいは下側導体板の間に隙間が生じた場合にそこを伝わる電磁波のモードはTEMモードになると考えられるため、図2(a)の結果はすべての周波数に適用してよい。
【0057】
以上のように本実施の形態1におけるガン発振器は構成されているので、十分な工作精度が得られずガンダイオードマウント2と上側導体板11あるいは下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント2後方に漏れなくすることができるという作用を有する。
【0058】
(実施の形態2)
図3(a)は実施の形態2におけるガン発振器の全体構造の斜視図であり、図3(b)は実施の形態2におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図であり、図3(c)は図2(b)の等価回路を示す説明図である。なお、本実施の形態3は、ガン発振器の上側導体板と下側導体板に設けた溝の中の上下対称な位置に、凹部を設けたものである。
【0059】
図3において、2はガンダイオードマウント、2aはガンダイオード、5はカソード端子、6はバイアス線路、7はアノード端子、8はストリップ線路、9は誘電体ストリップ、10はモードサプレッサ、11は上側導体板、11aは下側導体板、12は端子、12aは端子、31は接触部端点、32は溝、33は溝であり、これらは図6において説明したものと同様であるので同一の符号を付けて説明を省略する。1aは本実施の形態2におけるガン発振器、40aは上側導体板11の溝32の中に設けた上側凹部、40bは下側導体板11aの溝33の中に設けた下側凹部、41a、41bは上側導体板11の溝32に設けた上側凸部、41c、41dは下側導体板11aの溝33に設けた上側凸部である。なお、図3(b)および図3(c)中に矢印とともに示されたF、G、H、I、J、およびF´、G´、H´、I´、J´はそれぞれの部分の長さを示している。F、F´、J、およびJ´は長さが等しく、また、FとGを合わせた長さ、F´とG´を合わせた長さ、IとJを合わせた長さ、およびI´とJ´を合わせた長さは、発振周波数の自由空間における4分の3波長であり、H、H´の長さは発振周波数の自由空間における4分の1波長である。なお図3(b)において、ストリップ線路8は記載を省略している。
【0060】
図3に示すガン発振器は、カソード端子5がガンダイオードマウント2を介して接続された端子12aを接地し、端子12からバイアス線路6を介してアノード端子7にバイアス電圧が印加すると高周波信号を発生し、ストリップ線路8を介して誘電体ストリップ9から出力される。
【0061】
従来のガン発振器では、ガンダイオードマウント2や、上側導体板11に設けた溝32、あるいは下側導体板11aに設けた溝33の工作精度によっては、ガンダイオードマウント2と上側導体板11に設けた溝32、あるいはガンダイオードマウント2と下側導体板11aに設けた溝33の間に隙間が生じ、この隙間を伝って発振出力が漏れてしまう場合があったが、図3(b)に示すガンダイオードマウント部の構造では、ガンダイオードマウント2と上側導体板11の間に隙間が生じた場合でも、あるいはガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また両方に隙間が生じた場合でもそれぞれの隙間について図3(c)の等価回路が成り立ち、ガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部端点31からガンダイオードマウント2側をみたインピーダンスZMは非常に小さく、接触部端点31は高周波的におおよそ短絡されているとみなせるようになる。そのため、十分な工作精度が得られずガンダイオードマウント2と上側導体板あるいは下側導体板の間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント2後方に漏れなくすることができる。
【0062】
また図3に示すようにガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部の長さを4分の3波長と長めすることにより、ガンダイオード1が発生する熱を効率的に上側導体板11と下側導体板11aに伝えることができ、熱によるガンダイオード2aの破損を防ぐことができる。なお、それでもガンダイオード2aが発生する熱が上側導体板11、下側導体板11aに十分に伝わらないようであれば、4分の5波長あるいは4分の7波長と長くしてもよい。
