JP4665580B2 - リュウズ軸支構造及び時計 - Google Patents

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Description

本発明はリュウズ軸支構造及び時計に係り、特に、リュウズを時計ケースに軸支する軸支構造の改良に関する。
一般に、時計には外部操作部材としてリュウズが設けられ、このリュウズを回転させることで、時刻修正、曜日修正、アラーム時刻設定などができるように、或いは、内部に収容されたぜんまいを巻き上げることができるように構成されている。また、多くの場合、リュウズを軸線方向に引き出すことにより操作機能を切り替えることができるように構成される。
防水機能を有する時計に設けられた一般的なリュウズ軸支構造は、動摩擦係数が0.1〜0.3程度の金属製の巻真パイプとリュウズの軸部との間に、動摩擦係数が1.2〜1.6程度のNBR、IIR、フッ素ゴム等からなるゴムパッキンを、締め代を持って介在させることにより防水性を担保するとともに、上記のゴムパッキンにシリコーングリース等の潤滑剤を塗布し、リュウズと巻真パイプとの間の摺動性を確保している。
また、時計ケースに対して回転自在に取り付けられた回転ベゼルを設けるとともに、この回転ベゼルとリュウズとを噛合させることにより、回転ベゼルを回転させることで、リュウズを回転させて種々の操作を行うことができるように構成された腕時計が知られている(例えば、以下の特許文献1参照)。
実開平3−130589号公報
しかしながら、前述の時計では、時計を長期間使用するうちにゴムパッキンに付着していた潤滑剤が親油性のある金属部へ移動し、潤滑剤切れによってゴムパッキンと巻真パイプの接触面の摩擦抵抗が急速に高まり、リュウズの回転操作が重くなったり、ゴムパッキンの磨耗や損傷が生じて防水性が低下したりするという問題点があった。
特に、手動巻上げ式の時計や上記の回転ベゼルを介してリュウズを回転させる方式の時計では、リュウズを高速回転させる機会が多いため、高速回転によってゴムパッキンに付着していた潤滑剤が周囲に飛散し、潤滑剤切れが生じやすいことから、上述の回転抵抗の増大やゴムパッキンの磨耗・損傷が発生しやすいという事情がある。
ちなみに、上記の軸支構造の回転抵抗の低減や耐久性を確保する方法としては、軸支部をルーズに設計して摺動抵抗を軽減する方法も考えられるが、この方法ではリュウズの支持剛性を上げることができないので、ぐらつきやがたつきが発生するとともに防水性を含めた品質感が低下する。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その目的は、リュウズの支持剛性を低下させることなく、リュウズと巻真パイプとの間の潤滑剤切れによる回転抵抗の増大やパッキンの磨耗を低減することのできる軸支構造を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明のリュウズ軸支構造は、時計ケースに取付固定された巻真パイプと、該巻真パイプに挿通されたリュウズとを具備するリュウズ軸支構造において、前記巻真パイプと前記リュウズのうちの一方の部材にパッキンが装着され、前記巻真パイプと前記リュウズのうちの他方の部材は、前記時計ケースに取付固定された金属製の支持部と、該支持部に支持され、前記パッキンに摺接する非金属製の摺接部とを有することを特徴とする。
一般に、金属の動摩擦係数は巻真パイプの場合0.1〜0.3程度と比較的小さいが、これ以下の動摩擦係数を得ることは表面粗さの関係から困難である。これに対して、非金属には動摩擦係数の大きな物質も存在するが、金属よりもさらに小さな動摩擦係数の材質を選定することが容易である。また、非金属材料には、パッキンとの間で低い摩擦係数を示す物質もあり、さらにパッキンに対する硬度差も少ないため、パッキンの磨耗や損傷を引き起こしにくいという利点がある。なお、本明細書において或る材料の動摩擦係数というときには、当該材料同士の接触面で測定した動摩擦係数(垂直抗力に対する摩擦力の比)を言う。
