JP4667124B2 - 長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法 - Google Patents

長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主に、機械的強度に優れ、かつ、外観のよい成形品を得るために用いる長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法に関する。
ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂は、安価で軽量な材料であり、その成形加工の容易さから、汎用的に使用されている樹脂成形材料である。そして、その機械的物性、特に耐衝撃性を向上させるため、ポリオレフィン樹脂をガラス繊維等の強化繊維で機械的物性を強化した長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料が知られている。
このような長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、例えば、マトリックス樹脂原料となるポリオレフィン樹脂を、押出機で可塑化して溶融させ、溶融したポリオレフィン樹脂を含浸ダイに充填させるとともに、回巻体等から引出された強化繊維を含浸ダイ中に通過させることにより、強化繊維中に樹脂が含浸した状態となり、これをノズルにより引き抜き、所定の形状に賦型された連続強化繊維物を切断することで得られる。
ポリオレフィン樹脂は、酸素、熱、光の作用による劣化等が生じやすく、これらの影響を受けて品質低下を受けやすい。そのため、例えば下記特許文献1に開示されているように、ポリオレフィン樹脂の他に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を添加して、耐酸化劣化性、耐熱性、耐候性などの耐久性を向上させている。
特開平9‐207233号公報
長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造工程において用いるマトリックス樹脂の押出機としては、単軸押出し機、及び2軸押出し機が一般的なものとして知られている。そして、同量の溶融マトリックス樹脂を含浸ダイに供給するには、単軸押出し機のほうが2軸押出し機に比べて設備価格が安価であり、また、スクリュー構造が複雑ではないが故に、溶融樹脂材料の切り替え時の洗浄が素早く簡単にできると言うメリットがある。
しかしながら、長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造において、押出機として単軸押出し機を使用した場合、可塑化・溶融させたマトリックス樹脂を含浸ダイに充填する際、含浸ダイへのマトリックス樹脂の供給安定性が低下し、充填不良等が発生しがちであり、含浸ダイへマトリックス樹脂の供給量を調整しにくいものであった。そのため、含浸ダイへの樹脂供給量が安定せず、開繊のバー等に樹脂が行き渡らなくなることがあり、強化繊維の糸切れ等が生じ易くなり、長繊維強化ポリオレフィン成形材料の生産性が劣るといった問題を有していた。
したがって、本発明の目的は、単軸押出し機による含浸ダイへのマトリックス樹脂の充填供給を安定して行なえ、機械強度・耐久性に優れたポリオレフィン樹脂成形材料を得るためのポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するにあたって、かかる樹脂供給量の低下の問題が酸化防止剤を使用することに起因するものであると考え検討したところ、酸化防止剤のうち低融点の酸化防止剤を用いた際にかかる問題を引き起こしていることが特に多いことを見出した。
しかしながら、ポリオレフィン樹脂製品の耐酸化劣化性などの耐久性を向上させるには、複数の酸化防止剤を組み合わせて用いることが効果的である。そのため、比較的高融点の酸化防止剤のみを使用した場合、これによって得られたポリオレフィン樹脂成形材料を加工した樹脂成形品は、耐酸化劣化性が劣りがちであり、また、樹脂供給安定性は若干向上するものの、その供給安定性は不充分であり、やはり含浸ダイへの充填不良が生じがちであった。
そこで、種々の検討の結果、前記ポリオレフィン樹脂[A]として、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体[A1]を含有しうるものを用いることで、溶融樹脂の流動性を向上させることができ、強化繊維に含浸させるマトリックス樹脂[C]として、ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]が、融点100℃以下の低融点酸化防止剤[B1]に対して質量比が7倍以上含有していれば、単軸押出機での溶融マトリックス樹脂の含浸ダイへの充填を安定して行なえることを見出し、かかる課題を解決するに至った。
したがって、本発明の長繊維強化ポリプレピレン樹脂成形材料の製造方法は、ポリオレフィン樹脂[A]と、酸化防止剤[B]とを含むマトリックス樹脂[C]を、単軸押出機で溶融させ、この溶融マトリックス樹脂を含浸ダイに充填し、この含浸ダイに強化繊維を通過させ、得られた長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッドを所定の長さに切断する長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法であって、ポリオレフィン樹脂[A]として、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体[A1]を含有するものを用い、かつ、酸化防止剤[B]として、融点100℃以下の低融点酸化防止剤[B1]を含有するものを用い、マトリックス樹脂Cに含まれるポリオレフィン樹脂粉状体[A1]の含有量を、低融点酸化防止剤[B1]の7〜200倍とすることを特徴とする。