【0063】
なお、本実施の形態2についても上側凹部40a、下側凹部40bの深さとガンダイオードマウント2後方への漏洩電力の関係は、実施の形態1の図2(a)に示すシミュレーション結果が当てはまる。従って、上側凹部40a、下側凹部40bの深さは0.5mm以上にするのが好ましい。
【0064】
なお、本実施の形態2は、比較的形状の大きい上側導体板11と下側導体板11aに上側凹部40a、下側凹部40bを設けるため、形状の小さいガンダイオードマウントに凹部を設ける実施の形態1に比べて、製作が容易になる利点がある。
【0065】
以上のように本実施の形態2におけるガン発振器は構成されているので、十分な工作精度が得られずガンダイオードマウント2と上側導体板あるいは下側導体板の間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント2後方に漏れなくすることができる。
【0066】
(実施の形態3)
図4(a)は実施の形態3におけるガン発振器の全体構造の斜視図であり、図4(b)は実施の形態3におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図であり、図4(c)は図4(b)の等価回路を示す説明図である。なお、本実施の形態3は、上側導体板に設けた溝の中と下側導体板設けた溝の中にそれぞれ凹部を設け、またガンダイオードマウントにも凹部を設けており、各々の凹部の長さおよび位置を上下対称としている。
【0067】
図4において、2はガンダイオードマウント、2aはガンダイオード、5はカソード端子、6はバイアス線路、7はアノード端子、8はストリップ線路、9は誘電体ストリップ、10はモードサプレッサ、11は上側導体板、11aは下側導体板、12は端子、12aは端子、31は接触部端点、32は溝、33は溝であり、これらは図6において説明したものと同様であるので同一の符号を付けて説明を省略する。1bは本実施の形態3におけるガン発振器、42a、42bはガンダイオードマウント2の上面に形成された上面側凸部、42c、42dはガンダイオードマウント2の下面に形成された下面側凸部、43aはガンダイオードマウント2の上面に設けられた上面側凹部、43bはガンダイオードマウント2の下面に設けられた下面側凹部、44aは上側導体板11の溝32に設けられた上側凹部、44bは下側導体板11aの溝33に設けられた下側凹部である。なお、図4(b)および図4(c)中に矢印とともに示されたK、L、M、N、およびK´、L´、M´、N´はそれぞれの部分の長さを示している。KとK´は長さが等しく、KとLを合わせた長さ、K´とL´を合わせた長さ、NとN´は、発振周波数の自由空間における4分の3波長であり、M、M´は発振周波数の自由空間における4分の1波長である。なお図4(b)において、ストリップ線路8は記載を省略している。
【0068】
図4に示すガン発振器は、カソード端子5がガンダイオードマウント2を介して接続された端子12aを接地し、端子12からバイアス線路6を介してアノード端子7にバイアス電圧が印加すると高周波信号を発生し、ストリップ線路8を介して誘電体ストリップ9から出力される。
【0069】
従来のガン発振器では、ガンダイオードマウント2や、上側導体板11に設けた溝32、あるいは下側導体板11aに設けた溝33の工作精度によっては、ガンダイオードマウント2と上側導体板11に設けた溝32、あるいはガンダイオードマウント2と下側導体板11aに設けた溝33の間に隙間が生じ、この隙間を伝って発振出力が漏れてしまう場合があったが、図4(b)に示すガンダイオードマウント部の構造では、ガンダイオードマウント2と上側導体板11の間に隙間が生じた場合でも、あるいはガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また両方に隙間が生じた場合でも、それぞれの隙間について図4(c)の等価回路が成り立ち、ガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部端点31からガンダイオードマウント2側をみたインピーダンスZMは非常に小さく、接触部端点31は高周波的におおよそ短絡されているとみなせるようになる。
【0070】
そのため、十分な工作精度が得られずガンダイオードマウント2と上側導体板11あるいは下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント2後方に漏れないようにすることができる。