本発明では、巻真パイプとリュウズのうちの他方の部材には、パッキンに摺接する非金属製の摺接部を背後から支持する金属製の支持部を設けることにより、支持部によってケースに対する取付を確保できると同時に摺接部の剛性不足を補うこともできるため、摺接部の材料選択や形成方法の自由度を拡大することが可能になる。その結果、支持部を利用することにより、ケースに対する取付状態や剛性確保にとらわれることなく動摩擦係数の小さい材料を摺接部に採用することが可能になるため、摺接部とパッキンとの間の摺動抵抗を充分に低減することが可能になり、これにより、リュウズの支持剛性を低下させることなく、軸支部の回転抵抗の増大及び防水性の低下を抑制できる。
特に、本発明のより具体的な構成としては、時計ケースに取付固定された巻真パイプと、該巻真パイプに挿通され、パッキンが装着されたリュウズとを具備するリュウズ軸支構造において、前記巻真パイプは、前記時計ケースに取付固定された金属製の支持部と、該支持部により背後から支持され、前記パッキンに摺接する非金属製の摺接部とを有することを特徴とする。
また、時計ケースに取付固定されパッキンが装着された巻真パイプと、該巻真パイプに挿通されたリュウズとを具備するリュウズ軸支構造において、前記リュウズは、金属製の支持部と、該支持部により背後から支持され、前記パッキンに摺接する非金属製の摺接部とを有することを特徴とする。
本発明において、前記支持部と前記摺接部は相互に嵌合固定された別部材で構成されることが好ましい。これによれば、摺接部と支持部を別部材で構成できるので、個々に部品として容易に製造することが可能になるとともに、両者を嵌合固定することによって一体構造としているため、特殊な処理を必要とせず、容易に組み立てることができる。この場合、摺接部と支持部との間に密閉性を確保するためのパッキンを介在させることまたは接着シールすることが望ましい。この場合の摺接部は、フッ素樹脂等の低摩擦係数を有する合成樹脂、平滑な表面を備えたセラミックスなどで構成することができる。
本発明において、前記摺接部は、前記支持部の表面に被着された薄膜で構成されることが好ましい。摺接部が支持部の表面に被着された薄膜で構成されることにより、摺接部を支持部の表面に被着する処理が必要になるものの、摺接部と支持部の組立作業が不要になるとともに、摺接部と支持部との間の気密性を確保する構造を設ける必要がなくなる。この場合の摺接部としては、フッ素樹脂その他の低摩擦係数を有する合成樹脂のコーティング膜、DLC(ダイヤモンドライクコーティング)薄膜などを用いることができる。
次に、本発明の別の具体的なリュウズ軸支構造は、時計ケースに取付固定された巻真パイプと、該巻真パイプに挿通され、パッキンが装着されたリュウズとを具備するリュウズ軸支構造において、前記時計ケースに取付固定された金属製の支持部と、該支持部により軸線方向に規制されることにより前記時計ケースに嵌合保持され、前記パッキンに摺接する非金属製の摺接部とを有することを特徴とする。
上記の各発明においては、前記摺接部の動摩擦係数が0.1〜0.5の範囲内であることが好ましい。このような低摩擦係数を有する摺接部の構成材料としては、動摩擦係数が0.1程度のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)や動摩擦係数が0.2程度のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などの四フッ化樹脂、その他の低摩擦係数を呈するフッ素樹脂を用いることができる。また、ポリアセタール、ナイロンなども動摩擦係数を0.1或いはそれ以下とすることができる。さらに、DLC膜も用いることができ、0.1或いはそれ以下の動摩擦係数を得ることが可能である。
また、前記パッキンの動摩擦係数が0.1〜0.8の範囲内であることが好ましい。このような低摩擦係数を有するパッキンとしては、フッ素、NBRを含めたゴム等の弾性材料に固体潤滑剤を配合したもの、ゴム等の弾性材料の表面に低摩擦係数を有する薄膜を形成したもの、たとえば、フッ素樹脂やDLCなどをコーティングしたものなどが挙げられる。
本発明において、複数の前記パッキンが隣接配置され、さらに前記パッキンに潤滑剤が塗布されていることが好ましい。パッキンに潤滑剤を塗布する場合には、上述のように潤滑剤の排出による摩擦係数の急増を避けるために、複数のパッキンを隣接配置させ、パッキン間に潤滑剤が保持されるようにすることが効果的である。これによって、潤滑剤の排出を抑制することができ、軸支部の耐久性を向上させることができる。
本発明において、前記パッキンの前記摺接部に当接する表面に凹凸形状が設けられ、さらに当該表面に潤滑剤が塗布されていることが好ましい。この方法でも、パッキンの表面に設けられた凹凸形状によって潤滑剤が保持されるため、潤滑剤の排出の抑制、並びに、軸支部の耐久性の向上を図ることができる。