また、本発明の長繊維強化ポリプレピレン樹脂成形材料の製造方法において、ポリオレフィン樹脂[A]として、前記ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]を20〜100質量%含有するものを用いることが好ましい。さらにまた、前記ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]として、平均粒径0.01〜1.0mmの粉状体を用いることが好ましい。これによれば、単軸押出機でマトリックス樹脂[C]を溶融した際、気泡等の泡噛みが少なく、また流動性のよい溶融マトリックス脂組成物とすることができるので、単軸押出機による含浸ダイへの溶融マトリックス樹脂の充填供給を、安定して行なうことができる。
また、前記酸化防止剤[B]として、前記低融点酸化防止剤[B1]を12〜100質量%含有するものを用いることが好ましい。
さらに、前記低融点酸化防止剤[B1]として、チオエーテル系酸化防止剤を少なくとも一種以上用いることが好ましい。
そして、前記マトリックス樹脂[C]は、ポリオレフィン樹脂[A]を90〜99.5質量部、酸化防止剤[B]を0.5〜10質量部含有するものを用いることが好ましい。
本発明によれば、長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造に際し、単軸押出機を用いて含浸ダイへのマトリックス樹脂の供給を安定して行なうことができ、長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造コスト及びメンテナンスコストを低減できる。
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、強化繊維を、ポリオレフィン樹脂[A]と、酸化防止剤[B]とを含むマトリックス樹脂[C]で含浸させた長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッドを所定の長さに切断したものである。
本発明において用いる強化繊維の種類としては、特に限定はなく、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維等の高融点繊維等がいずれも使用できる。これらの強化繊維は、通常公知の集束剤で100〜10000本、好ましくは400〜6000本集束させて、繊維束として用いる。これらの強化繊維の中では、得られる長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の強度や価格などを考慮すると、ガラス繊維であることが好ましい。また、強化繊維の繊維径は、6〜30μmのものが好ましく、より好ましくは9〜23μmである。
また、本発明において用いるポリオレフィン樹脂[A]の種類としては、特に限定はなく、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン等の単独重合体並びに共重合体、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、無水マレイン酸等の極性モノマーとのランダム、ブロックまたはグラフト共重合体などが挙げられるが、なかでも、経済的及び汎用的という理由からポリプロピレンの単独重合体、ポリプロピレン樹脂と無水マレイン酸とのグラフト重合体を用いることが最も好ましい。
そして、本発明のポリオレフィン樹脂[A]とは、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体[A1]を含有するものであり、該ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]の平均粒径は0.01〜1.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.7mmである。ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]の粒径が上記範囲であれば、溶融マトリックス樹脂の流動性が良く、単軸押出機での含浸ダイへの溶融マトリックス樹脂の充填供給を安定して行なうことができる。
また、ポリオレフィン樹脂[A]中におけるポリオレフィン樹脂粉状体[A1]の含有量は20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜100質量%である。20質量%未満であると溶融マトリックス樹脂の流動性が十分向上せず、単軸押出機による含浸ダイへの樹脂供給を安定させることができなくなることがある。
本発明において用いる酸化防止剤[B]とは、融点100℃以下の低融点酸化防止剤[B1]を含有するものであり、融点100℃以上の高融点酸化防止剤[B2]と併用してもよい。複数の異なる融点を有する酸化防止剤を組み合わせて用いることで、ポリオレフィン樹脂製品の耐酸化劣化性などの耐久性を効果的に向上させることができる。