【0071】
ところで、上側導体板に設けた上側凹部44aとガンダイオードマウント2の上面に設けた上面側凹部43aを合わせた深さ、および下側導体板に設けた下側凹部44bとガンダイオードマウント2の下面に設けた下面側凹部43bを合わせた深さが、それぞれ図2(a)中の溝の深さに相当する。そのため、上側導体板に設けた上側凹部44aとガンダイオードマウント2の上面に設けた上面側凹部43aを合わせた深さ、および下側導体板に設けた下側凹部44bとガンダイオードマウント2の下面に設けた下面側凹部43bを合わせた深さは、ガンダイオードマウント2後方への電磁波の漏れを抑えるためには、それぞれ0.5mm以上にするのが望ましい。
【0072】
なお、図4の実施の形態では、ガンダイオードマウント2の上面と下面および上側導体板11と下側導体板11aの両方に凹部を設けているため、図2あるいは図3の実施の形態に示すようなどちらか片方に凹部を設ける場合に比べて、凹部の深さを深くすることができ発振出力の漏洩を抑える効果をさらに大きくすることができる。
【0073】
また図4に示すようにガンダイオードマウント2と上側導体板11および下側導体板11aの接触部の長さを4分の3波長と長めすることにより、ガンダイオード2aが発生する熱を効率的に上側導体板11と下側導体板11aに伝えることができ、熱によるガンダイオード2aの破損を防ぐことができる。なお、それでもガンダイオード2aが発生する熱が上側導体板11、下側導体板11aに十分に伝わらないようであれば、4分の5波長あるいは4分の7波長と長くしてもよい。
【0074】
以上のように本実施の形態3におけるガン発振器は構成されているので、十分な工作精度が得られずガンダイオードマウント2と上側導体板11あるいは下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント2後方に漏れないようにすることができるという作用を有する。
【0075】
(実施の形態4)
図5(a)は実施の形態4におけるガン発振器の全体構造の斜視図であり、図5(b)は実施の形態4におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図である。なお、本実施の形態4は、ガン発振器のガンダイオードから上側導体板および下側導体板への熱を伝わりやすくするため、ガンダイオードマウントのガンダイオード側の凸部の長さを4分の3波長としたものである。
【0076】
図5において、2はガンダイオードマウント、2aはガンダイオード、5はカソード端子、6はバイアス線路、7はアノード端子、8はストリップ線路、9は誘電体ストリップ、10はモードサプレッサ、11は上側導体板、11aは下側導体板、12は端子、12aは端子、31は接触部端点であり、これらは図6において説明したものと同様であるので同一の符号を付けて説明を省略する。1cは本実施の形態4におけるガン発振器、50a、50bはガンダイオードマウント2の上面に形成された上面側凸部、50c、50dはガンダイオードマウント2の下面に形成された下面側凸部、51aはガンダイオードマウント2の上面に設けられた上面側凹部、51bはガンダイオードマウント2の下面に設けられた下面側凹部である。なお、図5(b)中に矢印とともに示されたO、P、Q、およびO´、P´、Q´はそれぞれの部分の長さを示している。OとO´は長さが等しく、PとP´は長さが等しく、またQとQ´も長さが等しい。また、OとO´は発振周波数の自由空間における4分の3波長とし、PとP´、QとQ´は、それぞれ発振周波数の自由空間における4分の1波長としている。なお図5(b)において、ストリップ線路8は記載を省略している。
【0077】
図5に示す本実施の形態4のガン発振器1cと図6に示す従来のガン発振器1dとの相違点は、ガンダイオードマウント2に設けた上面側凸部50aの長さOと下面側凸部50cの長さO´にあり、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aとの接触部の長さを長くすることにより、ガンダイオード2aが発生する熱を上側導体板11と下側導体板11aへ伝わりやすくしている。なお、図5の実施の形態ではガンダイオード2aの上面側凸部50bと50dは発振周波数の自由空間における4分の1波長としているが、ガンダイオードマウント2の大きさに制約がなければこれらも発振周波数の4分の3波長として、さらに熱を伝わりやすくすることも可能である。