次に、本発明の時計は、上記のいずれかに記載のリュウズ軸支構造を備えたことを特徴とする。このような時計としては、特に、リュウズの高速な回転操作が多くなる点で、リュウズの回転によってぜんまい等の巻き上げや蓄電池の充電を行う手動巻上げ式の時計である場合に効果的である。また、リュウズに対して回転ベゼルなどの別の回転操作部材が連結された時計である場合にも効果的である。このような時計としては、通常、腕時計や懐中時計などの携帯時計が挙げられる。
次に、添付図面を参照して本発明に係るリュウズ軸支構造及び時計の実施形態について詳細に説明する。最初に、本発明の各実施形態に共通の全体構造について説明する。
図7は本実施形態の時計10の全体構成を模式的に示す概略前方斜視図、図8は同全体構成を模式的に示す概略後方斜視図である。本実施形態の時計10においては、時計ケース11の前面側に表示窓(ガラス)12が固定され、時計ケース11の背面側には裏蓋13が取付固定されている。表示窓12の内側には指針などの表示手段16が配置されている。時計ケース11の前方部分には、上記表示窓12の周囲を取り巻くように環状に形成された回転ベゼル17が回転可能に取り付けられている。また、時計ケース11の側部にはリュウズ19が取り付けられている。さらに、時計ケース11には時計バンド2が取り付けられ、この時計バンド2によって時計10が腕などに装着される。
回転ベゼル17の背面上には歯車部17xが形成され、この歯車部17xがリュウズ19の外周面上に形成された歯車部19xと噛合し、これによって、回転ベゼル17を回転させると、リュウズ19が回転駆動されるように構成されている。したがって、回転ベゼル17を回転操作することで、リュウズ19の回転に基づいて、ぜんまいの巻上げ、内蔵発電装置の発電、時刻・曜日・アラーム時刻の修正や設定などを行うことができるように構成されている。
なお、以下に説明する各実施形態は、図7及び図8に示す全体構成を有する時計であることを前提として説明するが、各実施形態のリュウズ軸支構造は、このような回転ベゼル17を用いてリュウズ19を回転させる構造を有するものに限らず、他の構造を有する任意の時計に同様に適用することができるものである。
[比較例]
ここで、図6を参照して、従来とほぼ同様のリュウズの軸支構造を備えた比較例について説明する。この比較例では、リュウズの軸支構造以外の構造を実施形態と同様にしたものであり、それらの説明は省略する。
この比較例では、時計ケース11に銀ロウ18xによって固定された巻真パイプ18′と、この巻真パイプ18′に挿通された軸部19A′及びこの軸部19A′の外端に一体的に設けられた頭部19B′を備えたリュウズ19′とを有する。軸部19A′の外周面には環状溝19c′が形成され、この環状溝19c′にパッキン19yが収容されている。
比較例において、巻真パイプ18′は金属製で、パッキン19y′はNBRやIIRなどの合成ゴムで構成される。パッキン19y′にはシリコーングリースなどの潤滑剤が塗布されている。
上記のような構成では、リュウズ19′を高速回転させると、パッキン19y′から潤滑剤が飛散し、潤滑剤切れによって巻真パイプ18′とパッキン19y′との摺動抵抗が増大し、リュウズ19′が操作しにくくなる。また、潤滑剤切れによってパッキン19y′が磨耗・損傷すると、リュウズ軸支構造の防水性が低下する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の主要部を示す拡大部分縦断面図、図2は第1実施形態のリュウズの構造を示す断面図(a)及び外側面図(b)である。本実施形態では、上述の時計ケース11の内部にムーブメント等からなる内部装置14が収容され、この内部装置14に基づいて上記表示手段16が時刻等を表示するようになっている。また、時計ケース11の側壁には開口部が設けられ、この開口部に巻真パイプ18が取付固定されている。そして、この巻真パイプ18は、上記リュウズ19を軸支している。また、上記回転ベゼル17は、固定ねじ17yによって時計ケース11に対して回転可能な状態で係合保持されている。