融点100℃以下の低融点酸化防止剤[B1]としては、融点が100℃以下のものであれば特に限定はなく、例えば、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾール、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐エチルフェノール、n‐オクタデシル‐3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3‐(3‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロピオネート〕、チオジエチレン‐ビス〔3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4‐ジメチル‐6‐(1‐メチルペンタデシル)フェノール、4,6‐ビス(オクチルチオメチル)‐o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3‐(5−tert−ブチル‐4‐ヒドロキシ‐m‐トリル)プロピオネート〕、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐(4,6‐ビス(オクチルチオ)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イルアミノ)フェノールなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラルリルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネートなどのチオエーテル系酸化防止剤;ビス〔2,4‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐6‐メチルフェニル〕エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)〔1,1‐ビフェニル〕‐4,4’‐ジイルビスホスフォナイト、トリノニルフェニルホスフォナイト、トリフェニルホスフォナイトなどのリン系酸化防止剤;ジドデシル‐3,3’‐チオジプロピオネート、ジテトラデシル‐3,3’‐チオジプロピオネート、ジオクタデシル‐3,3’‐チオジプロピオネートなどのイオウ系酸化防止剤が挙げられ、なかでも、高融点のヒンダードフェノール系酸化防止剤と併用した場合相乗効果が得られるという理由から、チオエーテル系酸化防止剤が好ましく、特に好ましくは、ジミリスチル‐3,3’‐チオジプロピオネート、ジラウリル‐3,3’‐チオジプロピオネート、及びジステアリル‐3,3’‐チオジプロピオネートである。
また、融点100℃以上の高融点酸化防止剤[B2]としては、融点が100℃以上のものであれば特に限定はなく、例えば、4,4’‐チオビス‐(6−tert−ブチル‐3‐メチルフェノール)、4,4’‐ブチリデンビス‐(6−tert−ブチル‐3‐メチルフェノール)、2,2’‐メチレンビス‐(4−メチル‐6‐tert−ブチルフェノール)、1,1,3’‐トリス(2−メチル‐4‐ヒドロキシ−5‐tert‐ブチルフェノール)ブタン、テトラキス〔メチレン‐3−(3,5‐ジ‐tert−ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ペンタエリストールテトラキス〔3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’‐ヘキサン‐1,6’‐ジイルビス〔3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、ジエチル[〔3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル〕メチル]ホスフォネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’‐ヘキサ‐tert‐ブチル‐a,a’,a’’‐(メシチレン‐2,4,6‐トリイル)トリ‐p‐クレゾール、ヘキサメチレンビス〔3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)〕プロピオネート、1,3,5‐トリス〔3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル〕‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)‐トリオン、1,3,5‐トリス〔(4‐tert‐ブチル‐3‐ヒドロキシ‐2,6‐キシリル)メチル〕‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)‐トリオン、2’,3‐ビス〔3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕プロピオノヒドラジドなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ホスフォナイト、ビス(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフォナイトなどの、リン系酸化防止剤が挙げられ、なかでもヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
そして、酸化防止剤[B]中における低融点酸化防止剤[B1]の含有量は、12〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。含有量が12質量%未満であると高融点酸化防止剤との相乗効果が得られにくくなり、酸化防止効果が不十分となりがちである。