また、熱伝導性をさらに高めたい場合には、ガンダイオードマウント2の上面側凸部50a、50b、下面側凸部50c、50dを発振周波数の4分の5波長あるいは4分の7波長とさらに長くしてもよい。なお、上面側凸部50a、50b、下面側凸部50c、50dの長さ、および上面側凹部51a、下面側凹部51bの長さが、発振周波数の4分の1波長の奇数倍であれば接触部端点31からガンダイオードマウント2側をみたインピーダンスは高周波的に短絡されている状態に近づけることができるため、工作誤差などによってガンダイオードマウント2と上側導体板11、あるいは下側導体板11aの間に隙間が生じた場合でも、また、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aの間の両方に隙間が生じた場合でも、発振出力がガンダイオードマウント後方へ漏れないようにすることができる。
【0078】
以上のように本実施の形態4におけるガン発振器は構成されているので、ガンダイオードマウント2と上側導体板11およびガンダイオードマウント2と下側導体板11aとの接触部の長さを長くすることにより、ガンダイオード2aが発生する熱を上側導体板11と下側導体板11aへ伝わりやすくすることができ、ガンダイオードの熱による破損を起こりにくくすることができるという作用を有する。
【0079】
【発明の効果】
以上のように本発明のガン発振器によれば、以下のような有利な効果が得られる。
【0080】
請求項1に記載の発明によれば、
(1)ガンダイオード側のガンダイオードマウントと導体板の接触部端点において、ガンダイオードマウントと導体板が高周波的にほぼ短絡された状態となり、発振出力のガンダイオードマウント後方への漏れを防ぐことができるガン発振器を提供することができる。
【0081】
(2)発振動作時にガンダイオードから発生する熱が、放熱器を兼ねる導体板へ伝わりやすくなり、熱によるガンダイオードの破損を防ぐことができるガン発振器を提供することができる。
【0082】
(3)ガンダイオードマウントの上面に設けた凸部と上側の導体板の接触部の長さと、ガンダイオードマウントの下面に設けた凸部と下側の導体板の接触部の長さを発振周波数の自由空間における4分の3波長、4分の5波長のように長くすると、ガンダイオードマウントと導体板との接触部分の長さが増えガンダイオードから導体板への熱を伝えやすくすることができるガン発振器を提供することができる。
【0083】
(4)導体板とガンダイオードマウントとの接触面積を大きくできるので、ガンダイオードが発生する熱を導体板へ伝えやすくし熱によるガンダイオードの破損を防ぐことができる耐久性に優れたガン発振器を提供することができる。
【0085】
(5)ガンダイオードマウントに凹部を設ける場合に比べて凹部の深さを深くできるため、ガンダイオードマウントと導体板の接触部分とのインピーダンスの差を大きくすることができ、ガンダイオードマウント後方への発振出力の漏れを一層低減することができるガン発振器を提供することができる。
【0087】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)ガンダイオードマウント及び上側導体板、下側導体板に凹部が形成されているため、凹部内部の空間の断面積が広がり、ガンダイオードマウントと上側導体板及び下側導体板の接触部分と凹部のインピーダンス差を大きくすることができ、発振出力のガンダイオードマウント後方への漏れをより一層低減することができるガン発振器を提供することができる。
【0088】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)上側導体板と下側導体板にフライス盤などの金属加工機を用いて凹部の加工をする際に、削り取る深さを変更しなくてすむため、上側導体板と下側導体板の生産効率を上げることができる。すなわち、ガンダイオードマウント後方への発振出力の漏洩が少ないガン発振器を効率よく生産できる生産性に優れたガン発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施の形態1におけるガン発振器の全体構造の斜視図
(b)実施の形態1におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図
(c)図1(b)の等価回路を示す説明図
【図2】(a)凹部の深さに対する漏洩電力のシミュレーション結果を示すグラフ