本実施形態の巻真パイプ18は、時計ケース11に取付固定された筒状の支持部18Aと、この支持部18Aとは別部材で構成され、支持部18Aの内側に嵌合固定された筒状の摺接部18Bとで構成されている。支持部18Aと摺接部18Bとは、間にパッキン18Cが介在した状態で相互に嵌合固定されている。パッキン18Cは支持部18Aと摺接部18Bとの間の密閉性(防水性)を確保するためのものである。特に、図示例のように、支持部18Aと摺接部18Bとを弾性変形させることによってスナップ的に嵌合固定される構造とすることが好ましい。
支持部18Aはステンレス鋼、Ti、Ti合金等の金属で構成され、その基部が時計ケース11の上記開口部に挿通され、時計ケース11の開口縁に設けられたポケット部に充填された銀ロウ18xを用いたロウ付け等の方法によって時計ケース11に対して固定されている。
また、摺接部18Bは、合成樹脂、セラミックス、その他の無機化合物等の非金属材料で構成される。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の四フッ化樹脂、その他の低摩擦係数を呈するフッ素樹脂、或いは、ポリアセタール、ナイロン等の低摩擦係数を有する合成樹脂で一体に構成されている。これらの合成樹脂はいずれも0.1以下から0.2程度の動摩擦係数を有する材料であり、軸支材料としては好適なものであるが、時計ケース11との取付固定に適しているとは必ずしも言えないため、また、必ずしも充分な剛性を備えたものでない場合もあるため、金属製の支持部18Aに対して支持固定されている。
なお、摺接部18Bとしては、上記の合成樹脂に限らず、0.1〜0.3の範囲内の動摩擦係数を備えたものであれば、シリコンカーバイド等のセラミックス材料、各種ガラス等のアモルファス材料で構成されていてもよい。
一方、リュウズ19は、図2に示すように、上記摺接部18Bの内部に挿通される軸部19Aと、この軸部19Aの外端部から外周に広がり、軸部19Aの基部を包み込むように傘状に構成された頭部19Bとを備えている。頭部19Bの外周には上記歯車部19xが形成されている。軸部19Aの外周面には環状溝19cが形成され、この環状溝19c内にパッキン19yが収容されている。パッキン19yは、図示例のように双山状の断面形状を有し、摺接部18Bに当接する表面に凹凸形状を有した構造を備えている。
パッキン19yは、NBR(二トリルゴム),IIR(ブチルゴム)などのパッキン素材に対して硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイト、カーボン粒子等の固体潤滑剤を配合したもの、パッキン素材の表面に、フッ素コーティング、ナノカーボンコーティング、DLC膜等の低摩擦コーティングを施したもの、フッ素ゴムなどの本来的に低摩擦係数を備えたものなどで構成されることが好ましい。これらの動摩擦係数は0.1〜0.8の範囲内であることが望ましい。
また、パッキン19yは、シリコーングリースなどの潤滑剤や上記の固体潤滑剤などを塗布することが望ましい。この場合、パッキン19yの上記表面は凹凸形状を備えているので、これらの潤滑剤を凹凸形状中に保持することができるため、潤滑剤の飛散等のようなパッキン19yからの排出作用を抑制することができる。これによって、摺接部18Bとパッキン19yとの間の摺動抵抗の増大を防止し、パッキン19yの耐久性の向上を図ることができる。
頭部19Bの内面上には低摩擦係数を有する合成樹脂製のガタ防止リング19eが嵌合し、固定リング19fの加締め等によって固定されている。このガタ防止リング19eは巻真パイプ18の外周面(すなわち、支持部19Aの外周面)に当接するか、或いは、極めて僅かなすき間を介して対向し、リュウズ19のガイド機能を果たすようになっている。
本実施形態では、リュウズ19が高速回転されても、巻真パイプ18の摺接部18Bと、これに摺接するパッキン19yが共に低い動摩擦係数を備えているため、摺動時における摩擦抵抗が少なく、したがって、パッキン19yの磨耗・損傷が発生しにくいため、防水性が低下しにくい。
また、パッキン19yの摺接部18Bの表面は凹凸形状を有するので、塗布された潤滑剤が飛散しにくく、潤滑剤の排出による摩擦抵抗の急増やパッキン19yの破壊などが生じにくく、耐久性も向上する。
さらに、本実施形態では、摺接部18Bを支持部18Aが背後から支持しているので、時計ケース11に対する取付も容易であり、また、摺接部18Bの剛性を確保することができるため、摺動面の変形を抑制することができる。しかも、摺接部18Bの構成材料として、剛性に劣る材料も選定対象とすることができるため、材料の選定範囲が広がり、動摩擦係数のより小さい材料を用いて摺接部18Bを構成することが可能になる。