本発明で用いるマトリックス樹脂[C]には、ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]が、質量比で前記低融点酸化防止剤[B1]の7〜200倍となるように含有されていることが必要であり、好ましくは10〜100倍であり、より好ましくは20〜100倍である。ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]の含有量が、低融点酸化防止剤[B1]に対し、質量比で7倍以下であると、溶融時の流動性が不充分となりがちであり、単軸押出機を用いて含浸ダイに充填供給する際に、充填不良が生じやすく、含浸ダイへの溶融マトリックス樹脂の供給量を安定化できない。
また、本発明で用いるマトリックス樹脂[C]は、ポリオレフィン樹脂[A]を90〜99.5質量部含有することが好ましく、より好ましくは92〜99質量部である。また、酸化防止剤[B]は0.5〜10質量部含有することが好ましく、より好ましくは1〜8質量部である。
次に本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法について説明する。
本発明において、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は例えば、図1に示すような工程によって製造することができる。
まず、図示しない回巻体から引き出した連続した強化繊維1を含浸ダイ5に導入し、単軸押出機3から供給された溶融マトリックス樹脂(ポリオレフィン樹脂組成物)中に強化繊維1を含浸させる。ここで、単軸押出機3では、ホッパー4から一定量のマトリックス樹脂が供給されており、供給されたマトリックス樹脂はここで溶融混練され、溶融樹脂供給経路2から含浸ダイ5に溶融マトリックス樹脂を充填供給する。
本発明ではマトリックス樹脂として、ポリオレフィン樹脂と酸化防止剤とからなる組成物で、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体の含有量が、融点100℃以下の低融点酸化防止剤の質量比で7〜200倍である組成を有するものを用いることを特徴とし、好ましくは10〜100倍となるものを用いる。また、マトリックス樹脂は、ポリオレフィン樹脂を90〜99.5質量部、酸化防止剤を0.5〜10質量部含有する組成からなるものが好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン樹脂は92〜99質量部であり、また、酸化防止剤は1〜8質量部である。
上記組成のマトリックス樹脂であれば、単軸押出機3での溶融混練時において、溶融時に気泡を巻き込むことがなく、また、溶融したマトリックス樹脂の流動性が良いので、単軸押出機3での含浸ダイ5への溶融マトリックス樹脂の充填供給を安定して行える。
次いで、溶融したマトリックス樹脂中、すなわちポリオレフィン樹脂組成物中に含浸した強化繊維1を、ノズル6を通して引き出す。これによって強化繊維1に付着した余分なマトリックス樹脂が除去され、所定の繊維含有率で、かつ所定の形状に賦形された所望の長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッド7が得られる。そして、この長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッド7を、冷却槽8で冷却し、引き取り機9で引き取る。引き取られた長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッド7は、回転式切断刃の付いたペレタイザー10で所定の長さに切断され、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料11が得られる。
このようにして得られた長繊維維強化ポリオレフィン樹脂成形材料は、マトリックス樹脂中であるポリオレフィン樹脂中に強化繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有している。そして長繊維維強化熱可塑性樹脂成形材料の形状としては、線材状又はペレット状が好ましい。ここで、強化繊維が実質的に同一長さでかつ同一方向に並行配列して含有されているとは、強化繊維の大部分が同一方向に並列してほぼ平行に配列されている状態であって、一部の繊維が部分的に湾曲していたり、お互いに絡み合っていたりしてもよい状態を意味する。
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料における繊維含有率は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に出すには、繊維含有率を20〜80質量%とすることが好ましく、より好ましくは30〜75質量%である。繊維含有率が20質量%未満であると、強化繊維による補強効果が得られにくく、また、80質量%を超えるとマトリックス樹脂との含浸性が劣り、ノズルの引き抜き工程において毛羽が発生しやすくなり、断線を起こしやすくなり生産性が劣ることがあるので好ましくない。
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の長さは、特に限定されないが、好ましくは3〜25mm、より好ましくは4〜20mmである。長さが3mm未満の場合は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料のペレット状物の製造時に割れが発生しやすく、また、繊維強化の効果が発現しにくい。一方、長さが25mmを超える場合には射出成形によって成形する際に、成形機への供給が困難となったり、強化繊維の分散や流動性の低下を招く恐れがある。