(b)シミュレーションモデルの寸法を示す説明図
(c)シミュレーションモデルの境界条件を示す説明図
【図3】(a)実施の形態2におけるガン発振器の全体構造の斜視図
(b)実施の形態2におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図
(c)図3(b)の等価回路を示す説明図
【図4】(a)実施の形態3におけるガン発振器の全体構造の斜視図
(b)実施の形態3におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図
(c)図4(b)の等価回路を示す説明図
【図5】(a)実施の形態4におけるガン発振器の全体構造の斜視図
(b)実施の形態4におけるガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図
【図6】(a)従来のガン発振器の全体構造を示す斜視図
(b)従来のガン発振器のガンダイオード部分の要部断面図
【図7】(a)従来の高周波信号発生器の全体構造を示す図
(b)従来の高周波信号発生器のガンダイオード部分の要部断面図
【符号の説明】
1、1a、1b、1c、1d ガン発振器
2 ガンダイオードマウント
2a ガンダイオード
3a、3b 凹部
4a、4b、4c、4d 凸部
5 カソード端子
6 バイアス線路
7 アノード端子
8 ストリップ線路
9 誘電体ストリップ
10 モードサプレッサ
11 上側導体板
11a 下側導体板
12、12a 端子
20 高周波信号発生器
21 ガンダイオードマウント
22 ガンダイオード
23 カソード端子
24 バイアス線路
25 ガンダイオード22のアノード端子
26 ストリップ線路
27 誘電体ストリップ
28 モードサプレッサ
29 上側導体板
29a 下側導体板
30、30a 端子
31 接触部端点
32、33 溝
34a、43a、51a 上面側凹部
34b、43b、51b 下面側凹部
35a、35b、42a、42b、50a、50b 上面側凸部
35c、35d、42c、42d、50c、50d 下面側凸部
40a、44a 上側凹部
40b、44b 下側凹部
41a、41b 上側凸部
41c、41d 下側凸部

Claims (3)

  1. 平行に隔てられた2つの導体板と、
    前記導体板の間に誘電体ストリップを保持する出力線路としての非放射性誘電体線路(以下NRDガイドとよぶ)と、
    発振素子としてのガンダイオードと、
    前記ガンダイオードを側面に保持するガンダイオードマウントと、を備え、
    前記ガンダイオードマウントと前記導体板の接触部分の前記ガンダイオード軸方向の長さが発振周波数の自由空間における4分の1波長の奇数倍となる少なくとも2つ以上の凸部と、
    前記凸部に挟まれ前記ガンダイオード軸方向と平行な面における前記ガンダイオード軸方向の長さが前記発振周波数の自由空間における4分の1波長の奇数倍となる凹部が、
    前記導体板の前記ガンダイオードマウントとの接触面に形成されたことを特徴とするガン発振器
  2. 前記導体板が、前記ガンダイオードマウント上面が接触する上側導体板と前記ガンダイオードマウント下面が接触する下側導体板からなり、前記凸部及び前記凹部が、前記ガンダイオードマウントの前記上側導体板及び前記下側導体板との接触面、及び、前記上側導体板及び前記下側導体板の前記ガンダイオードマウントとの接触面に形成され、前記ガンダイオードマウント上面に形成された凹部と前記上側導体板に形成された凹部の前記ガンダイオード軸方向と平行な面における前記ガンダイオードの軸方向の長さと位置が等しく、前記ガンダイオードマウント下面に形成された凹部と、前記下側導体板に形成された凹部の前記ガンダイオード軸方向と平行な面における前記ガンダイオードの軸方向の長さと位置が等しく、前記上側導体板に形成された凹部の深さと前記ガンダイオードマウント上面に形成された凹部の深さを合わせた長さ及び前記下側導体板に形成された凹部の深さと前記ガンダイオードマウント下面に形成された凹部の深さを合わせた長さが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1記載のガン発振器。
  3. 前記上側導体板に形成された凹部の深さと、前記下側導体板に形成された凹部の深さが等しいことを特徴とする請求項1又は2記載のガン発振器。
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