[第2実施形態]
次に、図3を参照して本発明に係る第2実施形態について説明する。なお、この実施形態において第1実施形態と同様の部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
本実施形態では、巻真パイプ28を金属製の一体構成のものとし、この巻真パイプ28の内周面上に環状溝28cを形成し、この環状溝28c内にパッキン28yを収容している。ここで、パッキン28yは環状溝28c内において軸線方向に二つ隣接して配置された状態で装着されている。なお、このパッキン28yは、上記第1実施形態のパッキン19yと同じ材質を用いることができ、また、同じ固体潤滑剤の配合や同じコーティング処理を施すことができ、或いは、同じ潤滑剤を塗布することができる。さらに、第1実施形態と同様に、パッキン28yの動摩擦係数は0.1〜0.8の範囲内であることが望ましい。
一方、リュウズ29は、上記第1実施形態と同様の軸部29A及び頭部29Bを有するが、金属製の軸部29Aの外周部に低い摩擦係数を有する非金属製の摺接部29Cが嵌合固定されている点で第1実施形態とは異なる。この摺接部29Cは上記パッキン28yに摺接する。摺接部29Cは、上記第1実施形態の巻真パイプ18の摺接部18Bと同じ素材で構成することができる。この場合、摺接部29Cは軸部29Aに対して第1実施形態の摺接部18Bのように軸部29Aに対してスナップ的に嵌合固定されていてもよく、或いはまた、軸部29Aに対して接着固定されていてもよい。
また、上記摺接部29Cを、金属製の軸部29Aの外周面に被着された低摩擦係数の薄膜で構成することも可能である。この薄膜としては、低摩擦係数を有するフッ素樹脂やセラミックスのコーティング膜、DLC膜などを用いることができる。
いずれの場合においても、摺接部29Cは、上記第1実施形態と同様に、0.1〜0.5の範囲内の動摩擦係数を有するものであることが好ましい。
本実施形態では、基本的にパッキン28yと摺接部29Cの摺動面同士が第1実施形態と同様に構成されているので、上記と同様の作用効果を奏することができる。ところで、本実施形態では、2つのパッキン28yが隣接配置されている点で上記第1実施形態とは異なるが、このように2つのパッキン28yが隣接配置されることで、結果的に2つのパッキン28yの間に潤滑剤が保持される効果を得ることができるので、第1実施形態のパッキン19yと同様に潤滑材の排出が防止され、耐久性が向上するという効果が得られる。
[第3実施形態]
次に、図4を参照して本発明に係る第3実施形態について説明する。なお、この実施形態において第1実施形態と同様の部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。例えば、本実施形態のリュウズ19は第1実施形態と同一であり、パッキン19yもまた第1実施形態と同じであるので、これらの説明は省略する。
本実施形態では、巻真パイプ38が金属製の支持部38Aと、この支持部38Aの内側に嵌合固定された非金属製の摺接部38Bとからなる点、並びに、この摺接部38Bに用いることのできる材質については第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態の摺接部38Bは、第1実施形態の摺接部18Bのようにリュウズ19の軸部19Aに対向する部分全体に亘って対向配置されたものではなく、パッキン19yと摺接する部分のみに形成されている点で第1実施形態とは異なる。
また、本実施形態では、摺接部38Bを支持部38Aの表面に被着された薄膜で形成することもできる。この薄膜は、上記第2実施形態の摺接部29Cを薄膜で形成する場合において説明したものと同様のものを用いることができる。
[第4実施形態]
次に、図5を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。なお、この実施形態において第1実施形態と同様の部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