また、本発明の前記長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の平均径は、好ましくは0.3〜3.5mmであり、より好ましくは0.4〜3mmである。平均径が0.3mm未満であると上記成形材料の嵩密度が小さくなり、輸送供給性が劣り好ましくない。一方、平均径が3.5mmを超えると、繊維含有率が高い(60質量%以上)場合は、射出成形によって成形する場合に強化繊維の分散性が劣るため好ましくない。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本発明の実施態様を具体的に説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
〔試験例1〕
下記表1に示す原料を用い、表2の配合比で調整した調合例1のマトリックス樹脂を、スクリュー径65mmの単軸押出機を用い、スクリュー回転数50rpmにて280℃で溶解し、溶融マトリックス樹脂を含浸ダイに供給させて、マトリックス樹脂の供給安定性について観察した。なお樹脂供給安定性は、○:[単軸押出し機から一定の樹脂が含浸ダイに供給される。] 、△:[単軸押出し機から○と同じスクリュー回転数で樹脂供給量が少ない、又は、樹脂供給量が多くなったり少なくなったり変動する。] 、×:[単軸押出し機から樹脂が全く供給されない。]の3段階で評価した。評価結果を表2に合わせて記す。
〔試験例2〜4〕
表2の配合比で調整した調合例2〜4のマトリックス樹脂を用いた以外は試験例1と同様にして、含浸ダイに溶融マトリックス樹脂を供給し、マトリックス樹脂の供給安定性について観察した。




















上記結果より、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体が、融点100℃以下の低融点酸化防止剤の質量比で7倍以上の含有しているマトリックス樹脂を用いた試験例1〜3では、単軸押出機による含浸ダイへの溶融マトリックス樹脂を安定して行なうことができた。
一方、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体が、融点100℃以下の低融点酸化防止剤の質量比で7倍以下の含有量のマトリックス樹脂を用いた試験例4では、単軸押出機では含浸ダイへの樹脂供給することができなかった。
単軸押出機を用い、長繊維強化ポリオレフィン成形材料を安定して製造することができる。
長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造工程を示す基本構成図である。
符号の説明
1:強化繊維
2:溶融樹脂供給経路
3:単軸押出機
4:ホッパー
5:含浸ダイ
6:ノズル
7:長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッド
8:冷却槽
9:引き取り機
10:ペレタイザー
11:長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料

Claims (6)

  1. ポリオレフィン樹脂[A]と、酸化防止剤[B]とを含むマトリックス樹脂[C]を、単軸押出機で溶融させ、この溶融マトリックス樹脂を含浸ダイに充填し、この含浸ダイに強化繊維を通過させ、得られた長繊維強化ポリオレフィン樹脂ロッドを所定の長さに切断する長繊維強化ポリオレフィン樹脂成形材料の製造方法であって、
    前記ポリオレフィン樹脂[A]として、JIS Z 8801で規定される金属製網ふるいの公称目開き1.4mmを通過しうるポリオレフィン樹脂粉状体[A1]を含有するものを用い、かつ、前記酸化防止剤[B]として、融点100℃以下の低融点酸化防止剤[B1]を含有するものを用い、
    前記マトリックス樹脂Cに含まれる前記ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]の含有量を、前記低融点酸化防止剤[B1]の7〜200倍とすることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造方法。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂[A]として、前記ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]を20〜100質量%含有するものを用いる請求項1に記載の長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造方法。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂粉状体[A1]として、平均粒径0.01〜1.0mmの粉状体を用いる請求項1または2に記載の長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造方法。
  4. 前記酸化防止剤[B]として、低融点酸化防止剤[B1]を12〜100質量%含有するものを用いる請求項1〜3のいずれか1つに記載の長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造方法。
  5. 前記低融点酸化防止剤[B1]として、チオエーテル系酸化防止剤を少なくとも一種以上用いる請求項1〜4のいずれか1つに記載の長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造方法。
  6. 前記マトリックス樹脂[C]として、前記ポリオレフィン樹脂[A]を90〜99.5質量部、前記酸化防止剤[B]を0.5〜10質量部含有するものを用いる請求項1〜5のいずれか1つに記載の長繊維強化ポリオレフィン成形材料の製造方法。
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