本実施形態の巻真パイプ48は、時計ケース11に固定された支持部48Aと、時計ケース11の開口部に嵌合した非金属製の摺接部48Bとを有している。支持部48Aは摺接部48Bに対して軸線方向に係合し、摺接部48Bを規制して時計ケース11に嵌合保持させている。摺接部48Bは、パッキン48xを介して時計ケース11に気密に嵌合されている。支持部48Aは、内周側において摺接部48Bの外面上にフランジ状に張り出した突出部48yに軸線方向外側から当接するとともに、外周側において時計ケース11に形成された雌ネジに螺合する雄ネジを備えている。支持部48Aを時計ケース11に対してねじ込んでいくと、支持部48Aは突出部48yを軸線方向内側へ加圧し、摺接部48Bが時計ケース11に対して締め付け固定される。
リュウズ49は、軸部49A及び頭部49Bを備え、軸部49Aの外周面上には環状溝49cが形成され、この環状溝49c内にパッキン49yが収容されている。環状溝49c内には軸線方向に隣接する2つのパッキン49yが収容されている。パッキン49yは上記摺接部48Bの内周面に摺接している。
なお、歯車部49xやガタ防止リング49eは第1実施形態と同様に構成され、ガタ防止リング49eは支持部48Aの外周面に当接するか、或いは、極めて僅かなすき間を介して対向している。
本実施形態の摺接部48Bは、第1実施形態の摺接部18Bと同様に構成することができる。また、パッキン49yは、第1実施形態のパッキン19yと同様に構成することができる。
本実施形態では、巻真パイプ48において摺接部48Bが支持部48Aにより背後から支持されている点では上記各実施形態と同様であるので、上記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。ただし、本実施形態の巻真パイプ48は、時計ケース11に対して摺接部48Bが支持部48Aによって保持固定されている点で上記各実施形態とは異なる。このように構成すると、巻真パイプ48の組み立てと同時に巻真パイプの時計ケースへの取り付けできるので、製造しやすく、メンテナンスも容易になる。
尚、本発明のリュウズ軸支構造及び時計は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
第1実施形態の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図。 第1実施形態のリュウズの縦断面図(a)及び外側面図(b)。 第2実施形態の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図。 第3実施形態の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図。 第4実施形態の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図。 比較例の時計の一部を拡大して示す拡大部分縦断面図。 各実施形態の全体構成を模式的に示す概略前方斜視図。 各実施形態の全体構成を模式的に示す概略後方斜視図。
符号の説明
10…時計、11…時計ケース、12…表示窓、13…裏蓋、14…内部装置、15…表示板、16…表示手段、17…回転ベゼル、18…巻真パイプ、18A…支持部、18B…摺接部、19…リュウズ、19A…軸部、19B…頭部、19c…環状溝、19y…パッキン

Claims (3)

  1. 時計ケースに取付固定された巻真パイプと、該巻真パイプに挿通され、パッキンが装着されたリュウズとを具備するリュウズ軸支構造において、
    前記巻真パイプは、
    金属で構成され、前記時計ケースに取付固定された筒状の支持部と、
    樹脂で構成された筒状の部材であって、内側が前記パッキンに摺接し、前記支持部の内側に嵌合固定された摺接部と、で構成されており、
    前記支持部の内側と、前記摺接部と外側と、の間には前記時計ケースの防水性を確保するための第2のパッキンが配置されている
    ことを特徴とするリュウズ軸支構造。
  2. 前記摺接部は、フッ素樹脂、ポリアセタールおよびナイロンのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリュウズ軸支構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載のリュウズ軸支構造を備えたことを特徴とする時計。
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